JP2020139017A - ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜としたときの耐水性、耐候性及び伸展性に優れるポリイソシアネート組成物を提供する。【解決手段】ポリイソシアネート組成物は、(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートと、(B)2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンから誘導される数平均分子量が250以上4000以下のポリエステル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含有し、ウレタン基のモル数をA、アロファネート基のモル数をB、イソシアヌレート基のモル数をCとした場合のA/(A+B)が0.45以上0.99以下であり、かつ、C/(A+B+C)が0.40以上0.90以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜に関する。
ポリイソシアネート組成物を用いた塗料組成物は、外観、耐候性、耐久性が優れるために、建築、自動車、情報家電用等の塗料として広く用いられている。中でも、自動車や建築のトップコート用途のように、高品質な外観と優れた耐候性及び耐久性とが要求される用途では、緻密な架橋塗膜が形成でき、且つ仕上がり外観が良好である二液型ポリウレタン塗料が高く評価されている。
自動車用途や建築用途等には、上記性能に加えて、さらに、良好な耐水性及び伸展性を持つ塗料組成物が望まれている。従来は、このような塗料組成物を作製する場合、主剤成分として、アクリルポリオールやポリエステルポリオール等のポリオールを、硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する場合がある)等のジイソシアネートと多価アルコールとを原料に用いてイソシアヌレート化した組成物を用いることにより、塗膜に高い硬度を持たせる方法を用いていた。しかし、イソシアヌレート化した組成物は、塗膜を堅くするので柔軟性が低下し、温度変化による塗膜の伸縮に追随できず、塗膜が割れる場合があった。この問題を解決するために、塗膜に伸展性を付与する方法としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートとポリカプロラクトンポリオールとの反応物について開示されている。
イソシアヌレート化した組成物以外に、高官能なポリイソシアネート組成物を作製する別の方法としては、例えば、HDI等のジイソシアネートとアルコールとを原料に用いて、アロファネート化する方法等が挙げられる。アロファネート化反応は、ウレタン基にイソシアネート基を付加反応させる方法であり、アロファネート化反応の原料であるウレタン基が反応により次第に減少していく。そのため、反応が自然に収束し、イソシアヌレート化反応のような高分子量化が起こりにくいので、比較的低粘度なポリイソシアネート組成物が得られる。例えば、特許文献2には、ε−カプロラクトンから誘導されるポリエステル系ポリオールを用いた、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物の製造方法が開示されている。特許文献2には、原料にHDI等のジイソシアネートと、アルコール及びε−カプロラクトンから誘導される数平均分子量が250以上2000以下のポリエステル系ポリオールとを用いた、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物が開示されており、当該ポリイソシアネート組成物を含有する硬化剤及びポリオールを含有する主剤を用いることで、耐候性、耐久性、耐擦り傷性及び乾燥性を付与することができる。
特開昭61−028518号公報 特開2011−105886号公報
特許文献1に開示された方法では、得られる塗膜において、耐水性及び耐候性が不足する場合がある。
また、特許文献2に開示された組成物では、得られる塗膜において、耐水性に及ぼす影響については検討されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、塗膜としたときの耐水性、耐候性及び伸展性に優れるポリイソシアネート組成物、並びに、前記ポリイソシアネート組成物を用いた塗料組成物及び塗膜を提供する。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のジイソシアネートと、特定の化合物から誘導され、数平均分子量が250以上4000以下であるポリエステル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基を特定の比率で有するポリイソシアネート組成物を用いることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係るポリイソシアネート組成物は、(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートと、(B)2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンから誘導される数平均分子量が250以上4000以下のポリエステル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含有し、ウレタン基のモル数をA、アロファネート基のモル数をB、イソシアヌレート基のモル数をCとした場合のA/(A+B)が0.45以上0.99以下であり、かつ、C/(A+B+C)が0.40以上0.90以下である。
本発明の第2態様に係る塗料組成物は、水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリオールと、上記第1態様に係るポリイソシアネート組成物と、を含む。
上記第2態様に係る塗料組成物は、金属又はプラスチックの塗装に用いられてもよい。
上記第2態様に係る塗料組成物は、建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられてもよい。
本発明の第3態様に係る塗膜は、上記第2態様に係る塗料組成物を硬化させてなる。
上記態様のポリイソシアネート組成物によれば、塗膜としたときの耐水性、耐候性及び伸展性に優れるポリイソシアネート組成物を提供することができる。上記態様の塗料組成物は、前記ポリイソシアネート組成物を含み、耐水性、耐候性及び伸展性に優れる塗膜が得られる。上記態様の塗膜は、前記塗料組成物を硬化させてなり、耐水性、耐候性及び伸展性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、一分子中に2つ以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物を意味する。
また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基(−NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
また、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は、メタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
≪ポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、(A)ジイソシアネートと、(B)ポリエステル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含む。すなわち、当該ポリイソシアネートは、(A)ジイソシアネートと(B)ポリエステル系ポリオールとの反応物である。前記(A)ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。前記(B)ポリエステル系ポリオールは、2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンから誘導されたもの、すなわち、2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンの反応物であり、その数平均分子量が250以上4000以下である。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含む。本実施形態のポリイソシアネート組成物において、これらの官能基全てが1つのポリイソシアネート中に含まれていてもよく、あるいは、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、これらの官能基のうち少なくとも1つを含むポリイソシアネートの混合物であってもよい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレタン基のモル数をA、アロファネート基のモル数をB、イソシアヌレート基のモル数をCとした場合に、A/(A+B)は、0.45以上0.99以下であり、0.50以上0.98以下が好ましく、0.57以上0.97以下がより好ましく、0.70以上0.97以下がさらに好ましく、0.80以上0.96以下が特に好ましい。A/(A+B)が上記下限値以上であることにより、塗膜の耐水性及び伸展性をより向上させることができる。
また、C/(A+B+C)は、0.40以上0.90以下であり、0.40以上0.85以下が好ましく、0.50以上0.85以下がより好ましく、0.60以上0.85以下がさらに好ましく、0.72以上0.85以下が特に好ましい。C/(A+B+C)が上記下限値以上であることにより、耐候性及び耐水性をより向上させることができ、一方、上記上限値以下であることにより、塗膜の伸展性をより向上させることができる。
なお、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基の各モル比率は、後述する実施例に記載のとおり、13C−NMR測定により求めることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成を有することで、塗膜としたときの耐水性、耐候性及び伸展性に優れる。
次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の各構成成分について、以下に詳細を説明する。
<(A)ジイソシアネート>
(A)ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。
脂肪族ジイソシアネートとは分子中に飽和脂肪族基を有する化合物である。一方、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有する化合物である。脂肪族ジイソシアネートを用いると、得られるポリイソシアネート組成物が低粘度となるので、好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;以下、「IPDI」と略記する場合がある)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられる。
これらジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、(A)ジイソシアネートとしては、工業的に入手し易いため、HDI、IPDI、水添キシリレンジイソシアネート又は水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、耐候性及び塗膜の柔軟性が非常に優れていることから、HDIが特に好ましい。
以下、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートを総称してジイソシアネートという場合がある。
<(B)ポリエステル系ポリオール>
(B)ポリエステル系ポリオールは、2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンから誘導されたもの、すなわち、2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンの反応物である。ε−カプロラクトンは、環状エステル及びラクトンの1種であり、化学式:(CHCOで表される、七員環化合物である。ε−カプロラクトンを開環重合させることで、ポリエステル系重合体であるポリカプロラクトンが得られる。
2価以上3価以下のアルコールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル、2−メチル−1,3プロパンジオール、2,3,5−トリメチルペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−プチレンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,1,7−トリメチロールヘプタン、1,2,7−トリメチロールヘプタン等が挙げられる。これら2価以上3価以下のアルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)ポリエステル系ポリオールの数平均分子量の上限は、4000であり、3000が好ましく、2500がより好ましい。一方、(B)ポリエステル系ポリオールの数平均分子量の下限値は、250である。
すなわち、(B)ポリエステル系ポリオールの数平均分子量は、250以上4000以下であり、250以上3000以下が好ましく、250以上2500以下がより好ましい。
(B)ポリエステル系ポリオールの数平均分子量が上記範囲であることで、塗膜としたときの伸展性がより十分なものとなり、得られる塗液の粘度の過度な上昇をより効果的に抑制することができる。
なお、ポリエステル系ポリオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略記する場合がある)測定により得ることができる。
(B)ポリエステル系ポリオールは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<ポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造において、原料として、少なくともHDIを用いることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、例えば、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応及びウレタン化反応は、それぞれ逐次又はそのいくつかを並行して行うことができ、これらの反応を過剰のジイソシアネートモノマー及びポリエステル系ポリオール存在下で行い、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去することにより、得られる。また、上記の3反応を別々に実施させたものを混合することによってもポリイソシアネート組成物は得られる。
さらに、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法では、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール等も併用することができる。ここで、アルコールを用いる場合には、上述したように、本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるA/(A+B)及びC/(A+B+C)が上記範囲となるように用いることが好ましい。
或いは、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、例えば、ジイソシアネートを、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応をさせた後に、得られた反応物と、ポリエステル系ポリオールと、をウレタン化反応させることで得られる。このとき、ポリエステル系ポリオールの水酸基に対する反応物中のイソシアネート基のモル比は、2/1以上40/1以下が好ましく、3/1以上30/1以下がより好ましく、4/1以上20/1以下がさらに好ましい。
次いで、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応及びウレタン化反応の各反応について、以下に詳細を説明する。
[イソシアヌレート化反応]
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は、通常、イソシアヌレート化反応触媒を用いる。
イソシアヌレート化反応触媒としては、塩基性を有するものが好ましい。このようなイソシアヌレート化反応触媒としては、例えば、以下の1)〜7)に示すもの等が挙げられる。
1)テトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩;
2)ヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩;
3)アルキルカルボン酸の金属塩;
4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート;
5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;
6)マンニッヒ塩基類;
7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用
テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
中でも、イソシアヌレート化反応触媒としては、触媒効率の観点から、上記1)、2)、3)、4)又は5)が好ましく、1)の有機弱酸塩がより好ましい。
イソシアヌレート化反応触媒の添加量は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10ppm以上1000ppm以下が好ましく、10ppm以上500ppm以下がより好ましく、10ppm以上100ppm以下がさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応温度の下限値は、50℃が好ましく、54℃がより好ましく、57℃がさらに好ましく、60℃が特に好ましい。一方、イソシアヌレート化反応温度の上限値は、120℃が好ましく、100℃がより好ましく、90℃がさらに好ましく、80℃が特に好ましい。
すなわち、イソシアヌレート化反応温度は、50℃以上120℃以下が好ましく、54℃以上100℃以下がより好ましく、57℃以上90℃以下がさらに好ましく、60℃以上80℃以下が特に好ましい。
イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の特性変化がより効果的に防止できる。
[アロファネート化反応]
アロファネート基含有ポリイソシアネートは、ジイソシアネートにアルコールを添加し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。用いられるアルコールとは、分子内にエーテル基や、エステル基、カルボニル基を含んでもよいが、飽和炭化水素基と水酸基とからなるモノアルコールが好ましく、分岐を有しているモノアルコールがより好ましい。このようなモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。中でも、モノアルコールとしては、低極性有機溶剤への溶解性が特に優れているため、イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、1−へプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール又は1,3,5−トリメチルシクロヘキサノールが好ましい。また、粘度がより低くなるため、1−プロパノール、イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−ヘキシルアルコール又は3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールが好ましい。また、低極性有機溶剤への溶解性が非常に優れているため、イソブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール又は3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールがより好ましい。
アルコールの添加量は、以下に限定されないが、アルコールの水酸基に対するジイソシアネートのイソシアネート基のモル比が10/1以上1000/1以下となるような添加量が好ましく、100/1以上1000/1以下となるような添加量がより好ましい。アルコールの水酸基に対するジイソシアネートのイソシアネート基のモル比が上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基平均数をより適切な数確保することができる。
アロファネート化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のアロファネート化反応触媒の失活剤を添加して、アロファネート化反応を停止することができる。
上記アロファネート化反応触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートに対して、質量比で、10ppm以上10000ppm以下が好ましく、10ppm以上1000ppm以下がより好ましく、10ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
アロファネート化の反応温度は、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上155℃以下がより好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましく、90℃以上145℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることにより、得られるポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に防止できる。
アロファネート化の反応時間は0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
アロファネート化の反応時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とすることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
また、上記イソシアヌレート化反応触媒をアロファネート化反応触媒として用いることができる。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートも同時に生成させる。中でも、経済面から生産性を向上できる観点から、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用い、アロファネート化反応とイソシアヌレート化反応とを行うことが好ましい。
[ウレタン化反応]
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法において、ウレタン化反応は、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応の後に行うことが好ましく、具体的には、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応をそれぞれ逐次又は並行して行い、イソシアヌレート基及びアロファネート基を含有するポリイソシアネートを得た後、得られた当該ポリイソシアネートと、ポリエステル系ポリオールとをウレタン化反応させることが好ましい。
ウレタン化反応温度の下限値は、80℃が好ましく、100℃がより好ましい。一方、反応温度の上限値は、150℃が好ましく、130℃がより好ましい。
すなわち、ウレタン化反応温度は80℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上130℃以下がより好ましい。
上記イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応及びウレタン化反応の重合反応が所望の重合度に達した時点で、重合反応を停止させる。重合反応の停止は、以下に限定されないが、例えば、酸性化合物を反応液に添加することで、重合反応触媒を中和させる、又は、熱分解、化学分解等により不活性化させることで達成できる。酸性化合物としては、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等が挙げられる。
反応停止後、必要があれば、濾過を行う。
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のジイソシアネートモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。このような後処理を行うことで、ポリイソシアネート組成物に含有されるジイソシアネートモノマー濃度を1質量%以下に制御することが好ましい。
ジイソシアネートモノマー濃度は、例えばジイソシアネートモノマーがHDIである場合、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
<ポリイソシアネート組成物の物性>
[粘度]
ポリイソシアネート組成物を酢酸ブチルで希釈し、固形分64質量%に調整した際の25℃における粘度は、特に制限されないが、有機溶剤量や官能基数の面から、100mPa・s以上2000mPa・s以下が好ましく、150mPa・s以上1500mPa・s以下がより好ましく、300mPa・s以上1000mPa・s以下がさらに好ましい。粘度が上記下限値以上であれば、官能基数をより十分多くすることができ、一方、上記上限値以下であれば有機溶剤量をより少なくできる。
粘度は、後述する実施例に記載のとおり、E型粘度計(株式会社トキメック社)を用いて25℃で測定された値を採用できる。
[数平均官能基数(fn)]
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の数平均官能基数(以下、「fn」と略記する場合がある)は、特に制限されないが、硬化性及び粘度の面から3.0以上10.0以下が好ましく、3.2以上9.0以下がより好ましく、3.4以上8.0以下がさらに好ましく、3.6以上7.0以下が特に好ましい。fnが上記下限値以上であれば、より充分な硬化性が得られ、上記上限値以下であれば、粘度がより高くなりすぎない。
[イソシアネート基含有率(NCO%)]
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO%)は、当該ポリイソシアネート組成物を酢酸ブチルで希釈し、固形分64質量%に調整した場合において、塗膜にした際の性能の面から、3.0%以上20.0%以下が好ましく、3.5%以上17.0%以下がより好ましく、4.0%以上14.0%以下がさらに好ましく、4.5%以上11.0%以下が特に好ましい。NCO%が上記下限値以上であれば塗膜にした際の性能はより良好であり、一方、上記上限値以下であれば架橋密度がより高くなりすぎず、より割れにくい塗膜を形成する。
NCO%は、後述する実施例に記載のとおり、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。
<使用用途>
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料、インキ、接着剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック材料の原料として使用することができる。
≪塗料組成物≫
本実施形態の塗料組成物は、主剤成分としてポリオールと、硬化剤成分として上記ポリイソシアネート組成物と、を含む。
本実施形態の塗料組成物は、主剤成分として、上記ポリオールに加えて、その他の主剤成分を含んでもよいが、本実施形態の塗料組成物は、主剤成分として、上記ポリオールのみを含むことが好ましい。
また、本実施形態の塗料組成物は、硬化剤成分として、上記ポリイソシアネート組成物に加えて、その他の硬化剤成分を含んでもよいが、本実施形態の塗料組成物は、硬化剤成分として、上記ポリイソシアネート組成物のみを含むことが好ましい。
前記ポリオールの水酸基価の下限値は、5mgKOH/gであり、10mgKOH/gが好ましく、15mgKOH/gがより好ましく、20mgKOH/gがさらに好ましい。一方、前記ポリオールの水酸基価の上限値は、200mgKOH/gであり、160mgKOH/gが好ましく、120mgKOH/gがより好ましく、80mgKOH/gがさらに好ましい。
すなわち、前記ポリオールの水酸基価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、10mgKOH/g以上160mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上120mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下がさらに好ましい。
水酸基価が上記範囲内であることで、より柔軟で、かつより強靱な塗膜を得ることができる。
<ポリオール>
ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィン系ポリオール類、含ケイ素系ポリオール類、含フッ素ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、アルキドポリオール類等が挙げられる。これらポリオールを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等を、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート又はこれらから得られるポリイソシアネートで変成した、ウレタン変成アクリルポリオール、ウレタン変成ポリエステルポリオール又はウレタン変成ポリエーテルポリオール等を用いることもできる。
ポリオールは公知の技術で製造することができるが、以下、代表的なアクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類の製造方法について述べる。
[アクリルポリオール類]
アクリルポリオール類は、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
前記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下の(i)〜(vi)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)トリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
前記トリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
(iv)ポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸との付加物。
前記一塩基酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等が挙げられる。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類を開環重合させることにより得られる付加物。
前記ラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
前記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下の(i)〜(v)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;
(iii)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;
(iv)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類;
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー
アクリルポリオール類の具体的な製造方法としては、例えば、上記のモノマーを、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオール類を得ることができる。
本実施形態の塗料組成物が水分量の多い溶剤を含む場合には、上記のモノマーを溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分を、アミンやアンモニアで中和することによって、アクリルポリオール類に水溶性又は水分散性を付与することができる。
[ポリエステルポリオール類]
ポリエステルポリオール類は、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類の具体的な製造方法としては、例えば、上記の成分を混合し、約160℃以上220℃以下程度で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。又は、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオール類として用いることができる。
[ポリエーテルポリオール類]
ポリエーテルポリオール類は、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の水酸化物、強塩基性触媒、複合金属シアン化合物錯体等が挙げられる。強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる、複合金属シアン化合物錯体としては、例えば、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)〜(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等;
(ii)エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物;
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類;
(vi)スタキオース等の四糖類
<NCO/OH>
本実施形態の塗料組成物において、主剤に対する硬化剤の混合比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)で表すことができる。NCO/OHの下限値は、0.1が好ましく、0.3がより好ましく、0.4がさらに好ましく、0.5が特に好ましい。一方、NCO/OHの上限値は、5.0が好ましく、4.0がより好ましく、3.0がさらに好ましく、2.0が特に好ましい。
すなわち、NCO/OHは0.1以上5.0以下が好ましく、0.3以上4.0以下がより好ましく、0.4以上3.0以下がさらに好ましく、0.5以上2.0以下が特に好ましい。
NCO/OHが上記範囲内であることで、より強靭な塗膜を形成することができる。
<各種添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリオール及び上記ポリイソシアネート組成物に加えて、目的及び用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤、塗膜表面親水化剤、硬化促進用の触媒、乾燥性改良剤、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を含んでもよい。
着色顔料としては、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。無機顔料としては、例えば、耐候性のよいカーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエロー等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、具体的な市販品として、例えば、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(商品名、全てアデカアーガス化学社製)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(商品名、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS765(商品名、三共ライフテック株式会社製)等が挙げられる。
つや消し剤としては、例えば、超微粉合成シリカ等が挙げられ、つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成できる。
塗膜表面親水剤としては、シリケート化合物が好ましい。シリケート化合物を含有することによって、本実施形態の塗料組成物を用いて塗膜を作製した場合に、塗膜表面を親水性にし、耐雨筋汚染性が発現する。シリケート化合物は、水酸基と反応するため、予め混合する場合には、硬化剤成分であるポリイソシアネート組成物に添加するのが好ましい。あるいは、主剤成分であるポリオール及び硬化剤成分であるポリイソシアネート組成物を混合する際に、同時に混合してもよい。
シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、及びこれらの縮合物等が挙げられる。中でも、シリケート化合物としては、塗膜を作製した場合、塗膜表面が親水性になり易いことから、テトラメトキシシランの縮合物又はテトラエトキシシランの縮合物が好ましい。
硬化促進用の触媒としては、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン等が挙げられる。
乾燥性改良剤としては、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等が挙げられる。
[レベリング剤]
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
[可塑剤]
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイル等が挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
燐酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。トリメリット酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<塗料組成物の製造方法>
本実施形態の塗料組成物は、溶剤塗料組成物で有用であり、以下に示す製造方法により得られる。
本実施形態の塗料組成物が溶剤ベースの塗料組成物である場合には、例えば、まず、主剤としてポリオール又はその溶剤希釈物に、必要に応じて、各種添加剤を加えたものに、上記ポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加する。次いで、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
また、上記ポリオールを主成分とする主剤成分と、上記ポリイソシアネート組成物を主成分とする硬化剤成分と、上記各種添加剤の混合順序は特に限定されず、例えば、以下の順番で混合することができる。
1)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において硬化剤成分を混合する;
2)塗装現場において主剤成分及び硬化剤成分を混合した後に、各種添加剤を混合する;
3)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において各種添加剤を予め混合した硬化剤成分を混合する
<使用用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法による塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対する塗料としても有用であり、金属又はプラスチックに対する塗料として特に好適である。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、情報家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に好適であり、建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として特に好適である。
≪塗膜≫
本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を硬化させてなるものであり、常に、安定した品質を発現し、且つ、耐水性、耐候性及び伸展性に優れる。
<塗膜の製造方法>
本実施形態の塗膜の製造方法は、上記塗料組成物を硬化させる工程を含む方法である。
本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法による塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の塗装方法を用いて、被塗物上に塗装した後に硬化させることで製造することができる。
被塗物としては、上記「<塗料組成物の使用用途>」において例示された素材と同様のものが挙げられる。
以下に、具体的な実施例及び比較例を示して本実施形態をより詳しく説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<ポリイソシアネート及びポリイソシアネート組成物の物性>
[物性1]A/(A+B)及びC(A+B+C)
得られたポリイソシアネート組成物について、Bruker社製Biospin Avance600(商品名)を用いた、13C−NMRの測定を行った。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
(測定条件)
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
CryoProbe(登録商標)
CPDUL
600S3−C/H−D−05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除して、ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基の各モル比率を求めた。次いで、ウレタン基のモル数をA、アロファネート基のモル数をB、イソシアヌレート基のモル数をCとした場合のA/(A+B)及びC/(A+B+C)を算出した。
イソシアヌレート基:(148.6ppm付近の積分値)÷3
ウレタン基:(156.5ppm付近の積分値)÷1
アロファネート基:(154ppm付近の積分値)÷1
[物性2]25℃における粘度
粘度はE型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m. (128mPa・s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m. (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m. (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m. (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m. (2560mPa・s以上5120mPa・s未満の場合)
1r.p.m. (5120mPa・s以上10240mPa・s未満の場合)
0.5r.p.m. (10240mPa・s以上20480mPa・s未満の場合)
[物性3]イソシアネート含有率(NCO%)
NCO%は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
[物性4]HDIモノマー濃度
下記に示す測定条件のGPC測定により、ポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。次いで、未反応のHDIモノマー相当の分子量(168)のピーク面積%をHDIモノマー濃度として算出した。
<塗膜の評価方法>
各ポリイソシアネート組成物を用いて、以下のとおり塗料組成物を製造し、評価を実施した。
[製造例1]塗料組成物の製造
まず、アクリルポリオール(Allnex社製、「Setalux1903」(製品名)、樹脂固形分濃度75%、水酸基価150mgKOH/樹脂g)と各ポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基との当量比率が1:1になるように配合した。その後、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、各塗料組成物を得た。
[評価1]耐水性
各塗料組成物を乾燥膜厚が30μmになるようにガラス板に塗装し、室温で15分放置後、60℃のオーブン内に120分硬化させて各塗膜を得た。室温で冷却後、この塗膜を60℃、湿度87%の条件で、72時間保持した。その後、室温で、60分放置し、試験後の塗膜を目視で観察した。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性を評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:白化、ブツ等が観察されなかったもの
〇:1又は2か所白化、ブツが観察されたもの
×:3か所以上白化、ブツが観察されたもの
[評価2]耐候性
各塗料組成物を白エナメル塗板に乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、20℃、湿度63%の条件で、1週間塗膜養生を行った後、その塗板について耐候性を評価した。耐候性評価は、デューパネルウェザーメーター(スガ試験機製)を用いた。評価条件は、JIS D0205に従い、照射照度30W/m、パネル温度60℃、照射時間及び結露時間は4時間ごとのサイクル運転で行った。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性を評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が80%以上のもの
〇:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が70%以上80%未満のもの
×:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が70%未満のもの
[評価3]伸展性(塗膜伸度)
各塗料組成物をアプリケーターにて乾燥後膜厚50μmとなるように塗布した。塗布後、23℃、湿度50%の条件で、7日間硬化させて各塗膜を得た。得られた塗膜を用いて引張り試験を行った。塗膜の伸度は、温度23℃、湿度50%の条件で、引張り試験器(島津製作所製、AGS 500G)を用いて、引張り速度20mm/分、掴み間隔20mmで測定した。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性を評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:塗膜伸度が150%以上
〇:塗膜伸度が100%以上150%未満
×:塗膜伸度が0%以上100%未満
<ポリイソシアネートの合成>
[合成例1]ポリイソシアネートA−1の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.012となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液を濾過後、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、ポリイソシアネートA−1を得た。得られたポリイソシアネートA−1は、粘度1300mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
[合成例2]ポリイソシアネートA−2の合成
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと2−エチルヘキサノール:30gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.012となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−2を得た。得られたポリイソシアネートA−2は、粘度500mPa・s(25℃)、NCO含有率20.6質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
[合成例3]ポリイソシアネートA−3の合成
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと2−エチルヘキサノール:78gとを仕込み、撹拌下130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として、2−エチルヘキサン酸ジルコニルの20%ミネラルスピリット溶液:0.35gを加えた。60分後、反応液の屈折率の上昇が0.0055となった時点で、ピロリン酸の固形分39%エタノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」):0.47gを加え、反応を停止した。次いで、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA−3を得た。得られたポリイソシアネートA−3は透明の液体であり、粘度100mPa.s、NCO含有率17.4%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
<ポリイソシアネート組成物の製造>
[実施例1]ポリイソシアネート組成物P−a1の製造
合成例1と同様の装置に、合成例1で得られたポリイソシアネートA−1:100g、ポリエステルポリオールB−1(DIC株式会社製、「ポリライトOD−X−2722」(商品名)、分子量2000):60g、及び、リン酸2−エチルヘキシルエステル(城北化学工業株式会社製、商品名「JP−508」):0.01gを加えた。次いで、混合液について撹拌下110℃で4時間ウレタン化反応を行った後に、希釈溶剤として酢酸n−ブチル:90gを添加し、ポリイソシアネート組成物P−a1を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−a1は、透明の液体であり、粘度650mPa・s、NCO含有率8.3%であった。また、得られたポリイソシアネート組成物P−a1を用いて、上記に記載の方法により、耐水性、耐候性及び塗膜伸度を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2〜7及び比較例1〜4、6]ポリイソシアネート組成物P−a2〜P−a7及びP−b1〜P−b4、P−b6の製造
表1に記載の配合とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物P−a2〜P−a7及びP−b1〜P−b4、P−b6を得た。得られた各ポリイソシアネート組成物を用いて、上記に記載の方法により、耐水性、耐候性及び塗膜伸度を評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、「ポリエステルポリオールB−2」とは以下の市販品を示す。
ポリエステルポリオールB−2:DIC株式会社製、「ポリライトOD−X−2542C(商品名)、分子量850
[比較例5]ポリイソシアネート組成物P−b5の製造
合成例1と同様の装置に、HDI:562gとポリエステルポリオールB−3(ポリカプロラクトンポリオール、株式会社ダイセル製、「プラクセル305」(商品名)、分子量550):115gとを仕込み、撹拌下100℃で1時間ウレタン化反応を行った。次いで、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去した後に、希釈溶剤として酢酸n−ブチル:90gを添加し、ポリイソシアネート組成物P−b5を得た(組成(単位g):HDI/ポリエステルポリオールB−3/酢酸n−ブチル=45/115/90)。得られたポリイソシアネート組成物P−b5は透明の液体であり、粘度100mPa・s、NCO含有率7.4%であった。また、得られたポリイソシアネート組成物P−b5を用いて、上記に記載の方法により、耐水性、耐候性及び塗膜伸度を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020139017
表1から、ポリイソシアネート組成物P−a1〜P−a7(実施例1〜7)を用いることで、耐水性、耐候性及び伸展性(塗膜伸度)に優れる塗膜が得られることが確認された。
また、ポリイソシアネート組成物P−a1〜P−a7(実施例1〜7)において、A/(A+B)が0.57以上である場合に、塗膜としたときの耐水性により優れる傾向が見られ、A/(A+B)が0.93以上である場合に、塗膜としたときの耐水性に加えて、伸展性により優れる傾向が見られ、C/(A+B+C)が0.51以上である場合に、塗膜としたときの耐水性により優れる傾向が見られ、C/(A+B+C)が0.73以上である場合に、塗膜としたときの耐水性に加えて、耐候性により優れる傾向が見られた。
一方、ポリイソシアネート組成物P−b1〜P−b6(比較例1〜6)を用いた場合では、耐水性、耐候性及び伸展性(塗膜伸度)の全てに優れる塗膜は得られなかった。
本実施形態のポリイソシアネート組成物によれば、塗膜としたときの耐水性、耐候性及び伸展性に優れるポリイソシアネート組成物を提供することができる。本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料、インキ、接着剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック材料の原料として使用することができる。本実施形態の塗料組成物は、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、情報家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に好適である。

Claims (5)

  1. (A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートと、(B)2価以上3価以下のアルコール及びε−カプロラクトンから誘導される数平均分子量が250以上4000以下のポリエステル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、
    ウレタン基、アロファネート基及びイソシアヌレート基を含有し、
    ウレタン基のモル数をA、アロファネート基のモル数をB、イソシアヌレート基のモル数をCとした場合のA/(A+B)が0.45以上0.99以下であり、かつ、C/(A+B+C)が0.40以上0.90以下である、ポリイソシアネート組成物。
  2. 水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリオールと、
    請求項1に記載のポリイソシアネート組成物と、
    を含む、塗料組成物。
  3. 金属又はプラスチックの塗装に用いられる、請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられる、請求項2又は3に記載の塗料組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
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