JP7090318B2 - 軒先唐草、及びそれを用いた軒先構造 - Google Patents

軒先唐草、及びそれを用いた軒先構造 Download PDF

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Description

本発明は、横葺き外装材の配設以前に、外装材の裏面に配設される断熱バックアップ材の端部の破損を防止することができる軒先唐草、及びそれを用いた軒先構造に関する。
従来、横葺き屋根は、上段側の横葺き外装材の水下側成形部と下段側の水上側成形部とを重合(係合)させて外装面を形成しているが、これらの横葺き外装材の裏面側には、それぞれ発泡スチレンからなる断熱バックアップ材が配設され、これらの断熱バックアップ材同士を連結して断熱層を形成している。即ちこの断熱バックアップ材は、その水下側に表層部分(上半)が延在する突出上部が形成され、水上側に裏層部分(下半)が延在する突出下部が形成され、前記突出上部を前記突出下部に重合することにより、隙間無い断熱層を形成することができる。
さらに、本出願人は、先願発明として、非透水性の前記構成を備える断熱バックアップ材を用いることで、断熱バックアップ層と外装面とで二重の防水が果たされ、断熱バックアップ材と外装材との一体性が高く、吊子等を用いることなく敷設できることを見出した(特願2017-57990号)。
なお、軒先には、軒先に達した雨水を、毛細管現象によって雨が軒先から裏面側へ廻り込むことを防止する軒先唐草や軒納め材といった部材が配設されている。
例えば断熱材としては、特許文献1に、別体に成形された屋根材と断熱材で屋根を構築する場合が記載され、断熱材の端部を重合可能な形状に加工し、重合状に敷設することで断熱性能や防水性を得るものが提案されている。一方で、断熱材の端部(加工部分)は、厚みが薄くなることは避けられず、ひび割れや破損に十分な注意を払いながら施工する必要があった。さらに、断熱(バックアップ)材を発泡ポリスチレン等で成型して非透水性の防水層とすることも提案されている。
また、軒先に配する樋としては、特許文献2に、鼻隠し板10に固定した吊り具7に、軒樋1が吊り保持され、カバー材に相当する水切り板2の上端が屋根の下地に固定される構造が提案されている。
特開2013-119979号公報 特開2005-023537号公報
しかしながら、前記従来の横葺き屋根や前記先願発明の横葺き屋根においても、断熱バックアップ材の施工を終えて横葺き外装材の敷設が完了していない状態では、施工中に断熱バックアップ材を破損してしまうことがあった。特に最水下側(軒先)では、最水下段の断熱バックアップ材の水下側へ延在する突出上部の裏面側に、空間が形成されるため、前述のように上方からの圧力(例えば作業者の靴先)が作用した際などに破損事故を起こし易いものであった。
また、前記特許文献1のような屋根構造において、屋根下地上に敷設した後に断熱材にひび割れや破損があると、漏水や断熱性能が低下したり、外装材の施工が困難になる恐れがあり、さらに破片等が防水層として経路を塞ぎ漏水につながる恐れもあった。
さらに、前記特許文献2では、カバー材に相当する水切り板2の上端を屋根材の裏面側に固定する構造であるため、屋根材の敷設前に水切り板2を取り付ける必要があり、施工法にも制限を与えるものであった。
そこで、本発明は、横葺き外装材の配設以前に、外装材の裏面に配設される断熱バックアップ材の端部の破損を防止することができる軒先唐草、及びそれを用いた軒先構造を提案することを目的とする。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、建築物の軒先に配設される軒先唐草であって、外装下地(野地材)の軒先端に取り付けられる取付固定部と、該取付固定部より軒先側へ延在して外装材の軒側成形部を係合させる被係合部と、前記外装材の裏面側に配設されて軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の前記軒端を、裏面側から支持する支持部であって、軒先とは反対側へ延在する第1横片及び軒先端に前記被係合部が形成される第2横片からなる前記支持部と、を備えていることを特徴とする軒先唐草に関するものである。
なお、前記断熱バックアップ材の前記軒端とは、軒端が軒先側へ延在する構成、即ちその水下側に表層部分(上半)が延在する突出上部が形成されている構成に他らない。
また、本発明は、前記軒先唐草において、被係合部よりも更に軒先側へ突出させて、軒樋の上面を覆うカバー材を固定する被固定部を備えていることを特徴とする軒先唐草をも提案する。
さらに、本発明は、前記軒先唐草を外装下地へ取り付け、該軒先唐草に軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の軒端を支持させることを特徴とする軒先構造をも提案するものである。
本発明の軒先唐草は、建築物の軒先を保護すると共に例えば施工中における軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の端部の破損を防止することができる。
特に支持部が、軒先とは反対側へ延在する第1横片と、軒先側へ延在する(先端に被係合部が形成される)第2横片と、からなるので、前記断熱バックアップ材の軒端の破損が防止され、第1横片と第2横片とを連続させて断熱バックアップ材の軒端が略矩形状に突出する態様に適応させてもよいし、第1横片と第2横片とを段差状に組み合わせて断熱バックアップ材の軒端が二段状に突出する(二段階に突出する)態様に適応させてもよい。
また、被係合部よりも更に軒先側へ突出させて、軒樋の上面を覆うカバー材を固定する被固定部を備えている場合、カバー材の軒先端に下方へ更に内側へ折曲した略コ字状の係合部を設け、その裏面側に軒樋の軒先端を係合することにより、カバー材が、軒樋の軒先端を引っ張るように保持するアームの役割をも果たす。
さらに、本発明の軒先構造は、前記軒先唐草を外装下地へ取り付け、該軒先唐草に断熱バックアップ材の軒端を支持させたものであるので、前述のように断熱バックアップ材の端部の破損を防止できるものである。
(a)本発明の軒先唐草の一実施例(第1実施例)を拡大して示す側面図、(b)それを用いた軒先構造の一例を示す側断面図である。 (a)第1実施例の軒先構造に用いた外装材(横葺き外装材)を拡大して示す側面図、(b)流れ方向に連結した断熱バックアップ材の一部に外装材を敷設した状態を示す斜視図、(c)外装下地(野地材)上に形成した断熱層の一部に外装材を敷設し、軒端には軒先唐草を取り付けた状態を示す側断面図である。
本発明の軒先唐草は、建築物の軒先に配設される軒先唐草であって、外装下地(野地材)の軒先端に取り付けられる取付固定部と、該取付固定部より軒先側へ延在して外装材の軒側成形部を係合させる被係合部と、前記外装材の裏面側に配設されて軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の前記軒端を、裏面側から支持する支持部であって、軒先とは反対側へ延在する第1横片及び軒先端に前記被係合部が形成される第2横片からなる前記支持部と、を備えていることを特徴とする。
前記軒先唐草の各部位の説明に先立って、前記断熱バックアップ材の軒側へ延在する軒端について説明すると、後述する図示実施例に示すようなその水下側に表層部分(上半)が延在する突出上部が形成されている構成に他ならない。
前記取付固定部は、野地材等の外装下地の軒先端に取り付ける部位であって、取り付ける外装下地に取付可能であればどのような形状でもよい。
例えば後述する図示実施例では断面が略矩形状に形成される野地材の軒端に、軒側から嵌合可能な略コ字状に成形しているが、特にこれに限定されるものではない。また、上方からビス等の固着具を打ち込んで強固に固定してもよいし、略コ字状に形成した場合には、外装下地の軒端に嵌合状に取り付けることができ、施工性も向上し、取付強度も向上する。
前記被係合部は、前記取付固定部から軒先側へ延在して外装材の軒側成形部を係合させる部位であって、外装材の軒側成形部に係合可能であればどのような形状でもよい。
また、該被係合部に係合させる外装材は、例えば横葺き外装材でも縦葺き外装材でもよく、前者の場合は最軒端の横葺き外装材の軒側成形部に係合させてもよいし、後者の場合は縦葺き外装材の最軒端を裏面側へ折返し状に折り曲げて係合させるようにしてもよい。
前記被係合部が係合される軒先成形部が横葺き外装材である場合について更に説明すると、流れ方向に隣り合う外装材同士の連結部分では、水上側の外装材の軒側成形部に対して水下側の棟側成形部を係合させるが、最も水下側に配置される最軒側の外装材の軒側成形部では、係合相手が存在しないため、この軒先唐草の被係合部がその係合相手となる。例えば後述する図示実施例では軒先向きの横片(第2横片)の先端としたが、特にこれに限定するものではない。
前記支持部は、断熱バックアップ材の軒側へ延在する軒端を裏面側から支持するものであって、断熱バックアップ材の軒端形状に裏面から当接可能であればどのような形状でもよい。
例えば断熱バックアップ材の軒端が略矩形状に突出するものであれば、それを裏面側から支持する支持部としては、略水平状の横支持片とすればよいし、後述する図示実施例のように断熱バックアップ材の軒端が二段状に突出する(二段階に突出する)ものであれば、それを裏面から支持する支持部としては、段差状のL字状支持片とすればよい。
例えば後述する図示実施例では、前記支持部を、外装材側へ延在する第1横片と、軒先側へ延在して先端に被係合部が形成される第2横片と、からなる構成としたので、第1横片と第2横片とを同一直線状に形成(配置)すれば前述の略水平状の横支持片とでき、第1横片と第2横片とを段差状に形成(配置)すれば前述の段差状のL字状支持片とすることができるが、特にこれに限定するものではない。
本発明の軒先唐草が取り付けられる軒先は、野地材等の外装下地の軒先端であって、該外装下地には、裏面側に断熱バックアップ材が配設された外装材が敷設され、前記断熱バックアップ材の軒端が軒先側へ延在しているものであれば、その具体的な構成については特に限定するものではない。
前記断熱バックアップ材は、前述のようにその軒端が軒先側へ延在している構成を有するものであれば、その具体的な構成については特に限定するものではないが、後述する図示実施例のようにその棟端が棟側へ延在する構成を設けて流れ方向に隣り合う断熱バックアップ材同士が相じゃくり状に連結できる構成が望ましい。即ち断熱バックアップ材が、その水下側端には、表層部分(上半)が延在する突出上部(上側重合部)が形成され、その水上側端には、裏層部分(下半)が延在する突出下部(下側重合部)が形成される構成を備える場合には、前記突出上部を前記突出下部に重合することができ、流れ方向に隙間無い断熱層を形成できるからである。
また、前記断熱バックアップ材としては、非透水性であることが望ましく、具体的には発泡系の断熱バックアップ材、特に多少の弾性を備える素材、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン等の合成樹脂の単層或いは積層体を用いることが好ましい。この非透水性で発泡系の断熱バックアップ材とは、気泡部分がそれぞれ独立してランダムに存在している材料であるため、切断等の加工を行ってもその非透水性は常に確保されるので望ましい。前述の「隙間無い断熱層」を、「隙間無い防水層」とすることができるからである。
さらに、この断熱バックアップ材の表面については、平坦状であってもよいし、溝を形成したものでもよい。前記溝は、外装材の敷設前、或いは敷設後の結露水等を断熱バックアップ材上に滞留させることなく水下側に排出させる排水溝であって、流れ方向に限定されるものではなく、特に相じゃくり部分(側縁)は、内側に向く「斜め」でもよい(水が側縁にまわるのを防ぐ)。
また、この断熱バックアップ材の裏面についても、平坦状であってもよいし、突起や溝等を形成することによって空間(隙間)を設けるようにしてもよい。形成された空間(隙間)は、下地材との間で空気の流通等を可能とする。
前記外装材は、前記断熱層上に敷設されてその水下側端に軒側成形部を備える横葺き外装材であって、前記軒側成形部を含めてその具体的な構成について特に限定するものではなく、代表的には概ね0.4~1.6mm程度の表面化粧鋼板、ラミネート鋼板、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、銅板等の公知の金属素材をロール成形、押し出し成形その他の手段で所定の形状に成形したものを適宜に用いることができる。さらに、外装材の裏面には、結露防止、防音、防火対策上の理由により、必要に応じてポリエチレンフォーム、グラスウールシート等の裏貼り材を添装しても良い。
前述のように前記断熱バックアップ材の突出上部は、水下端の表層部分(上半)が水下側へ延出する部分であるから、該突出上部に、前記外装材の水上側(棟側)成形部を嵌合させるようにしてもよい。即ち多くの横葺き外装材では、略平坦状の断熱層上にて、軒側成形部を棟側成形部と係合させて連結させ、該係合部分を断熱層上に固定した吊子等の保持部材で保持する構成が採られているが、水上側(棟側)成形部として、前記突出上部に嵌合される部位を設けることで、吊子を必要とすることなく、水流れ方向に隣り合う外装材同士を連結することができる。
なお、前述の先願発明(特願2017-57990号)における外装材は、面板部の水上側に、前記断熱バックアップ材に沿わせる固定片部と、その水下側に、水下側が開放する横溝、前記断熱バックアップ材の突出上部に嵌合する嵌合部を備える水上側成形部と、面板部の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝に係合可能な差し込み片、前記嵌合部の外側に重合させる重合部を備える水下側成形部と、を有する構成を備えるので、この外装材を用いるようにしてもよい。
また、本発明の軒先唐草は、前記被係合部よりも更に軒先側へ突出させて、軒樋の上面を覆うカバー材を固定する被固定部を備えていてもよい。
前記カバー材は、各種の軒樋の上面を覆う部材であって、軒樋への雪やゴミの侵入等を防止する部材であり、その表面には雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が形成されていることが望ましい。
なお、このカバー材により上面を覆われる軒樋は、内部に雨水等の排水路が設けられているものであれば、底面及び両側面の形状は特に限定するものではなく、例えば塩ビ、ポリカ等の汎用品でもよいので、その上面を覆うカバー材の構成や形状についても特に限定するものではない。
前記被固定部は、前述のように前記被係合部よりも更に軒先側へ突出させて軒樋の上面を覆うカバー材を固定する部位である。なお、前記「被係合部よりも更に軒先側へ突出させ」るとは、位置的に被固定部の方が被係合部よりも軒先側へ突出していることを意味している。
なお、この被固定部は、横片状にも縦片状にも形成でき、ビス等の固着具を用いてカバー材を固定することができる。
前記カバー材や軒樋については、特にその形状等を限定しないことは前述のとおりであるが、後述する図示実施例に示すようにカバー材の軒先端に下方へ更に内側へ折曲した略コ字状の係合部を設け、その裏面側に軒樋の軒先端を係合する構成とした場合には、前記略コ字状の係合部が、軒樋の軒先端を上方から引っ張るように保持して軒樋の荷重を負担することができる。即ちこの場合のカバー材は、軒樋の軒先端を引っ張るように保持するアームの役割をも果たす。
前述のように本発明の軒先唐草は、取付固定部と被係合部と支持部とを備える部材であって、断熱バックアップ材の軒端が下方へ折れ曲がって破損することを防止するための強度特性を備えるものであれば、特にその素材や加工法等を限定するものではないが、長さ方向に前記取付固定部や前記被係合部、前記支持部がそれぞれ連続する連続材として形成されることが軒先を保護する観点から望ましい。
しかもこの軒先唐草は、外装下地といった屋根面(屋根構造)に取り付けるものであって、前述の従来の樋受け金具のように鼻隠し壁面に側方から固着具を打ち込むものではないため、容易に且つ強固に取り付けることができる。
図1(a)に示す第1実施例の軒先唐草1は、外装下地4Aの軒先端に取り付ける取付固定部10aと、該取付固定部10aから軒先側へ延在して外装材6Dの軒側成形部62を係合させる被係合部161と、外装材6Dの裏面側に配設する断熱バックアップ材7の軒側へ延在する軒端72を裏面側から支持する支持部15,16を備えている。
この第1実施例の軒先唐草1は、略垂直状に延在する縦片11の高さの中程から一方(図面右方)側へ略水平状に延在する横片12が、下端近傍から一方側へ略水平状に延在して略鉛直状に垂下するL字状片13が形成されている。また、前記縦片11の上端近傍から他方(図面左方)側へ略水平状に延在する第3横片14が形成されている。更には、前記縦片11の上端には、一方側へ向く第1横片15と他方側へ向く第2横片16が形成されている。
そして、前記取付固定部10aは、前記横片12とL字状片13との間に形成される溝状部分であって、前記係合部161は、前記第2横片16の先端であり、前記第1横片15と前記第2横片16とで支持部が形成されている。
なお、前記第3横片14は、後述するカバー材3の建築側端を固定する被固定部であって、点線はビス1bの打ち込み位置を示し、先端141が略く字状に折れ下がっている。
この軒先唐草1にて、その軒端(突出上部)72を支持される断熱バックアップ材7は、図2(c)に示すように軒端(水下端、図では左又は左前側)に表層部分が水下側へ延出する突出上部72を備える非透水性の発泡ポリスチレンである。
この断熱バックアップ材7を簡単に説明すると、本体部71が軒端から水上側(図では右側)へ次第に肉薄になるように成形され、その水下端の表層部分が延出する突出上部72が形成されている。また、この断熱バックアップ材7の水上端には前記突出上部72と重合状に組み付けられる突出下部73が形成され、その端縁には上方へ突出する水返し凸部731を有する。なお、図1(a)中の符号7bは該断熱バックアップ材7を固定する固定具を示す。
前記外装材6Dは、流れ方向に連結される横葺き外装材(以下、外装材という)6Aの最も水下側(最軒端)に配設される外装材であって、この外装材6A(6Dも含む)は、図2(a)に示すように略平坦状の面板部61の水上端(図面右端)に、前記断熱バックアップ材7に沿わせる固定片部64と、その水下側(図面右側)に水上側成形部63と、面板部61の水下側(図面左側)に水下側成形部62と、を形成した金属成形板である。
また、前記面板部61の水上側には、前記断熱バックアップ材7に沿わせる固定片部64と、その水下側に、水下側が開放する横溝631、前記断熱バックアップ材7の突出上部72に嵌合する嵌合部632を備える水上側成形部63と、面板部61の水下側に、裏面側に折り返して水上側へ延在させて前記横溝631に係合可能な差し込み片621、前記嵌合部632の外側に重合させる重合部622を備える水下側成形部62と、を有する。なお、前記面板部61の裏面側には裏貼り材6cが添装されている。
流れ方向に隣り合う外装材6A,6D(又は6Aどうし)の連結は、図2(c)に示すように水上側の外装材6Aの水下側成形部62に、水下側の外装材6Dの水上側成形部63を重合状に嵌合させればよく、符号6bは該外装材6A(又は6D)を固定する固定具を示す。
また、前記外装材6A(6Dも含む)の面板部61及び固定片部64は略平坦状であり、横溝631は横向き折返し片状であり、嵌合部632は横溝631と上下に隣接して形成されている。さらに、差し込み片621は先端を屈曲状に成形して差し込んだ状態が安定に保持されるものであり、重合部622は前記差し込み片621と上下に隣接して形成され、前記嵌合部632の外側に弾性嵌合する。
また、前記外装下地(4A)について簡単に説明すると、傾斜状に配設されたH躯体5Aの上面側に、木毛セメント等のボード状の野地材4Aが敷設され、その表面側には防水シート材4bが敷設されたものであり、H躯体5Aの軒端には、外壁材(鼻隠し)4Cが取り付けられている構成であって、この第1実施例では端的に野地材を外装下地4Aとする。
前記軒先唐草1を用いた図1(b)の外装構造では、軒先側に軒樋2が配設され、その上面を覆うようにカバー材3が配設されている。
この軒先構造における軒樋2は、略水平状の底面21の軒先側(図面では左側)に、三つの傾斜面と二つの略水平面とで構成される段状の(外)側面22が形成され、前記底面21の内側(図面では右側)には、略垂直状に起立する(内)側面23が形成され、これらの底面21及び側面22,23にて雨水等の排水路が形成されている。
前記軒先側の側面22の上端に位置する傾斜面と略水平面は、カバー材3に保持(係合)される軒先端221である。
また、前記内側面23の下端には、隅部状の被支持部231が設けられ、外壁材(鼻隠し)4Cに固定された支持材8に下方から支持される部位である。
また、この軒先構造におけるカバー材3は、前記軒樋2の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積することを防止する部材であって、その表面(化粧面31)には雨水を内部へ導く導水口311として複数の小径のスリット孔が形成され、その下端である軒先端(係合部)32が前記軒樋2の軒先端221と係合して取り付けられ、その上端付近に前記軒先唐草1の延在片に固定される固定部33が形成されている。
前記係合部32は、化粧面31の軒先端から斜め上方へ延在し、その先端を下方へ折曲し、更にその下端を内側へ折曲した略コ字状に形成されているが、化粧面31と係合部32との境界には下方へ凹む排水溝35が形成され、所定間隔で導水口351が形成されている。
前記固定部33は、前記化粧面31から建築物側へ延在し、端縁付近に位置する部位を示し、当該第1実施例では、軒先唐草1の第3横片(被固定部)14にビス1bにて固定されている。
この軒先構造に前記軒先唐草1と共に用いられてより安定に軒樋2を保持することができる補助材として、前述のように外壁材(鼻隠し)4Cに固定される支持材8を用いている。
この支持材8は、金属板材等の略垂直状の縦面81の上端を軒先側へ折り返し、下方が開放する溝状保持部811が形成され、縦面81の下端を略水平状に軒先側へ折り曲げて下方保持部812が形成された構成であって、ピース材でも連続材でもよい。前記下方保持部812が、前記軒樋2の内側面23の下端(被支持部231)を支持する部位であり、前記溝状保持部811が、前記軒樋2の内側面23の上端が差し込まれる上方保持部である。
前記断熱バックアップ材7については、図2(c)にて簡略的には説明したが、その表面部分の構成について、図2(b)に基づいて説明する。
この断熱バックアップ材7は、本体部71の表面側に多数の島状部(711a,711b)を設けた形成間隔(間隙)を排水溝712とするものであって、平面視を太矢印の頭部状に形成した2種(図中には幅広の島状部を711a、やや幅狭の島状部を711bと表記した)を、流れ方向及び長さ方向(左右方向)にそれぞれ複数列形成している。なお、幅広の島状部711aにて形成される流れ方向の1列と、やや幅狭の島状部711bにて形成される1列とは長さ方向(左右方向)に交互に形成されている。また、前記排水溝712は、幅広の島状部711a,711a間、やや幅広の島状部711b,711b間にも形成されるので、網目状に形成されている。
また、幅広の島状部711aの列とやや幅狭の島状部711bの列との間には、これらの島状部711a,711aの高さ寸法より僅かに高く形成される継手用凸部713が流れ方向に並ぶように、長さ方向には前記島状部(711a,711b)と交互に配設されている。なお、この継手用凸部713は、平面視を楕円状に形成されている。
さらに、この断熱バックアップ材7の本体部71の水上側(図面の上方側)の下側重合部73は左右方向に連続状に形成されているが、水下側(図面の下方側)へ延出する突出上部72は、左右方向の島状部711の15列の水下側にそれぞれ突出状片に形成されている。この突出上部72のうち、幅広の島状部711aの列の水下側に位置する突出状片の水上側には三角状の印(窪み)74xや円状の印(窪み)74yが形成されている。そのため、施工(作業)者は施工指針書に示された当該位置にそれぞれのビスや固定具を打ち込んで断熱バックアップ材7や外装材6A(又は6D)を容易に且つ均質に取り付けることができる。
この第1実施例の軒先唐草1は、前述のように外装下地(4A)の軒先端に取り付ける取付固定部10aと、該取付固定部10aから軒先側へ延在して外装材6Dの軒側成形部62に係合させる被係合部161と、外装材6Dの裏面側に配設する断熱バックアップ材7の軒側へ延在する軒端72を裏面側から支持する支持部15,16を備えているので、建築物の軒先を保護すると共に断熱バックアップ材7の軒端72を破損するといった事故をも防止することができる。
また、この第1実施例の軒先唐草1を用いた図1(b)の軒先構造は、被係合部161よりも更に軒先側へ突出させて、軒樋2の上面を覆うカバー材3を固定する被固定部(第3横片14)を備えているので、カバー材3の軒先端に下方へ更に内側へ折曲した略コ字状の係合部32を設け、その裏面側に軒樋2の軒先端221を係合することにより、カバー材3が、軒樋2の軒先端221を引っ張るように保持するアームの役割を果たすため、軒先唐草1(とカバー材3)で軒樋2を保持することができる。
1 軒先唐草
1b ビス
1c 固定具
10a 取付固定部
14 被固定部
15 第1横片(支持部)
16 第2横片(支持部)
161 被係合部
2 軒樋
21 底面
22 内側面
221 軒先端
23 外側面
231 被支持部
3 カバー材
31 化粧面
32 軒先端
33 固定部
4b,4c 固着具
41 横片部
42 取付部
44 被固定部
46 固定部
462 突出片
47 支持部(下方保持部)
48 上方保持部
4A 外装下地(野地材)
5A H躯体
6A (横葺き)外装材
6D 最軒側の外装材
62 軒側成形部
7 断熱バックアップ材
72 軒端(突出上部)
7b 固定具
7c 固着具
8 支持材

Claims (3)

  1. 建築物の軒先に配設される軒先唐草であって、
    外装下地の軒先端に取り付けられる取付固定部と、
    該取付固定部より軒先側へ延在して外装材の軒側成形部を係合させる被係合部と、
    前記外装材の裏面側に配設されて軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の前記軒端を、裏面側から支持する支持部であって、軒先とは反対側へ延在する第1横片及び軒先端に前記被係合部が形成される第2横片からなる前記支持部と、を備えていることを特徴とする軒先唐草。
  2. 被係合部よりも更に軒先側へ突出させて、軒樋の上面を覆うカバー材を固定する被固定部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の軒先唐草。
  3. 請求項1~2の何れか一項に記載の軒先唐草を外装下地へ取り付け、該軒先唐草に軒先側へ延在する軒端を備える断熱バックアップ材の前記軒端を支持させることを特徴とする軒先構造。
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