JP2006131992A - セラミックス膜およびその製造方法、セラミックス複合膜およびその製造方法ならびに切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れた被膜を有する切削工具を提供する。
【解決手段】基材9表面の少なくとも刃先部位に、Al2O3膜が形成された切削工具であって、Al2O3膜29が多結晶であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上、膜厚が0.5μm以上100μm以下である。
【選択図】図2
【解決手段】基材9表面の少なくとも刃先部位に、Al2O3膜が形成された切削工具であって、Al2O3膜29が多結晶であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上、膜厚が0.5μm以上100μm以下である。
【選択図】図2
Description
この発明は、切削工具、摺動部品および光学部品として使用されるセラミックス膜およびその製造方法ならびにセラミックス複合膜およびその製造方法に関するものである。
セラミックス膜は、その機械的特性や光学、誘電、電気特性等でさまざまな分野に応用されている。
その中、特に工具の機能特性では、耐摩耗性や耐焼付き性など、その表面特性が非常に重要である。また、セラミックスでは耐摩耗性、耐熱性、耐食性に優れている。これらの特性を持つセラミックス薄膜を金属材料などの基材表面にコーティングすることにより、耐摩耗性や耐焼付き性を向上させ工具寿命や性能を大幅に向上させることができることが知られている。工具基材の表面への耐摩耗性被膜のコーティングとしてPVD(物理的気相成長法)およびCVD(化学的気相成長法)を用いたTiCN膜や、Al2O3膜が知られている。
また、被膜に関しては、特開2002−348677号公報(特許文献1)、特許公報第3210405号公報(特許文献2)において技術が開示されている。
特開2002−348677号公報
特許公報第3210405号公報
コーティングセラミックス薄膜の膜厚を厚くすると、工具寿命をさらに向上させることができる。しかし、背景技術において記載したPVD法では、作製した被膜に応力が加わるので、自己破壊する問題があり、厚膜被膜形成には適していない。
さらに、PVD法でAlターゲットを用いて酸素雰囲気中でAl2O3薄膜を作製する際、ターゲット表面が酸化して絶縁物になるため作製が困難である。
また、CVD法でAl2O3膜を形成するには基材を温度1000℃以上にする必要があり、耐熱性に乏しい基材への被膜の作製が不可能であり基材が限定される。さらに、Al2O3の粒子の直径が1μm程度の粗粒となってしまうため、機械的特性に劣る。PVDおよびCVD法では設備費が高価である上、反応ガスを利用するので排ガス処理等を必要とし、高価な設備が必要でコスト面において優れていないという問題があった。
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、安価で耐摩耗性に優れた切削工具のみならず、優れた摺動特性を初めとする機械的特性および光学特性や断熱特性を持つセラミックス膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
セラミックス膜は、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上である。
更に好ましくはセラミックス膜は、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、緻密度が95%以上である。
また、このセラミックスがAl2O3である。そのビッカース硬度が980mgf/μm2以上(980×9.8×10-6N/μm2以上)、好ましくは2500mgf/μm2以上(2500×9.8×10-6N/μm2以上)であることを特徴とする。なお、本明細書において、「硬度」とは、ビッカース硬度である。さらに、セラミックスを構成するAl2O3は酸化アルミニウムであり、アルミニウムと酸素とのモル比は2:3に限られず、アルミニウムと酸素のモル比は製造条件により適宜変更される。
また、このセラミックス膜を形成する基材の表面粗さRaが0.2μm以上であり、その形成された膜の表面粗さRaが0.05μm以下であることを特徴とする。
セラミックス膜の製造方法では、基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を温度500℃以上で焼結させて形成することを特徴とする。
また、基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を局所的な加熱方法で焼結させ形成することを特徴とする。
切削工具には、基材表面の少なくとも刃先部位に、上記のセラミックス皮膜が形成されている。
セラミックス複合膜は、少なくとも2種以上の材質からなり、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上である。
セラミックス複合膜は、少なくとも2種以上の材質からなり、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、緻密度が95%以上である。
基材の表面粗さRaが0.2μm以上であり、膜の表面粗さRaが0.05μm以下である。
セラミックス複合膜の製造方法では、基材上に粒径が50nm以下のセラミックス混合粉末を形成させた後、その形成物を温度500℃以上で焼結させる。
基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を局所的な加熱で焼結させ、緻密度が95%以上の膜を形成する。
セラミックス材料の1つがAl2O3であり、他方のセラミックス材料がSiC、Si3N4、TiN、TiCN、TiC、AlN、CおよびBNからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む。
切削工具では、基材表面の少なくとも刃先部位に、上記のセラミックス複合膜が形成されている。
基材が立方晶型窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材、または高速度鋼である。
切削工具は、基材表面の少なくとも刃先部位にAl2O3膜が形成された切削工具であって、Al2O3膜が多結晶であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上99%以下であり、膜厚が1μm以上100μm以下である。
切削工具は、基材表面の少なくとも刃先部位にAl2O3膜が形成された切削工具であって、Al2O3膜が多結晶であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上99%以下であり、膜厚が1μm以上100μm以下である。
Al2O3膜の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下である。Al2O3膜の膜厚が10μm以上30μm以下である。Al2O3膜が微粒Al2O3粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用いて形成される。微粒Al2O3粉末の粒径は1nm以上1μm以下であるが、好ましくは、微粒Al2O3粉末の粒径が100nm以上800nm以下である。Al2O3膜のビッカース硬度Hvが1000以上2500以下(単位mgf/μm2)である。基材がWC基超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化ケイ素焼結体、および酸化アルミニウム、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンからなる硬質基材からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む。基材が立方晶型窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材、または高速度鋼である。
この発明に従ったセラミックス膜は、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下で、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下で、緻密度が60%以上のセラミックス膜または複合膜である。
好ましくは、この発明に従ったセラミックス膜は、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下で、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下で、緻密度が95%以上のセラミックス膜または複合膜である。
この膜の平均結晶粒径を1nm以上500nm以下としたのは、平均結晶粒径が1nm未満の場合は耐摩耗性や硬度に劣り、平均結晶粒径が500nmを超えると結晶粒の脱落が発生し、膜特性や摺動特性が劣化するからである。より好ましくは平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、この範囲では高い機械的特性が得られる。
セラミックス膜の緻密度を60%以上としたのは、60%未満の場合は膜硬度が劣るためである。より好ましくは緻密度95%以上でこの範囲では高い機械的特性が得られる。
なお、緻密度とは膜の嵩密度を真密度で割った値である。嵩密度は膜の質量を膜の体積で割った値である。なお、膜の体積は膜厚から測定する。また場合によっては密度をX線薄膜反射率測定法から求めることができる。
緻密度は相対密度と同義である。
緻密度は相対密度と同義である。
さらに、膜厚を0.5μm以上100μm以下としたのは、膜厚が0.5μm未満では耐摩耗性向上や摺動・光学特性の効果が得られず、膜厚が100μmを超えると耐摩耗性には優れているが衝撃に対する耐欠損性等の機械的特性が劣化するためである。
好ましくは、膜厚は5μm以上30μm以下である。この場合、耐摩耗性、耐欠損性等の効果が最も大きく得られる。
このセラミックス膜を形成する代表的な材料として、Al2O3が挙げられる。このAl2O3を用いてセラミックス膜を形成させた場合、そのビッカース硬度は980mgf/μm2が必要である。この硬度より低いと工具等への応用が困難となる。好ましくは2500mgf/μm2以上である。
また、本願では基材の表面粗さRaを0.2μm以上とし、膜の表面粗さRaを0.05μm以下としている。従来の膜形成では、表面の粗さに従って、その表面の膜の粗さも比例する関係にあったが、本発明では、ナノサイズの粉末で表面を形成できることにより、表面に平滑な膜を形成することが可能となる。また、このような基材面に形成できることにより、アンカー効果等でその膜と基材の密着性を飛躍的に改善することが可能である。
本願の膜形成手法としては、薄い成形体を作成し、基材に貼り付ける方法や、気相法を用いて粉体を基材に吹き付け成膜するエアロゾルデポジション法を用いて形成される。また、スクリーン印刷のような薄い膜状の成形体を形成させ、基材に貼り付ける手法を用いてもよい。
このように形成された膜を500℃以上で焼結する、あるいは局所的な加熱方法により膜あるいはその周辺部にエネルギを与え焼結する方法がある。
この加熱方法としては、膜の上部から加圧しながら焼結させる方法や、レーザあるいはマイクロ波を用い、非加熱的に焼結する方法が挙げられる。
本材料の応用として少なくとも刃先部位に、セラミックス膜が形成された切削工具が挙げられる。この際のセラミックス膜はAl2O3膜である、そのAl2O3膜が多結晶であり、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、緻密度が95%以上であり、膜厚が0.5μm以上100μm以下であることを特徴とする切削工具である。
好ましくは、平均結晶粒径が10nm以上50nm以下、膜厚は5μm以上30μm以下である。この場合、耐摩耗性、耐欠損性等の効果が最も大きく得られる。
この際の基材または膜形成面がWC基超硬合金、サーメット、セラミックスからなる硬質基材からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む。またセラミックスの代表的な基材として立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化ケイ素焼結体、および酸化アルミニウム、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンが挙げられる。
また、本発明はセラミックス単相の成分だけではなく、複合した系についても有効である。複合膜の場合、この膜を構成する成分は少なくとも2種以上で構成された膜成分が必要である。複合膜にすることにより、耐摩耗性、潤滑性、硬度、熱膨張係数が制御でき、従来の単層の膜では得られない特性を得ることができる。
複合膜の緻密度も60%以上である。尚、この場合の緻密度は、上記の方法で測定できないため、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡を用い、任意の範囲上の面積上での空孔面積を求め、緻密度とした。また、成分に関してはEDXの分析を行い、粒子の同定を行い、成分比を決定した。
本発明を構成する複合膜の例としては、セラミックス材料の1つがAl2O3であり、他方の1つがSiC、Si3N4、TiN、TiCN、TiC、C、BNからから選ばれた少なくとも1つ以上を含むことを特徴とするセラミックス複合膜が挙げられる。この際に、SiC、Si3N4、TiN、TiCN、TiC、BN(cBN)は膜の機械的特性の改善や膜の熱膨張係数の制御に寄与できる。また、C、BN(特にhBN)の場合は上記に加えて、摩擦係数の制御に寄与することができる。なお、これらのセラミックス膜を形成する複数の元素の組成比については特に制限されるものではない。
尚、本願は基材上に形成する膜の形成密度や、その成分、厚みを適度に制御し、かつ適度な焼結条件を経ることにより、膜と基材の熱膨張係数による残留応力、密着性を制御することが可能である。この際の最適な制御範囲は使用されうる材料の環境下において適宜選択することが可能である。
以下、膜の代表例としてAl2O3で説明する。
すなわち、Al2O3被膜の形成方法として、Al2O3粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用い、機材表面にAl2O3を固着させることができる。本発明において工具基材は高速度鋼、立方晶窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材のような、耐熱性に乏しい基材を含むため、低温でも基材表面にAl2O3膜を固着させる必要がある。ここで、エアロゾルデポジション法とは、超微粒子ビーム堆積法とも呼ばれ、超微粒子材料を基材に高速で衝突させて成膜する方法である。上述の微粒子の加速手段として搬送ガスを利用する方法を用いる。これは金属や半金属、セラミックスの微粒子を含むエアロゾルをノズルから噴出させて高速で基板に噴射し、微粒子を基板上に堆積させるガスデポジション法を参考にしたものである。エアロゾルデポジション法は粉末の衝突エネルギのみで被膜を形成する手法であり、加熱プロセスを必要とせず、低温で緻密な膜を形成できる。したがって、エアロゾルデポジション法を用いることによって低温で基材劣化を起こさせず、所望の効果を得ることができる。エアロゾルデポジション法については、「セラミックス 38(2003)No.5」に報告されているものが知られている。
すなわち、Al2O3被膜の形成方法として、Al2O3粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用い、機材表面にAl2O3を固着させることができる。本発明において工具基材は高速度鋼、立方晶窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材のような、耐熱性に乏しい基材を含むため、低温でも基材表面にAl2O3膜を固着させる必要がある。ここで、エアロゾルデポジション法とは、超微粒子ビーム堆積法とも呼ばれ、超微粒子材料を基材に高速で衝突させて成膜する方法である。上述の微粒子の加速手段として搬送ガスを利用する方法を用いる。これは金属や半金属、セラミックスの微粒子を含むエアロゾルをノズルから噴出させて高速で基板に噴射し、微粒子を基板上に堆積させるガスデポジション法を参考にしたものである。エアロゾルデポジション法は粉末の衝突エネルギのみで被膜を形成する手法であり、加熱プロセスを必要とせず、低温で緻密な膜を形成できる。したがって、エアロゾルデポジション法を用いることによって低温で基材劣化を起こさせず、所望の効果を得ることができる。エアロゾルデポジション法については、「セラミックス 38(2003)No.5」に報告されているものが知られている。
エアロゾルデポジション法では、出発原料粉末の粒径よりも細かい結晶粒径の膜ができる。これは、出発原料粉末の粒子を音速を超える高速で基材に衝突させることにより、微細化するためと考えられている。
好ましくは、微粒Al2O3粉末の粒径が1nm以上1μm以下である。粒径が1nm未満の場合は粒子の固化が不十分であり、圧粉体しか得られず、硬度が劣化する。また、粒径が1μmを超えると粒子の運動エネルギが大きくなり、堆積した粒子がエッチングされてしまい厚膜化できない。
より好ましくは、微粒Al2O3粉末の粒径が10nm以上100nm以下である。この場合、さらに緻密で高密度な膜を得ることができる。
このような膜を温度500℃以上で膜部分を焼結あるいは非加熱的な処理を行なうことにより粒子同士が焼結し、さらに特性が向上し、ビッカース硬度Hvが2500×9.8×10-6N/μm2以上の膜が得られる。
上記と同様な方法として、Al2O3粉体をスクリーン印刷にて厚み10μmで成形し、基材と共に加圧焼結させることにより同様な結果を得ることが可能である。
次に、複合膜の代表例としてAl2O3−TiCで説明する。
すなわち、Al2O3−TiC被膜の形成方法として、上述したようにAl2O3−TiC粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用い、基材表面にAl2O3−TiCを固着させることができる。
すなわち、Al2O3−TiC被膜の形成方法として、上述したようにAl2O3−TiC粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用い、基材表面にAl2O3−TiCを固着させることができる。
好ましくは、微粒Al2O3−TiC粉末の粒径が1nm以上1μm以下である。粒径が1nm未満の場合は、粒子の固化が不十分であり、圧粉体しか得られず、ビッカース硬度が劣化する。また、粒径が1μmを超えると、粒子の運動エネルギが大きくなり、堆積した粒子がエッチングされてしまい厚膜化できない。
より好ましくは、微粒Al2O3粉末の粒径が10nm以上100μm以下である。この場合、さらに緻密で高密度な膜を得ることができる。
このような膜を温度500℃以上で膜部分を焼結、あるいは非加熱的な処理を行なうことにより粒子同士が焼結し、さらに特性が向上し、ビッカース硬度Hvが2500×9.8×10-6N/μm2以上の膜が得られる。
上記と同様な方法として、Al2O3−TiC粉体をスクリーン印刷にて10μmの厚みに成形し、基材と共に加圧焼結させることにより同様な結果を得ることが可能である。
この組成比はAl2O3をマトリックスとし、その他の組成を第2相とした場合、第2相の組成比は30体積%以下が好ましい。30体積%を超えると第2相が凝集し、特性が減じるため好ましくない。より好ましくは、第2相の割合は0.1体積%以上10体積%以下である。
WC基超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化ケイ素焼結体、および酸化アルミニウムと炭化チタンからなる硬質基材からなる群より選ばれた少なくとも1種を基材は含む。これらの基材と被膜とを組合せることにより、切削工具として寿命を大幅に延長することができる。
より好ましくは、基材が立方晶窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材、または高速度鋼である。
以上、本発明の効果として代表的な例であるAl2O3を説明したが、他のセラミックスの粉体を用いても同様な効果が期待でき、摺動や光学部品として使用することが可能である。
この発明に従えば、切削工具、摺動部品および光学部品として使用されるセラミックス膜およびその製造方法を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。
まず、実施の形態では、原料粉末として酸化アルミニウム(Al2O3:平均粒径50nm)の微粒子を用い、スローアウェイチップの刃先部に厚さが10μmの酸化アルミニウム膜をエアロゾルデポジション法により形成する例について説明する。図1は、本発明で用いた成膜装置の概念図である。図1を参照して、成膜装置では、搬送ガスボンベ1の先にガス搬送ライン2を介してエアロゾル発生器としてのエアロゾル化室4が設置されている。エアロゾル化室4には原料粉3が蓄えられている。ガス搬送ライン2を通る搬送ガスとして、窒素、アルゴン、ヘリウム、乾燥空気などを用いることができる。エアロゾル化室4の内部には酸化アルミニウムの微粒子粉末が適量充填されている。エアロゾル化室4は振動を加えるための加振機5上に載置される。エアロゾル化室4はエアロゾル搬送ライン6によりノズル7に接続されており、ノズル7は成膜室を構成するチャンバ13内において基材9と向かい合う。基材9は基板ステージ10によって保持されている。基材9とノズル7との間にはマスク8が設けられる。ノズル7からはエアロゾル粒12が基材9に向かって噴出する。基板ステージ10は矢印14で示す方向に移動可能であり、これに伴い、基材9も基板ステージ10とともに移動する。チャンバ13は真空ポンプ11に接続されており、真空ポンプ11がチャンバ13内の圧力を調整することができる。
このような装置で、真空ポンプ11を稼働させ、成膜室としてのチャンバ13およびエアロゾル化室4の圧力を1Paとなるまで減圧した。搬送ガスボンベ1をあけて、ガスを流量100sccm(標準状態(25℃)での1分当たりの流量が100cm3)から2slm(標準状態(25℃)において1分間当たりの流量が2dm3)でエアロゾル化室4にガスを送り込み、酸化アルミニウム微粒子粉末とガスとが適当な比率で混合されたエアロゾルを発生させる。この際、エアロゾルは微小開口を有するノズル7を通じてチャンバ13に流れ込むため、エアロゾル化室4とチャンバ13との間には103Pa程度の圧力差が生じる。このエアロゾルをエアロゾル搬送ライン6を通じて加速させ、ノズル7により基材9に向けて噴射する。基板ステージ10を駆動させることによりエアロゾルの衝突位置を変化させながら微粒子の衝突により基材9上に膜が形成される。ノズル7と基材9を相対的に移動させることにより、必要部位に成膜する。また、必要であれば基材9上に適当なパターンを持つマスク8を固定することで、基材9の膜形成位置を指定することができる。
図2は、実施の形態に従って作製された膜の断面図である。上述の工程で製造されたAl2O3膜29は中間層19としてのTiCNを介在させて基材9上に形成されている。刃先部30では、上述の中間層19が存在しなくてもよい。
(実施例1)
表1に従い、基材の材質、原料粉末の平均粒径、Al2O3膜の平均結晶粒径、膜厚、緻密度およびビッカース硬度(mgf/μm2)をさまざまに変えたサンプル101から116を作製した。この作製方法としては、エアロゾル化室に、平均粒径250nmのアルミナ原料粉末を100g封入した。開口面積0.2×10mm2のノズルを用いた。真空ポンプを稼働させ、成膜室およびエアロゾル化室の圧力が1Paになるまで減圧した。搬送ガスボンベを開け、純度99.99995%のHeガスを10slm送り込み、エアロゾルを発生させた。この際の成膜室とエアロゾル化室との圧力差は約102Paであった。このエアロゾルをエアロゾル搬送ラインを通して加速し、基材に向けて噴射した。基材は超硬スローアウェイチップを用いた。基板ステージの移動速度は0.25mm/secとした。
表1に従い、基材の材質、原料粉末の平均粒径、Al2O3膜の平均結晶粒径、膜厚、緻密度およびビッカース硬度(mgf/μm2)をさまざまに変えたサンプル101から116を作製した。この作製方法としては、エアロゾル化室に、平均粒径250nmのアルミナ原料粉末を100g封入した。開口面積0.2×10mm2のノズルを用いた。真空ポンプを稼働させ、成膜室およびエアロゾル化室の圧力が1Paになるまで減圧した。搬送ガスボンベを開け、純度99.99995%のHeガスを10slm送り込み、エアロゾルを発生させた。この際の成膜室とエアロゾル化室との圧力差は約102Paであった。このエアロゾルをエアロゾル搬送ラインを通して加速し、基材に向けて噴射した。基材は超硬スローアウェイチップを用いた。基板ステージの移動速度は0.25mm/secとした。
結晶構造はX線回折によって評価した。サンプル101から116のいずれにおいてもAl2O3膜の結晶構造は多結晶であった。
平均結晶子サイズ(平均結晶粒径)は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定した。TEM像により任意の10〜20の結晶子を選びサイズを測定し、その平均値を平均結晶子サイズとした。膜厚は触針式段差計で測定した結果、膜厚は25μmであった。
また、緻密度は、精密質量計を用いて成膜前後の重量変化を測定し、膜厚測定結果と併せて計算した。
膜硬度はビッカース硬度計を用いて、試験片荷重5gf(0.049N)、保持時間10秒の条件で測定した。
この結果を表1に示す。
本結果から厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度60%以上の場合、そのビッカース硬度が980mgf/μm2以上(980×9.8×10-6N/μm2以上)であることがわかる。
(実施例2)
表2に示す粉末をエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、50mm角のAl2O3基材の表面に形成した後、表2に示す条件で常圧または加圧焼結およびレーザやマイクロ波での焼結を行なった。粉末はレーザ回折式散乱法で測定し、得られた素材は斜入射X線分析法で緻密度を測定し、ナノインデンター(エリオニクス社製、ENT−1100a)を用い、押付け荷重が2000×9.8×10-6N(2000mgf)の条件でビッカース硬度を測定した。また、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡により膜厚みと粒径を観察した。粒径は膜断面を50万倍の視野にて観察し、任意の2μmの長さの直線上に存在する粒子の個数から粒径を算出した。
(実施例3)
表3に示す粉末を用い、PVB(ポリビニルブチラール)をバインダとして用い、10μmの厚みのシートを作製した後、50mm角のAl2O3基材の表面に貼り付け、500℃、大気雰囲気下でバインダを除去し、表3の条件で焼結させた(DB法)。得られた材料は実施例2と同様に評価した。
(実施例4)
実施例1の条件で基材の材質、原料粉末の平均粒径、Al2O3膜の平均結晶粒径、膜厚、緻密度およびビッカース硬度(mgf/μm2)をさまざまに変えた本発明品のサンプル1101から1111を作製した。
また、CVD法により従来品のサンプル1201および1202を作製した。本発明において製造された切削工具(発明品1101)につき、その特性を評価した。
本発明品および従来品1201および1202を以下の表5の加工条件の下で切削加工を行ない、逃げ面摩耗幅、すくい面摩耗深さの評価を行なった。
表4および5から、逃げ面摩耗幅、すくい面摩耗深さが小さいほど切削工具の寿命延長の効果があるといえる。
以上の結果から、本発明品は比較例に比べて寿命が長いことがわかった。
以上の結果から、本発明品は比較例に比べて寿命が長いことがわかった。
(実施例5)
表2のサンプル3および表3のサンプル12で示す条件で、表6で示す表面粗さを持つTiCNのコーティングを施したC型全周ブレーカにAl2O3膜を形成し、SCM435を被削材として切削速度200m/min、切込み深さ2.0mm、送り速度0.3mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。また、比較材としてPVDにて形成したAl2O3(粒径0.5μm)を用い、同様の実験を行なった。その結果を表6に示す。
表2のサンプル3および表3のサンプル12で示す条件で、表6で示す表面粗さを持つTiCNのコーティングを施したC型全周ブレーカにAl2O3膜を形成し、SCM435を被削材として切削速度200m/min、切込み深さ2.0mm、送り速度0.3mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。また、比較材としてPVDにて形成したAl2O3(粒径0.5μm)を用い、同様の実験を行なった。その結果を表6に示す。
表6に示すように得られた膜により高い切削性能を示すことがわかった。
(実施例6)
表2のサンプル3および表3のサンプル12で示す条件で表7に示す表面粗さを持つCBN工具のすくい面にAl2O3膜を形成し、SUJ2を被削材として切削速度300m/min、切込み深さ0.1mm、送り速度0.1mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。また、比較材としてコーティングのないCBNを用いた。この結果を表7に示す。
(実施例6)
表2のサンプル3および表3のサンプル12で示す条件で表7に示す表面粗さを持つCBN工具のすくい面にAl2O3膜を形成し、SUJ2を被削材として切削速度300m/min、切込み深さ0.1mm、送り速度0.1mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。また、比較材としてコーティングのないCBNを用いた。この結果を表7に示す。
表7に示すように得られた膜により高い切削性能を示すことがわかる。
(実施例7)
表8に示す粉末をエアロゾルデポジション法を用いて同一組成を持つ1mm厚みの基材の表面に10μmの厚みで形成した。その後、表8に示す熱処理を行なった。得られた焼結体は密度測定、TEMによる粒径測定、ビッカース硬度の測定を行なった他、分光光度計で表8に示す領域の透過率を測定した。
(実施例7)
表8に示す粉末をエアロゾルデポジション法を用いて同一組成を持つ1mm厚みの基材の表面に10μmの厚みで形成した。その後、表8に示す熱処理を行なった。得られた焼結体は密度測定、TEMによる粒径測定、ビッカース硬度の測定を行なった他、分光光度計で表8に示す領域の透過率を測定した。
その結果を表8に示す。
表8で示すように、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下で、緻密度が95%以上のセラミックス膜は透過率に影響を与えないことがわかる。
次に、複合膜の実施例について述べる。
(実施例8)
表9に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)をエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、50mm角のAl2O3基材の表面に形成させた。なお、この実施例では、膜全体の体積から空隙部分を除いた体積に対して、TiCが20体積%となるように出発原料のAl2O3とTiCの混合粉末を調整し、AD法で膜を形成した。その結果の一部を表9に示す。得られた素材はTEM観察により緻密度及び成分比を測定し、微小ビッカース硬度計を用い、押付け荷重が5000×9.8×10-6N(5000mgf)の条件で押付けてビッカース硬度を測定した。また、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡により膜厚と粒径を観察した。粒径は膜断面を50万倍の視野にて、観察し、任意の2μm長さの直線上に存在する粒子の個数から粒径を算出した。その結果を表9に示す。
(実施例8)
表9に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)をエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、50mm角のAl2O3基材の表面に形成させた。なお、この実施例では、膜全体の体積から空隙部分を除いた体積に対して、TiCが20体積%となるように出発原料のAl2O3とTiCの混合粉末を調整し、AD法で膜を形成した。その結果の一部を表9に示す。得られた素材はTEM観察により緻密度及び成分比を測定し、微小ビッカース硬度計を用い、押付け荷重が5000×9.8×10-6N(5000mgf)の条件で押付けてビッカース硬度を測定した。また、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡により膜厚と粒径を観察した。粒径は膜断面を50万倍の視野にて、観察し、任意の2μm長さの直線上に存在する粒子の個数から粒径を算出した。その結果を表9に示す。
表9に示すように本結果から厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度60%以上の場合、そのビッカース硬度が980mgf/μm2以上(980×9.8×10-6N/μm2以上)であることがわかる。
また、表9に示すように、平均結晶粒径(Al2O3粒径)が10nm以上100nm以下で、緻密度95%以上のセラミックス複合膜が高い特性を示すことがわかった。
(実施例9)
表10に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)をエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、50mm角のAl2O3基材の表面に形成させた。その後、表10に示す条件で常圧または加圧焼結および非加熱の焼結を行なった。得られた素材はTEM観察により緻密度及び成分比を測定し、微小ビッカース硬度計を用い、押付け荷重が5000×9.8×10-6N(5000mgf)の条件で押付けてビッカース硬度を測定した。また、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡により膜厚と粒径を観察した。粒径は膜断面を50万倍の視野にて、観察し、任意の2μm長さの直線上に存在する粒子の個数から粒径を算出した。その結果を表10に示す。
表10に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)をエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、50mm角のAl2O3基材の表面に形成させた。その後、表10に示す条件で常圧または加圧焼結および非加熱の焼結を行なった。得られた素材はTEM観察により緻密度及び成分比を測定し、微小ビッカース硬度計を用い、押付け荷重が5000×9.8×10-6N(5000mgf)の条件で押付けてビッカース硬度を測定した。また、膜はFIB装置によりサンプル加工を行ない、透過型電子顕微鏡により膜厚と粒径を観察した。粒径は膜断面を50万倍の視野にて、観察し、任意の2μm長さの直線上に存在する粒子の個数から粒径を算出した。その結果を表10に示す。
また、表10に示すように、平均結晶粒径(Al2O3粒径)が10nm以上100nm以下で、緻密度95%以上のセラミックス複合膜が高い特性を示すことがわかった。また、粉末1のAl2O3がマトリックスを構成しており、その中に粉末2が分散していた。
(実施例10)
表11に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)を用い、PVB(ポリビニルブチラール)をバインダとして用い、10μmの厚みのシートを作製した後、50mm角のAl2O3基材の表面にこのシートを貼り合せ、温度500℃、大気雰囲気下でバインダを除去し、表11の条件で焼結させた(ドクターブレード法)。得られた材料は実施例1と同様に評価した。その結果を表11に示す。
表11に示す粉末(粉末1と粉末2の混合粉末)を用い、PVB(ポリビニルブチラール)をバインダとして用い、10μmの厚みのシートを作製した後、50mm角のAl2O3基材の表面にこのシートを貼り合せ、温度500℃、大気雰囲気下でバインダを除去し、表11の条件で焼結させた(ドクターブレード法)。得られた材料は実施例1と同様に評価した。その結果を表11に示す。
表11で示すように、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下で、緻密度が95%以上のセラミックス膜が高い特性を示すことがわかる。
(実施例11)
表10のサンプル3およびサンプル10と表11のサンプル13で示す条件で、表12に示す表面粗さを持つTiCNのコーティングを施したC型全周ブレーカにセラミックス複合膜を形成させ、SCM435を被削材として切削速度200m/min、切込み深さ2.0mm、送り速度0.3mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。その結果を表12に示す。
表10のサンプル3およびサンプル10と表11のサンプル13で示す条件で、表12に示す表面粗さを持つTiCNのコーティングを施したC型全周ブレーカにセラミックス複合膜を形成させ、SCM435を被削材として切削速度200m/min、切込み深さ2.0mm、送り速度0.3mmの乾式条件中で、クレータ欠損の起こる時間を測定した。その結果を表12に示す。
表12で示すように、得られた膜により高い切削性能を示すことがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、切削工具の分野で適用することができる。
1 搬送ガスボンベ、2 ガス搬送ライン、3 原料粉、4 エアロゾル化室、5 加振機、6 エアロゾル搬送ライン、7 ノズル、8 マスク、9 基材、10 基板ステージ、11 真空ポンプ、19 中間層、29 Al2O3層。
Claims (25)
- 基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上であることを特徴とする、セラミックス膜。
- 基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、緻密度が95%以上であることを特徴とする、セラミックス膜。
- 前記セラミックスがAl2O3であることを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミックス膜。
- ビッカース硬度Hvが980mgf/μm2以上(980×9.8×10-6N/μm2以上)であることを特徴とする、請求項1または3のいずれか1項に記載のセラミックス膜。
- ビッカース硬度Hvが2500mgf/μm2以上(2500×9.8×10-6N/μm2以上)であることを特徴とする、請求項2または3に記載のセラミックス膜。
- 基材の表面粗さRaが0.2μm以上であり、膜の表面粗さRaが0.05μm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミックス膜。
- 前記基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を温度500℃以上で焼結させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス膜の製造方法。
- 前記基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を局所的な加熱方法で焼結させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス膜の製造方法。
- 基材表面の少なくとも刃先部位に、請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス膜が形成されていることを特徴とする、切削工具。
- 少なくとも2種以上の材質からなるセラミックス複合膜であって、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上であることを特徴とする、セラミックス複合膜。
- 少なくとも2種以上の材質からなるセラミックス複合膜であって、基材上に形成され、厚みが0.5μm以上100μm以下であり、平均結晶粒径が10nm以上100nm以下であり、緻密度が95%以上であることを特徴とする、セラミックス複合膜。
- 前記基材の表面粗さRaが0.2μm以上であり、前記膜の表面粗さRaが0.05μm以下であることを特徴とする、請求項10または11に記載のセラミックス複合膜。
- 前記基材上に粒径が50nm以下のセラミックス混合粉末を形成させた後、その形成物を温度500℃以上で焼結させることを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載のセラミックス複合膜の製造方法。
- 前記基材上に粒径が50nm以下のセラミックス粉末を形成させた後、その形成物を局所的な加熱で焼結させることを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載のセラミックス複合膜の製造方法。
- セラミックス材料の1つがAl2O3であり、他方のセラミックス材料がSiC、Si3N4、TiN、TiCN、TiC、AlN、CおよびBNからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載のセラミックス複合膜。
- 基材表面の少なくとも刃先部位に、請求項10から12および15のいずれか1項に記載のセラミックス複合膜が形成されていることを特徴とする、切削工具。
- 前記基材が立方晶型窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材、または高速度鋼であることを特徴とする、請求項16に記載の切削工具。
- 基材表面の少なくとも刃先部位にAl2O3膜が形成された切削工具であって、前記Al2O3膜が多結晶であり、平均結晶粒径が1nm以上500nm以下であり、緻密度が60%以上99%以下であり、膜厚が1μm以上100μm以下であることを特徴とする、切削工具。
- 前記Al2O3膜の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下であることを特徴とする、請求項18に記載の切削工具。
- 前記Al2O3膜の膜厚が10μm以上30μm以下であることを特徴とする、請求項18または19に記載の切削工具。
- 前記Al2O3膜が微粒Al2O3粉末を原料とするエアロゾルデポジション法を用いて形成されることを特徴とする、請求項18から20のいずれか1項に記載の切削工具。
- 前記微粒Al2O3粉末の粒径が1nm以上1μm以下であることを特徴とする、請求項21に記載の切削工具。
- 前記微粒Al2O3粉末の粒径が100nm以上800nm以下であることを特徴とする、請求項21に記載の切削工具。
- 前記基材または膜形成面がWC基超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化ケイ素焼結体、および酸化アルミニウム、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタンからなる硬質基材からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項9、16、18から23のいずれか1項に記載の切削工具。
- 前記基材または膜形成面が立方晶型窒化硼素焼結体を刃先にろう付けした基材または膜形成面、または高速度鋼であることを特徴とする、請求項9、16、18から23のいずれか1項に記載の切削工具。
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-
2005
- 2005-10-03 JP JP2005290455A patent/JP2006131992A/ja not_active Withdrawn
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