JP2019065377A - ルテニウムプリカーサの保管方法 - Google Patents

ルテニウムプリカーサの保管方法 Download PDF

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浩幸 尾池
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Abstract

【課題】ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを分解することなく保管することを可能とする方法を提供する。【解決手段】ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させる、保管方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ALD/CVDプロセスで用いる、ルテニウムプリカーサの保管方法に関する。
ルテニウムは、高い導電性を示すこと、導電性酸化物が形成可能であること、仕事関数が高いこと、エッチング特性にも優れること、銅との格子整合性に優れることなどの特長を持つため、DRAMなどのメモリー電極、ゲート電極、銅配線シード層/密着層などの材料として注目を集めている。次世代の半導体デバイスには、記憶容量や応答性をさらに向上させる目的のため、高度に細密化され、かつ高度に三次元化されたデザインが採用されている。したがって次世代の半導体装置を構成する材料としてルテニウムを使用するためには、三次元化された基板上に数ナノ〜数十ナノメートル程度の厚みのルテニウム含有薄膜を均一に形成する技術の確立が必要とされている。三次元化された基板上にルテニウム含有薄膜を製造するための技術としては、原子層堆積法(ALD法)や化学気相蒸着法(CVD法)など、化学反応に基づく気相蒸着法の活用が有力視されている。ALD/CVDプロセスで用いられるルテニウムプリカーサは、合成したルテニウムプリカーサだけでなく、薄膜形成過程で分解されることなく反応チャンバーを通過したルテニウムプリカーサを捕集・回収した錯体を用いることが出来る。しかしながら、ルテニウムプリカーサの中には熱や空気中の酸素や水で分解する化合物が多く存在することから、ルテニウムプリカーサを分解することなく保管する方法が望まれている。
特許文献1には、貴金属の有機金属錯体を加熱し気化させる気化工程と、気化させた原料ガスを基板上に導入し、基板表面上で反応させて貴金属又は前記貴金属の金属酸化物薄膜とする薄膜形成工程と、薄膜形成工程で生じる反応生成物と未反応の原料ガスとを含む排ガスを冷却することにより、未反応の原料ガスを凝縮又は凝固させて有機金属錯体を含む回収分を得る回収工程と、回収分を蒸留又は昇率することにより回収分中の有機金属錯体を分離し精製する精製工程と、を含むCVD薄膜形成プロセスが記載されている。しかしながら、有機金属錯体を回収して精製した後に、得られた有機金属錯体を分解することなく保管する方法について明記されていない。ルテニウム錯体として、ビス(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(η−シクロペンタジエニル)ルテニウム及び(η−シクロペンタジエニル)(η−プロピルシクロペンタジエニル)ルテニウムの記載があるが、これらのルテニウム錯体は熱又は空気下でも容易に分解しない化合物であり、熱又は空気中の酸素や水に対して不安定な錯体は分解することなく保管する方法が必要である。
特許文献2には、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムがビス(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムよりもステップカバレッジに優れたルテニウム含有薄膜を形成することが出来ることが記載されている。
特許文献3には、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムがビス(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムよりも低温で成膜することができ、得られたルテニウム膜が低抵抗であることが報告されている。以上から、特許文献1で例示されている、ビス(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムはルテニウム含有薄膜を形成する材料としては好適ではなく、より好適なルテニウム錯体をALD/CVDプロセスに用いるために、そのルテニウム錯体を安定的に保管する方法が望まれている。
特開2001−342566号公報。 特開2003−342286号公報。 特開2015−44786号公報。
本発明は、ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを分解することなく保管することを可能とする方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させることが、ルテニウムプリカーサを分解することなく保管することを可能とする方法として有用なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させる、保管方法に関する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いることができるルテニウムプリカーサとしては、ビス(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)ルテニウム、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η−シクロペンタジエニル)(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)ルテニウム、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η−シクロペンタジエニル)(η−6−exo−メチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η−6−exo−メチルシクロヘキサジエニル)(η−メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η−エチルシクロペンタジエニル)(η−6−exo−メチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η−エチルシクロペンタジエニル)(η−6−exo−ブチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(η−エチルシクロペンタジエニル)(η−1,3,5,6−exo−テトラメチルシクロヘキサジエニル)ルテニウム、(1−5−η−シクロオクタジエニル)(η−2,5−ジメチルピロリル)ルテニウム、トリカルボニル(η−シクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニル(η−メチルシクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニル(η−エチルシクロオクタテトラエン)ルテニウムなどを挙げることができ、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムが好ましい。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造する場合、ルテニウムプリカーサを気化させて反応チャンバーに供給し、反応チャンバー内に備え付けた基板上でルテニウムプリカーサを分解することにより、該基板上にルテニウム含有薄膜を製造することが出来る。ルテニウムプリカーサを分解する方法としては、当業者がルテニウム含有薄膜を製造するのに用いる通常の技術手段を挙げることが出来る。具体的にはルテニウムプリカーサと反応ガスとを反応させる方法や、ルテニウム錯体プリカーサに熱、プラズマ、光などを作用させる方法などを例示することが出来る。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造するときの気化温度としては、ルテニウムプリカーサが分解しない温度を選択する必要がある。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造するときの成膜圧力としては、膜厚の均一性やステップ・カバレッジ(被覆性)、膜質が良好な点で、減圧条件が好ましく、1〜100Torrが好ましく、1〜10Torrが更に好ましい。
反応ガスを用いる場合、用いることが出来る反応ガスとしては、還元性ガスや酸化性ガスを例示することが出来る。還元性ガスの具体例としては、アンモニア、水素、モノシラン、ヒドラジン、ギ酸や、ボラン−ジメチルアミン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体などのボラン−アミン錯体などを例示することが出来る。酸化性ガスを用いる場合、その具体例としては、酸素、オゾン、水蒸気、過酸化水素、笑気ガス、塩化水素、硝酸ガス、酢酸などを挙げることが出来る。反応ガスの流量は材料の反応性と反応チャンバーの容量に応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1〜10Lの場合、反応ガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1〜10000sccmが好ましい。なお、本明細書中においてsccmとは気体の流量を表す単位であり、1sccmは理想気体に換算すると2.68mmol/hの速度で気体が移動していることを表す。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造する場合、これらの分解方法を適宜選択して用いることにより、ルテニウム含有薄膜を製造することが出来る。複数の分解方法を組み合わせて用いることも出来る。反応チャンバーへのルテニウムプリカーサの供給方法としては、例えばバブリング、液体気化供給システムなど当業者が通常用いる方法が挙げられ、特に限定されるものではない。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造する際のキャリアガス及び希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。キャリアガス及び希釈ガスの流量は反応チャンバーの容量などに応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1〜10Lの場合、キャリアガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1〜10000sccmが好ましい。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造するときの基板温度は、熱、プラズマ、光などの使用の有無、反応ガスの種類などにより適宜選択される。例えば光やプラズマを併用することなく反応ガスとしてアンモニアを用いる場合には、基板温度に特に制限は無く、経済的な理由から200℃〜1000℃が好ましい。成膜速度が良好な点で250℃〜800℃が好ましく、250℃〜500℃が更に好ましい。また、光やプラズマ、オゾン、過酸化水素などを適宜使用することにより200℃以下の温度域でルテニウム含有薄膜を製造することが出来る。
本発明のALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサの保管方法におけるALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサは、ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造する際に混合物が発生し、この混合物を捕集し、捕集した混合物から回収したルテニウムプリカーサである。
ALD/CVD成膜によりルテニウム含有薄膜を製造する際に発生する混合物としては、ルテニウムプリカーサ、ルテニウムプリカーサが分解することによって生じるルテニウム錯体や有機物質などを挙げることができる。
反応チャンバーと真空ポンプ(油回転式ポンプ)との間にコールドトラップを設置することにより、これらの混合物を捕集することができる。
コールドトラップの冷却温度としては、混合物を捕集可能な温度であれば特に限定されるものではない。具体的には、−196℃から25℃が好ましく、−80℃から0℃が更に好ましく、−50℃から0℃が殊更好ましい。
コールドトラップを減圧状態から常圧状態にするときは、捕集物の分解を防止する為、不活性雰囲気にすることが好ましい。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。
コールドトラップを用いて捕集した混合物は、液体であればそのまま回収することができる。室温で固体の場合は、加熱して液体にするか有機溶媒に溶解させることにより、効率的にコールドトラップから回収することが出来る。加熱温度としては捕集したルテニウム錯体が分解しない温度で融点以上の温度であれば特に限定はない。有機溶媒としては、捕集物を分解しないものであれば制限は無く、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、シクロペンチルエチルエーテル(CPEE)、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、シクロプロパンカルボニトリル、ペンチロニトリル、イソペンチロニトリル、3−メチルブタンニトリル、2−メチルブタンニトリル、ピバロニトリル、シクロブタンカルボニトリルなどのニトリルなどを例示することが出来る。これらの有機溶媒は一種類を単独で用いることが出来、複数を任意の比率で混合して用いることも出来る。有機溶媒としては炭化水素系溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素がさらに好ましい。
コールドトラップを用いて捕集した混合物をコールドトラップから回収するときは、捕集物の分解を防止する為、不活性雰囲気にすることが好ましい。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。
コールドトラップを用いて捕集した混合物は、蒸留又は昇華することにより回収物からルテニウムプリカーサを分離することができる。蒸留及び昇華圧力としては、減圧条件が好ましく、1Pa〜100Paが更に好ましく、1Pa〜50Paが殊更好ましい。蒸留及び昇華温度としては、分離するルテニウムプリカーサが分解しない温度であれば特に制限はない。例えば、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いた場合は、80℃〜150℃、より好ましくは90℃〜120℃の温度範囲で加熱されることが好ましい。
ルテニウムプリカーサ及び上記のALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサの保管方法として、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させることにより、ルテニウムプリカーサが熱や空気中の酸素や水で分解されることを防止することができる。不活性雰囲気とする際の不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスを挙げることができる。経済的な理由から、アルゴン又は窒素ガスが好ましい。冷却して凝固させる際の冷却温度としては、ルテニウムプリカーサが凝固する温度であれば特に限定されるものではない。具体的には25℃から−196℃が好ましく、0℃から−80℃が更に好ましく、0℃から−20℃が殊更好ましい。また、不活性雰囲気下に置くことと冷却して凝固させることは併用しても良い。さらに、コールドトラップから回収した混合物を、蒸留又は昇華で精製することなく、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させて保管しても良い。
ルテニウムプリカーサを不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管することができる。
実施例3、4、7、8及び比較例2、4で用いたCVD装置を示す図である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
実施例1、2及び比較例1
25℃で、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム100mg(0.34mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(1)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(2)空気下、−20℃で静置(冷却して凝固させる)、(3)空気下、25℃で静置した。44時間後に、(1)〜(3)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表1に示した。
Figure 2019065377
以上の結果から、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管することができることが分かる。
実施例3、4及び比較例2
(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有薄膜を熱CVD法により作製した。用いた(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの純度はガスクロマトグラフィー分析の結果から>99%であった。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜条件は以下の通りである。
材料容器内全圧:6.7kPa、気化温度:64℃、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.024sccm、アンモニア流量:50sccm、希釈ガス流量:20sccm、基板:SiO/Si、成膜時間:1時間、コールドトラップの冷却温度:−20℃。キャリアガス及び希釈ガスとしてアルゴンを用いた。なお、反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることが出来る。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところルテニウムに基づく特性X線が検出された。
成膜終了後、アルゴン風船を用いて、コールドトラップを含む成膜装置全体を減圧状態から常圧状態に戻した。コールドトラップを成膜装置から取り外すと、黄色固体が付着していた。この黄色固体をアルゴン雰囲気下、ヘキサン20mLに溶解させ、シュレンク管へと移して回収した。減圧下、この溶液からヘキサンを留去した後、得られた黄色固体(280mg)のガスクロマトグラフィー分析を実施した。(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは84%の純度であることが分かった。この固体を減圧蒸留(加熱温度120℃/留出温度88℃/背圧5Pa)することにより、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを赤色液体として得た(210mg)。得られた(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのガスクロマトグラフィー分析を実施したところ、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは96%の純度であることが分かった。
得られた(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム100mg(0.34mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を25℃で調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(4)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(5)空気下、−20℃で静置(冷却して凝固させる)、(6)空気下、25℃で静置した。64時間後に、(4)〜(6)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表2に示した。
Figure 2019065377
以上の結果から、成膜の過程で回収した(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管可能なことが分かる。
実施例5、6及び比較例3
25℃で、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム80mg(0.28mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(7)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(8)空気下、−20℃で静置(冷却して凝固させる)、(9)空気下、25℃で静置した。143時間後に、(7)〜(9)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表3に示した。
Figure 2019065377
以上の結果から、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管することができることが分かる。
実施例7、8及び比較例4
(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有薄膜を熱CVD法により作製した。用いた(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの純度はガスクロマトグラフィー分析の結果から91%であった。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜条件は以下の通りである。
材料容器内全圧:150kPa、気化温度:66℃、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.012sccm、酸素流量:0.16sccm、希釈ガス流量:170sccm、基板:SiO/Si、成膜時間:1時間、基板温度:400℃、コールドトラップの冷却温度:−20℃。キャリアガス及び希釈ガスとしてアルゴンを用いた。なお、反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることが出来る。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところルテニウムに基づく特性X線が検出された。
成膜終了後、アルゴン風船を用いて、コールドトラップを含む成膜装置全体を減圧状態から常圧状態に戻した。コールドトラップを成膜装置から取り外すと、黄色固体が付着していた。この黄色固体をアルゴン雰囲気下、ヘキサン20mLに溶解させ、シュレンク管へと移して回収した。減圧下、この溶液からヘキサンを留去した後、得られた黄色液体(150mg)のガスクロマトグラフィー分析を実施した。(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは90%の純度であることが分かった。この液体を減圧蒸留(加熱温度110℃/背圧45Pa)することにより、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを黄色液体として得た(100mg)。得られた(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのガスクロマトグラフィー分析を実施したところ、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは91%の純度であることが分かった。
得られた(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム80mg(0.28mmol)とペンタデカン(0.024mmol)からなる混合物を25℃で調製し、当該混合物のガスクロマトグラフィー分析を実施した。ここで、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。この混合物を約3等分した後、(10)アルゴン雰囲気下、25℃で静置(不活性雰囲気に置く)、(11)空気下、−20℃で静置(冷却して凝固させる)、(12)空気下、25℃で静置した。45時間後に、(10)〜(12)のサンプルのガスクロマトグラフィー分析を実施し、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのピーク面積とペンタデカンのピーク面積の比を測定した。このピーク面積比と静置前のピーク面積比を比較することにより、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの分解率を計算した。結果を表4に示した。
Figure 2019065377
以上の結果から、成膜の過程で回収した(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、不活性雰囲気に置く又は冷却して凝固させることにより、分解することなく安定的に保管可能なことが分かる。
1 材料容器
2 恒温槽
3 反応チャンバー
4 基板
5 反応ガス導入口
6 希釈ガス導入口
7 キャリアガス導入口
8 マスフローコントローラー
9 マスフローコントローラー
10 マスフローコントローラー
11 油回転式ポンプ
12 排気

Claims (4)

  1. ルテニウムプリカーサ及びALD/CVD成膜の過程で回収したルテニウムプリカーサを、不活性雰囲気下に置く及び/又は冷却して凝固させる、保管方法。
  2. ルテニウムプリカーサが、(η−2,4−ジメチルペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム又は(η−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムである、請求項1に記載の保管方法。
  3. 不活性雰囲気とする際の不活性ガスが、アルゴン又は窒素ガスである、請求項1又は2に記載の保管方法。
  4. 冷却して凝固させる際の冷却温度が、0℃から−80℃の温度範囲である、請求項1又は2に記載の保管方法。
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