[プリンタ100の全体構造]
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のものである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体であり、図2に示すように、管材Pにロール状に巻き回されたものである。
プリンタ100は、図1、図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
印字媒体Mは、図2に示すように、管材P内に入り込んだ保持ピン78に保持される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルを使用することもできる。
カバー11は、筐体10に設けられた支持軸13により一端側の端部が揺動自在に支持される。カバー11は、支持軸13を支点として揺動させることで、筐体10の開口部を開放する開放状態(図3参照)と、閉止する閉止状態(図2参照)と、を切り替えることができる。
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するロック機構(図示せず)が設けられる。ロック機構は、図1に示すレバー14を操作することで解除される。
カバー11の他端側の端部と筐体10との間には、図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
カバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。これにより、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断することができる。なお、カバー11には、カッタ17に代えて他の様々なユニットを取り付けることができる。
排出口16と印字部15との間には、印字媒体Mの有無を検出する透過センサ18が設けられる。
透過センサ18は、所定の光を出射する発光ユニット18aと、発光ユニット18aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光ユニット18bと、を有する光学センサである。
印字媒体Mが発光ユニット18aと受光ユニット18bとの間に存在すると、発光ユニット18aから出射された光が遮られ、受光ユニット18bが受光する光の強度が低下する。
これにより、透過センサ18は、印字媒体Mの有無を検出することができる。なお、発光ユニット18aと受光ユニット18bとの位置を入れ替えてもよい。
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
プリンタ100の内部には、図2に示すように、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30、プリンタ100の動作を制御するコントローラ40等が収容される。
印字ユニット30は、一端側が支持軸13に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20とともに印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
印字ユニット30は、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に印字媒体Mが挟持される印字位置(図2参照)と、サーマルヘッド32がプラテンローラ20から離間する非印字位置(図3、図4参照)と、の間で揺動自在とされる。
また、印字ユニット30は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。リボン供給軸33は、仕切部材35に着脱可能に取り付けられている。
印字媒体Mは、保持ピン78により保持された位置から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRとともに挟持される。
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態、すなわち、印字ユニット30が印字位置にある状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
また、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34も、それぞれ駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。
仕切部材35は、ベース部35aと、ベース部35aの一端側に設けられた軸部35bと、リボン供給軸33を軸部35bと平行且つ回動自在に支持する支持部35dと、軸部35bの中央部に形成された係合部35eと、を有する。
仕切部材35は、軸部35bにより本体部31に揺動自在に支持される。
係合部35eは、図2に示すように、カバー11に設けられた被係合部11aと係合するように構成される。仕切部材35を係合部35eが被係合部11aと係合する位置(閉止位置)にすると、リボン供給軸33が本体部31内に収容される。これにより、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置になる。
このように、係合部35eと被係合部11aとが係合することで、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が維持される。また、印字ユニット30とカバー11とが結合された状態となる。
プリンタ100による印字を行う際は、カバー11は閉止状態とされ、且つ、仕切部材35の係合部35eとカバー11の被係合部11aとが係合した状態とされる。
よって、カバー11を閉止状態から開放状態にすると、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動し、図3に示すように、筐体10の開口部が開放される。
これにより、プリンタ100への印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
さらに、図3に示す状態から係合部35eと被係合部11aとの係合を解除して仕切部材35を筐体10側に向けて揺動させると、仕切部材35が図4に示す開放位置になる。
仕切部材35が開放位置になるのに伴い、リボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、印字媒体Mの排出口16側に露出する。
これにより、リボン供給軸33がプリンタ100から着脱可能なリボン交換位置となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
係合部35eと被係合部11aとの係合は、仕切部材35を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、係合部35e及び被係合部11aが弾性変形して解除される。
なお、係合部35eと被係合部11aとの係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、筐体10側に向けて所定の位置まで揺動する。所定の位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部31とが当接する位置である。
揺動規制部による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部31が揺動規制部を乗り越えて解除される。
また、図2に示すように、仕切部材35におけるベース部35aの他端側には、搬送ガイド部35fが設けられる。搬送ガイド部35fは、図2に示すように、印字ユニット30が印字位置にある場合に、反射センサ21と対向して反射センサ21との間に印字媒体Mの搬送路を形成する。
反射センサ21は、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の印字媒体Mからの反射光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部と、を有する光学センサである。
反射センサ21は、印字媒体Mの印字が施される面とは反対側の面に所定の間隔で予め印刷されているアイマークを検出する。
これにより、反射センサ21は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
ここで、搬送中の印字媒体Mに弛みやうねりが発生すると、反射センサ21と印字媒体Mとの距離が大きくなって反射センサ21の検出精度が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、印字ユニット30が印字位置にある場合、つまり、図2に示す状態では、仕切部材35の搬送ガイド部35fが反射センサ21との間に搬送路を形成するので、搬送ガイド部35fによって印字媒体Mがガイドされ、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送される。よって、印字媒体Mの弛みやうねりによって反射センサ21と印字媒体Mとの距離が大きくなることを防止でき、反射センサ21の検出精度を安定させることができる。
また、仕切部材35に設けられた搬送ガイド部35fによって印字媒体Mの搬送路が形成されるので、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにする部材を別途設ける必要がなく、当該部材に印字媒体Mを挿通する作業も不要となる。
また、仕切部材35は印字ユニット30に設けられるので、印字ユニット30を非印字位置にすると、印字媒体Mの搬送路全体を露出させることができる。よって、仕切部材35に搬送ガイド部35fを設けることで反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにしても、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。
また、図2に示すように、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有する光学センサである。
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。
ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、反射センサ21は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
本実施形態では、図2に示すように、発光ユニット22aは、搬送ガイド部35fにおける印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、搬送ガイド部35fの上面側に設けられる。また、搬送ガイド部35fには、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35gが形成されている。一方、受光ユニット22bは、図2に示すように、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。
上記したように、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業は、印字ユニット30を非印字位置にして筐体10の開口部を開放した状態で行われる。
つまり、本実施形態では、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの間が大きく開放された状態で印字媒体Mをプリンタ100にセットできるので、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。なお、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの位置を入れ替えてもよい。
プリンタ100は、使用する印字媒体Mの態様に応じて、反射センサ21と透過センサ22とのいずれか作動させて搬送方向における印字媒体Mの位置を検出するようになっている。
例えば、アイマークが設けられていない印字媒体Mを使用する場合は、プリンタ100は、透過センサ22によって印字媒体Mの位置を検出する。
コントローラ40は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ40には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字データ、透過センサ18、22からの信号、反射センサ21からの信号等が入力される。
コントローラ40は、記憶装置に格納されている印字制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド32の発熱素子への通電、各駆動モータへの通電等を制御する。
[ロールガイド60の構成]
図5は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の開放状態の斜視図である。図6は、本発明の実施形態に係るプリンタ100及びそれを構成するロールガイド60の平面図である。図7は、本発明の実施形態に係るプリンタ100を構成するロールガイド60を示す断面図である。
図5に示すように、ロールガイド60は、筐体10に形成され上方に開口するロール収納凹部101内に配置されている。
支持部材65には、幅方向及びプリンタ100の上下方向(印字媒体Mの出し入れ方向)に略直交する方向(略水平方向)に延びる揺動軸652(図7参照)が設けられている。
揺動部材70は、揺動軸652を介して支持部材65に揺動自在に取り付けられる。揺動部材70は、その主面(表面)が保持領域(ロール収納凹部101において印字媒体Mが装填・保持される領域)に対向するように支持部材65に取り付けられる。
支持部材65(65A,65B)は、ロール収納凹部101の底部において、印字媒体Mの繰り出し方向(略水平方向)と直交する方向(以下、幅方向)に間隔をおいて配置される。
支持部材65A,65Bは、それぞれロール収納凹部101において幅方向に延びるように配置されたガイド溝63に沿って幅方向に摺動可能となっている。
支持部材65A,65Bには、それぞれ幅方向に延びるラック61A,61Bがそれぞれ取り付けられ、ラック61A,ラック61Bは略水平方向に互いにずれた配置となっている。
ラック61Aとラック61Bの間にはピニオン62が挟み込まれ、ラック61Aとラック61Bはピニオン62を介して機械的に結合している。
一対の支持部材65A,65Bは、ピニオン62を回転させることにより、互いに離間する方向、又は互いに接近するように幅方向に摺動可能であり、摺動量は互いに同一となる。
図6に示すように、支持部材65Aには、この支持部材65Aを、前記したガイド溝63に沿った任意の位置に係止するための係止機構が設けられている。
この係止機構は、ロール収納凹部101の内壁面で、支持部材65の側面に対向する位置にガイド溝63と平行に形成された鋸刃状の多数の係止溝641と、支持部材65Aの係止溝641に対向する部分に装着され、操作部643を印字媒体Mの繰り出し方向に操作することで係止溝641に係脱させられるストッパ642と、によって構成されている。
ストッパ642を係止溝641に係合させることで、支持部材65A及びラック61Aの摺動は禁止され、ピニオン62がラック61Aにより回転が禁止されることで、ラック61B及び支持部材65Bの摺動も禁止される。
また、ストッパ642を係止溝641から抜き出すことで、支持部材65A及びラック61Aの摺動は許容され、これによりピニオン62の回転も許容されラック61B及び支持部材65Bの摺動も許容される。
図6、図7に示すように、ロールガイド60は、管材Pにロール状に巻回された印字媒体Mを挟むように配置された一対の支持部材65(65A,65B)と、支持部材65(65A,65B)のそれぞれに互いに対向する方向に揺動可能に取り付けられた一対の揺動部材70と、対向する方向に突出しており印字媒体Mを回転自在に保持する保持ピン78を有する。また、ロールガイド60は、一対の揺動部材70のそれぞれに設けられた保持ピン78の間隔を広げる又は狭めるように、揺動自在に支持された退避動作部76を有する。
保持ピン78は、揺動部材70の揺動軸652(第1揺動支点に相当する)よりも上側(印字媒体Mの取り出し方向側)となる位置に配置されている。
また、ロールガイド60は、揺動部材70を支持部材65(65A,65B)のそれぞれに対して互いに対向する方向に揺動動作するための揺動支点としての揺動軸652と、揺動部材70に支持された一対の退避動作部76の間隔を広げる又は狭めるように揺動部材70を付勢する揺動部材付勢手段としての付勢バネ791とを有する。
揺動軸652は、支持部材65における幅方向及びプリンタ100の上下方向(印字媒体Mの出し入れ方向)に略直交する方向(略水平方向)に延びる(図7参照)。
付勢バネ791は、揺動部材70における揺動軸652よりも下側の所定箇所に配置されており、揺動部材70下側に、一対の支持部材65(65A,65B)の間(保持領域、ロール収納凹部101)に向かう付勢力を付与するように配置されている。
付勢バネ791として、本実施形態では、圧縮コイルバネを用いることができる。
揺動部材70は、その主面(表面)が保持領域(ロール収納凹部101において印字媒体Mが装填・保持される領域)に対向するように支持部材65に取り付けられる。
揺動部材70は、揺動軸652に平行な方向(以後、揺動軸方向という)と、それに垂直な方向(以後、揺動半径方向という)に外形を有する板状の部材であり、揺動半径方向の中央部において揺動軸652に接続され、揺動軸652(揺動軸方向)を中心としてシーソーのように揺動する。
ここで、揺動半径方向とは、揺動軸方向に垂直な方向であって、揺動軸652を中心として回転する軸に沿った方向であり、揺動軸652を中心として回転することにより上下方向(印字媒体Mの出し入れ方向)と平行になる場合や、又は上下方向に対して交差(傾斜)する場合がある。
図8は、図6、図7のVIII矢視図であり、本発明の実施形態に係るプリンタ100を構成するロールガイド60を示す構成図である。
図8に示すように、支持部材65の上部(支持部材65の印字媒体Mの取り出し方向側の部分)には、揺動部材70の外形に倣った形状を有し揺動部材70を支持部材65内に収容可能な収容部651が形成されている。揺動部材70は、収容部651の内側に配置されている。
収容部651内側の両側面には、揺動部材70を揺動可能に支持する揺動軸652(図11参照)が設けられている。
揺動部材70の揺動半径方向(図8では、略上下方向)の長さは、支持部材65の高さ方向の長さよりも短く形成されている。また、揺動部材70の揺動軸方向の長さは、揺動部材70の揺動半径方向の長さよりも長く形成されている。
図8(詳細は図12,図13参照)に示すように、揺動部材70は、保持ピン78を支持する一対のアーム部71と、保持ピン78を印字媒体Mを保持する保持位置から印字媒体Mを取り外す開放位置に退避させるための退避動作部76とを備える。
アーム部71は、2つのアームを有し、この2つのアームの間に退避動作部76を挟み込むように支持する(図8参照)。アーム部71は、支持部材65に対して揺動軸652を介して揺動自在に支持される。
また、揺動部材70は、アーム部71の左右側面から略揺動軸方向に延出する第1延出部72と、第1延出部72の先端から揺動半径方向(略下向き)に延出する第2延出部73と、アーム部71の下部から略下向きに延出する嵌め込み部74及び遮蔽部75とを有し、これらが一体に形成されている。
アーム部71、第1延出部72、第2延出部73、遮蔽部75は、それぞれの保持領域側の面において同一平面を形成している。
図9は、図8のIX-IX線断面図である。また、図10は、図8のX-X線断面図である。図11は、ロールガイド60を構成する支持部材65の斜視図である。図12は、ロールガイド60を構成する揺動部材70(アーム部71)の斜視図である。図13は、図12の裏面図である。図14は、ロールガイド60を構成する揺動部材70(退避動作部76)の斜視図である。
図9に示すように、アーム部71は、その主面(表面)が保持領域側に対向し印字媒体Mに対向若しくは接触する。またその裏面には揺動軸652に揺動自在に接続するとともにアーム部71全体を揺動軸652に対して略上下方向に摺動可能な軸受け部711(図13参照)を有する。
軸受け部711は、揺動半径方向に延びるとともに、その上端(正の揺動半径方向側の端部)に揺動軸652を導入する開口部を備えた溝形状を有し、揺動軸652を溝内で摺動させることで、アーム部71全体を揺動半径方向(略上下方向)に摺動させることができる。
図9、図10に示すように、揺動部材70は、アーム部71と退避動作部76との間に、アーム部71と退避動作部76とを揺動半径方向に付勢する退避動作部付勢手段としての付勢バネ792を有する。付勢バネ792は、一対の揺動部材70(アーム部71)において互いに対向して配置された保持ピン78の互いの間隔が狭められた位置で保持されるように退避動作部76を付勢する。
本実施形態において、付勢バネ792は、圧縮コイルバネである。付勢バネ792は、退避動作部76が揺動部材70に対してさらに狭められた位置で保持された状態において、圧縮コイルバネの長さ方向の基端部が揺動部材70に当接されるとともに先端部が退避動作部76に当接し、屈曲しない状態であるが、アーム部71と退避動作部76によって圧縮応力が付与された状態で配置されている。
図9に示すように、アーム部71の、退避動作部76に対向する面には、揺動部材70の裏側に向けて延出しつつ下向きに湾曲してアーム部71の表側に向かいアーム部71の表側に近い位置に先端を有する形状の揺動支点712(第2揺動支点に相当する)が配置されている。湾曲部分と揺動支点712との間は、規制部714を構成する。
揺動支点712は、退避動作部76を揺動動作するための退避動作部揺動支点とされている。
退避動作部76は、退避動作部76の下側であって揺動支点712に対応する位置に、揺動支点712を受けるU字型の支点受部761を有する。
揺動支点712の先端(下端)は、支点受部761の内側に入り込み、支点受部761のU字型の底面に当接している。
揺動支点712は、上述のように、アーム部71の、退避動作部76に対向する面であって、アーム部71の表側に近い位置に形成されている。換言すると、アーム部71の、退避動作部76に対向する面であって、一対の退避動作部76が互いに対向する方向且つ保持ピン78が突出する側に寄せて配置されている。
また、付勢バネ792は、揺動部材70から退避動作部76に向かう付勢力を、退避動作部76において保持ピン78が突出する側の反対側に寄せた位置に付与するように構成されている。
また、本実施形態においては、アーム部71は、上述したように、湾曲部から揺動支点712に繋がる部分が、退避動作部76の揺動動作を規制する規制部714として機能する。退避動作部76は、支点受部761の一部が、規制部714によって規制されることにより、保持ピン78が互いに狭められた位置で揺動部材70(アーム部71)に対して保持される。
また、アーム部71は、規制部714のほかにも、退避動作部76が所定の揺動位置に到達したときに退避動作部76に当接するストッパ713を備える。
ストッパ713は、退避動作部76の表面(保持ピン78を除く)がアーム部71の表面と略同一平面を形成する位置で退避動作部76に当接するように設計され、このとき保持ピン78はアーム部71の表面から突出した状態で配置される。
なお、本実施形態においてストッパ713は3箇所配置されている(図12参照)。
一対の揺動部材70は、上述の構成を有することにより、以下の状態を取り得る。
すなわち、一状態としては、図9及び図10に示すように、退避動作部76が、互いに狭められた位置で保持された状態であって、付勢バネ791により、揺動部材70の上方が外側に開いた状態で保持された状態(これを開放状態又は初期状態という)である。
この初期状態は、印字媒体Mの挿入が可能な状態であり、保持ピン78が、支持部材65の表面(保持領域に対向する面)から突出しないように設計されている(図7参照)。なお、この初期状態は、印字媒体Mを取り外した後の状態でもある。
また、別の状態としては、図16及び図17に示すように、付勢バネ791が押し縮められることにより、揺動部材70の上方がもう一方の揺動部材70に近づくように閉じた状態であって、退避動作部76が互いに広げられた位置にある状態、すなわち、退避動作部76が外側に開いた状態(これを第1揺動状態という)である。
また、別の状態としては、図18及び図19に示すように、付勢バネ791が押し縮められることにより、揺動部材70の上方がもう一方の揺動部材70に近づくように閉じた状態であって、退避動作部76も、互いに狭められた位置で保持された状態(これを第2揺動状態という)である。この状態にあるとき、印字媒体Mを、印字動作が行えるように保持できる。
本実施形態では、退避動作部76は、基本的にアーム部71と一体となって揺動軸652を中心として揺動する。しかし、後述のように退避動作部76に設けられた保持ピン78の先端が印字媒体Mの端面に当接すると、退避動作部76は印字媒体Mに当接する際の反力を利用して揺動支点712の先端を中心として保持ピン78がアーム部71から突出しない方向に相対的に揺動する。
すなわち、印字媒体Mが挿入方向に移動されて揺動部材70に当接し、揺動部材70の表面(保持領域側の面)が支持部材65の表面に平行になるまで付勢バネ791が押し縮められると、この動作に伴って、印字媒体Mの挿入側に設けられた保持ピン78が互いに狭められた位置に移動し、保持ピン78の先端が印字媒体Mの端面に当接する。
このとき、保持ピン78は、揺動部材70において印字媒体Mの挿入側の動きとは反対に、互いの間隔が広げられた位置で保持される(第1揺動状態、図15及び図16参照)。
さらに印字媒体Mが挿入されると、保持ピン78が印字媒体Mの管材Pの管内に対向する位置に達する。この状態で、付勢バネ792は、保持ピン78が互いの間隔を狭める方向に回復させる付勢力を付与しているため、保持ピン78は、揺動部材70の表面から保持領域側に押し出され、管材P内に入り込む(第2揺動状態、図17及び図18参照)。
図9及び図10に示すように、保持ピン78の下部は、保持ピン78の根元に向かうにつれて保持ピン78の揺動半径方向の厚みが厚くなる傾斜面781となっている。
図7に示す初期状態において、保持ピン78は、保持ピン78の傾斜面781と支持部材65の表面(保持領域側の面)が略同一平面になるようにし、保持ピン78が支持部材65の表面から突出しないように設計される。
保持ピン78には、根元付近において傾斜面781よりも傾斜角度の小さい傾斜面782が形成されている。
傾斜面782は、保持ピン78が印字媒体Mを保持する状態において、保持ピン78の根元に向かうにつれて印字媒体Mの管材Pに近接するように傾斜している(図17、図18参照)。
上記構成により、印字媒体Mを取り出す際に保持ピン78が印字媒体Mの管材Pに引っ掛かることを防止し、保持ピン78(揺動部材70)の揺動を容易に行うことで印字媒体Mの取り出しを容易に行うことができる。
図21に示す状態を用いて、保持ピン78の形状について、更に説明する。図21には、保持ピン78が印字媒体Mを保持する保持位置にある状態が示されている。この状態において、保持ピン78は、印字媒体Mの管材Pの内側上部を支持している。
保持ピン78が管材Pを支持する支持面からプリンタ100の上下方向における下側に向かう方向において、保持ピン78は、ストッパ713が含まれる揺動部材70の表面に沿った退避動作部76の表面からの突出量が小さくなるように形成された傾斜面781を有する。
保持ピン78の、プリンタ100の上下方向における下側の部分においては、傾斜面731に連なっており、傾斜面781よりも傾斜角度の大きい傾斜面782が形成されている。傾斜面782は、保持ピン78が管材Pを支持する支持面からプリンタ100の上下方向における下側に向かう方向において、印字媒体Mの管材Pの内側に近接するように傾斜している(図17、図18参照)。
図21は、揺動部材70を構成する第1延出部72及び第2延出部73と印字媒体Mとの関係を示す図である。
第1延出部72(図8、図12、図13参照)は、アーム部71から揺動軸方向において両方向に延出する部位である。
第1延出部72の先端には、揺動部材70の下側(付勢バネ791により保持領域側に突出する側)に延出する第2延出部73を備える。
図21等に示すように、前記の揺動部材70の寸法の設計に基づき、2つの第1延出部72の先端を結ぶ線の長さ、即ち揺動部材70の揺動軸方向の長さは、揺動部材70(アーム部71)の揺動半径方向の長さよりも長く設計するのが好適である。
第2延出部73は、揺動部材70が装填する印字媒体Mに当接している場合において、その先端が揺動軸652の延長線から下となる位置(負の揺動半径方向側に離間する位置であって付勢バネ792により揺動して印字媒体Mに当接する位置)に配置される。
これにより、印字媒体Mの管材Pの内径がアーム部71の揺動半径方向の長さよりも長く、アーム部71全体が幅方向から見て管材Pの内側に配置されるような場合であっても、第1延出部72の端部及び第2延出部73は印字媒体Mに当接する。
さらに、第2延出部73は、揺動軸652の延長線から離間した位置に配置された状態で印字媒体Mに当接するため、印字媒体Mから一定のモーメントを抗力として受けることができる。
これにより、アーム部71が付勢バネ791により空回りする、すなわち揺動部材70が初期状態に戻ることを禁止し、保持ピン78が管材P内に入り込んだ状態を維持することができる。
なお、本実施形態では、揺動部材70がアーム部71から第1延出部72及び第2延出部73が延出する形状を有しているが、アーム部71、第1延出部72、第2延出部73の外径を包含する略矩形形状としてもよい。
しかし、本実施形態の形状とすることで前記略矩形形状とした場合よりも揺動部材70を軽量化できるので、印字媒体Mを取り外す際の揺動部材70の付勢バネ791による揺動が容易となり、その分、付勢バネ791を小型化することができる。
図9,図10及び図14に示すように、退避動作部76は、端部に形成された頭部771と、括れ部772とを有する。退避動作部76において、括れ部772よりも先端側に頭部771が形成されている。
一方、支持部材65(65A,65B)は、保持ピン78が印字媒体Mを保持する保持位置に留めるために、退避動作部76を係止する係止部654を有する。係止部654は、図10に示すように、収容部651において、頭部771及び括れ部772を収容する位置に設けられている。
退避動作部76は、揺動動作が自在な位置と、頭部771が係止部654に係止されて保持ピン78が保持位置に維持される位置との間で移動可能に構成されている。
揺動部材70は、退避動作部76を揺動が自在な位置と、頭部771が係止部654に係止されて保持ピン78が保持位置に維持される位置との間で所定距離移動されると、嵌め込み部74と被嵌め込み部653とが外れる方向に移動されて、揺動可能となるように構成されている。
図14に示すように、係止部654は、揺動軸方向に並んで一対設けられ、退避動作部76(揺動部材70)が揺動する際には、括れ部772が一対の係止部654の間を通過するように配置されている。
頭部771は、一対の括れ部772の間隔よりも幅広く形成されている。上記のロック状態のときに、係止部654に当接する(若しくは退避動作部76の揺動の際に係止部654に干渉する位置に配置される)ことで退避動作部76(揺動部材70)の揺動を禁止する。
図21に示すように、揺動部材70は、保持ピン78が印字媒体Mを保持する保持位置において、支持部材65(65A,65B)と嵌まり合う嵌め込み部74を備える。嵌め込み部74は、プリンタ100の上下方向における下側に突出して形成されている。また、嵌め込み部74は、アーム部71の厚みよりも厚みが薄く形成されている。
嵌め込み部74は、揺動部材70が保持領域側に揺動することを規制するためのものである。
支持部材65(65A,65B)は、保持位置において、揺動部材70と嵌まり合う被嵌め込み部653を有する。被嵌め込み部653は、収容部651の下部に、上方向に向けて突出して形成されている。
本実施形態では、収容部651において、揺動部材70が所定距離下方に移動されることにより、嵌め込み部74が被嵌め込み部653に嵌め込まれる。また、この動作により、頭部771が係止部654に係止される。これにより、揺動部材70の支持部材65に対する揺動を規制することができる(図21参照)。
また、反対に、収容部651において、揺動部材70が所定距離上方に移動されることにより、嵌め込み部74と被嵌め込み部653との嵌め合いが外れる。また、この動作により、頭部771と係止部654との係止も外れて、揺動部材70を支持部材65に対して揺動させることが可能となる(図21参照)。
ここで、嵌め込み部74の被嵌め込み部653に対向する面には、例えば凹部74aが形成され、被嵌め込み部653の嵌め込み部74に対向する面には、例えば凸部653aが形成され、凹部74aが凸部653aに嵌め込まれることで、嵌め込み部74が被嵌め込み部653に嵌め込まれる。なお、後述のように、凹部74a及び凸部653aは省略することができる。
図15は、図12の右側面図及び図13の左側面図に対応する図であって、第2延出部73を図12及び図13に示す形態よりも延長させた場合の図である。図15に示すように、上記の第2延出部73は、揺動軸652の揺動軸方向から見てその外形が遮蔽部75の外形の内側に配置できる範囲(例えば、図12の破線の矢印で示される位置)まで延出させることができる。
これにより、付勢バネ792により付勢された第2延出部73がロールガイド60に装填後の印字媒体Mから確実に抗力を受けることで、アーム部71の付勢バネ792による揺動を回避して保持ピン78による印字媒体Mの保持を維持することができる。
本実施形態では、保持ピン78の上部が印字媒体Mの管材Pに当接しその荷重を受けることで揺動部材70が所定距離下方に摺動(移動)する。その際、嵌め込み部74が被嵌め込み部653に嵌め込まれた状態(ロック状態)となる(図21参照)。
[ロールガイド60の動作(その1)]
図16は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(アーム部71揺動後)を説明するための図であって、図9に対応するものである。
図17は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(アーム部71揺動後)を説明するための図であって、図10に対応するものである。
図18は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(退避動作部76揺動後)を説明するための図であって、図9に対応するものである。
図19は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(退避動作部76揺動後)を説明するための図であって、図10に対応するものである。
図20は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(ロック後)を説明するための図であって、図9に対応するものである。
図21は、ロールガイド60において印字媒体Mを装填・保持する動作(ロック後)を説明するための図であって、図10に対応するものである。
本実施形態のプリンタ100を構成するロールガイド60の動作について説明する。
印字媒体Mを装填する前、ロールガイド60は、初期状態として、付勢バネ791により付勢され一対の揺動部材70が保持ピン78を互いに離間する方向に配置されている(図7、図9、図10参照)。
そして、図16、図17に示すように、ロールガイド60に印字媒体Mを挿入し始めると、印字媒体Mが揺動部材70(アーム部71)に当接し、保持ピン78が互いに近接する方向に揺動部材70が揺動し(図7参照)、保持ピン78の先端が印字媒体Mの端部に当接する。
しかし、保持ピン78を支持する退避動作部76がアーム部71に対して相対的に揺動することで、退避動作部76の揺動が停止した状態でアーム部71は引き続き揺動し、アーム部71の表面と支持部材65の表面が、略同一平面を形成する(第1揺動状態)。
図18、図19に示すように、印字媒体Mの挿入を進行させ保持ピン78が印字媒体Mの管材P内に対向すると保持ピン78は付勢バネ792により管材P内に入り込む方向に揺動し、括れ部772が一対の係止部654の間を通過することで揺動が進行し、ストッパ713に当接することで揺動が停止する(第2揺動状態)。
図20、図21に示すように、保持ピン78の上部が管材Pの上側の内壁面に当接して保持ピン78が印字媒体Mから荷重を受けると、保持ピン78を備える揺動部材70は下方に摺動し、アーム部71に配置された嵌め込み部74(凹部74a)は、収容部651に形成された被嵌め込み部653(凸部653a)に嵌め込まれてアーム部71の揺動が禁止される。
なお、嵌め込み部74の下部(負の揺動半径側の端部)には保持領域側に傾斜した傾斜面741があり、収容部651の下部には揺動部材70の裏面側に傾斜した傾斜面655がある。
揺動部材70が下方に摺動すると傾斜面741と傾斜面655が当接し、嵌め込み部74は、傾斜面741により、傾斜面655よりも下方にある被嵌め込み部653にガイドされるようになっている。
したがって、第2揺動状態において揺動部材70の揺動が不十分であったとしても嵌め込み部74(凹部74a)を被嵌め込み部653(凸部653a)に確実に嵌め込むことができる。
なお、図17(第1揺動状態)、図19(第2揺動状態)において、傾斜面741は傾斜面655に当接しているが、傾斜面655から上方に離間した位置にあってもよい。
嵌め込み部74が被嵌め込み部653に嵌め込まれるとき、退避動作部76の頭部771は、収容部651に収容されるとともに、収容部651に形成された係止部654に対向・当接して退避動作部76の揺動が禁止される(ロック状態)。
以上により、印字媒体Mのロールガイド60への装填が終了し、印字媒体Mは保持ピン78により回転自在に保持される。
ここで、退避動作部76は、ロック状態においても保持領域側に揺動する方向の付勢力を付勢バネ792から受けている。よって、付勢バネ792からの付勢力により保持ピン78が安定的に管材Pの中に入り込んで印字媒体Mの保持を維持できる場合は、係止部654(図11の破線円内の図参照)を省略することができる。この場合、支持部材65の設計が容易になるので、コストを抑制することができる。
もちろん、係止部654を適用することにより、ロック状態において退避動作部76の揺動を確実に禁止できる。
また、図21等に示すように、嵌め込み部74が被嵌め込み部653に当接する限り揺動部材70(アーム部71)の揺動は禁止される。そして、ロック状態において、保持ピン78(揺動部材70)には、印字媒体Mの荷重が印加され、揺動部材70(アーム部71)が持ち上がることはない。したがって、嵌め込み部74の凹部74a及び被嵌め込み部653の凸部653aは省略することができる(図10、図17、図19、図21の破線円内の図参照)。
これにより、揺動部材70が第2揺動状態からロック状態に移行するときに、嵌め込み部74の被嵌め込み部653との対向面が、被嵌め込み部653の嵌め込み部74との対向面に対して何ら障害なく摺動する態様となるので、第2揺動状態からロック状態への移行(又はその逆の移行)をスムーズに行うことができる。
一方、頭部771は、第2揺動状態(図19参照)において支持部材65よりも上方に突出した状態になっているが、ロック状態(図21参照)となると収容部651(支持部材65)に収容された形となる。
これにより、使用者は頭部771が収容部651に収容されたか否かによりアーム部71及び退避動作部76の揺動がロックされ、印字媒体Mが保持ピン78に保持されたことを確認することができる。
逆にロールガイド60から印字媒体Mを取り出す際は、印字媒体Mの管材Pの下側の内壁面が保持ピン78の傾斜面782に当接し(図18、図19参照)、印字媒体Mが保持ピン78を持ち上げることで揺動部材70は上方に摺動し、このとき頭部771は支持部材65の上部から突出する。
頭部771が係止部654よりも高くなることで退避動作部76はアーム部71に対して揺動自在となる。同時に、嵌め込み部74の嵌め込みも解除されてアーム部71は揺動自在となり、アーム部71は付勢バネ791の付勢力により揺動して印字媒体Mに当接する(第2揺動状態)。
その後、印字媒体Mを引き上げるにつれて、付勢バネ791による揺動部材70の揺動が進行して保持ピン78が支持部材65の表面から突出しなくなることで、印字媒体Mをロールガイド60から容易に取り出すことができる。
印字媒体Mを取り出すと、揺動部材70は初期状態に戻る。
なお、第2揺動状態において、利用者が頭部771を支持部材65の裏側に揺動させて保持ピン78を収容部651に引き込ませることで、印字媒体Mをロールガイド60から取り出すこともできる。
本実施形態において、保持ピン78は、印字媒体Mの装填の際に揺動部材70が揺動するとただちに支持部材65から印字媒体Mの保持領域に突出するのではなく、印字媒体Mの管材P内に対向する段階で初めて管材P内に入り込むように動作する。
また、揺動部材70は、支持部材65において上端側に偏在して配置され、揺動部材70よりも下方には印字媒体Mを保持するための空間(保持領域)が確保されている(図7、図8参照)。
よって、本実施形態では、印字媒体Mの直径が揺動部材70(アーム部71)の揺動半径方向の長さよりもかなり大きいものであっても、当該印字媒体Mを確実に装填・保持することができる。
また、揺動部材70(アーム部71)の揺動半径方向の長さは、支持部材65の上下方向の長さよりも短く(例えば半分以下)なるように設計することが好ましい。
これにより揺動部材70の印字媒体Mとの当接位置と保持ピン78との距離を短くすることができ、管材Pの内径が小さい印字媒体Mも確実に装填・保持することができる。
[ロールガイド60の動作(その2)]
図23は、ロールガイド60において径の小さい印字媒体Mを装填・保持する動作(揺動部材70揺動後)を説明するための図であって、図9に対応するものである。
ここでは、印字媒体M(シート)が残り少なく、印字媒体Mが揺動部材70(アーム部71)に当接した段階で保持ピン78が印字媒体Mの管材P内に対向する場合の動作について説明する。
図23に示すように、印字媒体Mがアーム部71に当接すると、保持ピン78は管材P内に対向するので、退避動作部76はアーム部71とともに揺動し、保持ピン78はそのまま管材P内に入り込む。その後は、図19及び図20に示す動作と同様の動作を行う。
また、印字媒体Mを取り出すときは、嵌め込み部74によるアーム部71の揺動及び係止部654による退避動作部76の揺動が許容され、アーム部71はすぐに印字媒体Mから離間した状態となるので、アーム部71及び退避動作部76は、付勢バネ791により揺動し、初期状態に戻る。
よって、本実施形態では、印字媒体M(シート)が残り少なくなった状態の印字媒体Mであっても確実に装填・保持することができる。
初期状態における揺動部材70と揺動軸652の配置において、例えば、揺動部材70の揺動半径方向の重心が揺動軸652よりも高い位置に配置されることにより、各揺動部材70の上部が重力により保持領域から離間する方向に揺動して一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動する設計となっている場合は、付勢バネ791(揺動部材付勢手段)を省略することができる。
また、例えば、印字媒体Mを装填する際に揺動部材70の下部に当接(押圧)して一対の保持ピン78が互いに近づく方向に揺動部材70が容易に揺動し、印字媒体Mを取り出すときに印字媒体Mの管材Pが保持ピン78(傾斜面781)に当接(押圧)することで一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が容易に揺動する場合には、付勢バネ791(揺動部材付勢手段)を省略することができる。
図24は、ロールガイド60から印字媒体M(シート)を取り出す場合の揺動部材70の動作を示す図であり、図24(a)は印字媒体M(シート)が傾斜面751に当接したとき、図24(b)は印字媒体M(シート)から傾斜面751が力を受け、傾斜面751の楔効果を用いて一対の保持ピン78が互いに近接する方向に揺動部材70が揺動したとき、図24(c)は、印字媒体M(M)が保持ピン78に当接することで一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が揺動したときを示す。
付勢バネ791を省略した場合、又は付勢バネ791の付勢力が小さい場合に印字媒体Mをロールガイド60から取り出す場合であって、印字媒体M(ロール)の一部が撓んで垂れ下がった印字媒体M(シート)がある場合の揺動部材70の動作について説明する。
この場合、印字媒体M(ロール)(図7参照)を引き上げると、まず一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が揺動し、揺動部材70の傾斜面751が支持部材65から保持領域側に突出する。
このとき、図24(a)に示すように、揺動部材70(傾斜面751)の下端(図24(a)の破線部分)は揺動軸方向から見て支持部材65よりも内側に配置され、支持部材65の保持領域側の面と傾斜面751が鈍角(90度以上)に交差した状態を維持しており、支持部材65と揺動部材70との間に段差は形成されない。このため、揺動部材70(傾斜面751)の下端が印字媒体M(シート)に引っ掛かり、これにより一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が揺動し、揺動部材70が印字媒体M(シート)に干渉することを回避できる。
よって、図24(a)に示すように、印字媒体M(ロール)(図24では不図示)をさらに引き上げると、印字媒体M(シート)が傾斜面751に当接する。
すると、図24(b)に示すように、傾斜面751(揺動部材70)は、印字媒体M(シート)から力を受けて、いわゆる楔効果により支持部材65側に押し込まれ、一対の保持ピン78が互いに近づく方向に揺動部材70が揺動軸652を軸として揺動する。
さらに、印字媒体M(ロール)を引き上げると印字媒体M(シート)は保持ピン78の傾斜面781に対して当接する。このとき、傾斜面781(保持ピン78)は、印字媒体M(シート)から支持部材65側に押し込まれ、今度は一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が揺動軸652を軸として揺動する。
また、さらに印字媒体M(ロール)を引き上げると印字媒体M(シート)は保持ピン78の傾斜面782に対して当接する。このとき、傾斜面782(保持ピン78)は、印字媒体M(シート)から支持部材65側にさらに押し込まれ、一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70がさらに揺動する。
0が揺動する。
よって、図24(c)に示すように、保持ピン78が支持部材65内に押し込まれることで、印字媒体M(シート)が揺動部材70及び保持ピン78に引っ掛かることなく印字媒体Mを容易にロールガイド60から取り出すことができる。
なお、付勢バネ791を備える場合であって、その付勢力が小さい場合において、印字媒体M(シート)が傾斜面751が当接すると、傾斜面751(揺動部材70)は、付勢バネ791の付勢力に関わらず印字媒体M(シート)から力を受けて、いわゆる楔効果により支持部材65側に押し込まれ、一対の保持ピン78が互いに近づく方向に揺動部材70が揺動する。そして、印字媒体M(シート)が傾斜面751を通過した段階で、一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70が揺動し始め、揺動軸652近傍に到達した段階で揺動が完了する(図24(c)参照)。
以上のように、付勢バネ791の有無に関わらず、印字媒体Mを取り出す際の印字媒体M(シート)の引っ掛かりを防止できる。また、印字媒体Mの取り出し後、揺動部材70は初期状態に戻るので、次の印字媒体Mの装填も容易に行うことができる。
もちろん、付勢バネ791を本実施形態に適用することにより、一対の保持ピン78が互いに離間する方向に揺動部材70を揺動させる動作を安定的に行うことができる。
[本実施形態の効果]
図25は、退避動作部76の揺動部材70に対する揺動動作を説明する模式図である。上述の説明、図25の左図及び右図に示されるように、本実施形態によれば、退避動作部76を揺動部材70に対して揺動動作するための退避動作部76の揺動支点712が、退避動作部76同士が対向する方向且つ保持ピン78が突出する側に寄せて配置されている(図25左図における白丸F1、右図における点線丸で示される)。また、退避動作部付勢手段としての付勢バネ792は、揺動部材70から退避動作部76に向かう付勢力を、退避動作部76において保持ピン78が突出する側の反対側に寄せた位置に付与するように構成されている(図25右図における白丸F2、左図における点線丸で示される)。そして、このF2が力点となる。本実施形態に係る退避動作部76においては、揺動支点712が付勢バネ792の力線(左図における二点鎖線)上からずれた位置になるように形成されている。
これにより、付勢バネ792の付勢力が退避動作部76を揺動させるモーメントとして働く。したがって、退避動作部76は、揺動支点712の先端を中心として揺動軸652と略平行な方向を軸として揺動部材70(アーム部71)に対して揺動(回動)することができる(図16及び図17参照)。
また、この場合の付勢力は、圧縮コイルバネを用いて得ることができる。このため、同様の機構を実現するために、例えば、揺動軸と、揺動方向の付勢力を付与するものとしてトーションバネとを用いた場合と比べて、揺動軸を支架するための加工が不要となる。
また、圧縮コイルバネを用い、圧縮コイルバネが当該圧縮コイルバネの長さ方向の基端部が揺動部材70に当接されるとともに先端部が退避動作部76に当接し、屈曲しない状態で配置することにより、保持位置から開放位置、或いは開放位置から保持位置への状態変化のためには、屈曲している状態にある圧縮コイルバネが元に戻ろうとする応力を用いることができる。
圧縮コイルバネは、圧縮方向と屈曲変位に対する付勢力の両方を有するため、部品点数の低減に寄与できる。
また、揺動部材70は、退避動作部76の揺動動作を規制する規制部714を有し、一対の退避動作部76のそれぞれは、支点受部761の一部が規制部714によって規制されて、揺動部材70に対して狭められた位置に停止するように構成されている。
これにより、保持ピン78が印字媒体Mを保持可能な位置(狭められた位置)で、留めることができ、保持ピン78以外の退避動作部76の部位が、保持領域の内部に及ぶことを防止できる。
また、以上の構成により、印字媒体Mの直径及び印字媒体Mの管材Pの直径に関わらず印字媒体Mの装填及び保持が可能なロールガイド60を備えたプリンタ100となる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
プリンタ100は、例えば、インクジェット方式、感熱方式等により印字を行うものであってもよい。