JP7074232B2 - アクチュエータ装置、及び、液体吐出装置 - Google Patents

アクチュエータ装置、及び、液体吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、アクチュエータ装置、及び、液体吐出装置に関する。
特許文献1には、ノズルから液体をさせる液体吐出装置が開示されている。この液体吐出装置は、それぞれノズルに連通する複数の圧力室が形成された流路部材(流路形成基板)と、複数の圧力室に対応する複数の圧電素子を有する圧電アクチュエータと、複数の圧電素子を覆うように圧電アクチュエータの上に配置された保護部材(保護基板)と、保護部材の上に配置された駆動回路を備えている。
この液体吐出装置では、圧電アクチュエータの各圧電素子から引き出された接点が、保護部材を貫通する貫通電極を介して、保護部材の上面に配置された駆動回路と電気的に接続されている。
具体的には、まず、圧電素子から引き出された接点は、圧電アクチュエータの、保護部材との接合領域に配置されている。一方、圧電素子を覆う保護部材の壁部には貫通孔が形成され、この貫通孔に導電材料が充填されることによって貫通電極が形成されている。この貫通電極により、圧電アクチュエータ側の接点と、保護部材の上面に形成された接点とが電気的に接続されている。また、保護部材の上面の接点は、この上面に配置された配線によって駆動回路と接続されている。
特開2006-192685号公報
ところで、近年では、液体吐出装置の小型化の観点から、ノズルや圧力室が高密度に配置された構成が望まれている。ここで、圧力室の配列間隔が小さくなると、それに伴って圧電素子の配列間隔が小さくなることから、圧電素子に対応して保護部材に形成される貫通電極の間隔も小さくなる。
さらに、貫通電極を狭い間隔で配置しようとすると、個々の貫通電極の大きさを小さくする必要がある。即ち、貫通電極のサイズが大きいままで間隔だけを小さくすれば、その分、隣接する貫通電極の間の離間距離が縮まることになり、ショートの発生確率が上昇する。しかしながら、実際には、保護部材に形成する貫通孔の孔径を小さくするにも限度があり、貫通電極のサイズを一定以下に小さくすることは難しい。
本発明の目的は、圧電素子が小さい間隔で配列される場合でも、隣接する貫通電極の間でのショートの発生を防止することである。
本発明のアクチュエータ装置は、第1方向に配列された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子からそれぞれ引き出され、前記第1方向に沿って配列された複数の第1接点と、を有するアクチュエータと、前記圧電素子と対向する第1壁部と前記第1壁部に連結された第2壁部を有し、前記圧電素子を覆った状態で、前記第2壁部が前記アクチュエータの前記第1接点の配置領域に接合された保護部材と、前記保護部材の前記第1壁部の、前記アクチュエータと反対側の面に配置された複数の第1接続端子と、前記保護部材の前記第2壁部に形成された複数の第1貫通孔内にそれぞれ設けられ、且つ、それぞれが前記第1接点及び前記第1接続端子と導通する、複数の第1貫通電極と、を備え、
前記第1方向に隣接する2つの前記圧電素子に対応する、2つの前記第1貫通電極の間隔が、前記隣接する2つの圧電素子間の前記第1方向の間隔よりも大きいことを特徴とするものである。
本実施形態に係るプリンタ1の概略的な平面図である。 ヘッドユニット16の上面図である。 ヘッドユニット16の上面図(ドライバIC37とFPC27を簡略化)である。 ヘッドユニット16の上面図(保護部材の図示省略)である。 図4のV-V線断面図である。 保護部材26の隔壁部55の断面図であり、(a)は第1貫通電極71が形成された部分での断面図、(b)は第2貫通電極72が形成された部分での断面図である。 圧電素子41、駆動接点57、及び、第1貫通電極71の配置関係を示す図である。 比較形態における、圧電素子41、駆動接点57、及び、第1貫通電極71の配置関係を示す図である。 保護部材26の製造工程を示す図である。 保護部材26の接合からドライバIC37及びFPC27の接合までの工程を示す図である。 変更形態の、保護部材26Aの第1貫通電極71Aが形成された部分の断面図である。 別の変更形態の、保護部材26Bの第1貫通電極71Bが形成された部分の断面図である。 別の変更形態のヘッドユニット16Cの上面図である。 別の変更形態のヘッドユニット16Dの上面図である。 図14のヘッドユニット16Dの断面図である。 別の変更形態のヘッドユニット16Eの断面図である。 別の変更形態のヘッドユニット16Fの断面図である。 図17のヘッドユニットにおける、圧電素子41、駆動接点57、及び、第1貫通電極71の配置関係を示す図である。 別の変更形態における、圧電素子41、駆動接点57G、及び、第1貫通電極71の配置関係を示す図である。 別の変更形態のヘッドユニット16Hの上面図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。まず、図1を参照してインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。尚、図1において記録用紙100が搬送される方向を、プリンタ1の前後方向と定義する。また、記録用紙100の幅方向をプリンタ1の左右方向と定義する。さらに、前後方向及び左右方向と直交する、図1の紙面垂直方向をプリンタ1の上下方向と定義する。
(プリンタの概略構成)
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5と、制御装置6等を備えている。
キャリッジ3は、左右方向(以下、走査方向ともいう)に延びる2本のガイドレール10,11に取り付けられている。また、キャリッジ3は、無端ベルト14を介してキャリッジ駆動モータ15と連結されている。キャリッジ3は、モータ15により駆動されて、プラテン2の記録用紙100の上を走査方向に往復移動する。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3に取り付けられており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4は、走査方向に並ぶ4つのヘッドユニット16を備えている。4つのヘッドユニット16は、ホルダ7の4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクカートリッジ17とそれぞれ接続されている。
各ヘッドユニット16は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に形成された複数のノズル36(図4、図5参照)を有する。各ヘッドユニット16のノズル36は、インクカートリッジ17から供給されたインクを、プラテン2に載置された記録用紙100に向けて吐出する。尚、ヘッドユニット16の詳細については、後ほど説明する。
搬送機構5は、2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2上の記録用紙100を前方(以下、搬送方向ともいう)に搬送する。制御装置6は、PC等の外部装置から入力された印刷指令に基づいて、インクジェットヘッド4やキャリッジ駆動モータ15等を制御して、記録用紙100に画像等を印刷させる。
<ヘッドユニットの詳細>
次に、インクジェットヘッド4のヘッドユニット16の構成について詳細に説明する。尚、4つのヘッドユニット16はそれぞれ同じ構成を有するものであるため、以下では、4つのヘッドユニット16のうちの1つについて説明する。
図2~図5に示すように、ヘッドユニット16は、第1流路部材21、第2流路部材22、ノズルプレート23、及び、圧電アクチュエータ24を含むアクチュエータ装置25を備えている。尚、本実施形態のアクチュエータ装置25は、圧電アクチュエータ24のみを指すのではなく、圧電アクチュエータ24の上に配置される保護部材26と、保護部材26に接合されるドライバIC37、及び、配線部材であるFPC(Flexible Printed Circuit)27をも含む概念である。
(第1流路部材、第2流路部材、ノズルプレート)
まず、第1流路部材21、第2流路部材22、及び、ノズルプレート23について説明する。上記3つの部材は、それぞれシリコン単結晶基板からなり、上から、第1流路部材21、第2流路部材22、ノズルプレート23の順で、上下に積層されている。
第1流路部材21には、水平面に沿って平面的に配置された複数の圧力室28が形成されている。各圧力室28は、走査方向に長い矩形の平面形状を有する。複数の圧力室28は、搬送方向に配列され、走査方向に並ぶ2つの圧力室列を構成している。また、2つの圧力室列の間で、圧力室28の搬送方向における位置は互いに異なっている。より具体的には、各圧力室列における圧力室28の配列間隔をP0としたときに、左右2つの圧力室列の間では、圧力室28の搬送方向における位置が、P0/2ずつずれている。
図5に示すように、第1流路部材21の上面には、後述する圧電アクチュエータ24の振動膜40が形成され、この振動膜40によって複数の圧力室28が覆われている。振動膜40は、例えば、シリコン基板の表面が酸化、あるいは、窒化されることにより形成された膜である。
図2~図4に示すように、第2流路部材22は、第1流路部材21よりも一回り大きな平面形状を有し、全周にわたって第1流路部材21よりも外側に張り出している。図4、図5に示すように、第1流路部材21から張り出した第2流路部材22の左右2つの端部には、2つの圧力室列に対応した2つのマニホールド30がそれぞれ形成されている。2つのマニホールド30には、1つのインクカートリッジ17(図1参照)からのインクが供給される。即ち、2つのマニホールド30に同色のインクが供給される。各マニホールド30は、対応する圧力室列を構成する複数の圧力室28と連通している。
ノズルプレート23には、複数の圧力室28にそれぞれ対応する複数のノズル36が形成されている。各ノズル36は、第1流路部材21の圧力室28と連通している。複数のノズル36は、圧力室28の配列と対応しており、2列に配列されている。2つのノズル列の間においては、ノズル36の搬送方向の位置がP0/2ずつずれている。
(圧電アクチュエータ装置)
第1流路部材21の上面には、アクチュエータ装置25が配置されている。先にも触れたが、アクチュエータ装置25は、複数の圧電素子41を含む圧電アクチュエータ24と、保護部材26と、ドライバIC37と、FPC27を有する。
<圧電アクチュエータ>
圧電アクチュエータ24は、第1流路部材21の上面全域に配置されている。図4、図5に示すように、圧電アクチュエータ24は、振動膜40と、振動膜40の上に配置された複数の圧電素子41を有する。
上述したように、振動膜40は、第1流路部材21の上面に形成されて、複数の圧力室28を覆っている。振動膜40の厚みは、例えば、1.0~1.5μmである。振動膜40の上面の、複数の圧力室28と重なる位置には、複数の圧電素子41がそれぞれ配置されている。複数の圧電素子41は、圧力室28の配列に従って、走査方向に並ぶ2つの圧電素子列47を構成している。2つの圧電素子列47の間では、圧電素子41の前後方向位置がP0/2だけずれている。
個々の圧電素子41の構成について説明する。各圧電素子41は、振動膜40の上に配置された下電極42と、下電極42の上に配置された圧電膜43と、圧電膜43の上に配置された上電極44を有する。
下電極42は、振動膜40の上面において、圧力室28と重なるように配置されている。下電極42は、複数の圧電素子41の間で互いに分離された、いわゆる個別電極である。各圧電素子41の下電極42には、ドライバIC37から個別に駆動信号が供給される。図4、図7に示すように、下電極42の一端部は走査方向内側に延び、圧電体46から露出している。下電極42は、例えば、白金(Pt)で形成されている。また、その厚みは、例えば、0.1μmである。
圧電膜43は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料により形成される。圧電膜43の厚みは、例えば、1.0~2.0μmである。図3~図5に示すように、本実施形態では、左側の圧電素子列47の圧電素子41間で圧電膜43が繋がり、右側の圧電素子列47の圧電素子41間でも圧電膜43が繋がっている。つまり、振動膜40の上には、左側の圧力室列を覆う圧電体46と、右側の圧力室列を覆う圧電体46の、2つの圧電体46が配置されている。
上電極44は、圧電膜43の上面に配置されている。上電極44は、例えば、イリジウムで形成されている。また、上電極44の厚みは、例えば、0.1μmである。圧電体46の上面において、複数の圧力室28に対応する上電極44が互いに繋がることにより、圧電体46の上面のほぼ全域を覆う共通電極49が構成されている。尚、上電極44(共通電極49)は、後述するFPC27からグランド電位が付与される。共通電極49の上には、共通電極49よりも厚みが大きい補助導体50が設けられている。補助導体50は、例えば、金(Au)で形成されている。
下電極42の圧電体46から露出した端部には、駆動配線52が接続されている。各駆動配線52は、対応する下電極42の端部から、さらに走査方向における内側に延びている。駆動配線52は、例えば、金(Au)で形成されている。
駆動配線52は2つの圧電素子列47の間の領域まで延びている。駆動配線52の端部には駆動接点57が設けられている。複数の駆動配線52の駆動接点57は、2つの圧電素子列47の間の領域において搬送方向に配列されている。より詳細には、図4、図7に示すように、2つの圧電素子列47の間において、左側の圧電素子列47から引き出された複数の駆動接点57からなる接点列56と、右側の圧電素子列47から引き出された複数の駆動接点57からなる接点列56の、2つの接点列56が左右方向に並んで配置されている。また、2つの圧電素子列47と同様、2つの接点列56の間でも、駆動接点57の前後方向位置がP0/2だけずれている。
図4に示すように、2つの圧電体46の上面にそれぞれ配置された2つの共通電極49は、2つの圧電体46に跨って延びる補助導体50の導電部50aによって接続されている。導電部50aの、複数の駆動接点57と前後方向に並ぶ部分にはグランド接点58が設けられている。つまり、2つの圧電素子列47の間には、複数の駆動接点57と、複数の駆動接点57の前後方向外側に位置する2つのグランド接点58が配置されている。
<保護部材、ドライバIC、FPC>
図2~図5に示すように、保護部材26は、複数の圧電素子41を覆うように、圧電アクチュエータ24の上面に接着剤で接合されている。接着剤としては、導電粒子を含む導電性接着剤60が用いられている。保護部材26の材質は特に限定されないが、シリコン基板を好適に採用できる。
図5に示すように、保護部材26は、頂壁部53と、2つの側壁部54と、隔壁部55とを有する。頂壁部53は、複数の圧電素子41と対向して配置されている。2つの側壁部54は、頂壁部53の左右方向両端部とそれぞれ連結され、前後方向(図5の紙面垂直方向)に延びている。隔壁部55は、頂壁部53の左右方向中央部と連結され、2つの側壁部54の間の位置において前後方向に延びている。
保護部材26の2つの側壁部54は、圧電アクチュエータ24の上面の、2つの圧電素子列47よりも左右方向外側の領域にそれぞれ接合されている。一方、隔壁部55は、圧電アクチュエータ24の上面の2つの圧電素子列47の間の領域、即ち、接点57,58が配置された領域に接合されている。この隔壁部55により、保護部材26の内側空間が、左右2つの圧電素子列47をそれぞれ収容する2つの空間に区画されている。尚、本実施形態では、隔壁部55の左右方向における幅は、1つの側壁部54の幅よりも大きくなっている。
頂壁部53の、隔壁部55と連結された左右方向中央部の上面には、ドライバIC37が配置されている。頂壁部53の、右側の側壁部54と連結された右端部の上面には、FPC27が接合されている。
保護部材26には、複数の圧電素子41を保護する役割だけでなく、圧電アクチュエータ24の接点57,58とドライバIC37やFPC27とを接続するための、配線が形成される部材としての役割もある。以下、保護部材26の、圧電アクチュエータ24と、ドライバIC37及びFPC27とを接続するための配線構造について説明する。
図2、図3に示すように、頂壁部53の、右側の側壁部54と連結される右端部の上面には、前後方向に並ぶ複数の入力端子61が配置されている。複数の入力端子61には、信号入力端子62とグランド入力端子63が含まれる。頂壁部53の右端部にはFPC27が導電性接着剤64によって接合され、複数の入力端子61とFPC27とが電気的に接続される。FPC27の保護部材26とは反対側の端部は、プリンタ1の制御装置6(図1参照)と接続されている。
保護部材26の頂壁部53の、隔壁部55と連結される左右方向中央部の上面には、前後方向に配列された複数の個別端子65、2つの第1グランド端子67、複数の信号端子66,及び、2つの第2グランド端子70が形成されている。
複数の個別端子65は、圧電アクチュエータ24の複数の駆動接点57にそれぞれ対応して配置されており、千鳥状に2列に配列されている。2つの第1グランド端子67は、圧電アクチュエータ24の2つのグランド接点58に対応するものであり、複数の個別端子65の前後方向両側にそれぞれ配置されている。複数の信号端子66は、複数の個別端子65の右側において前後方向に配列されている。2つの第2グランド端子70は、複数の個別端子65の前後方向両側にそれぞれ配置されている。
頂壁部53の左右方向中央部の上面には、導電性接着剤64によってドライバIC37が接合され、複数の個別端子65、複数の信号端子66、及び、2つのグランド端子70はドライバIC37と電気的に接続されている。
FPC27と接続される信号入力端子62とドライバIC37と接続される信号端子66は、頂壁部53の上面において左右方向に延びる、信号配線68によって接続されている。グランド入力端子63は、頂壁部53の上面に形成されたグランド配線69(配線部分69a,69b)によって、第1グランド端子67及び第2グランド端子70と接続されている。具体的には、グランド入力端子63は、左右方向及び前後方向に延びる配線部分69aにより第1グランド端子67と接続されている。また、グランド入力端子63は、配線部分69aの途中から分岐して左右に延びる配線部分69bにより第2グランド端子67と接続されている。尚、信号配線68、グランド配線69、個別端子65、信号端子66,グランド端子67,70,入力端子61等の、頂壁部53上の配線や端子は、例えば、金(Au)で形成される。
一方、隔壁部55には、上下に延びる複数の第1貫通電極71と、複数の第1貫通電極71の前後両側に配置された2つの第2貫通電極72が形成されている。第1貫通電極71は、下側の圧電アクチュエータ24の駆動接点57、及び、上側の頂壁部53の個別端子65と導通している。第2貫通電極72は、下側の圧電アクチュエータ24のグランド接点58、及び、上側の頂壁部53の第1グランド端子67と導通している。
制御装置6から、FPC27、保護部材26の信号入力端子62、信号配線68、信号端子66を介して、ドライバIC37に制御信号が入力される。この制御信号に基づき、ドライバIC37は、複数の圧電素子41の各々に対して駆動信号を出力する。駆動信号は、個別端子65、第1貫通電極71、及び、圧電アクチュエータ24の駆動接点57を介して、各圧電素子41の下電極42に印加される。
一方、図示は省略するが、FPC27にはグランド線が形成されている。このグランド線は、グランド入力端子63、配線部分69a、第1グランド端子67、第2貫通電極72、及び、グランド接点58を介して、圧電アクチュエータ24の共通電極49(上電極44)に接続される。これにより、上電極44の電位がグランド電位に維持される。また、FPC27のグランド線は、グランド入力端子63、配線部分69b、第2グランド端子70を介して、ドライバIC37とも接続されている。
尚、図2、図3に示すように、頂壁部53の複数の個別端子65は、複数の圧電素子41に対応し、駆動接点57と同じ数だけ設けられている。これに対して、FPC27と接続される複数の入力端子61(62,63)は、主に、ドライバIC37を制御するための信号が入力される端子であり、個別端子65と比べると数は少ない。そのため、複数の入力端子61の前後方向の配列長さは、複数の個別端子65の配列長さよりも短い。その上で、本実施形態では、FPC27の前後方向の幅がドライバIC37よりも小さくなっている。これにより、FPC27の小型化及びコスト低減が可能となる。また、FPC27の幅が小さくなることで、FPC27の取り回しも容易になる。
<貫通電極の詳細>
次に、保護部材26の隔壁部55に形成された貫通電極71,72の詳細について説明する。図5、図6(a)に示すように、隔壁部55の左右方向中央部の、複数の駆動接点57とそれぞれ重なる位置に、隔壁部55を上下に貫通する複数の第1貫通孔73が形成されている。これら複数の第1貫通孔73に導電材料(例えば、銅(Cu))が充填されて、上下に延びる複数の第1貫通電極71が形成されている。
図5、図6(b)に示すように、隔壁部55の左右方向中央部の、前後2つのグランド接点58と重なる位置には2つの第2貫通孔74が形成されている。2つの第2貫通孔74にも、第1貫通孔73と同じ導電材料が充填されて、上下に延びる2つの第2貫通電極72が形成されている。尚、本実施形態では、第2貫通孔74の孔径は、第1貫通孔73の孔径と同じである。即ち、第2貫通電極72の径は、第1貫通電極71と同じである。
尚、2つの圧電素子列47の間に、これら2つの圧電素子列47から引き出された複数の駆動接点57を密集して配置するため、個々の駆動接点57の面積は小さいものとなっている。一方で、後でも説明するが、エッチングで第1貫通孔73の孔径を駆動接点57と同等に小さくするのは難しく、一定以上の大きさの孔になってしまう。その結果、図6、図7に示すように、第1貫通電極71の下端面の面積は、駆動配線52の先端部に設けられた駆動接点57の面積よりも大きくなっている。より具体的には、第1貫通電極71の下端面の径は、駆動接点57の前後方向の幅よりも大きい。また、同じ理由から、図3、図5に示すように、頂壁部53の上端面の個別端子65も第1貫通電極71よりも小さく形成されている。即ち、第1貫通電極71の上端面の面積は、頂壁部53の上面の個別端子65の面積よりも大きい。
一方、多くの圧電素子41が同時に駆動されたときに、共通電極49には大きな電流が流れるため、電圧降下を小さく抑えるために、共通電極49に繋がる経路の抵抗は小さく抑えたい。この観点から、図2、図3、図6(b)に示すように、グランド接点58、及び、第1グランド端子67の面積は、第2貫通電極72の端面の面積よりも大きくなっている。
その上で、保護部材26の圧電アクチュエータ24と接合される下面と、反対側の上面にはそれぞれ絶縁膜75,76が形成されている。下側の絶縁膜75の第1貫通孔73と重なる領域には、第1貫通電極71の下端面よりも面積が小さい孔75aが形成されている。つまり、第1貫通電極71の下端面の露出面積(駆動接点57との接合面積)が孔75aによって小さく制限される。また、上側の絶縁膜76の第1貫通孔73と重なる領域には、第1貫通電極71の上端面よりも面積が小さい孔76aが形成されている。これにより、第1貫通電極71の上端面の露出面積(個別端子65との接合面積)も孔76aによって小さく制限されている。尚、絶縁膜75,76の第2貫通孔74と重なる領域にもそれぞれ孔75b,76bが形成されているが、これらの孔75b、76bは、第2貫通電極72の端面とほぼ同じ面積の孔である。
保護部材26は、導電性接着剤60によって圧電アクチュエータ24の上面に接合される。導電性接着剤60(ACF又はACP)は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に導電粒子が配合された接着剤である。圧電アクチュエータ24の接点57,58と保護部材26の貫通電極71,72は、上記の導電性接着剤60に含まれる導電粒子によって電気的に導通している。
圧電アクチュエータ24側の接点57,58と保護部材26側の貫通電極71,72との間に導電性接着剤60を介在させた状態で、両者を加熱しながら押圧する。このとき、接点57,58と貫通電極71,72との間で接着剤60が圧縮され、接点57,58と貫通電極71,72とが接着剤60に含まれている導電粒子によって電気的に接続される。同時に、接着剤60の主成分の熱硬化性樹脂が接点57,58と貫通電極71,72との間から周囲に流れ出し、加熱硬化する。これにより、圧電アクチュエータ24と保護部材26とが機械的に接合される。尚、図5、図6では、導電性接着剤60による接合領域のうち、特に、導電粒子による導通が生じている箇所は、ハッチングを濃くすることによって周囲の機械的接合部分と区別している。
ところで、特に、第1貫通孔73に関し、多くの第1貫通電極71を密集して配置する観点からは第1貫通孔73の孔径は小さい方がよい。しかし、現実には、孔径を小さくするにも限度がある。
これについて、エッチングによって貫通孔を形成する場合を例に挙げて説明する。孔を形成する部材の厚みをtとすると、エッチングで形成したときの孔径の最小値はt/10程度とされている。つまり、部材が厚いほど貫通孔の孔径は大きくなる傾向にある。ここで、保護部材26は、本来、圧電素子41の保護のための部材であり、その機能を実現するには一定以上の厚みが必要である。また、保護部材26の厚みが薄いと、圧電アクチュエータ24に接合する際のハンドリングが難しくなるため、この観点からも、保護部材26にはある程度の厚みが求められる。以上より、エッチングで第1貫通孔73を形成する場合は、第1貫通孔73の孔径はある程度大きくならざるを得ない。
第1貫通孔73の孔径が大きくなると、その分、隣接する2つの第1貫通電極71の間の離間距離が小さくなり、上記2つの第1貫通電極71の間でショートが生じる確率が高くなる。特に、本実施形態では、保護部材26が、導電性接着剤60で圧電アクチュエータ24に接合されているが、導電性接着剤60に含まれる導電粒子が熱硬化性樹脂とともに接点の周囲へ流出したときに、第1貫通電極71間の離間距離が小さいほど、導電粒子によるショートが生じやすくなる。
そこで、本実施形態では、前後方向に隣接する第1貫通電極71の離間距離を小さくするために、次のような構成が採用されている。まず、先にも述べたように、圧電アクチュエータ24の複数の駆動接点57は千鳥状に配列されて2つの接点列56を構成している。この駆動接点57の配列に対応して、図3、図7に示すように、複数の第1貫通電極71も千鳥状に配列されており、前後方向に延び、且つ、左右方向に並ぶ2つの電極列77を構成している。2つの電極列77の間では、2つの接点列56と同様、第1貫通電極71の前後方向位置がP1=(P0/2)だけずれている。
その上で、図7に示すように、本実施形態では、前後方向に隣接する2つの圧電素子41に対応する、2つの第1貫通電極71の間隔P2が、上記2つの圧電素子41間の間隔P1よりも大きくなっている。より詳細に説明すると、複数の第1貫通電極71の間で離間距離が最も小さくなるのは、左側の電極列77に属する第1貫通電極71と右側の電極列77に属する第1貫通電極71の、両者の中心を結ぶ直線Lに沿った方向である。そして、本実施形態では、上記直線Lに沿った2つの第1貫通電極71の間隔P2が、これら2つの第1貫通電極71にそれぞれ対応する、2つの圧電素子41の前後方向の間隔P1(=P0/2)よりも大きくなっている。
図7に対する比較形態を図8に示す。図8では、2つの圧電素子列47からそれぞれ引き出された複数の駆動接点57が、前後方向に間隔P1で一列に配列されているが、これだと、最も近接する2つの第1貫通電極71間の間隔もP1となる。これに対して、本実施形態の図7では、図8と比べて、最も近接する2つの第1貫通電極71間の間隔が大きくなっている。言い換えれば、本実施形態では、圧電アクチュエータ24の複数の駆動接点57が左右2つの接点列56に分けられ、保護部材26の複数の第1貫通電極71も左右2つの電極列77に分けられることで、隣接する第1貫通電極71の間の最短距離が大きくなっている。
例えば、先にも述べたように、保護部材26の厚みtが400μmである場合、第1貫通孔73の孔径dは、小さくても40μm(=t/10)となる。一方で、1つのノズル列におけるノズル36の配列間隔P0が300dpi(=84μm)である場合、前後方向に隣接する2つの圧電素子41間の間隔P1=P0/2=42μmとなる。この場合に、図8のように、複数の第1貫通電極71が前後方向にP1の間隔で一列に配列されると、前後に隣接する2つの第1貫通電極71の間にほとんど隙間がなくなってしまう。これに対して、図7のように、複数の第1貫通電極71が左右2つの電極列77に分けられていると、近接する第1貫通電極71の間隔P2を、60μm程度まで広げることができる。
このように、前後方向に隣接する2つの圧電素子41に対応する2つの第1貫通電極71の間隔P2が、2つの圧電素子41の前後方向の間隔P1よりも大きくなっている。これにより、1つのノズル列の配列間隔P0がかなり小さい(例えば、300dpi)の場合でも、隣接する2つの第1貫通電極71の間でのショートを防止できる。
図6(a)に示すように、第1貫通電極71の下端面は、小さな孔75aが形成された絶縁膜75で覆われて、第1貫通電極71の下端面の面積が実質的に小さくなっている。この構成では、駆動接点57と接合される下端において、隣接する第1貫通電極71間の隙間が大きくなり、ショートをより確実に防止できる。また、上記構成は、特に、第1貫通電極71の下端面の面積が、駆動接点57の面積よりも大きい場合に有効である。
また、第1貫通電極71の上端面も、小さな孔76aが形成された絶縁膜76で覆われて、第1貫通電極71の上端面の面積も実質的に小さくなっている。これにより、ドライバIC37と接合される上端においても、隣接する第1貫通電極71間の隙間が大きくなり、ショートをより確実に防止できる。
共通電極49に繋がる経路の抵抗を抑えるため、図3に示すように、共通電極49に接続される第2貫通電極72は複数設けられることが好ましい。尚、第2貫通孔74の孔径を第1貫通孔73の孔径よりも大きくすることで、共通電極49に繋がる経路の抵抗を下げることもできる。但し、本実施形態のように、第1貫通孔73と第2貫通孔74とで孔径を同じにすると、エッチングでそれぞれの孔を形成する際にマスク形状を異ならせる必要がなく、孔の形成が容易になるという利点がある。
但し、必要以上に第2貫通電極72の数を多くするのは、圧電アクチュエータ24や保護部材26の大型化に繋がるという観点で好ましくない。そこで、例えば、次の関係式に基づいて第2貫通電極72の数や径を定めてもよい。
ここでは、全ての圧電素子41が同時に駆動されて、共通電極49に繋がる経路に最大の電流が流れた場合でも、第2貫通電極72においてその許容電流値を越える電流が流れることがないように、第2貫通電極72の数や径を決定する。即ち、1つの圧電素子41から共通電極49に流れる最大の電流量をI、共通電極49に接続される圧電素子41の数をn、第2貫通電極72を構成する電極材料の許容電流密度をi、1つの第2貫通電極72の断面積をA、第2貫通電極72の数をNとしたときに、
N>(I×n)/(i×A)
の関係を満たすように、第2貫通電極72の数と径を定める。
第2貫通電極72の個数選択の具体例について説明する。まず、1つの圧電素子41から共通電極49に流れる最大の電流Iを10mA(=1.0×10-2A)、第2貫通電極72を構成する銅(Cu)の許容電流密度iを0.5×104A/mm2、圧電素子31の数n(ノズル36の数)を800個とする。この場合に、貫通孔74の直径dによって、第2貫通電極72の必要個数は以下のように変わる。
(d=40μm)
A=1.3×10-3mm2であり、N>1.23となる。第2貫通電極72は最低2個
必要である。
(d=30μm)
A=7.1×10-4mm2であり、N>2.25となる。第2貫通電極72は最低3個
必要である。
(d=20μm)
A=3.1×10-4mm2であり、N>5.1となる。第2貫通電極72は最低6個必
要である。
尚、上記の関係式は、第2貫通電極72の最低限必要な数を示すものである。そのため、実際には、余裕を持たせるために、第2貫通電極72の個数は、上記関係式から得られるNに1個以上増やした数とするとよい。
頂壁部53の個別端子65には、ドライバIC37が押し付けられて接合される。ドライバIC37の接合時の押圧力によって頂壁部53が変形するのを抑えるため、個別端子65は、頂壁部53のうちの、側壁部54と連結される左右端部、又は、隔壁部55と連結される中央部に設けられることが好ましい。本実施形態では、個別端子65は、頂壁部53の中央部に配置されている。
また、本実施形態では、隔壁部55に複数の第1貫通電極71が形成され、複数の第1貫通電極71は直上に配置された複数の個別端子65と導通している。この構成では、隔壁部55に、その両側の2つの圧電素子列47からそれぞれ引き出された複数の第1貫通電極71が集中的に配置されることから、圧電アクチュエータ24や保護部材26の左右方向のサイズを小型化することが可能となる。
また、図5に示すように、第1貫通電極71と第2貫通電極72は、隔壁部55の左右方向中央部に形成されている。この構成では、ドライバIC37の接合時に隔壁部55に押圧力が作用したときでも、内部の貫通電極71,72に曲げ力が作用しにくくなるため、貫通電極71,72での断線を抑制できる。
頂壁部53の複数の入力端子61には、FPC27が押し付けられて接合される。この入力端子61についても、FPC27の接合時の押圧力によって頂壁部53が変形するのを抑えるため、頂壁部53のうちの、側壁部54又は隔壁部55と連結される部分に設けられることが好ましい。本実施形態では、複数の入力端子61は、頂壁部53のうちの、右側の側壁部54と連結される右端部に形成されている。
次に、上記のヘッドユニット16の製造工程について、図9、図10を参照して、保護部材26の製造工程と、保護部材26の圧電アクチュエータ24との接合工程を中心に説明する。尚、以下の説明項目(a)~(i)と、図9、図10の(a)~(i)はそれぞれ対応している。
まず、保護部材26の製造工程について図9を参照して説明する。
(a)保護部材26となるシリコン単結晶基板80に、第1貫通孔73となる凹状の孔81を、エッチングによって複数形成する。
(b)基板80の孔81が開口する側より、スパッタリングなどで導電膜82を形成する。このとき、導電膜82を構成する導電材料の一部が孔81内に入り込む。
(c)基板80を、(b)に示す2本の二点鎖線のラインまで両面から研磨して孔81の両端部を削り取る。これにより、第1貫通孔73内に導電材料が充填された第1貫通電極71を形成する。
(d)研磨後の基板80の下面と上面にそれぞれ絶縁膜75,76を形成する。また、絶縁膜75,76にそれぞれエッチングで、第1貫通孔71よりも小さい孔75a,76aを形成する。
(e)基板80の上面に、信号入力端子62、個別端子65、信号配線68等の配線や端子を、金(Au)などのメッキ、あるいは、アルミニウム(Al)の薄膜のパターニングで形成する。
(f)基板80の下側からエッチングで凹部83を形成する。これにより、頂壁部53、2つの側壁部54、及び、隔壁部55を有する保護部材26の製造が完了する。
次に、図10を参照して、保護部材26の接合工程からドライバIC37及びFPC27の接合までの工程について説明する。
(g)保護部材26の下面に導電性接着剤60(ACF又はACP)を付着させてから、保護部材26を、圧電素子41を有する圧電アクチュエータ24に加熱しながら押し付ける。これにより、駆動接点57と第1貫通電極71とが導通した状態で、保護部材26を圧電アクチュエータ24に機械的に接合する。
(h)第1流路部材21を研磨によって所定の厚みまで薄くした後、第1流路部材21にエッチングで圧力室28を形成する。
(i)保護部材26の頂壁部53の中央部にドライバIC37を導電性接着剤64で接合する。その後、保護部材26の右端部にFPC27を導電性接着剤64で接合する。尚、ドライバIC37とFPC27の接合は、同時に行うことも可能である。
以上説明した実施形態において、ヘッドユニット16が本発明の「液体吐出装置」に相当する。第1流路部材21が本発明の「流路部材」に相当する。圧電素子41が配列される前後方向が本発明の「第1方向」に相当する。圧電素子41の配置面に平行で、且つ、前後方向と直交する左右方向が、本発明の「第2方向」に相当する。圧電アクチュエータ24が本発明の「アクチュエータ」に相当する。駆動接点57が本発明の「第1接点」に、グランド接点58が本発明の「第2接点」に相当する。保護部材26の頂壁部53が本発明の「第1壁部」に、側壁部54及び隔壁部55が本発明の「第2壁部」に相当する。頂壁部53に形成された個別端子65が本発明の「第1接続端子」に、第1グランド端子67が本発明の「第2接続端子」に、入力端子61が本発明の「第3接続端子」に相当する。絶縁膜75が本発明の「第1絶縁膜」に、絶縁膜76が本発明の「第2絶縁膜」に相当する。圧電素子41の下電極42が本発明の「第1電極」に、上電極44が本発明の「第2電極」に相当する。ドライバIC37が本発明の「駆動回路」に相当する。FPC27が本発明の「配線部材」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]保護部材にエッチングで第1貫通孔を形成した場合、エッチングの進行方向奥側に向かうほど孔径が小さくなるテーパー状となりやすい。この場合には、図11の保護部材26Aに示すように、第1貫通孔73Aのエッチングは圧電アクチュエータ24Aと反対側(上側)から行い、圧電アクチュエータ24A側に向かうほど孔径が小さくなるようにすることが好ましい。
図3などを見ても分かるように、下側の駆動接点57と上側の個別端子65を比べると、上側の個別端子65の方が配置スペースに余裕がある。そのため、個別端子65は、駆動接点57と比べると配列間隔を大きくしやすい。逆に言えば、駆動接点57は配列間隔を大きくすることは難しいことから、下端側でのショートを確実に防止するために、第1貫通電極71Aの径が下方ほど小さくするのがよい。
2]前記実施形態の図5、図6で示されている第1貫通電極71の下端面を覆う絶縁膜75と上端面を覆う絶縁膜76の、一方又は両方が省略されてもよい。図12では、保護部材26Bの下面と上面の両方に絶縁膜が形成されていない。特に、第1貫通電極71Bの下端面の面積が、駆動接点57の面積よりも小さい場合は絶縁膜75が省略されてよい。また、第1貫通電極71Bの上端面の面積が、個別端子65の面積よりも小さい場合は絶縁膜76が省略されてよい。
3]前記実施形態(図3参照)では、保護部材26の頂壁部53の上面に、グランド端子として、共通電極49に接続される第1グランド端子67と、ドライバIC37に接続される第2グランド端子70とが設けられていたが、これら2種類のグランド端子が1つにまとめられていてもよい。
例えば、図13のヘッドユニット16Cでは、複数の個別端子65の前後両側に2つのグランド端子67Cが配置されている。グランド端子67Cは、保護部材26の頂壁部53の上面に形成されたグランド配線69Cによって、グランド入力端子63と接続されている。また、グランド端子67Cは、保護部材26に形成された第2貫通電極72Cを介して、共通電極と接続されている。さらに、グランド端子67Cは、ドライバIC37Cとも接続されている。この図13の構成では、図3と比べて、グランド配線が簡素化されて配線引き回しが容易になる。また、頂壁部53上の端子数が少なくなるため、保護部材26を小型化できる。
4]前記実施形態では、図5に示すように、頂壁部53の隔壁部55と連結される左右方向中央部にドライバIC37が配置され、頂壁部53の側壁部54と連結される左右方向端部にFPC27が接合されている。これに対して、頂壁部53の、1つの側壁部54又は隔壁部55と連結される部分に、ドライバIC37とFPC27の両方が配置されてもよい。
例えば、図14、図15のヘッドユニット16Dでは、頂壁部53の、隔壁部55と連結される連結部分である中央部の左半分に個別端子65D及び信号端子66Dが配置され、右半分に入力端子61Dが配置されている。頂壁部53の中央部左半分にはドライバIC37が配置され、個別端子65D及び信号端子66Dと接続されている。また、FPC27は頂壁部53の中央部右半分に接合され、入力端子61Dと接続されている。また、個別端子65Dに接続される第1貫通電極71Dも、隔壁部55の左半分に位置している。つまり、ドライバIC37、個別端子65D、信号端子66D、及び、第1貫通電極71Dが、隔壁部55の中央部に対して左側にずれて配置されている。
このように、頂壁部53の中央部に、ドライバIC37と接続される個別端子65D及び信号端子66Dと、FPC27と接続される入力端子61Dとが配置されていると、前記実施形態(図3)と比べて、ドライバIC37(信号端子66D)と入力端子61Dとを繋ぐ信号配線68Dの長さを短くできる。
尚、信号配線68Dは保護部材26の頂壁部53の表面にあり、少なくとも製造時には露出することになるため、配線が長いほど、製造工程中に断線等の問題が生じやすい。また外部環境(温度や湿度)の変化等の要因により保護部材が伸縮、変形が生じたときに、配線が長いと、導通不良、ショート、配線抵抗の増減などの悪影響が生じることも考えられる。これらの点で、信号配線68Dの長さを短くできる上記構成は有利である。
5]前記実施形態では、図5に示すように、頂壁部53の、第1貫通電極71が形成された隔壁部55との連結部分にドライバIC37が配置されている。これに対して、図16のヘッドユニット16Eのように、保護部材26の頂壁部53の、隔壁部55との連結部分に、ドライバIC87が実装された配線部材であるCOF(Chip ON Film)90が接合されてもよい。ドライバIC87は、個別端子65と電気的に接続されて、圧電素子41に対して駆動信号を出力する。前記実施形態では、ドライバIC37とFPC27を保護部材26にそれぞれ接合するため、電気的な接続工程が2工程必要であるが、図16では、保護部材26にCOF90を接合するだけで済み、電気的接続に関する工程を減らすことができる。
6]前記実施形態の保護部材26は2つの圧電素子列47を覆うものであり、頂壁部53と2つの側壁部54の他に、2つの圧電素子列47の間を仕切る隔壁部55を備えていたが、図17のように、保護部材26Fが、1つの圧電素子列47のみを覆うものであってもよい。即ち、保護部材26Fは、頂壁部53Fと2つの側壁部54Fa,54Fbのみを備え、隔壁部は備えていない。保護部材26Fの左側の側壁部54Faには第1貫通電極71が形成される。この側壁部54Faと連結される頂壁部53Fの左端部に、ドライバIC37が配置されている。また、右側の側壁部54Fbと連結される頂壁部53Fの右端部にはFPC27が接合されている。
また、図17のような構成では、隣接する2つの第1貫通電極71の間隔は、次のようにして広げられていてもよい。例えば、図18では、1つの圧電素子列47に属する複数の圧電素子41から複数の駆動接点57がそれぞれ右方へ引き出されている。但し、複数の駆動接点57は前後方向に一列に配列されるのではなく、千鳥状に配列されており2つの接点列56Fが構成されている。これに伴って、複数の第1貫通電極71も千鳥状に配列されて、2つの電極列77Fが構成されている。この構成では、前後方向に隣接する2つの第1貫通電極71の間隔P2Fが、対応する2つの圧電素子41の前後方向の間隔P1Fよりも大きくなっている。これにより、隣接する2つの第1貫通電極71の間でのショートを防止できる。
また、図19では、1つの圧電素子列47に属する複数の圧電素子41から右方へ引き出された複数の駆動接点57Gが1列に配列されている。但し、複数の駆動接点57Gは全体的に放射状に広がるように配置されている。これにより、1つの圧電素子列47に属する圧電素子41に対応する第1貫通電極71の、前後方向における配列間隔P2Gが、1つの圧電素子列47の圧電素子41の前後方向の配列間隔P1Gよりも大きくなっている。これにより、隣接する2つの第1貫通電極71の間でのショートを防止できる。
7]前記実施形態では、図5、図6に示すように、頂壁部53の、第1貫通電極71が形成された隔壁部55との連結部分にドライバIC37が配置されているが、ドライバIC37が第1貫通電極71の真上にあることは必須ではなく、ドライバIC37が第1貫通電極71から離れて配置されてもよい。その場合は、第1貫通電極71の直上に位置する個別端子65とドライバIC37とが、頂壁部53に形成された配線によって接続される。
8]圧電アクチュエータの駆動接点の配置は、前記実施形態の構成には限られない。全ての圧電素子の駆動接点が同一方向に引き出され、圧電アクチュエータの一端部に全ての駆動接点が一列に配列されてもよい。あるいは、2つの圧電素子列のそれぞれから走査方向の両側に分かれて配線が引き出され、圧電アクチュエータの走査方向の両端部のそれぞれで、駆動接点が配列されていてもよい。
特に、2つの圧電素子列から左右方向に分かれて駆動接点が引き出された場合の、保護部材の貫通電極、端子、配線等の配置について、図20を参照して説明する。図20のヘッドユニット16Hでは、保護部材26Hの左右2つの側壁部54Hが、駆動接点が配置された圧電アクチュエータの左右両端部とそれぞれ接合される。その上で、各側壁部54Hには、複数の第1貫通電極71Hと2つの第2貫通電極72Hが形成されている。また、頂壁部53Hの、側壁部54Hと連結される左端部及び右端部のそれぞれには、複数の第1貫通電極71Hと導通する複数の個別端子65Hと、2つの第2貫通電極72Hと導通する2つのグランド端子67Hが形成されている。
頂壁部53Hの、隔壁部55Hと連結される左右方向中央部にはドライバIC37Hが配置されている。ドライバIC37Hは、頂壁部53Hの左端部及び右端部に配置された個別端子65Hと個別配線68Hで接続され、グランド端子67Hとはグランド配線69Hで接続されている。
図20の構成では、2つの圧電素子列に対応した2つの第1貫通電極71Hの列が左右2つの側壁部54Hに分かれて配置されるため、前記実施形態の図7と比べて、前後方向に隣接する第1貫通電極71の間隔を大きくすることができる。尚、図20において、隔壁部55Hの直上に、ドライバIC37Hが配置される代わりに、ドライバICが実装された配線部材(COF)が接合されてもよい。
9]前記実施形態では、保護部材26が圧電アクチュエータ24に、導電性接着剤60で接合されていたが、非導電性接着剤(NCF又はNCP)で接合されてもよい。
10]前記実施形態のインクジェットヘッド4は、記録用紙100の幅方向に移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアルタイプのヘッドであるが、用紙幅方向に配列されたノズルを有する、いわゆるラインタイプのヘッドに対しても同様に本発明を適用できる。
以上説明した実施形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットヘッドに適用したものであるが、本発明は、液体吐出以外の用途で用いられるアクチュエータ装置全般にも適用可能である。また、アクチュエータは、複数の圧電素子からなる圧電アクチュエータにも限られない。例えば、駆動素子として、電流を流したときの発熱を利用して対象を駆動する、発熱体を有するアクチュエータであってもよい。
16 ヘッドユニット
21 流路部材
24 圧電アクチュエータ
25 アクチュエータ装置
26 保護部材
27 FPC
28 圧力室
36 ノズル
37 ドライバIC
41 圧電素子
42 下電極
44 上電極
47 圧電素子列
49 共通電極
53 頂壁部
54 側壁部
55 隔壁部
56 接点列
57 駆動接点
58 グランド接点
60 接着剤
60 導電性接着剤
61 入力端子
65 個別端子
67 グランド端子
68 信号配線
69 グランド配線
71 第1貫通電極
72 第2貫通電極
73 第1貫通孔
74 第2貫通孔
75 絶縁膜
76 絶縁膜
77 電極列
87 ドライバIC

Claims (21)

  1. 第1方向に配列された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子からそれぞれ引き出され、前記第1方向に沿って配列された複数の第1接点と、を有するアクチュエータと、
    前記圧電素子と対向する第1壁部と前記第1壁部に連結された第2壁部を有し、前記圧電素子を覆った状態で、前記第2壁部が前記アクチュエータの前記第1接点の配置領域に接合された保護部材と、
    前記保護部材の前記第1壁部の、前記アクチュエータと反対側の面に配置された複数の第1接続端子と、
    前記保護部材の前記第2壁部に形成された複数の第1貫通孔内にそれぞれ設けられ、且つ、それぞれが前記第1接点及び前記第1接続端子と導通する、複数の第1貫通電極と、を備え、
    前記第1方向に隣接する2つの前記圧電素子に対応する、2つの前記第1貫通電極の間隔が、前記隣接する2つの圧電素子間の前記第1方向の間隔よりも大きく、
    前記複数の第1貫通電極は、前記第1方向に延び、且つ、前記圧電素子の配置面に平行で前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ、第1電極列と第2電極列を構成し、
    前記第1電極列と前記第2電極列の間で、前記第1貫通電極の位置が前記第1方向にずれており、
    前記第1電極列に属する前記第1貫通電極と前記第2電極列に属する前記第1貫通電極の、両者の中心を直線で結ぶ方向における間隔が、これら2つの前記第1貫通電極に対応する2つの前記圧電素子間の前記第1方向の間隔よりも大きく、
    前記第1電極列に属する前記第1貫通電極は、当該第1貫通電極に対応する前記圧電素子の前記第2方向における一方側に配置され、
    前記第2電極列に属する前記第1貫通電極は、当該第1貫通電極に対応する前記圧電素子の前記第2方向における他方側に配置されており、
    前記圧電素子は、圧電膜と、前記圧電膜をその厚み方向に挟む第1電極と第2電極を有し、
    前記複数の圧電素子の間で前記第1電極同士は分離され、前記第2電極同士は互いに導通して共通電極が構成され、
    前記第1接点は、前記第1電極に接続され、
    前記アクチュエータは、前記共通電極に接続された第2接点を有し、
    前記保護部材の前記第1壁部の、前記アクチュエータと反対側の面に配置された第2接続端子と、
    前記保護部材の前記第2壁部に形成された第2貫通孔内に設けられ、且つ、前記第2接点及び前記第2接続端子と導通する第2貫通電極と、
    をさらに備え、
    前記第2貫通孔の孔径が前記第1貫通孔の孔径より大きいことを特徴とするアクチュエータ装置。
  2. 前記第2貫通電極は、前記保護部材の前記第1方向の両端に形成されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置。
  3. 前記保護部材は、シリコンで形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ装置。
  4. 前記第1電極列に属する前記第1貫通電極と前記第2電極列に属する前記第1貫通電極とが、前記第1方向に沿って等間隔に千鳥状で交互に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のアクチュエータ装置。
  5. 前記保護部材の前記第2壁部の前記アクチュエータとの接合面に、前記第1貫通電極の前記アクチュエータ側の端面を覆うように設けられ、前記第1貫通電極の前記アクチュエータ側の端面よりも小さい孔が形成された、第1絶縁膜を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のアクチュエータ装置。
  6. 前記第1貫通電極の前記アクチュエータ側の端面の面積が、前記第1接点の面積よりも大きいことを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ装置。
  7. 前記保護部材の前記第1壁部の前記アクチュエータとは反対側の面に、前記第1貫通電極の前記アクチュエータと反対側の端面を覆うように設けられ、前記第1貫通電極の前記アクチュエータと反対側の端面よりも小さい孔が形成された、第2絶縁膜を有することを特徴とする請求項1~の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  8. 前記保護部材の前記第1貫通孔は、前記アクチュエータ側に向かうほど孔径が小さくなるテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  9. 前記アクチュエータは、複数の前記第2接点を有し、
    前記保護部材の前記第1壁部には、複数の前記第2接続端子が設けられ、
    前記保護部材の前記第2壁部には、前記複数の第2接点と前記複数の第2接続端子とをそれぞれ導通させる、複数の前記第2貫通電極が設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のアクチュエータ装置。
  10. 1つの前記圧電素子から前記共通電極に流れる最大の電流量をI、前記共通電極に接続される前記圧電素子の数をn、前記第2貫通電極を構成する電極材料の許容電流密度をi、1つの前記第2貫通電極の断面積をA、前記第2貫通電極の数をNとしたときに、
    N>(I×n)/(i×A)
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のアクチュエータ装置。
  11. 前記複数の第1接続端子は、前記第1壁部の、前記第1貫通電極が設けられた前記第2壁部との連結部分に配置されていることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  12. 前記第1壁部の前記連結部分に、前記複数の第1接続端子と接続される駆動回路が配置されていることを特徴とする請求項11に記載のアクチュエータ装置。
  13. 前記第1壁部の前記アクチュエータと反対側の面に配置された、複数の第3接続端子、及び、前記駆動回路と前記複数の第3接続端子とを接続する複数の配線と、
    前記第1壁部に接合され、且つ、前記複数の第3接続端子と電気的に接続される配線部材と、を有することを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ装置。
  14. 前記複数の第1接続端子は前記第1方向に配列され、
    前記複数の配線は、前記第1壁部の前記アクチュエータと反対側の面に平行で且つ前記第1方向と直交する第2方向に延び、
    前記複数の配線に接続された前記複数の第3接続端子も前記第1方向に配列され、
    前記第3接続端子の前記第1方向の配列数は前記第1接続端子の配列数よりも少なく、前記配線部材の前記第1方向の長さは、前記駆動回路の前記第1方向の長さよりも小さいことを特徴とする請求項13に記載のアクチュエータ装置。
  15. 前記第3接続端子は、前記第1壁部の前記第2壁部との連結部分に配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のアクチュエータ装置。
  16. 前記第1壁部の、1つの前記第2壁部との連結部分に、前記第1接続端子と前記第3接続端子の両方が配置されていることを特徴とする請求項15に記載のアクチュエータ装置。
  17. 前記駆動回路、前記複数の第1接続端子、及び、前記複数の第1貫通電極が、前記第1壁部の前記アクチュエータと反対側の面に平行で且つ前記第1方向と直交する第2方向において、前記第2壁部の中央部よりも一方側に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のアクチュエータ装置。
  18. 前記複数の圧電素子は、前記第1方向に延び、且つ、前記圧電素子の配置面に平行で前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ、2つの圧電素子列を構成し、
    前記2つの圧電素子列を構成する前記複数の圧電素子の各々から、前記第1接点が前記第2方向の内側に引き出され、
    前記複数の第2壁部には、前記アクチュエータの前記2つの圧電素子列の間の領域に接合される隔壁部が含まれ、
    前記隔壁部に、前記複数の第1接点と導通する前記複数の第1貫通電極が形成されていることを特徴とする請求項1~16の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  19. 前記第1壁部の前記隔壁部との連結部分に、前記複数の第1接続端子が配置され、
    前記連結部分に、1つの駆動回路、又は、駆動回路が設けられた1枚の配線部材が接合されていることを特徴とする請求項18に記載のアクチュエータ装置。
  20. 前記複数の第1貫通電極は、前記隔壁部の前記第2方向の中央部に形成されていることを特徴とする請求項19に記載のアクチュエータ装置。
  21. 前記保護部材の前記第2壁部と前記アクチュエータとが、導電粒子を含む導電性接着剤で接合されていることを特徴とする請求項1~20の何れかに記載のアクチュエータ装置。
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