JP7357919B2 - 軒先構造、及びその施工法 - Google Patents

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Description

本発明は、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる軒先構造、及びその施工法に関する。
従来、屋根の樋としては、軒先に設ける軒樋が一般的に広く知られている。
この軒樋を固定する構造(機構)としては、例えば特許文献1~3等に示されるものが広く知られている。
特許文献1には、軒樋と軒先前面との間隔をその下方において閉塞するカバー材を取り付け、該カバー材に設けた支持片(係止部)にて軒樋の一方の側面の上端(耳部)を係止する構造が記載されている。
特許文献2には、建物の外壁に固定する軒樋支持装置6に対し、多孔体5を含む上側部材3を上面側に、軒体本体1である下側部材4を吊り保持する構造が記載されている。
特許文献3には、外壁等に固定する軒樋カバー固定具1の基端側に軒樋Nの軒先側の側面の上端を吊り保持し、軒樋Nの他方側の側面の上端を上方からくわえ込むように固定する構造が記載されている。
実開平5-38153号公報 特開2000-291213号公報 特許第5234278号公報
しかしながら、前記特許文献1の構造では、軒樋自身の重量や雨水等による荷重も取付部である耳部に集中するため、軒先としての意匠性が乏しく、雨水を受けるためだけの機能のみを採用したものであり、見栄えが悪く、意匠性に乏しいものであった。
また、前記特許文献2の構造では、軒樋支持装置6に軒樋本体1等の下側部材4を吊り保持するので、この軒樋支持装置6の固定部分に、軒樋本体1の自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
さらに、前記特許文献3の構造でも、軒樋カバー固定具1の固定部4に、軒樋Nの自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
そこで、本発明は、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる軒先構造、及びその施工法を提案することを目的とする。
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、建築物の躯体に固定した樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、前記軒樋の内部に配設されると共に、基端が前記軒樋の建築物側の側面に沿い、他端が軒先側へ延在する支持材と、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなる軒先構造であって、前記支持材の支持面部が前記カバー材裏面に当接することで支持すると共に、前記カバー材の上端は、建築物の外装下地に固定され、その下端は、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡されていることを特徴とする軒先構造を提案するものである。
また、本発明は、前記軒先構造において、軒樋の係合部は、支持材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されていることを特徴とする軒先構造をも提案する。
さらに、本発明は、前記軒先構造を施工する方法であって、建築物の躯体に樋受け金具を固定する第1の工程と、前記樋受け金具に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける第2の工程と、前記軒樋の内部に支持材を配設その支持面部がカバー材裏面に当接することで支持させると共に、その基端を前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定し、他端を軒先側へ延在させる第3の工程と、前記軒樋の開放上面を覆うように前記カバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地に固定すると共に、その下端を、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡させる第4の工程と、からなることを特徴とする軒先構造の施工法をも提案するものである。
本発明の軒先構造は、軒樋の建築物側の側面を、建築物の躯体に固定した樋受け金具に取り付け、軒先端に設けた係合部を、建築物の外装下地に固定したカバー材にて引っ張るように保持している構造であって、軒樋の左右端を安定に保持できる。さらに、軒樋の内部にカバー材裏面に当接する支持面部を備えている支持材が配設されているので、下面側から突発的な応力が加えられても、この支持材の補強作用で軒樋の破損等を防止することができる。
また、支持材は、下面側からの応力に対してばかりでなく、上方からの荷重に対しても強固となり、カバー材の変形を防ぎ、安定に支持することができる。
また、軒樋の係合部が、支持材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されている場合、カバー材は軒樋ばかりでなく支持材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。また、軒樋と支持材との一体性が向上するので、カバー材を含めた三部材の一体性も向上する。
また、支持材は、カバー材裏面に当接する支持面部を備えている場合、上方からの荷重に対して強固となり、カバー材の変形を防ぎ、安定に支持することができる。
更に、前記軒先構造の施工法は、第1~第4の何れの工程も、特殊な治具や装置等を用いることもなく容易に実施でき、前述のように有用な軒先構造を施工できる。
(a)本発明の第1実施例の軒先構造を示す側面図、(b)それに用いた軒樋及びカバー材を示す側面図、(c)用いた支持材及び樋受け金具を示す側面図である。 (a)本発明の第2実施例の軒先構造を示す側面図、(b)それに用いた軒樋、カバー材、及び水切兼補助材を示す側面図、(c)水切の別の態様を示す側面図である。 (a)第2実施例におけるカバー材を配設する以前の状態を示す斜視図、(b)それに用いた支持材を示す斜視図である。 (a)第2実施例の軒先構造の施工法の一場面を示し、第2の工程の一態様を示す側面図、(b)第3の工程を示す側面図、(c)第4の工程を示す側面図である。 (a)第3実施例の軒先構造を示す側面図、(b)それに用いた支持材を示す側面図である。
本発明の軒先構造は、建築物の躯体に固定した樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、前記軒樋の内部に配設されると共に、基端が前記軒樋の建築物側の側面に沿い、他端が軒先側へ延在する支持材と、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなり、前記支持材の支持面部が前記カバー材裏面に当接することで支持すると共に、前記カバー材の上端は、建築物の外装下地に固定され、その下端は、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡されていることを特徴とする。
本発明の軒先構造は、該軒先構造の表裏の化粧面を形成する軒樋やカバー材の内部又は裏面側に、支持材や樋受け金具を用いたものであり、軒樋やカバー材としては、専ら通し材を用いるが、複数の組み合わせであってもよく、各種の金属板材や硬質樹脂成形板等が用いられる。一方、支持材や樋受け金具としては、専ら短幅材を所定間隔で複数用いるが、それぞれ支持強度を求められるので、その耐久強度を備える金属金具や厚肉の樹脂成形品等が用いられる。特に支持材については、後述する図示実施例に示すように金属板材をL字(アングル)状に折り曲げ加工した成形品でもよい。
前記軒樋は、雨水等を排水する内部空間(排水部)を有するものであり、底面と二つの側面とからなる断面略U字状に形成され、建築物側の側面が、建築物の躯体に固定した樋受け金具に取り付けられ、軒先側には、係合部が設けられる構成である。
この軒樋の排水部は、前述のように内部空間全体を指すが、通常程度の降雨であれば、底面近傍のみを雨水等が流れるようにし、その上方に支持材が配設されるようにすることが望ましい。底部近傍の上方に支持材が配置されることにより、支持材が常に雨水に浸っている状態を回避でき、特に金属板材等の成形品である場合等における腐食等を極力避けることができる。
また、前記軒樋の係合部は、後述する図示実施例では、上方へ折り返して形成されたものであるが、カバー材の下端に連絡(接続)されるものであればその具体的形状を限定するものではない。この係合部が、カバー材の下端に連絡(接続)されるので、軒樋の軒先端をカバー材で引っ張るように保持する構造となる。
この係合部が、後述する図示実施例のように支持材の軒先端に係合される場合には、カバー材は軒樋ばかりでなく支持材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。
前記カバー材は、前記軒樋の開放上面を覆う部材であって、軒樋の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積することを防止する部材であり、特にその材質(材料)を限定するものではなく、前述のように通し材でもよいし複数の組み合わせでもよい。なお、このカバー材は、軒樋の開放上面の全面を覆うものでも一部のみを覆うものでもよい。
このカバー材の表面には、雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が形成され、該導水口の存在により、降雪の堆積や落ち葉等の浸入の防止も果たされる。
このカバー材としては、経年の使用により脱離や飛散しないものであれば、金属メッシュ材(金網状材)でもよい。この金属メッシュ材の開口寸法については、前記導水口と同様に広過ぎると落ち葉等の侵入が生じるため、その侵入を防止して雨水を導水できるものであればよい。
なお、脱離や飛散を防止する部位を、このカバー材に形成してもよいし、前記軒樋又は支持材に設けていてもよい。
前記支持材は、基端が前記軒樋の建築物側の側面に沿い、他端が軒先側へ延在する部材であって、前記軒樋の内部、望ましくは常時排水部の上方に配設されるものである。
この支持材は、その下方に軒樋が配設されるので、軒樋の下方から突発的な応力が加えられた際に、この支持材で軒樋の破損等を防止することができる。即ちこの支持材は、軒樋の補強材としても作用するものである。
この支持材の軒先端には、後述する図示実施例のように前記軒樋に形成される係合部が係合する場合がある。この場合には、前記カバー材は軒樋ばかりでなく支持材をも引っ張るように保持する。また、軒樋と支持材との一体性も向上する。
また、この支持材には、カバー材裏面に当接する支持面部を備えるようにしてもよい。なお、当接については、予め当接するものでも、カバー材に荷重が作用した際に当接するものでもよい。また、この支持面部は、後述する図示実施例(第2実施例)に示すように軒先側のみに設けてもよいし、或いは第3実施例のように複数箇所に設け、カバー材の導水口を除くほぼ全域に設けるようにしてもよい。
前記樋受け金具は、建築物の躯体に固定される固定部と、前記軒樋の建築物側の側面が取り付けられる取付部とを備える。
これらの固定部や取付部については、特に形状等を限定するものではないし、それぞれ複数設けてもよい。
後述する図示実施例では、縦片に固定具を打ち込む部分を固定部とし、軒樋の建築物側の側面の下端を載置状に受けるL字状部分を下方取付部とし、側面の上端を差し込むように保持する折り返し部分を上方取付部としたが、特にこれらに限定するものでもない。
これらの部材から構成される軒先構造を施工する方法は、以下の通りである。
まず、第1の工程として、建築物の躯体に樋受け金具を固定する。
次に、第2の工程として、前記樋受け金具に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける。
そして、第3の工程として、前記軒樋の内部に支持材を配設すると共に、その基端を前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定し、他端を軒先側へ延在させる。
最後に第4の工程として、前記軒樋の開放上面を覆うようにカバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地に固定すると共に、その下端を、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡させる。
以上説明した本発明の軒先構造は、軒樋の建築物側の側面を、建築物の躯体に固定した樋受け金具に取り付け、軒先端に設けた係合部を、建築物の外装下地に固定したカバー材にて引っ張るように保持している構造であって、軒樋の左右端を安定に保持できる。さらに、軒樋の内部に支持材が配設されているので、下面側から軒樋を通じて突発的な応力が加えられても、この支持材の補強作用で軒樋の破損等を防止することができる。
さらに、軒樋の係合部が、支持材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されている場合には、カバー材は軒樋ばかりでなく支持材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。また、軒樋と支持材との一体性が向上するので、カバー材を含めた三部材の一体性も向上する。
図1(a)に示す本発明の第1実施例の軒先構造は、建築物の躯体5Aに固定した樋受け金具4に、建築物側の側面13が取り付けられる軒樋1と、軒樋1の内部に配設されると共に、基端が軒樋1の建築物側の側面13に沿い、他端が軒先側へ延在する支持材2と、軒樋1の開放上面を覆うカバー材3と、からなる。
前記軒樋1は、雨水等を排水する内部空間(排水部)を有する通し材であり、底面11と二つの側面12,13とからなる断面略U字状に形成され、建築物側の側面13が、建築物の躯体に固定した樋受け金具4に取り付けられ、軒先側には、表面側へ折り返し状の係合部14が設けられる構成である。
第1実施例における軒樋1の排水部(内部空間)は、図1(b)に示すように略水平状の底面11の軒先側(図面では左側)に、傾斜面121と水平面122とで構成される段状の側面12が形成され、前記底面11の建築物側(図面では右側)には、略垂直状に起立する側面13が形成され、これらの底面11及び側面12,13にて断面略U字状の雨水等の排水路が形成されている。側面12を段状に形成したことで、最底部に常時排水部10が形成され、通常程度の降雨であれば、該常時排水部10を雨水等が流れるようにした。
前記軒樋1の係合部14は、傾斜状面と水平状面とが緩く(弧状に)連結された形状であって、前記側面12の水平面122の軒先端から延在しており、前記カバー材3の下端、即ち軒先端32と連絡(接続)されるものである。当該第1実施例では、係合部14の外側に軒先端32が係合する状態(態様)で接続される。
なお、この軒樋1の係合部14とカバー材3の軒先端32との間には、図示しない止水材を(連続状に)介在させてもよい。
この止水材としては、接着性を有するテープ等が好ましく、軒樋1とカバー材3を止水性を持たせて接続することで、軒樋1の深さを大きくでき、大量の降雨時等にあってもオーバーフローしにくい軒樋となる。
前記軒樋1を取り付ける樋受け金具4は、建築物の躯体5Aに固定される固定部41と、前記軒樋1の建築物側の側面13が取り付けられる取付部42,44とを備える。
第1実施例における樋受け金具4は、図1(c)に示すように縦片の上端に内側に折り返された傾斜片43が形成され、縦片の下端が軒先側へ略水平状に延在する略L字状の折り曲げ成形体であって、縦片に固定具4bを打ち込む部分を固定部41とし、軒樋1の建築物側の側面13の下端を載置状に受けるL字状部分を下方取付部42とし、側面13の上端を差し込むように保持する折り返し部分を上方取付部44とした。
前記カバー材3は、前記軒樋1の開放上面を覆う部材であって、軒樋1の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材であり、通し材でも複数の組み合わせでもよい。
第1実施例におけるカバー材3は、図1(b)に示すようにその表面(化粧面31)には雨水を内部へ導く導水口311として複数の小径のスリット孔が形成され、その下端である軒先端32が形成され、その上端付近に軒先唐草5に固定される上端部33が形成されている。
前記軒先端32は、化粧面31の下端を緩く下面側へ折り返して前記軒樋1の係合部14の上面側に係合するヘアピン状に形成され、その下端には下方へ傾斜する下向き片321が延設され、雨水の廻り込みを防止している。
前記上端部33は、化粧面31の上端付近に位置する部位であって、当該第1実施例では、建築物に固定される軒先唐草5Dに連絡されて取り付けられている。
前記支持材2は、基端が前記軒樋1の建築物側の側面13に沿い、他端が軒先側へ延在するものであり、前記軒樋1の内部空間、前記常時排水部10の上方に配設される部材である。
第1実施例における支持材2は、図1(c)に示すように略水平状の横長面部21と略垂直状の縦面部22と、前記横長面部21と前記縦面部22との間に形成される介在面部23とからなるアングル状であって、各面はそれぞれ他の二面と略直交状に形成されている。
前記横長面部21は、前記軒樋1の内部空間に配設した際に、水平面122上に位置する部分である。
前記縦面部22は、該支持部2の基端に形成され、前記軒樋1の建築物側の側面13に沿わせ、固定具2bにて建築物の躯体5Aに固定される固定部分である。
また、前記介在面部23の軒側上端は、傾斜状に形成され、前記横長面部21の軒先側と共に前記軒樋1の係合部14が係合される被係合部24を形成している。
既に説明したように前記軒樋1の係合部14の上面側には、前記カバー材3の軒先端32が係合するので、最も内側にこの支持材2の被係合部24が位置し、その外側に向かって、軒樋の係合部14、最後にカバー材3の軒先端32の順で係合することとなり、三部材は安定に一体化するものとなる。
また、前記軒樋1の水平面122上に、前記支持材2の横長面部21を配設するので、常時排水部10の上方に支持材2が配置されることにより、支持材2が常に雨水に浸っている状態を回避でき、特に金属板材等の成形品である場合等における腐食等を極力避けることができる。
前述の軒樋1、樋受け金具4、カバー材3、支持材2以外の構成を以下に簡単に説明する。
図中の5Aは鼻隠し壁面、5Bは軒棟方向に敷設された外装下地(=断熱材及び軽量鋼材)、5Cはその裏面に敷設された木毛セメント板、5Eは天井材であって、6Aは外装材、6cは外装材を保持する吊子、6fは外装材の裏面側に配設された断熱材である。
そして、横葺き外装材である外装材6Aは、略平坦状の面板部61の軒側、棟側に設けられて相互に係合する軒側成形部62、棟側成形部63を備え、外装下地5Bに固定された吊子6c等にて取り付けられ(敷設され)ている。
また、前記軒先唐草5Dは、外装下地(5B)の軒先部分に嵌合状に取り付けられ、軒先側へ延在して外装材6Aの軒先端を係合させる被係合部と、該被係合部よりも更に軒先側へ突出して前記カバー材3を固定する被固定部と、を備える。
このような構成を備える本発明の軒先構造は、軒樋1の建築物側の側面13を、建築物の躯体5Aに固定した樋受け金具4に取り付け、軒先端に設けた係合部14を、建築物の外装下地5Bに固定したカバー材3にて抱持状に(引っ張るように)保持している構造であって、軒樋1の左右端を安定に保持できる。
さらに、軒樋1の内部に支持材2が配設されているので、下面側から軒樋1を通じて突発的な応力が加えられても、この支持材2の補強作用で軒樋1の破損等を防止することができる。
しかも、この第1実施例では、軒樋1の係合部14が、支持材2の軒先端(被係合部24)に係合され、更に前記カバー材3の軒先端32と係合しているので、カバー材3は軒樋1ばかりでなく支持材2をも引っ張るように保持するため、この支持材2も外装下地5Bに固定したカバー材3にて抱持状に(引っ張るように)保持され、支持強度は更に高くなる。また、軒樋1と支持材2との一体性が向上するので、カバー材3を含めた三部材の一体性も向上する。
図2(a)に示す本発明の第2実施例の軒先構造は、カバー材3'と軒樋1'との連結態様が、前記第1実施例とは異なるものであり、カバー材3'の軒先端32'を、裏面側へ折り返し状に形成すると共に、軒樋1'の係合部14'を、表面側へ折り返し、更に上方へ延在させた先端を表面側へ折り返し状に形成することにより、それぞれの折り返し片を係合させて接続している。
なお、図2では、その接続部分に補助材7を介在させて強化する態様を示し、後述する施工手順を示す図4では、該補助材7を省略した。
この第2実施例における軒樋1'は、図2(b)に示すように前述のように係合部14'が異なる以外は、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、カバー材3'についても、図2(b)に示すように前述のように軒先端32'が異なる以外は、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第2実施例における支持材2'は、図3(b)に示すように横長面部21と縦面部22と介在面部23'とからなるアングル状である点では同様であるが、介在面部23'の上端から側方へ延在する支持面部25が形成された構成である。
図4に基づいて、この第2実施例の軒先構造を施工する方法について説明する。
まず、第1の工程は、建築物の躯体5Aに樋受け金具4を固定するが、具体的には、樋受け金具4の縦片を躯体5Aに沿わせ、固定部41にビス4bを打ち込んで固定する。
次に、第2の工程として、図4(a)に矢印にて示すように軒樋1の建築物側の側面13を前記樋受け金具4に取り付ける。即ち図示するように傾斜状に臨ませた軒樋1'の側面13の上端を、樋受け金具4の上方取付部44に差し込むように保持させると共に、側面13の下端を、樋受け金具4の下方取付部42に載置状に取り付ける。
続いて、第3の工程として、図4(b)に示すように前記軒樋1'の内部に支持材2'を配設すると共に、その基端を前記軒樋1'の建築物側の側面13に沿わせて固定し、他端を軒先側へ延在させる。具体的には、支持材2'の縦面部22を側面13(躯体5A)にビス2bを打ち込んで固定する。即ち同図に矢印にて示すように支持材2'を略水平状に臨ませ、その横長面部21が軒樋1'の水平面122に当接するように臨ませ、建築物側へスライド状に移動させることで、前述のように縦面部22を軒樋1'の側面13に沿わせることができる。
この第2実施例では、前記支持面部25と横長面部21とで軒樋1'の係合部14'が係合する被係合部24'が形成されるため、この被係合部24,24'の構成は異なるものの、前記第1実施例と全く同様の効果が果たされる。
なお、このように支持材2'を配設した状態は、図3(a)にも示しており、複数の樋受け金具4にて取り付けられた通り材である軒樋1'に、所定間隔にて短幅状の支持材2'を取り付ける状態が示されている。
その後、第4の工程として、図4(c)に示すように前記軒樋1'の開放上面を覆うようにカバー材3'を臨ませ、その上端部33を、建築物の外装下地5Bに固定した軒先唐草5Dに沿わせると共に、その軒先端32'を、前記軒樋1'の軒先端に設けた係合部14'と係合して接続する。同図には示していないが、図2(a)に示すようにカバー材3'の上端部33は、軒先唐草5Dにビス3bにて固定される。
なお、カバー材3'の軒先端32'と軒樋1'の係合部14'との裏面側には、支持材2'の支持面部25が位置しているので、表面側から図示しないビス等を打ち込んで強固に固定するようにしてもよい。
この図4の施工法は、第2実施例の軒先構造に関するものであるが、前記第1実施例の軒先構造についても全く同様に施工することができる。
なお、前記図2(a),(b)のみに示した補助材7について以下に説明する。
この補助材7は、傾斜状の上面部71と水平状の下面部72とが緩く(弧状に)連結された形状であって、上面部71の上端には、軒樋1'の係合部14'とカバー材3'の軒先端32'との連絡(接続)部分に介在させた保持部711が形成され、下面部72の下端には、略垂直状に垂下する水切部721が形成された水切を兼ねる部材である。
そのため、軒樋1'の係合部14'とカバー材3'の軒先端32'とが強固に連絡(接続)されるため、前記補助材7は、連結部分の補強材として作用する。
また、水切部721が形成されているため、カバー材2'を伝う雨水が裏面側へ廻り込み、更に建築物側(図では右方)へ伝おうとしても水切部721にて確実に落下してそれ以上の伝わりを防止できる。
それに対し、図2(c)は、前記水切の別の態様を示すものであり、この態様では軒樋1~とカバー材3~との接続に他部材(前記補助材7)を用いない態様である。
この態様における軒樋1~の係合部14~は、深い下向きの傾斜状面と浅い下向きの傾斜状面141とが緩く(弧状に)連結された形状であって、側面12を形成する水平面122の軒先端から延在している。そのため、この軒樋1~は、下り傾斜状の軒先端が形成されることになり、カバー材2~を伝う雨水が裏面側へ廻り込み、更に建築物側(図では右方)へ伝おうとしても傾斜状面141にて確実に雨水を落下させてそれ以上の伝わりを防止できる。
このように施工される第2実施例の軒先構造も、軒樋1'の建築物側の側面13を、建築物の躯体5Aに固定した樋受け金具4に取り付け、軒先端に設けた係合部14'を、建築物の外装下地5Bに固定したカバー材3'にて抱持状に(引っ張るように)保持している構造であって、軒樋1'の左右端を安定に保持できる。
しかも、この第2実施例でも、軒樋1'の係合部14'が、支持材2'の軒先端(被係合部24')に係合され、更に前記カバー材3'の軒先端32'と係合しているので、カバー材3'は軒樋1'ばかりでなく支持材2'をも引っ張るように保持するため、この支持材2'も外装下地5Bに固定したカバー材3'にて抱持状に(引っ張るように)保持され、支持強度は更に高くなる。また、軒樋1'と支持材2'との一体性が向上するので、カバー材3'を含めた三部材の一体性も向上する。
図5(a)に示す本発明の第3実施例の軒先構造は、カバー材3"と軒樋1"との連結態様は、前記第1実施例とは同様(接続部分に補助材を用いない)であり、支持材2”は、前記第2実施例と同様にカバー材3"裏面に当接する支持面部25a,25bを設けているが、この第3実施例では、軒先側と水上側との2箇所に設けて導水口311を除くほぼ全域に形成しているため、カバー材3"の変形を防いで、より安定に支持することができる。
なお、この第3実施例の支持材2"は、図5(b)に示すように側面視が直角三角形状であって、軒先側の斜辺の上端から側方へフランジ状に延在する支持面部25a、水上側の斜辺の上端から側方へフランジ状に延在する支持面部25bとした。
1,1',1" 軒樋
11 底面
12 (軒先側の)側面
121 傾斜面
122 水平面
13 (構造物側の)側面
14,14' 係合部
2,2',2" 支持材
2b ビス(固着具)
21 横長面部
22 縦面部(固定部)
23,23' 介在面部
24,24' 被係合部
25,25a,25b 支持面部
3,3',3" カバー材
3b ビス(固着具)
31 化粧面
32,32' 軒先端
33 上端部
4 樋受け金具
42 下方取付部
44 上方取付部
5A 躯体(鼻隠し壁面)
5B 外装下地(断熱材及び軽量鋼材)
5C 木毛セメント板
5D 軒先唐草
6A 横葺き外装材
61 面板部
62 軒側成形部
63 棟側成形部

Claims (3)

  1. 建築物の躯体に固定した樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、
    前記軒樋の内部に配設されると共に、基端が前記軒樋の建築物側の側面に沿い、他端が軒先側へ延在する支持材と、
    前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなる軒先構造であって、
    前記支持材の支持面部が前記カバー材裏面に当接することで支持すると共に、前記カバー材の上端は、建築物の外装下地に固定され、その下端は、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡されていることを特徴とする軒先構造。
  2. 前記軒樋の係合部は、前記支持材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
  3. 請求項1又は2に記載の軒先構造を施工する方法であって、
    建築物の躯体に樋受け金具を固定する第1の工程と、
    前記樋受け金具に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける第2の工程と、
    前記軒樋の内部に支持材を配設し、その支持面部がカバー材裏面に当接することで支持させると共に、その基端を前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定し、他端を軒先側へ延在させる第3の工程と、
    前記軒樋の開放上面を覆うように前記カバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地に固定すると共に、その下端を、前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡させる第4の工程と、からなることを特徴とする軒先構造の施工法
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