JP7067158B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

Description

本発明は、液体噴射装置に関する。

用紙などのターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンター（以下、「プリンター」と略す場合もある。）が広く知られている。

従来、こうしたプリンターには、インク（液体）を噴射する液体噴射ヘッドにインクを供給するために、ダイヤフラム式ポンプ等の脈動型のポンプを用いた送液手段を備えるものがある。このような脈動型のポンプは、インクカートリッジなどの液体収容部からインクを吸引する吸引動作と、吸引動作によって吸引したインクを液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを交互に実行するため、吸引動作を行う間、インクの供給が一時的に停止されることになる。そこで、このような従来のプリンターには、吸引動作を行う間にもインクを液体噴射ヘッド側に向けて供給するために、ポンプから吐出されたインクを一時貯留するバッファ室が設けられている（例えば、特許文献１参照）。

また、従来のプリンターには、バッファ室と液体噴射ヘッドとの間にチョーク弁が設けられたものもある。チョーク弁は、バッファ室に作用する加圧力よりも液体噴射ヘッド側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して液体供給路を閉塞する。液体噴射ヘッドにキャップを当接させた状態で吸引ポンプを駆動し、負圧を発生させ、液体噴射ヘッド内のインクを排出させるクリーニング（吸引クリーニング）を実行すると、負圧が高まることによってチョーク弁が閉弁して液体供給路が閉塞された状態となる。この状態で吸引クリーニングを継続すると、液体噴射ヘッド内の負圧が高まる。その後、ポンプが吐出動作を行うと、チョーク弁の上流側の圧力が上昇してチョーク弁が開弁し、ポンプによって吐出されたインクとともに液体噴射ヘッド内に滞留している気泡や増粘したインクなどがノズルから排出されるいわゆるチョーククリーニングが実行される。

特開２０１２－１６６４７３号公報

しかし、上記のごとき従来の液体噴射装置においては、バッファ室とチョーク弁を別々に設ける必要があった。

また、液体の供給のみが可能なポンプを採用している液体噴射装置では、チョーククリーニングを行う際、バッファ室に加圧力が作用した状態で且つ、チョーククリーニング用の液室内の液体が多い状態でポンプを停止し、吸引を行うことで供給流路を閉鎖している。このような液体噴射装置において、特にラインヘッド等のノズル数が多いヘッドでチョーククリーニングを行う場合、供給流路が閉鎖されるまでの間にバッファ室内およびチョーククリーニング用の液室内の液体が無駄に排出されてしまう虞がある。

そこで、本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の実施形態として実現することが可能である。

本発明の一態様に係る液体噴射装置は、
ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
液体を収容する液体収容部から液体噴射ヘッドに液体を供給する供給流路と、
供給流路に配置されたバッファ室に設けられ、容積が変化するように構成される液室と、
液体収容部と液室との間の供給流路に設けられた可逆型の送液手段と、
送液手段を駆動制御して、液体収容部から液室への液体の送液および液室から液体収容部への液体の逆送を制御する制御手段と、
ノズルから液体を吸引する吸引手段と、を備え、
バッファ室は、液室内の液体が減少することによって供給流路を閉鎖可能であり、
制御部は、吸引手段がノズルから液体を吸引するのに先立って、液室から液体収容部へ液体を逆送するように送液手段を制御することを特徴とする。

本発明の適用対象の一例であるプリンター（液体噴射装置）を示す斜視図である。 液体供給源から液体噴射ヘッドに液体を供給する供給装置の模式図である。 液体噴射装置の他の形態について説明する、供給装置の模式図である。 液体噴射装置の他の形態について説明する、供給装置の模式図である。

以下、液体噴射装置の一実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって記録（印刷）するインクジェット式のプリンターである。

図１に示すように、液体噴射装置１１は、略直方体状の外装体１２を備える。図面では、液体噴射装置１１が水平面上に置かれているものとして重力の方向をＺ軸で示し、鉛直方向Ｚとする。外装体１２の側面のうち液体噴射装置１１に対する操作を主に行う面を前面とする。

外装体１２の前面には、底部側から上に向かって順に、容器１３が着脱可能に装着される装着部１４を覆う回動可能な前蓋１５と、用紙などの媒体（図示略）を収容可能な媒体収容体１６が装着される装着口１７と、が配置される。装着口１７の上側には、媒体が排出される排出トレイ１８と、液体噴射装置１１の操作をするための操作パネル１９と、が配置される。

装着部１４には、１または複数（本実施形態では４つ）の容器１３が装着可能である。各容器１３には、液体を収容する液体収容体などの液体供給源（以下、液体収容部ともいう）２１が取り外し可能に載置される。液体供給源２１は、それぞれ異なる種類の液体（例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー等の色の異なるインク）を収容し、液体噴射ヘッド２２に対する液体の供給源となる。

図２に示すように、液体噴射装置１１は、液体を噴射する液体噴射ヘッド２２と、液体供給源２１から液体噴射ヘッド２２に液体を供給する供給装置２３と、液体噴射ヘッド２２のメンテナンスを行うメンテナンス装置（吸引手段）２４と、を備える。液体噴射ヘッド２２のノズル形成面２５には、液体を噴射する複数のノズル２６が形成されている。また、液体噴射装置１１は、ポンプ３６の駆動を制御する制御部８０を備えている。

メンテナンス装置２４は、ノズル２６から排出される液体を受容するキャップ２８と、キャップ２８内を吸引する吸引機構２９と、を備える。キャップ２８は、液体噴射ヘッド２２に接触してノズル形成面２５との間にノズル２６が開口する閉空間を形成し、液体噴射ヘッド２２をキャッピングする。

次に、供給装置２３について説明する。
液体噴射装置１１は、液体噴射ヘッド２２から噴射する液体の種類ごとに、１または複数（本実施形態では４つ）の供給装置２３を備える。例えば、液体噴射装置１１がプリンターであれば、供給装置２３はインクの色ごとに設けられる。本実施形態の液体噴射装置１１は、装着部１４に装着可能な容器１３に載置された液体供給源２１と同数の供給装置２３を備えるが、各供給装置２３の構成は同じである。そのため、１つの供給装置２３について説明し、同一符号を付すことで重複した説明を省略する。

［第１実施形態］
図２に示すように、供給装置２３は、液体供給源２１から液体噴射ヘッド２２側に液体を供給する供給流路３１を有する。以下の説明では、供給流路３１において液体供給源２１が接続される側を上流側、液体噴射ヘッド２２が接続される側を下流側という。

供給流路３１には、上流側から順にポンプ（送液手段）３６、バッファ室３８、及び圧力調整弁４１が設けられている。

ポンプ３６は、インクを送る送液手段として機能するものであり、供給流路３１の、液体収容部２１とバッファ室３８との間となる位置に設けられている。本実施形態のポンプ３６は、インクの下流側への送液と上流側への逆送とが可能な可逆型のポンプである。

バッファ室３８は、供給流路３１におけるポンプ３６よりも下流側の位置に設けられる。バッファ室３８は、液体を貯留する貯留室（液室）４９と、貯留室４９の壁面の一部を構成する可撓性部材５０と、貯留室４９の外側から可撓性部材５０に対して圧力を付加する圧力付加部５１と、を有する。貯留室４９は、供給流路３１の一部を構成する。本実施形態のバッファ室３８は、貯留室（液室）４９から下流側に液体を導出する導出部６８が可撓性部材５０と対向する位置に設けられ、液体の減少によって貯留室（液室）４９の容積が小さくなる方向に可撓性部材５０が変位して導出部６８に接触することで供給流路３１を閉鎖可能に構成されている。すなわち、本実施形態のバッファ室３８は供給流路３１を開閉する開閉弁の機能を兼ね備える。

圧力付加部５１は、貯留室４９の容積を減少させる方向に可撓性部材５０を付勢する第１付勢部材５２と、第１付勢部材５２と可撓性部材５０との間に設けられる受圧部材５３と、を有している。バッファ室３８は、可撓性部材５０の変位により貯留室４９の容積が変化し、液体の圧力の変動を緩和する。圧力付加部５１は、貯留室４９に貯留された液体を加圧し、貯留室４９から液体を供給する。

第１付勢部材５２は、貯留室４９の容積が小さくなる方向に可撓性部材５０を付勢し、液体噴射ヘッド２２に対して液体を加圧供給する。本実施形態の第１付勢部材５２は、圧縮コイルばねであり、最も縮んだときの付勢力が最大付勢力となり、最も伸びたときの付勢力が最小付勢力となる。バッファ室３８において、第１付勢部材５２が最大付勢力で可撓性部材５０を付勢したときの液体にかかる圧力を最大圧力、第１付勢部材５２が最小付勢力で可撓性部材５０を付勢したときの液体にかかる圧力を最小圧力とする。

最大圧力は、貯留室４９の容積が最大のときの圧力であり、最小圧力は、貯留室４９の容積が最小のときの圧力である。最小圧力は、バッファ室３８から液体噴射ヘッド２２へ液体を供給するのに必要な圧力よりも高い圧力である。

圧力調整弁４１は、液体が供給される供給室５５と、供給室５５と連通孔５６を介して連通可能な圧力室５７と、連通孔５６を開閉可能な弁体５８と、を備える。圧力室５７の壁面の一部は、撓み変位可能な可撓壁５９により形成される。供給室５５、連通孔５６、及び圧力室５７は、供給流路３１の一部を構成する。

圧力調整弁４１は、供給室５５に収容される上流側付勢部材６１と、圧力室５７に収容される下流側付勢部材６２と、を備える。上流側付勢部材６１と下流側付勢部材６２は、連通孔５６を閉塞する方向に弁体５８を付勢する。ここで、圧力調整弁４１は、上流側付勢部材６１と下流側付勢部材６２のうちどちらか一方を備える構成としても良い。

次に、液体噴射装置１１における作用について説明する。なお、供給流路３１、及び液体噴射ヘッド２２には、液体が充填されているものとする。

液体噴射ヘッド２２が液体を噴射すると、圧力調整弁４１の圧力室５７の液体が液体噴射ヘッド２２に供給される。圧力室５７の液体が供給され圧力室５７の内圧が低下して可撓壁５９が弁体５８を押す力が上流側付勢部材６１及び下流側付勢部材６２の付勢力を上回った場合に、弁体５８は連通孔５６を開放する。すなわち、圧力調整弁４１は、下流側が所定の負圧になった所で開放する。連通孔５６が開放されると、供給室５５から圧力室５７に液体が流入すると共に、貯留室４９に貯留された液体が供給室５５に流入する。圧力調整弁４１は、圧力室５７の内圧が上昇すると、上流側付勢部材６１及び下流側付勢部材６２の付勢力によって弁体５８が連通孔５６を閉塞する。

単位時間あたりに液体噴射ヘッド２２が消費する液体の量よりもポンプ３６が供給する液体の量が多い場合には、液体はバッファ室３８に留まる。特に複数の供給装置２３を備える液体噴射装置１１において、例えばモノクロ印刷のように特定の液体の消費量が多い場合には、消費量が多い液体に合わせて液体を供給する必要がある。

メンテナンス装置２４は、ノズル２６から液体を出すことによって気泡等の異物を排出するメンテナンス動作であるクリーニングを実行可能であり、その種類として、吸引クリーニングやチョーククリーニングなどがある。

吸引クリーニングは、液体噴射ヘッド２２をキャッピングした状態で、吸引機構２９を駆動して行う。吸引クリーニングは、液体噴射ヘッド２２内などにある気泡等の異物を液体と共にノズル２６から排出する。

チョーククリーニングは、キャッピングをすると共に、ポンプ３６を駆動していない状態で吸引機構２９を駆動する。吸引機構２９の駆動による液体の減少によってバッファ室３８における貯留室（液室）４９の容積が小さくなる方向に可撓性部材５０が変位して供給流路３１を閉鎖し、そのままポンプ３６の駆動を継続することで可撓性部材５０によって閉鎖された部分からノズル２６までの領域を負圧にする。

その後、ポンプ３６の駆動を開始するとバッファ室３８における貯留室（液室）４９の容積が大きくなる方向に可撓性部材５０が変位して供給流路３１を開放し、バッファ室３８に供給された液体が勢いよく液体噴射ヘッド２２側に流れる。このように、本実施形態のごとき構成の液体噴射装置１１によれば、バッファ室３８の可撓性部材５０をチョーク弁として兼用することができる。

但し、本実施形態のような構成の場合、チョーク弁である可撓性部材５０が供給流路３１を閉鎖するまでの間に、貯留室（液室）４９内に貯留している液体が排出されてしまう。そこで、本実施形態においては、制御部８０により、メンテナンス装置（吸引手段）２４がノズル２６から液体を吸引するのに先立って、貯留室（液室）４９から液体収容部２１へ液体を逆送するようにポンプ３６を制御する。このようにすることで、チョーククリーニング時に貯留室（液室）４９内の液体を無駄に排出することなくチョーククリーニングを実行することが可能となる。

本実施形態の液体噴射装置１１においてチョーククリーニングを実行する際には、メンテナンス装置（吸引手段）２４がノズル２６から液体を吸引した後に、液体収容部２１から貯留室４９へ液体を送液するようにポンプ３６を制御部８０で制御する。

また、本実施形態の液体噴射装置１１においてチョーククリーニングを実行する際には、メンテナンス装置２４でノズル２６から液体を吸引するのに先立って、貯留室４９の容積が所定の容積を下回るまで貯留室４９から液体収容部２１へ液体を逆送するように制御部８０でポンプ３６を制御する（本明細書では、かかる所定の容積を「第１容積」いう場合がある）。このように、貯留室４９に液体貯留量を予め所定容積（第１容積）よりも少なくしてからチョーククリーニングを実行することで、バッファ室３８の貯留室４９内の液体を無駄に排出することを抑制することができる。さらに、貯留室４９よりも下流側の供給流路３１に圧力調整弁４１を備えているため、液体の移動による上流側の圧力変動の影響を液体噴射ヘッド２２側に及ぼさないようにすることができる。

また、本実施形態の液体噴射装置１１においてチョーククリーニングを実行する際には、メンテナンス装置（吸引手段）２４がノズル２６から液体を吸引した後に、貯留室４９の容積が所定の容積を上回るまで液体収容部２１から貯留室４９へ液体を送液するようにポンプ３６を制御部８０で制御する（本明細書では、かかる所定の容積を「第２容積」いう場合がある）。このように、目標量となる第２容積を適宜設定することで、貯留室４９に、当該第２容積を上回る十分な量の液体を供給することが可能となる。

また、本実施形態のような構成の場合において、液体収容部２１に収容される液体が少ないと、チョーククリーニングの吸引を行った後ポンプ３６を駆動して液体を貯留室（液室）４９に供給する際に、チョーククリーニングに必要な量の液体が供給できなくなってしまう可能性があり、その結果、ノズル２６を介して外部から空気を供給流路３１内に引き込んでしまう虞がある。そこで、本実施形態の液体噴射装置１１では、チョーククリーニングを実行する際に、貯留室４９から液体収容部２１へ液体を逆送するのに先立って、貯留室４９の容積が第２容積を上回るまで液体収容部２１から貯留室４９へ液体を送液する。貯留室４９の容積が第２容積を上回るまで液体収容部２１から貯留室４９へ液体を送液できるかどうか確かめることにより、液体収容部２１内の残液（残インク）量がチョーククリーニングを実施出来る程度あるかどうかを事前に確認することができる。

また、本実施形態の液体噴射装置１１においてチョーククリーニングを実行する際、液体収容部２１から貯留室４９への液体の送液により貯留室４９の容積が第２容積を上回らない場合には、その旨を報知するとともに、制御部８０がポンプ３６を停止する。このようにすることで、液体収容部２１内にチョーククリーニングを実施出来る程度の残液（残インク）量がない場合にその旨をユーザー等に報知できるとともに、自動停止することができる。上記旨を報知するための報知手段８５としては、操作パネル１９でその旨を表示する、光を点滅させる、音を鳴らす、パソコンの画面上で表示する等のための各装置を利用することができる。

また、本実施形態の液体噴射装置１１において、貯留室４９の容積が第２容積を上回らずに制御部８０がポンプ３６を停止した場合、その状態から制御部８０が吸引機構２９に所定量の吸引を行わせる。このようにすることで、本実施形態では、液体収容部２１内にチョーククリーニングを実施出来る程度の残液（残インク）量がない場合に、チョーククリーニングよりも吸引量が少ない吸引クリーニングに自動的に変更して実行することができる。また、貯留室４９の容積が第２容積を上回らずに制御部８０がポンプ３６を停止した場合、液体収容部２１を交換することと、その状態からメンテナンス装置（吸引手段）２４による吸引クリーニングを行うことのうち、少なくとも一方の選択をユーザー等に促し、その後の動作を選択させるようにする。このようにすることで、液体収容部２１内にチョーククリーニングを実施出来る程度の残液量がない場合に、ユーザーにその後の動作を選択させることが出来る。上記内容をユーザー等に促す手段としては、例えば、その旨を表示する操作パネル１９等を利用することができる。

なお、本実施形態の液体噴射装置１１は、貯留室４９の容積を検出する検出部８６を更に備えている（図２参照）。検出部８６は、例えば、バッファ室３８の可撓性部材５０の変形を光学的に直接検知する、または、可撓性部材５０の変形に追従して移動する変位部の位置を検知する等して容積を検出する。また、貯留室４９内の容積が第２容積を上回るまで液体収容部２１から貯留室４９へ液体をポンプ３６で送液した後、液体噴射ヘッド２２が消費する液体の量をカウントすることで貯留室４９の容積を判断する。また、貯留室４９内を大気に開放する大気開放流路を有するようなバッファ室３８を採用する場合、外部から光学的に液面を検知する、または、貯留室４９内にフロートを配置し、フロートの移動を外部から検知する、または、貯留室４９内に設けた電極によって液面の位置を検知する等で貯留室４９内の液体の容積を検知する。

［第２実施形態］
図３に示すように、液体噴射装置１１は、上記態様の第１付勢部材５２に代え、貯留室４９の容積が大きくなる方向に可撓性部材５０を付勢する第２付勢部材５４を備える。

液体噴射装置１１において、液体噴射ヘッド２２のノズル２６は、液体収容部２１の最上部よりも鉛直上方に設けられる。この場合、第１実施形態における圧力調整弁４１は備えない構成としてもよい（図３参照）。液体収容部２１を配置する位置は、液体噴射ヘッド２２に対し液体を噴射するのに適した負圧（一例として、-0.1kPa～-3kPa 程度）を付与することが可能な位置とする。

第２実施形態によれば、圧力調整弁４１を備えない液体噴射装置１１であっても、第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

［第３実施形態］
図４に示すように、液体噴射装置１１は、バッファ室３８の導出部６８が可撓性部材５０と対向しない位置に設けられており、チョーク弁としての機能が不足してしまう可能性がある。よって、本実施形態では、これを補うために、ポンプ（送液手段）３６と貯留室４９との間の供給流路３１に、制御部８０によって供給流路３１を開閉可能な第１開閉弁３９を備える。この場合のチョーククリーニングの動作について例を挙げて説明すれば以下の通りである。
（１）第１開閉弁３９を開けた状態で、ポンプ３６で液体を逆送させる。
（２）貯留室４９内の液体が所定量減少した所で逆送を停止し、第１開閉弁３９により供給流路３１を閉鎖する。
（３）メンテナンス装置（吸引手段）２４でノズル２６から液体を吸引する。
（４）第１開閉弁３９を開放し、ポンプ３６駆動による液体の送液を開始する。

上記（３）で第１開閉弁３９を閉鎖するタイミングは、逆送停止と同時か、逆送停止前が望ましい。また、上記（４）でポンプ３６を駆動開始するタイミングは、第１開閉弁３９を開放するのと同時か、開放する前が望ましい。

第３実施形態によれば、バッファ室３８が、チョーク弁としての機能が不足してしまうような構成であった場合でも、上記第１、第２実施形態と同様の効果を得ることができる。

上記実施形態は以下に示す変形例のように変更してもよい。また、上記実施形態に含まれる構成と下記変形例に含まれる構成とを任意に組み合わせもよいし、下記変形例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。なお、以下の説明において、既出の構成要素と同様の機能を有するものには同じ符号を付して、重複する説明を省略する。

液体収容部２１から供給された液体を貯留室４９内に導入する導入部６７は、貯留室４９の下部に設けるのが望ましい。これにより、貯留室４９内の液体を逆流させる際に、貯留室４９内に存在する空気が液体収容部２１側に逆流するのを抑制できる。
貯留室４９内の液体の減少によって可撓性部材５０が導入部６７にも接触するような構成の場合、ポンプ３６による液体の逆送時には、可撓性部材５０が導入部６７に接触するより先に導出部６８に接触するような構成にするのが望ましい。これにより、チョーククリーニング時に液室内の液体を無駄に排出することなくチョーククリーニングを実行することが可能となる。

検出部８６の代わりに、ポンプ３６と貯留室４９との間の供給流路３１内の圧力を測定する圧力測定手段を設け、その圧力によって供給流路３１の閉鎖を検知したり、貯留室４９内の容積が第１容積や第２容積に到達したことを判断したりするようにしても良い。

バッファ室３８と液体噴射ヘッド２２との間の供給流路３１に、供給流路３１を閉鎖する第２開閉弁４０を設けてもよい。貯留室４９内の液体を液体収容部２１へ逆流させる際に第２開閉弁４０により供給流路３１を閉鎖した状態でポンプ３６を駆動することで、ノズル２６からの空気の引き込みを抑制しつつ貯留室４９内の液体を液体収容部２１へ戻すことができる。

上記第１、第２実施形態において第２開閉弁４０を用いてチョーククリーニングを行う場合には次のような方法で行うのが望ましい。
（１）第２開閉弁４０で供給流路３１を閉鎖する。
（２）ポンプ３６の駆動を開始して貯留室４９の液体を液体収容部２１へ逆送させる。
（３）吸引機構２９を駆動して吸引を行う。
（４）貯留室４９の容積が第１容積を下回った後にポンプ３６の駆動を停止する。
（５）第２開閉弁４０による供給流路３１の閉鎖を解除する。
（６）再度ポンプ３６を駆動して液体収容部２１の液体を貯留室４９へ供給する。

上記（３）において、吸引機構２９を駆動開始するタイミングは、（２）の逆送開始と同時または逆送開始前、開始後いずれのタイミングでも構わない。また、上記（５）において、第２開閉弁４０による供給流路３１の閉鎖を解除するタイミングは、貯留室４９の容積が第１容積を下回っていれば（４）のポンプ３６の駆動停止と同時または駆動停止前、停止後いずれのタイミングでも構わない。

上記第３実施形態において第２開閉弁４０を用いてチョーククリーニングを行う場合には次のような方法で行うのが望ましい。
（１）第２開閉弁４０で供給流路３１を閉鎖する。
（２）ポンプ３６の駆動を開始して貯留室４９の液体を液体収容部２１へ逆送させる。
（３）吸引機構２９を駆動して吸引を行う。
（４）貯留室４９の容積が第１容積を下回った後に第１開閉弁３９で供給流路３１を閉鎖する。
（５）第２開閉弁４０による供給流路３１の閉鎖を解除する。
（６）ポンプ３６の駆動を停止する。
（７）再度ポンプ３６を駆動して液体収容部２１の液体を供給する。
（８）第１開閉弁３９による供給流路の閉鎖を解除する。

上記（３）において、吸引機構２９を駆動開始するタイミングは、（２）の逆送開始と同時または逆送開始前、開始後いずれのタイミングでも構わない。また、上記（５）および（６）を実行するタイミングは同時でも構わないし、どちらが先でも構わない。但し、（４）の第１開閉弁３９による供給流路３１の閉鎖と同時または閉鎖後が望ましい。上記（８）において、第１開閉弁３９による供給流路の閉鎖を解除するタイミングは、（７）のポンプ３６の駆動開始と同時か、駆動開始後が望ましい。

液体噴射装置１１は、媒体の幅方向において長尺となるライン型の液体噴射ヘッド２２により記録するライン記録方式、液体噴射ヘッド２２が媒体の幅方向に移動して記録するシリアル記録方式、または液体噴射ヘッド２２が媒体の搬送方向と幅方向との２方向に移動して記録が可能なラテラル記録方式でもよい。

媒体は、紙に限定されず、合成樹脂製のシートやフィルム、布等であってもよく、例えば、プラスチックフィルムまたは薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛でもよい。

なお、液体とは、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属（金属融液）のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては、インクが挙げられる。インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
以下に、上述した実施形態から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。

［思想１］
ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容部から前記液体噴射ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、
前記供給流路に配置されたバッファ室に設けられ、可撓性部材が変位することにより容積が変化するように構成される液室と、
前記液体収容部と前記液室との間の前記供給流路に設けられた可逆型の送液手段と、
前記送液手段を駆動制御して、前記液体収容部から前記液室への前記液体の送液および前記液室から前記液体収容部への前記液体の逆送を制御する制御手段と、
前記ノズルから液体を吸引する吸引手段と、を備え、
前記可撓性部材は、前記液室内の前記液体の減少によって前記液室の容積が小さくなる方向に変位することで前記供給流路を閉鎖可能であり、
前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引するのに先立って、前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するように前記送液手段を制御することを特徴とする液体噴射装置。

この態様によれば、バッファ室をチョーク弁として兼用できるとともに、チョーククリーニング時に液室内の液体を無駄に排出することなくチョーククリーニングを実行することが可能となる。

［思想２］
前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引するのに先立って、前記液室の容積が第１容積を下回るまで前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するように前記送液手段を制御することを特徴とする［思想１］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、チョーククリーニング時にバッファ室の液室内の液体を無駄に排出することなくチョーククリーニングを実行することが可能となる。

［思想３］
前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引した後に、前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液するように前記送液手段を制御することを特徴とする［思想１］または［思想２］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、バッファ室に供給された液体を勢いよく液体噴射ヘッド側に流すことが可能となる。

［思想４］
前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引した後に、前記液室の容積が第２容積を上回るまで前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液するように前記送液手段を制御することを特徴とする［思想２］または［思想３］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液室に十分な量の液体を供給することが可能となる。

［思想５］
前記制御部は、前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するのに先立って、前記液室の容積が前記第２容積を上回るまで前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液することを特徴とする［思想１］から［思想４］のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液体収容部内の残液量がチョーククリーニングを実施出来る程度あるかどうかを事前に確認できる。

［思想６］
前記液体収容部から前記液室への前記液体の送液により前記液室の容積が前記第２容積を上回らない場合にはその旨を報知するとともに、前記制御部が前記送液手段を停止することを特徴とする［思想５］の記載の液体噴射装置。

この態様によれば、チョーククリーニングを実施出来る程度の残液量がない場合にその旨を報知し、自動停止することができる。

［思想７］
前記液室の容積が前記第２容積を上回らずに前記制御部が前記送液手段を停止した場合、その状態から前記制御部が前記吸引手段に所定量の吸引を行わせることを特徴とする［思想６］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、チョーククリーニングを実施出来る程度の残液量がない場合に、チョーククリーニングよりも吸引量が少ない吸引クリーニングに自動的に変更することが出来る。

［思想８］
前記液室の容積が前記第２容積を上回らずに前記制御部が前記送液手段を停止した場合、前記液体収容部を交換することと、その状態から前記吸引手段による吸引を行うことのうち、少なくとも一方の選択を促すことを特徴とする［思想６］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、チョーククリーニングを実施出来る程度の残液量がない場合に、ユーザーにその後の動作を選択させることが出来る。

［思想９］
前記液室の容積を検出する検出部を更に備えることを特徴とする［思想１］から［思想８］のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液室内の容積を容易に把握することが出来る。

［思想１０］
前記液室よりも下流側の供給流路には、下流側が所定負圧になった所で開放する圧力調整弁を更に備えることを特徴とする［思想１］から［思想９］のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液体の移動による上流側の圧力変動の影響をヘッド側に及ぼさない。

［思想１１］
前記バッファ室は、前記液室の一部を構成する可撓性部材を有し、
前記可撓性部材は、前記液室内の前記液体の減少によって前記液室の容積が小さくなる方向に変位することで前記供給流路を閉鎖可能であることを特徴とする［思想１］から［思想１０］のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。

この態様によれば、バッファ室の可撓性部材をチョーク弁として兼用できるとともに、チョーククリーニング時に液室内の液体を無駄に排出することなくチョーククリーニングを実行することが可能となる。

［思想１２］
前記液室の容積が小さくなる方向に前記可撓性部材を付勢する第１付勢部材を更に備えることを特徴とする［思想１１］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液体噴射ヘッドに対して液体を加圧供給することができる。

［思想１３］
前記液室の容積が大きくなる方向に前記可撓性部材を付勢する第２付勢部材を更に備え、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルは、前記液体収容部の最上部よりも鉛直上方に設けられることを特徴とする［思想１１］に記載の液体噴射装置。

この態様によれば、液体噴射ヘッドに対し液体を噴射するのに適した負圧を付与することが可能となる。

１１…液体噴射装置、１２…外装体、１３…容器、１４…装着部、１５…前蓋、１６…媒体収容体、１７…装着口、１８…排出トレイ、１９…操作パネル、２１…液体供給源（液体収容部）、２２…液体噴射ヘッド、２３…供給装置、２４…メンテナンス装置（吸引手段）、２５…ノズル形成面、２６…ノズル、２８…キャップ、２９…吸引機構、３１…供給流路、３６…ポンプ（送液手段）、３８…バッファ室、３９…第１開閉弁、４０…第２開閉弁、４１…圧力調整弁、４２…ダイヤフラム、４９…貯留室（液室）、５０…可撓性部材、５１…圧力付加部、５２…第１付勢部材、５３…受圧部材、５４…第２付勢部材、５５…供給室、５６…連通孔、５７…圧力室、５８…弁体、５９…可撓壁、６１…上流側付勢部材、６２…下流側付勢部材、８０…制御部（制御手段）、８５…報知手段、８６…検出部

Claims (13)

1. ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
   前記液体を収容する液体収容部から前記液体噴射ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、
   前記供給流路に配置されたバッファ室に設けられ、容積が変化するように構成される液室と、
   前記液体収容部と前記液室との間の前記供給流路に設けられた可逆型の送液手段と、
   前記送液手段を駆動制御して、前記液体収容部から前記液室への前記液体の送液および前記液室から前記液体収容部への前記液体の逆送を制御する制御部と、
   前記液室と前記液体噴射ヘッドの間の供給流路に設けられ、前記供給流路を閉鎖する状態と前記閉鎖を解除する状態とを切り替えるように駆動可能な開閉弁と、
   前記ノズルから液体を吸引する吸引手段と、を備え、
   前記バッファ室は、前記液室内の前記液体が減少することによって前記供給流路を閉鎖可能であり、
   前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引するのに先立って、前記開閉弁により前記供給流路を閉鎖した状態で、前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するように前記送液手段を制御することを特徴とする液体噴射装置。
2. 前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引するのに先立って、前記開閉弁により前記供給流路を閉鎖した状態で、前記液室の容積が第１容積を下回るまで前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するように前記送液手段を制御することを特徴とする請求項１に記載の液体噴射装置。
3. 前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引した後に、前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液するように前記送液手段を制御することを特徴とする請求項１または請求項２に記載の液体噴射装置。
4. 前記制御部は、前記吸引手段が前記ノズルから前記液体を吸引した後に、前記液室の容積が第２容積を上回るまで前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液するように前記送液手段を制御することを特徴とする請求項２または請求項３に記載の液体噴射装置。
5. 前記制御部は、前記液室から前記液体収容部へ前記液体を逆送するのに先立って、前記液室の容積が前記第２容積を上回るまで前記液体収容部から前記液室へ前記液体を送液することを特徴とする請求項４に記載の液体噴射装置。
6. 前記液体収容部から前記液室への前記液体の送液により前記液室の容積が前記第２容積を上回らない場合にはその旨を報知するとともに、前記制御部が前記送液手段を停止することを特徴とする請求項５の記載の液体噴射装置。
7. 前記液室の容積が前記第２容積を上回らずに前記制御部が前記送液手段を停止した場合、その状態から前記制御部が前記吸引手段に所定量の吸引を行わせることを特徴とする請求項６に記載の液体噴射装置。
8. 前記液室の容積が前記第２容積を上回らずに前記制御部が前記送液手段を停止した場合、前記液体収容部を交換することと、その状態から前記吸引手段による吸引を行うことのうち、少なくとも一方の選択を促すことを特徴とする請求項６に記載の液体噴射装置。
9. 前記液室の容積を検出する検出部を更に備えることを特徴とする請求項１から請求項８のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
10. 前記液室よりも下流側の供給流路には、下流側が所定負圧になった所で開放する圧力調整弁を更に備えることを特徴とする請求項１から請求項９のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
11. 前記バッファ室は、前記液室の一部を構成する可撓性部材を有し、
    前記可撓性部材は、前記液室内の前記液体の減少によって前記液室の容積が小さくなる方向に変位することで前記供給流路を閉鎖可能であることを特徴とする請求項１から請求項１０のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
12. 前記液室の容積が小さくなる方向に前記可撓性部材を付勢する第１付勢部材を更に備えることを特徴とする請求項１１に記載の液体噴射装置。
13. 前記液室の容積が大きくなる方向に前記可撓性部材を付勢する第２付勢部材を更に備え、
    前記液体噴射ヘッドの前記ノズルは、前記液体収容部の最上部よりも鉛直上方に設けられることを特徴とする請求項１１に記載の液体噴射装置。

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