JP7084833B2 - ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート組成物の製造方法、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents
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Description
また、特許文献2、3にも、着色の少ないポリイソシアネート組成物が開示されている。
本発明の第1態様に係る製造方法は、ポリイソシアネート組成物の製造方法であって、イソシアヌレート化触媒として、下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のヒドロキサイド又は有機カルボン酸塩を使用し、停止剤として、ジアルキルリン酸を使用して、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導することを含み、得られる前記ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物と、を含む。
前記ポリイソシアネート組成物における前記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のカウンターアニオンが、塩化物イオン、臭化物イオン及びジアルキルリン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(以下、「イソシアヌレート型ポリイソシアネート」と称する場合がある)と、組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物(以下、「カチオン性化合物(1)」と称する場合がある)と、を含む。
カチオン性化合物(1)は、4級アンモニウムであって、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の製造時に用いられるイソシアヌレート化触媒に由来するものである。
上記一般式(1)におけるR11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1以上12以下の炭化水素基である。R11、R12及びR13はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
R11、R12及びR13における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。すなわち、R11、R12及びR13における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合してなる基等が挙げられる。
中でも、R11、R12及びR13における炭化水素基としては、炭素数1以上8以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数6以上8以下のアリール基若しくはアリールアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、2-エチルエキシル基又はベンジル基がさらに好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。R11、R12及びR13の炭素数が上記範囲であることで、アミン系の臭気がより少なく、着色のないポリイソシアネート組成物が得られる。
カチオン性化合物(1)の含有量は、イソシアヌレート化触媒として使用する上記一般式(1)の構造を有する4級アンモニウム塩の使用量、並びにポリイソシアネート合成後の停止処理時及び加熱処理時の温度及び処理時間により制御することができる。
[イソシアヌレート型ポリイソシアネート]
イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、ジイソシアネートモノマーから誘導される反応物である。具体的には、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させることでイソシアヌレート型ポリイソシアネートが得られる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4以上30以下のものが好ましい。脂肪族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と称する)、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8以上30以下のものが好ましい。脂環族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と称する)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらジイソシアネートは単独又は2種以上を併用して使用することもできる。
中でも、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、工業的規模では、HDI又はIPDIであることが好ましく、HDIであることがより好ましい。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるイソシアヌレート化触媒としては、反応液及びポリイソシアネート組成物に可溶性であって、上記一般式(1)の構造を有する4級アンモニウムの塩が挙げられる。
4級アンモニウムとしては、上記好ましいカチオン性化合物(1)として例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、4級アンモニウムとしては、フェニルトリメチルアンモニウム又はフェニルトリエチルアンモニウムが特に好ましい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、これら有機カルボン酸は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
フェノール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール等が挙げられる。
アルコール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、直鎖状アルコール、分岐鎖状アルコール、環状アルコール、多価アルコール等が挙げられる。
直鎖状アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、1-ヘキサノール等が挙げられる。
分岐鎖状アルコールとしては、例えば、イソブタノール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が挙げられる。
反応停止時のNCO%によって、イソシアヌレート型ポリイソシアネートのNCO%、粘度等を自由に変更できる。
生成物中の多環化合物の含有量も、三量体と同様の方法により定量することができる。また、生成物中の二量体の含有量は、赤外吸収スペクトルにより1780cm-1に明確な吸収が現われるので、これを定量することができる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール(以下、「1,3-BG」と略記する場合がある)、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール(以下、「1,6-HG」と略記する場合がある)等が挙げられる。
3価アルコールとしては、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらアルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.3質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましい。
さらに、ΔHDIの上限値は、0.2質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.06質量%がさらに好ましい。
貯蔵前及び貯蔵後のHDI含有量、並びに、ΔHDIを上記上限値以下とすることで、刺激を伴うようなHDI由来の臭気がより効果的に抑制される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、後述の実施例に記載の方法を用いて、測定することができる。
薄膜蒸留工程は、高沸成分からの低沸成分の分離効率を高めるための工程である。具体的な対策法としては、例えば、流量を少なくし滞留時間を延ばす、蒸留時の温度を高くする、ワイパー回転数を高くする、蒸留回数を増やす等の対策が考えられ、いずれの方法を選択しても構わない。中でも、熱履歴を小さくし、分離効率を高める目的から、蒸留回数を増やす方法が好ましい。蒸留回数としては、1回以上5回以下が好ましい。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、可溶性のイソシアヌレート化触媒塩の分解のために、加熱処理工程を行うことが好ましい。
加熱処理温度の上限値としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましく、160℃がさらに好ましく、150℃が特に好ましい。
すなわち、加熱処理温度は、80℃以上200℃以下が好ましく、80℃以上180℃以下がより好ましく、100℃以上160℃以下がさらに好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。
加熱処理温度を上記下限値以上とすることにより、加熱処理工程時間をより短時間とすることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート組成物の着色をより抑制することができる。
加熱処理時間の上限値は、6時間が好ましく、5時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましい。
すなわち、加熱処理時間は、0.2時間以上6時間以下が好ましく、0.5時間以上5時間以下がより好ましく、0.7時間以上4時間以下がさらに好ましく、1.0時間以上3時間以下が特に好ましい。
上記加熱処理工程と上記薄膜蒸留工程とはセットで行うことが好ましい。
加熱処理工程及び薄膜蒸留工程を繰り返し行うことで、ポリイソシアネート組成物のアミン臭をより低く抑えつつ、50℃で1か月間貯蔵した際のHDI発生量もより低減することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基に加えて、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基及びアロファネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。本実施形態のポリイソシアネート組成物は、これら官能基を1分子中に有するポリイソシアネートを含んでもよく、異なる官能基を有するポリイソシアネートの混合物を含んでもよい。
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
トリアルキルホスフィンとしては、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等が挙げられる。
トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィンとしては、例えば、トリス-(ジメチルアミノ)ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン等が挙げられる。
シクロアルキルホスフィンとしては、例えば、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等が挙げられる。
これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えて、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを生成する。
ウレトジオン化の反応温度の上限値は、120℃であることが好ましく、110℃であることがより好ましく、100℃であることがさらに好ましく、90℃であることが特に好ましい。
すなわち、ウレトジオン化の反応温度は、20℃以上120℃以下であることが好ましく、25℃以上110℃以下であることがより好ましく、30℃以上100℃以下であることがさらに好ましく、35℃以上90℃以下であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の得られるポリイソシアネート組成物の特性変化がより効果的に防止できる。
上記ウレトジオン化反応触媒を用いない場合、ジイソシアネートモノマーの加熱温度の下限値としては、120℃が好ましく、130℃がより好ましく、140℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
ジイソシアネートモノマーの加熱温度の上限値は、180℃が好ましく、175℃がより好ましく、170℃がさらに好ましく、165℃が特に好ましい。
すなわち、ジイソシアネートモノマーの加熱温度は、120℃以上180℃以下が好ましく、130℃以上175℃以下がより好ましく、140℃以上170℃以下がさらに好ましく、145℃以上165℃以下が特に好ましい。
加熱時間の上限値は、8時間が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
すなわち、加熱時間は、0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
加熱時間を上記下限値以上とすることで、ポリイソシアネートをより低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)は、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
(1)一般式M[Fn]、又は、一般式M[Fn(HF)m]で表される(ポリ)フッ化水素
(式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす整数である。Mはn荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルである。)
(1)の化合物((ポリ)フッ化水素)として具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等が挙げられる。
(2)一般式R1-CR’2-C(O)O-、又は、一般式R2=CR’-C(O)O-で表される化合物と、第4級アンモニウムカチオン、又は、第4級ホスホニウムカチオンとからなる化合物。
(式中、R1及びR2は、必要に応じて分岐状、環状及び不飽和のうち少なくともいずれかの炭素数1~30のパーフルオロアルキル基である。R’はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基又はアリール基である。R’はヘテロ原子を含有してもよい。)
(2)の化合物として具体的には、例えば、3,3,3-トリフルオロカルボン酸、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブタン酸、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンタン酸、3,3-ジフルオロプロパ-2-エン酸等が挙げられる。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制や反応制御の観点から、原料であるジイソシアネートモノマーに対して、質量比で、5000ppmが好ましく、2000ppmがより好ましく、500ppmがさらに好ましい。
すなわち、イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートモノマーに対して、質量比で、5ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上2000ppm以下がより好ましく、20ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制の観点から、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。
すなわち、イミノオキサジアジンジオン化の反応温度は、40℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上110℃以下がさらに好ましい。
アロファネート基を有するポリイソシアネート(アロファネート基含有ポリイソシアネート)は、ジイソシアネートモノマーにアルコール化合物等を併用し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。
アルコール化合物としては、例えば、モノアルコール、ジアルコール等が挙げられる。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等が挙げられる。
ジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
これらアルコール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、アルコール化合物としては、モノアルコールが好ましい。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。
アロファネート化の反応温度の上限値は、160℃が好ましく、155℃がより好ましく、150℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
すなわち、アロファネート化の反応温度は、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上155℃以下がより好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましく、90℃以上145℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることにより、得られるポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に防止できる。
反応時間の上限値は、8時間以下が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
すなわち、アロファネート化の反応時間は0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
アロファネート化の反応時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
アロファネート化反応は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、停止することができる。これにより、アロファネート化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化させることができる。反応停止後、必要があれば、ろ過を行う。
また、アロファネート化反応を伴う場合には、製造工程を簡略化できるため、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を並行して先行させ、次いで、ウレトジオン化反応、及び、上記イミノオキサジアジンジオン化反応を行うことが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
(iv)ポリエーテルポリオール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸等)との付加物。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(例えば、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類。
(iii)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類。
(iv)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類。
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリブタジエン、水酸基を2個以上有するポリイソプレン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
また、ポリオレフィンポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は、2以上であることが好ましい。
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57-34107号公報(参考文献1)、特開昭61-275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
ポリオールの水酸基価の下限値は、10mgKOH/gが好ましく、20mgKOH/gがより好ましく、30mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価の上限値は、200mgKOH/gが好ましく、180mgKOH/gがより好ましく、160mgKOH/gがさらに好ましい。
すなわち、ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上180mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以上160mgKOH/g以下がさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価が上記下限値以上であることにより、本実施形態の塗料組成物から得られる塗膜の耐薬品性をより向上させることができる。
ポリオールの水酸基価が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物との混合後のポットライフをより向上させることができる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、上記実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.2以上5.0以下が好ましく、0.4以上3.0がより好ましく、0.5以上2.0以下がさらに好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であると、より強靱な塗膜が得られる傾向にある。一方、NCO/OHが上記上限値以下であると、塗膜の平滑性がより向上する傾向にある。
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、ポリイソシアネート組成物と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等の一般に塗料溶剤として用いられている化合物が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
リン化合物としては、例えば、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、例えば、チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等が挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
リン酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス-クロロエチルホスフェート、トリス-ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
本実施形態の塗膜は、上記実施形態の塗料組成物を硬化してなる。本実施形態の塗膜は、上記実施形態の塗料組成物を、基材上に、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、且つ、くもりがなく透明度が高い。
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の物性の測定方法、及び、評価方法を以下に示す。
ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(NCO%)は、ポリイソシアネートが含有するイソシアネート基の含有量(質量%)と定義され、以下の方法により測定した。
=[{ブランク滴定量(mL)-試料滴定量(mL)}×42/{試料重量(g)×1000}]×100 (A)
トキメック社製VISCONIC・ED型、E型粘度計を用い、25℃にて測定した。
まず、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物のCDCl3溶液を調整した。次いで、得られた溶液を以下の測定条件で13C-NMR測定を行い、イソシアヌレート基を確認した。
・測定装置:Burker Biospin Avance600
・観測核:13C(150MHz)
・溶媒:CDCl3
・積算回数:10000回
・化学シフト基準:CDCl3(77ppm)
・各組成物の特徴的ピーク(化学シフト値)
イソシアヌレート基:148.5ppm付近の強いピーク
LC/MSを用いて、下記に示す測定条件にて4級アンモニウムカチオンの定性及び定量を行った。
・LC 装置:Waters,UPLC
・カラム: Imtakt,Cadenza CD-c18 HT (2mmI.D.×30mm)
・カラム温度:40℃
・流速:0.3mL/min
・移動相A:水(0.1%HCOOH)
移動相B:アセトニトリル(0.1%HCOOH)
・グラジェントTime(min)/A%/B%:0/98/2,5/0/100,10/0/100,10.1/98/2,15/98/2
・注入量:10μL
・MS装置:Waters,Synapt G2
・イオン化:ESI+
・スキャンレンジ:m/z 50~600
各ポリイソシアネート組成物の色度を、ロビボンド自動比色計PFXi-195を用い、ハーゼン色数(APHA)として測定した。測定結果(APHA)を以下の評価基準に基づいて評価した。
○:APHAが20未満
△:APHAが20以上30未満
×:APHAが30以上
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を溶剤として酢酸ブチルに、質量比でポリイソシアネート組成物:酢酸ブチル=1:1となるように混合して、希釈液を調製した。次いで、ポリイソシアネート組成物及び得られた希釈液を、濁度計/色度計(HACH社製、「2100AN」(商品名))を用い、25℃、測定波長860nmで測定した。測定結果から、ポリイソシアネート組成物自体の濁度及び溶剤希釈性を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:0.0以上0.2未満
○:0.2以上0.4未満
△:0.4以上0.6未満
×:0.6以上
まず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として約1g精秤した。次に、試料にニトロベンゼン(内部標準液)を0.03~0.04g加え、精秤した。さらに、試料とニトロベンゼンの混合液に酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりして良く混合し、サンプルを調整した。得られたサンプルを以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、HDI含有量を算出した。算出されたHDI含有量を、以下の評価基準に基づいて評価した。
・装置:SHIMADZU(株)GC-8A
・カラム:信和化工(株)Silicone OV-17
・カラムオーブン温度:120℃
・インジェクション/ディテクター温度:160℃
◎:0.1%以下
○:0.1%超0.15%以下
△:0.15%超0.2%以下
×:0.2%超
乾燥窒素で置換されたグローブボックス内にて、50mLのガラス瓶に、ろ紙(25mm×50mm)を5枚筒状に丸めて入れた。次いで、そこに各ポリイソシアネート組成物を10mLずつ注ぎ、蓋をした。次いで、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵後、ふたを開けた際の臭気を、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:アミン系の臭気をほとんど感じないもの
△:アミン系の臭気が感じられるが、使用上支障をきたすほどではないもの
×:アミン系の臭気が刺激を伴って感じられ、使用上支障をきたすもの
各ポリイソシアネート組成物を50mLのガラス瓶に20mLずつ測りとり、水を張ったデシケータ内にて23℃で保管し、保管中濁りが発生するまでの日数を観察した。濁りが発生するまでの日数から、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:濁ることなく硬化
△:1日目以降に濁りがみられ、その後硬化
×:1日以内で濁りがみられ、その後硬化
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を溶剤として酢酸ブチルに、質量比でポリイソシアネート組成物:酢酸ブチル=1:1となるように混合して、希釈液を調製した。この時使用する酢酸ブチル中には、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が100ppm、ジブチル錫(製品名「ネオスタンU-100」(登録商標)、日東化成社製)が1000ppm添加されているものを使用した。調整された希釈液を50mL瓶に25mL入れ、空間部分は空気として、50℃で2週間の貯蔵安定性試験を行った。2週間後の試験溶液の色度を、430nmの透過率として測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:98%以上
△:94%以上98%未満
×:94%未満
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を100mLガラス瓶に50mL計量し、空気封入して50℃で1か月保管して使用した。次いで、下記配合の塗料組成物を作製した。
・ポリオール(Setalux1767)
・配合比率(NCO/OH=1.05)
・希釈溶剤:酢酸ブチル
・塗料固形分:50質量%
○:透明でくすみが全くない。
△:ややくすみがあり、透明性がやや劣る。
×:明らかにくすみがあり、透明性が劣る。
温度計、撹拌機及び窒素シール管を持つ1L四ツ口ガラスフラスコにHDI 100質量部を計量し、フラスコ中の空気を窒素で置換し、65℃に加温した。次いで、2-エチルヘキサノール(以下、「2-EHOH」と称する場合がある)0.35質量部を添加し、10分間攪拌を行った。次いで、酢酸フェニルトリメチルアンモニウム(以下、「PTMA-C1acid」と略記する場合がある)を含有する5質量%のイソブタノール(以下、「i-BuOH」と略記する場合がある)溶液を、PTMAPA-C1acid量が0.01質量部となるように60分間かけて添加した。反応中は、65±2℃となるように温度調整を行った。目的のNCO%となったところで、反応停止剤としてジブチルリン酸(以下、「DBP」と略記する場合がある)を加え、100℃に昇温した。100℃に到達後、1時間撹拌を続けた。反応液は無色透明の液体であった。この反応液を細孔サイズ1μmのメンブレンフィルターでろ過して、反応残渣を分離した反応液を得た。次いで、得られた反応液を、0.4Torr/160℃の蒸留条件で薄膜蒸留を行った。得られたポリイソシアネート組成物を含む高沸成分の液を0.1Torr/120℃/1時間の処理条件で攪拌しながら加熱し、ついで0.1Torr/150℃の蒸留条件で薄膜蒸留を行い、ポリイソシアネート組成物(P-a1)を得た。得られたポリイソシアネート組成物(P-a1)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を下記表1に示す。
使用したイソシアヌレート化触媒の種類と量、停止剤の種類と量、停止処理時の温度と時間、1回目の薄膜蒸留後の加熱条件を、表1に示す条件に変更し、それ以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物(P-a2~P-a13及びP-b1~P-b7)を得た。得られた各ポリイソシアネート組成物(P-a2~P-a13及びP-b1~P-b7)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を表1及び2に示す。
PTMA-C1acid:酢酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C2acid:プロピオン酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C3acid:酪酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C5acid:カプロン酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C6acid:エナント酸フェニルトリメチルアンモニウム
PTMA-C9acid:カプリン酸フェニルトリメチルアンモニウム
DBDMA-C2acid:プロピオン酸ジベンジルジメチルアンモニウム
BTMA-C2acid:プロピオン酸ベンジルトリメチルアンモニウム
TMA-C9acid:カプリン酸テトラメチルアンモニウム
PTEA-C9acid:カプリン酸フェニルトリエチルアンモニウム
BPDMA-C9acid:カプリン酸ベンジルフェニルジメチルアンモニウム
PTMA+:フェニルトリメチルアンモニウムイオン
PTEA+:フェニルトリエチルアンモニウムイオン
BPDMA+:ベンジルフェニルジメチルアンモニウムイオン
DBDMA+:ジベンジルジメチルアンモニウムイオン
BTMA+:ベンジルトリメチルアンモニウムイオン
PTMA-C9acidを用いた実施例6及び9のポリイソシアネート組成物において、加熱処理時間を1時間未満とすることで、色度がより良好なものとなっており、一方、加熱処理時間を1時間以上とすることで、溶剤希釈品の貯蔵時着色がより良好なものとなっていた。
使用した触媒の種類が異なる実施例1~6、12及び13のポリイソシアネート組成物において、PTMA-C2acidを用いた実施例2のポリイソシアネート組成物は、色度がより良好なものとなっていた。
また、カチオン性化合物量が0.1ppm以上20ppm未満であっても、上記一般式(1)で示されるカチオン性化合物と構造が異なるカチオン性化合物を含む比較例2のポリイソシアネート組成物は、APHAが30以上であり、色度が悪化していた。
さらに、上記一般式(1)で示されるカチオン性化合物と構造が異なり、且つ、合成中の反応液及び製品中において不溶性の塩を形成するカチオン性化合物を含む比較例6及び7のポリイソシアネート組成物は、希釈濁度及び湿気安定性が悪化していた。
Claims (6)
- ポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
イソシアヌレート化触媒として、下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のヒドロキサイド又は有機カルボン酸塩を使用し、停止剤として、ジアルキルリン酸を使用して、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導することを含み、
得られる前記ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、
組成物の総質量に対して0.1ppm以上20ppm以下の下記一般式(1)に示されるカチオン性化合物と、
を含む、製造方法。
- 前記ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ポリイソシアネート組成物における前記一般式(1)に示されるカチオン性化合物のカウンターアニオンが、塩化物イオン、臭化物イオン及びジアルキルリン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、ポリイソシアネート組成物。
- 請求項4に記載のポリイソシアネート組成物を含む、塗料組成物。
- 請求項5に記載の塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
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