JP7087726B2 - 鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の製造方法に関する。
鋼板等の鋼材は、通常、転炉等の一次精錬炉により大気圧下で脱炭精錬を行われた未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、脱炭精錬により増加した溶鋼中の酸素を、例えばRH真空脱ガス装置でAlまたはAl-Siにより脱酸するAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼として、製造されている。
脱酸時に不可避的に生成するアルミナは、硬質であり、凝集してクラスター化し易く、数100μm以上の大きさの介在物として鋼中に残留する。このため、溶鋼からのアルミナの除去が不十分であると、連続鋳造時にタンディッシュの浸漬ノズルでノズル孔内付着によるノズル詰まりを生じる。
また、アルミナが最終製品である鋼材に残存すると、例えば、薄板では熱間圧延または冷間圧延でのスリバー疵(線状疵)、構造用厚板では材質不良、耐摩耗用厚板では低温靭性の低下、油井用鋼管では溶接部のUST欠陥といった、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥が発生する。
例えば、引張強度が340MPa級の塗装焼付け硬化型鋼板用の極低炭素鋼(以下、「340BH/HiMn-SULC」という)の溶製においても、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥が問題になる。
340BH/HiMn-SULCは、Mn含有量が0.60質量%程度と高Mnの化学組成を有する。このため、製鋼工程においてMnの供給源となる金属Mn(以下、「MeMn」と記載し、同様に、本明細書では、後述の濃度調整用合金における「金属」を「Me」と記載する。)を溶鋼に投入して、溶鋼のMn濃度を高める必要がある。
一方、溶鋼に添加されたMnは酸化されてMnOを生成して浮上分離し易いため、Mnの投入歩留まりは低下し易い。このため、MeMnは、これまで、転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼し、RH真空脱ガス装置を用いてAlまたはAl-Siにより脱酸した後に、溶鋼に投入されていた。
340BH/HiMn-SULCの溶製においても、連続鋳造時にタンディッシュの浸漬ノズルでノズル孔内付着によるノズル詰まりや、冷間圧延でのスリバー疵といった介在物欠陥が頻発しており、塗装焼付け硬化型鋼板の生産性や品質が低下していた。
本発明者らは、特許文献1により、AlまたはAl-Si脱酸した溶鋼中に、Ce、La、PrおよびNd等から選択される1種類以上のREM(希土類元素)を添加することにより、質量%で、C:0.0005~1.5%、Si:0.005~1.2%、Mn:0.05~3.0%、P:0.001~0.1%、S:0.0001~0.05%、Al:0.005~1.5%、残部がFeである鋼組成を有し、全希土類元素が0.1ppm以上10ppm未満であり、かつ固溶希土類元素が1ppm未満である、アルミナクラスターが少ない鋼材を開示した。
特許文献1により開示された鋼材は、介在物欠陥の原因となる粗大なアルミナクラスターの生成を、溶鋼中およびAr気泡の表面で防止し、自動車用や家電用の薄板のスリバー疵、構造用厚板の材質不良、耐摩耗用厚板の低温靭性の低下、油井管用鋼管の溶接部のUST欠陥といった介在物欠陥を大幅に抑制することができる。
Ce,La,Pr,Ndなどの希土類元素(以下、「REM」という)を溶鋼中に添加することによって、アルミナの集積を防止してアルミナクラスターを微細化し、製品欠陥の発生を抑制する場合、工場レイアウトや処理時間の観点から、二次精錬の終了後に専用設備で溶鋼鍋内にREMをワイヤーとして添加することがある。
この場合、REMは沸点が高いためにCaワイヤーやMgワイヤーのように溶鋼中でガス化せず、均一混合させるためには、別途攪拌エネルギーを与える必要がある。
この攪拌には、例えばアルゴンガスによるボトムバブリングが用いられる。また、特許文献2に開示されるように、溶鋼中にREMとCaを同時にワイヤーにより添加し、RH真空脱ガス装置により攪拌する方法も知られている。
特開2005-2425号公報 特開2001-26842号公報
特許文献1により開示された発明によれば、確かに、アルミナクラスターが少ない鋼材を提供できる。
近年、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減することへの要請は、鋼材の需要家の生産性向上のための無欠陥指向や加工特性の向上の要求の高まりにより、従来に増して一段と高まっており、アルミナクラスターによる介在物欠陥をより一層低減することが強く求められている。
このため、製鋼工程での溶鋼の徹底的な清浄化や、鋳片の重手入れ化といった様々な対策が行われてはいるものの、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減することは、実現できていない。
また、特許文献2により開示されたボトムバブリングやRH真空脱ガス装置による攪拌は、攪拌エネルギーが大きいために攪拌が過多となり、溶鋼の表面のスラグとの接触によりREMが酸化され易い。その結果、REMがその本来の目的であるアルミナクラスターの防止に有効に使用される率(REM歩留まり)が低下するという課題がある。
本発明は、従来の技術が有するこの課題に鑑みてなされたものであり、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、ワイヤーにより添加されるREMを、二次精錬終了後の溶鋼中に高い歩留まりで均一に混合し、鋼を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らが特許文献1により開示したように、低融点酸化物であるFeOは、Alにより脱酸された平衡状態の溶鋼中には本来存在しない。しかし、1600℃程度の溶鋼(O濃度:6~8ppm程度)の一部に、O濃度が0.2質量%程度の溶鋼が非平衡に存在すると、Alと液体のFeOが同時に生成し、液体のFeOがAl同士の間にバインダーとして介在することにより、アルミナクラスターが発生する。
本発明者らは、アルミナクラスターのこの発生機構に基づき、アルミナクラスターの発生防止手段を鋭意検討した結果、以下に列記の知見(A)~(F)が得られた。
(A)340BH/HiMn-SULCの製鋼工程でMn濃度の調整のためにAlまたはAl-Si脱酸後に投入されるMeMnは、例えば0.5質量%程度と極微量ではあるものの、Oを含有する。Oを含有するMeMnが溶鋼に持ち込む全O量は例えば15ppm以上になる。
このため、従来のようにAlまたはAl-Si脱酸後にMeMnを投入すると、MeMnからの持込みOにより、溶鋼は局所的に酸素汚染され、これにより、液体状態のFeOがAlと同時に生成し、生成したFeOがAl同士のバインダーになってアルミナクラスターが発生する。
(B)340BH/HiMn-SULCのように、MeMnの投入量が多い鋼種、すなわち持込み酸素量が15ppm以上と多い鋼種では、MeMnを、従来のようにAlまたはAl-Si脱酸後の溶鋼に投入するのではなくて、AlまたはAl-Si脱酸前の溶存酸素量が50ppm以上である溶鋼に投入するとともに、AlまたはAl-Si脱酸後の溶鋼にも投入する。これにより、液体状態のFeOがAlと同時に生成することを阻止してアルミナクラスターの生成を抑制できるため、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(C)脱酸後持込み酸素量を10ppm以下にすることにより、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(D)AlまたはAl-Siによる脱酸前に投入されるMeMnから溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量と、AlまたはAl-Siによる脱酸後に投入されるMeMnから溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上に高めることにより、アルミナクラスターによる介在物欠陥を低減できる。
(E)AlまたはAl-Si脱酸前にMeMnを投入することにより、Mnの投入歩留まりは若干低下するものの、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される品質レベルまで十分に低減できるため、最終製品である鋼材の生産性や品質を顕著に向上でき、鋼材の製造コストを大幅に抑制することが可能になる。
(F)溶鋼の成分調整用合金としては、MeMn以外に、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeBおよびFeNb等があり、これらの成分調整用合金もOを含有する。このため、これらの成分調整用合金を、上記B項に記載したようにAlまたはAl-Si脱酸の前後に投入することにより、アルミナクラスターの発生を防ぐことができる。
本発明は、これらの知見(A)~(F)に基づくものであり、以下に列記の通りである。
(1)転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼をAlまたはAl-Siにより脱酸し、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する方法であって、
酸素を含有する成分調整用合金を、前記取鍋への出鋼中または出鋼後であって、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともに前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入し、
前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上とし、
前記脱酸後持込み酸素量を10ppm以下とし、
脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量の合計を15ppm以上とするとともに、
前記Alまたは前記Al-Siにより脱酸され、その後に前記成分調整用合金を投入した溶鋼に、0.5~30質量%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤーを用いてREMを添加する、鋼の製造方法。
(2)前記成分調整用合金は、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeB、およびFeNbから選択される1種以上である、上記(1)に記載の鋼の製造方法。
(3)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の化学組成が、質量%で、
C:0.0005~1.5%、
Si:0.005~1.2%、
Mn:0.05~3.0%、
P:0.001~0.2%、
S:0.0001~0.05%、
T.Al:0.005~1.5%、
Cu:0~1.5%、
Ni:0~10.0%、
Cr:0~10.0%、
Mo:0~1.5%、
Nb:0~0.1%、
V:0~0.3%、
Ti:0~0.25%、
B:0~0.005%、
REM:0.1~20ppm、
T.O:5~50ppm、
残部がFeおよび不純物である、上記(1)または(2)に記載の鋼の製造方法。
(4)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.1~1.5%、
Ni:0.1~10.0%、
Cr:0.1~10.0%、および
Mo:0.05~1.5%、
から選択される1種以上を含有する、上記(3)に記載の鋼の製造方法。
(5)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
Nb:0.005~0.1%、
V:0.005~0.3%、および
Ti:0.001~0.25%、
から選択される1種以上を含有する、上記(3)または(4)に記載の鋼の製造方法。
(6)前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
B:0.0005~0.005%、
を含有する、上記(3)~(5)のいずれかに記載の鋼の製造方法。
(7)前記REM合金のワイヤーとともに、MgまたはCaを含有するワイヤーを並列して添加する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の鋼の製造方法。
(8)前記MgまたはCaを含有するワイヤーのMgまたはCaの含有量が0.5~30質量%である、上記(7)に記載の鋼の製造方法。
なお、本明細書において「並列添加する」とは、REM合金のワイヤーと、MgまたはCaを含有するワイヤーとを並行して添加することを意味する。
本発明により、酸素を含有する成分調整用合金をAlまたはAl-Si脱酸後の溶鋼に投入することに起因した、Alおよび液体のFeOの同時発生、およびアルミナクラスターの発生を防ぐことができ、これにより、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥の発生を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、溶鋼を製造できるようになる。
特に、前記(1)の本発明では、0.5~30質量%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤーを用いるため、添加されたMgまたはCaがガス化して浮上することにより適切な攪拌力を得ることができる。
また、前記(7)の発明では、REM合金のワイヤーとともに、MgまたはCaを含有するワイヤーを並列して添加することにより、同様に適切な攪拌力を得ることができる。
このため、従来のボトムバブリングやRH真空脱ガス装置による攪拌を行う方法に比べて、添加されたREMがスラグと反応して無駄に消費されることがなくなり、REMがアルミナクラスターの防止に有効に使用される比率を高めることができる。しかも、REMは添加されたMgまたはCaがガス化することによる緩やかな攪拌効果によって溶鋼中に均一に拡散し、REM濃度の不均一が生じない。
このようにして、本発明によれば、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、ワイヤーにより添加されるREMを、二次精錬終了後の溶鋼中に高い歩留まりで均一に混合しながら、鋼を製造することができる。
図1は、溶鋼に添加されるワイヤーが含有するMgまたはCaの添加速度と、REM歩留まりとの関係を示すグラフである。 図2は、本発明の実施形態を示す断面図である。 図3は、本発明の別の実施形態を示す断面図である。 図4は、実施例における脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との関係を示すグラフである。
本発明を説明する。以降の説明において化学組成または濃度に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明の概要
本発明では、基本的に、転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼をAlまたはAl-Siにより脱酸し、1種以上のREMを取鍋内でワイヤーにより添加することによって、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する。
本発明では、酸素を含有する成分調整用合金を、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、AlまたはAl-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともに、AlまたはAl-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入する。なお、溶鋼の溶存酸素量は、500ppm以下であることが好ましい。
さらに、本発明で用いる上記ワイヤーは、0.5~30%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤーである。このワイヤーは、AlまたはAl-Siによる脱酸の後であって成分調整用合金を投入した後に、溶鋼に添加される。
図1は、溶鋼に添加されるワイヤーが含有するMgまたはCaの添加速度と、REM歩留まりとの関係を示すグラフである。
図1のグラフに示すように、ワイヤーの添加速度は、MgまたはCaの添加速度を溶鋼1トン、1秒当たり0.007~0.43gとする速度であることが好ましい。これにより、溶鋼に添加されたMgまたはCaがガス化して浮上することにより適切な攪拌力を得られるため、MgまたはCaのガス化による撹拌力を有効に利用できる。したがって、ボトムバブリングやRH真空脱ガス装置による攪拌を用いることなく、REMを溶鋼中に撹拌することができる。
また、請求項7に係る発明ではREM合金のワイヤーとともに、MgまたはCaを含有させたワイヤーを並列添加することにより、同様に適切な攪拌力を得ることができる。
ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称である。これらの17元素のうちの1種以上を鋼材に含有することができ、REM含有量は、これらの元素の合計含有量を意味する。
本発明では、成分調整用合金とREMは、例えば、以下に示す投入順序で溶鋼に投入される。
(i)転炉 未脱酸溶鋼(成分調整用合金、REMのいずれも未投入)
(ii)転炉またはRH真空脱ガス装置(脱酸前成分調整用合金投入)
(iii)RH真空脱ガス装置(AlまたはAl-Si脱酸→脱酸後成分調整用合金投入)
(iv)ワイヤー添加装置((1)REM合金ワイヤー単独添加、または(2)MgまたはCa含有ワイヤーとの並列添加)
本発明では、このようにして、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、二次精錬終了後の溶鋼にワイヤーにより添加されるREMを溶鋼中に高い歩留まりで均一に混合して、鋼を製造することができる。
2.成分調整用合金
本発明では、酸素を含有する成分調整用合金の溶鋼への投入タイミングを、従来のAlまたはAl-Siによる脱酸後だけではなく、取鍋への出鋼中または出鋼後であってAlまたはAl-Siによる脱酸前および脱酸後に変更する。
本発明では、AlまたはAl-Siによる脱酸前に投入される成分調整用合金から、溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、AlまたはAl-Siによる脱酸後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上にする。また、前記比率は、好ましくは、2.5以上、130以下である。
なお、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)は、各成分調整用合金からの持込み酸素量(質量ppm)を、成分調整用合金投入量(kg)×当該成分調整用合金中酸素濃度(%)/100/溶鋼量(kg)×10により求め、全ての成分調整用合金からの持込み酸素量を合計して求めることができる。さらに、本発明では、脱酸後持込み酸素量を10ppm以下にし、好ましくは、0.2ppm以上、5ppm以下である。
これにより、Alおよび液体のFeOが溶鋼中で同時に発生することを防止でき、アルミナクラスターの発生を防ぐことができる。このため、アルミナクラスターによる介在物欠陥を、現在要求される品質レベルまで十分に低減しながら、溶鋼を製造することができる。
本発明では、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計が15ppm以上とする。脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計の持込み酸素量が15ppm未満であると、Alおよび液体のFeOが少量しか発生せず、酸素を含有する成分調整用合金を溶鋼に投入することの弊害が発生しないからである。なお、合計の持込み酸素量は、好ましくは、170ppm以下である。
成分調整用合金の溶鋼への投入タイミングは、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、かつAlまたはAl-Siによる脱酸前および脱酸後であれば、特に制限されない。しかし、AlまたはAl-Siによる脱酸よりできるだけ前のタイミング、例えば取鍋への出鋼直後に投入すれば、AlまたはAl-Siによる脱酸前に一旦生成した液体FeOが溶鋼中に確実に溶解するために、好ましい。
酸素を含有する成分調整用合金としては、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeBおよびFeNbから選択される1種以上が例示される。
各成分調整用合金の酸素濃度としては、MeMn:0.5%程度、MeTi:0.2%程度、MeCu:0.04%程度、MeNi:0.002%程度、FeMn:0.4%程度、FeP:1.5%程度、FeTi:1.3%程度、FeS:6.5%程度、FeSi:0.4%程度、FeCr:0.1%程度、FeMo0.01%程度、FeB:0.4%程度、FeNb:0.03%程度が例示される。
3.REM
図2は、本発明の実施形態を示す断面図であり、符号1は溶鋼鍋であり、符号2は溶鋼である。溶鋼2は、Al脱酸またはAl-Si脱酸された後、RH(真空脱ガス設備),CAS(成分微調整設備)などによる二次精錬が終了した溶鋼である。
符号3は、溶鋼2中に添加されるREM合金のワイヤーである。このように、REM合金のワイヤー3は、REMの添加量を制御し易いため、溶鋼2に微量のREMを添加することに適する。本発明では、0.5~30%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤー3を用いる。
REM合金の合金成分として用いるMgまたはCaは、沸点が低く、溶鋼2中で容易にガス化する。しかも、これらの酸化物はスラグ4中に取り込まれるため、溶湯2に悪影響を与えない。
REM合金のワイヤー3のMgまたはCa含有量が0.5%未満であるとガス発生量が少ないため、発生したガスの浮上力による攪拌効果が不足し、REMを均一に混合できない。
一方、REM合金のワイヤー3のMgまたはCa含有量が30%を超えると、発生したガスの浮上力による攪拌効果が過剰になり、従来と同様に、REMがスラグ4と反応して無駄に消費され、REMの歩留まりが低下する。
このように、0.5~30%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤー3を、溶鋼鍋1中の、AlまたはAl-Si脱酸後成分調整用合金を投入された後の溶鋼2に添加することにより、REMの添加量に比例してMgまたはCaが溶鋼に投入され、そのガス化によりREMを緩やかに攪拌することができる。
このため、溶鋼2中のREM濃度を均一化することができる。また、攪拌力が過剰となることはないため、REMがスラグ4と反応して無駄に消費されることもない。
図3は、本発明の別の実施形態を示す断面図である。この溶鋼2もAl脱酸またはAl-Si脱酸された後、RH(真空脱ガス装置)、CAS(成分微調整設備)などによる二次精錬が終了した溶鋼である。本発明では、REM合金のワイヤー5と、MgまたはCaを含有するワイヤー6とが並列して添加される。
MgまたはCaを含有するワイヤー6としては、Si-Mg合金やSi-Ca合金を用いることが好ましい。ワイヤー6中のMgまたはCaの含有量は、上述したREM合金のワイヤーの場合と同様の理由で、0.5~30%であることが好ましい。
このように、両方のワイヤー5,6を並列して添加すると、MgまたはCaを含有するワイヤー6が溶鋼2に添加された際に発生するガスの浮上力によって攪拌力が生じ、REMが緩やかに攪拌される。
したがって、図2により示す実施形態と同様に、溶鋼2中のREM濃度を均一化することができる。また、攪拌力が過剰になることはないため、REMがスラグ4と反応して無駄に消費されてしまうこともない。なお、図3により示す実施形態では、各ワイヤー5,6の装入量を個別に制御できるため、攪拌力の調整を行い易い。なお、図1および図2で挙げた実施形態の場合に限らず、ワイヤーの添加時間は、設備、溶製量等の製鋼条件を勘案して、適宜決定すればよい。
4.本発明により製造されるAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の化学組成
本発明により製造されるAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼の化学組成は、質量%で、C:0.0005~1.5%、Si:0.005~1.2%、Mn:0.05~3.0%、P:0.001~0.2%、S:0.0001~0.05%、T.Al:0.005~1.5%、Cu:0~1.5%、Ni:0~10.0%、Cr:0~10.0%、Mo:0~1.5%、Nb:0~0.1%、V:0~0.3%、Ti:0~0.25%、B:0~0.005%、REM:0.1~20ppm、T.O:5~50ppm、残部がFeおよび不純物である化学組成を有する炭素鋼または合金鋼であることが好ましい。これらの鋼に必要な加工を加えることにより、薄板、厚板、鋼管、形鋼、棒鋼等へ適用できる。この範囲が好ましい理由は以下の通りである。
C:0.0005~1.5%
Cは、鋼の強度を最も安定して向上させる基本的な元素である。C含有量は、鋼の強度あるいは硬度の確保のためには好ましくは0.0005%以上である。しかし、C含有量が1.5%を超えると靭性が損なわれる。このため、C含有量は、所望する材料の強度に応じて好ましくは0.0005~1.5%の範囲で調整する。
Si:0.005~1.2%
Si含有量が0.005%未満であると、溶銑予備処理を行う必要が生じ、精錬に大きな負担をかけ経済性が損なわれる。一方、Si含有量が1.2%を超えると、メッキ不良が発生し、鋼の表面性状や耐食性が劣化する。このため、Si含有量は好ましくは0.005~1.2%である。
Mn:0.05~3.0%
Mn含有量が0.05%未満であると、精錬時間が長くなって経済性が損なわれる。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼材の加工性が大きく劣化する。このため、Mn含有量は、好ましくは0.05~3.0%である。
P:0.001~0.2%
P含有量が0.001%未満であると、溶銑予備処理の時間およびコストが増加し経済性が損なわれる。一方、P含有量が0.2%を超えると、鋼の加工性が大きく劣化する。このため、P含有量は好ましくは0.001~0.2%である。
S:0.0001~0.05%
S含有量が0.0001%未満であると、溶銑予備処理の時間およびコストがかかり経済性が損なわれる。一方、S含有量が0.05%を超えると、鋼の加工性および耐食性が大きく劣化する。このため、S含有量は好ましくは0.0001~0.05%である。
T.Al:0.005~1.5%
Alは、材質に影響する固溶Al(sol.Al)量と、介在物であるAlに由来するAl(insol.Al)量の合計量である溶鋼中の全Al量T.Al=sol.Al+insol.Alを意味する。
T.Al量が0.005%未満であると、AlNとしてNをトラップして固溶Nを減少させることができない。一方、T.Al量が1.5%を超えると、鋼の表面性状と加工性が劣化する。このため、T.Al量は好ましくは0.005~1.5%である。
上記の例示鋼では、これらの必須元素の他にそれぞれの用途に応じて、任意元素として、(i)Cu、Ni、CrおよびMoから選択される1種以上、(ii)Nb、VおよびTiから選択される1種以上、(iii)B、を含有してもよい。
Cu:0~1.5%、Ni:0~10.0%、Cr:0~10.0%およびMo:0~1.5%から選択される1種以上
Cu、Ni、Cr、Moは、いずれも、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、前記元素から選択される1種以上を必要に応じて含有させてもよい。
しかし、CuおよびMoは1.5%を超えて、NiおよびCrは10.0%を超えて、それぞれ含有すると、靭性および加工性が損なわれる。このため、好ましくはCu:1.5%以下、Ni:10.0%以下、Cr:10.0%以下、Mo:1.5%以下である。
鋼の焼入れ性の向上効果を確実に得るためには、Cu含有量、Ni含有量およびCr含有量は、それぞれ、好ましくは0.1%以上であり、また、Mo含有量は好ましくは0.05%以上である。
Nb:0~0.1%、V:0~0.3%およびTi:0~0.25%から選択される1種以上
Nb、V、Tiは、いずれも、析出強化により鋼の強度を向上させる元素であり、必要に応じて1種以上を含有させてもよい。
しかし、Nbは0.1%を超えて、Vは0.3%を超えて、Tiは0.25%を超えて、それぞれ含有すると、靭性が損なわれる。このため、好ましくはNb:0.1%以下、V:0.3%、Ti:0.25%以下である。鋼の強度を向上する効果を確実に得るためには、Nb含有量およびV含有量はそれぞれ好ましくは0.005%以上であり、Ti含有量は好ましくは0.001%以上である。
B:0~0.005%
Bは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度を高める元素である。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.005%を超えて含有すると、Bの析出物が増加し、鋼の靭性を損なうおそれがある。このため、B含有量は好ましくは0.005%以下である。鋼の焼入れ性の向上効果を確実に得るためには、B含有量は好ましくは0.0005%以上である。
REM:0.1~20ppm
Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼のREM含有量が0.1ppm未満であると、アルミナ粒子のクラスター化の防止効果が得られないためであり、一方、REM含有量が20ppm超であると、REM酸化物とAlの複合酸化物からなる粗大クラスターが生成する恐れがあること、また、スラグとの反応によって複合酸化物が多量に生成するため、溶鋼清浄性が悪化し、タンディッシュの浸漬ノズルを閉塞させる可能性がある。このため、REM含有量は好ましくは0.1~20ppmとする。REM含有量は15ppm以下であるのがより好ましい。
T.O:5~50ppm
本発明では、O含有量について材質に影響する固溶O(sol.O)量と、介在物に存在するO(insol.O)量の合計量である、O量をT.O(Total.O)として規定する。Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼のT.Oが5ppm未満では二次精錬、例えばRHでの処理時間が大幅に増大するため、コストがかかり経済性も損ねる。一方、T.Oが50ppm超であると、アルミナ粒子の衝突頻度が増加するため、クラスターが粗大化する場合があるためである。また、アルミナの改質に必要なREMの添加量が増大するため、コストがかかり経済性も損ねる。このため、T.Oは好ましくは5~50ppmとする。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
270トンの転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を、取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼を、RH真空脱ガス装置においてAlまたはAl-Siにより脱酸することによってAlキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を溶製した。
この際、取鍋への出鋼中または出鋼後であって、かつAlまたはAl-Siによる脱酸前の溶存酸素量を有する溶鋼、および脱酸後の溶鋼に、酸素を含有する成分調整用合金を投入した。表1に、投入した成分調整用合金の合金濃度および酸素濃度を示す。
Figure 0007087726000001
表2~4に、合金投入条件(溶存酸素量,投入タイミング(未脱酸時の出鋼開始からの経過時間))、投入合金種(脱酸前、脱酸後)、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)、比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との合計)を示す。図4に、脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量との関係をグラフで示す。
Figure 0007087726000002
Figure 0007087726000003
Figure 0007087726000004
表2~4における「合金投入条件」は、脱酸前と脱酸後の比較で持ち込み酸素量が多い方の投入条件を示す。
なお、持込み酸素量(脱酸前持込み酸素量、脱酸後持込み酸素量)は、各成分調整用合金からの持込み酸素量(質量ppm)を、成分調整用合金投入量(kg)×当該成分調整溶合金中酸素濃度(%)/100/溶鋼量(kg)×10により求め、全ての成分調整用合金からの持込み酸素量を合計して求めた。
さらに、溶鋼鍋中にあるAlまたはAl-Si脱酸された後に成分調整用合金を添加され、RH真空脱ガス装置による二次精錬が終了後の極低炭素鋼の溶鋼(温度1600℃)中に、ワイヤー添加設備によってREM合金のワイヤーを添加した。
添加したREM合金のワイヤーを表5~7に示す。なお、表5~7における「REM」は、各REM元素の合計含有量を示す。表5~7の「MgまたはCa含有REM合金ワイヤー、または、MgまたはCa含有ワイヤー」の欄では、SiMg含有ワイヤーについて、Si05Mg:99.5%Si-0.5%Mg、Si5Mg:95%Si-5%Mg、Si30Mg:70%Si-30%Mgを示す。表5~7ではSiCa含有ワイヤーの組成も同様に示す。なお、REM合金のワイヤーとともに、上述のMgまたはCaを含有するワイヤーを並列して添加する場合は、下記の「Fe5Mg」をREM合金ワイヤーとして用いた。
表5~7において、Fe-Si-Mg-REMワイヤーの組成は、30%Siおよび30%REMは全てのワイヤーで共通である。REMの各元素濃度は、15%Ce-9%La-4.5%Nd-1.5%Prである。
具体的には、表5~7の「MgまたはCa含有REM合金ワイヤー、または、MgまたはCa含有ワイヤー」の欄では、Fe-Si-Mg-REMワイヤーについて、Fe05Mg:39.5%Fe-0.5%Mg-30%Si-30%REM、Fe5Mg:35%Fe-5%Mg-30%Si-30%REM、Fe30Mg:10%Fe-30%Mg-30%Si-30%REMを示す。表5~7ではFe-Si-Ca-REMワイヤーの組成も同様に示す。
また、ワイヤーの添加時間は全て25秒間で一定とした。なお、表5~7には、MgまたはCa添加速度g/(t-steel・s)と、添加・攪拌方法を併せて示す。
このようにして溶製されたAlまたはAl-Siキルド鋼の溶鋼を、垂直曲げ型連続鋳造機により連続鋳造し、連続鋳造鋳片を製造した。その後、連続鋳造鋳片に、(a)熱間圧延および酸洗を行って、表5~7に示す化学組成を有する厚板を製造し、(b)熱間圧延、酸洗および冷間圧延を行って、表5~7に示す化学組成を有する薄板を製造し、または(c)熱間圧延および酸洗を行って製造した厚板を素材として、表5~7に示す化学組成を有する溶接鋼管を製造した。熱間圧延後の板厚は2~100mmとし、冷間圧延後の板厚は0.2~1.8mmとした。
鋳片から採取したサンプルの最大クラスター径、クラスター個数、欠陥発生率およびノズル閉塞状況等を、表5~7に示す。
Figure 0007087726000005
Figure 0007087726000006
Figure 0007087726000007
表5~7における「REM濃度均一/不均一」の欄では、濃度/平均濃度の絶対値×100(%)が、「均一」は5%以内であることを示し、「不均一」は5%超であることを示す。
表5~7における「最大クラスター径」は、質量1kgの鋳片からスライム電極抽出(最小メッシュ20μmを使用)した介在物を実体顕微鏡で写真撮影(40倍)し、写真撮影した介在物の長径と短径の平均値を全ての介在物で求めてその平均値の最大値を最大介在物径とすることにより、測定した。
表5~7における「クラスター個数」は、質量1kgのスライム電極抽出(最小メッシュ20μmを使用)した介在物であり、光学顕微鏡(100倍)で観察した20μm以上の全ての介在物の個数を1kg単位個数に換算することにより、測定した。
表5~7における「欠陥発生率」は、薄板の場合には、板表面でのスリバー疵発生率(=スリバー疵総長/コイル長×100,%)であり、厚板の場合には、製品板でのUST欠陥発生率あるいはセパレーション発生率(=欠陥発生板数/検査総板数×100,%)であり、鋼管の場合には、油井管溶接部でのUST欠陥発生率(=欠陥発生管数/検査総管数×100,%)である。
厚板の場合には、シャルピー試験後の破面観察でセパレーションの発生の有無を確認した。なお、表5~7における厚板材の欠陥発生率では、欠陥がUST欠陥のときにはUSTと記載し、セパレーション欠陥のときにはSPRと記載した。
表5~7における「衝撃吸収エネルギー」は、-20℃での圧延方向における幅が10mmのVノッチシャルピー衝撃試験値であり、試験片5本の平均値である。
表5~7における「板厚方向絞り値」は、室温における製品板の板厚方向絞り値(=引張り試験後の破断部分の断面積/試験前の試験片断面積×100,%)である。
さらに、ノズル閉塞状況は、鋳造後に浸漬ノズルの内壁における介在物の付着厚みを測定することにより、円周方向10点の平均値からノズル閉塞状況を、○:付着厚さ1mm未満、△:付着厚さ1~3mm、×:付着厚さ3mm超、とレベル分けした。。
表5におけるNo.A1~A31は、本発明の範囲を全て満足する本発明例であり、表6におけるNo.B1~B16は、比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)が本発明の範囲を満足しない比較例であり、表7におけるNo.C1,7,11はワイヤーを添加しない比較例であり、No.C2~C6,C8~10,C12~14は、ワイヤーが0.5~30%のMgまたはCaを含有しない比較例である。
表5~7に示すように、本発明例によれば、酸素を含有する成分調整用合金をAl脱酸後のAlまたはAl-Si脱酸鋼に投入することに起因した、Alおよび液体のFeOの同時発生、およびアルミナクラスターの発生を防ぐことができ、これにより、アルミナクラスターに起因した介在物欠陥の発生を、現在要求される程度まで十分に低減しながら、溶鋼を製造でき、最終製品である鋼材における粗大アルミナクラスターに起因する表面疵や内部欠陥を低減できる。
1 溶鋼鍋
2 溶鋼
3 REM合金のワイヤー
4 スラグ
5 REM合金のワイヤー
6 MgまたはCaを含有するワイヤー

Claims (8)

  1. 転炉で溶製された未脱酸の溶鋼を取鍋に出鋼した後、出鋼された溶鋼をAlまたはAl-Siにより脱酸し、Alキルド鋼またはAl-Siキルド鋼を製造する方法であって、
    酸素を含有する成分調整用合金を、前記取鍋への出鋼中または出鋼後であって、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前の溶存酸素量が50ppm以上の溶鋼に投入するとともに前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後の溶鋼に投入し、
    前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の前に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸前持込み酸素量(ppm)と、前記Alまたは前記Al-Siによる脱酸の後に投入される成分調整用合金から溶鋼に持ち込まれる脱酸後持込み酸素量(ppm)との比率(脱酸前持込み酸素量/脱酸後持込み酸素量)を2以上とし、
    前記脱酸後持込み酸素量を10ppm以下とし、
    脱酸前持込み酸素量と脱酸後持込み酸素量の合計を15ppm以上とするとともに、
    前記Alまたは前記Al-Siにより脱酸され、その後に前記成分調整用合金を投入した溶鋼に、0.5~30質量%のMgまたはCaを含有するREM合金のワイヤーを用いてREMを添加する、鋼の製造方法。
  2. 前記成分調整用合金は、MeMn、MeTi、MeCu、MeNi、FeMn、FeP、FeTi、FeS、FeSi、FeCr、FeMo、FeB、およびFeNbから選択される1種以上である、請求項1に記載の鋼の製造方法。
  3. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の化学組成が、質量%で、
    C:0.0005~1.5%、
    Si:0.005~1.2%、
    Mn:0.05~3.0%、
    P:0.001~0.2%、
    S:0.0001~0.05%、
    T.Al:0.005~1.5%、
    Cu:0~1.5%、
    Ni:0~10.0%、
    Cr:0~10.0%、
    Mo:0~1.5%、
    Nb:0~0.1%、
    V:0~0.3%、
    Ti:0~0.25%、
    B:0~0.005%、
    REM:0.1~20ppm、
    T.O:5~50ppm、
    残部がFeおよび不純物である、請求項1または2に記載の鋼の製造方法。
  4. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.1~1.5%、
    Ni:0.1~10.0%、
    Cr:0.1~10.0%、および
    Mo:0.05~1.5%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項3に記載の鋼の製造方法。
  5. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    Nb:0.005~0.1%、
    V:0.005~0.3%、および
    Ti:0.001~0.25%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項3または4に記載の鋼の製造方法。
  6. 前記Alキルド鋼または前記Al-Siキルド鋼の前記化学組成が、質量%で、
    B:0.0005~0.005%、
    を含有する、請求項3~5のいずれかに記載の鋼の製造方法。
  7. 前記REM合金のワイヤーとともに、MgまたはCaを含有するワイヤーを並列して添加する、請求項1~6のいずれかに記載の鋼の製造方法。
  8. 前記MgまたはCaを含有するワイヤーのMgまたはCaの含有量が0.5~30質量%である、請求項7に記載の鋼の製造方法。
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