JP2017046610A - 釣糸ガイド及びこれを備える釣竿 - Google Patents

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Abstract

【課題】 短繊維を含有する繊維強化樹脂を用いて形成される釣糸ガイドにおいて、短繊維による不要な毛羽立ちを抑制する。
【解決手段】 一実施形態における釣糸ガイドは、釣糸を案内するガイドリングと、当該ガイドリングが取り付けられる貫通孔が形成されたリング取付部と、竿体が通される貫通孔が形成されると共に竿体の長手方向の特定の位置において当該竿体に固定される固定部と、を備え、リング取付部及び/又は固定部は、竿体の長手方向を指向する複数の短繊維を含有する繊維強化樹脂によって形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、釣糸ガイド及びこれを備える釣竿に関し、詳しくは、竿体の長手方向に遊動するように当該竿体に設けられる遊動式の釣糸ガイド及びこれを備える釣竿に関する。
従来より、釣糸を案内する釣糸ガイドとして、軽量化、柔軟性の確保等のために、マトリクス樹脂に強化繊維を混入した繊維強化樹脂を用いて形成されたものが提案されている。例えば、日本国特開昭60−196134号公報には、内側環(ガイドリング)を固定する部分を含む釣糸ガイドの本体部を、短繊維を混合した熱可塑性合成樹脂で一体成形した釣糸ガイドが開示されている。こうした釣糸ガイドは、短繊維を混合した合成樹脂を用いて射出成形され、その後、テーパーリーマー等の工具を用いて、ガイドリングを固定する貫通孔の内周面が研磨されると共に当該貫通孔の内径が調整(拡径)される。
特開昭60−196134号公報
しかしながら、上述した短繊維の繊維強化樹脂を用いた場合、ガイドリングを固定する貫通孔の内周面に短繊維が露出して、当該内周面に毛羽が立ってしまうことがある。特に、貫通孔の径方向に突出して露出する短繊維は、上述したテーパーリーマー等を用いて貫通孔を研磨及び拡径する工程の妨げとなり易い。従って、短繊維の繊維強化樹脂を用いて形成される釣糸ガイドにおいて、短繊維による不要な毛羽立ちを抑制することが望まれる
本発明の実施形態は、短繊維を含有する繊維強化樹脂を用いて形成される釣糸ガイドにおいて、短繊維による不要な毛羽立ちを抑制することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、竿体の長手方向に遊動するように前記竿体に設けられる遊動式の釣糸ガイドであって、釣糸を案内するガイドリングと、前記ガイドリングが取り付けられる第1の貫通孔が形成されたリング取付部と、前記竿体が通される第2の貫通孔が形成されると共に前記竿体の長手方向の特定の位置において前記竿体に固定される固定部と、を備え、前記リング取付部及び/又は前記固定部は、複数の短繊維を含有する繊維強化樹脂によって形成されている。前記複数の短繊維は、前記リング取付部及び/又は前記固定部の少なくとも表層部において前記竿体の長手方向に指向する。
本発明の一実施形態に係る釣竿は、上述した一実施形態に係る釣糸ガイドを備える。
本発明の様々な実施形態によって、短繊維を含有する繊維強化樹脂を用いて形成される釣糸ガイドにおいて、短繊維による不要な毛羽立ちを抑制することができる。
一実施形態に係る釣竿1の外観図。 一実施形態に係る釣糸ガイド10の外観図。 一実施形態に係る釣糸ガイド10の斜視図。 一実施形態に係る釣糸ガイド10の断面図。 一実施形態に係る釣糸ガイド10を形成する繊維強化樹脂の軸方向断面を模式的に示す図。 一実施形態における固定部14の内周面から短繊維32が露出する様子を模式的に示す図。
以下、本発明の様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10を備える本発明の一実施形態に係る釣竿1の外観図である。一実施形態の釣竿1は、図示するように、手元竿3と、複数(図1の例では3本)の中竿5と、穂先竿7と、を有する振り出し式の釣竿として構成されており、釣竿1の不使用時においては、中竿5及び穂先竿7が中空の手元竿3に収納される。
一実施形態の手元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、炭素繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグシート等を用いて形成され得る。また、手元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、それぞれ穂先方向に先細りとなるテーパー形状を有する。
図1及び図2に示すように、中竿5及び穂先竿7の外周面には、リールRから繰り出される釣糸を案内する複数の一実施形態に係る釣糸ガイド10が設けられている。当該釣糸ガイド10は、遊動式の釣糸ガイドとして構成されており、竿体5、7(中竿5及び穂先竿7)が手元竿3に収納されるときには、竿体5、7に対する固定が解除されて、穂先側端部に移動する。
図3は、一実施形態における釣糸ガイド10の斜視図であり、図4は、同じく釣糸ガイド10の軸方向(竿体5、7の長手方向)に沿った断面図である。なお、図3及び4においては、竿体5、7の図示を省略している。釣糸ガイド10は、図示するように、釣糸が通される環状のガイドリング12と、筒状の部材であって内周面が竿体5、7の外周面に接触して摩擦力等により固定される固定部14と、筒状の固定部14の軸方向略中央から径方向外側に突出する平板状の部材であってガイドリング12が取り付けられるリング取付部16と、を備える。
一実施形態のガイドリング12は、内側に通されて摺動する釣糸に対する摩擦力が比較的小さい部材によって形成することができ、例えば、チタン、アルミニウム、SUS、セラミックス等によって形成され得る。
一実施形態の固定部14は、筒状の中空部分を構成する貫通孔22(第2の貫通孔)を有し、当該貫通孔22に竿体5、7が通される。図4に示すように、固定部14の貫通孔22は、穂先方向に先細りとなるテーパー形状を有している。そして、竿体5、7が手元竿3に収納されているときに穂先側端部に位置する釣糸ガイド10は、竿体5、7が振り出されると、当該竿体5、7の長手方向の特定の位置であって、固定部14の内周面が竿体5、7の外周面に当接する位置で固定される。即ち、一実施形態における複数の釣糸ガイド10の各々は、予め定められた長手方向の特定の位置における竿体5、7の外径及びテーパー形状に適合するように、固定部14の内径(貫通孔22の直径)及び貫通孔22のテーパー形状が設定されている。また、固定部14の貫通孔22を画定する内周面には、釣糸ガイド10の軸方向(竿体5、7の長手方向)に沿って延伸するように形成された複数の凸条(不図示)を有していてもよい。かかる凸条により、竿体5、7の周方向への釣糸ガイド10の回転を抑制することができる。この複数の凸条は、例えば、周方向に互いに等間隔で離間して形成される。固定部14の内周面の凸条の間は平滑な曲面に形成される。
一実施形態のリング取付部16は、ガイドリング12を取り付けるための貫通孔20(第1の貫通孔)が形成されており、この貫通孔20を画定するリング取付部16の内周面に、ガイドリング12が嵌め込まれて固定されている。
一実施形態において、固定部14及びリング取付部16は、多数の短繊維を含有する繊維強化樹脂によって一体に成形されている。例えば、固定部14及びリング取付部16は、多数の短繊維を含有するマトリクス樹脂を用いて一体に射出成形され、その後、貫通孔20、22に相当する部分をテーパーリーマー等の工具を用いて加工することによって形成される。
一実施形態における固定部14及びリング取付部16を形成する繊維強化樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、又はポリカーボネート等の熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂として、多数の炭素繊維等の短繊維を混入することによって形成される。一実施形態における短繊維は、例えば、略円柱形状を有し、平均繊維径が3−15μmの範囲にあり、平均繊維長さが0.5−10mmの範囲にある。また、一実施形態において、繊維強化樹脂における短繊維の含有量は、例えば、マトリクス樹脂に対して10−60質量%の範囲にある。ここに開示した短繊維の形状、寸法、及び含有量等は例示であって、本発明の実施形態における短繊維のこれらの特性は、ここに例示したものに限られない。
一実施形態において、固定部14及びリング取付部16を形成する繊維強化樹脂が含有する多数の短繊維は、固定部14及び/又はリング取付部16の少なくとも一部分、例えば、固定部14の貫通孔22を画定する内周面の表層部及び/又はリング取付部16の貫通孔20を画定する内周面の表層部において竿体5、7の長手方向を指向している。固定部14の貫通孔22を画定する内周面の表層部は、固定部14のうち、例えばその内周面から2.0mmの深さまでの領域を指す。また、リング取付部16の貫通孔20を画定する内周面の表層部は、リング取付部16のうち、例えばその内周面から2.0mmの深さまでの領域を指す。本明細書で説明する表層部の深さはあくまで例示に過ぎず、本発明の釣糸ガイドおける表層部の深さは本明細書に具体的に開示されたものには限定されない。
図5は、当該繊維強化樹脂によって形成される固定部14又はリング取付部16の表層部の、竿体5、7の長手方向に直交する断面を模式的に例示する。当該断面において、図示するように、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂30に含まれる短繊維32の大部分(例えば、70%以上、より好ましくは90%以上)は、略円形の形状として観察される。そして、当該短繊維32は略円柱形状を有するから、当該断面において略円形の形状を有する短繊維32は、竿体5、7の長手方向に沿う向きで配置されている(短繊維32の長手方向が、竿体5、7の長手方向を向いている)と言うことが出来る。ここで、固定部材14の内周面に上述した凸条を形成する場合、かかる凸条は、その凸条の間にある平滑な曲面に比べて少量の短繊維を含有するように形成されてもよい。固定部材14に対して研磨加工や切削加工を行う場合、短繊維32の含有量が少ないほど加工性はよいので、凸条における短繊維の含有量を比較的少量とすることにより、固定部材14の内周面をテーパーリーマー等の工具を用いて加工する際の加工性が向上する。
ここで、一実施形態において、マトリクス樹脂30に含まれる短繊維32の向きを制御する手法は、特に限定されないが、例えば、短繊維32を混入したマトリクス樹脂30を射出成形用の金型に注入するときの、当該マトリクス樹脂30の流れる方向を制御することによって、短繊維32の向きを制御することができる。具体的には、例えば、固定部14及びリング取付部16を一体成形する金型に注入するマトリクス樹脂30の流れる方向を、竿体5、7の長手方向に対応する方向とすることによって、当該マトリクス樹脂30に含まれる短繊維32は当該長手方向を指向する。固定部材14の内周面に上述した凸条を形成する場合、凸条に対しては注入されたマトリクス樹脂30が流動しにくいため、凸条における短繊維の含有量を固定部材14の他の部分(例えば、凸条の間にある平滑な曲面)よりも少なくすることができる。また、固定部材14の周方向における凸条の幅を短繊維の長さよりも小さくすることにより、成型時に凸条に短繊維が入りにくくすることができる。
一実施形態において、上記射出成形後、固定部14の貫通孔22、及び、リング取付部16の貫通孔20に相当する部分は、テーパーリーマー等の工具によって内周面が研磨されると共に内径が調整(拡径)される。このとき、上述したように、繊維強化樹脂に含まれる短繊維32は、竿体5、7の長手方向を指向しているから、貫通孔20、22の径方向に突出して露出し難い。従って、当該研磨及び拡径の作業は阻害され難い。
また、固定部14の貫通孔22は、上述したように、穂先方向に先細りとなるテーパー形状を有しているから、図6に示すように、竿体5、7の長手方向を指向する短繊維32の一部が、固定部14の内周面において長手方向の手元側に突出して露出する。
ここで、上述したように、釣糸ガイド10は、固定部14の内周面が竿体5、7の外周面に当接して固定されるから、固定部14の内周面において長手方向に突出して露出する短繊維32は、固定部14の内周面と竿体5、7の外周面との間に生じる摩擦力を増大させる。この結果、釣糸ガイド10が、竿体5、7により強固に固定され得る。
ここで、一実施形態の釣竿1において、竿体5、7のテーパー形状のテーパー角度は、穂先側ほど大きくなる(急峻になる)ように構成されている。従って、穂先側の位置で固定される釣糸ガイド10ほど、固定部14の貫通孔22のテーパー角度も大きくなり、この結果、長手方向を指向する短繊維32が露出し易くなる。一方、小径である穂先側の位置で固定される釣糸ガイド10は、竿体5、7の外周面との接触面積が小さくなるため摩擦力も小さくなり、例えば、釣糸の摺動に応じて意図せずに回転し易い。一実施形態においては、摩擦力が小さくなりやすい当該穂先側の位置で固定される釣糸ガイド10ほど、上述したように、固定部14の貫通孔22において短繊維32が露出し易くなっているから、露出する短繊維32によって摩擦力が増大し、上記意図しない回転等が抑制され得る。
上述した一実施形態においては、固定部14とリング取付部16とを一体成形するように構成したが、本発明の他の実施形態においては、固定部14とリング取付部16とは別体として形成され得る。また、固定部14及びリング取付部16の一方のみを、短繊維が長手方向を指向する繊維強化樹脂によって形成するように構成することもできる。
以上説明した本発明の様々な実施形態における釣糸ガイド10は、釣糸を案内するガイドリング12と、当該ガイドリング12が取り付けられる貫通孔20(第1の貫通孔)が形成されたリング取付部16と、竿体5、7が通される貫通孔22(第2の貫通孔)が形成されると共に竿体5、7の長手方向の特定の位置において当該竿体5、7に固定される固定部14と、を備え、リング取付部16及び/又は固定部14は、竿体5、7の長手方向を指向する複数の短繊維32を含有する繊維強化樹脂によって形成されている。従って、貫通孔20及び/又は貫通孔22において、短繊維32が径方向に突出して露出することが抑制される。即ち、本発明の様々な実施形態は、短繊維を含有する繊維強化樹脂を用いて形成される釣糸ガイドにおいて、短繊維による不要な毛羽立ちを抑制することができ、この結果、釣糸ガイドにおける貫通孔の研磨及び拡径の作業が阻害され難い。
また、本発明の様々な実施形態における釣糸ガイド10は、短繊維を含有する繊維強化樹脂を用いて形成されるから、長繊維を含有する繊維強化樹脂を用いる場合と比較して、曲げ剛性が高くなり難い。この結果、本発明の様々な実施形態における釣糸ガイド10は、釣竿1の曲がりに対する追従性を確保し易い。
本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変更が可能である。例えば、釣竿1に設けられる釣糸ガイド10の数、位置、形状等は、上述した実施形態に限定されるものではない。
1 釣竿
3 手元竿
5 中竿
7 穂先竿
10 釣糸ガイド
12 ガイドリング
14 固定部
16 リング取付部
20、22 貫通孔

Claims (6)

  1. 竿体の長手方向に遊動するように前記竿体に設けられる遊動式の釣糸ガイドであって、
    釣糸を案内するガイドリングと、
    前記ガイドリングが取り付けられる第1の貫通孔が形成されたリング取付部と、
    前記竿体が通される第2の貫通孔が形成されると共に前記竿体の長手方向の特定の位置において前記竿体に固定される固定部と、を備え、
    前記リング取付部及び/又は前記固定部は、複数の短繊維を含有する繊維強化樹脂によって形成されており、
    前記複数の短繊維は、前記リング取付部及び/又は前記固定部の少なくとも表層部において前記竿体の長手方向に指向する、
    釣糸ガイド。
  2. 前記リング取付部及び前記固定部は、一体に成形されている請求項1に記載の釣糸ガイド。
  3. 前記複数の短繊維は、平均繊維径が3−15μmの範囲にある請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
  4. 前記複数の短繊維は、平均繊維長さが0.5−10mmの範囲にある請求項1ないし3何れかに記載の釣糸ガイド。
  5. 前記第2の貫通孔は、テーパー形状を有し、前記複数の短繊維の一部が前記竿体の長手方向に突出して露出している請求項1ないし4何れかに記載の釣糸ガイド。
    釣糸ガイド。
  6. 請求項1ないし5何れかに記載の釣糸ガイドを備える釣竿。
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