JP3544205B1 - レンガ壁の乾式施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建築物の外面にレンガを貼り付けるレンガ壁の乾式施工方法であって、表面の所定間隔に配置された凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断する工程と、前記シート部材を前記建築物の外面に取り付ける工程と、前記シート部材の凹部に、ガイド用リブを有するレール部材を取り付ける工程と、該レール部材の係止部と前記レンガの端面に刻まれた溝とが嵌合するように、該レンガを前記レール部材の受部に設置する工程と、該レンガの周囲にモルタルを注入する工程とを有することを特徴とするレンガ壁の乾式施工方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外面にレンガを貼り付けるレンガ壁の乾式施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンガ壁は、外観が美麗でデザイン性に優れ、高級感や重厚感を醸し出すことができるうえ、耐久・耐候性と防火性能が優れていることから、建築物の外壁などに用いられている。
しかし、日本は地震が多いため、レンガそのものを外壁に用いることは耐震設計上好ましくない。
そこで、従来のようにモルタルを用いてレンガを固定する湿式施工ではなく、建築物の外面にスライスレンガを貼り付ける乾式施工により、外観と耐震性を両立させたレンガ壁の施工方法について、従来から種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特開平11−141095号公報には、アルミニウムの押出型材からなるレンガタイル用下地材を用いることによって、下地材の建物の壁面に対する取り付け作業を容易にし、コストも低減させることができるレンガタイル用下地材およびその取り付け方法が開示されている。
しかし、特開平11−141095号公報など、従来のレンガタイル用下地材は、基板と係合部とが一体となった複雑な断面形状を有する構造であり、この下地材の加工に多大な手間を要するうえ、建築物の形状や大きさに合わせて下地材を切断することが容易でないという問題点があった。
また、特開平11−141095号公報など、従来のレンガタイル用下地材は、上下方向に分離した複数の金具を個別に取り付けるため、下地材同士の隙間から雨水などが浸入する可能性があり水密性に問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−141095号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、現場での施工性と水密性に優れたレンガ壁の乾式施工方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために、鋭意検討の結果なされたものであり、表面に凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断した後にレンガを設置するレール部材を取り付けることにより、現場での施工性と水密性に優れたレンガ壁の乾式施工方法を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
【0007】
(1)端面に溝を有するレンガを建築物の外面に貼り付けるレンガ壁の乾式施工方法であって、
表面の所定間隔に配置された深さ 0.5 mm程度の凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断する工程と、
前記シート部材を前記建築物の外面に取り付ける工程と、
前記シート部材表面の凹凸における凹部に、リブを有するレール部材を取り付ける工程と、
該レール部材の係止部と前記レンガの端面に刻まれた溝とが嵌合するように、該レンガを前記レール部材の受部に設置する工程と、
該レンガの周囲にモルタルを注入する工程とを有することを特徴とするレンガ壁の乾式施工方法。
(2)前記シート部材を、隣接するシート部材と上下および左右方向にラップさせて取り付けることを特徴とする(1)に記載のレンガ壁の乾式施工方法。
(3)前記建築物の出隅および/または入隅に防水粘着テープを貼り付けた後、
前記シート部材を取り付けることを特徴とする(1)または(2)に記載のレンガ壁の乾式施工方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図1乃至図7を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明におけるレンガ壁の乾式施工方法のフローを説明する図である。
本発明は、建築物の外面にレンガを貼り付けるレンガ壁の乾式施工方法であって、ここにいう建築物とは、一般住宅の建家における本体やベランダなどの外壁のほか、塀、門、柱、あるいは建家の内装壁などを含み、新築はもとより増改築も含む。
【0009】
図1において、まず、表面の所定間隔に配置された凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断する。
シート部材の表面に凹凸を配置することにより、レール部材を取り付け易くするとともに、レール部材をこの凹凸に沿って取り付けることによってレール部材の間隔と平行性を確保することができる。
従来のように、レール部材を取り付けた後は複雑な断面形状になっているので、建築物の形状や大きさに合わせて切断することが困難であったが、本発明においては、シート部材の状態で、建築物の形状や大きさに合わせて金きり鋏などにより簡単に切断できるので現場での施工性に優れている。
なお、本発明においては、シート部材の厚さや材質は問わないが、厚さ0.5mm程度のメッキ鋼板(ガルバニウム鋼板)に深さ0.5mm程度の凹凸を配置することが好ましい。
【0010】
次に、前記シート部材を建築物の外面に取り付ける。
本発明においては、シート部材の取り付け方法は問わないが、例えば、表面に配置された凹部にネジや釘などの締結部材を打ち込むことにより建築物の外面に固定する。
また、前記シート部材を、隣接するシート部材と上下および左右方向にラップさせて取り付けることにより、シート部材の境界部から建築物の内部に雨水などが浸入することを防止することができる。
さらに、建築物の出隅および/または入隅(外側および/または内側に曲がるコーナー部)に防水粘着テープを貼り付けた後、前記シート部材を取り付けることにより、L字型の特殊な形状のレンガを用いなくてもコーナー部の水密性を確保することができる。
【0011】
次に、シート部材の凹部に、リブを有するレール部材を取り付ける。
シート部材の凹部とガイド用リブの位置を合わせて、ネジや釘などの締結部材を打ち込むことにより、レール部材を所定の間隔で平行に取り付けることができる。
次に、レール部材の係止部とレンガの端面に刻まれた溝とが嵌合するように、レンガをレール部材の受部に設置する。
レール部材の係止部とレンガの端面に刻まれた溝とが嵌合するように、レンガをレール部材の受部に設置することによって、現場でのレンガの設置作業が極めて容易であるうえ、地震時にレンガが剥がれ落ちることがない。
最後に、レンガの周囲にモルタルを注入することにより、レンガの隙間から水が浸入することを防止するとともに、レンガ相互を緊結固定してレール部材を保護することにより耐久性を向上させることができる。
以上のフローに従ってレンガ壁を施工することによって、現場での施工性と水密性に優れたレンガ壁の乾式施工方法を提供することができる。
【0012】
図2および図3は、本発明に用いるシート部材を例示する図であり、図2の右側は側面図、左側は断面図を示し、図3はその詳細図である。
図2および図3において、1はシート部材、2は建築物の外面、3はネジ・釘などの締結部材を示す。
図2に示すように、シート部材1は、例えば厚さ0.5mm程度のメッキ鋼板(ガルバニウム鋼板)であり、その表面にレール部材を取り付ける一定間隔の深さ0.5mm程度の凹凸が設けられている。この程度の厚さおよび凹凸を有するメッキ鋼板であれば、建築物の形状や大きさに合わせて、現場にて金きり鋏などで容易に切断することができ、建築物の広い外面にレンガを取り付ける場合には、シート部材1を切断しないでそのまま用いることができる。
シート部材1の長さは、運搬や施工のし易さを考慮して例えば1800L×450W程度の大きさが好ましく、凹凸の間隔はレンガの幅に合わせて90mm程度が好ましい。
【0013】
図3は、シート部材1を建築物の外面2に取り付けた部分の詳細図であり、シート部材1の表面の凹部にネジや釘などの締結部材3を打ち込むことによって建築物の外面2に固定する。
なお、前記シート部材を、隣接するシート部材と上下および左右方向にラップさせて取り付けることにより、シート部材の境界部から建築物の内部に雨水などが浸入することを防止することができる。
さらに、建築物の出隅および/または入隅(外側および/または内側に曲がるコーナー部)に防水粘着テープを貼り付けた後、前記シート部材を取り付けることにより、L字型の特殊な形状のレンガを用いなくてもコーナー部の水密性を確保することができる。
【0014】
図4および図5は、本発明に用いるレール部材を例示する図であり、図4の右側は側面図、左側は断面図を示し、図5はその詳細図である。
図4および図5において、1はシート部材、2は建築物の外面、3はネジ・釘などの締結部材、4はレール部材、5はリブ、6は受部、7は係止部を示す。
図4に示すように、レール部材4は、一定間隔でシート部材1の凹部に取り付けられている。
【0015】
図5は、レール部材4をシート部材1に取り付けた部分の詳細図であり、シート部材1の表面の凹部にネジや釘などの締結部材3を打ち込むことによってレール部材4をシート部材1に固定する。
図5に示すように、レール部材4は、シート部材に取り付けるためのリブ5、レンガを設置するための受部6、および、レンガの上端に設けられた溝部と嵌合させるための係止部から構成されている。
このように、本発明に用いるレール部材4には、ガイド用のリブ5が設けられているので、一度水平を確認すれば、このリブ5をシート部材1の凹部に重ね合わせるだけで、平行性を確保できるため、著しく施工性がよいうえ、部品数が少なく、取扱いが簡単で、熟練工が不要であるため、工期短縮、工数の削減ができる。
なお、本発明においては、レール部材の厚さや材質は問わないが、強度、加工性、および耐食性の観点から、厚さ0.5mmのメッキ鋼板(ガルバニウム鋼板)が好ましい。
【0016】
図6および図7は、本発明におけるレンガ壁を例示する図であり、図6の右側は側面図、左側は断面図を示し、図7はその詳細図である。
図6および図7において、1はシート部材、2は建築物の外面、3はネジ・釘などの締結部材、4はレール部材、5はリブ、6は受部、7は係止部、8はレンガ、9はモルタルを示す。
図6に示すように、レンガ8はレール部材4により建築物の外面に一定間隔に配置・固定されている。
【0017】
図7は、レンガ8をレール部材4に取り付けた部分の詳細図であり、レール部材4の係止部7がレンガの上端に設けられた溝部と嵌合するようにレンガ8をレール部材4の受部6に設置することにより、一定間隔で配置することができ、地震の際にも剥がれ落ちることがない。
本発明においては、レンガの材質や大きさは問わないが、軽量化を図りながら重厚感のある外観と、優れた防火性能と耐久性を確保するため、例えば、オーストラリア産の、長さ230mm、幅76mm、厚さ25mm程度のものが好ましく、幅5mm、深さ15mm程度の溝を、レンガの端面(上端および/または下端)に有することが好ましい。
また、レンガ同士の隙間には、モルタルたるを注入することにより、雨水などが建築物の内部に侵入することを防止できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、表面に凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断した後にレンガを設置するレール部材を取り付けることにより、現場での施工性と水密性に優れたレンガ壁の乾式施工方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるレンガ壁の乾式施工方法のフローを説明する図である。
【図2】本発明に用いるシート部材を例示する図である。
【図3】本発明に用いるシート部材を例示する詳細図である。
【図4】本発明に用いるレール部材を例示する図である。
【図5】本発明に用いるレンガを例示する詳細図である。
【図6】本発明に用いるレール部材を例示する図である。
【図7】本発明に用いるレンガを例示する詳細図である。
【符号の説明】
1・・・シート部材、2・・・建築物の外壁、3・・・締結部材、
4・・・レール部材、5・・・リブ、6・・・受部、7・・・係止部、
8・・・レンガ、9・・・モルタル
Claims (3)
- 端面に溝を有するレンガを建築物の外面に貼り付けるレンガ壁の乾式施工方法であって、
表面の所定間隔に配置された深さ 0.5 mm程度の凹凸を有するシート部材を必要な大きさに切断する工程と、
前記シート部材を前記建築物の外面に取り付ける工程と、
前記シート部材表面の凹凸における凹部に、リブを有するレール部材を取り付ける工程と、
該レール部材の係止部と前記レンガの端面に刻まれた溝とが嵌合するように、該レンガを前記レール部材の受部に設置する工程と、
該レンガの周囲にモルタルを注入する工程とを有することを特徴とするレンガ壁の乾式施工方法。 - 前記シート部材を、隣接するシート部材と上下および左右方向にラップさせて取り付けることを特徴とする請求項1に記載のレンガ壁の乾式施工方法。
- 前記建築物の出隅および/または入隅に防水粘着テープを貼り付けた後、
前記シート部材を取り付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンガ壁の乾式施工方法。
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