JP7087762B2 - TaC被覆黒鉛部材 - Google Patents

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Description

本発明は、TaC被覆黒鉛部材に関し、さらに詳しくは、腐食性ガスに対する高い耐食性と、表面の多孔性とを兼ね備えたTaC被覆黒鉛部材に関する。
薄膜、単結晶、あるいはナノ粒子を合成する方法の1つとして、液体原料を気化させ、発生した原料の蒸気を熱分解させ、基板表面又は気相中に目的とする材料を生成させる方法が知られている。このような気相を用いた材料合成法は、膜厚、材料組成、結晶構造などを精密に制御できるという利点はあるが、原料蒸気の供給速度が律速となることが多い。また、原料蒸気の供給に際して、装置内の特定箇所が腐食性ガスに曝される場合もある。そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、等方性黒鉛からなる黒鉛基材と、黒鉛基材の表面を被覆する無配向粒状組織からなる炭化物被膜とを備えた高温耐熱部材が開示されている。
同文献には、
(a)炭化物被膜は、無配向粒状組織を呈しているためにクラックが伝搬しにくい点、
(b)その結果として、高温耐熱部材を高温雰囲気下で長時間使用した場合であっても黒鉛基材が保護される点、及び、
(c)このような高温耐熱部材は、III族窒化物のMOCVDエピタキシャル成長のためのサセプタ部材などに用いることができる点
が記載されている。
特許文献2には、黒鉛基材の表面に、微粒子が緻密に積層した結晶組織の炭化タンタル被膜が形成された炭素複合材料が開示されている。
同文献には、
(a)アークイオンプレーティング(AIP)式反応蒸着法を用いると、微粒子が緻密に積層したTaC被膜を形成することができる点、及び、
(b)TaC被膜を微粒子化することにより、TaC被膜内のクラックの進行を著しく遅らせることができ、これによってTaC被膜の剥離を抑制できる点
が記載されている。
さらに、特許文献3には、相対密度が40%以上99%以下であり、かつ、平均細孔径が10nm以上200μm以下であるTaC製エバポレーターを備えた金属蒸気供給装置が開示されている。
同文献には、
(a)平均細孔径及び相対密度を最適化したTaC製エバポレーターを用いると、金属蒸気の供給速度を従来の数倍から数十倍程度まで増加させることができる点、及び、
(b)このような金属蒸気供給装置をGaN単結晶の成長に適用すると、従来の方法に比べてGaN単結晶の成長速度を約3~5倍以上に向上させることができる点、
が記載されている。
黒鉛は、加工が比較的容易であり、かつ、耐熱性に優れている。しかし、黒鉛は、ある種の腐食性ガスに対する耐食性に劣る。一方、TaCは、耐熱性及び耐食性に優れている。しかし、TaCは、典型的な超硬材料であるため、加工が困難であり、部材の大型化や複雑形状化には限界がある。
これに対し、特許文献1、2に記載されているように、黒鉛の表面を緻密なTaC層で被覆すると、易加工性、高耐熱性、及び高耐食性を兼ね備えた部材を得ることができる。
しかしながら、従来のTaC被覆黒鉛部材においては、TaC被膜を緻密に形成すること、及び、腐食性ガスに対する耐食性を向上させることに注力され、TaC被膜を多孔質化させた時に生じる新たな機能に関しては検討されていなかった。
例えば、黒鉛部材の表面を多孔質のTaC被膜で被覆すると、溶融金属に対する濡れ性が向上する。そのため、このような部材を、低融点金属を蒸発させるためのエバポレーターに適用すると、金属蒸気の供給速度が向上することが期待される。しかし、TaC被膜を単に多孔質化すると、腐食性ガスが黒鉛基材まで到達しやすくなるために、耐食性及び耐久性が低下する。腐食性ガスに対する高い耐食性と、溶融金属(例えば、溶融Ga)に対する高い濡れ性とを兼ね備え、加工も容易な部材が提案された例は、従来にはない。
特開2013-075814号公報 特開平10-245285号公報 特開2016-157886号公報
本発明が解決しようとする課題は、腐食性ガスに対する高い耐食性と、表面の多孔性と、易加工性とを兼ね備えた、新規なTaC被覆黒鉛部材を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、Gaなどの低融点金属を蒸発させるためのエバポレーターとして使用することができ、しかも、高い金属蒸気の供給速度と、高い耐久性とを兼ね備えた、新規なTaC被覆黒鉛部材を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るTaC被覆黒鉛部材は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記TaC被覆黒鉛部材は、
等方性黒鉛からなる基材と、
前記基材の表面に形成されたTaC被膜と、
を備えている。
(2)前記TaC被膜は、
相対密度がR1~Rnであり、厚さがt1~tnである第1層~第n層(n≧2)の積層体からなり、
前記基材と前記TaC被膜との界面側に形成された第1層の相対密度R1は、前記TaC被膜の表面側に形成された第n層の相対密度Rnより大きい。
等方性黒鉛からなる基材の表面にTaC被膜を形成する場合において、界面側に相対密度が大きい第1層(緻密層)を形成すると、第1層により基材が保護される。その結果、腐食性ガスに対する高い耐食性が得られる。一方、表面側に相対密度が小さい第n層(多孔層)を形成すると、溶融金属に対する濡れ性が向上する。そのため、このようなTaC被覆黒鉛部材を、Gaなどの低融点金属を蒸発させるためのエバポレーターに適用すると、耐久性を低下させることなく、金属蒸気の供給速度を向上させることができる。
本発明に係るTaC被覆黒鉛部材の断面模式図である。 規格化した這い上がり高さの相対密度依存性を示す図である。 規格化した這い上がり高さの平均細孔径依存性を示す図である。 使用可能回数に及ぼすTaC被膜の相対密度の影響を示す図である。 使用可能回数に及ぼすTaC被膜の膜厚の影響を示す図である。 本発明に係るTaC被覆黒鉛部材の断面SEM像である。 Ga蒸発量に及ぼすTaC多孔層の相対密度及び膜厚の影響を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. TaC被覆黒鉛部材]
図1に、本発明に係るTaC被覆黒鉛部材の断面模式図を示す。図1において、TaC被覆黒鉛部材10は、以下の構成を備えている。
(1)TaC被覆黒鉛部材10は、
等方性黒鉛からなる基材20と、
基材20の表面に形成されたTaC被膜30と、
を備えている。
(2)TaC被膜30は、
相対密度がR1~Rnであり、厚さがt1~tnである第1層32~第n層34(n≧2)の積層体からなり、
基材20とTaC被膜30との界面側に形成された第1層32の相対密度R1は、TaC被膜30の表面側に形成された第n層34の相対密度Rnより大きい。
[1.1. 基材]
基材20は、等方性黒鉛からなる。「等方性黒鉛」とは、冷間静水圧成型(Cold Isostatic Press法/CIP法)により作製された多結晶黒鉛材料をいう。黒鉛は、六方晶系に属するため、特性に異方性がある。一方、等方性黒鉛は、各結晶粒の結晶方位が無配向であるため、切り出し方向の違いによる特性差が無いという特徴がある。
本発明において、基材20の形状、大きさ等は特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[1.2. TaC被膜]
[1.2.1. 形成箇所]
TaC被膜30は、基材20の表面に形成される。図1においては、基材20の上面にのみTaC被膜30が形成されているが、これは単なる例示である。すなわち、TaC被膜30は、基材20の全面に形成されていても良く、あるいは、一部の面のみに形成されていても良い。
[1.2.2. 多層構造]
本発明において、TaC被膜30は、所定の相対密度Rk及び厚さtk(1≦k≦n)を持つ合計n個(n≧2)の層の積層体からなる。また、TaC被膜30を構成する各第k層は、通常、相対密度Rkに対応する平均細孔径dkを持つ。
なお、図1において、TaC被膜30は、基材20とTaC被膜30との界面側に形成された第1層32と、TaC被膜30の表面側に形成された第n層(第2層)34の2層構造になっているが、これは単なる例示である。すなわち、TaC被膜30は、相対密度が異なる3層以上の層の積層体であっても良い。
TaC被膜30が3層以上の多層構造を備えている場合、少なくとも、基材20に接している第1層32が後述する「緻密層」の条件を満たし、かつ、大気に接している第n層34が後述する「多孔層」の条件を満たしていれば良い。第2~第(n-1)層の相対密度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。
但し、相対密度の過度の不連続性は、TaC被膜30の耐久性を低下させる原因となる。従って、TaC被膜30は、基材20とTaC被膜30との界面からTaC被膜30の表面に向かって、相対密度が段階的又は連続的に減少しているものが好ましい。
ここで、「第k層の相対密度Rk」とは、第k層の断面のSEM像(倍率2000倍×3視野)を画像処理することにより得られる値であって、視野面積に対するTaCが充填されている(視野面積から空隙の面積を差し引いた)領域の面積の割合をいう。
「第k層の平均細孔径dk」とは、第k層の表面のSEM像(倍率2000倍×3視野)を画像処理することにより得られる値であって、表面に存在する空隙の大きさを円相当径(空隙の面積と同一の面積を有する円の直径)に換算した時の、円相当径のメディアン値をいう。
相対密度が段階的に変化している場合において、「第k層の厚さtk」とは、相対密度がほぼ一定と見なせる領域の厚さをいう。
相対密度が連続的に変化している場合において「第k層の厚さtk」とは、相対密度が第(k-1)臨界値RCR(k-1)以上第k臨界値RCRk以下の範囲にある領域をいう。第(k-1)臨界値RCR(k-1)及び第k臨界値RCRkの値は、目的に応じて最適な値を選択することができる。すなわち、相対密度が連続的に変化している場合、TaC被膜30は、相対密度Rkが一定であり、厚さtkが極めて薄い層の積層体と見なしても良く、あるいは、層内で相対密度Rkが傾斜しており、厚さtkが相対的に厚い層の積層体と見なしても良い。
[1.2.3. 第1層(緻密層)]
[A. 相対密度]
第1層32は、基材20とTaC被膜30との界面側に形成される緻密層である。第1層32の相対密度R1は、少なくとも第n層34の相対密度Rnより大きくなっている必要がある。第1層32は、主として基材20を腐食性ガスから保護するための機能を持つ。そのためには、第1層32の相対密度R1は、高いほど良い。高い耐久性を得るためには、第1層32の相対密度R1は、95%以上が好ましい。相対密度R1は、好ましくは、97%以上、さらに好ましくは、99%以上である。
[B. 平均細孔径]
上述したように、第1層32は、主として基材20を腐食性ガスから保護するための機能を持つ。そのため、第1層32の平均細孔径d1は、小さいほど良い。
[C. 厚さ]
第1層32の厚さt1は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。一般に、第1層32の厚さt1が厚くなるほど、耐久性が向上する。このような効果を得るためには、第1層32の厚さt1は、10μm以上が好ましい。厚さt1は、好ましくは、30μm以上、さらに好ましくは、100μm以上である。
一方、第1層32の厚さt1が厚くなりすぎると、不要にコスト増となってしまう。従って、第1層32の厚さt1は、200μm以下が好ましい。厚さt1は、好ましくは、150μm以下である。
[1.2.4. 第n層(多孔層)]
[A. 這い上がり高さ]
本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10は、溶融金属を蒸発させるためのエバポレーターとして用いることができる。この場合において、金属蒸気の発生を促進させるためには、エバポレーターの表面において毛細管現象を起こさせ、できるだけ多くのエバポレーター表面を溶融金属で濡れさせる必要がある。そのためには、エバポレーターの相対密度、平均細孔径(毛細管の内径)、及び溶融金属に対する接触角が重要となる。
溶融金属にエバポレーターの一部を接触させると、溶融金属がエバポレーターの表面を這い上がり、エバポレーターの表面が溶融金属で濡れる。この時のエバポレーターの下端から溶融金属で濡れている領域の先端までの高さ(這い上がり高さ)hは、次の(1)式で表される。
h=2γLcosθ/ρgr
=2γLcosθ/{ρg(1-(R/100)1/3)AC} ・・・(1)
但し、
h:這い上がり高さ、ρ:溶融金属の密度、g:重力加速度、r:毛細管の内径、
γL:溶融金属の表面張力、θ:接触角、R:エバポレーターの相対密度、
A:エバポレーターの平均結晶粒子径、C:細孔密度補正係数。
式(1)より、毛細管現象は、接触角θ、溶融金属の表面張力γL、毛細管の内径r、溶融金属の密度ρに依存することがわかる。これらの内、表面張力γL及び密度ρは、溶融金属によって決定される。一方、接触角θは溶融金属とエバポレーターの界面張力によって、毛細管の内径rはエバポレーターの表面及び内部の細孔構造によって、それぞれ、決定される。式(1)に応じて這い上がり高さhが決定され、その高さがエバポレーター表面を濡らすのに十分であれば、溶融金属の総表面積が増大し、金属蒸気の供給量を向上させることができる。
[B. 相対密度]
式(1)より、エバポレーターの相対密度Rが小さくなるほど、這い上がり高さhが小さくなることがわかる。これは、相対密度Rが小さくなるほど、毛細管の内径rが大きくなるためである。また、相対密度Rが小さい場合、強度低下も課題となる。本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10をエバポレーターとして用いる場合、這い上がり高さhは、溶融金属と接触する第n層(多孔層)34の相対密度Rnに依存する。
本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10をエバポレーターとして用いる場合において、第n層34の相対密度Rnが小さくなるほど、這い上がり高さhが小さくなる。高い這い上がり高さを得るためには、第n層34の相対密度Rnは、45%以上が好ましい。相対密度Rnは、好ましくは、50%以上である。
一方、(1)式によれば、第n層34の相対密度Rnが大きくなるほど、這い上がり高さhが大きくなる。しかし、実際には、相対密度Rnが過度に大きくなると、開気孔が存在しなくなり、エバポレーターの表面において毛細管現象を起こさせるのが困難となる。また、第n層34の相対密度Rnが大きくなりすぎると、かえって溶融金属の蒸発量が減少する。従って、第n層34の相対密度Rnは、90%以下が好ましい。相対密度Rnは、好ましくは、85%以下である。
[C. 平均細孔径]
同様に、第n層34の平均細孔径dnについても、最適な領域が存在する。毛細管現象を起こすためには、溶融金属の連続体近似が成り立つ必要がある。従って、第n層34の平均細孔径dn(=r)は、10nm以上が好ましい。平均細孔径dnは、好ましくは、20nm以上、さらに好ましくは、30nm以上である。
一方、平均細孔径dnが過度に大きくなると、第n層34の表面において毛細管現象を起こさせるのがのが困難となる。這い上がり高さhを高くするためには、平均細孔径dnは、200μm未満が好ましい。平均細孔径dnは、好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下である。
[D. 接触角]
(1)式より、毛細管現象を起こさせるためには、接触角θが0°以上90°未満である必要があることがわかる。TaCは、Gaの接触角θが90°未満である。そのため、TaC被膜30を備えたTaC被覆黒鉛部材10は、Gaを蒸発させるためのエバポレーターの材料として好適である。
[E. 厚さ]
第n層の厚さtnは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。一般に、本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10をエバポレーターとして用いる場合において、第n層の厚さtnが厚くなるほど、溶融金属の蒸発量が増大する。これは、第n層34の厚み方向や面内方向に濡れ上がりパスが繋がりやすくなり、これによって第n層34の表面を濡らす溶融金属の総量が増大するためと考えられる。このような効果を得るためには、第n層の厚さtnは、10μm以上が好ましい。
一方、第n層の厚さtnを必要以上に厚くしても、効果に差が無く、実益がない。従って、第n層の厚さtnは、200μm以下が好ましい。厚さtnは、好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下である。
[1.3. 用途]
本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10は、種々の用途に用いることができる。本発明に係るTaC被覆黒鉛部材10の用途としては、具体的には、
(a)Gaなどの低融点金属を蒸発させるためのエバポレーター、
(b)AlNなどの昇華性結晶を保持するためのルツボであって、ルツボ内で昇華性結晶を熱分解させ、昇華ガスを発生させるためのもの、
(c)CVD法を用いてSiCなどのエピタキシャル成長を行う際のウェハを保持するサセプター、
などがある。
[2. TaC被覆黒鉛部材の製造方法]
[2.1. 概要]
TaC被覆黒鉛部材10は、基材20の表面に相対密度が異なる第1層32~第n層34を順次形成することにより製造することができる。TaCからなる第k層(1≦k≦n)の製造方法は、目的とする相対密度Rkや平均細孔径dkが得られる限りにおいて、特に限定されない。この場合、各層は、同一の製造方法を用いて異なる条件下で製造されたものでも良く、あるいは、異なる製造方法を用いて製造されたものでも良い。
TaCからなる緻密な第k層の形成に適した方法としては、例えば、
(a)化学気相成長(CVD)法、
(b)化学気相反応(CVR)法、
(c)アークイオンプレーティング(AIP)法、
(d)TaC粉末を含むスラリーを基材20の表面に塗布し、塗膜を焼結させる方法(以下、「焼結法」ともいう)、
(e)スパッタ法、
などがある。
TaCからなる多孔質な第k層の形成に適した方法としては、例えば、
(a)焼結法、
(b)プラズマ溶射法、
などがある。
これらの中でも、焼結法は、膜厚や相対密度を幅広い範囲で容易に制御することが可能であるので、TaC被膜30の形成方法として好適である。
[2.2. 焼結法の詳細]
焼結法は、具体的には、
TaC粒子を溶媒に分散させたスラリーを調製する調製工程と、
このスラリーを基材20表面に塗布する塗布工程と、
塗膜が形成された基材20を加熱し、TaCからなる第k層を得る焼結工程と
を備えている。
製造条件を変えてこのような調製、塗布及び焼結を複数回繰り返すと、相対密度の異なる複数層の積層体からなるTaC被膜30を形成することができる。
[2.2.1. 調製工程]
まず、TaC粉末を溶媒に分散させたスラリーを調製する(調製工程)。スラリーには、必要に応じて、焼結助剤、有機バインダーなどの添加剤がさらに含まれていても良い。
[A. TaC粉末]
[A.1. 平均粒径]
TaC粉末の平均粒径は、第k層の相対密度や健全性に影響を与える。一般に、TaC粉末の平均粒径が小さくなるほど、焼結性が向上し、第k層が緻密化しやすなる。しかし、TaC粉末の平均粒径が小さくなりすぎると、塗膜の充填率が低下し、焼結時に大きな収縮を伴う。過度の収縮は、第k層の割れや剥離の原因となる。従って、TaC粉末の平均粒径は、第k層に要求される特性に応じて、最適な値を選択するのが好ましい。
例えば、相対密度が95%以上である第k層(緻密層)を形成する場合、TaC粉末の平均粒径は、好ましくは、0.01μm以上2μm以下、さらに好ましくは、0.05μm以上1μm以下である。
一方、相対密度が90%以下である第k層(多孔層)を形成する場合、TaC粉末の平均粒径は、好ましくは、0.05μm以上5μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以上3μm以下である。
なお、本発明において「平均粒径」とは、レーザー・回折散乱法により測定されるメディアン径(D50)をいう。
[A.2. 含有量]
スラリー中のTaC粒子の含有量が少なすぎると、被膜プロセスに時間がかかり、製造コスト増となる。従って、TaC粒子の含有量は、55質量%以上が好ましい。TaC粒子の含有量は、好ましくは、60質量%以上である。
一方、スラリー中のTaC粒子の含有量が過剰になると、スラリーの粘度が過度に大きくなり、塗膜の形成が困難となる。従って、TaC粒子の含有量は、80質量%以下が好ましい。TaC粒子の含有量は、好ましくは、75質量%以下である。
[B. 溶媒]
[B.1. 溶媒の種類]
溶媒の種類は、特に限定されない。溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、1,3-ジオキソラン、ベンジルアルコール、エタノール、α-ターピネオール、トルエンなどがある。
[B.2. 含有量]
スラリーは、TaC粒子、並びに、必要に応じて添加剤を含み、残部が溶媒からなる。溶媒の含有量は、他の成分の含有量にもよるが、20~40質量%が好ましい。
[C. 焼結助剤]
[C.1. 焼結助剤の種類]
スラリーには、焼結助剤が添加されていても良い。焼結助剤は、緻密層を形成するのに有効である。焼結助剤には、TaCの焼結温度以下の融点を持つ遷移金属、又はその炭化物が用いられる。これらが焼結中に溶融することにより、第k層の緻密化を図ることができる。焼結助剤としては、例えば、
(a)Ti、Cr、Fe、Co、Ni等の遷移金属、
(b)TiC、Cr256、Fe3C、Co2C、Ni2C等の遷移金属の炭化物
などがある。
[C.2. 含有量]
スラリー中の焼結助剤の含有量は、主として第k層の相対密度に影響を与える。一般に、緻密層を形成する場合、焼結助剤を添加するのが好ましい。一方、多孔層を形成する場合、焼結助剤は、必ずしも必要ではない。最適な焼結助剤の含有量は、目的とする相対密度により異なる。
例えば、相対密度が95%以上である第k層(緻密層)を形成する場合、焼結助剤の含有量は、0.3質量%以上5質量%以下が好ましい。焼結助剤の含有量は、好ましくは、0.4質量%以上3質量%以下である。
一方、相対密度が90%以下である第k層(多孔層)を形成する場合、焼結助剤の含有量は、1質量%以下が好ましい。焼結助剤の含有量は、好ましくは、0.5質量%以下、さらに好ましくは、0.3質量%以下である。
[D. 有機バインダー]
[D.1. 有機バインダーの種類]
スラリーには、有機バインダーが添加されていても良い。有機バインダーは、スラリーの粘度を調整し、スラリーの塗布性や粘着性等を改善するために用いられる。このような有機バインダーとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などがある。
[D.2. 含有量]
有機バインダーの含有量が少なすぎると、スラリーの塗布性や粘着性が低下する。従って、有機バインダーの含有量は、0.1質量%以上が好ましい。有機バインダーの含有量は、好ましくは、0.3質量%以上である。
一方、有機バインダーの含有量が過剰になると、かえって第k層の相対密度や健全性が低下する。従って、有機バインダーの含有量は、3質量%以下が好ましい。
[2.2.2. 塗布工程]
次に、得られたスラリーを基材20表面に塗布する(塗布工程)。
スラリーの塗布方法は、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、刷毛塗り、噴霧塗布、浸漬塗布、スピンコートなどがある。
[2.2.3. 焼結工程]
次に、塗膜が形成された基材20を加熱する(焼結工程)。これにより、基材20の表面に、TaCからなる第k層を形成することができる。
焼結温度は、第k層の相対密度に影響を与える。一般に、焼結温度が高くなるほど、第k層の相対密度が大きくなる。一方、焼結温度が高くなりすぎると、結晶粒の粗大化を招く。そのため、焼結温度は、目的とする相対密度に応じて最適な温度を選択するのが好ましい。
例えば、相対密度が95%以上である第k層(緻密層)を形成する場合、焼結温度は、2000℃以上2800℃以下が好ましい。焼結温度は、好ましくは、2300℃以上2700℃以下である。
一方、相対密度が90%以下である第k層(多孔層)を形成する場合、焼結温度は、1500℃以上2600℃以下が好ましい。焼結温度は、好ましくは、1800℃以上2500℃以下である。
焼結時間は、焼結温度、及び目的とする相対密度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、焼結温度が高くなるほど、短時間で高い相対密度が得られる。最適な焼結時間は、焼結温度等にもよるが0.5~3時間程度である。
焼結雰囲気は、1~95kPaの真空雰囲気または不活性ガス雰囲気が好ましい。
[3. 作用]
等方性黒鉛からなる基材の表面にTaC被膜を形成する場合において、界面側に相対密度が大きい第1層(緻密層)を形成すると、第1層により基材が保護される。その結果、腐食性ガスに対する高い耐食性が得られる。一方、表面側に相対密度が小さい第n層(多孔層)を形成すると、溶融金属に対する濡れ性が向上する。そのため、このようなTaC被覆黒鉛部材を、Gaなどの低融点金属を蒸発させるためのエバポレーターに適用すると、耐久性を低下させることなく、金属蒸気の供給速度を向上させることができる。
(参考例1: 這い上がり高さの相対密度依存性、及び平均細孔径依存性)
[1. 試験方法]
溶融Gaの入ったルツボ内に、エバポレータを模擬した棒材(5mm角×長さ200mm)を立て、Gaの這い上がり高さを測定した。溶湯温度は1150℃とした。棒材には、相対密度:95%、平均細孔径:14.5μmのTaCを用いた。
[2. 結果]
[2.1. 相対密度依存性]
図2に、エバポレーターがTaCであり、溶融金属がGaである場合の、規格化した這い上がり高さの相対密度依存性を示す。なお、図2において、「規格化した這い上がり高さ」とは、相対密度40%である時の這い上がり高さで規格化した値をいう。また、図2には、相対密度依存性の理論曲線(実線)も併せて示した。相対密度と這い上がり高さの関係には、上述した(1)式を用いた。図2より、以下のことがわかる。
(a)相対密度が大きくなるほど、這い上がり高さが大きくなる。
(b)規格化された這い上がり高さを1以上にするためには、相対密度を40%以上にする必要がある。
(c)相対密度が高すぎる場合、毛細管現象を起こす細孔がなくなるため、這い上がりが起きなくなる。相対密度は、40%以上99%未満の領域が適切である。
[2.2. 平均細孔径依存性]
図3に、エバポレーターがTaCであり、溶融金属がGaである場合の、規格化した這い上がり高さの平均細孔径依存性を示す。なお、図3において、「規格化した這い上がり高さ」とは、平均細孔径が200μmである時の這い上がり高さで規格化した値をいう。また、図3には、平均細孔径依存性の理論曲線(実線)も併せて示した。図3より、以下のことがわかる。
(a)平均細孔径が大きくなるほど、這い上がり高さが小さくなる。
(b)規格化した這い上がり高さを1以上にするためには、平均細孔径を200μm以下にする必要がある。なお、毛細管現象を起こすためには、液体金属の連続体近似が成り立つ必要があり、そのためには、平均細孔径は10nm以上である必要がある。
(参考例2: 耐久性評価)
[1. 試料の作製]
焼結法を用いて、等方性黒鉛からなる基材(幅30mm、厚み:3mm、高さ:30mm)の表面全面に、相対密度及び/又は膜厚の異なるTaC被膜を形成した。TaC被膜の厚さは、スラリー塗布時の塗膜の厚さにより制御した。また、相対密度は、スラリーに添加される焼結助剤の量、及び焼結温度により制御した。
相対密度依存性を評価する場合、TaC被膜には、膜厚が120μmであり、相対密度が85%、90%、95%、98%、又は99%であるものを用いた。
また、膜厚依存性を評価する場合、TaC被膜には、相対密度が95%であり、膜厚が5μm、10μm、30μm、又は80μmであるものを用いた。
[2. 試験方法]
AlN成長環境を模した条件下で耐久試験を実施した。AlN成長環境は、超高温、強腐食環境であるので、部材腐食の加速試験用の環境として好適である。
AlNは2000℃以上の高温で昇華し、次の式(2)に示すように、非常に腐食性の強いAlガスを発生させる。そのため、AlN成長環境に曝露する試験は、TaC被膜の品質、ガスバリア性を評価するのに好適な耐久試験である。
すなわち、繰り返し使用することで生じた僅かなクラックからAlガスが侵入すると、黒鉛基材が激しく浸食される。その時の反応は、次の式(3)のように推定される。その結果、TaC膜が剥がれ、容易に部材の損傷を検知することができる。
AlN(solid)⇔Al(gas)+1/2N2(gas) …(2)
Al(gas)+2C(s)⇒AlC2(gas) …(3)
具体的には、ルツボ内にAlN粉末を約50g充填し、そのルツボ内に評価用のサンプルを配置した。その後、80kPaに保持された窒素ガス雰囲気において、高周波加熱にて2300℃に昇温し、30分保持した。試験後、TaC被膜を目視観察し、クラックや剥がれの有無を判断した。異常がない時は、同じ試験を最大で10回まで繰り返した。一方、異常が発生した時は、その際の試験回数Nを「使用可能回数」と定義した。
[3. 結果]
[3.1. 相対密度依存性]
図4に、使用可能回数に及ぼすTaC被膜の相対密度の影響を示す。図4より、以下のことが分かる。
(a)相対密度が95%以上である時には、使用可能回数が9回以上になる。
(b)相対密度は、好ましくは98%以上である。
(c)相対密度が大きくなるほど耐久性が向上するのは、相対密度の増加に伴ってTaC被膜中の空隙が減少し、腐食性ガスの浸透が抑制されるためである。
[3.2. 膜厚依存性]
図5に、使用可能回数に及ぼすTaC被膜の膜厚の影響を示す。図5より、以下のことがわかる。
(a)TaC被膜の膜厚が10μm以上になると、使用可能回数が8回以上になる。
(b)TaC被膜の膜厚が80μm以上になると、使用可能回数が10回以上になる。
(c)膜厚が厚くなるほど耐久性が向上するのは、膜厚が厚くなるほどピンホール状の欠陥(TaC被膜中の空隙がTaC被膜の表面から黒鉛基材表面まで繋がっている欠陥)が形成される確率が小さくなり、腐食性ガスの浸透が抑制されるためである。
(実施例1: 這い上がり高さ試験及び蒸発試験)
[1. 試料の作製]
焼結法を用いて、等方性黒鉛からなる基材(幅20mm、厚み:3mm、高さ:40mm)の表面全面に相対密度95%、厚さ30μmのTaC緻密層(第1層)を形成した。
次に、焼結法を用いて、第1層の表面全面に相対密度及び膜厚の異なる種々のTaC多孔層(第2層)を形成した。第2層の相対密度は、45%、50%、60%、85%、90%、又は95%とした。また、膜厚は、5μm、10μm、30μm、又は120μmとした。
[2. 試験方法]
[2.1. SEM観察]
TaC被覆黒鉛部材の断面をSEMで観察した。
[2.2. 這い上がり高さ試験]
ルツボ内に溶融Ga(融点:29.76℃)を充填した。ルツボ内に、各水準のTaC被覆黒鉛部材2枚を立て、TaC被覆黒鉛部材の端部を溶融Gaに接触させた。この状態で溶融Gaを1300℃に加熱した。加熱後、溶融Gaの這い上がり高さを測定し、2枚の試料の平均値を算出した。
[2.3. 蒸発試験]
ルツボ内に、予め質量を測定した溶融Gaを充填した。ルツボ内に、TaC被覆黒鉛部材を立て、TaC被覆黒鉛部材の端部を溶融Gaに接触させた。この状態で溶融Gaを1300℃に加熱し、30分保持した。その際、ルツボ内の溶融Gaを効率よく揮発させるために、装置内を1.5kPaまで減圧した。保持後、ルツボを取り出し、Gaの質量を計測し、質量減少分を蒸発量とした。
[3. 結果]
[3.1. SEM観察]
図6に、本発明に係るTaC被覆黒鉛部材の断面SEM像を示す。図6より、黒鉛基材の表面にTaC被膜が形成されており、かつ、TaC被膜がTaC緻密層(第1層、密度ρ1)とTaC多孔層(第2層、密度ρ2<ρ1)の2層構造になっているのが分かる。
[3.2. 這い上がり高さ試験]
いずれの試料も、高さ40mmの基材の上端までGaで濡れていることを確認した。
[3.3. 蒸発試験]
図7及び表1に、Ga蒸発量に及ぼすTaC多孔層の相対密度及び膜厚の影響を示す。なお、図7及び表1において、Ga蒸発量は、第2層が相対密度95%、膜厚10μmである時のGa蒸発量で規格化した値を表す。図7及び表1より、以下のことが分かる。
Figure 0007087762000001
(a)TaC多孔層の相対密度が90%以下であり、かつ、膜厚が10μm以上である時に、Ga蒸発量が多くなる。
(b)TaC多孔層の相対密度は、好ましくは、50~85%である。
(c)TaC多孔層の膜厚が10μmを超えると、Ga蒸発量はあまり変化しない。
(d)TaC多孔層の膜厚の増加に伴い、Ga蒸発量が増加するのは、上述した式(1)の関係に加えて、TaC多孔層の厚み方向や面内方向に濡れ上がりパスが繋がりやすくなることで、TaC多孔層に濡れるGaの総体積が増加したためと考えられる。
但し、TaC多孔層の膜厚が10μmを超えてもGa蒸発量はさほど増加しないため、TaC多孔層を必要以上に厚くするのは実益がない。従って、TaC多孔層の膜厚は200μm以下が好ましいことが分かった。
(e)耐久性評価試験(参考例2)より、
(A)TaC被膜の相対密度が95%以上で、膜厚が10μm以上である場合に高い耐久性(ガスバリア性)を示すこと、及び、
(B)より高い耐久性が求められる環境下では、TaC被膜の相対密度を95%以上、膜厚を100μm以上にすれば良いこと、
がわかった。従って、このような緻密層を黒鉛部材の表面に形成すれば、緻密層が黒鉛基材を保護するバリア膜として機能すると考えられる。
(f)一方、蒸発試験(実施例1)より、基材の表面に、相対密度が45~90%であり、膜厚が10μm以上である多孔層を形成すると、高いGa蒸発量が得られることがわかった。従って、黒鉛基材の表面に、ガスバリア層として機能するTaC緻密層(第1層34)と、溶融Gaの濡れ上がりを促進させるTaC多孔層(第n層34)とを形成すれば、高いGa蒸気の供給速度と、高い耐久性とを両立させることができる。
(g)TaC緻密層とTaC多孔層の間に中間層が挿入されている場合、あるいは、黒鉛基材とTaC被膜の界面からTaC被膜の表面に向かって相対密度が段階的又は連続的に変化している場合であっても、同様の効果が得られると考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係るTaC被覆黒鉛部材は、Gaなどの低融点金属の蒸発を促進させるためのエバポレーターの材料として用いることができる。
10 TaC被覆黒鉛部材
20 基材
30 TaC被膜
32 第1層
34 第n層

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えたTaC被覆黒鉛部材。
    (1)前記TaC被覆黒鉛部材は、
    等方性黒鉛からなる基材と、
    前記基材の表面に形成されたTaC被膜と、
    を備えている。
    (2)前記TaC被膜は、
    相対密度がR1~Rnであり、厚さがt1~tnである第1層~第n層(n≧2)の積層体からなり、
    前記基材と前記TaC被膜との界面側に形成された第1層の相対密度R1は、前記TaC被膜の表面側に形成された第n層の相対密度Rnより大きい。
    (3)前記第1層は、相対密度R 1 が95%以上であり、厚さt 1 が10μm以上である。
    (4)前記第n層は、相対密度R n が45%以上90%以下である。
  2. 前記TaC被膜は、前記基材と前記TaC被膜との界面から前記TaC被膜の表面に向かって、前記相対密度が段階的又は連続的に減少している請求項1に記載のTaC被覆黒鉛部材。
  3. 前記第1層の厚さt1は、10μm以上200μm以下である請求項1又は2に記載のTaC被覆黒鉛部材。
  4. 前記第n層の厚さtnは、10μm以上200μm以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載のTaC被覆黒鉛部材。
  5. 前記第n層の平均細孔径dnは、10nm以上200μm未満である請求項1から4までのいずれか1項に記載のTaC被覆黒鉛部材。
  6. Gaを蒸発させるためのエバポレーターとして用いられる請求項1から5までのいずれか1項に記載のTaC被覆黒鉛部材。
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