JP2013091701A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性塗料等の硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性を改善すること。
【解決手段】硬化性組成物にカルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを配合する。
【選択図】なし
【解決手段】硬化性組成物にカルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを配合する。
【選択図】なし
Description
本発明は、カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物、特に、硬化性塗料等のコーティング用硬化性組成物に関する。
従来より、塗料に線状のカルビノール変性ジメチルポリシロキサンを配合することが知られている。例えば、特開2003−506519号公報、特開平9−328652号公報、特開平10−298290号公報、及び、特開平2−64181号公報では、塗膜に柔軟性、追従性等を付与するためにカルビノール変性ジメチルポリシロキサンを配合している。
一方、同じく、塗料に網状のカルビノール変性シリコーンレジンを配合することも知られている。例えば、特開平10−87834号公報、特開平7−82522号公報、特開平7−82525号公報、特開2009−531521号公報、特開2009−531522号公報、特開2007−525604号公報、特開2007−528424号公報、及び、特開2007−528425号公報には、塗膜に、耐傷付き性を付与するためにカルビノール変性シリコーンレジンを配合している。
しかし、塗料にカルビノール変性ジメチルポリシロキサンを配合する場合は、塗膜の硬度が低下し、また、耐傷付き性を向上させることが困難な場合がある。
一方、塗料にカルビノール変性シリコーンレジンを配合する場合は、塗膜の耐傷付き性を向上させることは可能であるが、その一方で、塗膜の硬度を高めることが困難な場合がある。また、シリコーンレジンは一般に常温で固体であるので取扱性に劣る。そこでシリコーンレジンを溶剤に溶解して溶液として使用する必要があるが、シリコーンレジンの種類によっては適切な溶解性を備える溶剤を選択するのが困難な場合があり、また、塗料中に溶剤が混入する。そのため、特に、水性塗料へのシリコーンレジンの配合は困難であり、また、溶剤による塗料の希釈が問題になる場合があった。
本発明は、上記の既存技術の問題点に鑑みて為されたものであり、塗料等の硬化性組成物に配合することにより当該組成物の硬化物の硬度及び耐傷付き性を向上させることが可能であり、しかも、取扱性に優れ、また、溶剤を使用する必要がない若しくは溶剤の使用量を抑制可能な添加剤を提供することを目的とする。そして、本発明は、そのような添加剤を配合することにより、硬化物の硬度及び耐傷付き性に優れる硬化性組成物を提供することをもその目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、 カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上のための有効成分として含む硬化性組成物用添加剤によって達成される。
本発明の添加剤は、25℃における動粘度が0.1〜10000mm2/sであることが好ましい。
前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(1):
[R1R2SiO2/2]n[R1 2SiO2/2]m (1)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
R2は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水酸基を有する、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
nは2〜8の整数を表わし、
mは0〜4の整数を表わし、
n≧mであり、
3≦n+m≦8である)で表されるものが好ましい。
[R1R2SiO2/2]n[R1 2SiO2/2]m (1)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
R2は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水酸基を有する、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
nは2〜8の整数を表わし、
mは0〜4の整数を表わし、
n≧mであり、
3≦n+m≦8である)で表されるものが好ましい。
前記式(1)におけるnは4〜6の整数であることが好ましい。
前記式(1)におけるmは0であることが好ましい。
前記少なくとも1つの水酸基を有する1価炭化水素基は、エーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有することができる。
前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンは、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物とのヒドロシリル化反応により得られるものが好ましい。
前記不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物はエーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有することができる。
前記アルコール性水酸基は保護されていてもよい。
また、本発明の目的は、上記添加剤を含む硬化性組成物によっても達成される。本発明の硬化性組成物はコーティング用であることが好ましい。
本発明のコーティング用硬化性組成物は硬化性塗料、特にウレタン系塗料、として好適に使用可能である。なお、本発明は、前記硬化性塗料の硬化塗膜及び当該硬化塗膜を有する物品にも関する。
更に、本発明は、カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを硬化性組成物に配合することを特徴とする、当該硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上方法にも関する。前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンとしては、上記のものを使用することができる。前記硬化性組成物及び前記硬化物は、それぞれ、上記の硬化性塗料及び硬化塗膜であることが好ましい。
本発明の添加物は、塗料等の硬化性組成物に配合することにより当該組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性を向上させることが可能であり、しかも、取扱性に優れ、また、溶剤を使用する必要がないか、若しくは、溶剤の使用量を低減することができる。
そして、本発明の硬化性組成物は、そのような添加剤を配合することにより、硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性に優れ、特に、硬度及び耐傷付き性の両方を改善することができる。
本発明の硬化性組成物用添加剤は、当該硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上のための有効成分としてカルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを含む。
本発明の添加剤は固形ではなく、流動性を有することが好ましい。特に、本発明の添加剤は、当該硬化性組成物の反応性希釈剤としても有効であるという点から、25℃における動粘度が0.1〜10000mm2/sであることが好ましく、0.5〜3000mm2/sがより好ましく、1〜2000mm2/sが更により好ましい。動粘度はJIS−K−2283に記載の方法で測定することができる。
前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1):
[R1R2SiO2/2]n [R1 2SiO2/2]m (1)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の、好ましくは炭素原子数1〜12の、より好ましくは炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
R2は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水酸基を有する、炭素原子数1〜20の、好ましくは炭素原子数1〜12の、より好ましくは炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
nは2〜8の整数を表わし、好ましくは4〜6の整数を表し、
mは0〜4の整数を表わし、好ましくは0を表わし、
n≧mであり、
3≦n+m≦8であり、好ましくは4≦n+m≦6である)で表されるものが好ましい。
[R1R2SiO2/2]n [R1 2SiO2/2]m (1)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の、好ましくは炭素原子数1〜12の、より好ましくは炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
R2は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水酸基を有する、炭素原子数1〜20の、好ましくは炭素原子数1〜12の、より好ましくは炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
nは2〜8の整数を表わし、好ましくは4〜6の整数を表し、
mは0〜4の整数を表わし、好ましくは0を表わし、
n≧mであり、
3≦n+m≦8であり、好ましくは4≦n+m≦6である)で表されるものが好ましい。
一般式(1)中のR1である、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基は、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が、少なくとも部分的に、フッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基(但し、水酸基を除く)で置換された基が挙げられる。
特に、R1は、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基又は一価フッ化炭化水素基であることが好ましい。R1に属する脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基のようなアラルキル基が例示され、一価フッ化炭化水素基は、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基が例示される。工業的には、R1がメチル基、エチル基、又は、フェニル基であることが好ましく、特に、全てのR1の90モル〜100%が、メチル基、エチル基、又は、フェニル基から選択される基であることが好ましい。
一般式(1)中のR2である、少なくとも1つの水酸基を有する、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基も、炭化水素基上の少なくとも1個の水素原子が水酸基で置換された基であれば特に限定されるものではないが、例えば、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、ヒドロキシオクチル基等)及びヒドロキシアリール基(ヒドロキシフェニル基、2−メチル−4−ヒドロキシフェニル基等)が挙げられる。R2が直鎖状の1価炭化水素基である場合は、その末端に水酸基が存在することが好ましい。なお、これらの基の炭素原子に結合した水素原子は、少なくとも部分的に、フッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基(但し、水酸基を除く)で置換されていてもよい。
前記R2は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)又はイミノ結合(−NR3−)を有することができる。前記R3は、水素原子又は前記R1と同様の1価炭化水素基であることができる。R2が直鎖状の1価炭化水素基である場合は、前記エーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合はR2の主鎖末端又は主鎖中に存在することができる。エーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有するR2としては、例えば、−O−CH2−OH、−O−(CH2)2−OH、−O−(CH2)3−OH、−O−(CH2)4−OH、−CH2−O−CH2−OH、−CH2−O−(CH2)2−OH、−CH2−O−(CH2)3−OH、−CH2−O−(CH2)4−OH、−(CH2)2−O−CH2−OH、−(CH2)2−O−(CH2)2−OH、−(CH2)2−O−(CH2)3−OH、−(CH2)2−O−(CH2)4−OH、−(CH2)3−O−CH2−OH、−(CH2)3−O−(CH2)2−OH、−(CH2)3−O−(CH2)3−OH、−(CH2)3−O−(CH2)4−OH、−(CH2)4−O−CH2−OH、−(CH2)4−O−(CH2)2−OH、−(CH2)4−O−(CH2)3−OH、−(CH2)4−O−(CH2)4−OH;−S−CH2−OH、−S−(CH2)2−OH、−S−(CH2)3−OH、−S−(CH2)4−OH、−CH2−S−CH2−OH、−CH2−S−(CH2)2−OH、−CH2−S−(CH2)3−OH、−CH2−S−(CH2)4−OH、−(CH2)2−S−CH2−OH、−(CH2)2−S−(CH2)2−OH、−(CH2)2−S−(CH2)3−OH、−(CH2)2−S−(CH2)4−OH、−(CH2)3−S−CH2−OH、−(CH2)3−S−(CH2)2−OH、−(CH2)3−S−(CH2)3−OH、−(CH2)3−S−(CH2)4−OH、−(CH2)4−S−CH2−OH、−(CH2)4−S−(CH2)2−OH、−(CH2)4−S−(CH2)3−OH、−(CH2)4−S−(CH2)4−OH;−NR3−CH2−OH、−NR3−(CH2)2−OH、−NR3−(CH2)3−OH、−NR3−(CH2)4−OH、−CH2−NR3−CH2−OH、−CH2−NR3−(CH2)2−OH、−CH2−NR3−(CH2)3−OH、−CH2−NR3−(CH2)4−OH、−(CH2)2−NR3−CH2−OH、−(CH2)2−NR3−(CH2)2−OH、−(CH2)2−NR3−(CH2)3−OH、−(CH2)2−NR3−(CH2)4−OH、−(CH2)3−NR3−CH2−OH、−(CH2)3−NR3−(CH2)2−OH、−(CH2)3−NR3−(CH2)3−OH、−(CH2)3−NR3−(CH2)4−OH、−(CH2)4−NR3−CH2−OH、−(CH2)4−NR3−(CH2)2−OH、−(CH2)4−NR3−(CH2)3−OH、−(CH2)4−NR3−(CH2)4−OH(R3は上記のとおり)等が挙げられる。前記R2はエーテル結合を有することが好ましく、主鎖中にエーテル結合を有することがより好ましい。
前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンの製造方法は特に限定されるものではないが、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物とのヒドロシリル化反応により調製することが好ましい。
環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、
(式中、
pは2〜8の整数であり、好ましくは4〜6の整数であり、
qは0〜4の整数であり、好ましくは0であり、
p≧qであり、
3≦p+q≦8であり、好ましくは、4≦p+q≦6である)の化合物を使用することができる。具体的には、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして、トリメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
pは2〜8の整数であり、好ましくは4〜6の整数であり、
qは0〜4の整数であり、好ましくは0であり、
p≧qであり、
3≦p+q≦8であり、好ましくは、4≦p+q≦6である)の化合物を使用することができる。具体的には、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして、トリメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物は、少なくとも1つの不飽和結合及び少なくとも1つのアルコール性水酸基を有する限り特に限定されるものではないが、前記不飽和結合は脂肪族不飽和結合であることが好ましい。したがって、不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物は不飽和脂肪族基を有することが好ましく、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基を有することがより好ましく、アリル基を有することが更により好ましい。
不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物としては、例えば、アリルアルコール、1−ブテン−4−オール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−メチル−1−ブテン−2−オール、1−ペンテン−5−オール、2−ペンテン−5−オール、1−ヘシセン−5−オール、1−ヘキセン−6−オール、1−オクテン−8−オール、3−メチル−2−プロペン−1−オール、ケイ皮アルコール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2,3−ジメチル−2−ブテン−1−オール、1,3−ペンタジエン−5−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,3−ヘキサジエン−6−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、3−シクロヘキセノール、2−ビニルフェノール、3−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、3−フルオロ−5−ビニルフェノール、3−アリルフェノール、4−アリルフェノール、3,5−ジアリルフェノール、3−イソプロペニルフェノール、4−イソプロペニルフェノール、3−ビニルベンジルアルコール、4−ビニルベンジルアルコール、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、3−ビニル−8−ナフトール、9−ビニル−10−アントロール、4−ビニル−4−ビフェノール等のアルケニルアルコールが挙げられる。
不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物は、エーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有することができ、エーテル結合を有することが好ましい。エーテル結合を有する不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物としては、例えば、2−アリルオキシ−エタノール、1−アリルオキシ−2−プロパノール、3−アリルオキシ−1−プロパノール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール等のアリルオキシ基を有する化合物が挙げられる。なお、チオエーテル結合又はイミノ結合を有するアルコール性水酸基含有化合物としては、例えば、2−アリルチオ−エタノール、1−アリルチオ−2−プロパノール、3−アリルチオ−1−プロパノール、3−アリルチオ−1,2−プロパンジオール等のアリルチオ基を有する化合物、及び、2−アリルイミノ−エタノール、1−アリルイミノ−2−プロパノール、3−アリルイミノ−1−プロパノール、3−アリルイミノ−1,2−プロパンジオール等のアリルイミノ基を有する化合物が挙げられる。
不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物の水酸基は保護されていることが好ましい。保護の態様は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤によってシリルエーテルに変換することが好ましい。前記シリルエーテルはヒドロシリル化反応後に加水分解して水酸基に再変換することができる。
ヒドロシリル化反応は、当該技術分野において周知・慣用の手法によって行うことができる。ヒドロシリル化反応は、触媒の存在下で行うことが好ましく、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.5〜1000ppm程度である。
本発明は、カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを硬化性組成物に配合することを特徴とする、硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上方法にも関する。
本発明の硬化性組成物用添加剤は、必須成分として、カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを含む。本発明の硬化性組成物用添加剤中のカルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンの存在割合は、例えば、50〜100重量(質量)%とすることができ、70〜100重量(質量)%が好ましく、90〜100重量(質量)%がより好ましく、98〜100重量(質量)%が更により好ましく、100重量(質量)%が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物用添加剤は、任意成分として、少なくとも1種の溶剤を含むことができる。前記溶剤は特に限定されるものではないが、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,ブタノール,イソブチルアルコール,エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,エチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(PGME)のようなアルコール類;アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等のケトン;トルエン,キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘキサン,オクタン,ヘプタン等の脂肪族系炭化水素;クロロホルム,塩化メチレン,トリクロロエチレン,四塩化炭素等の有機塩素系溶剤;酢酸エチル,酢酸ブチル,酢酸イソブチル等のエステル類;等が挙げられる。本発明の硬化性組成物用添加剤中の溶剤の存在割合は、例えば、0〜50重量(質量)%とすることができ、0〜30重量(質量)%が好ましく、0〜10重量(質量)%がより好ましく、0〜2重量(質量)%が更により好ましく、0重量(質量)%が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は本発明の添加剤を必須に含む。したがって、本発明の硬化性組成物は上記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを必須に含むものである。そして、本発明の硬化性組成物は上記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを含むために、当該硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性に優れている。
本発明の硬化性組成物に占める本発明の添加剤の存在割合は特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜50重量(質量)%とすることができ、1〜40重量(質量)%が好ましく、2〜30重量(質量)%がより好ましく、3〜20重量(質量)%が更により好ましく、4〜10重量(質量)%が特に好ましい。したがって、本発明の硬化性組成物に占める上記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンの割合も特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜25重量(質量)%とすることができ、1〜20重量(質量)%が好ましく、2〜15重量(質量)%がより好ましく、3〜10重量(質量)%が更により好ましく、4〜5重量(質量)%が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は硬化性である限り特に限定されるものではないが、任意の基体のコーティング用であることが好ましく、塗料であることがより好ましい。硬化の態様も特に限定されるものではなく、常温硬化型、常温乾燥型、加熱硬化型のいずれであってもよい。また、硬化性組成物の形態も特に限定されるものではなく、液状又は固体状のいずれであってもよいが、取扱性の点では液状であることが好ましい。
基体は特に限定されるものではなく、各種の無機系基体及び有機系基体、或いは、それらの組み合わせを使用することができる。 無機系基体としては、例えば、アルミニウム等の金属からなる基体が挙げられる。また、有機系基体としては、例えば、有機樹脂、木材、紙等の物質からなる基体が挙げられる。有機樹脂をより具体的に例示すると、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、シリコーン、アクリルシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。特に、シリコーン、変性シリコーン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリルポリマーが好ましい。基体の形状も特に限定されるものではなく、立方体、直方体、球形、シート形等の任意の形状をとることができる。なお、基体は多孔質であってもよい。
本発明のコーティング用硬化性組成物、好ましくは硬化性塗料、はウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム等の樹脂又はゴム、及び、必要に応じて配合される架橋剤を塗膜形成性成分として含むことができる。特に、本発明のコーティング用硬化性組成物は、ウレタン樹脂をベースとするウレタン系塗料であることが好ましい。
ウレタン樹脂は主鎖中にウレタン結合−NHCOO−を持つ高分子化合物で、通常、ポリイソシアネート及びポリオールから生成される。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式のポリイソシアネート及びそれらのオリゴマー、カルボジイミド変性物、ポリオール変性物、アロファネート変性物等の1種或いは2種以上を使用することができる。具体例として、脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、脂環式ポリイソシアネートとしては、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等、芳香族ポリイソシアネートとしては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、メチントリス(4−フェニルイソシアネート)、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、チオリン酸トリス(4−イソシアナトフェニルエステル)、3−イソプロペニル−α’,α’−ジメチルベンジルイソシアネート及びこれらのオリゴマー混合物、或いはこれらのポリイソシアネート化合物のカルボジイミド、ポリオール及びアロファネート等の変性物が挙げられる。
ポリイソシアネートのオリゴマーは、例えばジイソシアネートを、ビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン結合等を形成させてオリゴマー化させることにより得られる。ポリオールとの反応によって得られるポリウレタン樹脂塗膜の硬度と柔軟性のバランスの観点からは、脂肪族ポリイソシアネートのオリゴマー等のポリイソシアネートを使用することが好ましい。
ポリオールとしては、1分子当り2個以上のヒドロキシル基を含有する化合物或いは重合体を使用することができる。ポリオールとしては、例えば、ジオール、トリオール、テトラオール、ペンチトール、ヘキシトール、並びに1分子当り2個以上のヒドロキシル基を含有する飽和又は不飽和ポリエステル(以下「ポリエステルポリオール」という)、ポリエーテル(以下「ポリエーテルポリオール」という)、アクリル系重合体(以下「ポリアクリルポリオール」という)、ポリカプロラクトン、飽和又は不飽和の油変性又は脂肪酸変性アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、セルロースアセテートブチラート樹脂、含フッ素樹脂等のポリマーポリオール等が挙げられる。
例えば、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、β、β’−ジヒドロキシジエチルエーテル(ジエチレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレン−ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等、トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等、テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、2−メチルグルコサイド等、ヘキシトールとしては、ソルビトール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、アジピン酸、ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のジオール又はトリオールとの縮合反応によって得ることができる。また、ポリエーテルポリオールには、グリセリンやプロピレングリコール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等を付加させたものや、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドに、エチレンジアミン、エタノールアミン等の多官能化合物を反応させたヒドロキシル基に富んだもの等が含まれる。
更に、ポリアクリルポリオールは、1分子中に1個以上の水酸基を有する重合性アクリルモノマーと、これに共重合可能な他のモノマーを共重合することによって得ることができる。1分子中に1個以上の水酸基を有する重合性アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル、グリセリンの(メタ)アクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸モノエステル、及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル等のヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル、或いは上記のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとε−カプロラクロン、γ−バレロラクトン等のラクトンの開環重合付加物等が挙げられる。
上記のヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、又はα−メチルスチレン、β−クロロスチレン等のスチレン誘導体類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、又は(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類が挙げられる。また、アクリル酸やメタクリル酸とモノエポキシ化合物或いはエポキシ樹脂との付加反応によって得られた重合性付加物等も用いることができる。
上記モノマーを共重合させたポリマーポリオールの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合方法によって行うことができる。これらのポリオールは、2種以上を混合して用いてもよい。一般にはポリエステルポリオール又はポリアクリルポリオールを使用することが好ましい。ポリオールの水酸基価は、1〜1000mgKOH/gが好ましく、10〜500mgKOH/gが更に好ましい。水酸基価が1mgKOH/g以上でポリウレタン樹脂塗膜が強靭となるため好ましく、水酸基価が1000mgKOH/g以下でポリウレタン樹脂塗膜の表面の平滑性と柔軟性が良くなるため好ましい。
ポリオールの数平均分子量は、300〜20000程度が好ましく、500〜12000程度が更に好ましい。300以上で、硬化した塗膜の機械的物性が高く好ましい。また20000以下で、ポリオールの粘度が低く、塗装するに適当な塗料粘度に調整するために要する希釈溶剤の不要であるか、その量が少なく、好ましい。後述する低VOC(揮発性有機物)濃度の塗料を達成するためには、ポリオールの数平均分子量は500〜5000程度が好ましく用いられる。
本発明のウレタン系塗料においては、NCO/OH(イソシアネート基/水酸基)比率(モル比)は、0.1〜5.0が好ましく、0.3〜3.0が更に好ましい。0.1未満ではポリウレタン樹脂塗膜が脆弱となる場合があり好ましくなく、5.0を超えると架橋に関与しないポリイソシアネートが多量に存在するためポリウレタン樹脂塗膜の機械的物性に悪影響を及ぼす場合があり、好ましくない。本発明のウレタン系塗料は、一液型又は二液型のいずれであってもよい。
本発明のコーティング用硬化性組成物、好ましくは塗料、は必要により溶剤を含んでもよい。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、芳香族ナフサ等の炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ、酢酸ヘキシル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサンノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のコーティング用硬化性組成物、好ましくは塗料、は必要に応じて上記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサン等を中和剤や界面活性剤を配合して水性媒体中に乳化、分散させた水性コーティング用硬化性組成物であってもよい。
上記中和剤としては、カルボキシル基やアミノ基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノプロパノール、トリエチルアミン、アンモニウム、ギ酸、酢酸、乳酸、リン酸が例示される。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合物等のノニオン系界面活性剤、ラウリル硫酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤が例示される。
上記水性媒体としては、水、または、水及び低級アルコール等の水溶性有機溶媒の混合物である水−有機溶媒混合溶液等が例示される。
本発明のコーティング用硬化性組成物は、更に、顔料、例えば、酸化チタン,群青,紺青,亜鉛華,ベンガラ,黄鉛,鉛白,カーボンブラック,酸化鉄,アルミニウム粉等の無機顔料;アゾ系顔料,トリフェニルメタン系顔料,キノリン系顔料,アントラキノン系顔料,フタロシアニン系顔料等の有機顔料;石英微粉末,炭酸カルシウム粉末,けいそう土粉末,水酸化アルミニウム粉末,微粒状アルミナ,マグネシア粉末,酸化亜鉛粉末,中空充填剤等の増量充填剤;白金化合物,煙霧質二酸化チタン,炭酸亜鉛粉末、炭酸マンガン粉末等の難燃剤等を含有していてもよい。さらに、必要に応じて、防錆剤,紫外線吸収剤,光安定剤,タレ防止剤,レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
本発明のコーティング用硬化性組成物は、カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを含む本発明の添加剤、及び、必要に応じて他の任意成分を、周知の混練装置、例えば、ロスミキサー,ホバートミキサー,トレロミキサー,ヘンシェルミキサー,ニーダミキサー,フロージェットミキサー,ボールミル,振動ミル,パドルミキサー,リボンミキサー等の混練装置に投入して、好ましくは密閉下で混練することにより容易に製造することができる。混練時に加熱してもよく、加熱温度は30〜200℃であることが好ましい。各成分を混練する順序は任意であるが、全成分を同時に混練する方法、及び、混合すると硬化が開始する成分を最後に混練する方法が挙げられる。
本発明のコーティング用硬化性組成物、好ましくは塗料、は、例えば、浸漬、吹付け、刷毛塗り、ブレードコーテイング等の従来公知の方法によって基体上に塗布することができる。1回塗りだけでなく、複数回塗り重ねてもよい。塗布後は、加熱下又は常温下、好ましくは常温下、で放置してそのまま硬化させて塗膜を得ることができる。塗膜の厚さは任意であるが、1〜500μmとすることが好ましい。
本発明の硬化性塗料は、乾燥及び塗膜の硬化を促進するために、触媒を配合してもよい。触媒としては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の第3級アミンや、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫塩を使用することができる。
本発明により得られる塗膜は、高い硬度及び/又は良好な耐傷付き性を発揮することができるが、高い硬度及び良好な耐傷付き性を同時に両立することができるので、任意の物品の表面に好適に形成することができ、特に、自動車、航空機、列車等の輸送機器の塗装に好適に使用することができる。
以下に、本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
[合成例1] <TMS保護アリルグリコールの合成>
撹拌装置、温度計、還流管、及び、滴下漏斗を取り付けた反応器中にヘキサメチルジシラザン 237gとトリフルオロ酢酸 0.049gを導入し、100℃まで加熱攪拌した。アリルグリコール 250gを滴下漏斗から徐々に加え、反応を開始した。反応は、アンモニアの発生を伴って瞬時に進行した。滴下終了後、ガスクロマトグラフィーにより、原料のアリルグリコールの消失を確認した。還流管を蒸留管に取り替え、減圧下低揮発分を取り除いた。更に、減圧蒸留(81℃、32mmHg)することにより、アリルグリコールのトリメチルシリル(TMS)保護物が360g(85%収率)、透明な液体として得られた。
撹拌装置、温度計、還流管、及び、滴下漏斗を取り付けた反応器中にヘキサメチルジシラザン 237gとトリフルオロ酢酸 0.049gを導入し、100℃まで加熱攪拌した。アリルグリコール 250gを滴下漏斗から徐々に加え、反応を開始した。反応は、アンモニアの発生を伴って瞬時に進行した。滴下終了後、ガスクロマトグラフィーにより、原料のアリルグリコールの消失を確認した。還流管を蒸留管に取り替え、減圧下低揮発分を取り除いた。更に、減圧蒸留(81℃、32mmHg)することにより、アリルグリコールのトリメチルシリル(TMS)保護物が360g(85%収率)、透明な液体として得られた。
[合成例2] <カルビノール変性環状オルガノポリシロキサンの合成>
撹拌装置、温度計、還流管、及び、滴下漏斗を取り付けた反応器中に、合成例1で得られたアリルグリコールのTMS保護物 250gを導入し、65℃まで加熱攪拌した。テトラメチルシクロテトラシロキサン 68.9g及び白金触媒(白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液:白金金属含有量約4000ppm) 0.080gをそれぞれ8回に分けて添加し、ヒドロシリル化を行った。反応の終了は、水素発生法で確認した。減圧下(20mmHg)で加熱(100℃)することにより、低揮発分を除去した。その後、メタノール184g、及び、酢酸2.2gを新たに添加し、60℃まで加熱攪拌した。メタノール還流下で、このTMSを除去する脱保護反応を7時間行った。脱保護完了後、メタノール及び酢酸を減圧下でストリッピングしたところ、カルビノール変性環状オルガノポリシロキサンが146g(78%収率)、淡黄色の液状物として得られた。生成物は、NMRにより確認され、25℃における動粘度は1680mm2/sであった。
撹拌装置、温度計、還流管、及び、滴下漏斗を取り付けた反応器中に、合成例1で得られたアリルグリコールのTMS保護物 250gを導入し、65℃まで加熱攪拌した。テトラメチルシクロテトラシロキサン 68.9g及び白金触媒(白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液:白金金属含有量約4000ppm) 0.080gをそれぞれ8回に分けて添加し、ヒドロシリル化を行った。反応の終了は、水素発生法で確認した。減圧下(20mmHg)で加熱(100℃)することにより、低揮発分を除去した。その後、メタノール184g、及び、酢酸2.2gを新たに添加し、60℃まで加熱攪拌した。メタノール還流下で、このTMSを除去する脱保護反応を7時間行った。脱保護完了後、メタノール及び酢酸を減圧下でストリッピングしたところ、カルビノール変性環状オルガノポリシロキサンが146g(78%収率)、淡黄色の液状物として得られた。生成物は、NMRにより確認され、25℃における動粘度は1680mm2/sであった。
[実施例1] <ウレタンコーティング剤の調製>
市販のポリオール(製品名:デスモフェンA870、住化バイエルウレタン製)に表1及び表2に示す各種のカルビノール基含有オルガノポリシロキサンを所定量配合(2重量%又は5重量%の濃度)し、良く撹拌して、混合液を得た。前記混合液100重量部に、更に5重量部の酢酸ブチル、5重量部のキシレン、及び、イソシアネート系硬化剤(商品名:スミジュールN330、住化バイエルウレタン製)をカルビノール基とイソシアネート基が1:1当量となる量を配合して、実施例1〜2、及び、比較例1〜8のウレタンコーティング剤を調製した。なお、前記混合液に代えて前記ポリオールのみを使用した以外は同様にして対照のウレタンコーティング剤を調製した。
市販のポリオール(製品名:デスモフェンA870、住化バイエルウレタン製)に表1及び表2に示す各種のカルビノール基含有オルガノポリシロキサンを所定量配合(2重量%又は5重量%の濃度)し、良く撹拌して、混合液を得た。前記混合液100重量部に、更に5重量部の酢酸ブチル、5重量部のキシレン、及び、イソシアネート系硬化剤(商品名:スミジュールN330、住化バイエルウレタン製)をカルビノール基とイソシアネート基が1:1当量となる量を配合して、実施例1〜2、及び、比較例1〜8のウレタンコーティング剤を調製した。なお、前記混合液に代えて前記ポリオールのみを使用した以外は同様にして対照のウレタンコーティング剤を調製した。
[評価]
実施例1〜2及び比較例1〜8のウレタンコーティング剤を黒色塩化ビニル製パネル上に塗布し、室温で3日間放置して硬化塗膜を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜8のウレタンコーティング剤を黒色塩化ビニル製パネル上に塗布し、室温で3日間放置して硬化塗膜を得た。
(塗膜鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4に準じて硬化塗膜の鉛筆硬度を測定した。
JIS K5600−5−4に準じて硬化塗膜の鉛筆硬度を測定した。
(耐傷付き性)
表面光沢計を用いて硬化塗膜の初期の20°光沢値を測定した。その後、硬化塗膜表面にスチールウールを荷重100gで押しつけた状態で10往復させて硬化塗膜表面を擦り、毎分5Lの流量の水で1分間、硬化塗膜表面を洗浄し、表面光沢計を用いて乾燥後の20°グロスを再度測定した。結果を表1及び表2に併せて示す。
表面光沢計を用いて硬化塗膜の初期の20°光沢値を測定した。その後、硬化塗膜表面にスチールウールを荷重100gで押しつけた状態で10往復させて硬化塗膜表面を擦り、毎分5Lの流量の水で1分間、硬化塗膜表面を洗浄し、表面光沢計を用いて乾燥後の20°グロスを再度測定した。結果を表1及び表2に併せて示す。
オルガノポリシロキサン1:合成例2で調製したカルビノール変性環状オルガノポリシロキサン(25℃における動粘度1680mm2/s)
オルガノポリシロキサン2:下記式
[(CH3)2SiO2/2]23[(CH3)R’SiO2/2]4[(CH3)3SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-O-(CH2)2-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度250mm2/s)
[(CH3)2SiO2/2]23[(CH3)R’SiO2/2]4[(CH3)3SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-O-(CH2)2-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度250mm2/s)
オルガノポリシロキサン3:下記式
[(CH3)2SiO2/2]7[(CH3)R’SiO2/2]3[(CH3)3SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-(O-(CH2)2)12-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度285mm2/s)
[(CH3)2SiO2/2]7[(CH3)R’SiO2/2]3[(CH3)3SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-(O-(CH2)2)12-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度285mm2/s)
オルガノポリシロキサン4:下記式
[(CH3)2SiO2/2]14[(CH3)2 R’SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-(O-(CH2)2)12-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度308mm2/s)
[(CH3)2SiO2/2]14[(CH3)2 R’SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-(O-(CH2)2)12-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度308mm2/s)
オルガノポリシロキサン5:下記式
[(CH3)2SiO2/2]14[(CH3)2 R’SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-O-(CH2)2-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度45mm2/s)
[(CH3)2SiO2/2]14[(CH3)2 R’SiO1/2]2
R’;-(CH2)3-O-(CH2)2-OH
で表わされるオルガノポリシロキサン(25℃における動粘度45mm2/s)
表1及び表2から明らかなように、合成例2のカルビノール変性環状オルガノポリシロキサンを含む実施例1及び実施例2の塗料は、高い硬度を備え、また、耐傷付き性にも優れている塗膜を形成することができた。
一方、カルビノール変性線状オルガノポリシロキサンを含む比較例1〜8の塗料から得られる塗膜は、高い硬度及び良好な耐傷付き性を両立することができなかった。
Claims (15)
- カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上のための有効成分として含む硬化性組成物用添加剤。
- 25℃における動粘度が0.1〜10000mm2/sである、請求項1記載の添加剤。
- 前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(1):
[R1R2SiO2/2]n [R1 2SiO2/2]m (1)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
R2は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水酸基を有する、炭素原子数1〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の1価炭化水素基を表わし、
nは2〜8の整数を表わし、
mは0〜4の整数を表わし、
n≧mであり、
3≦n+m≦8である)で表される、請求項1又は2記載の添加剤。 - 前記式(1)におけるnが4〜6の整数である、請求項3記載の添加剤。
- 前記少なくとも1つの水酸基を有する1価炭化水素基が、エーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有する、請求項3又は4記載の添加剤。
- 前記カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンが、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物とのヒドロシリル化反応により得られる、請求項1乃至5のいずれかに記載の添加剤。
- 前記不飽和結合を有するアルコール性水酸基含有化合物がエーテル結合、チオエーテル結合又はイミノ結合を有する、請求項6記載の添加剤。
- 前記アルコール性水酸基が保護されている、請求項6又は7記載の添加剤。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の添加剤を含む硬化性組成物。
- コーティング用である請求項9記載の硬化性組成物。
- 請求項10記載のコーティング用硬化性組成物からなる硬化性塗料。
- ウレタン系塗料である、請求項11記載の硬化性塗料。
- 請求項11又は12の硬化性塗料の硬化塗膜。
- 請求項13記載の硬化塗膜を有する物品。
- カルビノール基含有環状オルガノポリシロキサンを硬化性組成物に配合することを特徴とする、硬化性組成物の硬化物の硬度及び/又は耐傷付き性向上方法。
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