JP4969152B2 - コンクリート建築物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

コンクリート建築物の補強構造及び補強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4969152B2
JP4969152B2 JP2006142252A JP2006142252A JP4969152B2 JP 4969152 B2 JP4969152 B2 JP 4969152B2 JP 2006142252 A JP2006142252 A JP 2006142252A JP 2006142252 A JP2006142252 A JP 2006142252A JP 4969152 B2 JP4969152 B2 JP 4969152B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
panel
anchor member
building
building structure
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006142252A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007314936A (ja
Inventor
一義 白井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2006142252A priority Critical patent/JP4969152B2/ja
Publication of JP2007314936A publication Critical patent/JP2007314936A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4969152B2 publication Critical patent/JP4969152B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

本発明は、鋼繊維補強モルタルの如き繊維含有水硬性組成物からなるパネル(プレキャストパネル)を用いた、既存のコンクリート建築物の補強構造及び補強方法に関する。
日本国内には、1960年代〜1970年代にかけての高度成長期に建設され、現在、建替えまたは補修の時期を迎えている集合住宅が数多く存在する。
これらの集合住宅は、1981年の新たな耐震基準の前に建設されているため、大地震に遭遇した場合、倒壊や、簡単な修復では済まない大きな損傷を受ける可能性がある。そのため、補強工事を予め行ない、大地震の遭遇時に受ける損傷の程度を小さく抑えることが望まれている。この際、居住者の経済的負担が小さく、施工時に居住性への影響が小さく、しかも施工後に補強壁等によって居住空間が狭くならないことが望まれる。
一方、これらの集合住宅は、居住空間が狭いため、主戸間の間仕切壁(構造壁)や床スラブの一部または全部を撤去するなどして、各住戸の居住空間を広く開放的に創り直すことができれば、リフォームによる快適な空間の創造を望む居住者を満足させうると考えられる。しかし、間仕切壁や床スラブを撤去した場合、建築構造上の強度の低下を避けるため、あるいは、もともと不足する耐震性をより高性能に向上させるために、何らかの補強を行う必要がある。
このような状況下において、従来より、既存の建物を補強するための技術が、種々提案されている。
例えば、既存の柱と梁で囲まれた空間に、この柱と梁の内周に突設されたせん段力伝達部材を介して、縦横に壁筋を配筋し、この壁筋の両側にコンクリートを吹き付けて、耐震壁を構築する技術が、提案されている(特許文献1)。
特開2000−234443号公報
上記の文献の技術は、せん断力伝達部材の両側に、定着筋やスタットボルトを設けた上で、壁筋を配筋し、さらに、この壁筋にコンクリートを吹き付けることによって、耐震壁を構築しているので、施工作業が煩雑であり、施工に長時間を要するという問題がある。
また、集合住宅の各戸に、上記の文献に記載された耐震壁を設けるとすれば、耐震壁の合計の質量が非常に大きくなり、建築物の基礎を補強するために大掛かりな工事を行なう必要が生じるという問題もある。なお、上記の文献に記載された耐震壁は、1階部分が店舗や駐車場等になっているために柱ばかりで壁量の少ない、いわゆるピロティ形式の建築物の1階部分の耐震補強に適用されるものである。
そこで、本発明は、集合住宅のような中高層の建築物に対しても適用可能であって、少量の材料を用いて低コストで、容易にかつ短時間に施工を行なうことができ、さらには、施工後に居住空間を大きく狭めることがない、耐震性等を高めるためのコンクリート建築物の補強構造及び補強方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のパネルと、該パネルと既存の建築構造部分の間の目地(幅の小さい隙間)に充填するための、繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材と、上記パネルから既存の建築構造部分に亘って埋設するためのアンカー部材とを用いて、補強構造を構築すれば、前記の目的を達成しうることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[]を提供するものである。
[1] コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材(例えば、コンクリート柱等)または一対の水平部材(例えば、コンクリート梁や、コンクリート製のバルコニー等)を含む既存の建築構造部分と、該建築構造部分で囲まれた補強対象面に形成された、鉛直方向に延びる補強壁とからなるコンクリート建築物の補強構造であって、上記補強壁が、繊維含有水硬性組成物の硬化体からなるパネルと、該パネルと上記建築構造部分を接合するための接合部とからなり、上記接合部が、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に充填された、繊維を含有しない水硬性組成物の硬化体と、該硬化体を貫通して上記パネルから上記建築構造部分に亘って埋設されたアンカー部材を含み、上記パネルは、上記建築構造部分に予め挿着した上記アンカー部材の突出部分を水平方向から収容しうるように形成された切欠部を有し、かつ、上記繊維を含有しない水硬性組成物は、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に加えて、上記アンカー部材を収容した上記パネルの切欠部にも、充填されていることを特徴とするコンクリート建築物の補強構造。
コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分と、該建築構造部分で囲まれた補強対象面に形成された、鉛直方向に延びる補強壁とからなるコンクリート建築物の補強構造であって、上記補強壁が、繊維含有水硬性組成物の硬化体からなるパネルと、該パネルと上記建築構造部分を接合するための接合部とからなり、上記接合部が、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に充填された、繊維を含有しない水硬性組成物の硬化体と、該硬化体を貫通して上記パネルから上記建築構造部分に亘って埋設されたアンカー部材を含み、上記パネルは、上記アンカー部材を収容可能な、当該パネルの端面に設けた第一の孔と、該第一の孔に連通しかつ上記パネルの表面に開口部を形成している第二の孔とからなるアンカー用孔を有し、かつ、上記繊維を含有しない水硬性組成物は、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に加えて、上記パネルのアンカー用孔にも充填されていることを特徴とするコンクリート建築物の補強構造。
] (a)コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分で囲まれた領域内に、鉛直方向に延びる補強壁を設置すべき補強壁設置領域を定める工程と、(b)上記補強壁設置領域に向かって適宜の長さの突出部分が形成されるように、上記補強壁設置領域に隣接する上記建築構造部分に対してアンカー部材を挿着するアンカー部材挿着工程と、(c)上記アンカー部材の突出部分に対して水平方向から収容可能な切欠部を備えたパネルを準備するパネル準備工程と、(d)上記補強壁設置領域に、上記パネルを配設するパネル配設工程と、(e)上記建築構造部分と上記パネルの間の目地、及び、上記パネルの切欠部に対して、繊維を含有しない水硬性組成物からなるグラウト材を充填して、コンクリート建築物の補強構造を完成させるグラウト材充填工程とを含むことを特徴とするコンクリート建築物の補強方法。
] (a’)コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分で囲まれた領域内に、鉛直方向に延びる補強壁を設置すべき補強壁設置領域を定める工程と、(b’)アンカー部材が予め収容されているパネルであって、上記アンカー部材が収容されている、当該パネルの端面に形成された第一の孔と、該第一の孔に連通しかつ該パネルの表面に開口部を形成している第二の孔とからなるアンカー用孔を有するパネルを準備するパネル準備工程と、(c’)上記補強壁設置領域に隣接する上記建築構造部分に、上記アンカー部材を挿入しうるアンカー部材挿入孔を形成するアンカー部材挿入孔形成工程と、(d’)上記補強壁設置領域に上記パネルを配設した後、上記パネルの第一の孔に収容されているアンカー部材を、上記建築構造部分に向けて移動させて、上記建築構造部分のアンカー部材挿入孔に挿入するアンカー部材挿入工程と、(e’)上記建築構造部分と上記パネルの間の目地、及び、上記パネルのアンカー用孔に、繊維を含有しない水硬性組成物からなるグラウト材を充填して、コンクリート建築物の補強構造を完成させるグラウト材充填工程を含むことを特徴とするコンクリート建築物の補強方法。
本発明の補強構造及び補強方法は、繊維を含まない水硬性組成物を用いて、パネルと既存の建築構造部分を接合しているので、繊維含有水硬性組成物を用いて接合する場合と比べて、水硬性組成物の流動性が高く、それゆえ、パネルと既存の建築構造部分の間の目地の空間を小さくしても、この空間の全体に水硬性組成物を効率的に充填することができる。また、目地材である水硬性組成物の使用量を減らすことができ、施工コストを削減することができる。
また、本発明の補強構造及び補強方法は、パネルから既存の建築構造部分に亘って埋設されるアンカー部材を用いて、パネルと既存の建築構造部分を接合しているので、パネルと既存の建築構造部分の各々に挿着したアンカー部材同士を重ね継手として連結する場合と比べて、施工が容易であり、アンカー部材の本数を半減することができ、さらには、接合部の機械的強度を高めることができる。
また、本発明の補強構造及び補強方法は、繊維含有水硬性組成物からなるパネルを用いているので、従来の補強壁と比べて厚さを小さくすることができ、居住空間に施工した場合であっても、施工後に居住空間を大きく狭めることがない。
さらに、本発明の補強構造及び補強方法は、繊維含有水硬性組成物からなるパネルを用いているので、従来の補強壁と比べて厚さを小さくすることができ、その結果、補強壁を軽量化することができ、集合住宅のような中高層の建築物に対しても適用することができる。
本発明の好ましい実施形態の一例として、建築構造部分に予め挿着したアンカー部材の突出部分を水平方向から収容しうるように形成された切欠部を有するパネルを用いた場合には、パネルの設置作業及びグラウト材の充填作業を、容易にかつ短時間で行なうことができる。
本発明の好ましい実施形態の他の例として、アンカー部材を予め収容したパネルであって、アンカー部材を収容可能な、当該パネルの端面に設けた第一の孔と、該第一の孔に連通しかつ当該パネルの表面に開口部を形成している第二の孔とからなるアンカー用孔を有するパネルを用いた場合には、グラウト材の充填を、容易にかつ短時間で行なうことができ、さらには、本発明の補強構造の力学的安定性を高めることができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の補強構造の一例を示す正面図、図2は、本発明の補強構造におけるパネルの設置の種々の形態例を示す正面図、図3は、本発明の補強構造の他の例を示す断面図、図4は、本発明の補強構造の接合部の一例(開放型)を、鉛直方向に切断した状態を示す断面図、図5は、本発明の補強構造の接合部の他の例(閉鎖型)を、鉛直方向に切断した状態を示す断面図、図6は、図4に示す補強構造を構築するための方法を示す工程図、図7は、図5に示す補強構造を構築するための方法を示す工程図、図8は、集合住宅における本発明の補強構造の施工例を部分的に示す水平断面図、図9は、集合住宅における本発明の補強構造の施工例を全体的に示す鉛直断面図、図10は、5階建てのコンクリート建築物における補強領域の例を示す正面図、図11は、本発明の補強構造の接合部(閉鎖型)を、水平方向に切断した状態を示す断面図、図12は、本発明の補強構造の接合部(開放型)を、水平方向に切断した状態を示す断面図、図13は、(a)アンカー引抜き試験装置の平面図、及び(b)アンカー引抜き試験装置のA−A線断面図である。
本発明のコンクリート建築物の補強構造1の一例は、図1に示すように、対向する一対の鉛直部材であるコンクリート柱2,2と、対向する一対の水平部材であるコンクリート梁3,3とからなる既存の建築構造部分と、この既存の建築構造部分で囲まれた補強対象面に形成された補強壁とからなる。
この補強壁は、柱2,2及び梁3,3の各々の内側の面から所定の幅の目地を形成するように嵌め込んだ形態で配設された、繊維含有水硬性組成物からなるパネル4と、パネル4と既存の建築構造部分(柱2及び梁3)の間に形成されたグラウト材の硬化体からなる目地部5と、目地部5を貫通して既存の建築構造部分(柱2及び梁3)からパネル4に亘って埋設されたアンカー部材6を含む。
図1には、補強対象面の全領域に、パネル4を配設した例(図2の(A)参照)を示したが、この例に限らず、補強対象面の領域の一部にパネル4を配設してもよい。例えば、図2の(B)に示すように、補強対象面のうちの左側部分及び右側部分を除く中央領域にパネル4を配設してもよく、あるいは、図2の(C)に示すように、補強対象面のうちの左側部分または右側部分を除く片側領域にパネルを配設してもよい。
コンクリート建築物の例としては、各階に2戸以上の居住部分及び共用通路部分(共用廊下)を有する2階建て以上のコンクリート建築物が挙げられる。このような複数階のコンクリート建築物の中でも、集合住宅やホテル等の中高層(4〜20階建)のコンクリート建築物は、本発明による補強の対象物として好適である。
本発明において、パネルを支持するための建築構造部分の建築材としては、図1に示すコンクリート柱2やコンクリート梁3の他に、図3に示すコンクリート製のバルコニー7,8等が挙げられる。
本発明における既存の建築構造部分は、少なくともコンクリートを含むものであればよく、例えば、鉄筋コンクリート(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)等によって構成することができる。
本発明において、建築構造部分で囲まれた補強対象面の一例は、図1に示すような、柱2,2と梁3,3で囲まれた鉛直方向に延びる面である。また、他の例は、図3に示すような、下階のコンクリート製のバルコニー7の上面と上階のバルコニー8の下面で囲まれた鉛直方向に延びる面(特に、梁3に近い面)である。なお、図3において、図1と同一の部材には、同一の符号を示した。また、図3中、符号9は床スラブを示す。
補強対象面の具体例としては、集合住宅における居住部分と共用通路部分の間の既存の壁に近接した面(特に、共用通路側の面)や、共用通路部分の外側や、ピロティ形式の建築物の1階部分や、バルコニーの既存の壁に近接した面等が挙げられる。補強壁は、既存の壁の片面に対して、積層または若干の距離を隔てて、平行に隣り合って形成されるか、あるいは、新たな壁として形成される。
次に、本発明のコンクリート建築物の補強構造を構成するパネルについて説明する。
本発明で使用するパネルの厚さは、好ましくは3〜20cmである。厚さが3cm未満では、パネルの強度や耐久性が低下するので、コンクリート建築物の補強効果が低下する。厚さが20cmを超えると、パネルの質量が大きくなり、またコストも増大するので好ましくない。
本発明の補強構造の形成と共に、居住空間のリフォーム(例えば、仕切壁や床等の既存の部材の撤去)を行う場合には、既存の部材の撤去によって生じる強度の低下を補うために、パネルの厚さを5〜20cmとすることが好ましい。
本発明で使用するパネルの寸法は、パネルの運搬時の作業性や、コンクリート建築物の柱や梁に対する接合工事の作業性等の観点から、厚さが3〜10cmの場合は、縦1〜3m×横1〜3mとするのが好ましく、厚さが10cmを超え、20cm以下の場合は、縦0.2〜1.5m×横0.2〜1.5mとするのが好ましい。
本発明で使用するパネルは、アンカー部材を埋設することができる形態を有することが必要である。
図4に示すパネル11は、コンクリート梁13からの突出部分を有するアンカー部材12を、水平方向(換言すれば、鉛直方向に延びる補強対象面に対して垂直な方向)から収容することのできる切欠部11aを有している。切欠部11aの面を形成する部材として、水平方向に切断した場合の断面形状がU字形であるシースを、アンカー部材12を囲むように設けてもよい。
なお、切欠部は、次の2つの条件:(ア)切欠部の内周面と、切欠部の位置する側とは反対側のパネルの外表面との距離(図12中の「a−1」参照)が、5mm以上、好ましくは7mm以上であり、かつ、アンカー部材の外周面と、グラウト材の外表面との距離(図12中の「a−2」参照)が、アンカー部材の直径(D)の1.0倍以上(1.0D以上)である、(イ)パネルの切欠部の内周面とアンカー部材の外周面との距離が、(イ−1)グラウト材としてペーストを使用する場合には4mm以上、グラウト材としてモルタルを使用する場合には6mm以上であり、かつ、(イ−2)アンカー部材の直径(D)の1.5倍以下(1.5D以下)である、を満たすように設ける。
補強構造10を構築するには、まず、コンクリート梁13及びコンクリート柱(図示せず)の各々の内側の面に対して、パネル11を設置すべき補強面に沿って、アンカー部材12を挿着するための複数の孔13aを適宜の間隔で穿設する。次いで、複数の孔13aの各々に、アンカー部材12を挿着する。その後、パネル11を鉛直方向に立てた状態を保ちつつ、パネル11を水平方向に移動させて、パネル11の切欠部11aにアンカー部材12を収容した状態となるように、パネル11を配置する。次に、コンクリート梁13及びコンクリート柱の内側の面と、パネル11の端面の間の目地に、繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材14を充填するとともに、パネル11の切欠部11aにも、繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材14を充填する。充填したグラウト材14が硬化すると、補強構造10が完成する。
図5に示すパネル16は、アンカー部材18を収容可能な、当該パネル16の端面に設けた第一の孔16aと、第一の孔16aに連通しかつパネル16の表面に開口部を形成している第二の孔16bとからなるアンカー用孔を有するものである。本例において、第一の孔16aの内周面は、シース管19によって形成されている。また、第二の孔16bは、第一の孔16aに対して垂直に交差する孔であり、第一の孔16aの最深地点からパネル16の表面に達する孔として、形成されている。
第一の孔16aは、上述の切欠部と同様に、次の2つの条件:(ア)シース管の外周面と、パネルの外表面との距離(図11中の「b−1」、「b−2」参照)が、5mm以上、好ましくは7mm以上である、(イ)パネルの第一の孔の内周面とアンカー部材の外周面との距離が、(イ−1)グラウト材としてペーストを使用する場合には4mm以上、グラウト材としてモルタルを使用する場合には6mm以上であり、かつ、(イ−2)アンカー部材の直径(D)の1.5倍以下(1.5D以下)である、を満たすように設ける。
補強構造15を構築するには、まず、コンクリート梁17及びコンクリート柱(図示せず)の各々の内側の面に対して、パネルを設置すべき補強面に沿って、アンカー部材18を挿着するための複数の孔17aを適宜の間隔で穿設する。次いで、アンカー部材18を予め収容したパネル16を、アンカー部材18の位置と孔17aの位置とが合致するように、配置する。なお、アンカー部材18は、その下端が第一の孔16aの最深地点に達するように収容された状態において、第一の孔16aの開口部から外方に向かって、適宜の長さの突出部分を有するものである。この突出部分は、パネル16を鉛直方向に立てた状態で、上下のコンクリート梁17,17に接触しない長さを有する。
次に、第一の孔16aからアンカー部材18を引き出して、アンカー部材18が、孔17aと第一の孔16aのいずれにも差し込まれた状態とする。この状態を保ったまま、コンクリート梁13及びコンクリート柱の内側の面と、パネル16の端面の間の目地に、繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材20を充填するとともに、パネル16の第一の孔16a及び第二の孔16bにも、グラウト材20を充填する。この際、グラウト材20の充填は、パネル16の第一の孔16aや第二の孔16bの開口部を通じて行なう。充填したグラウト材20が硬化すると、補強構造15が完成する。
図5に示す補強構造によれば、パネル16の両面のいずれに大きな力が加わったとしても、アンカー部材18の両端が、パネル16及び既存の建築構造部分(コンクリート梁17等)によって支持されているので、力学的に安定しており、パネル16が外れるような事態は生じない。
なお、図5に示すように、パネル16の第一の孔16aの内周面は、円筒状のシース管19によって形成することができる。この場合、力学的な安定性をより高めることができる。
アンカー部材の直径は、好ましくは6〜35mm、より好ましくは10〜30mmである。該直径が6mm未満では、補強壁を安定して支持するために必要なアンカー部材の数が多くなり、施工作業が煩雑になるなどの欠点がある。該直径が35mmを超えると、アンカー部材の挿着作業等が困難になるので、好ましくない。
本発明において、パネル(例えば、図4や図5に示すもの)に挿着されるアンカー部材の挿入長さは、アンカー部材の直径をDとした場合に、好ましくは5D以上、より好ましくは7D以上、特に好ましくは8D以上である。該挿入長さが5D未満では、アンカー部材が降伏する前に、パネルからのアンカー部材の抜け出しが生じることがある。
本発明において、既存の建築構造部分に挿着されるアンカー部材の好ましい挿入長さは、パネルに対するアンカー部材の好ましい挿入長さと同様である。
パネルの材料である繊維含有水硬性組成物の好適な例としては、セメント、細骨材、補強用繊維、減水剤及び水を必須成分として含み、かつ、必要に応じて配合される成分として、ポゾラン質微粉末、平均粒径が1mm以下の繊維状粒子または薄片状粒子、その他の無機粉末、及び粗骨材を含むものが挙げられる。
セメントの例としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。
本発明において、組成物の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、組成物の作業性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
セメントのブレーン比表面積は、好ましくは2,500〜5,000cm/g、より好ましくは3,000〜4,500cm/gである。該値が2,500cm/g未満では、水和反応が不活性になって、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、5,000cm/gを超えると、セメントの粉砕時に時間がかかり、また、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
細骨材の例としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂またはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
本発明においては、組成物の流動性や、硬化後の強度発現性及び耐久性等の観点から、最大粒径が2mm以下の細骨材を使用することが好ましく、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることがより好ましい。
細骨材の配合量は、組成物の作業性や、自己収縮や、硬化後の強度発現性及び耐久性等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜200質量部である。
補強用繊維の例としては、金属繊維等が挙げられる。
金属繊維の例としては、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れ、低コストで入手し易いことから、好ましく用いられる。
金属繊維の寸法は、組成物中における金属繊維の材料分離の防止や、硬化後の曲げ強度の向上等の観点から、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。
金属繊維のアスペクト比(繊維の長さ/繊維の直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)が好ましい。螺旋状等の形状にすれば、金属繊維とマトリックスとが引き抜けながら応力を担保するため、曲げ強度が向上する。
金属繊維の好適な例としては、例えば、直径が0.5mm以下、引張強度が1〜3.5GPaの鋼繊維からなり、かつ、120MPaの圧縮強度を有するセメント系硬化体のマトリックスに対する界面付着強度(付着面の単位面積当たりの最大引張力)が3MPa以上であるものが挙げられる。本例において、金属繊維は、波形や螺旋形の形状に加工することができる。また、本例の金属繊維の周面上に、マトリックスに対する運動(長手方向の滑り)に抵抗するための溝または突起を付けることもできる。また、本例の金属繊維は、鋼繊維の表面に、鋼繊維のヤング係数よりも小さなヤング係数を有する金属層(例えば、亜鉛、錫、銅、アルミニウム等から選ばれる1種類以上からなるもの)を設けたものとしてもよい。
金属繊維の配合量は、組成物中の体積百分率で、好ましくは0.5〜4%、より好ましくは1〜3%である。該配合量が0.5%未満では、金属繊維による曲げ強度等の向上の効果を十分に得ることができない。該配合量が4%を超えると、流動性を確保するために単位水量が増大するうえ、配合量を増やしても金属繊維による補強効果が向上しないため、経済的でなく、さらに、組成物中でいわゆるファイバーボールを生じ易くなるので、好ましくない。
減水剤の例としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等が挙げられる。中でも、減水効果の大きな高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することが好ましく、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することがより好ましい。
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して固形分換算で、好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部である。該配合量が0.1質量部未満では、混練が困難になるとともに、組成物の作業性が極端に低下する等の欠点がある。該配合量が4.0質量部を超えると、材料分離や著しい凝結遅延が生じ、また、硬化後の強度発現性が低下することもある。
なお、減水剤は、液状と粉末状のいずれも使用することができる。
水量は、セメント100質量部に対して、好ましくは10〜35質量部、より好ましくは12〜30質量部である。該量が10質量部未満では、混練が困難になるとともに、組成物の作業性が極端に低下する等の欠点がある。該量が35質量部を超えると、硬化後の強度発現性が低下する。
ポゾラン質微粉末の例としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゲル、沈降シリカ等が挙げられる。
一般に、シリカフュームやシリカダストは、そのBET比表面積が5〜25m/gであり、粉砕等をする必要がないので、好ましく用いられる。
ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、好ましくは5〜25m/g、より好ましくは5〜15m/gである。該値が5m/g未満では、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、該値が25m/gを超えると、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは3〜50質量部である。該配合量が3質量部未満では、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。該配合量が50質量部を超えると、水硬性組成物の使用時の作業性の低下や、自己収縮の増大や、硬化後の強度発現性の低下等の欠点がある。
平均粒度が1mm以下の繊維状粒子または薄片状粒子は、組成物の硬化後の靭性を高める観点から配合される。
ここで、粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に繊維状粒子ではその長さ)である。
繊維状粒子の例としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。
薄片状粒子の例としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子または薄片状粒子の配合量(これらの粒子を併用する場合はその合計量)は、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性、耐久性及び靭性等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは0〜35質量部、より好ましくは1〜25質量部である。
なお、繊維状粒子としては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いることが好ましい。
その他の無機粉末(具体的には、セメントと、ポゾラン質微粉末と、平均粒度が1mm以下の繊維状粒子または薄片状粒子のいずれにも属さない無機粉末)の例としては、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、石灰石粉末及び石英粉末は、コストや硬化後の品質安定性の観点から好ましく用いられる。
該無機粉末のブレーン比表面積は、好ましくは2,500〜30,000cm/g、より好ましくは4,500〜20,000cm/gである。該値が2,500cm/g未満では、組成物の作業性の低下や、硬化後の強度発現性の低下等の欠点がある。該値が30,000cm/gを超えると、粉砕に手間がかかるため材料の入手が難しくなったり、組成物の作業性が低下する等の欠点がある。
該無機粉末の配合量は、組成物の作業性や、自己収縮や、硬化後の強度発現性及び耐久性の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは0〜55質量部、より好ましくは10〜50質量部である。該配合量が55質量部を超えると、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
本発明においては、その他の無機粉末として、ブレーン比表面積が異なる2種の無機粉末A(ブレーン比表面積が大きい粉末)および無機粉末B(ブレーン比表面積が小さい粉末)を併用することができる。
この場合、無機粉末Aと無機粉末Bは、同じ種類の粉末(例えば、石灰石粉末)を使用してもよいし、異なる種類の粉末(例えば、石灰石粉末及び石英粉末)を使用してもよい。
無機粉末Aのブレーン比表面積は、好ましくは5,000〜30,000cm/g、より好ましくは6,000〜20,000cm/gである。該値が5,000cm/g未満では、セメントや無機粉末Bとのブレーン比表面積の差が小さくなり、1種の無機粉末のみを用いる場合と比べて、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性及び耐久性を向上させる効果が小さくなるばかりか、2種の無機粉末を用いているために、材料の準備に手間がかかるので、好ましくない。該値が30,000cm/gを超えると、粉砕に手間がかかるため、材料が入手し難くなったり、組成物の作業性が低下する等の欠点がある。
無機粉末Bのブレーン比表面積は、好ましくは2,500〜4,500cm/gである。該値が2,500cm/g未満では、組成物の作業性の低下や、硬化後の強度発現性の低下等の欠点がある。該値が4,500cm/gを超えると、ブレーン比表面積の数値が無機粉末Aに近づくため、1種の無機粉末のみを用いる場合と比べて、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性及び耐久性を向上させる効果が小さくなるばかりか、2種の無機粉末を用いているために、材料の準備に手間がかかるので、好ましくない。
セメントと無機粒子Bとのブレーン比表面積の差は、好ましくは100cm/g以上、より好ましくは200cm/g以上である。該値が好ましい数値範囲内であると、組成物を構成する粒子の充填性が向上し、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性及び耐久性を向上させることができる。
無機粉末Aの配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜45質量部である。無機粉末Bの配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜35質量部である。無機粉末A及び無機粉末Bの配合量が前記の好ましい数値範囲外では、1種の無機粉末のみを用いる場合と比べて、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性及び耐久性の向上の効果が小さくなるばかりか、2種の無機粉末を用いているために、材料の準備に手間がかかるので、好ましくない。
なお、無機粉末Aと無機粉末Bの合計量は、セメント100質量部に対して、好ましくは6〜55質量部、より好ましくは10〜50質量部である。
粗骨材の例としては、川砂利、海砂利、砕石等が挙げられる。
粗骨材の最大粒径は、組成物の作業性や、硬化後の強度発現性及び耐久性等の観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
粗骨材の配合量は、組成物の作業性や、自己収縮や、硬化後の強度発現性及び耐久性の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0〜10質量部である。
パネルの材料である繊維含有水硬性組成物の硬化体の圧縮強度は、好ましくは100N/mm以上、より好ましくは120N/mm以上である。該値が100N/mm未満では、強度を確保するためにパネルの厚さが大きくなり、施工後に建築物の基礎を補強することが必要になるなどの問題が生じうるので、好ましくない。
パネルの材料である繊維含有水硬性組成物の硬化体の曲げ強度は、好ましくは15N/mm以上、より好ましくは20N/mm以上である。該値が15N/mm未満では、強度を確保するためにパネルの厚さが大きくなり、施工後に建築物の基礎を補強することが必要になるほか、補強用鉄筋が多数必要となり、施工が煩雑になるなどの問題が生じうるので、好ましくない。
本発明で使用するパネルの製造方法について説明する。
本発明で使用するパネルは、上記材料を混練してなる繊維含有水硬性組成物を所定の型枠に投入して成形し、硬化させることによって得ることができる。
繊維含有水硬性組成物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(1)水、減水剤以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製しておき、該プレミックス材、水及び減水剤を、ミキサに投入し、混練する方法、(2)粉末状の減水剤を用意し、水以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製しておき、該プレミックス材及び水をミキサに投入し、混練する方法、(3)各材料を各々個別にミキサに投入し、混練する方法等を採用することができる。
混練に用いるミキサは、通常のコンクリートの混練に用いられるどのタイプのものでもよく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が用いられる。
繊維含有水硬性組成物の成形方法は、特に限定されるものではなく、例えば、振動成形等を行えばよい。
繊維含有水硬性組成物の養生方法は、特に限定されるものではなく、例えば、気中養生、湿空養生、水中養生、加熱促進養生(蒸気養生、オートクレープ養生)等の慣用手段またはこれらを併用したものを行えばよい。
次に、本発明の建築物の補強構造を構成するアンカー部材について説明する。
アンカー部材としては、例えば、コンクリート用アンカーが用いられる。コンクリート用アンカーの一例としては、挿着対象物であるコンクリート柱等の建築材に穿設した孔に打ち込んで埋設するための、内周面が螺刻された円筒部材と、該円筒部材と螺合するボルト部材とを組み合わせてなるものが挙げられる。
ここで、円筒部材は、ボルト部材を螺入するにつれて、最深地点の端部が拡開し、挿着対象物に対する固着力を強めるようになっている。
また、ボルト部材は、円筒部材に螺入するための螺刻されたボルト部分が形成されている。なお、ボルト部材は、その一方の端部がコンクリート柱等の既存の建築材に挿着され、他方の端部がグラウト材によってパネルの切欠部等に挿着されて、建築材とパネルとの間に亘ってアンカーの役割を果たすものである。
アンカー部材の他の例としては、異形棒鋼等が挙げられる。この例において、既存の建築構造部分に穿設される孔と、この孔に挿入されるアンカー部材の間には、硬化性の充填材(例えば、エポキシ等の樹脂や、セメントペースト等)が充填される。
次に、本発明の建築物の補強構造を構成するグラウト材の硬化体(目地部等)について説明する。
本発明の補強構造の目地部、及びパネル内のアンカー部材の挿入部分は、繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材を充填し硬化させることによって形成される。
グラウト材の好適な例としては、パネルの材料である繊維含有水硬性組成物から繊維を除いたものや、無収縮モルタルや、無収縮セメントペースト等が挙げられる。無収縮モルタルの市販品の例としては、「プレユーロックスM−S」(商品名;太平洋マテリアル社製)が挙げられる。また、無収縮セメントペーストの市販品の例としては、「ユーロックスセメント」(商品名;太平洋マテリアル社製)が挙げられる。
次に、図6を参照にしつつ、本発明のコンクリート建築物の補強方法の好適な一例について説明する。
[工程(a):補強対象面決定工程]
まず、コンクリート柱(図示せず)とコンクリート梁21,21の間の鉛直方向に延びる領域に、補強対象面Pを定める(図6の(a)参照)。
[工程(b):アンカー部材挿着工程]
次に、上下のコンクリート梁21,21に、適宜の長さの突出部分を形成するように、アンカー部材22を挿着する(図6の(b)参照)。なお、補強対象面の左右方向の両側に位置する建築材(例えば、コンクリート柱)にもアンカー部材を挿着するようにしてもよい。
[工程(c):パネル準備工程]
次に、繊維含有水硬性組成物からなるパネル23を準備する(図6の(c)参照)。このパネル23は、アンカー部材22の突出部分を水平方向から収容するための切欠部23aを有している。
[工程(d):パネル配設工程]
次に、このパネル23を補強対象面に配設する。この時、パネル23の切欠部23aに、アンカー部材22を収容する(図6の(d)参照)。
[工程(e):グラウト材充填工程]
コンクリート梁21とパネル23の間の空隙(目地)にグラウト材24を充填するとともに、パネル23の切欠部23aにもグラウト材24を充填する。このグラウト材24が硬化すると、本発明の補強構造25が完成する(図6の(e)参照)。
図7を参照しつつ、本発明のコンクリート建築物の補強方法の他の例について説明する。
[工程(a’):補強対象面決定工程]
まず、コンクリート柱(図示せず)とコンクリート梁26,26の間の鉛直方向に延びる領域に、補強対象面Pを定める(図7の(a’)参照)。
[工程(b’):パネル準備工程]
次に、アンカー部材27を予め収容したパネル28であって、アンカー部材27を収容した、パネル28の端面に設けた第一の孔28aと、第一の孔28aに連通しかつパネル28の表面に開口部を形成している第二の孔28bとからなるアンカー用孔を有するパネル28を準備する(図7の(b’)参照)。
[工程(c’):パネル配設工程]
コンクリート梁26に、アンカー部材27を挿着するための孔を穿設した後、パネル28を補強対象面に配設する(図7の(c’)参照)。
[工程(d’):アンカー部材挿着工程]
次に、第一の孔28aに収容されているアンカー部材27を、外方に引き出して、コンクリート梁26の孔にアンカー部材27を挿着する(図7の(d’)参照)。
[工程(e’):グラウト材充填工程]
コンクリート梁26とパネル28の間の空隙(目地)に、グラウト材29を充填するとともに、第二の孔28bの開口部を通じて、パネル28の第一の孔28a及び第二の孔28bにも、グラウト材29を充填する。グラウト材29が硬化すると、本発明の補強構造30が完成する(図7の(e’)参照)。
本発明の補強構造を集合住宅に適用した一例を図8に示す。図8は、本発明の補強構造を施した集合住宅100を水平方向に切断した状態を示す断面図である。図8中、各戸の居住部分101は、柱104と、強度の大きい構造壁105と、共用通路部分102の側に位置する強度の小さい非構造壁106と、ドア107と、バルコニー109側に位置するガラス戸110等によって形成されている。なお、共用通路部分102の縁には、転落防止用の柵103が設けられている。
図8に示すような構造を有する集合住宅は、構造壁105の延びる方向に働く外力には強いが、構造壁105に対して垂直方向に働く外力には弱いという性質がある。そこで、共用通路部分102側の非構造壁106の外側の面(共用通路部分102側の面)に、本発明の補強構造(補強壁108)を構築すれば、集合住宅の強度を効果的に向上させることができる。
また、この場合、図9に、鉛直方向に切断した模式的な断面図として示すように、地盤111上に建築された集合住宅100に対して、本発明の補強構造(補強壁108;図中、斜線で示す。)を1戸おきに構築して、集合住宅100全体として市松模様状に補強を行ったうえで、それ以外の区画に袖壁112による補強を行えば、上記集合住宅に必要な補強効果を得ることができる。
本発明の補強構造を集合住宅に適用した他の例を図10に示す。
図10に概念的に示す5階建ての集合住宅は、バルコニーの壁に近接した領域(図3参照)にて、パネルを鉛直方向に複数配設し、最上階から最下階に亘る帯状の補強構造を構築させたものである。図10中、地盤120上の5階建てのコンクリート建築物121の主な骨組みは、コンクリート柱122およびコンクリート梁123を格子状に組み合わせて構築されている。1階から5階までのバルコニー側のコンクリート柱122の外表面に沿って、5枚のパネル124を直列に配設し、これらのパネル124を含む本発明の補強構造を、図10中に斜線部として示す領域(ただし、分断された箇所は、バルコニーが位置する領域である。)に形成するだけで、十分な補強効果を得ることができる。
次のようにして、パネルを作製した。
[1.使用材料]
(1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製;ブレーン比表面積:3,200cm/g)
(2)ポゾラン質微粉末;シリカフューム(平均粒径:0.25μm、BET比表面積:11m/g)
(3)石英粉末A(ブレーン比表面積:7,500cm/g)
(4)石英粉末B(ブレーン比表面積:3,500cm/g)
(5)細骨材;珪砂(最大粒径0.6mm)
(6)繊維状粒子;ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
(7)減水剤;ポリカルボン酸系高性能減水剤
(8)水;水道水
(9)金属繊維;鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
[金属繊維含有水硬性組成物の調製例1]
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末Aを32質量部、細骨材120質量部、ウォラストナイト24質量部、鋼繊維2%(組成物中の体積割合)、高性能減水剤1.0質量部(固形分換算)、水22質量部を二軸ミキサに投入し混練して、組成物を調製した。この組成物の0打フロー値は、250mmであった。
調製した組成物を鋼製の型枠(φ50×100mm)に流し込み、20℃で48時間静置後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の圧縮強度(3本の試験体の平均値)は、230N/mmであった。
調製した組成物を鋼製の型枠(4×4×16cm)に流し込み、20℃で48時間静置後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の曲げ強度(3本の試験体の平均値)は、45N/mmであった。
[繊維含有水硬性組成物の調製例2]
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末Aを23質量部、石英粉末Bを9質量部、細骨材120質量部、ウォラストナイト24質量部、鋼繊維2%(組成物中の体積割合)、高性能減水剤1.0質量部(固形分換算)、水22質量部を二軸ミキサに投入し混練して、組成物を調製した。この組成物の0打フロー値は、270mmであった。
調製した組成物を鋼製の型枠(φ50×100mm)に流し込み、20℃で48時間静置後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の圧縮強度(3本の試験体の平均値)は、235N/mmであった。
調製した組成物を鋼製の型枠(4×4×16cm)に流し込み、20℃で48時間静置後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の曲げ強度(3本の試験体の平均値)は、45N/mmであった。
[実施例1]
パネルとして、調製例1の金属繊維含有水硬性組成物を材料として使用し、縦800mm×横800mm×厚さ60mmの正方形状の試験体を作製した。この際、この正方形状の試験体の各辺の中央部に、正方形状の中心部に向けて、内径32mm、長さ160mmのスパイラルシース管を、かぶり厚さ(パネルの表面からスパイラルシース管までの距離)が12.5mmとなるように埋設した。
アンカー部材として、φ16mmの鉄筋を、挿入長さが160mmとなるように、上記スパイラルシース管に挿入した。
グラウト材として、無収縮モルタル「プレユーロックスM−S」(商品名;太平洋マテリアル社製)を上記スパイラルシース管内に充填して、アンカー部材を固定し、試験体を完成させた。
なお、図11に示すように、金属繊維含有水硬性組成物31からなる試験体32におけるアンカー部材33を埋め込んだ部分(挿入部34)の断面形状は、アンカー部材33を中心として、その周囲をグラウト材35とスパイラルシース管36で囲んだ形状であった。
[実施例2]
スパイラルシース管として、長さ320mmのものを使用し、アンカー部材の挿入長さが320mmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、試験体を作製した。
[実施例3]
スパイラルシース管として、内径26mmのものを使用し、スパイラルシース管のかぶり厚さが15.8mmとなるようにし、また、グラウト材として、無収縮セメントペースト「ユーロックスセメント」(商品名;太平洋マテリアル社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、試験体を作製した。
[実施例4]
スパイラルシース管として、長さが320mmのものを使用し、アンカー部材の挿入長さが320mmとなるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして、試験体を作製した。
[実施例5]
パネルとして、調製例2の金属繊維含有水硬性組成物を材料として使用し、縦800mm×横800mm×厚さ60mmの正方形状の試験体を作製した。この際、この試験体には、アンカー部材を収容するための切欠部として、パネルの各辺の中央部の片面側に、正方形状の中心部に向けて、アンカー部材を挿入するための溝を形成させた。この溝は、長さが160mm、かぶり厚さが12.5mmであり、底部の断面が半円形状(内径32mm)のものである。
アンカー部材として、φ16mmの鉄筋を、挿入長さが160mmとなるように、上記溝に挿入した。
次いで、グラウト材として、無収縮モルタル「プレユーロックスM−S」(商品名;太平洋マテリアル社製)を上記溝に充填して、アンカー部材を固定し、試験体を完成させた。
なお、図12に示すように、金属繊維含有水硬性組成物37からなる試験体38のアンカー部材39を埋め込んだ部分(埋込部40)の断面形状は、アンカー部材39を中心として、その周囲をグラウト材41で囲んだ形状であった。
[実施例6]
アンカー部材を収容するための切欠部として、長さ320mmの溝を形成し、アンカー部材の挿入長さが320mmとなるようにしたこと以外は、実施例5と同様にして、試験体を作製した。
[実施例7]
アンカー部材を収容するための切欠部として、長さ320mmの溝を形成し、アンカー部材の挿入長さが320mmとなるようにし、かつ、充填材として、前記の調製例2の水硬性組成物から鋼繊維を除いたもの(以下、「グラウトA」と称する。)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、試験体を作製した。
[実施例8]
アンカー部材を収容するための切欠部として、断面が半円形(内径32mm)の形状を含む溝であって、長さ160mmのスパイラルシースを内周面の形成部材とした溝を形成させたこと以外は、実施例5と同様にして、試験体を作製した。
[アンカー引抜き試験]
図13に示すアンカー引抜き試験装置を用いて、実施例1〜8の試験体について、アンカー引抜き試験を行った。図13の(a)は、アンカー引抜き試験装置の平面図、図13の(b)は、アンカー引抜き試験装置のA−A線断面図を示す。
アンカー引抜き試験装置42は、図13に示すように、表面に複数の可動用ローラ44aを備えた試験台44と、H型鋼45と、センターホールジャッキ46と、ロードセル47と、2つの変位計48、49を備えている。試験台44の可動用ローラ44a上には、試験体43が載置される。また、試験体43を載置した試験台44とセンターホールジャッキ46の間には、H型鋼45が設置されている。また、ロードセル47は、センターホールジャッキ46の後端部に設置されている。
2つの変形計48、49のうち、一方の変形計48は、試験体43の端部に接続され、他方の変位計49は、PC鋼棒46aに接続されている。試験体43とH型鋼45の間には、試験体43の角部にゴム板50が当接され、このゴム板50とH型鋼45の間に間接材51が設置されている。
試験台44上に載置された試験体43に埋設された4つのアンカー部材43aのうちの一つの後端には、センターホールジャッキ46のPC鋼棒46aが接続されている。このPC鋼棒46aの後端は、ロードセル47に固定されている。
PC鋼棒46aに接続されたアンカー部材43aに対して、PC鋼棒46aを通じて、水平方向からセンターホールジャッキ46による引張力を徐々に加えた。支点距離(ゴム板50に当接する試験体43の角部と、アンカー部材43aの間の距離)は、350mmであった。
センターホールジャッキ46により加えられた引張力によるアンカー部材43aの状態の変化を、目視で観察した。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜8では、鉄筋の抜け出しが始まる前に、鉄筋が降伏した。このことから、実施例1〜8におけるパネルとアンカー部材の接合構造は、コンクリート建築物の補強構造として使用しうる強固なものであることがわかった。
Figure 0004969152
本発明の補強構造の一例を示す正面図である。 本発明の補強構造におけるパネルの設置の種々の形態例を示す正面図である。 本発明の補強構造の他の例を示す断面図である。 本発明の補強構造の接合部の一例(開放型)を、鉛直方向に切断した状態を示す断面図である。 本発明の補強構造の接合部の他の例(閉鎖型)を、鉛直方向に切断した状態を示す断面図である。 図4に示す補強構造を構築するための方法を示す工程図である。 図5に示す補強構造を構築するための方法を示す工程図である。 集合住宅における本発明の補強構造の施工例を部分的に示す水平断面図である。 、集合住宅における本発明の補強構造の施工例を全体的に示す鉛直断面図である。 5階建てのコンクリート建築物における補強領域の例を示す正面図である。 本発明の補強構造の接合部(閉鎖型)を、水平方向に切断した状態を示す断面図である。 本発明の補強構造の接合部(開放型)を、水平方向に切断した状態を示す断面図である。 (a)アンカー引抜き試験装置の平面図、及び(b)アンカー引抜き試験装置のA−A線断面図である
符号の説明
1 コンクリート建築物の補強構造
2 コンクリート柱
3 コンクリート梁
4 パネル
5 目地部(繊維を含まない水硬性組成物からなるグラウト材の硬化体)
6 アンカー部材
7 下階のバルコニー
8 上階のバルコニー
9 床スラブ
10 コンクリート建築物の補強構造
11 繊維含有水硬性組成物からなるパネル
11a 切欠部
12 アンカー部材
13 コンクリート梁
13a 孔
14 グラウト材
15 コンクリート建築物の補強構造
16 繊維含有水硬性組成物からなるパネル
16a 第一の孔
16b 第二の孔
17 コンクリート梁
17a 孔
18 アンカー部材
19 シース管
20 グラウト材
21 コンクリート梁
22 アンカー部材
23 繊維含有水硬性組成物からなるパネル
23a 切欠部
24 グラウト材
25 コンクリート建築物の補強構造
26 コンクリート梁
27 アンカー部材
28 繊維含有水硬性組成物からなるパネル
28a 第一の孔
28b 第二の孔
29 グラウト材
30 コンクリート建築物の補強構造
31 金属繊維含有水硬性組成物
32 試験体
33 アンカー部材
34 挿入部
35 グラウト材
36 スパイラルシース管
37 金属繊維含有水硬性組成物
38 試験体
39 アンカー部材
40 埋込部
41 グラウト材
42 アンカー引抜き試験装置
43 試験体
43a アンカー部材
44 試験台
44a 可動用ローラ
45 H型鋼
46 センターホールジャッキ
46a PC鋼棒
47 ロードセル
48 変位計
49 変位計
50 ゴム板
51 間接材
100 集合住宅
101 居住部分
102 共用通路部分
103 柵
104 柱
105 構造壁
106 非構造壁
107 ドア
108 補強壁
109 バルコニー
110 ガラス戸
111 地盤
112 袖壁
120 地盤
121 コンクリート建築物
122 コンクリート柱
123 コンクリート梁
124 パネル

Claims (4)

  1. コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分と、該建築構造部分で囲まれた補強対象面に形成された、鉛直方向に延びる補強壁とからなるコンクリート建築物の補強構造であって、
    上記補強壁が、繊維含有水硬性組成物の硬化体からなるパネルと、該パネルと上記建築構造部分を接合するための接合部とからなり、
    上記接合部が、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に充填された、繊維を含有しない水硬性組成物の硬化体と、該硬化体を貫通して上記パネルから上記建築構造部分に亘って埋設されたアンカー部材を含み、
    上記パネルは、上記建築構造部分に予め挿着した上記アンカー部材の突出部分を水平方向から収容しうるように形成された切欠部を有し、かつ、上記繊維を含有しない水硬性組成物は、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に加えて、上記アンカー部材を収容した上記パネルの切欠部にも、充填されていることを特徴とするコンクリート建築物の補強構造。
  2. コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分と、該建築構造部分で囲まれた補強対象面に形成された、鉛直方向に延びる補強壁とからなるコンクリート建築物の補強構造であって、
    上記補強壁が、繊維含有水硬性組成物の硬化体からなるパネルと、該パネルと上記建築構造部分を接合するための接合部とからなり、
    上記接合部が、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に充填された、繊維を含有しない水硬性組成物の硬化体と、該硬化体を貫通して上記パネルから上記建築構造部分に亘って埋設されたアンカー部材を含み、
    上記パネルは、上記アンカー部材を収容可能な、当該パネルの端面に設けた第一の孔と、該第一の孔に連通しかつ上記パネルの表面に開口部を形成している第二の孔とからなるアンカー用孔を有し、かつ、上記繊維を含有しない水硬性組成物は、上記パネルと上記建築構造部分の間の目地に加えて、上記パネルのアンカー用孔にも充填されていることを特徴とするコンクリート建築物の補強構造。
  3. (a)コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分で囲まれた領域内に、鉛直方向に延びる補強壁を設置すべき補強壁設置領域を定める工程と、
    (b)上記補強壁設置領域に向かって適宜の長さの突出部分が形成されるように、上記補強壁設置領域に隣接する上記建築構造部分に対してアンカー部材を挿着するアンカー部材挿着工程と、
    (c)上記アンカー部材の突出部分に対して水平方向から収容可能な切欠部を備えたパネルを準備するパネル準備工程と、
    (d)上記補強壁設置領域に、上記パネルを配設するパネル配設工程と、
    (e)上記建築構造部分と上記パネルの間の目地、及び、上記パネルの切欠部に対して、繊維を含有しない水硬性組成物からなるグラウト材を充填して、コンクリート建築物の補強構造を完成させるグラウト材充填工程と、
    を含むことを特徴とするコンクリート建築物の補強方法。
  4. (a’)コンクリート建築物を構成する一対の鉛直部材または一対の水平部材を含む既存の建築構造部分で囲まれた領域内に、鉛直方向に延びる補強壁を設置すべき補強壁設置領域を定める工程と、
    (b’)アンカー部材が予め収容されているパネルであって、上記アンカー部材が収容されている、当該パネルの端面に形成された第一の孔と、該第一の孔に連通しかつ該パネルの表面に開口部を形成している第二の孔とからなるアンカー用孔を有するパネルを準備するパネル準備工程と、
    (c’)上記補強壁設置領域に隣接する上記建築構造部分に、上記アンカー部材を挿入しうるアンカー部材挿入孔を形成するアンカー部材挿入孔形成工程と、
    (d’)上記補強壁設置領域に上記パネルを配設した後、上記パネルの第一の孔に収容されているアンカー部材を、上記建築構造部分に向けて移動させて、上記建築構造部分のアンカー部材挿入孔に挿入するアンカー部材挿入工程と、
    (e’)上記建築構造部分と上記パネルの間の目地、及び、上記パネルのアンカー用孔に、繊維を含有しない水硬性組成物からなるグラウト材を充填して、コンクリート建築物の補強構造を完成させるグラウト材充填工程、
    を含むことを特徴とするコンクリート建築物の補強方法。
JP2006142252A 2006-05-23 2006-05-23 コンクリート建築物の補強構造及び補強方法 Active JP4969152B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006142252A JP4969152B2 (ja) 2006-05-23 2006-05-23 コンクリート建築物の補強構造及び補強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006142252A JP4969152B2 (ja) 2006-05-23 2006-05-23 コンクリート建築物の補強構造及び補強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007314936A JP2007314936A (ja) 2007-12-06
JP4969152B2 true JP4969152B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=38849050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006142252A Active JP4969152B2 (ja) 2006-05-23 2006-05-23 コンクリート建築物の補強構造及び補強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4969152B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103122663A (zh) * 2013-01-14 2013-05-29 朱宏宇 独立围护体及其制造和安装方法
CN105464397A (zh) * 2015-11-16 2016-04-06 上海建工五建集团有限公司 一种历史保护建筑外墙既有孔洞保留加固方法
CN105863286A (zh) * 2016-04-27 2016-08-17 扬州大学 宽柱双梁结构及砌体结构托换改造方法

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009197390A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Taiheiyo Cement Corp コンクリート構造物の補強構造及び補強方法
JP2010127000A (ja) * 2008-11-27 2010-06-10 Ohbayashi Corp 既存壁の補強方法、既存壁の補強構造
KR101248509B1 (ko) 2009-06-12 2013-04-02 (주) 에센엔지니어링 Pc 패널을 이용하는 건물 리모델링 시공 방법, 및 리모델링 건물
KR100964991B1 (ko) * 2009-08-21 2010-06-21 재신건설(주) 프리캐스트 콘크리트 패널을 이용한 내진 보강방법
KR101187179B1 (ko) 2011-02-24 2012-09-28 한국기술교육대학교 산학협력단 지진하중 흡수 기능을 갖는 칸막이 벽체의 시공방법
KR101187093B1 (ko) 2011-02-24 2012-09-28 한국기술교육대학교 산학협력단 라멘 골조에 설치되는 지진하중 흡수장치
JP6018783B2 (ja) * 2012-04-17 2016-11-02 株式会社安藤・間 耐震補強構造体及び耐震補強工法
JP2015028281A (ja) * 2013-07-31 2015-02-12 太平洋プレコン工業株式会社 鉄筋補強セメント系構造体
CN103741960A (zh) * 2013-12-31 2014-04-23 江苏建筑职业技术学院 采用钢梁木板在原有建筑物上增加隔层的方法
KR101713284B1 (ko) * 2016-10-10 2017-03-07 동국대학교 산학협력단 철근콘크리트 프레임 내진 보강용 pc 벽 패널, pc 벽 패널을 이용한 철근콘크리트 프레임 내진 보강 구조 및 이의 시공 방법
CN112609969B (zh) * 2020-12-26 2023-01-10 江苏康程新材料科技有限公司 一种加强支撑柱固化保护架

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2827850B2 (ja) * 1993-11-11 1998-11-25 鹿島建設株式会社 プレキャストコンクリート壁の接合構造
JP3482621B2 (ja) * 1995-08-30 2003-12-22 清水建設株式会社 既存鉄筋コンクリート壁の補強方法
JPH10152888A (ja) * 1996-11-21 1998-06-09 Toda Constr Co Ltd プレキャスト鉄筋コンクリート部材の接続構造
JP2001059360A (ja) * 1999-08-24 2001-03-06 Shimizu Corp 耐震壁および既存建物に対する耐震補強工法
JP3639544B2 (ja) * 2001-06-28 2005-04-20 大成建設株式会社 架構補強構造

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103122663A (zh) * 2013-01-14 2013-05-29 朱宏宇 独立围护体及其制造和安装方法
CN103122663B (zh) * 2013-01-14 2014-11-05 朱宏宇 独立围护体及其制造和安装方法
CN105464397A (zh) * 2015-11-16 2016-04-06 上海建工五建集团有限公司 一种历史保护建筑外墙既有孔洞保留加固方法
CN105863286A (zh) * 2016-04-27 2016-08-17 扬州大学 宽柱双梁结构及砌体结构托换改造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007314936A (ja) 2007-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4969152B2 (ja) コンクリート建築物の補強構造及び補強方法
JP4731287B2 (ja) コンクリート建築物の補強方法
Sevil et al. Use of steel fiber reinforced mortar for seismic strengthening
Dehghani et al. Engineered cementitious composites for strengthening masonry infilled reinforced concrete frames
Amran et al. Structural behavior of axially loaded precast foamed concrete sandwich panels
CN106382016B (zh) 古老建筑复杂结构整体加固施工工艺
Muñoz et al. Experimental results on mechanical behaviour of metal anchors in historic stone masonry
JP2009203106A (ja) コンクリート躯体の曲げ補強用の高靱性ポリマーセメント、およびこの高靱性ポリマーセメントを用いたコンクリート躯体の曲げ補強工法
Liao et al. Self-Consolidating High Performance Fiber Reinforced Concrete (SCHPFRC)–Preliminary Investigation
JP4348331B2 (ja) コンクリート構造体の補強構造および補強方法
Wu et al. Internal curing effect on strength of recycled concrete and its enhancement in concrete-filled thin-wall steel tube
Refaie et al. Sustainable construction system with Egyptian metakaolin based geopolymer concrete sandwich panels
CN108301532A (zh) 一种沙漠砂轻骨料混凝土装配式剪力墙结构
CN102889003B (zh) 一种砖砌体墙增设构造柱的方法
JP5615015B2 (ja) 耐震補強構造及び耐震補強方法
JP4541244B2 (ja) 建築物の補強構造及びそれを含むコンクリート建築物
Shah et al. Study on performance evaluation of adhesive anchors in concrete
JP6757947B2 (ja) 耐震補強工法
CN107246106A (zh) 一种表面切磨成型陶粒混凝土预制墙板
JP2015028281A (ja) 鉄筋補強セメント系構造体
CN102889004B (zh) 一种砖砌体墙增设圈梁的方法
Sedghi et al. Large-scale 3D wall printing: From concept to reality
Wu et al. Seismic Behaviour of Cast‐In‐Situ Phosphogypsum‐Reinforced Concrete Grid Frame Composite Walls
Thamboo Reinforced Masonry, An Alternative to Reinforced Concrete
JP3048465B2 (ja) 型枠兼用コンクリートパネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110804

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120403

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120403

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4969152

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250