JP7088824B2 - インロー継式の釣竿 - Google Patents
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Description
本実施形態の釣竿1は、元竿杆10の先端側に順次着脱可能に連結される3本の竿杆(中竿杆20,30、及び、穂先竿杆40)を備えた4本継構造となっており、各竿杆の先端は、インロー80が嵌合固定された継構造(インロー継)を備えている。すなわち、元竿杆10の先端部12に固定されたインロー80には、中竿杆20の後端部21が嵌合固定され、中竿杆20の先端部22に固定されたインロー80には、中竿杆30の後端部31が嵌合固定され、中竿杆30の先端部32に固定されたインロー80には、穂先竿杆40の後端部41が嵌合固定される。このため、インロー80は、小径側の竿杆の後端部の開口の内周面が嵌入、固定できるように、各竿杆の先端部に対して、インローの先端側が露出するようにして嵌入、固定されている。
以下の説明において、大径竿杆及び小径竿杆とは、インロー80を介して互いに連結(継合)される部分の竿杆の関係を意味する。このため、図1に示す中竿杆20は、中竿杆30との関係では、大径竿杆となり、元竿杆10との関係では、小径竿杆となる。
以下に説明する継合部の拡大図では、大径竿杆を中竿杆20で、小径竿杆を中竿杆30で示すこととする。すなわち、本実施形態のような4本継の釣竿では、各竿杆同士の継合構造が略同一であるため、代表的に中竿杆20と中竿杆30との間の継合関係を図示して説明する。また、先端(先端側)とは、図1で示すように、釣竿の穂先側を意味し、後端(後端側)とは、釣竿の竿尻側を意味する。
インロー80は、大径竿杆20の先端部22の開口側から圧入、固定されており、インロー80の後端側の外周面81が、大径竿杆20の先端部の開口の内周面22aに接着、固定されている。インロー80は、大径竿杆20の先端部22の開口縁22bから突出しており、その突出している先端側の外周面82に、小径竿杆30の後端部31の開口の内周面31aが圧入、固定される。この場合、小径竿杆30は、インロー80の長手方向の全体に亘って圧入されることはなく、小径竿杆30の後端部31の開口縁31bと、大径竿杆20の先端部22の開口縁22bとの間で、隙間lを介して圧入、固定状態となる。
なお、隙間lについては、全ての竿杆の継合部領域で存在しており、その隙間lの長さについては、全ての継合部分で略同一となるように形成されている。
ここでは、JIS K7074に準拠した4点曲げ試験を実施し、図2に示した継合構造と同様、小径竿杆と大径竿杆がインローによって継ぎ合わされた試験片について、曲げ破壊強さを測定することで行なった。
図3に示す小径竿杆130及び大径竿杆120は、いずれも炭素繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグシートをマンドレルに巻回し、常法に従い、焼成、脱芯することで形成したものである。小径竿杆130の内径は8.09mm、大径竿杆120の内径は8.20mmであり、小径竿杆130の後端部131に、図2に示した構成と同様、後端側に向かって次第に拡径する傾斜面(傾斜角度θ1)を形成すると共に、大径竿杆120の先端部122にも、先端側に向かって次第に拡径する傾斜面(傾斜角度θ1)を形成した。この場合、傾斜面が形成される軸方向長さ(図2で示す軸方向長さL1)については、2mmに設定した。
この応力緩和面31Bは、その軸方向長さL2が、前記傾斜面31Aの軸方向長さL1以下であれば十分であり(例えば、L1を2mmとした場合、1mm程度で十分)、内周面31aからインロー80の外周面に対して作用する押圧力を弱めるように構成されたものであれば良い。なお、上記したように、インロー80の外周面82については、傾斜角度αが略0.4°程度となるようなテーパ状に形成されており、先端側に移行するに従って小径竿杆の内周面31aから次第に離間することから、このような構成では、軸方向長さL2の範囲内が応力緩和面として機能するものと考えられる。
上記のように、大きい凹凸231の凹凸が残った状態で微小な凹凸232の表面部分が平滑化されるので、このような表面状態では、微小な凹凸232に異物が付着したり、堆積することが抑制され、従って、大きい凹凸231が異物によって埋もれるようなことはなく長期に亘って安定した応力緩和作用が得られるようになる。また、そのような薄膜100に色彩を付しておくことで、美観を向上することも可能になる。
上記したような傾斜面31Aや応力緩和面31Bについては、小径竿杆を例示して説明したが、大径竿杆30の先端部32の開口内面にも同様に形成しておくことが好ましい。また、上記した釣竿の竿杆の本数は4本としたが、継本数については限定されることはない。さらに、上記した応力集中を緩和させる構成については、並継式の継合部分に適用することも可能である。
10 元竿杆
20,30 中竿杆
31A 傾斜面
31B 応力緩和面
40 穂先竿杆
80 インロー
100 薄膜
231 大きい凹凸
232 微小な凹凸
Claims (5)
- 大径竿杆と小径竿杆を、インローによって着脱可能に連結するインロー継式の釣竿において、
前記小径竿杆の後端側には、前記インローの外周面に対して嵌入、固定される開口内周面が形成されており、
前記開口内周面は、開口縁から先端側に向けて一定の軸方向長さで縮径し、前記インローの外周面との間で隙間を有するように、小径竿杆の中心軸に対して0.1~10°の範囲内で傾斜する傾斜面を備えており、
前記傾斜面は、1/100μmオーダの大きい凹凸と、1/1000μmオーダの微小な凹凸を含んで粗面化されており、
前記大きい凹凸を残し微小な凹凸部分を平滑化するように、前記傾斜面に薄膜を被着したことを特徴とするインロー継式の釣竿。 - 前記傾斜面よりも先端側には、前記インローの外周面に対向し、前記一定の軸方向長さ以下の範囲内で、インローの外周面に作用する応力を緩和する応力緩和面が形成されており、
前記薄膜は、前記応力緩和面上に被着されていることを特徴とする請求項1に記載のインロー継式の釣竿。 - 前記薄膜は、塗装によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインロー継式の釣竿。
- 前記小径竿杆の開口内周面に形成される前記傾斜面は、前記小径竿杆の中心軸に対し、1°~3°の範囲内で傾斜し、前記一定の軸方向長さは、1mm~3mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインロー継式の釣竿。
- 前記インローの外周面は、前記小径竿杆の中心軸に対し、先端側に向けて縮径するように傾斜すると共に、前記中心軸に対する傾斜角度は、前記小径竿杆の開口内周面の傾斜面の傾斜角度未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインロー継式の釣竿。
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