JP7171034B2 - 軒先構造、及びその施工法 - Google Patents
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Description
この軒樋を固定する構造(機構)としては、例えば特許文献1~3等に示されるものが広く知られている。
特許文献1には、軒樋と軒先前面との間隔をその下方において閉塞するカバー材を取り付け、該カバー材に設けた支持片(係止部)にて軒樋の一方の側面の上端(耳部)を係止する構造が記載されている。
特許文献2には、建物の外壁に固定する軒樋支持装置6に対し、多孔体5を含む上側部材3を上面側に、軒体本体1である下側部材4を吊り保持する構造が記載されている。
特許文献3には、外壁等に固定する軒樋カバー固定具1の基端側に軒樋Nの軒先側の側面の上端を吊り保持し、軒樋Nの他方側の側面の上端を上方からくわえ込むように固定する構造が記載されている。
また、前記特許文献2の構造では、軒樋支持装置6に軒樋本体1等の下側部材4を吊り保持するので、この軒樋支持装置6の固定部分に、軒樋本体1の自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
さらに、前記特許文献3の構造でも、軒樋カバー固定具1の固定部4に、軒樋Nの自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
この軒樋の排水部は、前述のように内部空間全体を指すが、通常程度の降雨であれば、底面近傍のみを雨水等が流れるようにし、その上方に支持材が配設されるようにすることが望ましい。底部近傍の上方に支持材が配置されることにより、支持材の下方部分が常に雨水に浸っている状態を回避でき、特に金属板材等の成形品である場合等における腐食等を極力避けることができる。
この係合部が、後述する図示実施例のように支持材の軒先端に係合される場合には、カバー材は軒樋ばかりでなく支持材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。
このカバー材の表面には、雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が形成され、該導水口の存在により、降雪の堆積や落ち葉等の浸入の防止も果たされる。
このカバー材としては、経年の使用により脱離や飛散しないものであれば、金属メッシュ材(金網状材)でもよい。この金属メッシュ材の開口寸法については、前記導水口と同様に広過ぎると落ち葉等の侵入が生じるため、その侵入を防止して雨水を導水できるものであればよい。
なお、脱離や飛散を防止する部位を、このカバー材に形成してもよいし、前記軒樋又は支持材に設けていてもよい。
この支持材としては、後述する図示実施例に示すように側面視が略三角状に形成されるが、その受支部(傾斜状辺)の上方にカバー材が沿い、その取付支持部(底辺)の下方に軒樋が配設されるので、カバー材の上方から、或いは軒樋の下方から突発的な応力が加えられた際に、この支持材で軒樋やカバー材の破損等を防止することができる。即ちこの支持材は、軒樋やカバー材の補強材としても作用するものである。
後述する図示実施例では、軒先側へ延在する側面視が三角状の基端(縦片)に固定具を打ち込む部分を固定部とし、カバー材が沿う傾斜状辺を受支部とし、軒樋の建築物側の側面の下端を載置状に受ける部分を下方取付部(取付支持部)とし、側面の上端を折り返した部分の下端を掛止状に受ける部分を上方取付部としたが、特にこれらに限定するものでもない。
なお、前記取付支持部を、下方から挿着可能な溝状空間に形成した場合、該溝状空間に対して軒樋の建築物の側面を下方から容易に取り付けることができる。
まず、第1の工程として、支持材の基端を固定すると共に他端を軒先側へ延在させる。
次に、第2の工程として、前記支持材に設けた取付支持部に、軒樋の建築物側の側面が支持され、前記支持材の軒先端に前記軒樋の軒先端が係合させるように配設する。
最後に、第3の工程として、前記軒樋の開放上面を覆うようにカバー材を臨ませ、その下端を前記軒樋の軒先端と連絡する。
第1実施例における軒樋1の排水部(内部空間)は、図1(b)や図2(e)に示すように略水平状の底面11の軒先側(図面では左側)に、傾斜面121と水平面122とで構成される段状の側面12が形成され、前記底面11の建築物側(図面では右側)には、略垂直状に起立する側面13が形成され、これらの底面11及び側面12,13にて断面略U字状の雨水等の排水路が形成されている。側面12を段状に形成したことで、最底部に常時排水部10が形成され、通常程度の降雨であれば、該常時排水部10を雨水等が流れるようにした。
この第1実施例における係合部14は、傾斜状の上面と水平状の下面とが鋭角状に連結され、傾斜状上面の上端を折り返した形状であって、記カバー材3の下端に設けた折り返し状の軒先端32と係合状に連絡(接続)されている。なお、その係合部分には、支持材2にビス固定(ビス3c)された吊子3Dが介在されている。
第1実施例における支持材2は、図1(b)に示すように略三角状の平板部21の上辺に傾斜面部22が形成され、側辺に略垂直状の縦面部23が形成され、該縦面部23の下端を略水平状に折り曲げて水平支持面24が形成され、前記平板部21には、下方が開放する溝状空間20が形成されている。
また、前記水平支持面24は、前記軒樋1の建築物側の側面13の下端(L字状部分)131を支持する下方取付部であり、前記溝状空間20の上端付近の段状部分が、前記軒樋1の側面13の上端を折り返した部分の下端132を掛止状に受ける上方取付部211である。
さらに、この支持材2の軒端であって、前記軒樋1の係合部14が係合する略三角状部分を被係合部25とした。
第1実施例におけるカバー材3は、図1(c)に示すようにその表面(化粧面31)には雨水を内部へ導く導水口311として複数の小径のスリット孔が形成され、その下端である軒先端32が形成されている。また、この化粧面31の水上端近くを、ビス3bにて支持材2に固定する固定部33とし、更にその水上端を外装下地Cに連絡される上端部34としている。
前記軒先端32は、化粧面31の下端を裏面側へ折り返して前記軒樋1の係合部14の傾斜状上面の上端(支持材2にビス3cにて固定した吊子3Dを介して)と係合するヘアピン状に形成されている。
前記上端部34は、化粧面31の水上端に位置する逆L字状部分であって、当該第1実施例では、外装下地5Cに固定された軒先唐草5Dに取り付け固定されている(固着具は図示していない)。
図中の5Aは略垂直状に配設された躯体(鼻隠し壁面)、5BはH形鋼、5Cはその軒棟方向に敷設された木毛セメント板(外装下地)、5Eは天井材、5Fは角鋼であって、6Aは外装材、6cは外装材を保持する吊子、6fは外装材の裏面側に配設された断熱材である。
そして、横葺き外装材である外装材6Aは、略平坦状の面板部61の軒側、棟側に設けられて相互に係合する軒側成形部62、棟側成形部63を備え、外装下地5Cに固定された吊子6c等にて取り付けられ(敷設され)ている。
また、前記軒先唐草5Dは、外装下地(5C)の軒先部分に嵌合状に取り付けられ、軒先側へ延在して外装材6Aの軒先端を係合させる被係合部と、該被係合部よりも更に軒先側へ突出して前記カバー材3を固定する被固定部と、を備える(固定具等は図示していない)。
なお、図2(d)には、折り曲げ加工前の展開図を示した。略三角状の平板部21の上辺に傾斜面部22が形成され、側辺に傾斜状縦面部23'及び縦面部23が形成され、この縦面部23の下端を略水平状に折り曲げて水平支持面24が形成され、下方が開放する溝状空間20が形成されている。これらの傾斜面部22、縦面部23及び傾斜状縦面部23'は、前記平板部21をそれぞれ略垂直状に折曲して形成されているので、部材としての強度が高いものであり、これらの傾斜面部22、傾斜状縦面部23'には、ビス2b,3bを打ち込むための孔221,231がそれぞれ形成されている。即ち傾斜面部22が受支部であり、傾斜状縦面部23'が固定部である。
また、同図に示す軒樋1"は、形状としては前記第1実施例に用いた軒樋1と同様であるが、側面13の下端(L字状部分)が下方取付部として機能しない(上方取付部が存在しない)ので、側面13にビス1bを打ち込んで躯体5Aに固定する以外は、前記第1実施例の軒樋1と全く同一であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、この第4実施例における軒樋1Gは、図4(b)に示すように部位の寸法が異なり、且つ軒先形状(係合部14g)が相違する以外は、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。即ちこの軒樋1Gにおける係合部14gは、深い下向きの傾斜状面と浅い下向きの傾斜状面141とが連結された形状であって、側面12を形成する水平面122の軒先端から延在している。そのため、この軒樋1Gは、下り傾斜状の軒先端が形成されることになり、カバー材3を伝う雨水が裏面側へ廻り込み、更に建築物側(図では右方)へ伝おうとしても傾斜状面141にて確実に雨水を落下させてそれ以上の伝わりを防止できる。
この支持材2Vの角度調整は、建築物の躯体5Aの傾斜角度に適応するものであって、調整片2Sに設けた横面27を本体2Gの平板部21に接面状に沿わせ、前記孔212,271が連通するように取り付け、図4(d)より明らかなようにボルト2Xが回転軸となり、任意の角度に調整した後に縦面28を固定するボルト2Yが固定ボルトとなるように用いる。
この図5軒先構造は、以下の外装構造9Dが適用されているが、躯体5A'の傾斜角度に応じて本体2Gに対する調整片2Sの角度調整を行って取り付けている。
前記外装構造9Dは、縦葺き外装構造であり、傾斜状に配設された建築物の躯体5A'の上方に構築されている。
前記外装構造9Dにおける図中の符号は、8Aが縦葺き外装材、8Bがそれを取り付ける吊子、8Cが天井材、7Aが下地(木毛セメント板)、7Bが躯体を示している。
11 底面
12 (軒先側の)側面
121 傾斜面
122 水平面
13 (構造物側の)側面
14,14' 係合部
2,2',2",2G,2V 支持材
2S 調整片
2b ビス(固着具)
20,20' 溝状部分
21 平板部
211 上方取付部
22 傾斜面部(受支部)
23,23' 縦面部(固定部)
24 水平支持面(下方取付部)
25 被係合部
3,3' カバー材
3b ビス(固着具)
31 化粧面
32,32' 軒先端
33 上端部
5A 躯体(鼻隠し壁面)
5B H形鋼
5C 木毛セメント板(外装下地)
5D 軒先唐草
6A 横葺き外装材
61 面板部
62 軒側成形部
63 棟側成形部
9D,9F 外装構造
Claims (4)
- 基端が建築物の躯体に固定されると共に、軒先側へ延在する側面視が三角状の周辺に、基端に固定部、上端に受支部、下端に取付支持部、を形成した支持材と、
前記支持材に設けた取付支持部に、建築物側の側面が支持される軒樋と、
該軒樋の開放上面を覆い、前記支持材に設けた前記受支部に支持されるカバー材と、からなる軒先構造であって、
前記軒樋の軒先端には、前記支持材の軒端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡される係合部が設けていることを特徴とする軒先構造。 - 前記支持材の取付支持部は、下方から挿着可能な溝状空間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
- 前記カバー材の上端は、建築物の外装下地に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軒先構造。
- 請求項1~3の何れか一項に記載の軒先構造を施工する方法であって、
前記支持材の基端の前記固定部を固定すると共に他端を軒先側へ延在させる第1の工程と、
前記支持材に設けた取付支持部に、軒樋の建築物側の側面が支持され、前記支持材の軒先端に前記軒樋の軒先端が係合させるように配設する第2の工程と、
前記軒樋の開放上面を覆い、前記支持材に設けた前記受支部に支持されるようにカバー材を臨ませ、その下端を前記軒樋の軒先端と連絡する第3の工程と、からなることを特徴とする軒先構造の施工法。
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