JP2019156934A - イソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
硬化剤の低粘度化技術としては、低粘度のトリイソシアネート化合物を単独で用いる技術(例えば、特許文献3〜5参照)、又は、これらのトリイソシアネート化合物の一部をイソシアヌレート化する技術(例えば、特許文献6参照)が知られている。これらの技術を使用した場合、低粘度化とある程度の乾燥性とを満足するものが得られている。
また、特許文献7に開示されたポリイソシアネート組成物では、シリケート化合物との相溶性が向上するものの、架橋密度が低下し、水蒸気等に対するバリア性が不足する場合があった。
本発明の第1態様に係るイソシアネート組成物は、下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート、及び、前記トリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物のうち少なくともいずれか一方の化合物を含むイソシアネート成分と、アニリン点が−6℃以上70℃以下である低極性有機溶剤と、を含む。
上記第1態様に係るイソシアネート組成物において、前記イソシアネート成分のイソシアネート基含有量が40質量%以上であってもよい。
本発明の第3態様に係る塗膜は、上記第2態様に係る塗料組成物を硬化させてなる。
本明細書において、「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物をいう。
本実施形態のイソシアネート組成物は、イソシアネート成分と、低極性有機溶剤と、を含む。
イソシアネート成分は、下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート(以下、「トリイソシアネート(I)」と称する場合がある)、及び、該トリイソシアネート(I)から誘導されるポリイソシアネート化合物のうち少なくともいずれか一方の化合物を含む。
低極性有機溶剤は、アニリン点が−6℃以上70℃以下である。
本実施形態のイソシアネート組成物の各構成成分について、以下に詳細を説明する。
イソシアネート成分は、トリイソシアネート(I)、及び、該トリイソシアネート(I)から誘導されるポリイソシアネート化合物(以下、単に「ポリイソシアネート化合物」と称する場合がある)のうち少なくともいずれか一方の化合物を含む。
イソシアネート成分は、トリイソシアネート(I)又はポリイソシアネート化合物のいずれかのみを含んでもよく、トリイソシアネート(I)及びポリイソシアネート化合物の両方を含んでもよい。
また、イソシアネート成分は、1種類のトリイソシアネート(I)又はポリイソシアネート化合物を単独で含んでもよく、2種類以上のトリイソシアネート(I)又はポリイソシアネート化合物を組み合わせて含んでもよい。
トリイソシアネート(I)は、下記一般式(I)で示される化合物である。
一般式(I)中、複数あるY1は、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される1種以上を含んでもよい炭素数1以上20以下の2価の炭化水素基である。複数あるY1は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
前記直鎖状又は分岐状の脂肪族基としては、例えば、アルカンジイル基(アルキレン基)、アルキリデン基等が挙げられる。
前記環状の脂肪族基としては、例えば、シクロアルキレン基等が挙げられる。
前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。
中でも、炭素数1以上20以下の2価の炭化水素基としては、アルキレン基が好ましい。
前記アルキレン基としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。
中でも、前記アルキレン基としては、テトラメチレン基が好ましい。
−(CH2)n1−X−(CH2)n2− ・・・(II)
中でも、n1及びn2はそれぞれ独立して、0以上20以下の整数であることが好ましく、0以上4以下の整数であることがより好ましく、0以上2以下の整数であることがさらに好ましい。
n1及びn2の組み合わせとしては、例えば、n1=0、n2=2の組み合わせ、n1=2、n2=2の組み合わせが好ましい。
また、基(II)において、Xはエステル基であることが好ましい。
また、複数あるY1のうち少なくとも1つが、エステル基又はエーテル基を有する場合、本実施形態のイソシアネート組成物の耐熱性をより向上させることができる。
また、複数あるY1のうち少なくとも1つが、エステル基を有する場合、本実施形態のイソシアネート組成物の耐熱性をより向上させることができる。
また、複数あるY1のうち少なくとも1つが、エーテル基を有する場合、本実施形態のイソシアネート組成物の耐加水分解性をより向上させることができる。
R1は、水素原子又は炭素数1以上12以下の1価の炭化水素基である。R1における炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。中でも、R1としては、水素原子が好ましい。
中でも、イソシアネート基の反応性をより向上できる観点から、NTI、GTI又はLTIが好ましく、NTI又はLTIがより好ましい。
トリイソシアネート(I)は、アミノ酸誘導体やエーテルアミン、アルキルトリアミン等のアミンをイソシアネート化して得ることができる。アミノ酸誘導体としては、例えば2,5−ジアミノ吉草酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等を用いることができる。これらアミノ酸はジアミンモノカルボン酸又はモノアミンジカルボン酸であるので、カルボキシル基を、例えばエタノールアミン等のアルカノールアミンでエステル化する。これにより、得られるエステル基を有するトリアミンはホスゲン化等によりエステル基を含むトリイソシアネートとすることができる。
エーテルアミンとしては、例えば、ポリオキシアルキレントリアミンである三井化学ファイン社の商品名「D403」等が挙げられる。これはトリアミンであり、アミンのホスゲン化等によりエーテル基を含むトリイソシアネートとすることができる。
アルキルトリアミンとしては、例えば、トリイソシアナトノナン(4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン)等が挙げられる。これはトリアミンであり、アミンのホスゲン化等により炭化水素のみを含むトリイソシアネートとすることができる。
ポリイソシアネート化合物は、上記トリイソシアネート(I)から誘導されるものである。すなわち、ポリイソシアネート化合物は、上記トリイソシアネート(I)を単量体(モノマー)として用いた重合反応により得られる反応物である。
また、ポリイソシアネート化合物は、イソシアヌレート基、ビウレット基、アロファネート基、ウレトジオン基、イミノジオキサジアジンジオン基、ウレタン基等の各種官能基を有することができる。
ポリイソシアネート化合物は、トリイソシアネート(I)を公知の触媒を用いて、又は、加温して、重合反応させることで得られる。反応終了後、未反応のトリイソシアネート(I)を除去してもよく、未反応のトリイソシアネート(I)を除去せずにそのままイソシアネート成分として用いてもよい。
例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の揮発性ジイソシアネートからポリイソシアネート化合物を製造する場合には、未反応のジイソシアネートを除去する必要がある。このとき、ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート化合物中に含まれるジイソシアネートの含有量は、生成物の総質量に対して、2質量%未満とすることができ、1質量%未満であることが好ましい。
これに対し、トリイソシアネート(I)から誘導されたポリイソシアネート化合物を、未反応のトリイソシアネート(I)を除去せずにそのままイソシアネート成分として用いる場合には、未反応のトリイソシアネート(I)は、イソシアネート基を3個有するため、該イソシアネート成分を含むイソシアネート組成物のポリオールとの架橋能力を低下させず、維持することができる。
また、得られたポリイソシアネート化合物から未反応のトリイソシアネート(I)を除去する場合には、薄膜蒸留法や溶剤抽出法等により、生成物からポリイソシアネート化合物を分離することができる。
イソシアネート成分は、上記トリイソシアネート(I)及び上記ポリイソシアネート化合物に加えて、さらに、その他のイソシアネート化合物を含んでもよい。
その他のイソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアネート、該ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン(1,3−H6−XDI)、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチル−シクロヘキシルイソアネート(IMCI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチル)−ノルボルナン(NBDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2)ベンゼン等が挙げられる。
これらジイソシアネートは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、ジイソシアネートとしては、HDI又はIPDIが好ましい。
また、ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート化合物としては、触媒を用いて、又は、加熱することにより、上記ジイソシアネートを重合したものである。また、ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート化合物は、分子中にイソシアヌレート基、ビウレット基、アロファネート基、ウレトジオン基、イミノジオキサジアジンジオン基、ウレタン基等の各種官能基を有することができる。
中でも、ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート化合物としては、耐候性の観点から、イソシアヌレート基を有することが好ましい。
次いで、イソシアネート成分の物性について、以下に詳細を説明する。
イソシアネート成分の25℃における粘度は、特に制限を受けないが5mPa・s以上2000mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上1800mPa・sm以下であることがより好ましく、5mPa・s以上200mPa・s以下であることがさらに好ましい。イソシアネート成分の25℃における粘度を上記下限値以上とすることで、硬化性がより優れる傾向がある。一方、イソシアネート成分の25℃における粘度を上記上限値以下とすることで、作業性がより優れる傾向がある。
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて測定することができる。
イソシアネート成分のイソシアネート基含有量(以下、「NCO含有量」と称する場合がある)の下限値は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、30質量%とすることができ、35質量%が好ましく、40質量がより好ましい。
一方、NCO含有量の上限値は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、60質量%とすることができ、57質量%が好ましく、55質量%がより好ましい。
すなわち、NCO含有量は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、30質量%以上60質量%以下とすることができ、35質量%以上57質量%以下が好ましく、40質量以上55質量%以下がより好ましい。
NCO含有量が上記範囲であることにより、イソシアネート成分を低極性有機溶剤により十分溶解することができ、さらに、より十分な架橋性を有するイソシアネート組成物を得ることができる。
なお、本明細書において、「実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態」とは、溶剤又はジイソシアネートの含有量が、イソシアネート成分の総質量に対して、1質量%未満である状態を意味する。
イソシアネート成分のイソシアネート基の官能基数は、2以上12以下であることが好ましい。イソシアネート基の官能基数が上記下限値以上であることで、より十分な架橋性を有する。一方、イソシアネート基の官能基数が上記上限値以下であることで、イソシアネート成分の低粘度化を達成可能な粘度とすることができる。
本明細書において、「低極性有機溶剤」とは、アニリン点が−6℃以上の有機溶剤を意味し、極性を有しない非極性有機溶媒も包含する。
また、低極性有機溶剤は、脂肪族炭化水素系溶剤又は脂環族炭化水素系溶剤を主成分として含有する有機溶剤であるが、さらに、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤等を含有してもよい。なお、ここでいう「脂肪族炭化水素系溶剤又は脂環族炭化水素系溶剤を主成分として含有する有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素系溶剤又は脂環族炭化水素系溶剤の含有量が、有機溶剤の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である有機溶剤を意味する。
また、低極性有機溶剤のアニリン点の下限値は、−6℃とすることができ、−5℃が好ましい。一方、低極性有機溶剤のアニリン点の上限値は、70℃とすることができ、65℃が好ましく、60℃がより好ましい。
すなわち、低極性有機溶剤のアニリン点は、−6℃以上70℃以下とすることができ、−5℃以上65℃以下が好ましく、−5℃以上60℃以下がより好ましい。
アニリン点が上記下限値以上であることで、本実施形態のイソシアネート組成物を用いて塗膜を作製した場合に、下地塗膜をより侵しにくい。一方、アニリン点が上記上限値以下であることで、イソシアネート成分をより簡便に溶解することができる。上記イソシアネート成分が、その硬化性能を低下させることなく、上記構成を有する低極性有機溶剤と良好な相溶性を示すことは、発明者らが今回初めて見出した。
なお、アニリン点はJIS K 2256に記載のアニリン点試験方法に準じて測定することができる。
また、これらの低極性有機溶剤の少なくとも1種類と、必要に応じて芳香族炭化水素系溶剤やエステル系溶剤、エーテル系溶剤等を混合したものを用いてもよい。
このような低極性有機溶剤として具体的には、例えば、LAWS(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点44℃)、ペガソール3040(エクソンモービル有限会社製、アニリン点55℃)、Aソルベント(新日本石油化学株式会社製、アニリン点45℃)、クレンゾル(新日本石油化学株式会社製、アニリン点64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油化学株式会社製、アニリン点43℃)、ハイアロム2S(新日本石油化学株式会社製、アニリン点44℃)、リニアレン10、リニアレン12(出光石油化学株式会社製、αオレフィン系炭化水素、アニリン点44℃、54℃)、エクソールD30(エクソンモービル有限会社製、ナフテン系溶剤、アニリン点63℃)、リカソルブ900、910B、1000(新日本理化株式会社製、水添C9溶剤、アニリン点53℃、40℃、55℃)等が挙げられる。
なお、石油より精製されたアニリン点45℃付近の溶剤、例えばLAWS、ミネラルスピリットA、Aソルベント、ハイアロム2S等を総じて「ミネラルターペン」と称する場合がある。
また、アニリン点が上記範囲内であれば、これらの低極性有機溶剤に芳香族系、エーテル系、エステル系等の溶剤を混合して用いてもよい。芳香族系の溶剤としては、例えばソルベッソ100、150,200(エクソンモービル有限会社製)、シェルゾールA100、150(シェルケミカルズジャパン株式会社製)、トルエン、キシレン等が挙げられる。エステル系及びエーテル系の溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート等が挙げられる。
このような低極性有機溶剤として具体的には、例えば、αオレフィン系炭化水素(ニリアレン10、リニアレン12等)、比較的アニリン点が低いナフテン系溶剤(エクソールD30等)、水添溶剤(リカソルブ900、910B、1000、スワクリーン150等)等が挙げられる。
又は、アニリン点が上記上限値を超えるイソパラフィン系、ナフテン系、パラフィン系の溶剤と、芳香族系、エーテル系、エステル系等の溶剤とを混合して、アニリン点を上記範囲内に調整して用いることもできる。
イソパラフィン系の溶剤としては、例えばシェルゾールS(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点78℃)、アイソパーG(エクソンモービル有限会社製、アニリン点78℃)、日石アイソゾール300(新日本石油化学株式会社製、アニリン点80℃)等が挙げられる。ナフテン系の溶剤としては、例えばエクソールD40(エクソンモービル有限会社製、アニリン点69℃)、ナフテゾール160(新日本石油化学株式会社製、アニリン点69℃)、IPソルベント1016、1620(出光石油化学株式会社製、アニリン点72℃、81℃)等が挙げられる。パラフィン系溶剤としては、例えばノルマルパラフィン SL(新日本石油化学株式会社製、アニリン点80℃)等が挙げられる。芳香族系の溶剤としては、例えばソルベッソ100(エクソンモービル有限会社製)等が挙げられる。エステル系又はエーテル系の溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート等が挙げられる。
本実施形態のイソシアネート組成物は、上記イソシアネート成分及び上記低極性有機溶剤に加えて、シリケート化合物をさらに含んでもよい。
シリケート化合物は、下記一般式(II)で示されるテトラアルコキシシラン(以下、「テトラアルコキシシラン(II)」と称する場合がある)、前記テトラアルコキシシランの縮合物及び前記テトラアルコキシシランの誘導物からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物である。
なお、シリケート化合物は、水酸基と反応するため、予め混合する場合には硬化剤成分である本実施形態のイソシアネート組成物に添加しておくことが好ましい。又は、塗料組成物を製造する場合において、主剤成分と硬化剤成分を混合する際に、同時に混合してもよい。
一般式(II)中、複数あるR2は、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基又はアリール基である。複数あるR2は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
アルキル基又はアリール基の炭素数の上限は10であり、8が好ましく、6がより好ましく、4が特に好ましい。
R2におけるアルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、中でも、直鎖状が好ましい。R2におけるアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
R2におけるアリール基としては、単環であってもよく、多環であってもよく、中でも、単環が好ましい。R2におけるアリール基として具体的には、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
中でも、R2としては、アルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
中でも、シリケート化合物としては、塗膜を作製した場合において、塗膜表面が親水性になりやすいため、テトラメトキシシランの縮合物が好ましい。
メトキシ基又はエトキシ基を炭素数3以上10以下のアルコキシル基に置換する割合は、置換前のメトキシ基又はエトキシ基の総モル量に対して、5mol%以上50mol%以下とすることができ、8mol%以上40mol%以下が好ましく、12mol%以上35mol%以下がより好ましい。置換するアルコキシル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はオクチル基が好ましく、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基又は2−エチル−1−ヘキシル基がより好ましい。
このようなシリケート化合物は、低極性有機溶剤への溶解性がより高く、さらに、該シリケート化合物を含むイソシアネート組成物は、塗膜を作成した場合の塗膜の親水性がより高く、非常に好ましい。
一方、シリケート化合物に対するイソシアネート成分の質量比の上限値は、98/2が好ましく、95/5がより好ましい。
すなわち、シリケート化合物に対するイソシアネート成分の質量比は、2/98以上98/2以下が好ましく、5/95以上95/5以下がより好ましい。
本実施形態のイソシアネート組成物は、上記イソシアネート成分及び上記低極性有機溶剤に加えて、その他の化合物を含むことができる。その他の化合物としては、例えば、不飽和結合含有化合物、不活性化合物、金属原子、塩基性アミノ化合物、二酸化炭素、ハロゲン原子等が挙げられる。これらその他の化合物を1種類単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のイソシアネート組成物中の上記その他の化合物の含有量の下限値は、イソシアネート成分の質量に対して、1.0質量ppmが好ましく、3.0質量ppmがより好ましく、5.0質量ppmがさらに好ましく、10質量ppmが特に好ましい。
一方、上記その他の化合物の含有量の上限値は、イソシアネート成分の質量に対して、1.0×104質量ppmが好ましく、5.0×103質量ppmがより好ましく、3.0×103質量ppmがさらに好ましく、1.0×103質量ppmが特に好ましい。
すなわち、上記その他の化合物の含有量は、イソシアネート成分の質量に対して、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下が好ましく、3.0質量ppm以上5.0×103質量ppm以下がより好ましく、5.0質量ppm以上3.0×103質量ppm以下がさらに好ましく、10質量ppm以上1.0×103質量ppm以下が特に好ましい。
上記その他の化合物の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のイソシアネート組成物の長期保存時の着色防止及び長期保存安定性がより向上する。
不飽和結合含有化合物としては、炭素−炭素間の不飽和結合、炭素−窒素間の不飽和結合又は炭素−酸素間の不飽和結合を有する化合物が好ましい。中でも、化合物の安定性の観点から、不飽和結含有化合物合は、二重結合を有する化合物が好ましく、炭素−炭素間の二重結合(C=C)又は炭素−酸素間の二重結合(C=O)を有する化合物がより好ましい。また、該化合物を構成する炭素原子は3つ以上の原子と結合していることが好ましい。
一般的に、炭素−炭素間の二重結合は芳香環を構成する炭素−炭素間の二重結合である場合もあるが、本実施形態のイソシアネート組成物に含まれる不飽和結合含有化合物が有する不飽和結合は、芳香環を構成する炭素−炭素間の二重結合を含まない。
炭素−酸素間の二重結合を有する化合物としては、例えば、炭酸誘導体等が挙げられる。炭酸誘導体としては、例えば、尿素化合物、炭酸エステル、N−無置換カルバミン酸エステル、N−置換カルバミン酸エステル等が挙げられる。
不活性化合物は、下記化合物A〜化合物Gに分類される。
炭化水素化合物は化合物A及び化合物Bに、エーテル化合物及びスルフィド化合物は下記化合物C〜Eに、ハロゲン化炭化水素化合物は下記化合物Fに、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物は下記化合物Gにそれぞれ分類される。なお、ここに挙げる化合物A〜化合物Gは芳香族環以外に不飽和結合を含まず、上記した不飽和結合を有する化合物は含まれない。
化合物A:直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する脂肪族炭化水素化合物。
化合物B:脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい芳香族炭化水素化合物。
化合物C:エーテル結合又はスルフィド結合と、脂肪族飽和炭化水素基とを有する化合物であり、同種又は異種の脂肪族飽和炭化水素化合物が、エーテル結合又はスルフィド結合を介して結合した化合物。
化合物D:エーテル結合又はスルフィド結合と、芳香族炭化水素基とを有する化合物であり、同種又は異種の芳香族炭化水素化合物が、エーテル結合又はスルフィド結合を介して結合した化合物。
化合物E:エーテル結合又はスルフィド結合と、脂肪族飽和炭化水素基と、芳香族炭化水素基とを有する化合物。
化合物F:脂肪族飽和炭化水素化合物を構成する少なくとも1つの水素原子、又は、芳香族炭化水素化合物を構成する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されたハロゲン化物。
化合物G:上記化合物A〜化合物Eの炭素原子の一部又は全部がケイ素原子に置換された化合物。
金属原子は、金属イオンとして存在していてもよく、金属原子単体として存在していてもよい。1種の金属原子を単独で含んでもよく、2種以上の複数の種類の金属原子を組み合わせて含んでもよい。金属原子としては、2価以上4価以下の原子価をとりうる金属原子が好ましく、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、銅又はチタンがより好ましい。
塩基性アミノ化合物は、アンモニアの誘導体で、アルキル基やアリール基でその水素が一つ置換された化合物(第一級)、二つ置換された化合物(第二級)、及び、三つとも置換された化合物(第三級)がある。中でも、塩基性アミノ化合物としては、二級又は三級のアミノ化合物が好ましく、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン又は塩基性アミノ酸がより好ましい。
二酸化炭素は、常圧でのイソシアネート組成物中の溶存分でもよく、圧力容器に入れて加圧状態で溶存させたものでもよい。水分を含んでいる二酸化炭素を使用するとイソシアネート成分の加水分解を引き起こす場合があるので、二酸化炭素に含有される水分量は必要に応じて管理することが好ましい。
ハロゲン原子は、ハロゲン化物イオンとして存在していてもよく、ハロゲン化物として存在していてもよい。1種のハロゲン原子を単独で含んでもよく、2種以上の複数の種類のハロゲン原子を組み合わせて含んでもよい。ハロゲン原子としては、特に限定されないが、塩素又は臭素が好ましく、塩素イオン、臭素イオン、加水分解性塩素又は加水分解性臭素がより好ましい。加水分解塩素としては、例えば、イソシアネート基に塩化水素が付加したカルバモイルクロリド化合物等が挙げられる。加水分解性臭素としては、例えば、イソシアネート基に臭化水素が付加したカルバモイルブロミド化合物等が挙げられる。
本実施形態のイソシアネート組成物中のハロゲン原子の含有量は、着色防止の観点から、該組成物の総質量に対して、1.0×102質量ppm以下であることが好ましい。
本実施形態のイソシアネート組成物は、上記イソシアネート成分と上記低極性有機溶剤と、必要に応じて、上記シリケート化合物及び上記その他の化合物と、を公知の方法を用いて混合することで調製することができる。
上記実施形態に係るイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いられる。
すなわち、本実施形態の塗料組成物は、硬化剤として上記実施形態に係るイソシアネート組成物と、主剤として樹脂成分とを含む。
樹脂成分としては、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。中でも、ポリオールが好ましい。ポリオールとして具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール等が挙げられる。中でも、ポリオールとしては、耐候性、耐薬品性及び硬度の観点から、アクリルポリオールが好ましく、機械強度及び耐油性の観点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
又は、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)〜(vi)に示すものが挙げられる。
(ii)エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物;
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類;
(vi)スタキオース等の四糖類
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
(i)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類;
(ii)メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類;
(iii)グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(iv)ポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。;
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等)との付加物;
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類を開環重合させることにより得られる付加物
前記ラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等)、不飽和アミド類(アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和カルボン酸類;
(iii)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類;
(iv)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリブタジエン、水酸基を2個以上有するポリイソプレン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57−34107号公報(参考文献5)、特開昭61−275311号公報(参考文献6)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
ポリオールの水酸基価の下限値は、10mgKOH/gが好ましく、20mgKOH/gがより好ましく、30mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価の上限値は、200mgKOH/gが好ましく、180mgKOH/gがより好ましく、160mgKOH/gがさらに好ましい。
すなわち、ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上180mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以上160mgKOH/g以下がさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価が上記範囲内であることにより、本実施形態の塗料組成物の作業性、並びに、該塗料組成物を用いた塗膜の耐候性、耐薬品性及び硬度がより良好なものとなる。
水酸基価及び酸価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、上記実施形態のイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.2以上5.0以下が好ましく、0.4以上3.0がより好ましく、0.5以上2.0以下がさらに好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であると、より強靱な塗膜が得られる傾向にある。一方、NCO/OHが上記上限値以下であると、塗膜の平滑性がより向上する傾向にある。
本実施形態の塗料組成物は、上記イソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、イソシアネート組成物と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられる。
硬化促進用の触媒の例としては、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤としては、例えば、燐酸若しくは亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、リン化合物、フェノール系誘導体(特に、ヒンダードフェノール化合物)、イオウを含む化合物、スズ系化合物等が挙げられる。これらを単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
リン化合物としては、例えば、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、例えば、チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイル等が挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
燐酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメ リット酸イソデシルエステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
シリケート化合物以外の塗膜表面親水剤としては、例えば、シリカ系親水化剤、フッ素系親水剤、酸化チタン系光触媒、四級アンモニウム塩含有ポリマー等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、以下の方法を用いて製造できる。
例えば、まず、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂又はその溶剤希釈物に、必要に応じて、その他の樹脂、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加えたものに、上記イソシアネート組成物を硬化剤として添加する。次いで、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、塗料組成物を得ることができる。
本実施形態の塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として利用することができる。また、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材へのプライマーや上中塗り塗料として用いることができる。また、例えば、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に耐熱性、美粧性(表面平滑性、鮮鋭性)等を付与する塗料としても有用である。また、例えば、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
本実施形態の塗膜は、上記実施形態に係る塗料組成物を硬化させてなる。
被塗物としては、上記「<使用用途>」において例示された素材と同様のものが挙げられる。
[物性1]粘度
各イソシアネート成分の粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
100rpm (128mPa・s未満の場合)
50rpm (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
イソシアネート基(NCO)含有量(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
ここでいう「転化率」とは、仕込んだトリイソシアネート又はジイソシアネート等のイソシアネートモノマーの質量に対する重合反応で生成したポリイソシアネート化合物の質量割合を意味する。転化率は、以下のとおり算出した、まず、合成されたポリイソシアネート化合物を試料として用いて、下記の装置及び条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定を行い、ポリスチレン基準の数平均分子量を得た。GPC測定において、ポリイソシアネート化合物の数平均分子量は、未反応のトリイソシアネート又はジイソシアネート等のイソシアネートモノマーよりも数平均分子量の大きなピークの面積割合とした。
(測定条件)
装置:東ソー社製「HLC−8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
試料濃度:5wt/vol%
流出量:0.6mL/min
カラム温度:30℃
[評価1]イソシアネート成分のシリケート相溶性
イソシアネート成分を50g、シリケート化合物「MKCシリケート MS58B30」(商品名、ブチル変性メチルシリケートの縮合物、三菱化学株式会社製)を3g、及び、低極性有機溶剤として、HAWS(High Aromatic White Spirit)(商品名、アニリン点17℃)及びソルベッソ100(商品名、エクソンモービル有限会社製)の混合溶剤(HAWS:ソルベッソ100=8:2、アニリン点−5℃)を47g配合し、十分に混合してイソシアネート組成物を作製した。次いで、作製したイソシアネート組成物を23℃の環境下で2時間静置した後に、シリケート相溶性を目視で評価した。評価基準としては、溶液がクリアであれば○、微白濁であれば△、白濁又は沈殿等が生じていれば×とした。
上記「[物性2]」に記載の方法を用いて測定されたNCO含有量について、NCO含有量が23%以上であれば◎、20%以上23%未満であれば〇、20%未満であれば△と評価した。
実施例及び比較例で得られた各塗料組成物をガラス板上に乾燥膜厚40μmになるように塗装した後、23℃、50%RH条件下で1週間硬化させて、塗膜を得た。作製した塗膜をケーニッヒ硬度計(BYK chemie社製)で測定し、塗膜の硬度を評価した。評価基準としては、測定回数が100回以上であれば〇、50回以上100回未満であれば△、50回未満であれば×とした。
実施例及び比較例で得られた各塗料組成物を白板上に乾燥膜厚40μmになるように塗装した後、23℃、50%RH条件下で1週間放置して硬化させて、塗膜を得た。作製した塗膜を白板ごと、屋外にて地面に塗装面が垂直に、且つ、南方向になるように固定し、暴露開始後3か月後に、塗膜の耐雨筋汚染性を目視で評価した。評価基準としては、雨筋が全く見られなければ〇、やや雨筋が見られる場合は△、雨筋が著しくみられる場合は×とした。
実施例及び比較例で得られた各塗料組成物をアルミ箔上に厚さ25μmになるように塗装した後、23℃、50%RH条件下で1週間放置して硬化させて、塗膜を得た。作製した塗膜をアルミ箔からはがしてサンプルとし、JIS Z0208(防湿包装材料の透湿度試験方法)に基づいて、条件B(温度40度、湿度90RH%)で測定し、塗膜の水蒸気バリア性を評価した。評価基準としては、水蒸気透過量が500g/mm2未満なら〇、500g/mm2以上1000g/mm2未満なら△、1000g/mm2以上なら×とした。
[合成例1]イソシアネート成分L−1(NTI)の合成
撹拌機、温度計及びガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内に、4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン(以下、単に「トリアミン」と称する場合がある)1060gをメタノール1500gに溶かし、これに35%濃塩酸1800mLを冷却しながら徐々に滴下した。減圧下にてメタノール及び水を除去して濃縮し、60℃、5mmHgの条件下にて24時間乾燥したところ、白色固体のトリアミン塩酸塩が得られた。得られたトリアミン塩酸塩650gを微粉末としてo−ジクロルベンゼン5000gに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。100℃に達した時点でホスゲンを200g/時間の速度にて吹込みはじめ、さらに昇温を続けて180℃に保持し、12時間ホスゲンを吹込み続けた。減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した後、真空蒸留することにより、沸点161℃/1.2mmHg以上163℃/1.2mmHg以下の無色透明な4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(以下、「NTI」と称する場合がある)420gが得られた。得られたNTIの粘度は8mPa・s/25℃で、NCO含有量は50.0質量%であった。得られたNTIをイソシアネート成分L−1とした。
撹拌機、温度計及びガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内に、エタノールアミン122.2g、o−ジクロロベンゼン100mL、及び、トルエン420mLを入れ、氷冷化塩化水素ガスを導入し、エタノールアミンを塩酸塩に転換した。次に、リジン塩酸塩182.5gを添加し、反応液を80℃に加熱し、エタノールアミン塩酸塩を溶解させ、塩化水素ガスを導入してリジン二塩酸塩とした。さらに、塩化水素ガスを20mL/分以上30mL/分以下の速度で通過させ、反応液を116℃に加熱し、水が留出しなくなるまでこの温度を維持した。生成した反応混合物をメタノール及びエタノールの混合液中で再結晶して、リジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩165gを得た。このリジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩100gを微粉末としてo−ジクロロベンゼン1200mLに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。120℃に達した時点でホスゲンを0.4モル/時間の速度にて吹込みはじめ、10時間保持し、その後150℃に昇温した。懸濁液はほとんど溶解した。冷却後ろ過し、減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した後、真空蒸留することにより、沸点155℃/0.022mmHg以上157℃/0.022mmHg以下の無色透明なリジントリイソシアネート(以下、「LTI」と称する場合がある)80.4gが得られた。得られたLTIの粘度は20mPa・s/25℃で、NCO含有量は47.1質量%であった。得られたLTIをイソシアネート成分L−2とした。
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、モノマーとしてNTI100g、及び、2−エチル−1−ヘキサノール0.5gを仕込み、温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒ベンジルトリメチルアンモニウムカプリン酸を0.01g加え、イソシアヌレート化反応を行った。転化率が42%になった時点でジブチルリン酸を0.05g添加し反応を停止した。反応液を更に120℃、15分保持し、イソシアネート成分L−3を得た。イソシアネート成分L−3の粘度は85mPa・s/25℃で、NCO含有量は42.3質量%であった。
合成例3と同様の装置に、モノマーとしてNTI100g、及び、メタノール0.6gを仕込み、温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリン酸を0.1g加え、イソシアヌレート化反応を行った。転化率が48%になった時点でジブチルリン酸を0.03g添加し反応を停止した。反応液を更に120℃、15分保持し、イソシアネート成分L−4を得た。イソシアネート成分L−4の粘度は80mPa・s/25℃で、NCO含有量は42.0質量%であった。
合成例3と同様の装置に、モノマーとしてNTI100g、トリメチルリン酸23g、メチルセロソルブアセテート23g、及び、水0.74gを仕込み、温度を90℃で1時間保持した。その後、温度を160℃にして2時間保持し、イソシアネート成分L−5を得た。得られたイソシアネート成分L−5の粘度は26mPa・s/25℃で、NCO含有量は44.8質量%であった。
合成例3と同様の装置に、モノマーとしてLTI100g、トリメチルリン酸20g、メチルセロソルブアセテート20g、及び、水0.56gを仕込み、温度を90℃で1時間保持した。その後、温度を160℃にして2時間保持し、イソシアネート成分L−6を得た。得られたイソシアネート成分L−6の粘度は33mPa・s/25℃で、NCO含有量は43.4質量%であった。
合成例3と同様の装置に、モノマーとしてHDI100g、及び、イソブタノール4gを仕込み、温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリン酸を0.1g加え、イソシアヌレート化反応を行った。転化率が30%になった時点でジブチルリン酸を0.03g添加し反応を停止した。反応液を更に120℃、15分保持し、得られた反応液を薄膜蒸発缶にフィードし、未反応のHDIを除去し、イソシアネート成分Q−1を得た。得られたイソシアネート成分Q−1の粘度は300mPa・s/25℃で、NCO含有量は20.0質量%であった。
合成例3と同様の装置に、モノマーとしてHDI100g、及び、イソブタノール0.1gを仕込み、温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリン酸を0.4g加え、イソシアヌレート化反応を行った。転化率が45%になった時点でジブチルリン酸を0.3g添加し反応を停止した。反応液を更に120℃、15分保持した。得られた反応液を薄膜蒸発缶にフィードし、未反応のHDIを除去し、イソシアネート成分Q−2を得た。得られたイソシアネート成分Q−2の粘度は2500mPa・s/25℃で、NCO含有量は21.5質量%であった。
1.イソシアネート組成物P−1の製造
実施例1として、イソシアネート成分L−1を50g、シリケート化合物MKCシリケート MS58B30を3g、低極性有機溶剤として、HAWS(High Aromatic White Spirit)(商品名、アニリン点17℃)及びソルベッソ100(商品名、エクソンモービル有限会社製)の混合溶剤(HAWS:ソルベッソ100=8:2、アニリン点−5℃)を47g配合して混合させ、イソシアネート組成物P−1を作製した。
アクリルポリオール(Nuplex Resin社の商品名「SETALUX1753」、樹脂分濃度70%、水酸基価138.6mgKOH/g)と、「1.」で得られたイソシアネート組成物を、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.0となるように配合し、さらに、酢酸ブチルで固形分50質量%になるように調整して、塗膜組成物を得た。得られた塗膜組成物について、各種評価を上記記載の方法を用いて行った結果、シリケート相溶性は〇、NCO含有量は◎、塗膜の硬度は〇、塗膜の耐雨筋汚染性は〇、塗膜の水蒸気バリア性は〇であった。評価結果を表1に示す。
1.イソシアネート組成物S−1の製造
イソシアネート成分として、L−1の代わりに、HDI(粘度は3mPa・s/25℃、NCO含有量は50.0質量%)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法を用いて、イソシアネート組成物S−1を作製した。
実施例1の「2.」と同様の方法を用いて、塗料組成物を作製した。得られた塗膜組成物について、各種評価を上記記載の方法を用いて行った。評価結果を表1に示す。
1.イソシアネート組成物P−2〜P−6及びS−2〜S−3の製造
イソシアネート成分として、L−1の代わりに、表1に示す種類のイソシアネート成分を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、各イソシアネート組成物を作製した。
実施例1の「2.」と同様の方法を用いて、塗料組成物を作製した。得られた塗膜組成物について、各種評価を上記記載の方法を用いて行った。評価結果を表1に示す。
また、トリイソシアネート(I)のみを含むイソシアネート成分を配合したイソシアネート組成物P−1及びP−2(実施例1〜2)は、トリイソシアネート(I)から誘導されたポリイソシアネート化合物及びトリイソシアネート(I)の両方を含むイソシアネート成分を配合したイソシアネート組成物P−3〜P−6(実施例3〜6)よりも、NCO含有量が47質量%以上と特に高かった。
Claims (6)
- 前記イソシアネート成分の25度における粘度が5mPa・s以上200mPa・s以下である請求項1又は2に記載のイソシアネート組成物。
- 前記イソシアネート成分のイソシアネート基含有量が40質量%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のイソシアネート組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のイソシアネート組成物と、
水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリオールと、
を含む塗料組成物。 - 請求項5に記載の塗料組成物を硬化させてなる塗膜。
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