JP7087728B2 - 鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、鋼の製造方法に関する。
鋼板等の鋼材は、通常、転炉等の一次精錬炉により大気圧下で脱炭精錬を行われた未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、脱炭精錬により増加した溶鋼中の酸素を、例えばRH真空脱ガス装置でAlまたはAl-Siにより脱酸し、連続鋳造することにより、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼として製造されている。
脱酸時に不可避的に生成するアルミナは、硬質であり、凝集してクラスター化し易く、数100μm以上の大きさの介在物として鋼中に残留する。このため、溶鋼からのアルミナの除去が不十分であると、連続鋳造時にタンディッシュの浸漬ノズルでノズル孔内付着によるノズル詰まりを生じる。
図1は、一般的な鋼の連続鋳造方法を示す説明図である。図1に示すように、鋼の連続鋳造方法は、一般的に、取鍋1をレードルカーに載せタンディッシュ2まで運搬した後、タンディッシュ2から浸漬ノズル3を介して溶鋼を鋳型4内に供給して鋳造する。
一方、Alキルド鋼あるいはAl-Siキルド鋼を連続鋳造する場合、脱酸時においてアルミナが生成するため、鋳造時にアルミナのクラスター化が進んで浸漬ノズル3の内面に付着し、浸漬ノズル3を閉塞させる現象が発生する。なお、符号5はストッパーである。
この結果、シャクリと称される詰まり解消作業(付着物の削ぎ落とし作業)の回数が増加し、連続鋳造の操業を中止せざるを得なくなる。シャクリとは、鋳造中に鋳造速度を落として、浸漬ノズルの内部の付着物を、衝撃によって落下させる作業であり、生産性や鋳片品質の低下を招くため、シャクリを皆無にすることが望ましい。
さらに、アルミナが最終製品である鋼材に残存すると、例えば、薄板では熱間圧延または冷間圧延でのスリバー疵(線状疵)、構造用厚板では材質不良、耐摩耗用厚板では低温靭性の低下、油井用鋼管では溶接部のUST欠陥といった、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥が鋼材に発生する。
例えば、引張強度が340MPa級の塗装焼付け硬化型鋼板用の極低炭素鋼(以下、「340BH/HiMn-SULC」という)の溶製においても、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥が問題になる。
340BH/HiMn-SULCは、Mn含有量が0.60質量%程度と高Mnの化学組成を有する。このため、製鋼工程においてMnの供給源となる金属Mn(以下、「MeMn」と記載し、同様に、後述の濃度調整用合金における「金属」を「Me」と記載する。)を溶鋼に投入して、溶鋼のMn濃度を高める必要がある。
一方、溶鋼に添加されたMnは酸化されてMnOを生成して浮上分離し易いため、Mnの投入歩留まりは低下し易い。このため、MeMnは、これまで、転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼し、RH真空脱ガス装置を用いてAlまたはAl-Siにより脱酸した後に、溶鋼に投入されていた。
340BH/HiMn-SULCの溶製においても、連続鋳造時にタンディッシュの浸漬ノズルでノズル孔内付着によるノズル詰まりや、冷間圧延でのスリバー疵といった介在物欠陥が頻発しており、塗装焼付け硬化型鋼板の生産性や品質が低下していた。
浸漬ノズル3の閉塞を防止する方法として、特許文献1、2により、浸漬ノズル3内に不活性ガスを吹き込むことにより付着物の発生を抑制することが開示されている。また、本出願人は、特許文献3により、浸漬ノズル3を構成する耐火物にアルミナ等の酸化物が付着し難い材料を用いることにより、付着物の発生を抑制する発明を開示した。
しかし、特許文献1、2により開示される発明は、不活性ガスの費用が嵩み、生産コストが上昇する。また、特許文献3により開示される発明は、特殊な耐火物からなる浸漬ノズルとなるため、浸漬ノズルのコストが上昇する。
本発明者らは、特許文献4により、AlまたはAl-Si脱酸した溶鋼中に、Ce、La、PrおよびNdから選択される1種類以上のREM(希土類金属)を添加することにより、質量%で、C:0.0005~1.5%、Si:0.005~1.2%、Mn:0.05~3.0%、P:0.001~0.1%、S:0.0001~0.05%、Al:0.005~1.5%、残部がFeである鋼組成を有し、全REMが0.1ppm以上10ppm未満であり、かつ固溶REMが1ppm未満である、アルミナクラスターが少ない鋼材を開示した。
特許文献4により開示された鋼材は、介在物欠陥の原因となる粗大なアルミナクラスターの生成を、溶鋼中およびAr気泡の表面で防止し、自動車用や家電用の薄板のスリバー疵、構造用厚板の材質不良、耐摩耗用厚板の低温靭性の低下、油井管用鋼管の溶接部のUST欠陥といった介在物欠陥を大幅に抑制することができる。
特開平11-57958号公報 特開2001-300702号公報 特開平5-154626号公報 特開2005-2425号公報
特許文献4により開示された発明によれば、確かに、アルミナクラスターが少ない鋼材を提供できる。
近年、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減することへの要請は、鋼材の需要家の生産性向上のための無欠陥指向や加工特性の向上の要求の高まりにより、従来に増して一段と強くなっており、アルミナクラスターによる介在物欠陥をより一層低減することが強く求められている。
このため、製鋼工程での溶鋼の徹底的な清浄化や、鋳片の重手入れ化といった様々な対策が行われてはいるものの、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減できていない。
本発明は、従来の技術が有するこの課題に鑑みてなされたものであり、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルの内面に付着するアルミナ等の介在物の厚みを低減して、浸漬ノズルの閉塞を防止し、これにより、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、浸漬ノズルに要するコストも低減して、鋼を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らが特許文献4により開示したように、低融点酸化物であるFeOは、Alにより脱酸された平衡状態の溶鋼中には本来存在しない。しかし、1600℃程度の溶鋼(O濃度:6~8ppm程度)の一部に、O濃度が0.2質量%程度の溶鋼が非平衡に存在すると、Alと液体のFeOが同時に生成し、液体のFeOがAl同士の間にバインダーとして介在することにより、アルミナクラスターが発生する。
本発明者らは、このアルミナクラスターの発生機構に基づき、アルミナクラスターの発生防止手段を鋭意検討した結果、以下に列記の知見(A)~(F)を得た。
(A)340BH/HiMn-SULCの製鋼工程でMn濃度の調整のためにAlまたはAl-Si脱酸後に投入されるMeMnは、例えば0.5質量%程度と極微量ではあるものの、Oを含有する。Oを含有するMeMnが溶鋼に持ち込む全O量は例えば15ppm以上になる。
このため、従来のようにAlまたはAl-Si脱酸後にMeMnを投入すると、MeMnからの持込みOにより、溶鋼は局所的に酸素汚染され、これにより、液体状態のFeOがAlと同時に生成し、生成したFeOがAl同士のバインダーになってアルミナクラスターが発生する。
(B)340BH/HiMn-SULCのように、MeMnの投入量が多い鋼種、すなわち持込み酸素量が15ppm以上と多い鋼種では、MeMnを、従来のようにAlまたはAl-Si脱酸後の溶鋼に投入するのではなくて、AlまたはAl-Si脱酸前の溶存酸素量が50ppm以上である溶鋼に投入するとともに、AlまたはAl-Si脱酸後の溶鋼に投入する。これにより、液体状態のFeOがAlと同時に生成することを阻止してアルミナクラスターの生成を抑制できるため、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(C)脱酸後持込み酸素量を10ppm以下にすることにより、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(D)AlまたはAl-Siによる脱酸前に投入されるMeMnから溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量と、AlまたはAl-Siによる脱酸後に投入されるMeMnから溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上に高めることにより、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(E)AlまたはAl-Si脱酸前にMeMnを投入することにより、Mnの投入歩留まりは若干低下するものの、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される品質レベルまで十分に低減できるため、最終製品である鋼材の生産性や品質を顕著に向上でき、鋼材の製造コストを大幅に抑制することが可能になる。
(F)溶鋼の成分調整用合金としては、MeMn以外に、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeBまたはFeNb等があり、これらの成分調整用合金もOを含有する。このため、これらの成分調整用合金を、上記(B)に記載したようにAlまたはAl-Si脱酸の前後に投入することにより、アルミナクラスターの発生を防ぐことができる。
本発明は、これらの知見(A)~(F)に基づくものであり、以下に列記の通りである。
(1)転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼を、AlまたはAl-Siにより脱酸し、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する方法であって、
酸素を含有する成分調整用合金を、前記取鍋への出鋼中または出鋼後であって、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともに前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入し、
前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上とし、
前記脱酸後持込み酸素量を10ppm以下とし、
脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量の合計を15ppm以上とするとともに、
前記Alまたは前記Al-Siにより脱酸され、その後に前記成分調整用合金を投入された溶鋼に、下記(1)式および(2)式を満足するREMを含有させることで、浸漬ノズルに不活性ガスを吹き込むことなく、浸漬ノズル内面の付着物厚みを抑制しつつ連続鋳造する、鋼の製造方法。
0.5×T.O≦REM含有量≦50-1.2×T.O(ppm) ・・・(1)
5≦T.O≦30(ppm) ・・・・・(2)
ただし、上記(1)式および(2)式におけるT.Oは鋼中の溶存酸素量と介在物中酸素量を合計した総酸素量である。
(2)前記成分調整用合金は、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeB、およびFeNbから選択される1種以上である、上記(1)に記載の鋼の製造方法。
(3)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の化学組成が、質量%で、
C:0.0005~1.5%、
Si:0.005~1.2%、
Mn:0.05~3.0%、
P:0.001~0.2%、
S:0.0001~0.05%、
T.Al:0.005~1.5%、
Cu:0~1.5%、
Ni:0~10.0%、
Cr:0~10.0%、
Mo:0~1.5%、
Nb:0~0.1%、
V:0~0.3%、
Ti:0~0.25%、
B:0~0.005%、
REM:0.1~20ppm、
T.O:5~30ppm、
残部がFeおよび不純物である、上記(1)または(2)に記載の鋼の製造方法。
(4)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.1~1.5%、
Ni:0.1~10.0%、
Cr:0.1~10.0%、および
Mo:0.05~1.5%、
から選択される1種以上を含有する、上記(3)に記載の鋼の製造方法。
(5)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
Nb:0.005~0.1%、
V:0.005~0.3%、および
Ti:0.001~0.25%、
から選択される1種以上を含有する、上記(3)または(4)に記載の鋼の製造方法。
(6)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
B:0.0005~0.005%、
を含有する、上記(3)~(5)のいずれかに記載の鋼の製造方法。
本発明により、Alキルド鋼あるいはAl-Siキルド鋼を連続鋳造するに際して、酸素を含有する成分調整用合金をAl脱酸後の溶鋼に投入することに起因した、Alおよび液体のFeOの同時発生、およびアルミナクラスターの発生を防ぐことができる。
本発明では、AlまたはAl-Siにより脱酸され、その後に成分調整用合金を投入された溶鋼にREMを添加することにより、溶鋼中に存在する低融点酸化物、すなわちアルミナクラスター粒子間に存在する低融点酸化物をREMにより還元する。これにより、タンディッシュの浸漬ノズルに不活性ガスを吹き込むことなく、浸漬ノズルの内面の付着物の厚みを抑制しながら、連続鋳造することができる。この結果、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥の発生を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、鋼を製造できる。さらに、残留不活性ガスに起因するピンホールや膨れ等の品質欠陥を防止できる。
図1は、一般的な鋼の連続鋳造方法を示す説明図である。 図2は、本発明におけるREM含有量と、T.Oと、アルミナクラスターの最大径の関係を示すグラフである。 図3は、浸漬ノズルを示す断面図である。 図4は、浸漬ノズルのノズル内径に対する付着厚み率と平均シャクリ回数の関係を示すグラフである。 図5は、実施例における脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との関係を示すグラフである。
本発明を説明する。以降の説明において化学組成または濃度に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明の概要
本発明では、基本的に、転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼を、AlまたはAl-Siにより脱酸し、タンディッシュを用いて連続鋳造することにより、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する。
本発明では、酸素を含有する成分調整用合金を、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、AlまたはAl-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともにAlまたはAl-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入する。なお、溶鋼の溶存酸素量は、500ppm以下であることが好ましい。
さらに、本発明では、所定量のREMを、AlまたはAl-Siにより脱酸され、その後に成分調整用合金を投入された溶鋼に添加することにより、溶鋼中のアルミナクラスター粒子間に存在する低融点酸化物のバインダーをREMにより還元する。これにより、タンディッシュの浸漬ノズルに不活性ガスを吹き込むことなく、浸漬ノズルの内面の付着物の厚みを抑制しながら、連続鋳造する。
ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称である。これらの17元素のうちの1種以上を鋼材に含有することができ、REM含有量は、これらの元素の合計含有量を意味する。
本発明では、成分調整用合金とREMは、例えば、以下に示す投入順序で溶鋼に投入される。
(i)転炉 未脱酸溶鋼(成分調整用合金、REMのいずれも未投入)
(ii)転炉またはRH真空脱ガス装置(脱酸前成分調整用合金投入)
(iii)RH真空脱ガス装置(AlまたはAl-Si脱酸→脱酸後成分調整用合金投入→REM投入
本発明によれば、酸素を含有する成分調整用合金をAl脱酸後の溶鋼に投入することに起因した、Alおよび液体のFeOの同時発生、およびアルミナクラスターの発生を防ぐことができる。
このため、本発明によれば、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥の発生を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、タンディッシュの浸漬ノズルの内面における付着物の発生を、不活性ガスを吹き込まなくても防止できる。さらに、本発明によれば、残留不活性ガスに起因するピンホールや膨れ等の品質欠陥を防止できる。
2.成分調整用合金
本発明では、酸素を含有する成分調整用合金の溶鋼への投入タイミングを、従来のAlまたはAl-Siによる脱酸後だけではなく、取鍋への出鋼中または出鋼後であってAlまたはAl-Siによる脱酸前および脱酸後に変更する。
本発明では、AlまたはAl-Siによる脱酸前に投入される成分調整用合金から、溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、AlまたはAl-Siによる脱酸後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上にする。また、前記比率は、好ましくは、2.5以上、130以下である。
なお、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)は、各成分調整用合金からの持込み酸素量(質量ppm)を、成分調整用合金投入量(kg)×当該成分調整用合金中酸素濃度(%)/100/溶鋼量(kg)×10により求め、全ての成分調整用合金からの持込み酸素量を合計して求めることができる。さらに、本発明では、脱酸後持込み酸素量を10ppm以下にし、好ましくは、0.2ppm以上、5ppm以下である。
これらにより、Alおよび液体のFeOが溶鋼中で同時に発生することを防止でき、アルミナクラスターの発生を防ぐことができる。このため、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される品質レベルまで十分に低減しながら、溶鋼を製造することができる。
本発明では、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計が15ppm以上である。脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計の持込み酸素量が15ppm未満であると、Alおよび液体のFeOが少量しか発生せず、酸素を含有する成分調整用合金を溶鋼に投入することの弊害が発生しないからである。なお、合計の持込み酸素量は、好ましくは、170ppm以下である。
成分調整用合金の溶鋼への投入タイミングは、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、かつAlまたはAl-Siによる脱酸前および脱酸後であれば、特に制限されない。しかし、AlまたはAl-Siによる脱酸よりできるだけ前のタイミング、例えば取鍋への出鋼直後で投入すれば、AlまたはAl-Siによる脱酸前に一旦生成した液体FeOを確実に溶鋼中に溶解できるために、好ましい。
酸素を含有する成分調整用合金としては、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeB、およびFeNbから選択される1種以上が例示される。
各成分調整用合金に含有される酸素濃度としては、MeMn:0.5%程度、MeTi:0.2%程度、MeCu:0.04%程度、MeNi:0.002%程度、FeMn:0.4%程度、FeP:1.5%程度、FeTi:1.3%程度、FeS:6.5%程度、FeSi:0.4%程度、FeCr:0.1%程度、FeMo0.01%程度、FeB:0.4%程度、FeNb:0.03%程度が例示される。
3.REM
図1に示すように、本発明における連続鋳造では、Alキルド鋼あるいはAl-Siキルド鋼を連続鋳造するに際して、取鍋1でREMを、AlまたはAl-Siにより脱酸され、その後に成分調整用合金を投入された溶鋼に添加することにより、浸漬ノズル3に不活性ガスを吹き込むことなく、浸漬ノズル3の内面の付着物の厚みを薄く抑制する。
すなわち、取鍋1でAlまたはAl-Siにより脱酸され、その後に成分調整用合金を投入された溶鋼に1種以上のREMを添加することにより、アルミナクラスターの粒子間に存在する低融点酸化物(FeOおよびAl・FeO(アルミナ・ハーシナイト))をREMにより還元する。なお、本発明におけるREMとは、上述したように、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称を意味する。
これにより、溶鋼中でのアルミナ粒子の凝集合体を抑制し、アルミナクラスターの径の分布を小さくし(粗大化防止)、かつ発生量も低減することにより、浸漬ノズルの内面における付着物の発生を防止し、その厚みの増加を抑制する。したがって、従来のように浸漬ノズルの内面の付着物の発生を防止するために浸漬ノズル3にAr等の不活性ガスを吹き込む必要がなくなる。
溶鋼中へのREMの添加は、例えば二次精錬装置のCASやRH真空脱ガス装置を使って、行ってもよい。また、上記溶鋼中のREM含有量は、下記の(1)式および(2)式を満足する。
0.5×T.O≦REM含有量≦50-1.2×T.O(ppm) ・・・(1)
5≦T.O≦30(ppm) ・・・(2)
なお、上述したようにT.Oとは、鋼中の溶存酸素量と介在物中酸素量を合計した総酸素量である。
REM含有量が0.5×T.O(ppm)未満であると、低融点酸化物を十分に還元することができない。一方、REM含有量が50-1.2×T.O(ppm)よりも多いと、REM酸化物とAlの複合酸化物からなる粗大なクラスターが生成し、スラグとの反応によって複合酸化物が多量に生成するおそれがある。このため、溶鋼の清浄性が悪化し、タンディッシュの浸漬ノズルを閉塞させるとともに、溶鋼中の溶存REM量が増加し、タンディッシュの内壁やストッパーの耐火物を溶損し、操業トラブルを引き起こすおそれがある。
また、T.Oが5ppm未満であると、二次精錬、例えばRHでの処理時間が大幅に増大するため、コストがかかり経済性を損ねる。一方、T.Oが30ppm超であると、アルミナ粒子の衝突頻度が増加し、クラスターが粗大化する場合がある。
図2は、本発明におけるREM含有量と、T.Oと、アルミナクラスターの最大径の関係を示すグラフである。図2のグラフより、REM含有量が、0.5×T.O≦REM≦50-1.2×T.O(ppm)、かつ5≦T.O≦30(ppm)を満足すれば、アルミナクラスターの最大径を100μm未満に抑制できることが分かる。
図3は、浸漬ノズルを示す断面図である。図4は、浸漬ノズルのノズル内径に対する付着厚み率と平均シャクリ回数の関係を示すグラフである。
図3、4より、浸漬ノズルの内径に対する付着物厚み率(%)と平均シャクリ回数(回/ノズル)の関係を調べた結果、浸漬ノズルの内面の付着物の厚みをノズル内径の15%以下に抑制しながら連続鋳造することにより、シャクリ作業を行わずに連続鋳造できることが分かる。
以上に説明したように、本発明によれば、浸漬ノズルの内面に付着するアルミナ等の介在物の厚みを低減して浸漬ノズルの閉塞を確実に防止することができ、浸漬ノズルに対するシャクリ作業や、浸漬ノズルの交換に伴う生産性の低下を防止できる。
4.本発明により製造されるAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の化学組成
本発明により製造されるAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の化学組成は、質量%で、C:0.0005~1.5%、Si:0.005~1.2%、Mn:0.05~3.0%、P:0.001~0.2%、S:0.0001~0.05%、T.Al:0.005~1.5%、Cu:0~1.5%、Ni:0~10.0%、Cr:0~10.0%、Mo:0~1.5%、Nb:0~0.1%、V:0~0.3%、Ti:0~0.25%、B:0~0.005%、REM:0.1~20ppm、T.O:5~30ppm、残部がFeおよび不純物である、炭素鋼または合金鋼であることが好ましい。この化学組成を有する鋼材に必要な加工を加えることにより、薄板、厚板、鋼管、形鋼、棒鋼等へ適用できる。上記範囲が好ましい理由は以下の通りである。
C:0.0005~1.5%
Cは、鋼の強度を最も安定して向上させる基本的な元素である。C含有量は、鋼の強度または硬度の確保のためには好ましくは0.0005%以上である。しかし、C含有量が1.5%を超えると鋼の靭性が損なわれる。このため、C含有量は、所望する材料の強度に応じて好ましくは0.0005~1.5%の範囲で調整する。
Si:0.005~1.2%
Si含有量が0.005%未満であると、溶銑予備処理を行う必要が生じ、精錬に大きな負担をかけ経済性が損なわれる。一方、Si含有量が1.2%を超えると、メッキ不良が発生し、鋼の表面性状や耐食性が劣化する。このため、Si含有量は好ましくは0.005~1.2%である。
Mn:0.05~3.0%
Mn含有量が0.05%未満であると、精錬時間が長くなって経済性が損なわれる。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼の加工性が大きく劣化する。このため、Mn含有量は、好ましくは0.05~3.0%である。
P:0.001~0.2%
P含有量が0.001%未満であると、溶銑予備処理の時間およびコストが増加し経済性が損なわれる。一方、P含有量が0.2%を超えると、鋼の加工性が大きく劣化する。このため、P含有量は好ましくは0.001~0.2%である。
S:0.0001~0.05%
S含有量が0.0001%未満であると、溶銑予備処理の時間およびコストがかかり経済性が損なわれる。一方、S含有量が0.05%を超えると、鋼の加工性および耐食性が大きく劣化する。このため、S含有量は好ましくは0.0001~0.05%である。
T.Al:0.005~1.5%
本発明では、Al含有量について材質に影響する固溶Al(sol.Al)量と、介在物であるAlに由来するAl(insol.Al)量の合計量である、Al量をT.Al(Total.Al)として規定する。換言すれば、T.Al=sol.Al+insol.Alを意味する。
T.Al含有量が0.005%未満であると、AlNとしてNをトラップして固溶Nを減少させることができない。一方、T.Al含有量が1.5%を超えると、鋼の表面性状と加工性が劣化する。このため、T.Al含有量は好ましくは0.005~1.5%である。
上記の例示鋼では、これらの必須元素の他にそれぞれの用途に応じて、任意元素として、(i)Cu、Ni、CrおよびMoから選択される1種以上、(ii)Nb、VおよびTiから選択される1種以上、および(iii)B、を含有してもよい。
Cu:0~1.5%、Ni:0~10.0%、Cr:0~10.0%、およびMo:0~1.5%から選択される1種以上
Cu、Ni、Cr、Moは、いずれも、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、前記元素から選択される1種以上を必要に応じて含有させてもよい。
しかし、CuおよびMoは1.5%を超えて、NiおよびCrは10.0%を超えて、それぞれ含有すると、鋼の靭性および加工性が損なわれる。このため、好ましくはCu:1.5%以下、Ni:10.0%以下、Cr:10.0%以下、Mo:1.5%以下である。
鋼の焼入れ性の向上効果を確実に得るためには、Cu含有量、Ni含有量およびCr含有量は、それぞれ、好ましくは0.1%以上であり、Mo含有量は好ましくは0.05%以上である。
Nb:0~0.1%、V:0~0.3%、およびTi:0~0.25%から選択される1種以上
Nb、V、Tiは、いずれも、析出強化により鋼の強度を向上させる元素であり、必要に応じて1種以上を含有させてもよい。
しかし、Nbは0.1%を超えて、Vは0.3%を超えて、Tiは0.25%を超えて、それぞれ含有すると、鋼の靭性が損なわれる。このため、好ましくはNb:0.1%以下、V:0.3%以下、Ti:0.25%以下である。鋼の強度を向上する効果を確実に得るためには、Nb含有量およびV含有量はそれぞれ好ましくは0.005%以上であり、Ti含有量は好ましくは0.001%以上である。
B:0~0.005%
Bは、鋼の焼入れ性を向上させ、鋼の強度を高める元素である。しかし、B含有量が0.005%を超えると、Bの析出物が増加し、靭性を損なうおそれがある。このため、B含有量は好ましくは0.005%以下である。鋼の焼入れ性の向上効果を確実に得るためには、B含有量は好ましくは0.0005%以上である。
REM:0.1~20ppm
Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼のREM含有量が0.1ppm未満であると、アルミナ粒子のクラスター化の防止効果が得られない。一方、REM含有量が20ppm超であると、REM酸化物とAlの複合酸化物からなる粗大クラスターが生成する恐れがある。また、スラグとの反応によって複合酸化物が多量に生成するため、溶鋼清浄性が悪化し、タンディッシュの浸漬ノズルを閉塞させる可能性がある。このため、REM含有量は好ましくは0.1~20ppmとする。REM含有量は15ppm以下であるのがより好ましい。
T.O:5~30ppm
本発明では、O含有量について材質に影響する固溶O(sol.O)量と、介在物に存在するO(insol.O)量の合計量である、O量をT.O(Total.O)として規定する。Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼のT.Oが5ppm未満では二次精錬、例えばRHでの処理時間が大幅に増大するため、コストがかかり経済性も損ねる。一方、T.Oが30ppm超であるとアルミナ粒子の衝突頻度が増加して、クラスターが粗大化する場合があるためである。また、アルミナの改質に必要なREMの添加量が増大するため、コストがかかり経済性も損ねる。このため、T.Oは、5~30ppmの範囲とする。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
270トンの転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を、取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼を、RH真空脱ガス装置においてAlまたはAl-Siにより脱酸し、連続鋳造することによってAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を溶製した。
この際、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、かつAlによる脱酸前の溶存酸素量を有する溶鋼、および脱酸後の溶鋼に、酸素を含有する成分調整用合金を投入した。
さらに、取鍋で、AlまたはAl-Siにより脱酸され、その後に成分調整用合金を投入された溶鋼にREMを、上記(1)式および(2)式の範囲の内外で添加した。
表1に投入した成分調整用合金の合金濃度および酸素濃度を示す。
Figure 0007087728000001
表2~4に、成分調整用合金投入条件(溶存酸素量,投入タイミング(未脱酸時の出鋼開始からの経過時間))、投入合金種(脱酸前、脱酸後)、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)、比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計)を示す。また、図5に、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との関係をグラフで示す。
Figure 0007087728000002
Figure 0007087728000003
Figure 0007087728000004
表2~4における「合金投入条件」は、脱酸前と脱酸後の比較で持ち込み酸素量が多い合金の投入条件を示す。
なお、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)は、各成分調整用合金からの持込み酸素量(質量ppm)を、成分調整用合金投入量(kg)×当該成分調整用合金中酸素濃度(%)/100/溶鋼量(kg)×10により求め、全ての成分調整用合金からの持込み酸素量を合計して求めた。
表5~7における「REM合金」の欄中におけるMMはミッシュメタル(45%Ce-35%La-6%Pr-9%Nd)であり、MMSiはFe-30%Si-30%REMである。
表5~7における「鋼の成分」の欄におけるREMは、各REM元素の合計含有量であり、REMとT.Oは、REM添加から1分間経過後に採取した溶鋼サンプルの分析値である。
図4は、上記(1)式および(2)式の範囲内でREM添加かつ不活性ガス未使用の場合(本発明法)、およびREM非添加かつ不活性ガス使用の場合(従来法)それぞれのシャクリ回数を示すグラフである。図4のグラフに示すように、本発明法は、従来法に比べて、シャクリ回数が大幅に低減することが分かる。
溶製されたAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機により連続鋳造し、連続鋳造鋳片を製造した。その後、連続鋳造鋳片に、(a)熱間圧延および酸洗を行って、表5~7に示す化学組成を有する厚板を製造し、(b)熱間圧延、酸洗および冷間圧延を行って、表5~7に示す化学組成を有する薄板を製造し、または(c)熱間圧延および酸洗を行って製造した厚板を素材として、表5~7に示す化学組成を有する溶接鋼管を製造した。熱間圧延後の板厚は2~100mmとし、冷間圧延後の板厚は0.2~1.8mmとした。
鋳片から採取したサンプルの最大クラスター径、クラスター個数、欠陥発生率およびノズル閉塞状況等を、表5~7に示す。
Figure 0007087728000005
Figure 0007087728000006
Figure 0007087728000007
表5~7における「最大クラスター径」は、質量1kgの鋳片からスライム電極抽出(最小メッシュ20μmを使用)した介在物を実体顕微鏡で写真撮影(40倍)し、写真撮影した介在物の長径と短径の平均値を全ての介在物で求めてその平均値の最大値を最大介在物径とすることにより、測定した。
表5~7における「クラスター個数」は、質量1kgのスライム電極抽出(最小メッシュ20μmを使用)した介在物であり、光学顕微鏡(100倍)で観察した20μm以上の全ての介在物個数を1kg単位個数に換算することにより、測定した。
表5~7における「欠陥発生率」は、薄板の場合には、板表面でのスリバー疵発生率(=スリバー疵総長/コイル長×100,%)であり、厚板の場合には、製品板でのUST欠陥発生率あるいはセパレーション発生率(=欠陥発生板数/検査総板数×100,%)であり、鋼管の場合には、油井管溶接部でのUST欠陥発生率(=欠陥発生管数/検査総管数×100,%)である。
厚板の場合には、シャルピー試験後の破面観察でセパレーションの発生の有無を確認した。なお、表5~7における厚板材の欠陥発生率では、欠陥がUST欠陥のときにはUSTと記載し、セパレーション欠陥のときにはSPRと記載した。
表5~7における「衝撃吸収エネルギー」は、-20℃での圧延方向における幅が10mmのVノッチシャルピー衝撃試験値であり、試験片5本の平均値である。
さらに、表5~7における「板厚方向絞り値」は、室温における製品板の板厚方向絞り値(=引張り試験後の破断部分の断面積/試験前の試験片断面積×100,%)である。
表5におけるNo.A1~A31は、本発明の範囲を全て満足する本発明例であり、表6におけるNo.B1~B16は、比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)が本発明の範囲を満足しない比較例であり、表7におけるNo.C1~C13は、REM添加量が本発明の範囲を満足しない比較例である。
表5~7に示すように、本発明例によれば、酸素を含有する成分調整用合金をAl脱酸後のAlまたはAl-Si脱酸鋼に投入することに起因した、Alおよび液体のFeOの同時発生、およびアルミナクラスターの発生を防ぐことができ、これにより、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥の発生を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、溶鋼を製造でき、最終製品である鋼材における粗大なアルミナクラスターに起因する表面疵や内部欠陥を低減できる。
さらに、本発明例によれば、浸漬ノズルに不活性ガスを吹き込まないため、残留不活性ガスに起因するピンホールや膨れ等の品質欠陥を防止できる。
1 取鍋
2 タンディッシュ
3 浸漬ノズル
4 モールド鋳型
5 ストッパー

Claims (6)

  1. 転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼を、AlまたはAl-Siにより脱酸し、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する方法であって、
    酸素を含有する成分調整用合金を、前記取鍋への出鋼中または出鋼後であって、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともに前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入し、
    前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上とし、
    前記脱酸後持込み酸素量を10ppm以下とし、
    脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量の合計を15ppm以上とするとともに、
    前記Alまたは前記Al-Siにより脱酸され、その後に前記成分調整用合金を投入された溶鋼に、下記(1)式および(2)式を満足するREMを含有させることで、浸漬ノズルに不活性ガスを吹き込むことなく、浸漬ノズル内面の付着物厚みを抑制しつつ連続鋳造する、鋼の製造方法。
    0.5×T.O≦REM含有量≦50-1.2×T.O(ppm) ・・・(1)
    5≦T.O≦30(ppm) ・・・・・(2)
    ただし、上記(1)式および(2)式におけるT.Oは鋼中の溶存酸素量と介在物中酸素量を合計した総酸素量である。
  2. 前記成分調整用合金は、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeB、およびFeNbから選択される1種以上である、請求項1に記載の鋼の製造方法。
  3. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の化学組成が、質量%で、
    C:0.0005~1.5%、
    Si:0.005~1.2%、
    Mn:0.05~3.0%、
    P:0.001~0.2%、
    S:0.0001~0.05%、
    T.Al:0.005~1.5%、
    Cu:0~1.5%、
    Ni:0~10.0%、
    Cr:0~10.0%、
    Mo:0~1.5%、
    Nb:0~0.1%、
    V:0~0.3%、
    Ti:0~0.25%、
    B:0~0.005%、
    REM:0.1~20ppm、
    T.O:5~30ppm、
    残部がFeおよび不純物である、請求項1または2に記載の鋼の製造方法。
  4. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.1~1.5%、
    Ni:0.1~10.0%、
    Cr:0.1~10.0%、および
    Mo:0.05~1.5%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項3に記載の鋼の製造方法。
  5. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    Nb:0.005~0.1%、
    V:0.005~0.3%、および
    Ti:0.001~0.25%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項3または4に記載の鋼の製造方法。
  6. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    B:0.0005~0.005%、
    を含有する、請求項3~5のいずれかに記載の鋼の製造方法。
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