[プリンタ100の全体構造]
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のものである。印字媒体Mは、例えば、シート状の帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体であり、図2に示すように、管材Pにロール状に巻回されたロール体MRとして構成される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルや、ファンフォールド型媒体を使用することもできる。
プリンタ100は、図1、図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
印字媒体Mは、図2に示すように、管材P内に入り込んだ保持ピン78に保持される。印字媒体Mは、その重量により管材Pの内側において保持ピン78にぶら下がった状態で、回転可能に保持される。なお、保持ピン78を設けず、ロール体MRを後述するロール収納凹部101直接載置するようにしてもよい。
カバー11は、筐体10に設けられた支持軸13により一端側の端部が揺動自在に支持される。カバー11は、支持軸13を支点として揺動させることで、筐体10の開口部を開放する開放状態(図3参照)と、閉止する閉止状態(図2参照)と、を切り替えることができる。
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するロック機構(図示せず)が設けられる。ロック機構は、図1に示すレバー14を操作することで解除される。
カバー11の他端側の端部と筐体10との間には、図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
カバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。これにより、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断することができる。
印字媒体Mの搬送方向における排出口16と印字部15との間には、印字媒体Mの有無を検出するセンサ18が設けられる。
センサ18は、所定の光を出射する発光ユニット18aと、発光ユニット18aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光ユニット18bと、を有する透過型の光学センサである。
印字媒体Mが発光ユニット18aと受光ユニット18bとの間に存在すると、発光ユニット18aから出射された光が遮られ、受光ユニット18bが受光する光の強度が低下する。
これにより、センサ18は、印字媒体Mの有無を検出することができる。なお、発光ユニット18aと受光ユニット18bとの位置を入れ替えてもよい。また、センサ18は、印字媒体Mの表面または裏面のいずれか一方側に発光ユニット18aと受光ユニット18bを設けた反射型の光学センサとしてもよい。
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
プリンタ100の内部には、図2に示すように、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30、プリンタ100の動作を制御するコントローラ40等が収容される。
印字ユニット30は、一端側が支持軸13に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20とともに印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
印字ユニット30は、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に印字媒体Mが挟持される印字位置(図2参照)と、サーマルヘッド32がプラテンローラ20から離間する非印字位置(図3、図4参照)と、の間で揺動自在とされる。
また、印字ユニット30は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。リボン供給軸33は、仕切部材35に着脱可能に取り付けられている。
印字媒体Mは、保持ピン78により保持された位置から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRとともに挟持される。
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態、すなわち、印字ユニット30が印字位置にある状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
また、リボン巻取軸34は図示しない駆動モータによって回転駆動される。
仕切部材35は、ベース部35aと、ベース部35aの一端側に設けられた軸部35bと、リボン供給軸33を軸部35bと平行且つ回動自在に支持する支持部35dと、軸部35bの中央部に形成された係合部35eと、を有する。
仕切部材35は、軸部35bにより本体部31に揺動自在に支持される。
係合部35eは、図2に示すように、カバー11に設けられた被係合部11aと係合するように構成される。仕切部材35を係合部35eが被係合部11aと係合する位置(閉止位置)にすると、リボン供給軸33が本体部31内に収容される。これにより、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置になる。
このように、係合部35eと被係合部11aとが係合することで、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が固定される。また、印字ユニット30とカバー11とが結合された状態となる。
プリンタ100による印字を行う際は、カバー11は閉止状態とされ、且つ、仕切部材35の係合部35eとカバー11の被係合部11aとが係合した状態とされる。
よって、カバー11を閉止状態から開放状態にすると、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動し、図3に示すように、筐体10の開口部が開放される。
これにより、カバー11及び印字ユニット30が、プリンタ100への印字媒体Mのセット及び交換が可能な印字媒体交換位置となる。印字媒体交換位置では、印字媒体Mの交換以外にも、筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
さらに、図3に示す状態から係合部35eと被係合部11aとの係合を解除して仕切部材35を筐体10側に向けて揺動させると、仕切部材35が図4に示す開放位置になる。
仕切部材35が開放位置になるのに伴い、リボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、印字媒体Mの排出口16側に露出する。
これにより、リボン供給軸33がプリンタ100から着脱可能なリボン交換位置となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
係合部35eと被係合部11aとの係合は、仕切部材35を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、係合部35e及び被係合部11aが弾性変形して解除される。
なお、係合部35eと被係合部11aとの係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、筐体10側に向けて所定の位置まで揺動する。所定の位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部31とが当接する位置である。
揺動規制部による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部31が揺動規制部を乗り越えて解除される。
また、図2に示すように、仕切部材35におけるベース部35aの他端側には、搬送ガイド部35fが設けられる。搬送ガイド部35fは、図2に示すように、印字ユニット30が印字位置にある場合に、反射センサ21と対向して反射センサ21との間に印字媒体Mの搬送路を形成する。
反射センサ21は、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の印字媒体Mからの反射光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部と、を有する光学センサである。
反射センサ21は、印字媒体Mの印字が施される面とは反対側の面に所定の間隔で予め印刷されているアイマークを検出する。
これにより、反射センサ21は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
また、図2に示すように、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有する光学センサである。
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。
ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
本実施形態では、図2に示すように、発光ユニット22aは、印字ユニット30の搬送ガイド部35fにおける印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、搬送ガイド部35fの上面側に設けられる。また、搬送ガイド部35fには、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35gが形成されている。一方、受光ユニット22bは、図2に示すように、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。
上記したように、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業は、印字ユニット30を非印字位置にして筐体10の開口部を開放した状態で行われる。
つまり、本実施形態では、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの間が大きく開放された状態で印字媒体Mをプリンタ100にセットできるので、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。なお、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの位置を入れ替えてもよい。
プリンタ100は、使用する印字媒体Mの態様に応じて、反射センサ21と透過センサ22とのいずれか作動させて搬送方向における印字媒体Mの位置を検出するようになっている。
例えば、アイマークが設けられていない印字媒体Mを使用する場合は、プリンタ100は、透過センサ22によって印字媒体Mの位置を検出する。
コントローラ40は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ40には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字データ、センサ18、22からの信号、反射センサ21からの信号等が入力される。
コントローラ40は、記憶装置に格納されている印字制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド32の発熱素子への通電、各駆動モータへの通電等を制御する。
[ロールガイド60の構成]
図5は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の開放状態の斜視図である。図6は、本発明の実施形態に係るプリンタ100及びそれを構成するロールガイド60の平面図である。図7は、本発明の実施形態に係るプリンタ100を構成するロールガイド60を示す断面図である。
ロールガイド60は、プリンタ100の内部でロール状の印字媒体Mを回転自在に支持する部材であって、一対の平板状のロールガイド部材65と、ロールガイド部材65に固定され、印字媒体Mの管材P内へと突出する一対の保持ピン78とを備えて構成される。
図5に示すように、ロールガイド60は、筐体10に形成され上方に開口するロール収納凹部101内に配置されている。
ロールガイド60は、印字媒体Mが上方からその径方向に沿って底部方向(挿入方向)に挿入され、ロール状の印字媒体Mの側面をガイドする一対のロールガイド部材65(65A,65B)を備える。
ロールガイド部材65(65A,65B)は、ロール収納凹部101の底部において、印字媒体Mの繰り出し方向(略水平方向)と直交する方向(以下、幅方向)に間隔をおいて配置される。
ロールガイド部材65A,65Bは、それぞれロール収納凹部101において幅方向に延びるように配置されたガイド溝63に沿って幅方向に摺動可能となっている。
ロールガイド部材65A,65Bには、それぞれ幅方向に延びるラック61A,61Bがそれぞれ取り付けられ、ラック61A,ラック61Bは略水平方向に互いにずれた配置となっている。
ラック61Aとラック61Bの間にはピニオン62が挟み込まれ、ラック61Aとラック61Bはピニオン62を介して機械的に結合している。
一対のロールガイド部材65A,65Bは、ピニオン62を回転させることにより、互いに離間する方向、又は互いに接近するように幅方向に摺動可能であり、摺動量は互いに同一となる。
図6に示すように、ロールガイド部材65Aには、このロールガイド部材65Aを、前記したガイド溝63に沿った任意の位置に係止するための係止機構が設けられている。
この係止機構は、ロール収納凹部101の内壁面で、ロールガイド部材65の側面に対向する位置にガイド溝63と平行に形成された鋸刃状の多数の係止溝641と、ロールガイド部材65Aの係止溝641に対向する部分に装着され、操作部643を印字媒体Mの繰り出し方向に操作することで係止溝641に係脱させられるストッパ642と、によって構成されている。
ストッパ642を係止溝641に係合させることで、ロールガイド部材65A及びラック61Aの摺動は禁止され、ピニオン62がラック61Aにより回転が禁止されることで、ラック61B及びロールガイド部材65Bの摺動も禁止される。
また、ストッパ642を係止溝641から抜き出すことで、ロールガイド部材65A及びラック61Aの摺動は許容され、これによりピニオン62の回転も許容されラック61B及びロールガイド部材65Bの摺動も許容される。
図6、図7に示すように、ロールガイド60は、一対のロールガイド部材65と、印字媒体Mを回転自在に保持する保持ピン78を備えるとともにロールガイド部材65に揺動自在に取り付けられた揺動部材70等を有する。
ロールガイド部材65には、幅方向及びプリンタ100の上下方向(印字媒体Mの出し入れ方向)に略直交する方向(印字媒体Mの搬送方向に沿った方向)に延びる揺動軸652(図7参照)が設けられている。
揺動部材70は、揺動軸652を介してロールガイド部材65に揺動自在に取り付けられる。揺動部材70は、揺動軸652においてロールガイド60に支持され、揺動軸652を中心としてシーソーのように揺動する。
揺動部材70の揺動軸652よりも上側(印字媒体Mの取り出し方向側)となる位置には、保持ピン78が配置されている。また、揺動部材70の揺動軸652よりも下側(印字媒体Mの挿入方向側)となる位置には付勢バネ791が取り付けられている。
付勢バネ791は、揺動部材70の揺動軸652よりも下側となる部分をロール収納凹部101側に押し出す方向に付勢する。
これにより、一対の揺動部材70は、図7に示すように、付勢バネ791により一対の保持ピン78が互いに離間した方向に揺動した状態となる。このとき、保持ピン78は、ロールガイド部材65の表面からロール収納凹部101側に突出しないように設計される。
一方、印字媒体Mのロール体MRを、プリンタ100にセットするとき、ロール体MRの幅方向の端部が揺動部材70をロールガイド60の外側に押圧することで、付勢バネ791を圧縮する方向に揺動部材70が揺動する。これにより、図6に示すように、保持ピン78がロールガイド部材65の表面から保持領域側に突出した状態となる。
このように、保持ピン78がロールガイド部材65の表面からロール収納凹部101側に突出しない状態となって、印字媒体Mをプリンタ100の内部に挿入する際の引っかかりがなくなり。挿入が容易となる。印字媒体Mがロール収納凹部101に収納されたとき、保持ピン78が印字媒体Mの管材P内に対向すると揺動部材70から突出して管材P内に入り込む状態となる。
また、印字媒体Mを取り出すときには、印字媒体M及び管材Pが保持ピン78を外側に押し出して、保持ピン78が自動的に待避位置となる。
[ロールガイド部材65の構成]
次に、本実施形態の揺動部材70を備えるロールガイド部材65の構成について説明する。
図8は、本実施形態のロールガイド60を構成するロールガイド部材65の説明図である。図8は、プリンタ100の前方側(排出口16側)から見て右側に備えられるロールガイド部材65を示す。
ロールガイド60は、ロールガイド部材65の上部に揺動部材70が備えられて構成される。揺動部材70には、保持ピン78が備えられる。
揺動部材70は、その揺動半径方向(図8では、略上下方向)の長さがロールガイド部材65の高さ方向の長さよりも短くなるように寸法が設計されている。
また、揺動部材70の揺動軸方向の長さは、揺動部材70の揺動半径方向の長さよりも長くなるように寸法が設計されている。
ロールガイド部材65の上部には、揺動部材70の外形に倣った形状を有し揺動部材70をロールガイド部材65内に収容可能な収容部651が形成されている。また、収容部651内の両側面に揺動軸652が設けられている。
図8に示すように、揺動部材70は、ロールガイド部材65に対して揺動軸652を介して揺動自在に支持される。揺動部材70は、アーム部71の左右側面から略揺動軸方向に延出する第1延出部72と、第1延出部72の先端から揺動半径方向(略下向き)に延出する第2延出部73と、アーム部71の下部から略下向きに延出する嵌め込み部74及び遮蔽部75と、を有し、これらが一体に形成されている。
ロールガイド部材65の前方側、すなわち排出口16側には、ガイド機構80が備えられている。ガイド機構80は、ロール体MRと印字部15との間で印字媒体Mが印字部15へと搬送されるときに、印字媒体Mの幅方向の外側への移動を規制することで幅方向にガイドする。また、印字媒体Mの厚さ方向の上側への移動を規制することで厚さ方向にガイドする。
ロールガイド部材65は、プリンタ100内で一対が対向して備えられ、ロールガイド部材65に備えられるガイド機構80も、ロールガイド部材65において一対が対向して備えられる。
ガイド機構80は、ロールガイド部材65の排出口16側の端部付近に備えられる。ガイド機構80の上面(摺動面82a)は、印字部15へと連続するようになめらかな曲面に形成されている。
[ガイド機構80の構成]
図9は、本実施形態のガイド機構80を説明するためのロールガイド部材65の斜視図である。
ガイド機構80は、アーム部材81とカバー部材82とを備える。カバー部材82は、一方の辺が開放した箱形形状を有し、ロールガイド部材65に固定されることでロールガイド部材65の構成の一部となる。カバー部材82は、その上面がなめらかな曲面に構成された摺動面82aが構成されている。ロール体MRから引き出された印字媒体Mの裏面側が摺動面82aに対向した状態で摺動面82aの上を摺動しながら搬送される。
アーム部材81は、カバー部材82の摺動面82aに対してから起立するように突設されて構成される。アーム部材81が起立した状態の内側面は、ロールガイド部材65の内側面が同一平面として形成される。搬送方向上流側のロールガイド部材65によってロール体MRの両側部がガイドされ、搬送方向下流側の一対のアーム部材81の内側面によってシート状の印字媒体Mの両端部がガイドされる。
すなわち、一対のアーム部材81が対向する面の幅間隔は、図6に示すように一対のロールガイド部材65が対向する面の幅間隔と同じ間隔に設定され、ロール体MRとロール体MRから引き出された印字媒体Mは、それぞれ同じ幅間隔の位置にストッパ642で固定配置されたロールガイド部材65およびアーム部81によってそれぞれの両側面がガイドされる。
アーム部材81の上方の先端部分には、アーム部材81の内側面よりも内側に突出した爪部83が形成されている。すなわち、一方のアーム部材81が他方のアーム部材81に対向するそれぞれのアーム部材81に対向面から、それぞれ対向するアーム部材81に向けて爪部83が突出形成されている。
一対のアーム部材81の先端部分に形成された一対の爪部83は、互いに接近する方向に突出し、その間隔は印字媒体Mの幅(一対のロールガイド部材65が対向する内側面の間隔)よりも若干小さく設定される。
印字媒体Mのそれぞれの端部近傍は、カバー部材82の摺動面82aとアーム部材81と爪部83との三方から囲まれる領域によって、幅方向及び紙厚方向にガイドされる。すなわち、摺動面82aが印字媒体Mの裏面に対向し、アーム部材81の内側面が印字媒体Mの側端部に対向し、爪部83の下面(摺動面82aに対向する面)が印字媒体Mの表面に対向する。
なお、カバー部材82を、光を透過できる透明または半透明の樹脂等で構成して、カバー部材82内に反射センサ21又はセンサ18の受光ユニット22b(または発光ユニット22a)を設けることもできる。
次に、本実施形態のガイド機構80の構造を説明する。
図10及び図11は、本実施形態のガイド機構80の分解斜視図である。
ガイド機構80は、アーム部材81及びカバー部材82を備え、さらにその内部にコイルバネ85を備えている。
アーム部材81は、一部がカバー部材82に収納され、アーム部材81の下方側のカバー部材82に収納される箇所に、前後方向(搬送方向)に延設された軸部181を備える。カバー部材82は、軸部181を支持する支持溝182を備える。アーム部材81の軸部181が支持溝182に支持されることで、アーム部材81が軸部181を軸として移動(揺動)可能に構成される。
コイルバネ85は、アーム部材81を、内側、すなわち、対向する一対のアーム部材81の爪部83が互いに接近する側へと付勢する付勢部材として構成されている。ロールガイド部材65には、コイルバネ85を収容する収容部86が形成されている。
爪部83の上面側には、対向する他方の爪部83に向かって下側に傾斜する傾斜面83aが形成されている。
次に、このように構成されたガイド機構80の作用を説明する。
図12は、図8におけるガイド機構80のXII-XII断面図であり、起立位置のときのガイド機構80の状態を示す。
アーム部材81は、通常はコイルバネ85によって付勢されて、コイルバネ85の当接面とは反対側のアーム部材81の内側面の一部がカバー部材82に当接し、アーム部材81が摺動面82aから起立する起立位置を維持した状態となっている。この状態を、以降は「起立位置」と呼ぶ。
ガイド機構80が起立位置にあるときは、カバー部材82の摺動面82aとアーム部材81と爪部83との三方から、印字媒体Mの幅方向及び紙厚方向をガイドする。対向する一対のアーム部材81の対向面が、印字媒体M幅方向の外側に当接して、印字媒体Mの幅方向の位置を規制する。一対の爪部83は、それぞれが印字媒体Mの幅方向の端部の上側に位置して、印字媒体Mの厚さ方向の上側への移動を規制する。
このような構成により、印字媒体Mが搬送されるときに、印字部15の付近で印字媒体Mの幅方向の位置が規制されるので、印字媒体Mが幅方向にずれることが防止され、印字媒体Mの搬送を確実に行なうことができる。
さらに、印字媒体Mの位置を検出するセンサ(反射センサ21、透過センサ22)付近で、印字媒体Mの厚さ方向の上側への移動が規制されるので、印字媒体Mが上側にずれることが防止され、これらセンサの検出精度が向上する。
図13は、アーム部材81が待避位置のときのガイド機構80の断面図であって、図12に対応する図である。
まず、一対のロールガイド部材65の幅方向の間隔をロール体MR幅に合わせる。すなわち、ロールガイド部材65の間隔を、ロール体MRの両端部に当接または近接する位置に移動させて、操作部643を操作して、ストッパ642により一対のロールガイド部材65の位置を固定する。
一対のロールガイド部材65の位置を固定した状態で、一対のロールガイド部材65の間にロール体MRをセットする。これにより、保持ピン78によってロール体MRが保持される。この後、ロール体MRからシート状の印字媒体Mを印字部15方向に引き出す。シート状の印字媒体Mの先端がガイド機構80の位置となるようにして、アーム部材81の間に印字媒体Mをセットする。
このとき、ガイド機構80の爪部83は、アーム部材81から内側(印字媒体M側)へと延設されており、対向する一対の爪部83の間隔が印字媒体Mの幅よりも小さく設定されているが、印字媒体Mの裏面側を爪部83の傾斜面83aに当接させてカバー部材82の摺動面82aに向かって押し込むことで、アーム部材81が印字媒体Mから離れ、コイルバネ85の付勢力に抗する方向に揺動する。
アーム部材81が印字媒体Mから離れる方向に揺動することにより、一対の爪部83の先端間の距離が印字媒体Mの幅と等しく(または広く)なり、印字媒体Mが爪部83を乗り越えることができるので、印字媒体Mを爪部83と摺動面82aの間にセットすることができる。
ここで、例えばアーム部材及び爪部が揺動不可能な状態でロールガイド部材に固定されている従来のプリンタでは、印字媒体Mをセットするときに、印字媒体Mの端部を爪部の下側へとくぐらせる必要があるため、ロールガイド部材の位置を広げる等、作業者の手間を要していた。さらに、印字媒体Mが爪部の下に位置しない状態でカバーを閉じて印刷を開始しようとすると、印字媒体Mが折れ曲がるばかりでなく、エラーが発生してしまうことがある。このガイド機構の位置にセンサを備えている場合も同様に検出エラー等が発生してしまう。
これに対して本実施形態のガイド機構80は、アーム部材81を、軸部181を軸として印字媒体Mの幅方向の外側に揺動する構成とした。アーム部材81が外側に揺動して、一対の爪部83の先端同士の間隔が起立位置にあるときよりも広く、一方の爪部83が他方の爪部83から離間する方向に移動した位置となった状態を、以降は「待避位置」と呼ぶ。この待避位置では、好ましくは、爪部83の間隔が印字媒体Mの幅よりも広いか等しくなることが好ましい。
このような構成により、印字媒体Mをプリンタ100にセットするときに、アーム部材81が開放状態になることで、印字媒体Mのセットが容易となる。
より具体的には、印字媒体Mをプリンタ100にセットするとき、印字媒体Mのロール体MRをロール収納凹部101に収納し、印字媒体Mの端部をガイド機構80の付近に差し掛かるようにする。このとき、印字媒体Mがガイド機構80の爪部83の上に位置するようにする。
印字媒体Mが爪部83の上に載せられると、印字媒体Mの重量によって、爪部83には、傾斜面83aの傾きに従ってアーム部材81が互いに離れる方向へと押し広げられる方向の力が働く。ここで、例えば作業者が印字媒体Mを下側へと押圧すると、図13中の矢印に示すように、コイルバネ85による付勢力に逆らってアーム部材81が外側へと揺動する。
アーム部材81が外側に揺動してアーム部材81が開放状態となると、印字媒体Mが一対の爪部83の間を容易に通過し、印字媒体Mが、カバー部材82の摺動面82aとアーム部材81と爪部83との三方から囲まれる。
印字媒体Mが爪部83を通過した後、アーム部材81は、コイルバネ85の付勢力によって起立し、ガイド機構80が図11に示す起立位置へと戻る。
このように、ガイド機構80は、アーム部材81が印字媒体Mの幅方向の外側に揺動可能に構成されているので、印字媒体Mをプリンタ100にセットするときに、印字媒体Mが爪部83を押すことでアーム部材81が外側に揺動して開放状態となる。ガイド機構80が開放状態となることで、印字媒体Mが容易にセットされる。
なお、作業者が印字媒体Mの端部を上から押すのではなく、印字媒体Mの端部をガイド機構80の爪部83の上に載せて、そのままカバー11を閉じることで、印字媒体Mが押圧されるように構成してもよい。
例えば、印字媒体Mのロール体MRをセットし、シート状の印字媒体Mの先端がガイド機構80の位置となるようにして、アーム部材81の間に印字媒体Mをセットする(図14参照)。その後、カバー11を閉じる過程で、仕切部材35、サーマルヘッド32等のカバー11の内側の構造との接触により印字媒体Mが下側に押されることで、アーム部材81が離間方向揺動して待避位置となり(図15参照)、ガイド機構80が開放状態となった後にカバー11を完全に閉じた際にカバー11の内側との接触が解除され、アーム部材81が起立位置に戻るように構成してもよい。
以上述べたように、本実施形態によれば、シート状の印字媒体Mに印字を行なう印字部15と、印字部15に供給されるシート状の印字媒体Mの搬送を幅方向及び厚さ方向でガイドするガイド機構80と、を備えた。ガイド機構80は、印字媒体Mの一方の面に対向する摺動面に対して起立した起立位置と、起立位置から印字媒体Mの幅方向外側に向けて移動した待避位置との間で移動可能に構成されている。
これによれば、印字媒体Mをセットするときに、ガイド機構80が印字媒体Mの幅方向の外側に向けて移動するので、印字媒体Mのセットが容易となる。
また、ガイド機構80は、起立して延設されたアーム部材81と、アーム部材81の上側で印字媒体M側に突出する爪部83と、を備え、アーム部材81が、印字媒体Mの幅方向外側に揺動可能に構成されている。
これによれば、印字媒体Mをセットするときに、爪部83が印字媒体Mによって押圧されることで、アーム部材81が印字媒体Mの幅方向の外側に揺動するので、印字媒体Mを爪部83の下側へとくぐらせる必要がなく、印字媒体Mのセットが容易となる。
また、ガイド機構80のアーム部材81によって印字媒体Mを幅方向の外側から挟持して印字媒体Mの幅方向の位置を規制することによって、印字媒体Mの搬送を確実に行なうことができる。また、ガイド機構80の爪部83によって、印字媒体Mの厚さ方向の上側への移動が規制されることによって、印字媒体Mの位置を検出するセンサ(反射センサ21、透過センサ22)の精度を向上できる。
また、プリンタ100は、アーム部材81を印字媒体M側に付勢する付勢部材としてのコイルバネ85を備えるので、コイルバネ85の付勢力によってアーム部材81が起立して、印字媒体Mを幅方向及び厚さ方向の上側からガイドすることができる。
また、プリンタ100は、爪部83が印字媒体Mによって押圧されることで、アーム部材81を印字媒体Mの幅方向の外側に揺動させるので、印字媒体Mをセットする際に特別な機構や作業が発生せず、印字媒体Mのセットが容易となる。
また、プリンタ100は、印字媒体Mを両側から保持する一対のロールガイド60が備えられ、一対のロールガイド60のそれぞれに、一対のガイド機構80が備えられるので、印字媒体Mを幅方向の両側から挟持して、印字媒体Mの搬送を確実に行なうことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態のプリンタ100の印刷方式は、サーマルヘッド32とインクリボンRとによる感熱方式であるが、これに限られず、例えばインクジェット方式やドットインパクト方式など、他の印刷形式を用いてもよい。
また、上記実施形態のガイド機構80は、一対のアーム部材81にそれぞれ爪部83を備えているが、一方のアーム部材81のみに爪部83が備えられていてもよい。また、ガイド機構80は、一対のロールガイド部材65の双方に備えられているが、一方のロールガイド部材65のみに備えられていてもよい。この場合、ガイド機構80に対向する位置のロールガイド部材65に、印字媒体Mの幅方向への移動を規制する構成を備えることが望ましい。
また、上記実施形態のガイド機構80は、アーム部材81が軸部181を中心として揺動するように構成したが、これに限られず、印字媒体Mをセットするときに、アーム部材81が印字媒体Mの幅方向の外側へと移動するものであれば、どのような構成であってもよい。