JP7069388B1 - 容器詰め生タマネギ含有食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】生タマネギの良好な食感を保持した、容器詰め生タマネギ含有食品を提供する。【解決手段】本発明の容器詰め生タマネギ含有食品は、高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、基準の生タマネギの破断強度に対する比が、0.47超であり、前記基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギであり、前記破断強度は、切断した生タマネギの外皮側の面が床と平行になるよう測定装置に設置し、直径2mmの針状プランジャーで、測定温度25℃、測定速度3.0mm/secの条件で測定されたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰め生タマネギ含有食品に関する。
特許文献1には、旨み成分を短時間で増加させたり、殺菌効果を高めて保存期間を長くさせたりすることを目的として、奈良漬け等の食品を調味液とともに容器内に入れて、脱気して、約300MPa以下且つ20℃以上90℃以下で所定時間処理する処理方法が記載されている。
特開2017-79729号公報
しかし、タマネギの生のままの食感を保つことが長年求められており、これを目的とする従来の技術には改善の余地がある。
本発明の一態様は、生タマネギの良好な食感を保持した、容器詰め生タマネギ含有食品を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、生タマネギが容器詰めされた容器について、特定量の気体を含む状態で、高圧処理を行なうことで、生タマネギの良好な食感を保持した、容器詰め生タマネギ含有食品を製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、基準の生タマネギの破断強度に対する比が、0.47超であり、前記基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギであり、前記破断強度は、切断した生タマネギの外皮側の面が床と平行になるよう測定装置に設置し、直径2mmの針状プランジャーで、測定温度25℃、測定速度3.0mm/secの条件で測定されたものである、容器詰め生タマネギ含有食品、
(2)前記生タマネギの破断強度の、前記基準の生タマネギとは別の基準の生タマネギの破断強度に対する比が1.00超であり、
前記別の基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、実質的に空気を残存させないように真空まで減圧されて、前記高圧処理と同じ圧力で高圧処理された生タマネギである、(1)に記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
(3)前記高圧処理の圧力は、400MPa以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
(4)前記生タマネギはカットされていることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
(5)前記食品は、前記生タマネギを含むサラダであることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
(6)前記残存気体量の調整は、生タマネギが封入されて密封されている容器を、0.002MPa以上、0.02MPa以下で脱気処理することによって行うことを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
(7)前記残存気体量の調整は、生タマネギが封入されて密封されている容器を、0.05MPa以上、0.012MPa以下で脱気処理することによって行うことを特徴とする、(6)に記載の容器詰め生タマネギ含有食品、
である。
本発明の一態様によれば、生タマネギの良好な食感を保持した、容器詰め生タマネギ含有食品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、単に「%」と記載されている場合は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の容器詰め生タマネギ含有食品の特徴>
本発明の容器詰め生タマネギ含有食品の一態様は、高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、基準の生タマネギの破断強度に対する比(以下、「第1の比」という。)が、0.47超であり、前記基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギである。また、高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、前記基準の生タマネギとは別の基準の生タマネギの破断強度に対する比(以下、「第2の比」という。)が1.00超であり、前記別の基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、実質的に空気を残存させないように真空まで減圧されて、前記高圧処理と同じ圧力で高圧処理された生タマネギである。容器の残存気体率を前記の範囲とし、かつ、生タマネギが高圧処理され、破断強度を前記の範囲とすることで、喫食者は未処理の生タマネギに近い食感を楽しむことができる。
その理由は次の通りである。つまり、容器の残存気体率が前記の範囲の状態で高圧処理をすることで、生タマネギの組織が破壊される。ただし、この組織の破壊は、良好な食感が活かされる状態が維持される程度である。また、容器の残存気体率が前記の範囲であれば、仮にこの残存気体率を脱気処理によって実現するとしても、過度に減圧されないことから、離水が抑制される。以上により、本発明における生タマネギは、良好な食感を有している。
また、本発明の一態様における容器詰め生タマネギ含有食品は、高圧処理の殺菌効果により保存性が高く、容器内の気体量が少ないので、運搬が容易である。換言すれば、保存性や運搬の観点から、未処理の生タマネギを含む食品をそのまま容器に詰めることが好ましくない場合に、本発明の一態様は貢献できる。
<生タマネギ>
「生タマネギ」は加熱処理されていない未加熱のタマネギが意図される。加熱処理とは、熱を加えることを目的とした処理を意図する。高圧処理によって、生タマネギの温度が数℃上昇することがある。しかし、熱を加えることを目的とした処理ではないので、高圧処理されたタマネギは「生タマネギ」の範疇である。また、高圧処理されたタマネギは、「生タマネギ高圧処理物」といってもよい。
生タマネギは、外皮(保護葉)が取り除いた状態であると好ましい。また、生タマネギの首部や茎盤(短縮茎)等の不可食部は切断して除去した状態であることがより好ましい。また、生タマネギはカットされていてもよい。カットの態様としては、例えば、薄切り(スライス)、輪切り、角切り、くし切り、みじん切り、ダイスカット等が挙げられる。また、カットする場合の大きさは生タマネギの用途に応じて適宜設定すればよい。例えば、薄切りの場合、生タマネギの厚さが、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。また、ダイスカットの場合、生タマネギの一片が1mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。これらの範囲であれば、品質が低下しにくくなり、目的とする作用効果が得られやすくなる。
<破断強度>
破断強度は、硬さを示すパラメータであり、対象の試料が破断するときの強度を示す。例えば、次の方法で測定することができる。つまり、所定の厚さの生タマネギの外皮側の面が床と平行になるよう測定装置に設置し、直径2mmの針状プランジャーで、測定温度25℃、測定速度3.0mm/secの条件で測定して、試料が破断した時の力を破断強度とする。
<第1の比>
本発明の一態様における生タマネギの破断強度の第1の比は0.47超である。第1の比は、前述の通り、本発明の一態様に係る容器詰め生タマネギ含有食品に含まれる生タマネギと、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギと、の比である。つまり、第1の比における基準の生タマネギは、本発明の一態様における容器詰め生タマネギ含有食品と同じ配合の食品に含まれる生タマネギであって、かつ、後述する高圧処理及び気体量調整の処理がされていない生タマネギである。本発明の一態様によれば、第1の比が0.47超であるので、未処理の生タマネギの食感が良好に維持されている。なお、第1の比は、本明細書に接する当業者は、気体量調整の処理及び高圧処理の条件を調整することで容易に調整可能である。
<第1の比の好ましい値>
第1の比は、生タマネギの食感がさらに良好となる観点から、0.49以上が好ましく、0.50以上がより好ましく、0.60以上がさらに好ましい。
<第2の比>
本発明の一態様における生タマネギの破断強度の第2の比は1.00超であることが好ましい。第2の比は、前述の通り、本発明の一態様に係る容器詰め生タマネギ含有食品に含まれる生タマネギと、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、実質的に空気を残存させないように真空まで減圧されて、前記高圧処理と同じ圧力で高圧処理された生タマネギとの比である。つまり、第2の比における基準の生タマネギは、本発明の一態様における容器詰め生タマネギ含有食品と同じ配合の食品に含まれる生タマネギであって、本発明の一態様における生タマネギと同じ圧力で高圧処理されており、かつ、容器内に実質的に空気が残存しない状態まで真空処理された生タマネギである。つまり、残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下と調整された上で、高圧処理されることで、生タマネギの組織の破壊が、良好な食感が活かされる状態が維持される程度で済んでいるため、本発明の一態様における生タマネギは、前記真空処理された生タマネギよりも良好な食感を有している。なお、「容器内に実質的に空気が残存しない状態」とは、容器内環境中に含まれる空気が無い状態を意味し、食品の種類に応じて、脱気処理を行なうための従来公知の装置による処理条件を適宜設定することで、当該状態を作り出せる。
<第2の比の好ましい値>
第2の比は、生タマネギの食感がさらに良好となる観点から、1.05以上がより好ましく、1.20以上がさらに好ましい。
<生タマネギ含有食品>
本発明における生タマネギ含有食品は、生タマネギを含有する食品であればよく、具体的な態様は限定されない。生タマネギを含有する食品としては、例えば、生タマネギのみのもの、ポテトサラダ及びマリネ等の惣菜類、ソース及びドレッシング等の調味料類等が挙げられる。
<具材>
生タマネギを含有する食品は、生タマネギ以外の具材を含んでもよい。生タマネギ以外の具材としては、特に制限はない。例えば、タマネギ以外の野菜、果実、肉類、魚類等が挙げられる。例えば、食品がポテトサラダである場合など、食品の態様によっては、当該具材は、ジャガイモ等の根菜類を含んでもよい。また、本発明の一態様によれば、前述の通り、加熱処理を施さずに良好な食感の生タマネギを提供するものであるので、加熱処理によって風味、食感が劣化しやすい具材も好適に用いることができる。当該具材としては、例えば、果菜類、葉菜類等が挙げられる。
<添加物>
生タマネギを含有する食品は、前述の具材以外にも添加物を含んでもよい。例えば、調味料、酸味料、呈味料、香辛料、増粘剤等が挙げられる。調味料としては、例えば、食塩、砂糖等が挙げられる。酸味料としては、例えば、柑橘類の果汁、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。呈味料としては、例えば、グルタミン酸ソーダ等が挙げられる。香辛料としては、例えば、辛子粉、オイルマスタード、コショウ等が挙げられる。増粘剤としては、大豆蛋白質、澱粉、デキストリン、セルロース、その他増粘多糖類等が挙げられる。
<容器>
本発明において、高圧処理された生タマネギを含む食品は容器内に密封されている。容器としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂で製造された容器が挙げられる。容器の材質は、単層でもよく、複層でもよい。容器の形態としては、例えば、パウチ、カップ等が挙げられる。
<高圧処理>
本発明において、生タマネギは高圧処理されている。残存気体率が所定の範囲であり、かつ、高圧処理されていることで、原料の生タマネギの良好な食感が活かされた生タマネギを得ることができる。高圧処理の具体的な方法は、従来公知の高圧処理用の機器を用いればよい。
<高圧処理における圧力>
本発明において、高圧処理の圧力は50MPa以上である。高圧処理の圧力は、所望する保存性の程度に応じて適宜設定すればよい。例えば、保存性を高める観点から、圧力は400MPa以上が好ましく、500MPa以上がより好ましい。また、圧力の上限は特に制限されないが、製造効率の観点から、700MPa以下が好ましい。
<高圧処理の時間>
高圧処理を行う時間は、圧力に応じて適宜設定すればよい。当業者であれば、生タマネギの食感を確認しながら、所望する保存性に応じて適切な時間を設定可能である。例えば、原料のタマネギの良好な食感を活かしつつ保存性を高める観点から、保持時間は、30秒以上が好ましく、1分以上がさらに好ましく、2分以上がより好ましく、また、10分以下が好ましい。
<高圧処理のその他の条件>
高圧処理を行なうときの温度は特に限定されない。例えば、0℃以上、40℃以下で行ってもよく、常温(25℃)で行ってもよい。
<残存気体率>
「残存気体率」は、密封した状態の容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、容器内の残存気体量の割合である。当該最大容積は、容器に注射針等で穴をあけて加水して満注させて、その後に密封するときに、中に入り得る最大容積である。例えば、容器詰め生タマネギ含有食品に注射針を刺し、容器内に注射器で加水して満注し、再度密封したときに、当該容器内に入っている水の重量(加水前後の重量差)を測定し、体積換算することで求められる。また、残存気体量は、容器詰め生タマネギ含有食品の容器内に含まれる気体の量である。例えば、未開封の容器詰め生タマネギ含有食品を水中に沈め、容器を開封して、容器から出てきた気体を回収することで、その量を求めることができる。
本発明において、残存気体率は2体積%以上、20体積%以下である。残存気体率が2体積%未満だと、脱気処理によって2体積%未満を実現すると離水してしまうので、食感が悪くなる。20体積%より多いと、高圧処理の際、昇圧まで時間がかかり、処理効率が悪くなる。また、残存気体率は2体積%以上、20体積%以下であることによって、離水が抑制されて、原料の生タマネギの良好な食感が活かされる。
<好ましい残存気体率>
残存気体率は、より食感を良好にする観点から、3.5体積%以上が好ましく、10体積%以上がより好ましい。また、残存気体率は、保存性をより高める観点から、18体積%以下が好ましく、12体積%以下がより好ましい。
<残存気体量の調整>
残存気体量の調整は、生タマネギを含む食品が封入されている容器内の気体量を、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が2体積%以上、20体積%以下となるように、調整する。残存気体量の調整は、脱気処理によって行なってもよく、手で容器を押すなどして容器から気体を出すことによって行なってもよく、所望より低い残存気体率の容器の中に気体を入れることによって調整してもよい。
<脱気処理>
本発明の一態様においては、容器の残存気体率が2体積%以上、20体積%以下となるように脱気処理してもよい。脱気処理によって、より容易に容器の残存気体率を調整できる。この範囲になるように脱気処理するための脱気処理の圧力は0.002MPa以上、0.02MPa以下である。脱気処理は、従来公知の機器等を用いて行えばよい。
<脱気処理の好ましい圧力>
脱気処理の圧力は、より食感を良好にする観点から、0.005MPa以上が好ましく、0.01MPa以上がさらに好ましい。また、脱気処理の圧力は、保存性をより高める観点から、0.012MPa以下が好ましく、0.018MPa以下がさらに好ましい。
<脱気処理のその他の条件>
また、脱気処理を行なうときの温度は特に限定されない。例えば、0℃以上、40℃以下で行ってもよく、常温(25℃)で行ってもよい。
<容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法>
本発明の一態様に係る容器詰め生タマネギ含有食品は、生タマネギを含む食品が封入されている容器内の気体量を、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が2体積%以上、20体積%以下となるように調整する、気体量調整工程と、前記気体量調整工程後、密封された前記容器に、50MPa以上の圧力で高圧処理を施す高圧処理工程と、を含む。気体量調整工程は、生タマネギが封入されて密封されている容器を、0.003MPa以上、0.02MPa以下で脱気処理することによって行なうことができる。本発明の一態様に係る容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法によれば、良好な食感を保持した、生タマネギを含む容器詰め食品を得ることができる。残存気体量の調整及び高圧処理については、前述した通りであるため、同じ説明は繰り返さない。
<容器詰め>
生タマネギの容器詰めは、常法により行えばよい。また、生タマネギを容器詰めした後、後述の気体量調整工程の後に、常法によって密封すればよい。容器内の気体は、空気でもよく、窒素ガスで置換してもよい。生タマネギは容器に詰められる際、予めカットされていてもよい。
以下、本発明について、実施例及び比較例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
本発明の一実施例について以下に説明する。本実施例において、高圧処理を行って生タマネギ含有食品を製造し、得られた生タマネギ含有食品の破断強度を測定した。
[実施例1~11、比較例1~5]
包丁にて生タマネギをカットして、パウチ(140mm×170mm、ナイロンと直鎖状低密度ポリエチレンの複層)に詰めた。カットのサイズは表1及び表2に示す通りである。また、表中に「5mmスライス」と示す例については、パウチにカットした生タマネギ55gのみを詰めた。「8mmダイスポテトサラダ」と示す例については、パウチに、カットした生タマネギ55gを含み、以下に示す配合で作製したポテトサラダを詰めた。
<ポテトサラダの配合量>
乳化調味料 17質量%
茹でジャガイモ 52質量%
生タマネギ 27質量%
その他調味料 4質量%
計 100質量%
<脱気処理>
次に、バキュームシーラー(株式会社古川製作所製、型式FVC-2-G)を用いて脱気した後、密封した。脱気の条件は表1及び表2に示す通りである。また、比較例1、4及び5の減圧処理条件は、容器内に実質的に空気が残存しない状態にするための条件とした。脱気後は、後述する残存気体率の測定方法に従って残存気体率を測定した結果0.17%(表1及び2では0.2%と表記)の気体が検出されたが、これは、容器内に空気が実質的に存在しない状態と評価できる。なお、比較例2及び3については、脱気処理も、後述する高圧処理も行わなかった。つまり、比較例2及び3については、脱気処理を行なわずに、大気環境下で、それぞれタマネギ及びポテトサラダを容器に格納した。
<高圧処理>
次に、高圧処理装置(株式会社神戸製鋼所製、装置名Dr.CHEF)を用いて、高圧処理を行なった。圧力(高圧処理の条件)は表1及び表2に示す通りである。保持時間は高圧処理を行なった全ての例において3分間とした。これにより、容器詰め生タマネギ含有食品を得た。
得られた容器詰め生タマネギ含有食品に対する破断強度の測定を行なった。また、容器内の残存気体率を測定した。結果を各表に示す。
<破断強度>
テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems製、Texture Analyzer TA. XT. Plus)を用いて測定した。スライスまたはダイスの形状の生タマネギを、外皮側の面が床と平行になるよう測定装置に設置した。測定条件を以下に示す。プランジャーは直径2mmの針状プランジャーを用い、25℃の環境下で測定を行なった。基準の生タマネギの破断強度に対する比を算出した。
(測定条件)
ロードセル:5Kg
使用治具:P/2N
使用台座:Slotted blade insert
Test Mode:Compression
Test Speed:3.00mm/sec
Target Mode:Distance
Distance:9.8mm
<第1の比及び第2の比>
表1及び2に示す基準とした例に基づいて、各実施例の第1の比及び第2の比を算出した。
<残存気体率>
水を貯めたシンク内で、メスシリンダーにて水上置換法により空気を収集し、空気量を測定した。予め測定した密封した状態の容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、当該空気量の割合を算出し、残存気体率とした。なお、同条件で生タマネギが入った状態で注射器で加水して満注させて密封したときに容器内に入った水の体積は280mlであった。当該体積は、密封した状態の容器に対して入れることのできる気体の最大容積に相当する。
Figure 0007069388000001
Figure 0007069388000002
また、食感の官能評価も行なった結果、各実施例では処理前の生タマネギの食感が維持されており、良好であった。一方、各比較例1、4及び5の生タマネギの食感は、処理前の生タマネギの食感が維持されておらず、悪い食感であった。
表1~2から、高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、基準の生タマネギの破断強度に対する比が、0.47超であり、前記基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギであることによって、また、高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含み、前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下であり、前記生タマネギの破断強度の、前記基準の生タマネギとは別の基準の生タマネギの破断強度に対する比が1.00超であり、前記別の基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、実質的に空気を残存させないように真空まで減圧されて、前記高圧処理と同じ圧力で高圧処理された生タマネギであることによって、生タマネギの良好な食感を保持した、容器詰め生タマネギ含有食品となることが示された。

Claims (7)

  1. 高圧処理された生タマネギを含む食品を容器内に含む容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法であって
    前記容器に前記生タマネギを含む食品の材料を封入する工程と、
    前記封入する工程の後に、密封した状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積に対する、前記容器内の残存気体量の割合である残存気体率が、2体積%以上、20体積%以下となるように調整する、気体量調整工程と
    前記気体量調整工程後、前記残存気体量の前記容器内に前記生タマネギを含んだ状態で密封された前記容器に、高圧処理を施す高圧処理工程(但し、生タマネギを液体中に入れることによって圧力が均一に伝達される状態で高圧処理することを除く)と、を含み、
    前記高圧処理の圧力は50MPa以上であり、
    前記最大容積は、前記食品を含んだ状態の前記容器に対して入れることのできる気体の最大容積であり、
    前記生タマネギの破断強度の、基準の生タマネギの破断強度に対する比が、0.51~0.86であり、
    前記基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、高圧処理されておらず、大気環境下で前記容器に入れられた生タマネギであり、
    前記破断強度は、切断した生タマネギの外皮側の面が床と平行になるよう測定装置に設置し、直径2mmの針状プランジャーで、測定温度25℃、測定速度3.0mm/secの条件で測定されたものであり、
    前記基準の生タマネギとして、前記食品において使用する前記高圧処理前の生タマネギと同じ生タマネギを使用することを特徴とする、
    容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  2. 前記生タマネギの破断強度の、前記基準の生タマネギとは別の基準の生タマネギの破断強度に対する比が1.00超であり、
    前記別の基準の生タマネギは、前記食品において前記高圧処理された生タマネギ以外の成分が同じである食品に含まれる、実質的に空気を残存させないように真空まで減圧されて、前記高圧処理と同じ圧力で高圧処理された生タマネギであり、
    前記別の基準の生タマネギとして、前記食品において使用する前記高圧処理前の生タマネギと同じ生タマネギを使用し、
    前記実質的に空気を残存させないことは、残存気体率が0.17体積%以下の状態であることを特徴とする、
    請求項1に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  3. 前記高圧処理の圧力は、400MPa以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  4. 前記生タマネギはカットされていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  5. 前記食品は、前記生タマネギを含むサラダであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  6. 前記残存気体量の調整は、生タマネギが封入されて密封されている容器を、0.002MPa以上、0.02MPa以下で脱気処理することによって行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
  7. 前記残存気体量の調整は、生タマネギが封入されて密封されている容器を、0.01MPa以上、0.018MPa以下で脱気処理することによって行うことを特徴とする、請求項6に記載の容器詰め生タマネギ含有食品の製造方法
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