JP7084833B2 - ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート組成物の製造方法、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート組成物の製造方法、塗料組成物及び塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート組成物の製造方法、塗料組成物及び塗膜に関する。
ポリイソシアネートを硬化剤とするウレタン系塗料組成物は、得られる塗膜の耐薬品性、可撓性、耐候性等が優れているため、自動車、建築内外装、家電等の塗料として広く用いられている。その中でも、脂肪族ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートから得られる塗膜は無黄変という特徴がある。さらに、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(以下、「イソシアヌレート型ポリイソシアネート」と称する場合がある)は、耐候性、耐薬品性の塗膜物性に優れることが知られており、これらの性能が要求される分野に使用されている。
例えば、特許文献1には、可溶性のイソシアヌレート化触媒及び反応停止剤を使用するイソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法が開示されている。この製造方法で得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートは色度が良好であることが開示されている。
また、特許文献2、3にも、着色の少ないポリイソシアネート組成物が開示されている。
特開2002-241458号公報 特開平5-271385号公報 特開平10-60075号公報
しかし、特許文献1~3に記載の技術では、ポリイソシアネート組成物の色度、臭気、湿気安定性及びウレタン化触媒存在下での貯蔵時の黄変度の両立の面で未だ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、色度、臭気及び湿気安定性が良好であり、ウレタン化触媒存在下での貯蔵時の黄変度が低いポリイソシアネート組成物及びその製造方法を提供する。前記ポリイソシアネート組成物を含み、溶剤希釈性が良好な塗料組成物を提供する。前記塗料組成物を硬化させてなる、透明な塗膜を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る製造方法は、ポリイソシアネート組成物の製造方法であって、イソシアヌレート化触媒として、下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のヒドロキサイド又は有機カルボン酸塩を使用し、停止剤として、ジアルキルリン酸を使用して、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導することを含み、得られる前記ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物と、を含む。
Figure 0007084833000001
(一般式(1)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の炭化水素基である。)
前記ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートであってもよい。
前記ポリイソシアネート組成物における前記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のカウンターアニオンが、塩化物イオン、臭化物イオン及びジアルキルリン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の第2態様に係るポリイソシアネート組成物は、上記第1態様に係る造方法により得られる
本発明の第3態様に係る塗料組成物は、上記第態様に係るポリイソシアネート組成物を含む。
本発明の第4態様に係る塗膜は、上記第3態様に係る塗料組成物を硬化させてなる。
上記態様のポリイソシアネート組成物は、色度、臭気及び湿気安定性が良好であり、ウレタン化触媒存在下の貯蔵時黄変度が低い。また、上記態様の塗料組成物は、前記ポリイソシアネート組成物を含み、溶剤希釈性が良好である。また、上記態様の塗膜は、くすみがなく透明度が高い。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する化合物が複数結合した反応物を意味する。なお、ポリイソシアネートを構成する1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する化合物1分子を単量体(モノマー)と称する場合がある。
本明細書において、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
≪ポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(以下、「イソシアヌレート型ポリイソシアネート」と称する場合がある)と、組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物(以下、「カチオン性化合物(1)」と称する場合がある)と、を含む。
Figure 0007084833000002
(一般式(1)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の炭化水素基である。)
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートを原料として合成及び精製することで得られるイソシアヌレート型ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物であり、後述の実施例に示すように、製造時に、特定の構造を有する触媒を用いて、薄膜蒸留条件及び加熱処理条件を組み合わせることで、カチオン性化合物(1)の含有量が所望の範囲に調整された、色度、臭気及び湿気安定性が良好であり、ウレタン化触媒存在下の貯蔵時黄変度が低いポリイソシアネート組成物である。
なお、「イソシアヌレート基」とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(I)で示される基である。
Figure 0007084833000003
<カチオン性化合物(1)>
カチオン性化合物(1)は、4級アンモニウムであって、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の製造時に用いられるイソシアヌレート化触媒に由来するものである。
[R11、R12及びR13
上記一般式(1)におけるR11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の炭化水素基である。R11、R12及びR13はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
11、R12及びR13における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。すなわち、R11、R12及びR13における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合してなる基等が挙げられる。
中でも、R11、R12及びR13における炭化水素基としては、炭素数1以上8以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数6以上8以下のアリール基若しくはアリールアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、2-エチルエキシル基又はベンジル基がさらに好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。R11、R12及びR13の炭素数が上記範囲であることで、アミン系の臭気がより少なく、着色のないポリイソシアネート組成物が得られる。
好ましいカチオン性化合物(1)として具体的には、例えば、フェニルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウム、フェニル-2-エチルヘキシルジメチルアンモニウム、ベンジルフェニルジメチルアンモニウム、ベンジルフェニルジエチルアンモニウム等が挙げられる。中でも、フェニルトリメチルアンモニウム又はフェニルジエチルアンモニウムが特に好ましい。
ポリイソシアネート組成物中において、カチオン性化合物(1)のカウンターアニオン(対イオン)は、ポリイソシアネート組成物の原料(例えば、反応停止剤等)に由来するものであり、具体的には、例えば、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン等が挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。ジアルキルリン酸イオンとしては、例えば、ジメチルリン酸イオン、ジエチルリン酸イオン、ジブチルリン酸イオン、ジ2-エチルヘキシルリン酸イオン、ジシクロヘキシルリン酸イオン等が挙げられる。芳香族スルホン酸イオンとしては、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。中でも、塩化物イオン、臭化物イオン又はジアルキルリン酸イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、ジブチルリン酸イオン又はジ2-エチルヘキシルリン酸イオンがより好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のカチオン性化合物(1)の含有量としては、組成物の総質量に対して、0.1ppm以上20ppm以下であり、0.1ppm以上15ppm以下が好ましく、0.1ppm以上10ppm以下がより好ましい。含有量を上記範囲とすることで、溶剤希釈品の貯蔵時の着色がより少ないポリイソシアネート組成物とすることができる。
カチオン性化合物(1)の含有量は、イソシアヌレート化触媒として使用する上記一般式(1)の構造を有する4級アンモニウム塩の使用量、並びにポリイソシアネート合成後の停止処理時及び加熱処理時の温度及び処理時間により制御することができる。
<ポリイソシアネート>
[イソシアヌレート型ポリイソシアネート]
イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、ジイソシアネートモノマーから誘導される反応物である。具体的には、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させることでイソシアヌレート型ポリイソシアネートが得られる。
ジイソシアネートモノマーとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4以上30以下のものが好ましい。脂肪族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と称する)、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8以上30以下のものが好ましい。脂環族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と称する)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらジイソシアネートは単独又は2種以上を併用して使用することもできる。
中でも、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、工業的規模では、HDI又はIPDIであることが好ましく、HDIであることがより好ましい。
(イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法)
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるイソシアヌレート化触媒としては、反応液及びポリイソシアネート組成物に可溶性であって、上記一般式(1)の構造を有する4級アンモニウムの塩が挙げられる。
4級アンモニウムとしては、上記好ましいカチオン性化合物(1)として例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、4級アンモニウムとしては、フェニルトリメチルアンモニウム又はフェニルトリエチルアンモニウムが特に好ましい。
4級アンモニウムは、水酸化物イオン又は有機カルボン酸と塩を形成していることが好ましい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、これら有機カルボン酸は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
イソシアヌレート化触媒の使用量は、助触媒及び溶剤の使用量により異なるが、通常、ポリイソシアネートの原料としてHDIを用いる場合、HDIの質量に対して、0.001質量%以上0.05質量%以下とすることができる。
助触媒としてのアルコールとしては、例えば、フェノール性ヒドロキシ化合物、アルコール性ヒドロキシ化合物を用いることができる。これによって、イソシアヌレート化反応はさらに容易に進行する。
フェノール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール等が挙げられる。
アルコール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、直鎖状アルコール、分岐鎖状アルコール、環状アルコール、多価アルコール等が挙げられる。
直鎖状アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、1-ヘキサノール等が挙げられる。
分岐鎖状アルコールとしては、例えば、イソブタノール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が挙げられる。
アルコールの使用量は、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのアロファネート基の存在量と相関がある。ポリイソシアネートの原料としてHDIを用いる場合、HDIに対して、質量比で500ppm以上30000ppm以下が好ましい。アルコールの使用量を上記上限値以下とすることで、最終的な本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのイソシアヌレート基の存在比率が適度に保たれ、耐候性及び耐薬品性がより良好となる。一方、アルコールの使用量を上記下限値以上とすることで、反応速度がより高く保たれ、経済性の面でより良好な生産性となる。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造において、アルコールの添加タイミングとしては、イソシアヌレート化反応中にアルコールが反応系中に存在するように添加されていればよい。具体的には、イソシアヌレート化反応前、イソシアヌレート化触媒と同時、及び、イソシアヌレート化触媒添加終了後ヌレート化反応進行中、のいずれのタイミングで添加してもよい。また、前記タイミングのうち、いずれかひとつのタイミングでのみ添加してもよいし、すべてのタイミングで添加してもよい。アルコールの添加方法は、一括添加及び連続添加のいずれでもよい。ただし、反応及び発熱の制御の観点から、イソシアヌレート化反応進行中のアルコール添加に関しては、連続添加が好ましい。イソシアヌレート化反応前のアルコール添加に関しては、経済性の面で一括添加が好ましい。
イソシアヌレート化反応温度は70℃以下であることが好ましく、30℃以上65℃以下がより好ましい。イソシアヌレート化反応温度を上記上限値以下とすることで、色度のより良好なポリイソシアネートを得ることができる。一方、イソシアヌレート化反応温度を上記下限値以上とすることで、反応速度がより適度に保たれ、経済性の面でより良好な生産性となる。
反応時間は、触媒量、助触媒であるアルコールの量及び添加方法、並びに、反応温度等によっても異なるが、通常、1時間以上6時間以下とすることができる。
イソシアヌレート化の進行にともなうイソシアネート基の含有量(NCO%)の低下は、滴定分析によって測定できるので、所定のNCO%になった時に反応を停止すればよい。
反応停止時のNCO%によって、イソシアヌレート型ポリイソシアネートのNCO%、粘度等を自由に変更できる。
反応停止剤としては、酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、リン酸、ジアルキルリン酸、有機スルホン酸、アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド等が挙げられる。また、これら酸性化合物の類似化合物を用いてもよい。ジアルキルリン酸としては、例えば、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジブチルリン酸、ジ2-エチルヘキシルリン酸、ジシクロヘキシルリン酸等が挙げられる。有機スルホン酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。中でも、ジアルキルリン酸が好ましく、ジブチルリン酸又はジ2-エチルヘキシルリン酸がより好ましい。
反応停止剤の使用量としては、イソシアヌレート化触媒中の有機カルボン酸含有量1モルに対して、0.5倍モル量以上10倍モル量以下とすることができ、1倍モル量以上8倍モル量以下であることが好ましい。原料であるジイソシアネートモノマーと、反応で生成したポリイソシアネートの混合溶液に可溶性の反応停止剤を使用する場合には、イソシアヌレート化触媒中の有機カルボン酸含有量1モルに対して、1倍モル量前後とすることができ、不溶性の反応停止剤を使用する場合には、イソシアヌレート化触媒中の有機カルボン酸含有量1モルに対して、2倍モル量以上8倍量以下とすることができる。
反応停止剤投入後、停止反応を完全にするために加熱養生を行ってもよい。加熱養生する場合、その温度は、80℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上130℃以下がより好ましく、90℃以上120℃以下がさらに好ましい。温度が上記上限値以下であることにより、得られるイソシアヌレート型ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物中の1-ナイロン体の減少をより抑制することができ、さらに、色度の低下、及び、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの多量化の進行による高粘度化をより抑制することができる。温度が上記下限値以上であることにより、停止反応により生成する塩の分解を促進でき、ウレタン化触媒存在下のポリイソシアネート組成物の黄変抑制に効果がある。
加熱養生の時間は、温度により最適な時間が異なるが、10分以上120分以下とすることができ、10分以上90分以下であることが好ましく、10分以上60分以下であることがより好ましい。温度にもよるが、時間が上記上限値以下であることにより、着色、及び、ポリイソシアネートのさらなる多量化による高粘度化をより抑制することができる。時間が上記下限値以上であることにより、上記4級アンモニウムの塩の分解をより十分なものとし、ウレタン化触媒存在下のポリイソシアネート組成物の黄変をより抑制できる。
一般に、得られた生成物中のHDI含有量は、その毒性の上から、0.5重量%以下とすることが好ましい。また、ジイソシアネートモノマー3分子以上からなる三量体以上の多環生成物がポリイソシアネート組成物中に多く存在すると、粘度や硬度等物性上の問題の他に、溶剤との相容性が低下して白濁を生ずる。そのため、蒸留後の反応生成物の溶液中のイソシアネート基の含有量(NCO%)が20質量%前後となるように、前記反応停止剤を用いて反応を調整することができる。
生成物中のHDI含有量はガスクロマトグラフィーにより測定できる。また、生成物中の三量体の含有量は、液体クロマトグラフィーにより分子量504付近に明確に現われるので、これを定量することができる。また、イソシアヌレート基の含有量は赤外線吸収スペクトルにより1680cm-1に明確な吸収が現われるので、これを定量することができる。
生成物中の多環化合物の含有量も、三量体と同様の方法により定量することができる。また、生成物中の二量体の含有量は、赤外吸収スペクトルにより1780cm-1に明確な吸収が現われるので、これを定量することができる。
また、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法としては、HDIの一部をウレタン化したアルコール付加体を用いて、上記と同じ条件下でイソシアヌレート化を行うことも好ましい方法として例示できる。
ポリオール付加体を生成させるウレタン化反応は、公知の方法を用いて行えばよい。具体的には、まず、HDI中へアルコールを添加し、反応温度は100℃以下とすることができ、70℃以上90℃以下とすることが好ましく、反応時間は約2時間とすることができる。これにより、アルコール付加体を得ることができる。反応温度が上記上限値以下であることにより、得られる生成物の着色及び副反応をより抑制することができる。
ウレタン化に用いるアルコールとしては、分子量が3000以下の1官能、2官能又は3官能ポリオールが好ましい。アルコールとして具体的には、例えば、モノオール(1価アルコール)、ジオール(2価アルコール)、トリオール(3価アルコール)、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の直鎖のアルコール;2-エチルヘキサノール等の分岐鎖のアルコール;シクロヘキサノール等の環構造を有するアルコール;フェノール、ベンジルアルコール等の芳香族環を有するアルコール等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール(以下、「1,3-BG」と略記する場合がある)、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール(以下、「1,6-HG」と略記する場合がある)等が挙げられる。
3価アルコールとしては、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらアルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記製造方法により得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートをそのまま本実施形態のポリイソシアネート組成物として用いてもよく、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを精製して用いてもよい。中でも、製造面での簡便性から、上記製造方法により得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートをそのまま本実施形態のポリイソシアネート組成物として用いることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.1質量%が好ましく、0.08質量%がより好ましく、0.05質量%がさらに好ましい。
また、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.3質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましい。
さらに、ΔHDIの上限値は、0.2質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.06質量%がさらに好ましい。
貯蔵前及び貯蔵後のHDI含有量、並びに、ΔHDIを上記上限値以下とすることで、刺激を伴うようなHDI由来の臭気がより効果的に抑制される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、後述の実施例に記載の方法を用いて、測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の貯蔵前のHDI含有量(初期HDI含有量)、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量、及び、ΔHDIは、ポリイソシアネート組成物の合成後の薄膜蒸留条件及び加熱条件を組み合わせることで、上記の適切な範囲に制御することができる。
(薄膜蒸留工程)
薄膜蒸留工程は、高沸成分からの低沸成分の分離効率を高めるための工程である。具体的な対策法としては、例えば、流量を少なくし滞留時間を延ばす、蒸留時の温度を高くする、ワイパー回転数を高くする、蒸留回数を増やす等の対策が考えられ、いずれの方法を選択しても構わない。中でも、熱履歴を小さくし、分離効率を高める目的から、蒸留回数を増やす方法が好ましい。蒸留回数としては、1回以上5回以下が好ましい。
(加熱処理工程)
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、可溶性のイソシアヌレート化触媒塩の分解のために、加熱処理工程を行うことが好ましい。
加熱処理温度の下限値としては、80℃がより好ましく、100℃がさらに好ましく、110℃が特に好ましい。
加熱処理温度の上限値としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましく、160℃がさらに好ましく、150℃が特に好ましい。
すなわち、加熱処理温度は、80℃以上200℃以下が好ましく、80℃以上180℃以下がより好ましく、100℃以上160℃以下がさらに好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。
加熱処理温度を上記下限値以上とすることにより、加熱処理工程時間をより短時間とすることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート組成物の着色をより抑制することができる。
また、加熱処理時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.5時間がより好ましく、0.7時間がさらに好ましく、1.0時間が特に好ましい。
加熱処理時間の上限値は、6時間が好ましく、5時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましい。
すなわち、加熱処理時間は、0.2時間以上6時間以下が好ましく、0.5時間以上5時間以下がより好ましく、0.7時間以上4時間以下がさらに好ましく、1.0時間以上3時間以下が特に好ましい。
また、加熱処理工程は、ポリイソシアネート組成物の着色抑制、及び、低臭気化の観点から、窒素フロー条件下、又は、減圧化で実施することが好ましい。
また、ポリイソシアネート組成物の臭気低減及び貯蔵時のHDI発生量抑制の観点から、加熱処理工程の後、薄膜蒸留工程を実施し、ジイソシアネートモノマー濃度を下げた後、再度加熱処理工程を行い、次いで、再度、薄膜蒸留工程を行うことが好ましい。
上記加熱処理工程と上記薄膜蒸留工程とはセットで行うことが好ましい。
加熱処理工程及び薄膜蒸留工程を繰り返し行うことで、ポリイソシアネート組成物のアミン臭をより低く抑えつつ、50℃で1か月間貯蔵した際のHDI発生量もより低減することができる。
[その他のポリイソシアネート]
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基に加えて、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基及びアロファネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。本実施形態のポリイソシアネート組成物は、これら官能基を1分子中に有するポリイソシアネートを含んでもよく、異なる官能基を有するポリイソシアネートの混合物を含んでもよい。
なお、一般に、「ウレトジオン基」とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(II)で示される基である。
Figure 0007084833000004
「イミノオキサジアジンジオン基」とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(III)で示される基である。
Figure 0007084833000005
「アロファネート基」とは、アルコールの水酸基とイソシアネート基とから形成される官能基であり、下記式(IV)で示される基である。
Figure 0007084833000006
(ウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法)
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
ウレトジオン化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、トリアルキルホスフィン、トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロアルキルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
トリアルキルホスフィンとしては、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等が挙げられる。
トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィンとしては、例えば、トリス-(ジメチルアミノ)ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン等が挙げられる。
シクロアルキルホスフィンとしては、例えば、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等が挙げられる。
これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えて、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを生成する。
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。
上述したウレトジオン化反応触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートに対して、質量比で10ppm以上10000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上1000ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上500ppm以下であることがさらに好ましい。
ウレトジオン化の反応温度の下限値は、20℃であることが好ましく、25℃であることがより好ましく、30℃であることがさらに好ましく、35℃であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度の上限値は、120℃であることが好ましく、110℃であることがより好ましく、100℃であることがさらに好ましく、90℃であることが特に好ましい。
すなわち、ウレトジオン化の反応温度は、20℃以上120℃以下であることが好ましく、25℃以上110℃以下であることがより好ましく、30℃以上100℃以下であることがさらに好ましく、35℃以上90℃以下であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の得られるポリイソシアネート組成物の特性変化がより効果的に防止できる。
また、上記ウレトジオン化反応触媒を用いることなく、ジイソシアネートモノマーを加熱することでウレトジオン基含有ポリイソシアネートを得ることもできる。
上記ウレトジオン化反応触媒を用いない場合、ジイソシアネートモノマーの加熱温度の下限値としては、120℃が好ましく、130℃がより好ましく、140℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
ジイソシアネートモノマーの加熱温度の上限値は、180℃が好ましく、175℃がより好ましく、170℃がさらに好ましく、165℃が特に好ましい。
すなわち、ジイソシアネートモノマーの加熱温度は、120℃以上180℃以下が好ましく、130℃以上175℃以下がより好ましく、140℃以上170℃以下がさらに好ましく、145℃以上165℃以下が特に好ましい。
上記ウレトジオン化反応触媒を用いない場合、加熱時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.4時間がより好ましく、0.6時間がさらに好ましく、0.8時間が特に好ましく、1.0時間が最も好ましい。
加熱時間の上限値は、8時間が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
すなわち、加熱時間は、0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
加熱時間を上記下限値以上とすることで、ポリイソシアネートをより低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトジオン化反応と前述したイソシアヌレート化反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後の分子量変化率の低減、及び、高温焼付時の黄変性の低減の観点から、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが好ましい。
(イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法)
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)は、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
イミノオキサジアジンジオン化触媒としては、以下が例示される。
(1)一般式M[F]、又は、一般式M[F(HF)]で表される(ポリ)フッ化水素
(式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす整数である。Mはn荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルである。)
(1)の化合物((ポリ)フッ化水素)として具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等が挙げられる。
(2)一般式R-CR’-C(O)O-、又は、一般式R=CR’-C(O)O-で表される化合物と、第4級アンモニウムカチオン、又は、第4級ホスホニウムカチオンとからなる化合物。
(式中、R及びRは、必要に応じて分岐状、環状及び不飽和のうち少なくともいずれかの炭素数1~30のパーフルオロアルキル基である。R’はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基又はアリール基である。R’はヘテロ原子を含有してもよい。)
(2)の化合物として具体的には、例えば、3,3,3-トリフルオロカルボン酸、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブタン酸、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンタン酸、3,3-ジフルオロプロパ-2-エン酸等が挙げられる。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量の下限値は、特に限定されないが、反応性の観点から、原料であるジイソシアネートモノマーに対して、質量比で、5ppmが好ましく、10ppmがより好ましく、20ppmがさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制や反応制御の観点から、原料であるジイソシアネートモノマーに対して、質量比で、5000ppmが好ましく、2000ppmがより好ましく、500ppmがさらに好ましい。
すなわち、イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートモノマーに対して、質量比で、5ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上2000ppm以下がより好ましく、20ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度の下限値は、特に限定されないが、反応速度の観点から、40℃が好ましく、50℃がより好ましく、60℃がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制の観点から、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。
すなわち、イミノオキサジアジンジオン化の反応温度は、40℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上110℃以下がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化反応が所望のイミノオキサジアジンジオン基含有量に達した時点で、イミノオキサジアジンジオン化反応を停止させることができる。イミノオキサジアジンジオン化反応は、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、停止することができる。これにより、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化される。反応停止後、必要があれば、ろ過を行う。
(アロファネート基を有するポリイソシアネートの製造方法)
アロファネート基を有するポリイソシアネート(アロファネート基含有ポリイソシアネート)は、ジイソシアネートモノマーにアルコール化合物等を併用し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。
アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造に用いられるアルコール化合物としては、以下に限定されないが、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましい。また、アルコール化合物は分子量が200以下であることが好ましい。
アルコール化合物としては、例えば、モノアルコール、ジアルコール等が挙げられる。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等が挙げられる。
ジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
これらアルコール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、アルコール化合物としては、モノアルコールが好ましい。
アルコール化合物の使用量は、以下に限定されないが、ジイソシアネートモノマーのイソシアネート基とアルコール化合物の水酸基とのモル比で10/1以上1000/1以下であることが好ましく、100/1以上1000/1以下であることがより好ましい。上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基平均数をより適切な数確保することができる。
アロファネート化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のアロファネート化反応触媒の失活剤を添加して、アロファネート化反応を停止することができる。
上記アロファネート化反応触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートに対して、質量比で、10ppm以上10000ppm以下が好ましく、10ppm以上1000ppm以下がより好ましく、10ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
アロファネート化の反応温度の下限値は、60℃が好ましく、70℃がより好ましく、80℃がさらに好ましく、90℃が特に好ましい。
アロファネート化の反応温度の上限値は、160℃が好ましく、155℃がより好ましく、150℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
すなわち、アロファネート化の反応温度は、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上155℃以下がより好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましく、90℃以上145℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることにより、得られるポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に防止できる。
反応時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.4時間がより好ましく、0.6時間がさらに好ましく、0.8時間が特に好ましく、1.0時間が最も好ましい。
反応時間の上限値は、8時間以下が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
すなわち、アロファネート化の反応時間は0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
アロファネート化の反応時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
また、上記イソシアヌレート化反応触媒をアロファネート化反応触媒として用いることができる。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合、イソシアヌレート型ポリイソシアネートも同時に生成させる。中でも、経済面から生産性を向上できる観点から、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用い、アロファネート化反応とイソシアヌレート反応とを行うことが好ましい。
アロファネート化反応は、所望のアロファネート基含有量に達した時点で、停止させることができる。
アロファネート化反応は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、停止することができる。これにより、アロファネート化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化させることができる。反応停止後、必要があれば、ろ過を行う。
上記イソシアヌレート化反応、上記ウレトジオン化反応、及び、上記イミノオキサジアジンジオン化反応はそれぞれを逐次行うこともできるし、並行して行うこともできる。
また、アロファネート化反応を伴う場合には、製造工程を簡略化できるため、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を並行して先行させ、次いで、ウレトジオン化反応、及び、上記イミノオキサジアジンジオン化反応を行うことが好ましい。
≪塗料組成物≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本実施形態の塗料組成物は、上記実施形態のポリイソシアネート組成物を含有する。
<樹脂成分>
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。
活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。中でも、活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、ポリオールが好ましい。ポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、溶剤ベース、水系ベース、無溶剤系のいずれにも使用可能である。
溶剤ベースの塗料組成物とする場合には、例えば、まず、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂、又は、その溶剤希釈物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等のその他添加剤を加えたものを調製する。次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌、又は、マゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
水系ベースの塗料組成物とする場合には、例えば、まず、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂の水分散体、又は、その水溶液に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等のその他添加剤を加えたものを調製する。次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加する。次いで、攪拌機器を用いて強制攪拌することによって、水系ベースの塗料組成物を得ることができる。
[ポリエステルポリオール]
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記の成分を混合し、約160~220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。
又は、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
上述の製造方法で得られたポリエステルポリオールは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られる化合物等を用いて変性させることができる。中でも、得られる塗膜の耐候性及び耐黄変性等の観点から、ポリエステルポリオールは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られる化合物を用いて変性させることが好ましい。
本実施形態の塗料組成物が水分量の多い溶剤を含む場合には、ポリエステルポリオール中の二塩基酸等に由来する一部のカルボン酸を残存させておき、アミン、アンモニア等の塩基で中和することで、ポリエステルポリオールを水溶性又は水分散性の樹脂とすることができる。
[ポリエーテルポリオール]
ポリエーテルポリオールは、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
[アクリルポリオール]
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
前記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
(iv)ポリエーテルポリオール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸等)との付加物。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(例えば、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物。
前記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下の(i)~(v)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類。
(iii)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類。
(iv)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類。
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー。
アクリルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記のモノマーを、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。
本実施形態の塗料組成物が水分量の多い溶剤を含む場合には、上記のモノマーを溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分を、アミンやアンモニアで中和することによって、アクリルポリオールに水溶性又は水分散性を付与することができる。
[ポリオレフィンポリオール]
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリブタジエン、水酸基を2個以上有するポリイソプレン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
また、ポリオレフィンポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は、2以上であることが好ましい。
[フッ素ポリオール]
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57-34107号公報(参考文献1)、特開昭61-275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
[ポリオールの水酸基価及び酸価]
ポリオールの水酸基価の下限値は、10mgKOH/gが好ましく、20mgKOH/gがより好ましく、30mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価の上限値は、200mgKOH/gが好ましく、180mgKOH/gがより好ましく、160mgKOH/gがさらに好ましい。
すなわち、ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上180mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以上160mgKOH/g以下がさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価が上記下限値以上であることにより、本実施形態の塗料組成物から得られる塗膜の耐薬品性をより向上させることができる。
ポリオールの水酸基価が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物との混合後のポットライフをより向上させることができる。
なお、一般に、「ポットライフ」とは、塗料、接着剤等の組成物において、主剤と硬化剤とを混合して組成物を調製後、硬化前の組成物としての性能を確保している時間を意味する。可使時間ともいう。
ポリオールの酸価は0mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
水酸基価及び酸価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
中でも、本実施形態の塗料組成物に含まれるポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び、硬度の観点から、アクリルポリオールが好ましい。又は、機械強度、及び、耐油性の観点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
すなわち、本実施形態の塗料組成物は、上記実施形態のポリイソシアネート組成物と、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくともいずれかと、を含むことが好ましい。
[NCO/OH]
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、上記実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.2以上5.0以下が好ましく、0.4以上3.0がより好ましく、0.5以上2.0以下がさらに好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であると、より強靱な塗膜が得られる傾向にある。一方、NCO/OHが上記上限値以下であると、塗膜の平滑性がより向上する傾向にある。
<その他添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
また、上記樹脂成分、上記実施形態のポリイソシアネート組成物、及び、本実施形態の塗料組成物は、いずれも、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、ポリイソシアネート組成物と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等の一般に塗料溶剤として用いられている化合物が挙げられる。
上記樹脂成分、上記実施形態のポリイソシアネート組成物、及び、本実施形態の塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
硬化促進用の触媒の例としては、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び、光安定剤としては、例えば、リン酸若しくは亜リン酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜リン酸誘導体、リン化合物、フェノール系誘導体(特に、ヒンダードフェノール化合物)、イオウを含む化合物、スズ系化合物等が挙げられる。これらを単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
リン化合物としては、例えば、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、例えば、チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイルが挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
リン酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス-クロロエチルホスフェート、トリス-ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
≪塗膜≫
本実施形態の塗膜は、上記実施形態の塗料組成物を硬化してなる。本実施形態の塗膜は、上記実施形態の塗料組成物を、基材上に、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、且つ、くもりがなく透明度が高い。
以下に実施例により、さらに本発明を説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
<物性の測定方法及び評価方法>
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の物性の測定方法、及び、評価方法を以下に示す。
[物性1]イソシアネート基濃度(NCO%)の測定
ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(NCO%)は、ポリイソシアネートが含有するイソシアネート基の含有量(質量%)と定義され、以下の方法により測定した。
まず、ポリイソアシネート5~10gを精秤してトルエン20mLに溶解した。得られた溶液に2規定のn-ジブチルアミンのトルエン溶液を20mL加え、室温で15分間放置して反応を行った。反応終了後、京都電子社製APB-410型自動滴定装置を用いて、得られた反応混合液の全量を1規定塩酸で逆滴定し、反応混合物中の未反応n-ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(試料滴定量)を求めた。一方、ポリイソシアネートを用いないこと以外は上記と同じ操作を行い、同様に未反応n-ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(ブランク滴定量)を求めた。得られた試料滴定量及びブランク滴定量を用いて、以下の式(A)により、イソシアネート基濃度(質量%)を算出した。
イソシアネート基濃度(質量%)
=[{ブランク滴定量(mL)-試料滴定量(mL)}×42/{試料重量(g)×1000}]×100 (A)
[物性2]粘度の測定
トキメック社製VISCONIC・ED型、E型粘度計を用い、25℃にて測定した。
[物性3]イソシアヌレート基の確認
まず、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物のCDCl溶液を調整した。次いで、得られた溶液を以下の測定条件で13C-NMR測定を行い、イソシアヌレート基を確認した。
(測定条件)
・測定装置:Burker Biospin Avance600
・観測核:13C(150MHz)
・溶媒:CDCl
・積算回数:10000回
・化学シフト基準:CDCl(77ppm)
・各組成物の特徴的ピーク(化学シフト値)
イソシアヌレート基:148.5ppm付近の強いピーク
[物性4]ポリイソシアネート組成物中の4級アンモニウムカチオン量の分析
LC/MSを用いて、下記に示す測定条件にて4級アンモニウムカチオンの定性及び定量を行った。
(測定条件)
・LC 装置:Waters,UPLC
・カラム: Imtakt,Cadenza CD-c18 HT (2mmI.D.×30mm)
・カラム温度:40℃
・流速:0.3mL/min
・移動相A:水(0.1%HCOOH)
移動相B:アセトニトリル(0.1%HCOOH)
・グラジェントTime(min)/A%/B%:0/98/2,5/0/100,10/0/100,10.1/98/2,15/98/2
・注入量:10μL
・MS装置:Waters,Synapt G2
・イオン化:ESI+
・スキャンレンジ:m/z 50~600
[評価1]色度の測定及び評価
各ポリイソシアネート組成物の色度を、ロビボンド自動比色計PFXi-195を用い、ハーゼン色数(APHA)として測定した。測定結果(APHA)を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:APHAが20未満
△:APHAが20以上30未満
×:APHAが30以上
[評価2]濁度及び溶剤希釈時濁度(NTU)による評価
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を溶剤として酢酸ブチルに、質量比でポリイソシアネート組成物:酢酸ブチル=1:1となるように混合して、希釈液を調製した。次いで、ポリイソシアネート組成物及び得られた希釈液を、濁度計/色度計(HACH社製、「2100AN」(商品名))を用い、25℃、測定波長860nmで測定した。測定結果から、ポリイソシアネート組成物自体の濁度及び溶剤希釈性を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:0.0以上0.2未満
○:0.2以上0.4未満
△:0.4以上0.6未満
×:0.6以上
[評価3]ポリイソシアネート組成物中に残存するHDIの量(残HDI量)の評価
まず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として約1g精秤した。次に、試料にニトロベンゼン(内部標準液)を0.03~0.04g加え、精秤した。さらに、試料とニトロベンゼンの混合液に酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりして良く混合し、サンプルを調整した。得られたサンプルを以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、HDI含有量を算出した。算出されたHDI含有量を、以下の評価基準に基づいて評価した。
(測定条件)
・装置:SHIMADZU(株)GC-8A
・カラム:信和化工(株)Silicone OV-17
・カラムオーブン温度:120℃
・インジェクション/ディテクター温度:160℃
(評価基準)
◎:0.1%以下
○:0.1%超0.15%以下
△:0.15%超0.2%以下
×:0.2%超
[評価4]ポリイソシアネート組成物の臭気の評価
乾燥窒素で置換されたグローブボックス内にて、50mLのガラス瓶に、ろ紙(25mm×50mm)を5枚筒状に丸めて入れた。次いで、そこに各ポリイソシアネート組成物を10mLずつ注ぎ、蓋をした。次いで、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵後、ふたを開けた際の臭気を、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:アミン系の臭気をほとんど感じないもの
△:アミン系の臭気が感じられるが、使用上支障をきたすほどではないもの
×:アミン系の臭気が刺激を伴って感じられ、使用上支障をきたすもの
[評価5]湿気安定性
各ポリイソシアネート組成物を50mLのガラス瓶に20mLずつ測りとり、水を張ったデシケータ内にて23℃で保管し、保管中濁りが発生するまでの日数を観察した。濁りが発生するまでの日数から、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:濁ることなく硬化
△:1日目以降に濁りがみられ、その後硬化
×:1日以内で濁りがみられ、その後硬化
[評価6]溶剤希釈品の貯蔵時着色
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を溶剤として酢酸ブチルに、質量比でポリイソシアネート組成物:酢酸ブチル=1:1となるように混合して、希釈液を調製した。この時使用する酢酸ブチル中には、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が100ppm、ジブチル錫(製品名「ネオスタンU-100」(登録商標)、日東化成社製)が1000ppm添加されているものを使用した。調整された希釈液を50mL瓶に25mL入れ、空間部分は空気として、50℃で2週間の貯蔵安定性試験を行った。2週間後の試験溶液の色度を、430nmの透過率として測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:98%以上
△:94%以上98%未満
×:94%未満
[評価7]塗膜の透明度
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を100mLガラス瓶に50mL計量し、空気封入して50℃で1か月保管して使用した。次いで、下記配合の塗料組成物を作製した。
(塗料組成物の配合)
・ポリオール(Setalux1767)
・配合比率(NCO/OH=1.05)
・希釈溶剤:酢酸ブチル
・塗料固形分:50質量%
次いで、ガラス板上に乾燥膜厚が60~80μmとなるように各塗料組成物を塗装した。次いで、室温で20分間放置後、120℃で20分間焼き付けを行い、ウレタン塗膜を得た。得られたウレタン塗膜を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
○:透明でくすみが全くない。
△:ややくすみがあり、透明性がやや劣る。
×:明らかにくすみがあり、透明性が劣る。
[実施例1]ポリイソシアネート組成物(P-a1)の製造
温度計、撹拌機及び窒素シール管を持つ1L四ツ口ガラスフラスコにHDI 100質量部を計量し、フラスコ中の空気を窒素で置換し、65℃に加温した。次いで、2-エチルヘキサノール(以下、「2-EHOH」と称する場合がある)0.35質量部を添加し、10分間攪拌を行った。次いで、酢酸フェニルトリメチルアンモニウム(以下、「PTMA-C1acid」と略記する場合がある)を含有する5質量%のイソブタノール(以下、「i-BuOH」と略記する場合がある)溶液を、PTMAPA-C1acid量が0.01質量部となるように60分間かけて添加した。反応中は、65±2℃となるように温度調整を行った。目的のNCO%となったところで、反応停止剤としてジブチルリン酸(以下、「DBP」と略記する場合がある)を加え、100℃に昇温した。100℃に到達後、1時間撹拌を続けた。反応液は無色透明の液体であった。この反応液を細孔サイズ1μmのメンブレンフィルターでろ過して、反応残渣を分離した反応液を得た。次いで、得られた反応液を、0.4Torr/160℃の蒸留条件で薄膜蒸留を行った。得られたポリイソシアネート組成物を含む高沸成分の液を0.1Torr/120℃/1時間の処理条件で攪拌しながら加熱し、ついで0.1Torr/150℃の蒸留条件で薄膜蒸留を行い、ポリイソシアネート組成物(P-a1)を得た。得られたポリイソシアネート組成物(P-a1)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を下記表1に示す。
[実施例2~13及び比較例1~7]ポリイソシアネート組成物(P-a2~P-a13及びP-b1~P-b7)の製造
使用したイソシアヌレート化触媒の種類と量、停止剤の種類と量、停止処理時の温度と時間、1回目の薄膜蒸留後の加熱条件を、表1に示す条件に変更し、それ以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物(P-a2~P-a13及びP-b1~P-b7)を得た。得られた各ポリイソシアネート組成物(P-a2~P-a13及びP-b1~P-b7)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を表1及び2に示す。
なお、表1及び表2において、触媒及び4級アンモニウムカチオン量の略語は以下の化合物を示す。
PTMA-C1acid:酢酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C2acid:プロピオン酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C3acid:酪酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C5acid:カプロン酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C6acid:エナント酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C9acid:カプリン酸フェニルトリメチルアンモニウム
DBDMA-C2acid:プロピオン酸ジベンジルジメチルアンモニウム
BTMA-C2acid:プロピオン酸ベンジルトリメチルアンモニウム
TMA-C9acid:カプリン酸テトラメチルアンモニウム
PTEA-C9acid:カプリン酸フェニルトリエチルアンモニウム
BPDMA-C9acid:カプリン酸ベンジルフェニルジメチルアンモニウム
PTMA:フェニルトリメチルアンモニウムイオン
PTEA:フェニルトリエチルアンモニウムイオン
BPDMA:ベンジルフェニルジメチルアンモニウムイオン
DBDMA:ジベンジルジメチルアンモニウムイオン
BTMA:ベンジルトリメチルアンモニウムイオン
Figure 0007084833000007
Figure 0007084833000008
表1から、上記一般式(1)で示されるカチオン性化合物である4級アンモニウムカチオン量が0.1ppm以上20ppm以下である実施例1~13のポリイソシアネート組成物は、色度、溶剤希釈濁度、溶剤希釈品の貯蔵時の着色及び湿気安定性がいずれも良好であった。
PTMA-C9acidを用いた実施例6及び9のポリイソシアネート組成物において、加熱処理時間を1時間未満とすることで、色度がより良好なものとなっており、一方、加熱処理時間を1時間以上とすることで、溶剤希釈品の貯蔵時着色がより良好なものとなっていた。
使用した触媒の種類が異なる実施例1~6、12及び13のポリイソシアネート組成物において、PTMA-C2acidを用いた実施例2のポリイソシアネート組成物は、色度がより良好なものとなっていた。
一方、4級アンモニウムカチオン量が20ppm以上となる比較例1、3、4及び5のポリイソシアネート組成物は、溶剤希釈品の貯蔵時の着色が良好なものはなかった。
また、カチオン性化合物量が0.1ppm以上20ppm未満であっても、上記一般式(1)で示されるカチオン性化合物と構造が異なるカチオン性化合物を含む比較例2のポリイソシアネート組成物は、APHAが30以上であり、色度が悪化していた。
さらに、上記一般式(1)で示されるカチオン性化合物と構造が異なり、且つ、合成中の反応液及び製品中において不溶性の塩を形成するカチオン性化合物を含む比較例6及び7のポリイソシアネート組成物は、希釈濁度及び湿気安定性が悪化していた。
以上のことから、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、色度、臭気及び湿気安定性が良好であり、ウレタン化触媒存在下の貯蔵時黄変度が低いことが確かめられた。また、前記ポリイソシアネート組成物を使用した塗料組成物は、溶剤希釈性が良好であり、前記塗料組成物を硬化させてなる塗膜は、くすみがなく透明度が高いことが確かめられた。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料、粘接着剤、シーリング材、防水材、フォーム、エラストマー、繊維処理剤等に有用である。

Claims (6)

  1. ポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
    イソシアヌレート化触媒として、下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のヒドロキサイド又は有機カルボン酸塩を使用し、停止剤として、ジアルキルリン酸を使用して、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導することを含み、
    得られる前記ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、
    組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物と、
    を含む、製造方法
    Figure 0007084833000009
    (一般式(1)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の炭化水素基である。)
  2. 前記ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1に記載の製造方法
  3. 前記ポリイソシアネート組成物における前記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のカウンターアニオンが、塩化物イオン、臭化物イオン及びジアルキルリン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、ポリイソシアネート組成物。
  5. 請求項に記載のポリイソシアネート組成物を含む、塗料組成物。
  6. 請求項5に記載の塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
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