JP7335140B2 - ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に開示された組成物では、得られる塗膜において、耐水性及び密着性に及ぼす影響については検討されていない。
本発明の第1態様に係るポリイソシアネート組成物は、(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートと、(B)数平均分子量が400以上10000以下のオキシプロピレン基を有するポリエーテル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、アロファネート基、イソシアヌレート基及びウレタン基を含有し、アロファネート基のモル数をA、イソシアヌレート基のモル数をB、ウレタン基のモル数をCとした場合のA/Bが0.10以上2.50以下であり、且つ、C/Bが0.06以上5.50以下であり、イソシアネート平均官能基数が2.6以上10.0以下である。
上記第2態様に係る塗料組成物は、金属又はプラスチックの塗装に用いられてもよい。
上記第2態様に係る塗料組成物は、建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられてもよい。
また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
また、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は、メタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、(A)ジイソシアネートと、(B)ポリエーテル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含む。すなわち、当該ポリイソシアネートは、(A)ジイソシアネートと(B)ポリエーテル系ポリオールとの反応物である。前記(A)ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。前記(B)ポリエーテル系ポリオールは、オキシプロピレン基を有するポリエーテルポリオールであり、その数平均分子量が400以上10000以下である。
A/Bが上記下限値以上であることにより、塗膜としたときの密着性をより向上させることができ、一方、上記上限値以下であることにより、塗膜としたときの耐候性をより向上させることができる。
C/Bが上記下限値以上であることにより、塗膜としたときの屈曲性をより向上させることができる。
イソシアネート平均官能基数が上記下限値以上であることにより、塗膜としたときの耐水性をより向上させることができる。一方、上記上限値以下であることにより、粘度が上昇しすぎることをより効果的に抑制することができる。
次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の各構成成分について、以下に詳細を説明する。
(A)ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。
脂肪族ジイソシアネートとは分子中に飽和脂肪族基を有する化合物である。一方、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有する化合物である。脂肪族ジイソシアネートを用いると、得られるポリイソシアネート組成物が低粘度となるので、好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;以下、「IPDI」と略記する場合がある)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられる。
これらジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、(A)ジイソシアネートとしては、工業的に入手し易いため、HDI、IPDI、水添キシリレンジイソシアネート又は水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、耐候性及び塗膜の柔軟性が非常に優れていることから、HDIが特に好ましい。
以下、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートを総称してジイソシアネートという場合がある。
(B)ポリエーテル系ポリオールは、数平均分子量が400以上10000以下であり、オキシプロピレン基を有するポリエーテルポリオールである。ここでいう、オキシプロピレン基を有するポリエーテルポリオールとは、分子鎖の中に、オキシプロピレン基を有するポリエーテルポリオールである。この場合、オキシアルキレン繰り返し単位に、その他のオキシアルキレン基、具体的にはオキシエチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシシクロヘキシル基又はオキシスチレン基等を含有していてもよい。
すなわち、(B)ポリエーテル系ポリオールの数平均分子量は、400以上10000以下であり、450以上7000以下が好ましく、500以上5000以下がより好ましく、500以上3500以下がさらに好ましい。
(B)ポリエーテル系ポリオールの数平均分子量が上記範囲内であることで、塗膜としたときの屈曲性がより十分なものとなり、且つ、塗膜の硬化性もより十分となる。
なお、ポリエーテル系ポリオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略記する場合がある)測定により得ることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造において、原料として、少なくともHDIを用いることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、例えば、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応及びウレタン化反応は、それぞれ逐次又はそのいくつかを並行して行うことができ、これらの反応を過剰のジイソシアネートモノマー及びポリエーテル系ポリオール存在下で行い、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去することにより、得られる。また、上記の3反応を別々に実施させたものを混合することによってもポリイソシアネート組成物は得られる。
さらに、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法では、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール等も併用することができる。ここで、アルコールを用いる場合には、上述したように、本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるA/B及びC/Bが上記範囲となるように用いることが好ましい。
或いは、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、例えば、ジイソシアネートを、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応をさせた後に、得られた反応物と、ポリエーテル系ポリオールと、をウレタン化反応させることで得られる。
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は、通常、イソシアヌレート化反応触媒を用いる。
イソシアヌレート化反応触媒としては、塩基性を有するものが好ましい。このようなイソシアヌレート化反応触媒としては、例えば、以下の1)~7)に示すもの等が挙げられる。
1)テトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩;
2)ヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩;
3)アルキルカルボン酸の金属塩;
4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート;
5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;
6)マンニッヒ塩基類;
7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用
有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
イソシアヌレート化反応温度の下限値は、50℃が好ましく、54℃がより好ましく、57℃がさらに好ましく、60℃が特に好ましい。一方、イソシアヌレート化反応温度の上限値は、120℃が好ましく、100℃がより好ましく、90℃がさらに好ましく、80℃が特に好ましい。
すなわち、イソシアヌレート化反応温度は、50℃以上120℃以下が好ましく、54℃以上100℃以下がより好ましく、57℃以上90℃以下がさらに好ましく、60℃以上80℃以下が特に好ましい。
イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の特性変化がより効果的に防止できる。
アロファネート基含有ポリイソシアネートは、ジイソシアネートにアルコールを添加し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。用いられるアルコールとは、分子内にエーテル基や、エステル基、カルボニル基を含んでもよいが、飽和炭化水素基と水酸基とからなるモノアルコールが好ましく、分岐を有しているモノアルコールがより好ましい。このようなモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、イソアミルアルコール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。中でも、モノアルコールとしては、低極性有機溶剤への溶解性が特に優れているため、イソブタノール、1-ブタノール、イソアミルアルコール、1-ヘキサノール、1-へプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール又は1,3,5-トリメチルシクロヘキサノールが好ましい。また、粘度がより低くなるため、1-プロパノール、イソブタノール、1-ブタノール、イソアミルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-ヘキシルアルコール又は3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノールが好ましい。また、低極性有機溶剤への溶解性が非常に優れているため、イソブタノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール又は3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノールがより好ましい。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。
アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることにより、得られるポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に防止できる。
アロファネート化の反応時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とすることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法において、ウレタン化反応は、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応の後に行うことが好ましく、具体的には、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応をそれぞれ逐次又は並行して行い、イソシアヌレート基及びアロファネート基を含有するポリイソシアネートを得た後、得られた当該ポリイソシアネートと、ポリエーテル系ポリオールとをウレタン化反応させることが好ましい。
すなわち、ウレタン化反応温度は80℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上130℃以下がより好ましい。
反応停止後、必要があれば、濾過を行う。
ジイソシアネートモノマー濃度は、例えばジイソシアネートモノマーがHDIである場合、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
[粘度]
ポリイソシアネート組成物を酢酸ブチルで希釈し、固形分75質量%に調整した際の25℃における粘度は、特に制限されないが、有機溶剤量や官能基数の面から、100mPa・s以上5000mPa・s以下が好ましく、120mPa・s以上4500mPa・s以下がより好ましく、130mPa・s以上4000mPa・s以下がさらに好ましい。粘度が上記下限値以上であれば、官能基数をより十分多くすることができ、一方、上記上限値以下であれば有機溶剤量をより少なくできる。
粘度は、後述する実施例に記載のとおり、E型粘度計(株式会社トキメック社製)を用いて25℃で測定された値を採用できる。
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO%)は、当該ポリイソシアネート組成物を酢酸ブチルで希釈し、固形分75質量%に調整した場合において、塗膜にした際の性能の面から、3.0質量%以上20.0質量%以下が好ましく、3.3質量%以上19.0質量%以下がより好ましく、3.6質量%以上18.0質量%以下がさらに好ましい。NCO%が上記下限値以上であれば塗膜にした際の性能はより良好であり、一方、上記上限値以下であれば架橋密度がより高くなりすぎず、より割れにくい塗膜を形成する。
NCO%は、後述する実施例に記載のとおり、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料、インキ、接着剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック材料の原料として使用することができる。
本実施形態の塗料組成物は、主剤成分としてポリオールと、硬化剤成分として上記ポリイソシアネート組成物と、を含む。
本実施形態の塗料組成物は、主剤成分として、上記ポリオールに加えて、その他の主剤成分を含んでもよいが、本実施形態の塗料組成物は、主剤成分として、上記ポリオールのみを含むことが好ましい。
また、本実施形態の塗料組成物は、硬化剤成分として、上記ポリイソシアネート組成物に加えて、その他の硬化剤成分を含んでもよいが、本実施形態の塗料組成物は、硬化剤成分として、上記ポリイソシアネート組成物のみを含むことが好ましい。
すなわち、前記ポリオールの水酸基価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、10mgKOH/g以上160mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上120mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下がさらに好ましい。
水酸基価が上記範囲内であることで、より柔軟で、かつより強靱な塗膜を得ることができる。
ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィン系ポリオール類、含ケイ素系ポリオール類、含フッ素ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、アルキドポリオール類等が挙げられる。これらポリオールを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等を、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート又はこれらから得られるポリイソシアネートで変成した、ウレタン変成アクリルポリオール、ウレタン変成ポリエステルポリオール又はウレタン変成ポリエーテルポリオール等を用いることもできる。
アクリルポリオール類は、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)トリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
前記トリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
(iv)ポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸との付加物。
前記一塩基酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸等が挙げられる。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類を開環重合させることにより得られる付加物。
前記ラクトン類としては、例えば、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;
(iii)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;
(iv)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類;
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー
ポリエステルポリオール類は、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類は、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の水酸化物、強塩基性触媒、複合金属シアン化合物錯体等が挙げられる。強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる、複合金属シアン化合物錯体としては、例えば、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等;
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物;
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類;
(vi)スタキオース等の四糖類
本実施形態の塗料組成物において、主剤に対する硬化剤の混合比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)で表すことができる。NCO/OHの下限値は、0.1が好ましく、0.3がより好ましく、0.4がさらに好ましく、0.5が特に好ましい。一方、NCO/OHの上限値は、5.0が好ましく、4.0がより好ましく、3.0がさらに好ましく、2.0が特に好ましい。
すなわち、NCO/OHは0.1以上5.0以下が好ましく、0.3以上4.0以下がより好ましく、0.4以上3.0以下がさらに好ましく、0.5以上2.0以下が特に好ましい。
NCO/OHが上記範囲内であることで、より強靭な塗膜を形成することができる。
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリオール及び上記ポリイソシアネート組成物に加えて、目的及び用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤、塗膜表面親水化剤、硬化促進用の触媒、乾燥性改良剤、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を含んでもよい。
シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、及びこれらの縮合物等が挙げられる。中でも、シリケート化合物としては、塗膜を作製した場合、塗膜表面が親水性になり易いことから、テトラメトキシシランの縮合物又はテトラエトキシシランの縮合物が好ましい。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイル等が挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
燐酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス-クロロエチルホスフェート、トリス-ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。トリメリット酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、溶剤塗料組成物で有用であり、以下に示す製造方法により得られる。
また、上記ポリオールを主成分とする主剤成分と、上記ポリイソシアネート組成物を主成分とする硬化剤成分と、上記各種添加剤の混合順序は特に限定されず、例えば、以下の順番で混合することができる。
1)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において硬化剤成分を混合する;
2)塗装現場において主剤成分及び硬化剤成分を混合した後に、各種添加剤を混合する;
3)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において各種添加剤を予め混合した硬化剤成分を混合する
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法による塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材から構成される成形品に対する塗料としても有用であり、金属又はプラスチックに対する塗料として特に好適である。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、情報家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に好適であり、建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として特に好適である。
本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を硬化させてなるものであり、常に、安定した品質を発現し、且つ、耐水性、耐候性、屈曲性及び密着性に優れる。
本実施形態の塗膜の製造方法は、上記塗料組成物を硬化させる工程を含む方法である。
被塗物としては、上記「<塗料組成物の使用用途>」において例示された素材から構成される成形品と同様のものが挙げられる。
(A/B及びC/B)
得られたポリイソシアネート組成物について、Bruker社製Biospin Avance600(商品名)を用いた、13C-NMRの測定を行った。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
13C-NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
CryoProbe(登録商標)
CPDUL
600S3-C/H-D-05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
ウレタン基:(156.5ppm付近の積分値)÷1
アロファネート基:(154ppm付近の積分値)÷1
(イソシアネート平均官能基数(平均NCO数))
酢酸n-ブチル添加前のポリイソシアネート組成物を試料として、下記式によりイソシアネート平均官能基数(平均NCO数)を求めた。
装置:HLC-8320GPC(TOSOH)
カラム:TSKgelSuperH2500×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH4000×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH5000×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH6000×1本(TOSOH)
キャリアー:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
試料濃度:1.0質量%
注入量:20μL
温度:40℃
検出方法:示差屈折計
(25℃における粘度)
粘度はE型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
100r.p.m. (128mPa・s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m. (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m. (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m. (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
(イソシアネート基含有率(NCO%))
NCO%は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
(HDIモノマー濃度)
上記「物性2」に示す測定条件のGPC測定により、ポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。次いで、未反応のHDIモノマー相当の分子量(168)のピーク面積%をHDIモノマー濃度として算出した。
各ポリイソシアネート組成物を用いて、以下のとおり塗料組成物を製造し、評価を実施した。
(塗料組成物の製造)
まず、アクリルポリオール(Allnex社製、「Setalux1903」(製品名)、樹脂固形分濃度75%、水酸基価150mgKOH/樹脂g)と各ポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基との当量比率が1:1になるように配合した。その後、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、各塗料組成物を得た。
(耐水性(室温))
各塗料組成物を乾燥膜厚が30μmになるようにガラス板に塗装し、室温で48分放置して硬化させて各塗膜を得た。この塗膜を60℃、湿度87%の条件で、72時間保持した。その後、室温で、60分放置した。試験後の塗膜を目視で観察した。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性(室温)を評価した。評価結果を表1~4に示す。
◎:白化、ブツ等が観察されなかったもの
〇:1又は2か所白化、ブツが観察されたもの
△:3か所以上5か所以下白化、ブツが観察されたもの
×:6か所以上白化、ブツが観察されたもの
(耐水性(低温))
各塗料組成物を乾燥膜厚が30μmになるようにガラス板に塗装し、5℃で24時間放置して硬化させて各塗膜を得た。この塗膜を水に浸漬させ、5℃の条件で24時間保持した。その後、室温で、60分放置した。試験前後の塗膜の60°光沢値を測定し、試験後の塗膜の60°光沢値を試験前塗膜の60°光沢値で除した割合の百分率を光沢保持率として算出した。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性(低温)を評価した。評価結果を表1~4に示す。
◎:光沢保持率93%以上
〇:光沢保持率91%以上93%未満
△:光沢保持率89%以上91%未満
×:光沢保持率89%未満
(耐候性)
各塗料組成物を白エナメル塗板に乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、20℃、湿度63%の条件で、1週間塗膜養生を行った後、その塗板について耐候性を評価した。耐候性評価は、デューパネルウェザーメーター(スガ試験機製)を用いた。評価条件は、JIS D0205に従い、照射照度30W/m2、パネル温度60℃、照射時間及び結露時間は4時間ごとのサイクル運転で行った。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の耐水性を評価した。評価結果を表1~4に示す。
◎:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が80%以上のもの
〇:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が70%以上80%未満のもの
×:暴露時間1200時間時点の光沢保持率が70%未満のもの
(屈曲性)
屈曲性は、各塗料組成物について、マンドレル試験(JIS K5600-5-1)に従い、直径2mm、3mm、4mm、5mm、6mm及び8mmの芯棒に硬化膜を形成したPETフィルムを巻き付け(硬化膜が外側)、割れや剥がれが発生しない最少直径を記載した。ここで、芯棒直径2mmで割れや剥がれが発生しない場合、フィルムを芯棒なしで折り曲げる試験も実施し、これでも割れが発生しない場合は、芯棒なしのため、0mmと評価した。評価結果を表1~4に示す。
(密着性)
各塗料組成物を乾燥膜厚が30μmになるように、中性洗剤で洗浄したポリプロピレン系樹脂試験片に塗装し、室温で48時間放置、硬化させて各塗膜を得た。JIS K-5400に準拠して、テストピースの碁盤目についてセロハンテープの剥離密着性試験を行った。カッターを用いてテストピースの表面に切れ目を入れて、2mm角の100個の碁盤目を形成させた。その表面にセロハンテープを貼り付けた後、セロハンテープをテストピースの表面から勢いよく剥がして、剥がれなかった碁盤目数を数えた。以下の評価基準に従い、密着性を評価した。なお、100個の碁盤目のうち剥がれなかった碁盤目数の多いものほど良好と評価した。評価結果を表1~4に示す。
5:100/100(剥離なし)
4:90/100以上99/100以下
3:70/100以上89/100以下
2:50/100以上69/100以下
1:0/100以上49/100以下
[合成例1]
(ポリイソシアネートA-1の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000gと2-エチルヘキサノール:100gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.015となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液の濾過後、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、ポリイソシアネートA-1を得た。得られたポリイソシアネートA-1は、粘度400mPa・s(25℃)、NCO含有率17.7質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
(ポリイソシアネートA-2の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.012となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA-2を得た。得られたポリイソシアネートA-2は、粘度1300mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
(ポリイソシアネートA-3の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと2-エチルヘキサノール:30gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.012となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA-3を得た。得られたポリイソシアネートA-3は、粘度500mPa・s(25℃)、NCO含有率20.6質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
(ポリイソシアネートA-4の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと2-エチルヘキサノール:30gとを仕込み、撹拌下80℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液:1gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。反応液の屈折率の上昇が0.008となった時点で、リン酸を添加し反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA-4を得た。得られたポリイソシアネートA-4は、粘度400mPa・s(25℃)、NCO含有率20.4質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
(ポリイソシアネートA-5の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと2-エチルヘキサノール:78gとを仕込み、撹拌下130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として、2-エチルヘキサン酸ジルコニルの20%ミネラルスピリット溶液:0.35gを加えた。60分後、反応液の屈折率の上昇が0.0055となった時点で、ピロリン酸の固形分39%エタノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」):0.47gを加え、反応を停止した。次いで、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA-5を得た。得られたポリイソシアネートA-5は、粘度100mPa.s(25℃)、NCO含有率17.4%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
(ポリイソシアネートA-6の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000gと1.4-ブタンジオール:44gとを仕込み、撹拌下反応器内温度160℃で、1時間保持した。その後、反応液を濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートA-6を得た。得られたポリイソシアネートA-6は、粘度600mPa・s(25℃)、NCO含有率19.2質量%、HDIモノマー濃度0.2質量%であった。
[実施例1]
(ポリイソシアネート組成物P-a1の製造)
合成例1と同様の装置に、合成例3で得られたポリイソシアネートA-3:50g、ポリエーテルポリオールB-2(AGC株式会社製、「エクセノール230」(商品名)、分子量3000):50g、及び、リン酸2-エチルヘキシルエステル(城北化学工業株式会社製、商品名「JP-508」):0.01gを加えた。次いで、混合液について撹拌下120℃で4時間ウレタン化反応を行った後に、ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製、商品名「Tinuvin765」:0.1g、希釈溶剤として酢酸n-ブチル:33gを添加し、ポリイソシアネート組成物P-a1を得た。得られたポリイソシアネート組成物P-a1は、透明の液体であり、粘度700mPa・s(25℃)、NCO含有率6.2質量%であった。
(ポリイソシアネート組成物P-a2~P-a17及びP-b1~P-b4、P-b6の製造)
表1~4に記載の配合とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物P-a2~P-a17及びP-b1~P-b4、P-b6を得た。
B-1:AGC株式会社製、「エクセノール840」(商品名)、数平均分子量6500
B-2:AGC株式会社製、「エクセノール230」(商品名)、数平均分子量3000
B-3:AGC株式会社製、「エクセノール1030」(商品名)、数平均分子量1000
B-4:AGC株式会社製、「エクセノール1020」(商品名)、数平均分子量1000
B-5:保土谷化学株式会社製、「PTG1000SN」(商品名)、数平均分子量1000
合成例1と同様の装置に、HDI:500gとポリエーテルポリオールB-1(AGC株式会社製、「エクセノール840」(商品名)、分子量6500):150gとを仕込み、撹拌下90℃で2時間ウレタン化反応を行った。90℃でイソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート:0.02gを加えた。4時間後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸:0.1gを加え反応を停止した。薄膜蒸発缶を用いて、150℃、2Torrの条件で2回精製し、ポリイソシアネート組成物P-b5を得た。得られたポリイソシアネート組成物P-b5は、粘度200mPa・s(25℃)、NCO含有率11.4質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%であった。
また、ポリイソシアネート組成物P-a1~P-a17(実施例1~17)において、平均NCO数3.1以上であるポリイソシアネート組成物P-a1~P-a7及びP-a9~P-a16(実施例1~7及び9~16)は、塗膜としたときの常温及び低温での耐水性がより優れていた。また、平均NCO数が3.5以上であり、粘度が400mPa・s以上2200mPa・s以下であり、且つ、NCO含有率が3.6質量%以上11.5質量%以下であるポリイソシアネート組成物P-a1~P-a6、P-a10~P-a12及びP-a17では、塗膜としたときの常温及び低温での耐水性が特に優れていた。これは、使用したポリイソシアネートの平均NCO数が3.5以上と高い値でありながら、粘度が適度な数値範囲であり、且つ、主剤の水酸基と結合を形成し得るイソシアネート基の比率を表すNCO含有率が適度な数値範囲であることから、形成された塗膜の弾性と架橋密度のバランスが良く、塗膜に柔軟性を付与できたため、耐水性が特に優れていたと推察された。
また、A/Bが1.00以下であり、且つ、C/Bが1.10以下であるポリイソシアネート組成物P-a1~P-a4、P-a6~P-a7、P-a10~P-a12及びP-a17(実施例1~4、6~7、10~12及び17)は、塗膜としたときの耐候性が特に優れていた。
また、A/Bが1.00以上である又はC/Bが0.50以上であるポリイソシアネート組成物P-a4~P-a6及びP-a8~P-a16(実施例4~6及び8~16)は、塗膜としたときの密着性に特に優れていた。
また、A/Bが0.36以上である、又は、C/Bが0.25以上であるポリイソシアネート組成物P-a1~P-a6及びP-a8~P-a16(実施例1~6及び8~16)は、塗膜としたときの屈曲性が特に優れていた。
Claims (5)
- (A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートと、(B)数平均分子量が400以上10000以下のオキシプロピレン基を有するポリエーテル系ポリオールと、から得られるポリイソシアネートを含み、
アロファネート基、イソシアヌレート基及びウレタン基を含有し、
アロファネート基のモル数をA、イソシアヌレート基のモル数をB、ウレタン基のモル数をCとした場合のA/Bが0.10以上2.50以下であり、且つ、C/Bが0.06以上5.50以下であり、
イソシアネート平均官能基数が2.6以上10.0以下である、ポリイソシアネート組成物。 - 水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリオールと、
請求項1に記載のポリイソシアネート組成物と、
を含む、塗料組成物。 - 金属又はプラスチックの塗装に用いられる、請求項2に記載の塗料組成物。
- 建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられる、請求項2又は3に記載の塗料組成物。
- 請求項2~4のいずれか一項に記載の塗料組成物を硬化させてなる、塗膜。
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