JP6329457B2 - コポリカーボネートジオール、熱可塑性ポリウレタン、コーティング組成物及び塗膜 - Google Patents

コポリカーボネートジオール、熱可塑性ポリウレタン、コーティング組成物及び塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、コポリカーボネートジオール、熱可塑性ポリウレタン、コーティング組成物及び塗膜に関する。
ポリカーボネートジオールは、例えば、ポリウレタンや熱可塑性エラストマーなどのソフトセグメントとして用いることができ、耐加水分解性、耐光性、耐酸化劣化性、耐熱性などに優れた素材として知られている。しかしながら、1,6−ヘキサンジオールを主な原料としたポリカーボネートジオールは、高い結晶性ゆえに室温では固体の状態で存在するため、塗料として用いる場合や重合によりポリウレタンを製造する場合には多量の溶媒が必要になるなど、取り扱い性に支障をきたすという不都合があった。さらに、ポリウレタンや塗膜の耐傷つき性に不都合があった。
このような不都合を解決するため、種々の液状ポリカーボネートジオールが提案されている。例えば、ジオール成分が1,6−ヘキサンジオールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから成る常温で液状のコポリカーボネートジオールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを主なグリコール原料に用いて得られるコポリカーボネートジオールが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールに由来する繰り返し単位をからなるコポリカーボネートジオールが提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。
特開2011−84751号公報 国際公開第2007/108198号パンフレット 特開平2−289616号公報 国際公開第2009/63768号パンフレット
しかしながら、特許文献1〜4に記載されている技術では、室温で液状であることに由来する取り扱い性に優れ、高い低温貯蔵安定性を有するとともに、ポリウレタンや塗膜とした際に特に低温での高い耐傷つき性を発揮できるポリカーボネートジオールを得ることができない。
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、取り扱い性に優れ、低温貯蔵安定性に優れると共に、ポリウレタンや塗膜とした際に十分な柔軟性及び機械特性を確保した上で低温における高い耐傷つき性を発揮できるコポリカーボネートジオール、並びに当該コポリカーボネートジオールを適用した熱可塑性ポリウレタン、コーティング組成物及び塗膜を提供することである。
すなわち、本発明の構成は以下のとおりである。
[1]
下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基を有するコポリカーボネートジオールであって、前記(A)で表される繰り返し単位の少なくとも一部が、下記式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位であり、前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計が、前記(A)で表される繰り返し単位の80モル%以上100モル%以下であり、前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計に対して、前記(B)で表される繰り返し単位が、5モル%以上15モル%未満である、コポリカーボネートジオール。
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[2]
前記(C)と(D)で表される繰り返し単位の割合が、モル比で15:85〜85:15である、[1]に記載のコポリカーボネートジオール。
[3]
前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計が、前記(A)で表される繰り返し単位の97モル%以上100モル%以下である、[1]又は[2]に記載のコポリカーボネートジオール。
[4]
[1]〜[3]に記載のコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとから得られる、熱可塑性ポリウレタン。
[5]
[1]〜[3]に記載のコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを含む、コーティング組成物。
[6]
[5]に記載のコーティング組成物から得られる、塗膜。
本発明のコポリカーボネートジオールは、取り扱い性に優れ、低温貯蔵安定性に優れると共に、ポリウレタンや塗膜とした際に十分な柔軟性及び機械特性を確保した上で低温における高い耐傷つき性を発揮することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は本発明の例示であり、本発明は以下の内容に限定されない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態のコポリカーボネートジオールは、下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基を有する。
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本実施形態のコポリカーボネートジオールにおいては、式(A)で表される繰り返し単位の少なくとも一部が、下記式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位であり、上記式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計が、式(A)で表される繰り返し単位の80モル%以上100モル%以下である。式(A)で表される繰り返し単位における式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計の割合が上記範囲にあることにより、本実施形態のコポリカーボネートジオールは、常温での存在状態が液状となり、取扱い性が良好となる。上記効果を高める観点から、上記範囲は、90モル%以上100モル%以下であることが好ましい。さらに、上記範囲が、95モル%以上100モル%以下であれば、コポリカーボネートジオールの低温貯蔵安定性がより良好となる傾向にある。上記効果を高める観点から、97モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
さらに、本実施形態のコポリカーボネートジオールにおいて、式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計に対して、式(B)で表される繰り返し単位の割合は、5モル%以上15モル%未満である。本実施形態においては、式(C)と(D)で表される繰り返し単位を含むコポリカーボネートジオールが、さらに式(B)で表される繰り返し単位を少量含むことで、コポリカーボネートジオールの低温貯蔵安定性を向上させている。同様の観点から、上記割合が10モル%以上15モル%未満であることがより好ましい。
上記した所望の範囲をいずれも満足するように調整されているため、本実施形態のコポリカーボネートジオールは、取り扱い性に優れ、低温貯蔵安定性に優れると共に、ポリウレタンや塗膜とした際に十分な機械特性を確保した上で低温における高い耐傷つき性を発揮することができる。
なお、本実施形態におけるコポリカーボネートジオールにおいて、式(A)で表される繰り返し単位の割合は、コポリカーボネートジオールが有する耐熱性や耐加水分解性などの性能を高める観点から、好ましくは95モル%以上100モル%以下、より好ましくは97モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは99モル%以上100モル%以下である。
本実施形態において、式(C)と(D)で表される繰り返し単位の割合がモル比で15:85〜85:15であることが好ましい。各繰り返し単位の割合が上記範囲に包含される場合、コポリカーボネートジオールの結晶性がより低くなり、コポリカーボネートジオールの低温貯蔵安定性がより高まる傾向にある。同様の観点から、より好ましくは式(C)と(D)で表される繰り返し単位の割合がモル比で40:60〜85:15であり、さらに好ましくは55:45〜80:20である。
本実施形態におけるコポリカーボネートジオールについては、より良好な取扱い性を確保する観点から、製造された状態あるいは周囲条件の雰囲気下で放置された後に、常温で液状であることが好ましい。本実施形態における「液状」とは、透明でかつ流動性を有する状態を意味する。つまり、80℃に加熱し、次いで透明容器に入れて当該容器の前方から観察した際に、後方の景色を視認できる状態であり、かつ当該透明容器を傾けた際に、僅かであっても流動性を示す状態を意味する。また、本実施形態における「常温で液状」とは、例えば15℃以上30℃以下の温度範囲のいずれかの温度において液状であることを意味する。10℃以上で液状であることが好ましく、さらには5℃以上で液状であることが好ましい。
本実施形態におけるコポリカーボネートジオールの低温安定指数は、以下の方法で求めることができる。つまり、30gのコポリカーボネートジオールを50mLのガラス製サンプル瓶に入れ、蓋をする。このサンプル瓶を、所定温度となった小型環境試験機(エスペック株式会社製、SU−241)の中に24時間静置し、その後に取り出して、コポリカーボネートジオールの状態を観察する。1℃毎に温度を下げていき、コポリカーボネートジオールが白濁することなく透明の外観を維持する最低の温度を低温安定指数とすることができる。ここで、透明容器を前方から観察した際に、当該透明容器を通して後方の景色を視認できない状態である場合、または後方の景色を視認できるが部分的に析出物が確認できる場合、白濁と判断する。低温安定指数が−10℃以下である場合、塗料や接着剤の構成成分として用いたときにより良好な低温安定性が得られる傾向にある。同様の観点から、低温安定指数が−15℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のコポリカーボネートジオールは、柔軟性を付与する目的で、その分子内に下記式(E)の繰り返し単位で表される構造を含むこともできる。
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本実施形態のコポリカーボネートジオールの分子内に上記式(E)の繰り返し単位を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピレングルコール、ポリオキシエチレンテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル系ポリオールを原料ジオールに添加して導入することができ、また重合途中でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させて導入することもできる。
本実施形態のコポリカーボネートジオールにおいて、分子中の式(E)の繰り返し単位の含有量は、本実施形態に影響しない範囲であれば特に限定されるものではない。なお、本実施形態のコポリカーボネートジオールから得られるポリウレタンにおいてより優れた耐熱性や耐薬品性を確保する観点からは、式(E)の繰り返し単位の含有量が増えすぎないように調整することが好ましい。すなわち、コポリカーボネートジオールに式(E)で表される繰り返し単位を導入する場合には、式(A)で表されるカーボネートの繰り返し単位に対し式(E)で表される(エーテル由来の構造を有する)繰り返し単位が0.05モル%以上5モル%以下であることが好ましく、0.05モル%以上3モル%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のコポリカーボネートジオールの数平均分子量は、300以上5000以下であることが好ましい。上記数平均分子量が300以上であれば、得られるポリウレタンの低温特性がより良好なものとなる傾向にある。また、上記数平均分子量が5000以下であれば、塗料の構成材料として用いる場合、塗料固形分濃度などの制限が緩和され、また得られるポリウレタンの成型加工性の低下が効果的に防止できる傾向にある。同様の観点から、上記数平均分子量は、450以上3000以下であることがより好ましい。なお、上記数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態で用いるコポリカーボネートジオールの製造方法は、特に限定されない。例えば、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9〜20(1994年)に記載される種々の方法で製造することができる。
本実施形態のコポリカーボネートジオールは、1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジオール原料として用いることができる。通常、上記3種のジオールを混合してジオール原料とすることができる。また、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸を含む2塩基酸混合物を水添して得られるジオール混合物を、1,4−ブタンジオールなどの各ジオールに分離することなく、原料として用いることもできる。その場合、コポリカーボネートジオールを所定の繰り返し単位組成とするため、特定のジオールを追加して使用することもできる。
上記3種のジオールに加え、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール、2−メチル−1、8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチルー1、5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,4−シクロヘキサンジオールなどの環状ジオールから、1種類又は2種類以上のジオールを原料として用いてもよい。それらのジオールの量は、特に限定されるものではないが、例えば、用いる1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの合計モル数に対し、0.1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。この割合が上記範囲を満足することにより、本実施形態のコポリカーボネートジオールは液状であり、かつ優れた耐傷つき性を有するポリウレタンをより高い品質で得られる傾向にある。同様の観点から、この割合が0.1モル%以上5モル%以下であることがより好ましく、0.1モル%以上3モル%以下がさらに好ましい。
さらに、本実施形態のコポリカーボネートジオールの性能を損なわない範囲で、1分子に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いることもできる。この1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物をあまり多く用いると、コポリカーボネートの重合反応中の架橋によるゲル化を効果的に防止する観点から、上記1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物の使用量を調整することが好ましい。すなわち、1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物を用いる場合であっても、当該化合物は、用いる1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの合計モル数に対し、0.1モル%以上5モル%以下にするのが好ましい。同様の観点から、この割合は0.1モル%以上1モル%以下であることがより好ましい。
本実施形態のコポリカーボネートジオールの原料となるカーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートなどが挙げられる。これらの内から1種又は2種以上のカーボネートを原料として用いることができる。入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネートを用いることが好ましい。
本実施形態のコポリカーボネートジオールの製造に際しては、触媒を添加してもよいし、添加しなくてもよい。触媒を添加する場合は、通常のエステル交換反応触媒から自由に選択することができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウムなどの金属、塩、アルコキシド、有機化合物が用いられる。特に好ましいのは、チタン、スズ、鉛の化合物である。また、触媒の使用量は、通常、得られるコポリカーボネートジオール重量に対して0.00001%以上0.1%以下とすることができる。
本実施形態のコポリカーボネートジオールは、工程を2段階に分けて製造することができる。例えば、ジオールとカーボネートをモル比で20:1〜1:10の割合で混和し、常圧又は減圧下、100℃以上300℃以下で1段目の反応を行う。カーボネートとしてジメチルカーボネートを用いる場合、生成するメタノールをジメチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量コポリカーボネートジオールを得ることができる。カーボネートとしてジエチルカーボネートを用いる場合、生成するエタノールをジエチルカーボネートとの混合物として除去して低分子量コポリカーボネートジオールを得ることができる。また、カーボネートとしてエチレンカーボネートを用いる場合、生成するエチレングリコールをエチレンカーボネートとの混合物として除去して低分子量コポリカーボネートジオールを得ることができる。次いで、2段目の反応は、減圧下、160℃以上250℃以下で加熱して、未反応のジオールとカーボネートを除去するとともに、低分子量コポリカーボネートジオールを縮合させて、所定の分子量のコポリカーボネートジオールを得ることができる。
本実施形態のコポリカーボネートジオールは、塗料、接着剤や粘着剤の構成材料として、ポリウレタンや熱可塑性エラストマーの原料として、さらにはポリエステルやポリイミドの改質剤、塗料や接着剤、粘着剤用の添加剤などの用途に用いることができる。特に、塗料の構成材料として用いる場合、塗料の低温安定性が向上する。さらに、ポリウレタンや塗膜の低温での耐傷つき性を改善することができる。
本実施形態におけるコーティング組成物又は熱可塑性ポリウレタンは、上記実施形態のコポリカーボネートジオールと、有機ポリイソシアネートとを含むものである。換言すると、本実施形態におけるコーティング組成物又は熱可塑性ポリウレタンは、上記実施形態のコポリカーボネートジオールと、有機ポリイソシアネートとから得られる。このように構成される本実施形態のコーティング組成物は、十分な機械特性を確保しつつ、低温での優れた耐傷つき性を発現する塗膜を形成することができる。また、本実施形態における熱可塑性ポリウレタンは、十分な機械特性を確保しつつ、低温での優れた耐傷つき性を発現することができる。
本実施形態における塗膜は、本実施形態のコーティング組成物を含むものである。換言すると、本実施形態における塗膜は、本実施形態のコーティング組成物から得られる。このように構成される本実施形態の塗膜は、十分な機械特性を確保しつつ、低温での優れた耐傷つき性を発現することができる。
本実施形態において使用される有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びその混合物(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネート等の公知の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。また、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水添XDI)等の公知の脂肪族ジイソシアネートも挙げられる。さらに、上記したイソシアネート類のイソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビウレット化変性品等が挙げられる。これらの有機ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。またこれらの有機ポリイソシアネートは、ブロック剤でイソシアネート基をマスクして用いてもよい。
また、本実施形態におけるコポリカーボネートジオールとポリイソシアネートの反応に際して、所望により共重合成分としての鎖伸長剤を用いることができる。上記鎖伸長剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン業界における常用の鎖伸長剤、すなわち、水、低分子ポリオール、ポリアミン等が使用できる。鎖伸長剤の具体例としては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン等の低分子ポリオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のポリアミンが挙げられる。これらの鎖伸長剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、塗料は、上記実施形態のコーティング組成物を含むものである。
本実施形態における塗料には、例えば、各種用途に応じて硬化促進剤(触媒)、充填剤、分散剤、難燃剤、染料、有機又は無機顔料、離型剤、流動性調整剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、溶剤等を添加することができる。しかしながら、上記に限定されるものではなく、本実施形態における塗料は、種々公知の添加剤を目的に応じて含有するものとすることができる。
なお、本実施形態におけるコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を得ることもできる。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリカプロラクトングリコールモノアクリレート、並びにこれらのアクリレートに対するメタアクリレートが挙げられる。これらは、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
また、本実施形態のコポリカーボネートジオールと、有機ポリイソシアネートと、1個の親水性中心及び少なくとも2個のイソシアネート反応性の官能基を有する化合物からなるウレタンプレポリマーと、鎖延長剤とから、水性ポリウレタン樹脂を得ることができる。上記1個の親水性中心及び少なくとも2個のイソシアネート反応性の官能基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、リジン、シスチン、3,5−アミノカルボン酸などを用いることができる。なお、上記1個の親水性中心及び少なくとも2個のイソシアネート反応性の官能基を有する化合物は、乳化安定性の観点から、通常は中和剤で中和して用いる。中和剤の例としては、特に限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−プロパノールなどのN,N−ジアルキルアルカノールアミン、N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン、トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア、トリメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
本実施形態において、塗料を製造する方法としては、特に限定されず、業界で種々公知の製造方法を用いることができる。例えば、塗料として、コポリカーボネートジオールからなる主剤と有機ポリイソシアネートからなる硬化剤とを塗工直前に混合する2液型溶剤系コーティング組成物;コポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート末端基を持つウレタンプレポリマーからなる1液型溶剤系コーティング組成物;コポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートと鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレタン樹脂からなる1液型溶剤系コーティング組成物;水酸基含有(メタ)アクリレートとコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて得られる硬化性樹脂からなる1液型コーティング組成物;あるいは1液型水系コーティング組成物を製造することができる。なお、ここでいう「主剤」とは、塗膜形成主要素であり、その中で硬化剤を除く成分である。
本実施形態において、塗料の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、水などを挙げることができる。塗料には、これらの溶剤のうちの1種類又は複数種を混合して使用することができる。
上記したような本実施形態のコーティング組成物から本実施形態の塗膜を得るための方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法によって、又はロールやはけ等を用いて、被塗物に塗布した後、室温〜200℃で硬化させる方法を用いることができる。
本実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法としては、特に限定されず、ポリウレタン業界で公知のポリウレタン化反応の技術が用いられる。例えば、本実施形態のコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートを大気圧下に常温から200℃で反応させることにより、熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。鎖延長剤を用いる場合は、反応の最初から加えておいてもよいし、反応の途中から加えてもよい。熱可塑性ポリウレタンの製造方法については、特に限定されないが、例えば、米国特許第5,070,173号を参照できる。
上記ポリウレタン化反応においては、公知の重合触媒や溶媒を用いることができる。用いられる重合触媒は、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。
本実施形態の熱可塑性ポリウレタンには、熱安定剤(例えば酸化防止剤)や光安定剤などの安定剤を添加することが好ましい。また、可塑剤、無機充填剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、難燃剤等を添加してもよい。
次に、実施例及び比較例によって、本実施形態を説明する。以下の実施例は、本実施形態を例示するために記載するものであって、本実施形態の範囲を何ら限定するものではない。
1.コポリカーボネートジオールの組成の決定
後述する各例で得られたサンプルを1g測り取り、100mLのナスフラスコに、当該サンプル1g、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃のオイルバスで1時間加熱した。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを1〜2滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で3時間冷却し、沈殿した塩を濾過で除去した後、GC(ガスクロマトグラフィー)分析した。なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)30m、膜厚0.25μmを付けたガスクロマトグラフィーGC14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内部標準として用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
コポリカーボネートジオールにおいて、上記式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位合計の上記式(A)で表される繰り返し単位に対する割合(主成分割合と略す。)は、GC分析の結果を元に、下記式(1)により求めた。
主成分割合(モル%)={(B+C+D)/A}×100 (1)
A:全ジオールのモル数
B:1,4−ブタンジオールのモル数
C:1,5−ペンタンジオールのモル数
D:1,6−ヘキサンジオールのモル数
コポリカーボネートジオールにおいて、上記式(B)と(C)と(D)の繰り返し単位の合計に対する上記式(B)で表される繰り返し単位の割合(C4割合と略す。)は、GC分析の結果を元に、下記式(2)により求めた。
C4割合(モル%)={B/(B+C+D)}×100 (2)
本実施形態において、上記式(C)と(D)で表される繰り返し単位の割合(モル比)は、GC分析の結果を元に、下記式(3)で表した。
式(C):式(D)(モル比)=C:D (3)
2.コポリカーボネートジオールの分子量の決定
コポリカーボネートジオールの数平均分子量は、無水酢酸とピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K0070−1992)」によって水酸基価を決定し、下記式(4)を用いて計算した。
数平均分子量=2/(OH価×10-3/56.1) (4)
3.コポリカーボネートジオールの性状の確認
80℃に加熱したコポリカーボネートジオールを50mLの透明なガラス製サンプル瓶に入れ、次いで室温まで冷却した。冷却後のコポリカーボネートジオールの存在状態を目視で観察した。透明でかつ僅かでも流動性がある場合を液状と、流動性が無い場合を固体として表した。流動性は、サンプル瓶を約45°傾け、約1分間ポリカーボネートジオールの界面を観察することで評価し、界面が移動した場合を流動性ありとした。また、透明性は、上記サンプル瓶を前方から観察した際に、当該サンプル瓶を通して後方の景色を視認できるか否かで評価し、サンプルの全ての部分で後方の景色を視認できる状態を透明とした。
4.コポリカーボネートジオールの低温安定指数
30gのコポリカーボネートジオールを50mLのガラス製サンプル瓶に入れ、蓋をした。このサンプル瓶を、所定温度となった小型環境試験機(エスペック株式会社製、SU−241)の中に24時間静置し、その後に取り出して、ポリカーボネートジオールの状態を観察した。1℃毎に温度を下げていき、ポリカーボネートジオールが白濁することなく透明であった最低の温度を低温安定指数とした。評価は−5℃〜−25℃で行い、−5℃でポリカーボネートジオールが白濁した場合は、低温安定指数を−5℃以上と、−25℃で白濁することなく透明であった場合は、−25℃以下とした。ここで、透明容器を前方から観察した際に、当該透明容器を通して後方の景色を視認できない状態である場合、または後方の景色を視認できるが部分的に析出物が確認できる場合、白濁と判断した。
5.ポリウレタンの機械的物性
ポリカーボネートジオールから得られたポリウレタンフィルムを10mm×80mmの短冊型に切り取り、23℃、50%RHの恒温室で3日間養生したものを試験体とした。テンシロン引張試験器(ORIENTEC製、RTC−1250A)を用い、チェック間距離50mm、引張速度100mm/分で、100%引張応力(フィルムが50mm伸びた時の応力;単位:MPa)と、破断強度(単位:MPa)及び破断伸度(単位:%)を測定した。
6.塗膜の耐傷つき性
ポリカーボネートジオールを用いた塗膜板を用い、仲屋ブラシ工業製の4行真鍮ブラシ(荷重500gf)を用いて、試験片の表面を片道100mmの距離で5往復擦った。その後、1分後と24時間後の表面状態を目視観察し、表面に傷がない場合を◎、薄く傷がある場合を○、はっきりとした傷がある場合を△、深い傷がある場合を×として、耐傷つき性を評価した。
上記耐傷つき性の評価は、室温と−10℃で行った。−10℃での評価は、−10℃に設定した小型環境試験機(エスペック株式会社製、SU−241)の中に試験片を24時間静置した後に試験片を取り出し、1分以内に上記試験を行った後、1分後と−10℃に設定した小型環境試験機(エスペック株式会社製、SU−241)の中に当該試験片を戻して24時間静置後との表面状態を目視観察した。
[実施例1]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備える2Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネート700g(8.0mol)、1,4−ブタンジオール100g(1.1mol)、1,5−ペンタンジオール480g(4.6mol)及び1,6−ヘキサンジオール270g(2.3mol)を仕込んだ。さらに、触媒としてチタンテトラブトキシド0.6gを加え、常圧で攪拌・加熱した。次いで、反応温度を150℃から190℃へ徐々に上げながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら15時間反応を進行させた。その後、14kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートを留去しながら、190℃でさらに8時間反応させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−1と略する。
参考例2]
実施例1で示す装置を用いて反応を行った。ジエチルカーボネート850g(7.2mol)、1,4−ブタンジオール100g(1.1mol)、1,5−ペンタンジオール260g(2.5mol)及び1,6−ヘキサンジオール480g(4.1mol)を仕込んだ。さらに、触媒としてチタンテトラブトキシド0.6gを加え、常圧で攪拌・加熱した。次いで、反応温度を150℃から190℃へ徐々に上げながら、生成するエタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら15時間反応を行った。その後、15kPaまで減圧し、ジオールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、190℃でさらに8時間反応させた。得られたコポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−2と略す。
[実施例3]
エチレンカーボネート670g(7.6mol)、1,4−ブタンジオール100g(1.1mol)、1,5−ペンタンジオール500g(4.8mol)及び1,6−ヘキサンジオール200g(1.7mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−3と略する。
参考例4]
ジエチルカーボネート850g(7.2mol)、1,4−ブタンジオール80g(0.9mol)、1,5−ペンタンジオール330g(3.2mol)及び1,6−ヘキサンジオール440g(3.7mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例2に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−4と略する。
[実施例5]
エチレンカーボネート750g(8.5mol)、1,4−ブタンジオール100g(1.1mol)、1,5−ペンタンジオール460g(4.4mol)及び1,6−ヘキサンジオール360g(3.1mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−5と略する。
参考例6]
エチレンカーボネート700g(8.0mol)、1,4−ブタンジオール60g(0.7mol)、1,5−ペンタンジオール480g(4.6mol)及び1,6−ヘキサンジオール320g(2.7mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−6と略する。
[比較例1]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備える2Lのガラス製フラスコに、ジエチルカーボネート800g(6.8mol)及び1,6−ヘキサンジオール850g(7.2mol)を仕込んだ。さらに、触媒としてチタンテトラブトキシド0.6gを加え、常圧で攪拌・加熱した。次いで、反応温度を150℃から190℃へ徐々に上げながら、生成するエタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら15時間反応を行った。その後、15kPaまで減圧し、ジオールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、190℃でさらに8時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。このポリカーボネートジオールをPC−7と略す。
[比較例2]
比較例1で示す装置を用い、エチレンカーボネート820g(9.3mol)、1,4−ブタンジオール20g(0.2mol)、1,5−ペンタンジオール460g(4.4mol)及び1,6−ヘキサンジオール550g(4.7mol)を仕込んだ。さらに、触媒としてチタンテトラブトキシド0.6gを加え、常圧で攪拌・加熱した。次いで、反応温度を150℃から190℃へ徐々に上げながら、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら15時間反応を進行させた。その後、14kPaまで減圧し、ジオールとエチレンカーボネートを留去しながら、190℃でさらに8時間反応させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−8と略する。
[比較例3]
エチレンカーボネート680g(7.7mol)、1,4−ブタンジオール120g(1.3mol)、1,5−ペンタンジオール330g(3.2mol)及び1,6−ヘキサンジオール380g(3.2mol)を仕込んだ以外は、比較例1の装置を用い、比較例2に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−9と略する。
[比較例4]
ジエチルカーボネート870g(7.4mol)、1,4−ブタンジオール160g(1.8mol)、1,5−ペンタンジオール210g(2.0mol)及び1,6−ヘキサンジオール480g(4.1mol)を仕込んだ以外は、比較例1の装置を用い、比較例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−10と略する。
[比較例5]
ジエチルカーボネートを860g(7.3mol)、1,4−ブタンジオールを240g(2.7mol)、1,5−ペンタンジオールを360g(3.5mol)、1,6−ヘキサンジオールを200g(1.7mol)仕込んだ以外は、比較例1の装置を用い、比較例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−11と略する。
参考例7]
ジエチルカーボネート850g(7.2mol)、1,4−ブタンジオール70g(0.8mol)、1,5−ペンタンジオール380g(3.7mol)及び1,6−ヘキサンジオール380g(3.2mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例2に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−12と略する。
参考例8]
エチレンカーボネート670g(7.6mol)、1,4−ブタンジオール80g(0.9mol)、1,5−ペンタンジオール380g(3.7mol)及び1,6−ヘキサンジオール370g(3.1mol)を仕込んだ以外は、実施例1の装置を用い、実施例1に示す条件で反応を進行させた。得られたコポリカーボネートジオールの分析結果を、表1に示す。このコポリカーボネートジオールをPC−13と略する。
Figure 0006329457
[実施例9]
攪拌装置、温度計及び冷却管の付いた反応器に、実施例1で得たPC−1を200g、ヘキサメチレンジイソシアネート34g及び触媒としてのジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、70℃で5時間反応させて末端NCOのプレポリマーを得た。これに溶剤としてのジメチルホルムアミド600gを加えて溶解した後、鎖延長剤としてのイソホロンジアミン17gを加えて35℃で1時間撹拌した。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に流延し、室温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、100℃の乾燥機で2時間乾燥させて、厚み0.09〜0.11mmのポリウレタンフィルムを得た。当該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った結果を表2に示す。
参考例10,12,14〜16、実施例11,13
コポリカーボネートジオールとして、PC−2〜6及びPC−12〜13を用い、実施例9に示す条件でポリウレタンフィルムを得た。当該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った結果を表2に示す。
[比較例6〜10]
コポリカーボネートジオールとして、PC−7〜11を用い、実施例9に示す条件でポリウレタンフィルムを得た。当該ポリウレタンフィルムを用いて物性の評価を行った結果を表2に示す。
Figure 0006329457
[実施例17]
コポリカーボネートジオールPC−1を40g、レベリング剤としてBYK−331(BYKケミカル製)を0.75g、シンナー(キシレン/酢酸ブチル=70/30)に2重量%となるように溶解したジブチルスズジラウレート溶液を1.25g、シンナーを40g、それぞれ準備した。これらを混ぜて撹拌し、塗料主剤を得た。これに、硬化剤としてデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ製、NCO含量:23.1%)を7.5g加えて、塗布液を調製した。この塗布液を、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂板上に塗布し、室温下で2時間静置することでシンナーを揮発させた。この後、80℃で2時間加熱硬化させて厚みが40〜50μmの塗膜を得た。当該塗膜を用いて物性の評価を行った結果を表3に示す。
参考例18,20,22〜24、実施例19,21
コポリカーボネートジオールとして、PC−2〜6及びPC−12〜13を用い、実施例17に示す条件で塗膜を得た。当該塗膜を用いて物性の評価を行った結果を表3に示す。
[比較例11〜15]
コポリカーボネートジオールとして、PC−7〜11を用い、実施例17に示す条件で塗膜を得た。該塗膜を用いて物性の評価を行った結果を表3に示す。
Figure 0006329457
本発明の一実施形態に係るコポリカーボネートジオールは、常温において液状で取り扱いが容易であり、塗料として用いる場合や重合によりポリウレタン樹脂を製造する場合、使用する溶媒量を減らすことが可能となる。また、上述の実施例にて実証されているとおり、本発明の一実施形態に係るコポリカーボネートジオールは、低温貯蔵安定性に優れる。さらには、塗料の構成成分として用いた場合、高い耐傷つき性を有する塗膜を得ることができる。したがって、本発明の一実施形態に係るコポリカーボネートジオールは、ポリウレタン、熱可塑性エラストマーなどの原料として、さらには塗料や接着剤の構成材料として好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基を有するコポリカーボネートジオールであって、
    前記(A)で表される繰り返し単位の少なくとも一部が、下記式(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位であり、
    Figure 0006329457
    Figure 0006329457
    Figure 0006329457
    Figure 0006329457
    前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計が、前記(A)で表される繰り返し単位の80モル%以上100モル%以下であり、
    前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計に対して、前記(B)で表される繰り返し単位が、10モル%以上15モル%未満であり、
    前記(C)と(D)で表される繰り返し単位の割合が、モル比で55:45〜80:20である、コポリカーボネートジオール。
  2. 前記(B)と(C)と(D)で表される繰り返し単位の合計が、前記(A)で表される繰り返し単位の97モル%以上100モル%以下である、請求項に記載のコポリカーボネートジオール。
  3. 請求項1又は2に記載のコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとから得られる、熱可塑性ポリウレタン。
  4. 請求項1又は2に記載のコポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを含む、コーティング組成物。
  5. 請求項に記載のコーティング組成物から得られる、塗膜。
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