JP7093713B2 - 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン伝導性を有する高分子膜を電解質として用いる燃料電池の燃料電池用セパレータ及びその製造方法に関するものである。
固体高分子型の燃料電池は、起動時間が短く、作動温度が低いので、次世代エネルギー技術の有力候補として各方面で精力的に開発が進められている(特許文献1、2、3参照)。この固体高分子型の燃料電池は多数のセパレータが積層して使用されるが、このセパレータは、ガス分離と集電機能を発揮するので、重要な部品である。この種の燃料電池用セパレータは、図示しないが、所定の複合導電材料により平面矩形の板に成形されている。所定の複合導電材料としては、優れた機械的強度や導電性を得るため、例えば熱可塑性樹脂、黒鉛及びケッチェンブラックから選択される炭素質材料、並びにカーボンナノチューブからなり、これらが成形時に溶融して混合される。
しかしながら、従来における燃料電池用セパレータは、熱可塑性樹脂中に黒鉛やカーボンナノチューブが単に分散するに止まるので、黒鉛間のつながりに乏しく、導電性の向上を図ることが困難である。これでは、さらなる高導電性を求める近年の市場の要求に応えることは容易ではない。また、近年の燃料電池用セパレータには、燃料電池の内部抵抗を小さくするための高い導電性の他、運転時における80℃付近の熱水に対しても劣化しない機械的強度、薄型化や小型化に資するための1mm以下の薄さが要求されている。しかし、導電性、80℃付近の熱水に対する機械的強度、及び薄型化や小型化を全て向上させるのは実に困難である。
そこで、本発明者等は、上記問題に鑑み、繊維樹脂15~40質量部と、この繊維樹脂よりも導電性に優れる導電材85~60質量部とを含み、繊維樹脂が少なくとも平均繊維長1~80mmポリプロピレン繊維系を有し、導電材が粒子状導電材と繊維状導電材の少なくともいずれか一方を有する燃料電池用セパレータを開発し、提案している。
特開2005‐200620号公報 特開2003‐082247号公報 特開2003‐109622号公報
本発明者等が開発し、提案した燃料電池用セパレータは、実用上、優れた効果が期待できるが、導電性がさらに向上すれば、燃料電池の性能向上に大いに貢献することができる。導電性の向上には、導電材のさらなる添加が考えられるが、導電材を単に添加すると、燃料電池用セパレータの製造に支障を来したり、燃料電池用セパレータの組成に部分的なバラツキが生じやすくなるという大きな問題が新たに生じることとなる。また、例え導電性が向上しても、燃料電池の運転時における80℃付近の熱水により、燃料電池用セパレータが膨潤したり、機械的強度が低下するのは問題である。
本発明は上記に鑑みなされたもので、製造や組成の部分的なバラツキを防ぎながら導電性を向上させることができ、しかも、燃料電池の運転時における80℃付近の熱水に対しても劣化しない耐久性を有する燃料電池用セパレータ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、対向する一対の複合シートの間に樹脂組成物が挟まれるものであって、
複合シートは、少なくともポリオレフィン系樹脂繊維を含有する繊維樹脂と、この繊維樹脂よりも優れた導電性の導電材とを含み、この導電材が粒子状導電材と繊維状導電材とを含有しており、
樹脂組成物は、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレートが1g/10min以上の空隙抑制樹脂と、少なくとも粒子状導電材を有する粒子含有導電材とを含み、空隙抑制樹脂よりも粒子含有導電材を質量比で多く含有しており、
一対の複合シートと樹脂組成物とが溶着して一体化されることを特徴としている。
なお、複合シートの繊維樹脂には、アラミド系樹脂繊維を含有することができる。
また、複合シートの繊維樹脂は、平均繊維長が0.5mm以上80mm以下であることが好ましい。
また、複合シートの繊維樹脂のポリオレフィン系樹脂繊維は、ポリプロピレン系樹脂繊維とポリエチレン系樹脂繊維の少なくともいずれか一方であることが好ましい。
また、複合シートの導電材は、粒子状導電材が黒鉛粒子であり、繊維状導電材が炭素繊維であることが好ましい。
また、複合シートの導電材の粒子状導電材は、平均粒子径が3μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粒子と人造黒鉛粒子の少なくともいずれか一方であると良い。
また、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を3質量部以上40質量部以下、及び粒子含有導電材を60質量部以上97質量部以下含むと良い。
また、樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、熱可塑性樹脂であると良い。
また、樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、平均粒子径が10μm以上500μm以下の粒子状のポリプロピレン系樹脂あるいはポリエチレン系樹脂であることが望ましい。
また、樹脂組成物の粒子含有導電材の粒子状導電材は、平均粒子径が1μm以上200μm以下の黒鉛粒子であることが望ましい。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし10のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
金型に、一対の複合シートと樹脂組成物とをインサートして一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟み、金型を型締めして加圧加熱することにより、燃料電池用セパレータを成形することを特徴としている。
なお、金型に、一枚の複合シートと樹脂組成物とをインサートし、樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ねることにより、対向する一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟むことができる。
また、金型に、樹脂組成物と一枚の複合シートとをインサートするとともに、金型を型締めして加圧加熱することにより、積層中間体を成形し、金型から積層中間体を脱型して反転し、この積層中間体を金型にインサートしてその樹脂組成物を露出させ、その後、積層中間体の樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ねることで、積層中間体の複合シートと複合シートとの間に樹脂組成物を挟むこともできる。
ここで、特許請求の範囲における複合シートは、繊維樹脂、導電材である粒子状導電材、導電材である繊維状導電材、及びアラミド系樹脂繊維を液体中で混合分散してスラリーを作製し、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製するとともに、この混合物をシート製造機によりシートに形成して繊維樹脂の融点未満の温度で加圧加熱し、その後、シートを乾燥させることにより、製造することができる。複合シートの導電材には、少なくとも各種の炭素系材料が含まれる。また、樹脂組成物は、樹脂と導電材とを混合又は溶融混練した粉末形態でも良いし、成形された板形態でも良い。
メルトフローレート(MFR)とは、溶液状態にある樹脂の流動性を示す尺度の一つであり、メルトインデックスとも言う。このメルトフローレートを測定する場合には、JIS K7210‐1に基づき、円筒形の押出式プラストメーターに投入した樹脂を一定の温度で加熱・加圧し、押出式プラストメーターの底の開口部から10分間に押出された樹脂量を測定する。メルトフローレートの値が大きいほど、溶融時の樹脂の流動性や加工性は良好とされる。
本発明によれば、対向する一対の複合シートの間に、粒子含有導電材を有する樹脂組成物が介在し、燃料電池用セパレータが単層構造ではなく、多層構造化されて強度が増すので、燃料電池用セパレータの損傷を抑制し、厚みムラを防ぎながら導電性を向上させることができる。
本発明によれば、燃料電池用セパレータの製造や組成の部分的なバラツキを防ぎながら導電性を向上させることができ、しかも、燃料電池の運転時における80℃付近の熱水に対しても劣化しない耐久性を確保することができるという効果がある。また、繊維樹脂に少なくともポリオレフィン系樹脂繊維を含有するので、繊維樹脂を安価に、かつ容易に入手することができる。また、繊維樹脂のポリオレフィン系樹脂繊維は、高分子主鎖に芳香族環構造のような剛直な構造を有さず、比較的柔らかいので、燃料電池用セパレータの可撓性や成形性を向上させることができる。
また、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定した空隙抑制樹脂のメルトフローレートが1g/10min以上なので、燃料電池用セパレータの成形時に導電材中に空隙抑制樹脂が適切に流入し、燃料電池用セパレータの内部の空隙を減少させ、導電経路の欠落を防止し、導電性の向上に資することができる。さらに、燃料電池用セパレータの内部の空隙の減少により、機械的強度の向上が期待できる。
請求項2記載の発明によれば、繊維樹脂にアラミド系樹脂繊維を含むので、繊維樹脂同士等を適切に絡め、繊維樹脂を補強することが可能となる。また、繊維樹脂に耐熱性、強度、耐薬品性等を付与し、燃料電池用セパレータの品質を向上させたり、燃料電池用セパレータの材料組成を略均一化することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、繊維樹脂の平均繊維長が0.5~80mmの範囲内なので、分散性が向上して燃料電池用セパレータの製造時に全体の組成が均一化し、部分的な物性や導電性の相違の減少が期待できる。
請求項4記載の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂繊維がポリプロピレン系樹脂繊維とポリエチレン系樹脂繊維の少なくともいずれか一方なので、安価で入手しやすく、しかも、燃料電池用セパレータに必要な耐食性を簡易に付与することが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、複合シートの導電材の粒子状導電材が黒鉛粒子であり、繊維状導電材が炭素繊維なので、燃料電池用セパレータの導電性と機械的強度とを共に向上させることができる。また、粒子状導電材が黒鉛粒子なので、導電材の組成や形状の制御が容易となる。また、繊維状導電材が炭素繊維なので、燃料電池用セパレータの耐久性の低下のおそれが低減する。加えて、優れた耐熱性や機械的強度を得ることができ、軽量化も期待できる。
請求項6記載の発明によれば、複合シートの導電材の粒子状導電材が、平均粒子径3μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粒子と人造黒鉛粒子の少なくともいずれか一方なので、複合シートの製造時に複合シートから導電材が脱落するのを防止したり、燃料電池用セパレータの高導電化に寄与することができる。また、燃料電池の性能を阻害する金属不純物を省略することができる。また、粒子状導電材が膨張化黒鉛粒子の場合には、優れた導電性を得ることができ、しかも、膨張化黒鉛粒子間の隙間を塞いで所定の液体の液漏れを防ぐことが可能となる。
請求項7記載の発明によれば、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を3質量部以上40質量部以下、及び粒子含有導電材を60質量部以上97質量部以下含むので、燃料電池用セパレータに実用上問題のない機械的強度と導電性を容易に付与することが可能となる。
請求項8記載の発明によれば、樹脂組成物の空隙抑制樹脂が熱可塑性樹脂なので、燃料電池用セパレータの成形時に空隙抑制樹脂の流動性を適切に確保し、樹脂組成物の均一化に寄与し、部分的な相違の減少を図ることができる。
請求項9記載の発明によれば、空隙抑制樹脂が、平均粒子径10μm以上500μm以下の粒子状のポリプロピレン系樹脂あるいはポリエチレン系樹脂なので、樹脂組成物の空隙抑制樹脂と粒子含有導電材との分散性がさらに向上し、燃料電池用セパレータの組成の均一化が期待できる。
請求項10記載の発明によれば、樹脂組成物の粒子含有導電材の粒子状導電材が、平均粒子径1μm以上200μm以下の黒鉛粒子なので、例え燃料電池用セパレータの厚さが1mm未満の場合でも、優れた導電性を得ることができ、しかも、導電経路の損失の抑制を図ることができる。
請求項11記載の発明によれば、金型中の一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟み、金型を型締めして加圧加熱することで、燃料電池用セパレータを成形するので、燃料電池用セパレータの厚さムラを低減することが可能となる。
請求項12記載の発明によれば、一枚の複合シートと樹脂組成物とをインサートした後、樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ね、対向する一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟むので、複合シートに粉末の樹脂組成物を均一にならして配置することができる。また、飛び散り易い粉末の樹脂組成物を用いるのではなく、板体の樹脂組成物を用いれば、作業環境の汚染防止と量産性の向上が期待できる。
請求項13記載の発明によれば、成形した積層中間体の樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ねることで、積層中間体の複合シートと複合シートとの間に樹脂組成物を挟むので、燃料電池用セパレータの製造の多様化が期待できる。また、例え使用する一対の複合シートの厚さにバラツキが存在しても、高精度の厚さを有する燃料電池用セパレータを得ることが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における燃料電池用セパレータは、相対向する一対の複合シートと、この一対の複合シートの間に介在して挟持される樹脂組成物とを備えた厚さ1mm未満の薄いセパレータであり、一対の複合シートと樹脂組成物とが金型を用いた加圧加熱成形により、溶着して一体化される。
燃料電池用セパレータは、薄型化の観点から、矩形波が連続した断面略波形に成形され、厚さが1mm以下とされており、周縁部に、燃料電池の他の構成部材との接続用の接続口が複数穿孔される。この燃料電池用セパレータは、断面略波形に成形されることで、一対の複合シートの表裏両面に、所定の液体やガスを流通させる流路がそれぞれ複数配設され、この複数の流路が流路構造の複合化に資する観点から、周縁部を除く略中央部にサーペンタイン形に屈曲して配列されており、各流路が連続した断面略U字形に凹み形成される。燃料電池用セパレータは、断面略波形に成形される他、必要に応じ、溝付き流路に形成される。
各複合シートは、熱可塑性樹脂繊維を含有する繊維樹脂と、この繊維樹脂よりも優れた導電性の導電材とを含み、グラビア印刷法等の所定の印刷法により平面矩形のシートに形成される。この複合シートは、厚さ1mm未満の燃料電池用セパレータが製造される場合、坪量が50~500g/m2、好ましくは70~300g/m2、より好ましくは80~250g/m2が良い。また、厚さ1mm未満の燃料電池用セパレータが製造される場合、薄型化の観点から、厚さが0.1mm以上5mm未満、好ましくは0.1mm以上3mm未満が良い。
複合シートの繊維樹脂と導電材とは、繊維樹脂よりも導電材が質量比で多く含有され、繊維樹脂中に導電材が分散する。これは、繊維樹脂よりも導電材が質量比で多く含有されれば、導電性を向上させることができる他、実用上問題の無い導電性や機械的強度を確保することができるからである。繊維樹脂と導電材の具体的な配合比率は、質量比で10~40:60~90、好ましくは15~30:70~85が良い。
繊維樹脂は、熱可塑性樹脂繊維、具体的には少なくとも比較的融点の低いポリオレフィン系樹脂繊維を含有し、ポリオレフィン系樹脂繊維が入手が容易なポリプロピレン(PP)系樹脂繊維とポリエチレン(PE)系樹脂繊維の少なくともいずれか一方であるのが好ましい。
繊維樹脂が熱可塑性樹脂繊維なのは、成形時に適切な流動性を満たすことができ、必要があれば、再度加熱することにより、再び熱可塑性樹脂繊維が溶融し、成形が可能となるからである。また、ポリオレフィン系樹脂繊維を採用したのは、高分子主鎖に環構造を有するような剛直な樹脂ではなく、比較的柔軟なので、燃料電池用セパレータの可撓性や柔軟性に寄与するからである。さらに、ポリオレフィン系樹脂繊維は、耐薬品性や耐水性に優れるので、樹脂界面の接着劣化や樹脂の分解に起因する燃料電池用セパレータの内部の空隙発生を抑制することができるからである。
繊維樹脂の平均繊維長は、0.5mm以上80mm以下、好ましくは1mm以上80mm以下、より好ましくは1mm以上50mm以下、さらに好ましくは2mm以上20mm以下が最適である。これは、平均繊維長が0.5mm以上80mm以下であれば、複合シートの製造時の分散性が向上し、機械的強度や導電性のバラツキを抑制することができるという理由に基づく。また、繊維樹脂の繊維径は、複合シートの製造時の分散性を向上させる観点から、1μm以上60μm以下が最適である。
繊維樹脂は、ポリオレフィン系樹脂繊維の他、必要に応じ、アラミド系繊維樹脂を選択的に含有する。このアラミド系繊維樹脂は、例えばパラ系やメタ系の各単独、あるいはこれらを任意の組成比で混合した平均繊維長が1mm以上80mm以下、好ましくは2mm以上20mm以下の繊維樹脂からなり、燃料電池用セパレータの製造時に繊維樹脂と導電材、繊維樹脂同士を適切に縺れさせ、繊維樹脂を補強するよう機能する。このアラミド系繊維樹脂は、パルプ状やカットファイバー状等、いかなる形状等でも良いが、繊維樹脂と導電材とを適切に縺れさせる観点からすると、表面が毛羽だったパルプ状が好適である。
アラミド系繊維樹脂は、導電性に特に資するものではないので、1質量部以上7質量部以下程度添加されれば良い。このようなアラミド系繊維樹脂は、他の繊維樹脂を補強するが、補強機能に止まらず、繊維樹脂に耐熱性、強度、耐薬品性を付与することにより、燃料電池用セパレータの品質に資するよう機能する。
複合シートの導電材は、粒子状導電材と繊維状導電材とを含有する。粒子状導電材は、耐食性を確保する観点から、黒鉛粒子とされる。この粒子状導電材の黒鉛粒子は、特に限定されるものではなく、例えば膨張化黒鉛粒子、人造黒鉛粒子、鱗片状黒鉛、球状黒鉛、又はこれらが組み合わせて併用される。
これらの中では、優れた導電性を得る観点から、膨張化黒鉛粒子と人造黒鉛粒子の少なくともいずれか一方の採用が望ましい。また、粒子状導電材の黒鉛粒子の平均粒子径は、複合シートの製造時に黒鉛粒子が脱落するのを防止する観点から、3μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは15μm以上250μm以下が最適である。
導電材の繊維状導電材は、燃料電池用セパレータの面方向の導電性に寄与し、燃料電池用セパレータに機械的強度を付与するよう機能する。この繊維状導電材は、機械的強度、導電性、耐食性を得る観点から、炭素繊維が選択される。炭素繊維は、特に限定されるものではないが、例えばPAN系、ピッチ系、フェノール系、レーヨン系、又はこれらの組み合わせ等があげられる。これらの中では、燃料電池用セパレータの可撓性と強度とを共に向上させる観点から、PAN系の炭素繊維が最適である。
繊維状導電材の平均繊維長は、一枚の複合シートを単独で加熱圧縮成形した際の成形品の厚みよりも長いことが好ましい。これは、機械的強度に寄与する面方向に繊維状導電材が並びやすくなるという理由に基づく。繊維状導電材の具体的な平均繊維長は、複合シートの良好な分散性と強度を確保する観点から、0.5mm以上80mm以下、好ましくは1mm以上20mm以下が良い。また、繊維状導電材の具体的な繊維径は、0.5μm以上50μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下が好適である。
樹脂組成物は、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10min以上の空隙抑制樹脂と、少なくとも粒子状導電材を有する粒子含有導電材とを含む組成物であり、相対向する一対の複合シートの対向面に加熱溶着される。この樹脂組成物は、空隙抑制樹脂よりも粒子含有導電材を質量比で多く含有するが、具体的には、空隙抑制樹脂を3質量部以上40質量部以下含み、粒子含有導電材を60質量部以上97質量部含有する。
空隙抑制樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きい熱可塑性樹脂、例えば平均粒子径が10μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下の粒子状のポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)系樹脂、あるいは低密度ポリエチレン(LDPE)系樹脂が採用される。
これは、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレートが1g/10minよりも大きければ、燃料電池用セパレータの成形時に導電材中に空隙抑制樹脂が適切に流入し、燃料電池用セパレータの内部の空隙を減少させ、導電経路の欠落を防止し、導電性の向上に資するからである。また、燃料電池用セパレータの内部の空隙が多いと、成形品の膨潤が発生し、燃料電池用セパレータの厚み精度や導電性が悪化するおそれがあるが、これらを防止することができるからである。さらに、燃料電池用セパレータの内部の空隙の減少により、機械的強度の向上が期待できるからである。
空隙抑制樹脂のメルトフローレートは、導電材量が増加するほど、大きい値のほうが導電材間に流入し易くなるという特徴を有する。メルトフローレートは、空隙抑制樹脂の乾燥状態(吸水量)や空隙抑制樹脂に対する添加物の添加量によっても変動するが、例えばポリプロピレン樹脂の場合には、3~60、好ましくは3~55の値となる。
空隙抑制樹脂が粒子状の場合、空隙抑制樹脂の平均粒子径と粒子含有導電材の粒子状導電材の平均粒子径の差は、300μm以内、好ましくは200μm以内が最適である。これは、平均粒子径の差が300μm以内であれば、分散性が向上し、燃料電池用セパレータの機械的強度や導電性の部分的なバラツキが小さくなるという理由に基づく。加えて、樹脂組成物をスクレーバ等でならす場合、作業の容易化が期待できるという理由に基づく。
粒子状導電材は、平均粒子径が1μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは20μm以上80μm以下の黒鉛粒子が使用され、この黒鉛粒子が燃料電池用セパレータの厚み方向の導電性に資するよう機能する。この黒鉛粒子は、特に限定されるものではないが、例えば膨張化黒鉛粒子、人造黒鉛粒子、鱗片状黒鉛、球状黒鉛、又はこれらが組み合わせて併用される。これらの中では、優れた導電性を得るため、膨張化黒鉛粒子と人造黒鉛粒子の少なくともいずれか一方が採用される。
上記構成において、燃料電池用セパレータを製造する場合には、先ず、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、予め製造しておいた一枚の複合シートと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならす。この際、1mm未満の燃料電池用セパレータを製造する場合には、複合シート上に粉末の樹脂組成物を単位面積(1/cm2)当たり、0.01g以上0.5g、好ましくは0.01g以上0.3g程度載せると良い。
こうして粉末の樹脂組成物を平らにならしたら、樹脂組成物に残り一枚の複合シートを重ねることにより、相対向する複数枚の複合シートの間に粉末の樹脂組成物を挟み、金型の下型に上型を型締めして加圧加熱することで、燃料電池用セパレータを圧縮成形し、その後、金型を冷却して燃料電池用セパレータを脱型すれば、三層構造の燃料電池用セパレータを製造することができる。製造された燃料電池用セパレータは、面方向の体積抵抗値が8mΩ・cm以下であるのが好ましく、厚み方向の体積抵抗値が150mΩ・cm以下が良い。
上記によれば、相対向する一対の複合シートの間に、粒子含有導電材を有する樹脂組成物を挟持させた三層構造の高強度の燃料電池用セパレータを製造するので、燃料電池用セパレータの製造時における損傷を防止し、部分的な組成のバラツキを防ぎながら導電性を著しく向上させることができる。また、耐性を大幅に向上させることができるので、例え導電性が向上しても、燃料電池の運転時における80℃程度やそれ以下の温度の熱水に対する機械的強度の低下を防止することができる。
なお、上記実施形態では型開きした金型に複合シート、粉末の樹脂組成物、複合シートを順次インサートしたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、金型の下型に複合シート、平面矩形の板に成形された樹脂組成物、及び複合シートを順次インサートし、一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟持させても良い。この実施形態の場合、飛散し易い粉末の樹脂組成物を用いるのではなく、板体の樹脂組成物を用いるので、作業環境の汚染防止と量産性の向上とが大いに期待できる。
また、型開きした金型の下型に、粉末の樹脂組成物と一枚の複合シートとを順次インサートするとともに、金型を型締めして加圧加熱することにより、積層中間体を成形し、型開きした金型から積層中間体を脱型して表裏反転し、この積層中間体を型開きした金型の下型に再度インサートしてその樹脂組成物を露出させ、その後、積層中間体の樹脂組成物に複合シートの残り一枚を重ねることで、積層中間体の複合シートと複合シートとの間に樹脂組成物を挟持させても良い。この実施形態の場合、例え使用する一対の複合シートの厚さにバラツキが存在しても、高精度の厚さの燃料電池用セパレータを得ることができる。
以下、本発明に係る燃料電池用セパレータ及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリプロピレン繊維25質量部、導電材の粒子状導電材として、膨張化黒鉛粒子60質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維10質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
ポリプロピレン繊維〔製品名:J105H 株式会社プライムポリマー製〕は、融点166℃、平均繊維径20μm、平均繊維長5mmの長さにカットした短繊維を使用した。このポリプロピレン繊維は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が12の樹脂である。
膨張化黒鉛粒子は、平均粒子径が200μmのBSP‐200A〔製品名 富士黒鉛工業株式会社製〕を使用した。また、炭素繊維は、炭素繊維トレカ〔(登録商標) 東レ株式会社製〕のカットファイバーT008‐003(繊維φ7μm、カット長3mm)を使用した。アラミド繊維は、長さ3mmのケプラーカットファイバー〔製品名:Kevlar(登録商標) 東レ・デュポン株式会社製〕とした。
なお、繊維樹脂は、公知の溶融紡糸法等により、樹脂(製品名)を繊維化してカットしたものである。この点については、全ての実施例と比較例で同様である。
固形分3%のスラリーを作製したら、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製し、この混合物をメッシュ構造の15cm角のシート機により抄紙シートに形成し、抄紙シートを100℃に加熱したプレス機にセットして約200kg/cm2の圧力で約5分間加熱加圧し、その後、抄紙シートを乾燥させて水分を除去することにより、ポリプロピレン繊維に膨張化黒鉛粒子と炭素繊維とが均一に分散して絡んだ厚さ0.7mm,坪量100g/m2の複合シートAを必要数製造した。凝集剤は、カチオン系ポリアクリル酸ソーダ0.001質量部と、アニオン系ポリアクリル酸ソーダ0.00001質量部とからなる添加物とした。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートAと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートAの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。
樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を10質量部、及び粒子含有導電材を90質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表2に示すように、ポリプロピレン樹脂〔製品名:J105G プライムポリマー株式会社製〕を冷凍粉砕して32メッシュの篩を通過した樹脂を用いた。このポリプロピレン樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が8の樹脂である。また、粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
次いで、樹脂組成物に残り一枚の複合シートAを重ねることにより、相対向する複数枚の複合シートAの間に粉末の樹脂組成物を挟み、残り一枚の複合シートAに金型の上型を搭載するとともに、200℃の温度に設定した金型を20MPaで強く型締めして加圧加熱し、上下の熱板の温度が30℃の冷却用の圧縮成形機に直ちに移載し、金型の温度が80℃以下になるまで加圧冷却することにより、燃料電池用セパレータを圧縮成形した。
燃料電池用セパレータを圧縮成形したら、金型から燃料電池用セパレータを脱型し、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
次に、製造した燃料電池用セパレータの機械的強度である初期の引張強度、80℃の熱水浸漬試験をそれぞれ実施して表6にまとめた。また、燃料電池用セパレータの導電性として、面方向の体積抵抗値と厚み方向の体積抵抗値とをそれぞれ測定して表6にまとめた。さらに、燃料電池用セパレータの厚み精度や割れ発生の有無、換言すれば、柔軟性や強度についても、試験を実施して表6にまとめた。
・初期の引張強度
燃料電池用セパレータの初期の引張強度については、JIS K6251に基づき、燃料電池用セパレータを1号ダンベル試験片に打ち抜き、RTC‐1310A〔製品名 株式会社オリエンテック製〕を使用し、引張速度10mm/minの条件で引張試験を実施してその測定値を初期の引張強度値とした。
・80℃の熱水浸漬試験
燃料電池用セパレータを1号ダンベル試験片に打ち抜き、12.5cm×2.5cmの割れ発生確認用の試験片、抵抗値及び厚み測定用の試験片を耐熱圧容器〔製品名:TAF‐SR300型 耐圧硝子工業株式会社製〕にそれぞれ投入するとともに、各試験片の総重量11倍の量のイオン交換水を加えて浸漬させ、耐圧容器を80℃の恒温乾燥機器内にセットし、その後、100時間経過後に取り出して試験片の特性を測定した。
・面方向の体積抵抗値
燃料電池用セパレータの面方向の体積抵抗値は、四端子四探針法により測定した。具体的には、15cm×15cmの燃料電池用セパレータから5cm×5cmの大きさの試験片を9枚切り出し、各試験片の体積抵抗値を測定機である低抵抗率計〔製品名:ロレスタGP MCP‐T610 三菱化学株式会社製〕により測定し、測定した値の平均値を面方向の体積抵抗値とした。
・厚み方向の体積抵抗値
燃料電池用セパレータの厚み方向の体積抵抗値については、先ず、15cm×15cmの燃料電池用セパレータから5cm×2.5cmの大きさの試験片を切り出し、この試験片をガラス管の間に挟んだ。ガラス管は、φ1cmのガラスU字管の屈曲した底部が切断され、この切断された底部に螺子穴付きのホルダが接着されたタイプとした。
試験片をガラス管の間に挟んだら、試験片とガラス管の両側部との間から水銀が漏れないよう螺子で固定し、ガラス管の両側部に水銀を一定量注入するとともに、水銀と用意した抵抗計〔日置電機株式会社製〕とを用意したリード線で接続し、導通するよう厚み方向の測定値を測定した後、以下の式で厚み方向の体積抵抗値に換算した。
厚み方向の体積抵抗値〔mΩ・cm〕=厚み方向の抵抗値〔mΩ〕×0.5〔cm〕×0.5〔cm〕×π÷試験片の厚み〔cm〕
厚み方向の抵抗値は、面方向の体積抵抗値を測定した5cm×5cmの試験片を半分に切断して5cm×2.5cmの大きさの試験片を複数枚形成し、この複数枚の試験片の厚み方向の抵抗値をそれぞれ測定し、上記式で体積抵抗値に換算した値の平均値とした。
厚みの測定は、5cm×2.5cmの大きさの試験片を25枚形成し、各試験片の厚みを80℃の熱水の浸漬前後で測定器〔製品名:ID‐CX 株式会社ミツトヨ製〕により測定し、測定した値の平均値とした。
・燃料電池用セパレータの厚み精度
燃料電池用セパレータの厚み精度については、厚みを分割して測定した場合に、
○:測定したときのRange(厚みの最大値-最小値)が0.04mm以内であると

×:測定したときのRange(厚みの最大値-最小値)が0.05mm以上であると

として評価した。
・燃料電池用セパレータの割れ発生の有無
燃料電池用セパレータの割れ発生の有無、換言すれば、柔軟性や強度については、成形した燃料電池用セパレータから12.5×2.5cmの試験片を切り出し、この試験片を折り曲げた場合の割れや破れの有無を目視で評価することとした。
〔実施例2〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例1の複合シートAをそのまま採用した。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートAと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。
樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を10質量部、及び粒子含有導電材を90質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表2に示すように、15μmのポリエチレン樹脂〔製品名:LDPE フローセンUF20S 住友精化株式会社製〕を使用した。
ポリエチレン樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が40の樹脂である。また、粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を用いた。
その他は実施例1と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例3〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例1の複合シートAをそのまま採用した。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートAと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。
樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を10質量部、及び粒子含有導電材を90質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表2に示すように、低密度ポリエチレン樹脂〔製品名:LDPE SP5080P プライムポリマー株式会社製〕を用いた。
低密度ポリエチレン樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が230の樹脂である。また、粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を用いた。
その他は実施例1と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例4〕
基本的には実施例1と同様だが、樹脂組成物を変更した。すなわち、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を20質量部、及び粒子含有導電材を80質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表2に示すように、ポリプロピレン樹脂〔製品名:PP PL500A サンアロマー株式会社製〕を冷凍粉砕して32メッシュの篩を通過した樹脂を用いた。
ポリプロピレン樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が3の樹脂である。また、粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔実施例5〕
基本的には実施例1と同様に燃料電池用セパレータを製造したが、樹脂組成物を変更した。すなわち、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を20質量部、及び粒子含有導電材を80質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表2に示すように、ポリプロピレン樹脂〔製品名:PP J105G プライムポリマー株式会社製〕を用いた。また、粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔実施例6〕
基本的には実施例5と同様に燃料電池用セパレータを製造したが、粒子含有導電材を変更した。粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が50μmの球状黒鉛粒子〔製品名:CGB50 日本黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔実施例7〕
基本的には実施例5と同様に燃料電池用セパレータを製造したが、粒子含有導電材を変更した。粒子含有導電材は、表2に示すように、平均粒子径が20μmの膨張化黒鉛粒子〔製品名:BSP‐20A 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔実施例8〕
基本的には実施例5と同様に燃料電池用セパレータを製造したが、粒子含有導電材を変更した。粒子含有導電材は、表3に示すように、平均粒子径が80μmの鱗状黒鉛粒子〔製品名:CB‐100 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔実施例9〕
基本的には実施例4と同様だが、樹脂組成物の配合比率を変更した。すなわち、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を35質量部、及び粒子含有導電材を65質量部含む組成物7.5gとした。
〔実施例10〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリプロピレン繊維20質量部、導電材の粒子状導電材として、膨張化黒鉛粒子70質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維5質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
ポリプロピレン繊維〔製品名:J105H 株式会社プライムポリマー製〕は、融点166℃、平均繊維径20μm、平均繊維長5mmの長さにカットした短繊維を使用した。このポリプロピレン繊維は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が12の樹脂である。
膨張化黒鉛粒子は、平均粒子径が20μmのBSP‐20A〔製品名 富士黒鉛工業株式会社製〕に変更した。炭素繊維は、炭素繊維トレカ〔(登録商標) 東レ株式会社製〕のカットファイバーT008‐003(繊維φ7μm、カット長3mm)を使用した。また、アラミド繊維は、長さ3mmのケプラーカットファイバー〔製品名:Kevlar(登録商標) 東レ・デュポン株式会社製〕とした。
固形分3%のスラリーを作製したら、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製し、この混合物をメッシュ構造の15cm角のシート機により抄紙シートに形成し、抄紙シートを100℃に加熱したプレス機にセットして約200kg/cm2の圧力で約5分間加圧加熱し、その後、抄紙シートを乾燥させて水分を除去することにより、ポリプロピレン繊維に膨張化黒鉛粒子と炭素繊維とが均一に分散して絡んだ厚さ0.7mm,坪量100g/m2の複合シートBを必要数製造した。凝集剤は、カチオン系ポリアクリル酸ソーダ0.001質量部と、アニオン系ポリアクリル酸ソーダ0.00001質量部とからなる添加物とした。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートBと実施例1の粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートBの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を6質量部、及び粒子含有導電材を94質量部含む組成物7.5gとした。
その他の部分については実施例1と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例11〕
燃料電池用セパレータの複合シートについては、複合シートBをそのまま採用した。
また、基本的には実施例2と同様だが、樹脂組成物の配合比率を変更した。すなわち、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を6質量部、及び粒子含有導電材を94質量部含む組成物7.5gとした。
その他の部分については実施例2と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例12〕
燃料電池用セパレータの複合シートについては、複合シートBをそのまま採用した。
その他の部分については実施例9と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例13〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリプロピレン繊維15質量部、導電材の粒子状導電材として、人造黒鉛粒子70質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維10質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
ポリプロピレン繊維〔製品名:J105H 株式会社プライムポリマー製〕は、融点166℃、平均繊維径20μm、平均繊維長5mmの長さにカットした短繊維を使用した。このポリプロピレン繊維は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が12の樹脂である。
人造黒鉛粒子は、平均粒子径が45μmのJSG‐75S〔製品名 富士黒鉛工業株式会社製〕に変更した。炭素繊維は、炭素繊維トレカ〔(登録商標) 東レ株式会社製〕のカットファイバーT008‐003(繊維φ7μm、カット長3mm)をそのまま使用した。また、アラミド繊維は、長さ3mmのケプラーカットファイバー〔製品名:Kevlar(登録商標) 東レ・デュポン株式会社製〕とした。
スラリーを作製したら、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製し、この混合物をメッシュ構造の15cm角のシート機により抄紙シートに形成し、抄紙シートを100℃に加熱したプレス機にセットして約200kg/cm2の圧力で約5分間加圧加熱し、その後、抄紙シートを乾燥させて水分を除去することにより、ポリプロピレン繊維に膨張化黒鉛粒子と炭素繊維とが均一に分散して絡んだ厚さ0.7mm,坪量100g/m2の複合シートCを必要数製造した。
凝集剤は、カチオン系ポリアクリル酸ソーダ0.001質量部と、アニオン系ポリアクリル酸ソーダ0.00001質量部とからなる添加物とした。
その他の部分については実施例1と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例14〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例13の複合シートCをそのまま採用した。
その他の部分については実施例3と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例15〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例13の複合シートCをそのまま採用した。
その他の部分については実施例2と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例16〕
燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリエチレン繊維25質量部、導電材の粒子状導電材として、膨張化黒鉛粒子60質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維10質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
ポリエチレン繊維〔製品名:フローセンM13152N 住友精化株式会社製〕は、平均繊維径18μm、平均繊維長3mmの長さにカットし、溶融紡糸法により繊維化した後、カットした短繊維を使用した。このポリプロピレン繊維は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が7の樹脂である。
膨張化黒鉛粒子は、平均粒子径が200μmのBSP‐200A〔製品名 富士黒鉛工業株式会社製〕に変更した。炭素繊維は、炭素繊維トレカ〔(登録商標) 東レ株式会社製〕のカットファイバーT008‐003(繊維φ7μm、カット長3mm)をそのまま使用した。また、アラミド繊維は、長さ3mmのケプラーカットファイバー〔製品名:Kevlar(登録商標) 東レ・デュポン株式会社製〕とした。
スラリーを作製したら、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製し、この混合物をメッシュ構造の15cm角のシート機により抄紙シートに形成し、抄紙シートを100℃に加熱したプレス機にセットして約200kg/cm2の圧力で約5分間加圧加熱し、その後、抄紙シートを乾燥させて水分を除去することにより、ポリプロピレン繊維に膨張化黒鉛粒子と炭素繊維とが均一に分散して絡んだ厚さ0.7mm,坪量100g/m2の複合シートDを必要数製造した。凝集剤は、カチオン系ポリアクリル酸ソーダ0.001質量部と、アニオン系ポリアクリル酸ソーダ0.00001質量部とからなる添加物とした。
その他の部分については実施例2と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔実施例17〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例16の複合シートDをそのまま採用した。
その他の部分については実施例3と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔比較例1〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例1の複合シートAをそのまま採用した。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートAと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートAの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。
樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を省略し、粒子含有導電材を100質量部のみを含む組成物7.5gとした。粒子含有導電材は、表5に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を用いた。
次いで、樹脂組成物に残り一枚の複合シートAを重ねることにより、相対向する複数枚の複合シートAの間に粉末の樹脂組成物を挟み、残り一枚の複合シートAに金型の上型を搭載するとともに、220℃の温度に設定した金型を20MPaで強く型締めして加圧加熱し、上下の熱板の温度が30℃の冷却用の圧縮成形機に直ちに移載し、金型の温度が80℃以下になるまで加圧冷却することにより、燃料電池用セパレータを圧縮成形した。
燃料電池用セパレータを圧縮成形したら、金型から燃料電池用セパレータを脱型し、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
次に、製造した燃料電池用セパレータの機械的強度である初期の引張強度、80℃の熱水浸漬試験をそれぞれ実施して表9に記載した。また、燃料電池用セパレータの導電性として、面方向の体積抵抗値と厚み方向の体積抵抗値とをそれぞれ測定して表9に記載した。燃料電池用セパレータの厚み精度や割れ発生の有無についても、試験を実施してその結果を表9に記載した。
〔比較例2〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例1の複合シートAをそのまま採用した。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一枚の複合シートAと粉末の樹脂組成物とを順次インサートし、その後、粉末の樹脂組成物にスクレーバを接触させて水平に移動させ、複合シートAの表面上で粉末の樹脂組成物をスクレーバで均一にならして平坦化した。
樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を20質量部、及び粒子含有導電材を80質量部含む組成物7.5gとした。この樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、表5に示すように、300μmのポリプロピレン樹脂〔製品名:QB200 50P 住友精化株式会社製〕を用いた。このポリプロピレン樹脂は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が0.4の樹脂である。また、粒子含有導電材は、表5に示すように、平均粒子径が45μmの人造黒鉛粒子〔製品名:JSG‐75S 富士黒鉛工業株式会社製〕を採用した。
〔比較例3〕
燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例16、17の複合シートDに変更した。
その他の部分については比較例2と同様とし、15cm×15cm、厚さ0.30~0.33mmの燃料電池用セパレータを製造した。
〔比較例4〕
燃料電池用セパレータの複合シートについては、実施例16、17の複合シートDに変更した。
その他は比較例3と同様に燃料電池用セパレータを製造したが、樹脂組成物を変更した。すなわち、樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を10質量部、及び粒子含有導電材を90質量部含む組成物7.5gとした。
〔比較例5〕
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリプロピレン繊維5質量部、導電材の粒子状導電材として、膨張化黒鉛粒子80質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維10質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
先ず、燃料電池用セパレータの複合シートを製造すべく、繊維樹脂として、ポリプロピレン繊維25質量部、導電材の粒子状導電材として、膨張化黒鉛粒子60質量部、導電材の繊維状導電材として、炭素繊維10質量部、及びアラミド系樹脂繊維として、アラミド繊維5質量部を用意(表1参照)し、これらを水中で混合分散して固形分3%のスラリーを作製した。
ポリプロピレン繊維〔製品名:J105H 株式会社プライムポリマー製〕は、融点166℃、平均繊維径20μm、平均繊維長5mmの長さにカットした短繊維を使用した。このポリプロピレン繊維は、JIS K7210‐1に基づき、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10minよりも大きく、MFR値が12の樹脂である。
膨張化黒鉛粒子は、平均粒子径が200μmのBSP‐200A〔製品名 富士黒鉛工業株式会社製〕を使用した。炭素繊維は、炭素繊維トレカ〔(登録商標) 東レ株式会社製〕のカットファイバーT008‐003(繊維φ7μm、カット長3mm)を使用した。また、アラミド繊維は、長さ3mmのケプラーカットファイバー〔製品名:Kevlar(登録商標) 東レ・デュポン株式会社製〕とした。
固形分3%のスラリーを作製したら、このスラリーに凝集剤を添加して混合物を調製し、この混合物をメッシュ構造の15cm角のシート機により抄紙シートに形成し、抄紙シートを100℃に加熱したプレス機にセットして約200kg/cm2の圧力で約5分間加圧加熱し、その後、抄紙シートを乾燥させて水分を除去することにより、ポリプロピレン繊維に膨張化黒鉛粒子と炭素繊維とが均一に分散して絡んだ厚さ0.7mm,坪量500g/m2の複合シートEを必要数製造した。凝集剤は、カチオン系ポリアクリル酸ソーダ0.001質量部と、アニオン系ポリアクリル酸ソーダ0.00001質量部とからなる添加物とした。
次に、専用の金型を用意し、型開きした金型の下型に、製造した一対の複合シートEを重ねてインサートし、樹脂組成物を省略した。
次いで、複合シートEに金型の上型を搭載するとともに、220℃の温度に設定した金型を20MPaで強く型締めして加圧加熱し、上下の熱板の温度が30℃の冷却用の圧縮成形機に直ちに移載し、金型の温度が80℃以下になるまで加圧冷却することにより、燃料電池用セパレータを圧縮成形した。
燃料電池用セパレータを圧縮成形したら、金型から燃料電池用セパレータを脱型し、15cm×15cm、厚さ0.22~0.35mmの燃料電池用セパレータを製造した。製造した燃料電池用セパレータの一部には、穴や破れている箇所が発見された。
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〔評 価〕
各実施例の燃料電池用セパレータは、初期の引張強度、80℃の熱水浸漬試験後の引張強度、面方向の体積抵抗値、厚み方向の体積抵抗値、厚み精度、割れ発生の有無について、良好な結果を得ることができた。特に、実施例1、10、13~15、17の燃料電池用セパレータは、厚み方向の体積抵抗値に関し、優れた結果を得ることができた。
これに対し、比較例の燃料電池用セパレータは、初期の引張強度、80℃の熱水浸漬試験後の引張強度、面方向の体積抵抗値、厚み方向の体積抵抗値、厚み精度、割れ発生の有無に関し、満足する結果を得ることができなかった。また、比較例の燃料電池用セパレータは、割れが発生し、実用性に深刻な疑義が生じた。
本発明に係る燃料電池用セパレータ及びその製造方法は、家庭用等の燃料電池の製造分野で使用される。

Claims (13)

  1. 対向する一対の複合シートの間に樹脂組成物が挟まれる燃料電池用セパレータであって、
    複合シートは、少なくともポリオレフィン系樹脂繊維を含有する繊維樹脂と、この繊維樹脂よりも優れた導電性の導電材とを含み、この導電材が粒子状導電材と繊維状導電材とを含有しており、
    樹脂組成物は、温度220℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレートが1g/10min以上の空隙抑制樹脂と、少なくとも粒子状導電材を有する粒子含有導電材とを含み、空隙抑制樹脂よりも粒子含有導電材を質量比で多く含有しており、
    一対の複合シートと樹脂組成物とが溶着して一体化されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 複合シートの繊維樹脂は、アラミド系樹脂繊維を含有する請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 複合シートの繊維樹脂は、平均繊維長が0.5mm以上80mm以下である請求項1又は2記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 複合シートの繊維樹脂のポリオレフィン系樹脂繊維は、ポリプロピレン系樹脂繊維とポリエチレン系樹脂繊維の少なくともいずれか一方である請求項1、2、又は3記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 複合シートの導電材は、粒子状導電材が黒鉛粒子であり、繊維状導電材が炭素繊維である請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  6. 複合シートの導電材の粒子状導電材は、平均粒子径が3μm以上500μm以下の膨張化黒鉛粒子と人造黒鉛粒子の少なくともいずれか一方である請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  7. 樹脂組成物は、空隙抑制樹脂を3質量部以上40質量部以下、及び粒子含有導電材を60質量部以上97質量部以下含む請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  8. 樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、熱可塑性樹脂である請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  9. 樹脂組成物の空隙抑制樹脂は、平均粒子径が10μm以上500μm以下の粒子状のポリプロピレン系樹脂あるいはポリエチレン系樹脂である請求項1ないし8のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  10. 樹脂組成物の粒子含有導電材の粒子状導電材は、平均粒子径が1μm以上200μm以下の黒鉛粒子である請求項1ないし9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    金型に、一対の複合シートと樹脂組成物とをインサートして一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟み、金型を型締めして加圧加熱することにより、燃料電池用セパレータを成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  12. 金型に、一枚の複合シートと樹脂組成物とをインサートし、樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ねることにより、対向する一対の複合シートの間に樹脂組成物を挟む請求項11記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  13. 金型に、樹脂組成物と一枚の複合シートとをインサートするとともに、金型を型締めして加圧加熱することにより、積層中間体を成形し、金型から積層中間体を脱型して反転し、この積層中間体を金型にインサートしてその樹脂組成物を露出させ、その後、積層中間体の樹脂組成物にもう一枚の複合シートを重ねることで、積層中間体の複合シートと複合シートとの間に樹脂組成物を挟む請求項11記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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