JP7395321B2 - 塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料組成物に関するものである。
従来、ポリウレタン樹脂は、合成皮革、人工皮革、接着剤、家具用塗料、自動車塗料等の幅広い領域で使用されており、イソシアネ-トと反応させるポリオール成分としてポリエーテルやポリエステルが用いられている(例えば、特許文献1~2参照)。しかしながら、近年、耐熱性、耐候性、耐加水分解性、耐黴性、耐油性等、樹脂の耐性への要求の高度化や、さらには手触り感覚がソフトなソフトフィール塗料への要求が高まってきている。通常、樹脂の耐性を向上させるためには、ポリマーへの架橋構造の導入が一般的であるが、この手段によると、例えば、樹脂を原料とする塗料では、得られる塗膜は硬くなってしまうため、耐性に関するハイレベルの要求とソフトフィールとを両立させることは困難である。
これらの問題を解決する手段として、耐熱性、耐候性、耐加水分解性、耐油性、耐薬品性に優れる、各種ポリカーボネートジオールを用いた硬化性塗料組成物が提案されている。
例えば、特許文献3には、2-メチル-1,3プロパンジオールからなるポリカーボネートジオールを用いたコーティング組成物が提案されている。このコーティング剤組成物は、耐薬品性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性、密着性などの物性バランスに優れた塗料、コーティング剤などに使用される。2-メチル-1,3-プロパンジオールからなるポリカーボネートジオールは、従来の1,6-ヘキサンジオールからなるポリカーボネートジオールに比べ、常温での結晶性が低いため柔軟性に優れる。またポリカーボネートジオール中にカーボネート基の濃度が高いため、耐薬品性、耐摩耗性に優れる。
また、例えば、特許文献4には、1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとを共重合してなるポリカーボネートジオールを用いた塗料組成物が提案されている。この1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとを共重合してなるポリカーボネートジオールは非晶性であるため柔軟性に優れ、また比較的ガラス転移温度が低いので低温特性も改良されている。
また、例えば、特許文献5には、1,4-ブタンジオールと1,5-ペンタンジオールとを共重合してなるポリカーボネートジオールを用いた塗料用組成物が提案されている。この1,4-ブタンジオールと1,5-ペンタンジオールとを共重合してなるポリカーボネートジオールを用いた塗料用組成物は、ポリカーボネートジオール中のカーボネート基濃度が、1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとを共重合してなるポリカーボネートジオールに比べ高いため、耐薬品性や塗膜硬度が改良されている。この塗料組成物は各種性能のバランスに優れ、移動端末用ソフトフィール塗料用として好適に使用される。
特開2000-95836号公報 特開2001-123112号公報 特開2008-37993号公報 特開2008-63395号公報 特開2008-75048号公報
一方で、特許文献3に記載のコーティング組成物は、使用されるポリカーボネートジオールの側鎖にメチル基を有するため、分子運動性が低く、柔軟性については改善の余地があり、ガラス転移温度も高くなるため低温特性にも課題が有る場合がある。また、特許文献4に記載の塗料組成物は、ポリカーボネートジオール中のカーボネート基の濃度が2-メチル-1,3-プロパンジオールからなるポリカーボネートジオールより低くなるため、耐薬品性や耐摩耗性の低下が課題となる場合がある。また、特許文献5に記載の塗料組成物は、自動車の内装等に使用されるソフトフィール塗料のさらに厳しい要求性能、特に塗膜硬度、耐摩耗性、低温柔軟性の点で、更なる向上が求められる場合がある。
本発明は、耐薬品性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、かつソフトタッチ感のある塗膜を形成可能にする塗料組成物を提供することを目的とする。
また、従来のポリカーボネートジオールは、結晶化により、低温で固化あるいはワックス状になってしまうため、特に冬場での使用に課題が有る。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の有機ポリイソシアネート化合物と特定構造のポリカーボネートジオールとを組み合わせることにより、上記課題を解決しうる塗料組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の態様を含むものである。
[1]
硬化剤(a)及びポリカーボネートジオール(b)を含有し、
前記硬化剤(a)が、1分子中にイソシアネート基を2.5以上有する有機ポリイソシアネート化合物であり、
前記ポリカーボネートジオール(b)が、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有し、
前記ポリカーボネートジオール(b)において、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が41.5~45.7質量%であり、かつ数平均分子量が900~3100g/molである、塗料組成物。
(式中、R1は、炭素数2~20の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。)
[2]
前記(b)ポリカーボネートジオールにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の内、20モル%以上が下記式(2)で表される繰り返し単位であり、かつ、式(1)で表される繰り返し単位の内20モル%以上が下記式(3)で表される繰り返し単位である、[1]に記載の塗料組成物。
[3]
平均粒子径が4~15μmの無機微粉末を全固形分に対して1~20質量%含む、[1]又は[2]に記載の塗料組成物。
[4]
平均粒子径が2~20μmのポリウレタン粒子を全固形分に対して3~30質量%含む、[1]~[3]のいずれかに記載の塗料組成物。
[5]
不活性有機溶剤を1~90質量%含む、[1]~[4]のいずれかに記載の塗料組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の塗料組成物を、成型物に塗装した塗料被覆成型物。
本発明の塗料組成物によれば、耐薬品性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、手触り感覚がソフトな塗膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪塗料組成物≫
本実施形態の塗料組成物は、硬化剤(a)及びポリカーボネートジオール(b)を含有し、硬化剤(a)が1分子中にイソシアネート基を2.5以上有する有機ポリイソシアネート化合物であり、ポリカーボネートジオール(b)が、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有し、ポリカーボネートジオール(b)において、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が41.5~45.7質量%であり、かつ数平均分子量が900~3100g/molである。
(式中、R1は、炭素数2~20の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。)
本実施形態の塗料組成物は、このような硬化剤(a)及びポリカーボネートジオール(b)を含有することにより、耐薬品性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、かつソフトタッチ感のある塗膜を形成することができる。
<(a)硬化剤>
本実施形態で用いる(a)の硬化剤は、1分子中にイソシアネート基を2.5以上有する有機ポリイソシアネート化合物である。該有機ポリイソシアネート化合物は、脂肪族及び/又は脂環族有機ジイソシアネート化合物から誘導することができる。
(a)有機ポリイソシアネート化合物としては、特に耐候性の点から、脂肪族及び/又は脂環族有機ジイソシアネート化合物から誘導されたポリイソシアネート類であることが好ましく、具体的には、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートが挙げられる。更には、これらのポリイソシアネートを、例えば、ブタノール、2-エチルヘキサノール等の低級アルコール、メチルエチルケトンオキシム、ラクタム類、フェノール類、イミダゾール類、活性メチレン化合物等公知のブロック剤でブロックした、いわゆるブロックドイソシアネート系硬化剤を用いることもできる。これらポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、スミジュール44S、44V70(いずれも住化バイエルウレタン製)、TDIとHDIとのコポリマーであるディスモジュールHL(住化バイエルウレタン製)、旭化成株式会社製の各種デュラネート、すなわちデュラネート24A-100、デュラネート22A-75PX、デュラネート18H-70B、デュラネート21S-75E、デュラネートTHA-100、デュラネートTPA-100、デュラネートMFA-75X、デュラネートTSA-100、デュラネートTSS-100、デュラネートTSE-100、デュラネートD-101、デュラネートD-201、デュラネートP-301-75E、デュラネートE-402-90T、デュラネートE-402-90T、デュラネートE-405-80T、デュラネートME20-100、デュラネート17B-60PX、デュラネートTPA-B80X、デュラネートMF-B60X、デュラネートE-402-B80T、デュラネートME20-B80S、デュラネートWB40-100、デュラネートWB40-80D、デュラネートWT20-100、デュラネートWT30-100等として入手可能である。硬化塗膜の耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐油性、耐磨耗性、耐傷付き性を向上させる観点から、有機ポリイソシアネート化合物が、1分子中に2.5以上のイソシアネート基及び/又はブロックドイソシアネート基を有する、脂肪族及び/又は脂環族有機イソシアネート化合物であることが好ましく、具体的にはビウレット、アロファネート、ウレトジオン、イソシアヌレート等のジイソシアネート誘導体、及び多価アルコールアダクト型がより好ましい。
また、有機ポリイソシアネート化合物において、1分子中のイソシアネート基の数は、2.5~8.0であることが好ましく、3.0~6.0であることがより好ましい。
なお、本実施形態において、有機ポリイソシアネート化合物における1分子中のイソシアネート基の数(平均官能基数)は、JIS K7301-1995記載の方法により求められるイソシアネート基含有率(質量%)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定により求められる有機ポリイソシアネートの数平均分子量から、下記式により求めることができる。
平均官能基数=有機ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42
なお、イソシアネート基含有率及び有機ポリイソシアネートの数平均分子量の具体的な分析方法は以下のとおりである。
(物性1)イソシアネート基含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301-1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施する。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率の測定方法を示す。
(1)試料1gを200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させる。
(2)その後、上記フラスコに2.0Nのジ-n-ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置する。
(3)上記フラスコに2-プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得る。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量を求める。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)~(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量を求める。
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率を以下の計算方法により算出する。
イソシアネート基含有率(質量%)=(ブランク滴定量-試料滴定量)×42/[試料質量(g)×1,000]×100%。
(物性2)有機ポリイソシアネートの数平均分子量
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートと未反応ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネートの数平均分子量は、以下の装置及び条件を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定する。
装置:東ソー(株)製 HLC-8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)製 TSKgelSuperH1000(商品名)×1本、TSKgelSuperH2000(商品名)×1本、TSKgelSuperH3000(商品名)×1本、
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
(物性3)平均イソシアネート官能基数
ポリイソシアネート組成物を試料として、平均イソシアネート官能基数は、ポリイソシアネート1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、(物性2)で測定した有機ポリイソシアネートの数平均分子量と(物性1)で測定したイソシアネート基含有率から以下のとおり算出する。
平均官能基数=有機ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42
<(b)ポリカーボネートジオール>
本実施形態の塗料組成物に用いる(b)ポリカーボネートジオールは、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有し、ポリカーボネートジオール(b)において、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が41.5~45.7質量%であり、かつ数平均分子量が900~3100g/molである。
(式中、R1は、炭素数2~20の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。)
(b)ポリカーボネートジオールを製造する際の原料のジオールとして、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ナノジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール、2-メチル-1、8-オクタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチルー1、5-ペンタンジオール、2-ブチルー2-エチルー1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチルー1,3-プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパンなどの環状ジオールから、1種類又は2種類以上のジオールを使用することができる。
また、1分子に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを少量用いることにも出来る。この1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物を余り多く用いると、ポリカーボネートの重合反応中に架橋してゲル化が起きてしまうおそれがある。したがって1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物は、脂肪族及び/又は脂環族ジオールの合計量に対し、0.01~5質量%にするのが好ましい。より好ましくは0.01~1質量%である。
本実施形態に用いる(b)ポリカーボネートジオールとして特に好ましいのは、1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとを原料としたポリカーボネートジオールであり、具体的には、前記(b)ポリカーボネートポリオールにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の内、20モル%以上が、1,4-ブタンジオール由来の下記式(2)で表される繰り返し単位であり、かつ式(1)で表される繰り返し単位の内、20モル%以上が、1,6-ヘキサンジオール由来の下記式(3)で表される繰り返し単位であるポリカーボネートジオールであることが好ましい。
(b)ポリカーボネートポリオールにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の内、式(2)で表される繰り返し単位の割合は、20~90モル%であることが好ましく、35~65モル%であることがより好ましく、式(3)で表される繰り返し単位の割合は、20~90モル%であることが好ましく、35~65モル%であることがより好ましい。
なお、本実施形態において、式(2)及び(3)で表される繰り返し単位の割合は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態に用いる(b)ポリカーボネートジオールの製造方法は、特に限定されない。例えば、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9~20(1994年)に記載される種々の方法で製造することが出来る。
製造方法の一例としては、特に限定されないが、例えば、後述のカーボネート原料と前述のジオール原料とを混和し、常圧又は減圧下、エステル交換触媒の存在下、100~200℃で反応させ、生成するカーボネート原料由来のアルコールを除去して、低分子量ポリカーボネートジオールを得て、次いで、減圧下、160~250℃で加熱して、未反応のカーボネート原料とジオールとを除去するとともに、低分子量ポリカーボネートジオールを縮合させて、所定の分子量のポリカーボネートジオールを得る方法が挙げられる。
本実施形態に用いる(b)ポリカーボネートジオールの合成に使用するカーボネート原料としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。これらの内から1種又は2種以上のカーボネートを原料として用いることが出来る。入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネートを用いることがさらに好ましい。
本実施形態に用いる(b)ポリカーボネートジオールの製造は、通常触媒を添加して実施される。本実施形態で使用する触媒は、通常のエステル交換反応触媒から自由に選択することが出来る。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウムなどの金属、塩、アルコキシド、有機化合物が用いられる。特に好ましいのは、チタン、スズ、鉛の化合物である。また、触媒の使用量は、通常はポリカーボネートジオール質量の0.00001~0.1%である。
本実施形態の塗料組成物に用いる(b)ポリカーボネートジオールにおいて、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が41.5~45.7質量%であり、より好ましくは42.2~44.3質量%であり、さらに好ましくは42.8~43.8質量%である。
カーボネート基含有量はポリカーボネートジオール1分子中に含まれるカーボネート基の量であり、具体的には下記式(I)で求めれれる。
カーボネート基含有量(%)=(カーボネート基分子量)×(1分子中の繰り返し単位数)/(ポリカーボネートジオールの数平均分子量)×100 (I)
(ここでカーボネート基(-O-C=O-O-)の分子量は60.01である。)
ポリカーボネートジオール1分子中に含まれるカーボネート基含有量が前記下限値以上であると、得られる塗膜の耐薬品性、耐摩耗性、耐傷つき性が向上する。また、ポリカーボネートジオール1分子中に含まれるカーボネート基含量が前記上限値以下であると、得られる塗膜のソフトフィール感が向上する。
なお、本実施形態において、ポリカーボネートジオール1分子中に含まれるカーボネート基含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態に用いる(b)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は900~3100g/molであり、好ましくは1400~2600g/molであり、より好ましくは1800~2200g/molである。(b)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が前記下限値以上であると、塗膜のソフトフィール性が向上する。また、(b)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が前記上限値以下であると、硬化時のイソシアネートとの反応が速くなり、乾燥時間を短縮でき、得られる塗膜の耐磨耗性、耐傷つき性が向上する。
(b)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、カーボネート原料とジオール原料とを混和し、常圧又は減圧下、エステル交換触媒の存在下、100~200℃で反応させ、生成するカーボネート原料由来のアルコールを除去して、低分子量ポリカーボネートジオールを得て、次いで、減圧下、160~250℃で加熱して、未反応のカーボネート原料とジオールとを除去するとともに、低分子量ポリカーボネートジオールを縮合させて、所定の分子量の分子量のポリカーボネートジオールを得る方法を挙げることができる。ここで、ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、低分子量ポリカーボネートジオールを縮合させることにより留出する、ジオールの留出量により調整することができる。
なお、本実施形態において、(b)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の塗料組成物において、(a)有機ポリイソシアネート化合物と(b)ポリカーボネートジオールとの配合比は、塗膜性能の点から、好ましくはOH/NCO=1/0.5~1/5.0(当量比)、より好ましくはOH/NCO=1/0.8~1/3.0(当量比)、さらに好ましくはOH/NCO=1/0.8~1/2.0、特に好ましくはOH/NCO=1/0.8~1/1.5、である。OH1当量に対してNCOが0.5当量以上であると、硬化が十分なため耐薬品性、耐磨耗性、耐傷つき性が得られ、OH1当量に対して5.0当量以下であると、得られる塗膜のソフトフィール性が向上する。
<無機微粉末>
本実施形態の塗料組成物は、塗膜とした場合に表面の艶を落とし高級感を出すため、無機微粉末を含有することが好ましい。また、無機微粉末を含有することにより、得られる塗膜の表面のタックを抑えることが出来、またソフトフィール性が良くなるので好ましい。
無機微粉末としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物微粉末、ケイ酸化合物微粉末、炭酸金属塩微粉末、窒化物微粉末、石膏微粉末、クレー微粉末、タルク微粉末、天然雲母微粉末等が挙げられる。
金属酸化物微粉末としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素微粉末、酸化チタン微粉末、酸化アルミニウム微粉末、酸化ジルコニウム微粉末等が挙げられる。ケイ酸化合物微粉末としては、特に限定されないが、例えば、ケイ酸アルミニウム微粉末、ケイ酸マグネシウム微粉末等が挙げられる。炭酸金属塩微粉末としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム微粉末、炭酸バリウム微粉末等が挙げられる。窒化物微粉末としては、特に限定されないが、例えば、窒化チタン微粉末、窒化ケイ素微粉末等が挙げられる。これらの無機微粉末は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いることもできる。
これら無機微粉末の平均粒子径は、4~15μmであり、好ましくは6~13μmであり、さらに好ましくは8~11μmである。無機微粉末の平均粒子径が前記下限値以上であると、得られるソフトフィール塗料の艶消し効果が充分に発現し、また表面のタックを抑えることができる。また、無機微粉末の平均粒子径が前記上限値以下であると、得られるソフトフィール塗料の光沢が良好に保たれ、塗膜の耐磨耗性、耐傷つき性が向上する。
また、これら無機微粉末の含有量は、塗料組成物の全固形分に対して好ましくは1~20質量%であり、より好ましく1~15質量%であり、さらに好ましくは3~10質量%である。無機微粉末の含有量が前記下限値以上であると、得られるソフトフィール塗料の艶消し効果が充分に発現し、また表面のタックを抑えることができる。また、無機微粉末の含有量が前記上限値以下であると、得られるソフトフィール塗料の光沢が良好に保たれ、塗膜の耐磨耗性、耐傷つき性が向上する。
無機微粉末としては、酸化ケイ素微粉末が好ましい。酸化ケイ素微粉末としては、含水又は無水のシリカ微粉末が例示される。このようなシリカ微粉末として具体的には、特に限定されないが、例えば、Evonik社製「ACEMATT OK 412(商品名)」、「ACEMATT OK 607(商品名)」、「ACEMATT OK 900(商品名)」、「ACEMATT TS 100(商品名)」、「ACEMATT OK 520(商品名)」、「ACEMATT 3600(商品名)」、「ACEMATT 3300(商品名)」等が挙げられる。
<ポリウレタン粒子>
本実施形態の塗料組成物は、得られる塗膜のソフト感をより高めるためにポリウレタン粒子を含有することが好ましい。このポリウレタン粒子としては、特に限定されないが、例えば、懸濁安定剤の存在下においてポリウレタンプレポリマーを水中に分散させた後重合し、洗浄、乾燥させて製造する方法(特開平1-185648号広報)、乳化剤の存在下に非水不活性液体中でポリウレタンを乳化重合する方法(特開平5-214054号広報、特開平7-97425号広報)、等で合成される球状のポリウレタン粒子が挙げられる。このポリウレタン粒子の合成において、2官能以下イソシアナートウレタンプレポリマーを使用した場合は熱可塑性ウレタン粒子が得られ、2官能を超える末端イソシアナートウレタンプレポリマーを使用すると3次元架橋したウレタン粒子が得られる。本実施形態で使用するポリウレタン粒子としては、本実施形態の塗料組成物により得られる塗膜の、耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐油性、耐熱性、耐磨耗性を向上させるために、3次元架橋したウレタン粒子がより好適に用いられる。用いるポリウレタン粒子の平均粒子径は2~20μmであることが好ましく、4~15μmであることがより好ましく、5~10μmであることがさらに好ましい。ポリウレタン粒子の平均粒子径が前記下限値以上であると、得られる塗膜の光沢が適度に抑えられ、高級感が得られるだけではなく、ソフト感も向上する。一方、ポリウレタン粒子の平均粒子径が前記上限値以下であると、得られる塗膜の磨耗性、耐傷つき性が向上し、また表面のソフト感が得らえる。
本実施形態の塗料組成物において、ポリウレタン粒子の含有量は、塗料組成物に含まれる全固形分の3~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、8~15質量%であることがさらに好ましい。ポリウレタン粒子の含有量が前記下限値以上であると、得られる塗膜のソフト感が得られ、またポリウレタン粒子の含有量が前記上限値以下であると、得られる塗膜の磨耗性が向上する。
<不活性有機溶剤>
本実施形態の塗料組成物は、塗装時の作業性を調整するために、必要に応じて不活性有機溶剤を塗料組成物全量に対して1~90質量%含有することができる。不活性有機溶剤の含有量は、10~70質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることがさらに好ましい。
用いる不活性有機溶剤としては、特に限定されないが、実質的にポリイソシアネート化合物に対して不活性な有機溶媒であり且つ活性水素を有しないものであることが好ましい。その例としては、特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、石油スピリット、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、トリクロロフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロエーテル等の弗素化油等の弗素系不活性液体、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ-n-ブチルアミン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルポリシロキサン等の単独又は混合物が挙げられる。さらには、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等の単独又は混合溶媒が挙げられる。
<その他の添加剤>
本実施形態の塗料組成物には、各種用途に応じて硬化促進剤(触媒)、充填剤、難燃剤、染料、有機又は無機顔料、離型剤、流動性調整剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、溶剤等を添加することができる。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、モノアミンであるトリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアミンであるテトラメチルエチレンジアミン、その他トリアミン、環状アミン、ジメチルエタノールアミンのようなアルコールアミン、エーテルアミン、金属触媒としては特に限定されないが、例えば、酢酸カリウム、2-エチルへキサン酸カリウム、酢酸カルシウム、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、ビスマスネオデカノエート、ビスマスオキシカーボネート、ビスマス2-エチルヘキサノエート、オクチル酸亜鉛、亜鉛ネオデカノエート、ホスフィン、ホスホリン等、一般的に用いられるものが使用できる。
充填剤や顔料としては、特に限定されないが、例えば、織布、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、雲母、カオリン、ベントナイト、金属粉、アゾ顔料、カーボンブラック、クレー、シリカ、タルク、石膏、アルミナ白、炭酸バリウム等一般的に用いられているものが使用できる。
離型剤や流動性調整剤、レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、BYK-331(BYKケミカル社製)のようなポリシロキサン等が用いられる。
本実施形態に用いられる添加剤としては少なくとも酸化防止剤、光安定剤及び熱安定剤が用いられることが好ましい。これらの酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば、燐酸、亜燐酸、の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体特にヒンダードフェノール化合物、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物を用いることができる。
これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
<塗装方法>
本実施形態の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、各々の成分を塗装直前に混合した後、スプレー、ロール、はけ等で基材に塗布する方法が用いられる。予め、硬化剤である(a)成分以外を混合しておき、塗布直前に(a)成分を添加し均一に混合した後、塗布する方法も可能である。本実施形態の塗料組成物の乾燥時間は、室温では6~24時間であることが好ましく、プラスチックの変形温度以下の加温雰囲気である80℃では30分~4時間であることが好ましい。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、耐摩耗性、耐傷付き性、耐薬品性、ソフトフィール性に優れるため、自動車外装用クリア塗料、自動車内装用塗料として好適に使用される。また、家電製品、OA製品、皮革の表面処理、合成皮革の表面処理、等に好ましく用いることができる。
<塗料被覆成型物>
本実施形態の塗料被覆成型物は、上述の塗料組成物を、成型物に塗装した塗料被覆成型物である。本実施形態の塗料被覆成型物は、上述の塗料組成物で被覆されているため、耐摩耗性、耐傷付き性、耐薬品性、ソフトフィール性に優れる。このような特性を有することから、本実施形態の塗料被覆成型物は、ソフトフィール塗料被覆成型物として好適に用いることができる。
なお、本実施形態において、ソフトフィールとは、手触り感覚がソフト(柔軟)であることを意味する。
以下実施例等を用いて、本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例における、試験方法及び塗膜物性の評価は、以下の試験方法に従って実施した。
<ポリカーボネートジオールの評価方法>
1)ポリカーボネートジオールの水酸基価(平均水酸基価数)
JIS K1557-1に準じてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定した。
2)ポリカーボネートジオールの水酸基価換算数平均分子量(Mn)
JIS K1557-1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定し、その値から下記式(II)によりポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)を算出した。
Mn=56.1×2×1000÷水酸基価 (II)
3)ポリカーボネートジオールの組成(共重合割合)
100mlのナスフラスコにポリカーボネートジオールのサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応した。反応液を室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2~3滴添加し、塩酸で中和した。中和した液を、冷蔵庫で1時間冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、濾液を、GC(ガスクロマトグラフィー)を用いて分析した。GC分析は、カラムとしてDB-WAX(米国、J&W製)を付けたガスクロマトグラフィーGC-14B(日本、島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内部標準として、水素炎イオン化検出器(FID)を検出器として行い、各成分の定量分析を行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/分で250℃まで昇温した。
上記分析結果より検出された各アルコール成分のモル比から、ポリカーボネートジオールの組成(共重合割合)を求めた。
4)ポリカーボネートジオールのカーボネート基含有量
カーボネート基含有量はポリカーボネートジオール1分子中に含まれるカーボネート基の量であり、具体的には下記式(I)で求めた。
カーボネート基含有量(%)=(カーボネート基分子量)×(1分子中の繰り返し単位数)/(ポリカーボネートジオールの数平均分子量)×100 (I)
(ここでカーボネート基分子量(-O-C=O-O-)は60.01である。)
また、1分子中の繰り返し単位数(n)は、下記式(i)の構造に基づき、下記式(III)を用いて求めた。
(ここで、mは平均メチレン数、nは1分子中の繰り返し単位数、下線部分は末端基を表す。)
上記、ポリカーボネートジオールの組成(共重合割合)により求められた、ポリカーボネートジオールの組成より、ポリカーボネートジオールを構成する各セグメントの構造を求めた。これより、構成する各セグメントのメチレン数を求め、その比率により平均メチレン数(m)を計算した。
1分子中の繰り返し単位数(n)=(数平均分子量(Mn)-末端基分子量)/(繰り返し単位分子量) (III)
5)ポリカーボネートジオールの低温貯蔵安定性
ポリカーボネートジオールを、0℃の冷蔵保存庫に1ヶ月置いた後の外観を評価した。判定結果は以下の表記で表した。
○:透明液状
△:白濁ワックス状
×:固化
<塗膜の評価方法>
6)ペンドラム硬度
実施例及び比較例にて作製した塗料溶液を、アプリケーターを用い、ガラス板上に乾燥後の塗膜厚さが40μmとなる様均一に塗布した。室温にて15分乾燥後、次いで80℃のオーブンにて2時間乾燥した後、得られた塗膜をオーブンより取り出した。得られた塗膜を23℃の恒温室にて24時間置いた後、ペンドラム硬度の評価に供した。
ペンドラム硬度は、BYK-Gardner社製ペンドラム式硬度計(ケーニッヒ振り子使用)にて測定した。具体的には、塗膜サンプルを装置に置き、振幅が5°になった時点から振幅が2°になるまでの時間(t)を測定した。塗装していないガラス板につき、同様の測定を行い振幅が5°になった時点から振幅が2°になるまでの時間(t0)を測定した。ペンドラム硬度(X)は以下の式(IV)で計算した。
ペンドラム硬度:X=t/t0 (IV)
7)室温引張試験
膜厚を0.5mmとした以外は、上述の<ペンドラム硬度>と同様の方法で塗膜(フィルム)を作製し、作製した塗膜(フィルム)を用いて、JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約0.5mmの短冊状の試験片を得た。得られた試験片を、引張試験機(株式会社オリエンテック社製、製品名「テンシロン、モデルRTE-1210」)を用いて、チャック間距離20mm、引張速度100mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力(100%モジュラス)、破断点強度、及び破断点伸びを測定した。
8)低温引張試験
膜厚を0.5mmとした以外は、上述の<ペンドラム硬度>と同様の方法で塗膜(フィルム)を作製し、作製した塗膜(フィルム)を用いて、JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約0.5mmの短冊状の試験片を得た。得られた試験片を、恒温槽(株式会社オリエンテック社製、「モデルTLF-R3T-E-W」)付き引張試験機(株式会社オリエンテック社製、製品名「テンシロン、モデルRTE-1210」にチャック間距離20mmで設置した。続いて、試験片を、-20℃で5分間静置した後に引張速度100mm/分にて引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力(100%モジュラス)、破断点強度、及び破断点伸びを測定した。
9)耐熱性の評価
膜厚を0.5mmとした以外は、上述の<ペンドラム硬度>と同様の方法で塗膜(フィルム)を作製した。作製したフィルムを幅10mm、長さ100mm、厚さ約50μmの短冊状のサンプルとし、ギヤオーブンにて温度110℃で1000時間加熱を行った。加熱後のサンプルを、上記<室温引張試験>と同様に、破断点強度を測定し、その保持率(%)を下記式(V)より求めた。
破断強度保持率(%)=加熱後の破断点強度/加熱前の破断点強度×100 (V)
10)耐傷付き性
ペンドラム硬度測定に使用した方法と同様にガラス上に塗膜を形成させた。この塗面上に、インダストリーコーワ社製・4行真鍮ブラシを、柄に対して並行に、加重:100g、ストローク速度:30cm/秒、ストローク幅:5cmで20往復して傷を付けた。傷を付けた直後に、傷の付いた部分をスガ試験機株式会社製、変角光沢計にて60度角度の光沢(グロス):G1を測定した。傷付き試験前の同じ箇所の初期光沢(グロス):G0とし、下記式(VI)に従い光沢の低下により耐傷付き性を評価した。
光沢保持率(%)=(G1/G0)×100 (VI)
光沢保持率が高い程、耐傷付き性に優れると評価される。
11)耐磨耗性
ペンドラム硬度測定に使用した方法と同様にアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂板上に膜厚40μmの塗膜を形成させた。得られた塗膜について、JIS K5600-5-8の方法に準じ、テーバー型磨耗試験機を用い耐磨耗性を測定した。磨耗試験前の塗膜板の質量と磨耗試験(500回転)後の塗膜板の質量との質量変化を測定し表記した。
12)耐オレイン酸性の評価
ガラス板上に実施例及び比較例にて作製した塗料溶液を塗布し、80℃で2時間加熱して膜厚0.5mmの塗膜(フィルム)を作製した。塗膜(フィルム)をガラス板から剥がし、約3cm×3cmに切り取ってから浸漬前の塗膜(フィルム)質量を秤量した。この塗膜(フィルム)を、試験溶媒としてオレイン酸を50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて16時間静置した。試験後、塗膜(フィルム)を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で質量測定を行い、試験前からの質量変化率(増加率)を算出した。
13)ソフト感
実施例及び比較例にて作製した塗料溶液を、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂板上に、40μm厚みで塗装して塗膜板を得た。得られた塗膜板の表面を手で触った時の感触によりソフト感を評価した。判定結果は以下の表記で表した。
○:良好なソフト感
△:比較的良好なソフト感
×:ソフトとは感じられない。
14)耐薬品性
上述の<ペンドラム硬度>と同様の方法で塗膜(フィルム)を作製し、得られた塗膜上に各種溶剤(エタノール(EtOH)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン)に含侵させた直径10mmのコットンボールを1分間置き、表面に残った溶剤を除いた後の塗膜の様子を観察した。判定方法は以下のとおりとした。
○ : 透明、凹みなし
△ : やや白濁、又はやや凹みあり
× : 白濁、又は凹みあり
15)耐候性試験
1.耐候性試験用塗膜の作成
実施例及び比較例にて作製した塗料溶液に対し、IRGANOX1076を0.2質量%、TINUVIN765を0.2質量%添加後、撹拌して耐候性試験用の塗料溶液を作製した。これらを白色のアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂板上にアプリケーターを用い塗布した後、80℃で2時間加熱硬化させ膜厚40μmの耐候性試験用の塗膜を得た。
2.耐候性試験方法
得られた耐候性試験用の塗膜について、スガ試験機株式会社製DPWL-5R(ブラックパネル温度60℃、放射照度30w/m2、サイクル条件:照射60℃で4時間、湿潤40℃で4時間、紫外線けい光ランプ:SUGA-FS-40)を使用して1ヶ月間耐候性試験を実施した。
3.色差測定
スガ試験機株式会社製SM-P45を使用して、耐候性試験前後の塗膜のL値、a値、b値を計測し、下記ΔEの算出方法により色差を求めた。
ΔE={(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)21/2
上記式のL1、a1、b1は耐候性試験前の塗膜のL値、a値、b値を表し、L2、a2、b2は耐候性試験後の塗膜のL値、a値、b値を表す。
〇:ΔEが3以下である。
△:ΔEが3より大きく5以下である。
×:ΔEが5より大きい、又は耐候性試験により塗膜が破壊。
<有機ポリイソシアネート化合物における1分子中のイソシアネート基の数の測定方法>
有機ポリイソシアネート化合物における1分子中のイソシアネート基の数(平均官能基数)は、JIS K7301-1995記載の方法により求められるイソシアネート基含有率(質量%)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定により求められる有機ポリイソシアネートの数平均分子量から、下記式により求めた。
平均官能基数=有機ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42
イソシアネート基含有率及び有機ポリイソシアネートの数平均分子量の具体的な分析方法は以下のとおりとした。
(物性1)イソシアネート基含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301-1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施した。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率の測定方法を示す。
(1)試料1gを200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させた。
(2)その後、上記フラスコに2.0Nのジ-n-ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置した。
(3)上記フラスコに2-プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得た。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量を求めた。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)~(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量を求めた。
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率を以下の計算方法により算出した。
イソシアネート基含有率(質量%)=(ブランク滴定量-試料滴定量)×42/[試料質量(g)×1,000]×100%。
(物性2)有機ポリイソシアネートの数平均分子量
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートと未反応ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネートの数平均分子量は、以下の装置及び条件を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製 HLC-8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)製 TSKgelSuperH1000(商品名)×1本、TSKgelSuperH2000(商品名)×1本、TSKgelSuperH3000(商品名)×1本、
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
(物性3)平均イソシアネート官能基数
ポリイソシアネート組成物を試料として、平均イソシアネート官能基数は、ポリイソシアネート1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、(物性2)で測定した有機ポリイソシアネートの数平均分子量と(物性1)で測定したイソシアネート基含有率から以下のとおり算出した。
平均官能基数=有機ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42
[ポリカーボネートジオールの重合例1]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを144g(1.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを319g(2.7mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC1と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例2]
上記重合例1と同じ装置を用い、1,4-ブタンジオールを189g(2.1mol)、1,6-ヘキサンジオールを271g(2.3mol)とした以外は、重合例1と同様に重合を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートポリオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC2と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例3]
上記重合例1と同じ装置を用い、1,4-ブタンジオールを234g(2.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを236g(2.0mol)とした以外は、重合例1と同様に重合を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートポリオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC3と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例4]
上記重合例1と同じ装置を用い、1,4-ブタンンジオールを279g(3.1mol)、1,6-ヘキサンジオールを224g(1.9mol)とした以外は、重合例1と同様に重合を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートポリオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC4と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例5]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを234g(2.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを271g(2.3mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で2.5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC5と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例6]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを234g(2.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを260g(2.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で3.5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC6と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例7]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを234g(2.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを236g(2.0mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で8時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC7と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例8]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを234g(2.6mol)、1,6-ヘキサンジオールを236g(2.0mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で10時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC8と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例9]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,4-ブタンジオールを207g(2.3mol)、1,6-ヘキサンジオールを236g(2.0mol)、1,10-デカンジオールを70g(0.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC9と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例10]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,3-プロパンジオールを167g(2.2mol)、1,6-ヘキサンジオールを260g(2.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC10と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例11]
上記重合例1と同じ装置を用い、1,4-ブタンジオールを99g(1.1mol)、1,6-ヘキサンジオールを378g(3.2mol)とした以外は、重合例1と同様に重合を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートポリオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC11と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例12]
上記重合例1と同じ装置を用い、1,4-ブタンジオールを306g(3.4mol)、1,6-ヘキサンジオールを130g(1.1mol)とした以外は、重合例1と同様に重合を行ってポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートポリオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC12と称する。
[ポリカーボネートポリオールの重合例13]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを423g(4.8mol)、1,5-ペンタンジオールを250g(2.4mol)、1,6-ヘキサンジオールを284g(2.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC13と称する。
[ポリカーボネートポリオールの重合例14]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを423g(4.8mol)、1,5-ペンタンジオールを250g(2.4mol)、1,6-ヘキサンジオールを284g(2.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で3時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC14と称する。
[ポリカーボネートポリオールの重合例15]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを423g(4.8mol)、1,5-ペンタンジオールを250g(2.4mol)、1,6-ヘキサンジオールを284g(2.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で10時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC15と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例16]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた1Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを396g(4.5mol)、1,3-プロパンジオールを205g(2.7mol)、1,6-ヘキサンジオールを224g(1.9mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.09gを加え、反応温度を140~160℃、圧力を10kPaから2kPaに落としながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら12時間反応を行った。
その後、単蒸留に切り替え、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、180℃で5時間反応させモノマーを溜出してポリカーボネートジオールを得た。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートポリオールをPC16と称する。
[実施例1]
ポリカーボネートジオールPC1を200g(0.1mol)、レベリング剤BYK-331(BYKケミカル社製)2.06g、ジブチル錫ジラウレート(Air Product社製)0.8g、及びシンナーとしてキシレン/酢酸ブチル(70/30)の混合溶媒356gを添加して拌機し塗料主剤を得た。これに硬化剤としてデュラネートTPA-100(旭化成ケミカルズ社製:ヘキサメチレンジイソシアナート系イソシアヌレート型硬化剤、NCO含量=23.1質量%、1分子中のイソシアネート基:3.0)を38.2g添加、混合して塗料溶液(塗料組成物)を作製した。これをガラス板上にアプリケーターを用い塗布した後、80℃で2時間加熱硬化させ塗膜を得た。PC1を使用した塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を表2に示した。
[実施例2~10]
ポリカーボネートジオールとしてPC2~PC10を用いた以外は、実施例1と同様に塗料溶液(塗料組成物)を作製し、各塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を評価した。評価結果を表2に示した。
[比較例1~6]
ポリカーボネートジオールとしてPC11~PC16を用いた以外は、実施例1と同様に塗料溶液(塗料組成物)を作製し、各塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を評価した。評価結果を表2に示した。
[実施例11]
ポリカーボネートジオールPC1を200g、レベリング剤BYK-331(BYKケミカル社製)2.06g、ジブチル錫ジラウレート(Air Product社製)0.8g、微粉末シリカ(ACEMATT TS 100、EVONIK社製、平均粒子径:9.5μm)10g、ポリウレタン粒子(アートパール、C-800、平均粒子径:6μm、根上工業株式会社製)25g及びシンナーとしてキシレン/酢酸ブチル(70/30)の混合溶媒356gを添加して拌機し塗料主剤を得た。これに硬化剤としてデュラネートTPA-100(旭化成ケミカルズ社製:ヘキサメチレンジイソシアナート系イソシアヌレート型硬化剤、NCO含量=23.1質量%、1分子中のイソシアネート基:3.0)を38.2g添加、混合して塗料溶液(塗料組成物)を作製した。これをアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂板上に塗布した後、80℃で2時間加熱硬化させ膜厚み40μmの塗膜を得た。塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を表3に示した。
[実施例12~20]
ポリカーボネートジオールとしてPC2~PC10を用いた以外は、実施例11と同様に塗料溶液(塗料組成物)を作製し、各塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を評価した。評価結果を表3に示した。
[比較例7~12]
ポリカーボネートジオールとしてPC11~PC16を用いた以外は、実施例11と同様に塗料溶液(塗料組成物)を作製し、各塗料溶液(塗料組成物)から得られる塗膜、及びフィルムの諸物性を評価した。評価結果を表3に示した。

Claims (7)

  1. 硬化剤(a)ポリカーボネートジオール(b)及び無機微粉末(c)を含有し、
    前記硬化剤(a)が、1分子中にイソシアネート基を2.5以上有する有機ポリイソシアネート化合物であり、
    前記ポリカーボネートジオール(b)が、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有し、
    前記(b)ポリカーボネートジオールにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の内、20モル%以上が下記式(2)で表される繰り返し単位であり、かつ、式(1)で表される繰り返し単位の内20モル%以上が下記式(3)で表される繰り返し単位であり、
    前記ポリカーボネートジオール(b)において、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が41.5~45.7質量%であり、かつ数平均分子量が900~3100g/molであり、
    前記無機微粉末(c)の平均粒子径が6~13μmである、塗料組成物。
    (式中、R1は、炭素数2~20の二価の脂肪族又は脂環族炭化水素を表す。)
  2. 前記(b)ポリカーボネートジオールにおいて、1分子中に含まれるカーボネート基含有量が42.2~44.3質量%である、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記無機微粉末(c)の平均粒子径が8~11μmである、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 前記無機微粉末を全固形分に対して1~20質量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 平均粒子径が2~20μmのポリウレタン粒子を全固形分に対して3~30質量%含む、請求項1~のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. 不活性有機溶剤を1~90質量%含む、請求項1~のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の塗料組成物を、成型物に塗装した塗料被覆成型物。
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