JP7087394B2 - ルテニウムプリカーサを回収するald/cvdプロセス - Google Patents

ルテニウムプリカーサを回収するald/cvdプロセス Download PDF

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Description

本発明は、ルテニウムプリカーサを回収可能な、ALD/CVDプロセスに関する。
次世代の半導体素子では、記憶容量や応答性をさらに向上させる目的のため、高度に細密化及び三次元化されたデザインが採用されている。三次元化された基板上に数ナノ~数十ナノメートル程度の厚みの金属含有薄膜を均一に形成する技術の確立が必要とされている。三次元化された基板上に金属含有薄膜を製造するための技術としては、原子層堆積法(ALD法)や化学気相蒸着法(CVD法)など、化学反応に基づく気相蒸着法の活用が有力視されている。ALD/CVDプロセスでは、金属プリカーサが分解して金属含有薄膜が堆積する過程で発生する分解物や、分解されることなく反応チャンバーを通過する金属プリカーサが存在する。これらの混合物を捕集して処理する方法としては、化学的に中性化する又は分解することで廃棄物として処理する方法がある。しかしながら、これらの廃棄物質を廃棄することは、経費が高く、環境的にも好ましくない。さらに、貴金属であるルテニウムの場合、その存在が希少であり、捕集したルテニウム含有物質を廃棄することは好ましくない。以上のことから、ALD/CVDプロセスで使用されたルテニウムプリカーサをリサイクルして再度ALD/CVDプロセスに用いるため、ルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物を効率的に回収する方法が望まれている。
特許文献1には、貴金属の有機金属錯体を加熱し気化させる気化工程と、気化させた原料ガスを基板上に導入し、基板表面上で反応させて貴金属又は前記貴金属の金属酸化物薄膜とする薄膜形成工程と、薄膜形成工程で生じる反応生成物と未反応の原料ガスとを含む排ガスを冷却することにより、未反応の原料ガスを凝縮又は凝固させて有機金属錯体を含む回収分を得る回収工程と、回収分を蒸留又は昇率することにより回収分中の有機金属錯体を分離し精製する精製工程と、を含むCVD薄膜形成プロセスが記載されている。しかしながら、有機金属錯体を回収して精製した後に、得られた有機金属錯体を分解することなく保管する方法について明記されていない。ルテニウム錯体として、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(η-シクロペンタジエニル)ルテニウム及び(η-シクロペンタジエニル)(η-プロピルシクロペンタジエニル)ルテニウムの記載があるが、これらのルテニウム錯体は熱又は空気下でも容易に分解しない化合物であり、熱又は空気中の酸素や水に対して不安定な錯体は分解することなく保管する方法が必要である。
特許文献2には、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムがビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムよりもステップカバレッジ(被覆性)に優れたルテニウム含有薄膜を形成することが出来ることが記載されている。
特許文献3には、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムがビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムよりも低温で成膜することができ、得られたルテニウム膜が低抵抗であることが報告されている。以上から、特許文献1で例示されている、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムはルテニウム含有薄膜を形成する材料としては好ましくなく、より好適なルテニウム錯体を薄膜形成プロセスに用いてそのルテニウム錯体を回収する方法が望まれている。
特開2001-342566号公報。 特開2003-342286号公報。 特開2015-44786号公報。
本発明は、ALD/CVDプロセスで発生する、ルテニウムプリカーサを回収するALD/CVDプロセスに関する。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ALD/CVDプロセスで発生するルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップを用いて捕集し、その捕集物を回収後に分離し、当該分離物を不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固することが、ルテニウムプリカーサを効率的に回収し、分解することなく保管する方法として有用なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ALD/CVD用ルテニウムプリカーサを減圧下、加熱することによりルテニウムプリカーサを気化させる気化工程と、上記の気化させたルテニウムプリカーサを反応チャンバー内の基板上に導入してルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を成膜する成膜工程と、成膜工程で発生する未反応のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップで捕集する捕集工程と、上記のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップから回収する回収工程と、上記の回収物を蒸留又は昇華することにより回収物からルテニウムプリカーサを分離する分離工程と、上記の分離物を、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管する保管工程と、を含むALD/CVDプロセスに関する。さらに本発明は、回収工程で使用されたコールドトラップを溶剤で洗浄する、ALD/CVDプロセスに関する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
CVD/ALDプロセスで用いることができるルテニウムプリカーサとしては、ビス(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)ルテニウム、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η-シクロペンタジエニル)(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)ルテニウム、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η-シクロペンタジエニル)(η-6-exo-メチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η-6-exo-メチルシクロヘキサジエニル)(η-メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η-エチルシクロペンタジエニル)(η-6-exo-メチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η-エチルシクロペンタジエニル)(η-6-exo-ブチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η-エチルシクロペンタジエニル)(η-1,3,5,6-exo-テトラメチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(1-5-η-シクロオクタジエニル)(η-2,5-ジメチルピロリル)ルテニウム、トリカルボニル(η-シクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニル(η-メチルシクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニル(η-エチルシクロオクタテトラエン)ルテニウムなどを挙げることができ、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムが好ましい。
ALD/CVD用ルテニウムプリカーサを減圧下、加熱することによりルテニウムプリカーサを気化させる気化工程について説明する。
気化工程における圧力条件は、反応チャンバーへの材料供給速度を決めるために、気化温度とキャリアガス流量を考慮して決定される。反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることが出来る。材料供給速度は0.01~1sccmが好ましく、0.01~0.1sccmが更に好ましい。なお、本明細書中においてsccmとは気体の流量を表す単位であり、1sccmは理想気体に換算すると2.68mmol/hの速度で気体が移動していることを表す。
加熱によりルテニウムプリカーサを気化させる際の温度は、ルテニウムプリカーサが分解しない温度を選択する必要がある。例えば、ルテニウムプリカーサとして、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いた場合、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いる場合よりも低い気化温度が必要である。
示差走査熱量測定(DSC)で測定した(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムと(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの熱分解温度はそれぞれ270℃と230℃であり、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの熱分解温度(320℃)よりも著しく低い。また、熱分解温度より低温であっても継続して加熱された場合、ルテニウムプリカーサは徐々に分解することから、分解しない気化温度で加熱される必要がある。特許文献1では、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを100℃の気化温度で加熱している。ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは100℃の気化温度では分解されないが、特に(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムと(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いた場合は分解を防止する為、100℃未満の温度で加熱されることが好ましく、80℃以下の温度で加熱することが更に好ましい。
次に、気化工程により気化されたルテニウムプリカーサを反応チャンバー内の基板上に導入してルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を成膜する成膜工程について説明する。
成膜工程では、気化工程により気化されたルテニウムプリカーサを反応チャンバー内の基板上に導入しルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を成膜する工程であり、その際には、気化されたルテニウムプリカーサを分解することにより、該基板上にルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を成膜するものである。
ルテニウムプリカーサを分解する方法としては、当業者がルテニウム含有薄膜を製造するのに用いる通常の技術手段を挙げることが出来る。具体的にはルテニウムプリカーサと反応ガスとを反応させる方法や、ルテニウムプリカーサに熱、プラズマ、光などを作用させる方法などを例示することが出来る。
成膜工程における成膜圧力としては、膜厚の均一性やステップ・カバレッジ(被覆性)、膜質が良好な点で、減圧条件が好ましく、1~100Torrが好ましく、1~10Torrが更に好ましい。
成膜工程に反応ガスを用いる場合、用いることが出来る反応ガスとしては、還元性ガスや酸化性ガスを例示することが出来る。還元性ガスの具体例としては、アンモニア、水素、モノシラン、ヒドラジン、ギ酸や、ボラン-ジメチルアミン錯体、ボラン-トリメチルアミン錯体などのボラン-アミン錯体などを例示することが出来る。酸化性ガスを用いる場合、その具体例としては、酸素、オゾン、水蒸気、過酸化水素、笑気ガス、塩化水素、硝酸ガス、酢酸などを挙げることが出来る。反応ガスの流量は材料の反応性と反応チャンバーの容量に応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1~10Lの場合、反応ガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1~10000sccmが好ましい。
成膜工程では、これらの分解方法を適宜選択して用いることにより、ルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を製造することが出来る。複数の分解方法を組み合わせて用いることも出来る。反応チャンバーへのルテニウムプリカーサの供給方法としては、例えばバブリング、液体気化供給システムなど当業者が通常用いる方法が挙げられ、特に限定されるものではない。
成膜工程では、キャリアガス及び希釈ガスを用いる場合、キャリアガス及び希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。キャリアガス及び希釈ガスの流量は反応チャンバーの容量などに応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1~10Lの場合、キャリアガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1~10000sccmが好ましい。
成膜工程における基板温度は、熱、プラズマ、光などの使用の有無、反応ガスの種類などにより適宜選択される。例えば光やプラズマを併用することなく反応ガスとしてアンモニアを用いる場合には、基板温度に特に制限は無く、経済的な理由から200℃~1000℃が好ましい。成膜速度が良好な点で250℃~800℃が好ましく、250℃~500℃が更に好ましい。また、光やプラズマ、オゾン、過酸化水素などを適宜使用することにより200℃以下の温度域でルテニウム含有薄膜を製造することが出来る。
成膜工程で発生する未反応のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップで捕集する捕集工程について説明する。
分解物としては、ルテニウムプリカーサ、ルテニウムプリカーサが分解することによって生じるルテニウム錯体や有機物質などを挙げることができる。
未反応のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物を反応チャンバーと真空ポンプ(油回転式ポンプ)との間にコールドトラップを設置することにより、未反応のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物を捕集することができる。
コールドトラップで捕集する際のコールドトラップの冷却温度としては、ルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物を捕集可能な温度であれば特に限定されるものではない。具体的には、-196℃から25℃が好ましく、-80℃から0℃が更に好ましく、-50℃から0℃が殊更好ましい。
コールドトラップで捕集する際の圧力としては、減圧条件が好ましく、1~100Torrが好ましく、1~10Torrが更に好ましい。
コールドトラップを減圧状態から常圧状態にするときは、捕集物の分解を防止する為、不活性雰囲気にすることが好ましい。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。
捕集工程で得られたルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップから回収する回収工程について説明する。
コールドトラップを用いて捕集したルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物は、液体であればそのまま回収することができる。室温で固体の場合は、加熱して液体にするか有機溶媒に溶解させることにより、効率的にコールドトラップから回収することが出来る。その際の加熱温度としては捕集したルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物が分解しない温度で融点以上の温度であれば特に限定はない。例えば、ビス(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、15℃で液体であるから加熱したり有機溶媒を用いる必要はないが、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは15℃で固体であるので、作業時の室温が25℃であっても固体として取り扱う場合もあり、その場合加熱したり有機溶媒を用いる必要がある。用いる有機溶媒としては、ルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物を分解しないものであれば制限は無く、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、シクロペンチルエチルエーテル(CPEE)、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、3-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、シクロプロパンカルボニトリル、ペンチロニトリル、イソペンチロニトリル、3-メチルブタンニトリル、2-メチルブタンニトリル、ピバロニトリル、シクロブタンカルボニトリルなどのニトリルなどを例示することが出来る。これらの有機溶媒は一種類を単独で用いることが出来、複数を任意の比率で混合して用いることも出来る。有機溶媒としては炭化水素系溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素がさらに好ましい。
コールドトラップを用いて捕集したルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップから回収するときは、ルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物の分解を防止する為、不活性雰囲気にすることが好ましい。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。
回収工程より回収された回収物を蒸留又は昇華することにより回収物からルテニウムプリカーサを分離する分離工程について説明する。
回収物は蒸留又は昇華することにより回収物からルテニウムプリカーサを分離することができる。蒸留及び昇華圧力としては、減圧条件が好ましく、1Pa~100Paが更に好ましく、1Pa~50Paが殊更好ましい。蒸留及び昇華温度としては、分離するルテニウムプリカーサが分解しない温度であれば特に制限はない。例えば、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いた場合は、80℃~150℃、より好ましくは90℃~120℃の温度範囲で加熱されることが好ましい。
最後に、分離工程により分離された分離物を、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管する保管工程について説明する。
分離物の保管方法として、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させることにより、ルテニウムプリカーサが熱や空気中の酸素や水で分解されることを防止することができる。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。冷却して凝固させる際の冷却温度としては、回収物が凝固する温度であれば特に限定されるものではない。具体的には25℃から-196℃が好ましく、0℃から-80℃が更に好ましく、0℃から-20℃が殊更好ましい。さらに、不活性雰囲気下に置くことと冷却して凝固させることは併用しても良い。
なお、回収工程で得られた回収物は、ルテニウムプリカーサを分離する前に不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管した後に、ルテニウムプリカーサを分離して不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管しても良い。
本発明で使用されたコールドトラップには、捕捉物の回収後もルテニウム錯体や有機物質、ルテニウム、ルテニウム酸化物、ルテニウム窒化物などが残留している。使用されたコールドトラップは、溶剤を用いて洗浄することにより再利用することができる。溶剤としては、有機溶媒や酸を挙げることができる。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、シクロペンチルエチルエーテル(CPEE)、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、3-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、シクロプロパンカルボニトリル、ペンチロニトリル、イソペンチロニトリル、3-メチルブタンニトリル、2-メチルブタンニトリル、ピバロニトリル、シクロブタンカルボニトリルなどのニトリルなどを例示することが出来る。
酸としては、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロりん酸などのフルオロ錯酸、塩酸などのハロゲン化水素、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カブリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサ塩酸、ソルビン酸などの不飽和脂肪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンゼンカルボン酸、メリト酸、けい皮酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、アコニット酸などのトリカルボン酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸などのオキソカルボン酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸などのカルボン酸誘導体、リン酸、硝酸、王水などを挙げることが出来る。当該酸は、水に溶解させても良いし、ジメチルエーテルやジエチルエーテルなどのエーテルと錯体を形成していても良い。錯体を形成している酸の例としては、テトラフルオロホウ酸ジメチルエーテル錯体、テトラフルオロホウ酸ジエチルエーテル錯体、ヘキサフルオロりん酸ジエチルエーテル錯体などを挙げることが出来る。これらの有機溶媒及び酸は一種類を単独で用いることが出来、複数を任意の比率で混合して用いることも出来る。有機溶媒としては脂肪族炭化水素、アセトン、メタノール、エタノールが好ましく、ヘキサン、アセトン、メタノール、エタノールが更に好ましい。酸としては塩酸、硝酸が好ましい。
以上のALD/CVDプロセスを適用することにより、ルテニウムプリカーサを効率的に回収することが出来る。また、ルテニウムプリカーサを不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させることにより、再度ALD/CVDプロセスで使用するまで安定的に保管することができる。さらに、使用されたコールドトラップは、溶剤を用いて洗浄することにより再利用することができる。
実施例5,6、9、10及び比較例3、5で用いたCVD装置を示す図である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
実施例1、2及び比較例1
25℃で、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム100mg(0.34mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(1)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(2)空気下、-20℃で静置(冷却して凝固させる)、(3)空気下、25℃で静置した。44時間後に、(1)~(3)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表1に示した。
Figure 0007087394000001
以上の結果から、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管することができることが分かる。
実施例3、4及び比較例2
25℃で、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム50mg(0.17mmol)とペンタデカン(0.012mmol)からなる混合物を調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(4)アルゴン雰囲気下、100℃、(5)アルゴン雰囲気下、80℃、(6)アルゴン雰囲気下、70℃のオイルバスでそれぞれ加熱した。24時間後に、(4)~(6)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と加熱前のピーク面積比を比較することにより、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表2に示した。
Figure 0007087394000002
以上の結果から、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、100℃で加熱を行うと約1%分解するが、100℃未満の温度、特に80℃以下の温度ではほとんど分解することはなかった。
実施例5,6及び比較例3
(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有薄膜を熱CVD法により作製した。用いた(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの純度はガスクロマトグラフィー分析の結果から>99%であった。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜条件は以下の通りである。
材料容器内全圧:6.7kPa、気化温度:64℃、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.024sccm、アンモニア流量:50sccm、希釈ガス流量:20sccm、基板:SiO/Si、成膜時間:1時間、コールドトラップの冷却温度:-20℃。キャリアガス及び希釈ガスとしてアルゴンを用いた。なお、反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることが出来る。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところルテニウムに基づく特性X線が検出された。
成膜終了後、アルゴン風船を用いて、コールドトラップを含む成膜装置全体を減圧状態から常圧状態に戻した。コールドトラップを成膜装置から取り外すと、黄色固体が付着していた。この黄色固体をアルゴン雰囲気下、ヘキサン20mLに溶解させ、シュレンク管へと移して回収した。減圧下、この溶液からヘキサンを留去した後、得られた黄色固体(280mg)のガスクロマトグラフィー分析を実施した。(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは84%の純度であることが分かった。この固体を減圧蒸留(加熱温度120℃/留出温度88℃/背圧5Pa)することにより、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを赤色液体として得た(210mg)。得られた(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのガスクロマトグラフィー分析を実施したところ、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは96%の純度であることが分かった。
得られた(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム100mg(0.34mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を25℃で調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(7)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(8)空気下、-20℃で静置(冷却して凝固させる)、(9)空気下、25℃で静置した。64時間後に、(7)~(9)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表3に示した。
Figure 0007087394000003
以上の結果から、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを減圧下、加熱することにより(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを気化させる気化工程と、
上記の気化させた(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを反応チャンバー内の基板上に導入してルテニウム含有薄膜を成膜する成膜工程と、
成膜工程で発生する未反応の(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム及び/又はその分解物をコールドトラップで捕集する捕集工程と、
上記の(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム及び/又はその分解物をコールドトラップから回収する回収工程と、
上記の回収物を蒸留することにより回収物から(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを分離する分離工程と、
上記の分離物を、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管する保管工程と、
を含むALD/CVDプロセスによって、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを回収することができ、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを分解させることなく保管できることが分かる。
用いたコールドトラップを、ヘキサン10mL、アセトン10mL、エタノール10mLで洗浄した。洗浄後、コールドトラップにヘキサンを投入し、得られたヘキサン溶液のガスクロマトグラフィー分析を実施した。その結果、(η-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピークやその他のピークは観測されず、ヘキサンのピークのみ観測された。
以上から、成膜に使用されたコールドトラップは、溶剤を用いて洗浄することにより、再利用可能なことが分かる。
実施例7、8及び比較例4
25℃で、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム80mg(0.28mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(10)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(11)空気下、-20℃で静置(冷却して凝固させる)、(12)空気下、25℃で静置した。143時間後に、(10)~(12)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表4に示した。
Figure 0007087394000004
以上の結果から、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管することができることが分かる。
実施例9、10及び比較例5
(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有薄膜を熱CVD法により作製した。用いた(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの純度はガスクロマトグラフィー分析の結果から91%であった。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜条件は以下の通りである。
材料容器内全圧:150kPa、気化温度:66℃、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.012sccm、酸素流量:0.16sccm、希釈ガス流量:170sccm、基板:SiO/Si、成膜時間:1時間、基板温度:400℃、コールドトラップの冷却温度:-20℃。キャリアガス及び希釈ガスとしてアルゴンを用いた。なお、反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることが出来る。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところルテニウムに基づく特性X線が検出された。
成膜終了後、アルゴン風船を用いて、コールドトラップを含む成膜装置全体を減圧状態から常圧状態に戻した。コールドトラップを成膜装置から取り外すと、黄色固体が付着していた。この黄色固体をアルゴン雰囲気下、ヘキサン20mLに溶解させ、シュレンク管へと移して回収した。減圧下、この溶液からヘキサンを留去した後、得られた黄色液体(150mg)のガスクロマトグラフィー分析を実施した。(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは90%の純度であることが分かった。この液体を減圧蒸留(加熱温度110℃/背圧45Pa)することにより、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを黄色液体として得た(100mg)。得られた(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのガスクロマトグラフィー分析を実施したところ、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは91%の純度であることが分かった。
得られた(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム80mg(0.28mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を25℃で調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(13)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(14)空気下、-20℃で静置(冷却して凝固させる)、(15)空気下、25℃で静置した。45時間後に、(13)~(15)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表5に示した。
Figure 0007087394000005
以上の結果から、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを減圧下、加熱することにより(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを気化させる気化工程と、
上記の気化させた(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを反応チャンバー内の基板上に導入してルテニウム含有薄膜を成膜する成膜工程と、
成膜工程で発生する未反応の(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム及び/又はその分解物をコールドトラップで捕集する捕集工程と、
上記の(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム及び/又はその分解物をコールドトラップから回収する回収工程と、
上記の回収物を蒸留することにより回収物から(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを分離する分離工程と、
上記の分離物を、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管する保管工程と、
を含むALD/CVDプロセスによって、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを回収することができ、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを分解させることなく保管できることが分かる。
用いたコールドトラップを、ヘキサン10mL、アセトン10mL、エタノール10mLで洗浄した。洗浄後、コールドトラップにヘキサンを投入し、得られたヘキサン溶液のガスクロマトグラフィー分析を実施した。その結果、(η-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピークやその他のピークは観測されず、ヘキサンのピークのみ観測された。
以上から、成膜に使用されたコールドトラップは、溶剤を用いて洗浄することにより、再利用可能なことが分かる。
1 材料容器
2 恒温槽
3 反応チャンバー
4 基板
5 反応ガス導入口
6 希釈ガス導入口
7 キャリアガス導入口
8 マスフローコントローラー
9 マスフローコントローラー
10 マスフローコントローラー
11 油回転式ポンプ
12 排気

Claims (4)

  1. ALD/CVD用ルテニウムプリカーサを減圧下、加熱することによりルテニウムプリカーサを気化させる気化工程と、
    上記の気化させたルテニウムプリカーサを反応チャンバー内の基板上に導入してルテニウム薄膜又はルテニウム含有薄膜を成膜する成膜工程と、
    成膜工程で発生する未反応のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップで捕集する捕集工程と、
    上記のルテニウムプリカーサ及び/又はその分解物をコールドトラップから回収する回収工程と、
    上記の回収物を蒸留又は昇華することにより回収物からルテニウムプリカーサを分離する分離工程と、
    上記の分離物を、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管する保管工程と、
    回収工程で使用されたコールドトラップを溶剤で洗浄すること、
    を含むALD/CVDプロセス。
  2. ルテニウムプリカーサが、(η5-2,4-ジメチルペンタジエニル)(η5-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η5-2,4-ジメチル-1-オキサ-2,4-ペンタジエニル)(η5-エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムである、請求項1に記載のALD/CVDプロセス。
  3. 気化工程で、ルテニウムプリカーサを100℃未満の温度で加熱する、請求項1又は2に記載のALD/CVDプロセス。
  4. 捕集工程で、コールドトラップを-80℃から0℃の温度範囲で冷却する、請求項1~3のいずれか1項に記載のALD/CVDプロセス。
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