JP5636924B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及及び記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクを備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンク(サブタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、装置本体側に着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジとも称する)からヘッドタンクに対してインクを供給する方式のものが知られている。
ところで、インクカートリッジがインクエンド(インクニアエンドを含む)状態になったときには、インクカートリッジの交換を要求するようにしているが、インクカートリッジのストックがない場合には直ちに交換することができず、印刷が中止されることになるという不都合がある。
そこで、ヘッドタンクに残っているインクを使用して印刷を続行する緊急印刷を行うようにし、このとき、メインタンクからヘッドタンクへインクを供給したとき、ヘッドタンクの圧力が予め定めた圧力未満であるときには、ヘッドタンクの大気開放機構を開いてヘッドタンク内の圧力を上昇させた後、可逆型送液手段でヘッドタンクからメインタンクに液体を送液してヘッドタンク内の負圧を低下させる制御を行なうようにしたものが知られている(特許文献1)。
特開2010−052970号公報
上述したように、ヘッドタンク内の残存インクを使用した緊急印刷を行うことができるようにした場合、できる限り無駄に消費されるインクを少なくして印刷を続行できるようにすることが求められる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、緊急印刷時の無駄な液体消費を低減することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構とを有するヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
前記ヘッドタンクと前記メインタンクとの間に設けた可逆型送液手段と、
前記ヘッドタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記可逆型送液手段を正転させて前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの送液を行なったときに、前記ヘッドタンク内の圧力が所定圧力まで回復しないときには前記メインタンクがエンド状態になったと判定し、前記可逆型送液手段を逆転させて前記ヘッドタンクから前記メインタンクに所定量の液体を戻し、印刷停止状態とする制御をする第1制御手段と、
前記第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、装置に残存する液体を使用した緊急印刷の指示がされたときには、前記ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、前記メインタンク内に逆送された液体を前記ヘッドタンクに送液した後、前記大気開放機構を閉じた状態にし、前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送液して前記ヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう第2制御手段と、を備えている
構成とした。
本発明に係る画像形成装置によれば、ヘッドタンク内に残存した液体を使用して印刷を行うときに無駄な液体消費を低減することができる。
本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。 同機構部の要部平面説明図である。 ヘッドタンクの一例を示す模式的平面説明図である。 同じく図3の模式的正面説明図である。 インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。 ヘッドタンクの圧力検出の説明に供するキャリッジと満タン検知センサの要部説明図である。 同じくヘッドタンクの圧力検出の説明に供する模式的説明図である。 ヘッドタンクへのインク供給動作とインクカートリッジのエンド検出の説明に供する模式的説明図である。 制御部の概要を説明するブロック説明図である。 本発明の第1実施形態における制御の説明に供するフロー図である。 図10の緊急印刷処理の説明に供するフロー図である。 本発明の第2実施形態における制御の説明に供するフロー図である。 図12の緊急印刷処理の説明に供するフロー図である。 本発明の第3実施形態における制御のうちの緊急印刷処理の説明に供するフロー図である。 本発明の第4実施形態における制御の説明に供するフロー図である。 本発明の第5実施形態における制御の説明に供するフロー図である。 本発明の第6実施形態の説明に供するインク供給系の模式的説明図である。 同実施形態における制御の説明に供するフロー図である。 本発明の第7実施形態における制御の説明に供するフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的上面説明図、図4は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性フィルム203で密閉し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてのバネ204によってフィルム203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部を支軸202で揺動可能に支持され、タンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(満タン検知フィラともいう。)205がフィルム203に接着などで固定され、フィルム203の動きに連動して変位部材205が変位するので、装置本体側に配置された光学センサからなる満タン検知センサ301によって変位部材205の変位量を検知することによりヘッドタンク35内のインク残量などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になったことを検出することができる。
ここで、この画像形成装置における負圧形成動作についてインク供給系の概要を示す図5を参照して説明する。
まず、インクカートリッジ10とヘッドタンク35との間には、チューブポンプなどの可逆型(供給及び吸引を行なえる意味)ポンプからなる送液ポンプ241を配置している。そこで、ヘッドタンク35の大気開放機構207を閉じた状態で、送液ポンプ241を逆転駆動してヘッドタンク35からインクカートリッジ10側にインクを送液する(これを「インク逆送」又は「インク吸入」という。)ことで、弾性部材204が可撓性フィルム203を外方に押すことによってヘッドタンク35内に負圧が形成される。
また、ヘッドタンク35の大気開放機構207を閉じた状態で、維持回復機構81の吸引キャップ82aで記録ヘッド34のノズル面をキャッピングし、維持回復機構81の吸引ポンプ811を駆動することで吸引チューブ812を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができ、弾性部材204が可撓性フィルム203を外方に押すことによってヘッドタンク35内に負圧が形成される。なお、吸引された廃インクは廃液タンク813に排出される。
さらに、ヘッドタンク35の大気開放機構207を閉じた状態で、記録ヘッド34から前述した空吐出受け84に向けて画像形成に寄与しない液滴を吐出することによってヘッドタンク35内のインクが消費されるので、同様に、弾性部材204が可撓性フィルム203を外方に押すことによってヘッドタンク35内に負圧を形成できる。
次に、ヘッドタンク35の負圧(圧力)の検出について図6及び図7を参照して説明する。
ここでは、図6に示すように、装置本体側には、キャリッジ33が主走査方向に移動するときに各ヘッドタンク35の変位部材(満タン検知フィラ)205の先端205aが通過する位置に、前述した透過型光センサである満タン検知センサ301が設置されている。ここで、キャリッジ33の主走査方向の位置は、エンコーダセンサ331によってキャリッジ主走査方向に沿って配置されたエンコーダスケール332を読み取ることで検出している。
したがって、図7(a)に示すように、ヘッドタンク35の負圧(圧力)が正常であるときには、実線図示の所定の位置から矢印方向にキャリッジ33を移動させてヘッドタンク35を距離L1だけ移動させることで、満タン検知センサ301によって変位部材205の先端205aを検知することができる。
これに対して、図7(b)に示すように、ヘッドタンク35の負圧が低い(圧力が高い)方向で異常であると、本来ヘッドタンク35側に移動しているべき変位部材205がヘッドタンク35から離れている(弾性部材204の復元力で外方に押されている状態になっている)ので、同様に実線図示の所定の位置から矢印方向にキャリッジ33を移動させたとき、負圧が正常なときの移動距離L1よりも短い距離L2だけ移動した時に満タン検知センサ301によって変位部材205が検知されることになる。
同様に、ヘッドタンク35の負圧が高い(圧力が低い)方向で異常であると、本来ヘッドタンク35側から離れた方向に移動しているべき変位部材205がヘッドタンク35側に近づいている(弾性部材204の復元力に抗して内包に押されている状態になっている)ので、同様に所定の位置(正常値の位置)から矢印方向にキャリッジ33を移動させたとき、負圧が正常なときの移動距離L1よりも長い距離だけ移動した時に満タン検知センサ301によって変位部材205が検知されることになる。
このようにして、変位部材205が検知されたときのヘッドタンク35の位置(移動距離)を検知することで、変位部材205の変位量(ヘッドタンク35内部の弾性部材204の変位量に対応する)やヘッドタンク35内の圧力、更にはインク残量に応じて変位部材205が変位することからインク残量をも検出することができる。
次に、ヘッドタンク35へのインク供給動作とインクカートリッジ10のエンド検出について図8を参照して説明する。
上述したように、変位部材205の開き量は満タン検知センサ301に対するキャリッジ33の相対位置関係として規定することができる。
つまり、図8(a)に示すように、キャリッジ33を満タン検知センサ301に対して所要の位置にした状態でヘッドタンク35に対してインクを供給することで、ヘッドタンク35内のインク量の増加に伴って変位部材205が変位して満タン検知センサ301が変位部材205を検知する。
このとき、所定量のインクを供給すれば変位部材205の開き量L11になった時点をもって、満タンと判断し、供給動作を停止することができる。
次に、ヘッド34からの吐出又は吸引キャップ82aからの吸引などによってヘッドタンク25からインクが消費されると、図8(b)に示すように、変位部材205の開き量は小さくなり、例えば開き量L12になる。このときの吐出量及び吸引キャップ82aによる吸引量をカウントして、所定の量に達した時点で、供給動作を実施してヘッドタンク35を満タンにしてもよいし、変位部材205の開き量L12を検知して前記供給動作を行うこともできる。つまり、変位部材205の開き量をL11とL12の間になるように制御することで、液体吐出に適切な負圧を維持することができる。
このように、通常使用状態では変位部材205の開き量がL11とL12の間になるように、間欠的に供給動作をくり返している。
ここで、図8(a)で説明したインク供給動作を所定時間行っても変位部材205を満タン検知センサ301が検知しなかった場合、インクカートリッジ10のインクがなくなったと判定できる。なお、記録ヘッド34からの吐出量をカウントすることでもインクカートリッジ10の残量を計算してカートリッジエンドと判定することもできるが、その場合はカウント値と実際の残量との誤差が生じるため、安全のためカートリッジ残量のある時点でエンドと判定しなければならないのに対し、変位部材205の検知が行われなかったことでカートリッジエンドと判定することで、確実にカートリッジ10をエンド状態まで使用することができ、経済的である。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図9を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行する本発明に係る制御(処理)をするプログラム及びその他のプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する大気開放ソレノイド302を駆動するソレノイド駆動部512と、送液ポンプ241を駆動するポンプ駆動部516などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。このI/O部513に入力されるセンサ群515には、前述したヘッドタンク35の変位部材205を検知する満タン検知センサ301、検知電極ピン208a、208bなどの信号も入力される。
この制御部500のCPU501は、満タン検知センサ301の検知信号によって変位部材205を検知してヘッドタンク35内の圧力を検出する手段を構成し、また、インクカートリッジ10のエンド状態の判定、インクカートリッジ10とヘッドタンク35との間のインクの送液に係わる制御を行う手段(第1ないし第3制御手段など)を構成する。
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
まず、前述したようにしてインクカートリッジ10のエンド状態が検出されたとき(エンド状態と判定したとき)には、空になったインクカートリッジ10を新品のカートリッジ10と交換するようユーザーに表示等で促す。
このとき、インクカートリッジ10がエンド(空)になった後も送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35側へ送液すると、送液ポンプ241からインクカートリッジ10の送液路が真空状態となり、送液ポンプ241を停止した後も送液ポンプ241の弁機構により真空状態が維持される。この状態でインクカートリッジ10を交換しようとすると、インクカートリッジ10を外した直後に前記真空状態となった送液路に空気が入り込むことになる。その後、新しいインクカートリッジ10を取り付けてヘッドタンク35に送液すると、入り込んだ空気はヘッドタンク35に送られ、気泡となって電極ピン208による検知に誤作動を生じたり、ヘッドタンク35内の空気量が増大することにより相対的にインク量が減少することになり好ましくない。
そこで、インクカートリッジ10がエンド状態になったときには、ユーザーにカートリッジ交換を促す前に、真空状態となったインクカートリッジ10から送液ポンプ241の送液路の負圧を解除する。そのため、送液ポンプ241を駆動しても所定時間内にヘッドタンク35の変位部材205を満タン検知センサ301で検知できなかった場合には、送液ポンプ241を停止し、続いて、送液ポンプ241を逆転してヘッドタンク35からインクカートリッジ10側へ少量のインクを戻して、前記真空状態となった送液路の負圧を解除してから送液ポンプ241を停止する。そして、真空状態を解除した後、空になったカートリッジを新品のカートリッジと交換するようユーザーに表示等で促すようにする。
また、通常はこの状態でインクカートリッジ10を交換するが、交換用のインクカートリッジ10が手元にないが、もう少し印刷したい場合がある。このとき、ヘッドタンク35内のインク量は十分ではなく、負圧状態であり、あと暫くは印刷可能であるが、インクの消費とともにヘッドタンク35の容積が減少し、負圧が高くなっていく。負圧が高くなると、記録ヘッド34のノズルから空気を吸い込むなどして、吐出状態が不安定となる。
具体的には、インクカートリッジ10がエンド状態と判定した時点で、ヘッドタンク35は前述した図8の変位部材205の開き量がL11とL12の間にあるが、その開き量は任意である。印刷続行によって変位部材205の開き量がL12より小さくなると、過負圧になり、ノズルから空気を吸い込む可能性が高い。すなわち、カートリッジエンドと判定した時点で変位部材205の開き量がL12に近い場合は、印刷続行すると直ちに画像カスレが生じることになる。
そこで、本実施形態では、可逆型送液手段である送液ポンプ241を用いて予め定めた時間送液したにもかかわらずヘッドタンク35内の圧力が所定の圧力まで回復しなかった場合は、メインタンクであるインクカートリッジ10がエンド状態になったと判定し、印刷を停止するが、カートリッジ交換を促すが、ユーザーの判断によって印刷を続行したい場合は緊急印刷(エマージェンシーモード)に入り、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開いてヘッドタンク35内の圧力を一旦上昇させた後、送液ポンプ241でヘッドタンク35からメインタンク(インクカートリッジ)10にインクを逆送してヘッドタンク35内の圧力を所望の圧力に低下回復させる(負圧を形成する)制御を行う。
次に、本発明の第1実施形態における制御について図10及び図11のフロー図を参照して説明する。
まず、印刷中において、ヘッドタンク35のインクが所定量消費されたか否かを判別し(ステップS1、以下単に「S1」という。)ときには、所定量のインク補充動作を開始し(S2)、所定量に対する変位部材205(以下「レバー」という。)の開き量を確認し(S3)、ROM502に予め格納されている負圧形成時のレバー閉じ量データを参照し、所定量に対するレバーの開き量(目標とする供給量)を決定する(S4)。
そして、送液ポンプ241を正転駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35へインクを供給する(S5)。このとき、予め定めた所定時間内に目標インク供給量の補充が完了したか否か、すなわち前述したようにレバーが満タン検知センサ301で検知されたか否かを判別し(S6、S9)、レバーが満タン検知センサ301で検知されたときには、目標インク供給量の補充が完了したことになるので、送液ポンプ241を停止してインク供給を停止し(S7)、所定量のインク補充動作を停止(完了)して(S8)、印刷を続行する。
これに対して、送液ポンプ241を正転駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35へインクを供給しても、所定時間内にレバーが満タン検知センサ301で検知されないときには、インクカートリッジ10がエンド状態であると判定して、送液ポンプ241を停止してインク供給を停止し(S10)、送液ポンプ241を逆転駆動して、所定量のインクをヘッドタンク35からインクカートリッジ10へ逆送する(S11)。なお、ここでいう「所定量」とは、送液ポンプ241の圧力遮断部分からインクカートリッジ10へのインク供給口(針)までの容積分があればよく、液量の精度は低くてもよいので、所定量の逆送は、例えば送液ポンプ241の送液時間又は回転数によって検出(判断)することができる。
その後、インクカートリッジ10がエンド状態になったこと(カートリッジエンド)を表示して、装置を停止状態にする(S12)。このとき、ユーザーに対し、操作パネル514、あるいは、ホスト600側の表示装置を通じて、「カートリッジ交換」か「緊急印刷」(装置に残存するインクを使用した印刷)かの選択指示を促す。
ここで、カートリッジ交換が指示されたときには、新たなインクカートリッジ10に交換されるのを待って、図示しないが、インクカートリッジ10からヘッドタンク35に対する補充動作を行う(S14)。
一方、緊急印刷が指示されたときには、図11に示す緊急印刷処理に移行する(S15)。
次に、図11を参照して、緊急印刷処理に移行したときには、まず、前述したようにヘッドタンク35からインクカートリッジ10に逆送したインクを、送液ポンプ241を正転駆動して、インクカートリッジ10からヘッドタンク35に補充する(S21)。このときも、送液ポンプ241の駆動時間(送液時間)又は回転数で送液量を管理すればよく、所要の送液時間又は回転数に達したときに送液ポンプ241を停止して、インク補充を停止する(S22)。この状態では、ヘッドタンク35内のインク量は、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10に逆送する前の量と同様であり、図8でレバー(変位部材205)の開き量はL11とL12の間にある。
その後、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にする(S23)。これにより、ヘッドタンク35内に空気が入り負圧が解除され、レバー(変位部材205)は開き量L11よりも開いた状態となる。その後、ヘッドタンク35の大気開放機構207を閉じる(S24)。
そして、送液ポンプ241を逆転駆動して、所定量のインクをヘッドタンク35からインクカートリッジ10へ逆送する(S25)。ここでいう「所定量」とは、ヘッドタンク35に適切な負圧が発生する量で、図8のレバー(変位部材205)の開き量はL11付近であることが好ましい。したがって、満タン検知センサ301によるレバー検知によって送液ポンプ241の稼働時間(駆動時間)を設定してもよいが、予め設定しておくことでも十分である。
これにより、ヘッドタンク35に適切な負圧を発生させることができるとともに、送液ポンプ241からインクカートリッジ10までの間の経路の真空状態を解除することができる。
その後、インク消費カウント値をリセットする(S26)。これは、通常印刷状態において、ヘッドタンク35のインク消費量を予測して(滴数及び滴量の累積値)、閾値に到達したときにインクカートリッジ10からヘッドタンク35へインクを補充する動作、すなわち図10で説明した処理を開始するためのもので、ヘッドタンク35内の負圧を初期値に設定したためカウントをリセットしている。
そして、緊急印刷を実行する(S27)。この場合は、通常の印刷動作を行う。
このとき、ヘッドタンク35内の負圧が限界値、すなわち図8でレバー(変位部材205)の開き量がL12の状態になったことを、インク消費カウンタのカウント値から判別し(S28)、インク消費カウンタが所定値に達した時点で印刷停止し、カートリッジエンドを表示する(S29)。
このように、可逆型送液手段を逆転させてメインタンクからヘッドタンクへの送液を行なったときに、ヘッドタンク内の圧力が所定圧力まで回復しないときにはメインタンクがエンド状態になったと判定し、可逆型送液手段を逆転させてヘッドタンクからメインタンクに所定量の液体を戻し、印刷停止状態とする制御をする第1制御手段と、第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、装置に残存する液体を使用した緊急印刷の指示がされたときには、ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、メインタンク内に逆送された液体をヘッドタンクに送液した後、大気開放機構を閉じた状態にし、ヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送液してヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう第2制御手段を備えている構成とすることで、ヘッドタンク内に残存した液体を使用して印刷を行うときに無駄な液体消費を低減することができる。
なお、上記実施形態では、緊急印刷の指示がされたときには、メインタンク内に逆送された液体をヘッドタンクに送液し、ヘッドタンクの大気解放機構を開放状態にした後、大気解放機構を閉じた状態にし、ヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送液してヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なうが、緊急印刷の指示がされたときには、ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、メインタンク内に逆送された液体をヘッドタンクに送液した後、大気開放機構を閉じた状態にし、ヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送液してヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう構成とすることもできる。
次に、本発明の第2実施形態における制御について図12及び図13のフロー図を参照して説明する。
ここでは、カートリッジエンドと判定したとき(所定時間経過してもレバーが満タン検知センサ301で検知されないとき)に、前記第1実施形態では、送液ポンプ241とインクカートリッジ10との間の供給経路の真空状態を解除するためにヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを逆送した(S11)後、カートリッジエンド表示、装置停止状態にしているのに対し、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10へのインクの逆送を行わないで、カートリッジエンド表示をし、装置を停止状態にしている。
その後、ユーザーがカートリッジ交換を選択指示したときに、送液ポンプ241とインクカートリッジ10との間の供給経路の真空状態を解除するためにヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを逆送した(S16)後、カートリッジ交換処理を行う。
また、ユーザーが緊急印刷を選択指示したときには、図13に示すように、そのままヘッドタンク35の大気開放機構207の開放動作から開始している(図11のS23から開始する)。すなわち、ここでは、前記第1実施形態のようにヘッドタンク35からインクカートリッジ10へのインクの逆送を行っていないで、緊急印刷が指示されたときには、直ちにヘッドタンク35の大気開放を行って負圧形成動作に移行することができる。
次に、本発明の第3実施形態における制御について図14のフロー図を参照して説明する。なお、図14は前記第1実施形態でS13で緊急印刷が選択指示されたときに行う緊急印刷の他の例を示している。
本実施形態では、前記第1実施形態で説明したように、インクカートリッジ10から送液ポンプ241までの供給経路にインクが戻されている状態にあり(図10のS11)、この状態で、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にして空気を入れて負圧を解除し(S31)、大気開放機構207を閉じた(S32)後、ヘッドタンク25内の負圧を形成するために、ヘッドタンク35あら所定量のインクをインクカートリッジ10側に逆送する(S33)。これにより、インクカートリッジ10側には、2回逆送した分のインクが存在することになる。
そして、インク消費カウント値をリセット(S34)して、緊急印刷を行い(S35)、インク消費カウント値が所定のカウント値に到達し、ヘッドタンク35内の負圧が限界値に近づいたと判別した(S36)ときには、再度インクカートリッジ10側に戻したインクをヘッドタンク35に送液し(S37、S38)、ヘッドタンク35の大気開放機構207を一旦開いて空気を入れて負圧を解除した(S39)後、再度ヘッドタンク35の大気開放機構207を閉じて(S40)、負圧を形成するとともに、送液ポンプ241からインクカートリッジ10側の供給経路の真空状態を解除するために所定量のインクを逆送する(S41)。
これにより、ヘッドタンク35の負圧を再度初期値に戻すことが可能となり、緊急印刷を再度実行することが可能となる。すなわち、カートリッジエンド後の印刷可能枚数を倍増することができる。
そして、インク消費カウント値をリセットし(S42)、再度インク消費カウント値が所定のカウント値に到達し、ヘッドタンク35内の負圧が限界値に近づいたと判別した(S43)ときには、カートリッジエンド表示と装置停止状態への移行を行う(S44)。
次に、本発明の第4実施形態における制御について図15のフロー図を参照して説明する。
本実施形態は、ヘッドタンク35に大気開放充填を行っているときにカートリッジエンドになった場合の緊急印刷の例である。ここでは、ヘッドタンク35内の空気量を電極ピン208a、208bで検知している。即ち、ヘッドタンク35内のインクの液面高さが電極ピン208a、208bよりも高ければ両者が通電するのでインク有と検出でき、例えば短い方の電極ピン208bよりも液面が下がれることで通電が断たれるのでインク無しと検出できる。ヘッドタンク35内に空気が侵入することで液面が下がり、インク無しが検知されたときには、大気開放機構207を開いた状態で電極ピン208a、208bの通電を検知するまで、インクを供給して、ヘッドタンク35内の空気量を減少させる動作を実施する(これを「大気開放充填」という。)。この状態の下で、カートリッジエンドが発生する場合がある。
図15を参照して、まず、印刷開始時もしくは印刷途中において、ヘッドタンク35内のインク量を検知する電極ピン208a、208bによりインクの有無を判別し(S41)、インク無し、即ち空気量が所定量以上になったときにには、上述した大気開放充填動作を開始する(S42)。
この大気開放充填では、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開き(S43)、インクカートリッジ10からヘッドタンク35に送液してインク補充を開始する(S44)。これにより、大気開放機構207から余剰の空気が排出される。
このとき、所定時間内に電極ピン208a、208bでインク有となったか否かを判別する(S45、S51)。そして、所定時間内にインク有となれば、インク補充を終了し(S46)、大気開放機構207を閉じて(S47)、記録ヘッド34を吸引キャップ82aでキャッピングしてインクを吸引する(ヘッド吸引)ことでヘッドタンク35に負圧を形成する。なお、負圧形成は、送液ポンプ241で逆送して行ってもよい。その後、ワイピングを行い(S49)、大気開放充填を終了し(S50)、印刷を実行する。
これに対し、所定時間内に電極ピン208a、208bでインク有とならなかったとき、即ちインク充填動作により所定時間内に充填が完了しなかったときには、カートリッジエンドと判断して、インク補充を停止し(S52)、大気開放機構207を閉じた(S53)後、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10に所定量のインクの逆送を行ってヘッドタンク35内に負圧を形成し(S54)、装置を停止状態としカートリッジ交換を促すインクエンド表示を行う(S55)
そして、ユーザーにより、インクカートリッジ10の交換が支持されたときにはカートリッジ交換処理を行い(S57)、緊急印刷が指示されたときには前記図11で説明したと同様な緊急印刷を実行する(S58)。
次に、本発明の第5実施形態における制御について図16のフロー図を参照して説明する。
本実施形態は、前記第4実施形態において、前記第2実施形態と同様に、カートリッジ交換待ちで装置停止とする前にはヘッドタンク35からインクカートリッジ10側へのインク逆送(図15のS54)を実施せず、カートリッジ交換が実施されたときに逆送を行い(S59)、また、緊急印刷が指示されたときには、前記第2実施形態と同様の処理を行う。
次に、本発明の第6実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同実施形態におけるインク供給系の模式的説明図である。
本実施形態は、1つのインクカートリッジ10から2つのヘッドタンク35A、35Bに対し、それぞれ送液ポンプ241A、241B、供給チューブ36A、36Bによって供給するものである。つまり、1色のインクで2つ以上のヘッドタンクに供給するシステムである。
本実施形態においては、ヘッドタンク35A、35Bへのインク補充は、1つのカートリッジ10から分岐した2つの供給経路内に、それぞれ送液ポンプ241A,241Bを介して行われる。そのため、インクカートリッジ10がエンド状態になるのは、いずれかのヘッドタンク35A、35Bへのインク供給中に検知される。
次に、本実施形態における制御について図18のフロー図を参照して説明する。
印刷中において、ヘッドタンク35Aについて、所定量のインクが消費された(S71)ときには、所定量のインク補充を開始し(S72)、所定時間内にインク供給が完了したか否かを判別する(S73)。そして、所定時間内にインク供給が完了しなかったときには、装置を停止状態としカートリッジ交換を促すインクエンド表示を行う(S75)。そして、ユーザーの指示に応じて(S76)、カートリッジ交換(S77)又は緊急印刷(S78)を行う。
一方、印刷中において、ヘッドタンク35Bについて、所定量のインクが消費された(S81)ときには、所定量のインク補充を開始し(S82)、他方のヘッドタンク35Aが空であるか否かを判別し(S83)、空であれば、前述した装置を停止状態としカートリッジ交換を促すインクエンド表示を行う(S75)処理に移行し、空でなければ、S71の処理に移行する。
つまり、それぞれ個別にカウントされるインク消費カウント値が閾値を超え、ヘッドタンク35A、35Bへのインク補給が適時実施されている。ここで、どちらかのヘッドタンク35、35Bへのインク供給中に、所定時間内にインク補充が完了しないと、インクカートリッジエンドと判断し、印刷停止してカートリッジ交換を促す。
そして、緊急印刷では、カートリッジエンドとなった時に補充していたヘッドタンクのインク量は十分ではないが、他方のヘッドタンクはまだ印刷可能である。したがって、印刷可能なヘッドタンクのヘッドでのみ当該色の印刷を実行することで、緊急印刷を行い、当該ヘッドタンクにインク補充の必要性が発生した時点で、完全印刷停止とする。
次に、本発明の第7実施形態について図19のフロー図を参照して説明する。
前記第6実施形態において、ヘッドタンクにインク補充中にカートリッジエンドとなった場合、緊急印刷が選択されると、ヘッドタンク内にインクが十分ある他方のヘッドタンクから送液ポンプを逆転させてインクカートリッジ側にインクを逆送し、インクカートリッジから、ヘッドタンク内のインクが不足しているヘッドタンクへ送液ポンプを介して補充することで相互に補完し、緊急印刷を実行可能としている。
つまり、まず、ヘッドタンク内にインク補充を必要とするヘッドタンク以外のヘッドタンクのインク使用可能量を算出する(S91)。そして、使用可能なインクが残存するヘッドタンクのインク使用可能量の総和を、当該色のヘッドタンク数で除した値(本例では、ヘッドタンクの数が「2」であるので、1/2量)を、それぞれインクカートリッジ10内に逆送して戻す(S92)。その後、インクカートリッジ10内に戻ったインクを、インク補充を必要とするヘッドタンクに補充する(S93、S94)。ここで、補充は送液ポンプ241A、241Bの稼働時間を長めに設定して、インクカートリッジ10内に戻されたインクの全量を当該ヘッドタンクに送液して完了する。
その後、緊急印刷を続行し(S95)、それぞれのヘッドタンク毎にインク消費量をカウントし、いずれか1つのヘッドタンクが所定の閾値に達してヘッドタンク内のインク使用量残がなくなった(S96)時点で完全印刷停止とする(S97)。
以上のインク供給(送液及び逆送)に関する制御やその他の前述した判定処理、検出処理などの各種の本発明に係る処理は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、上記処理は、情報処理装置(ホスト600)側のプリンタドライバで行う構成とすることもできる。さらに、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
10 インクカートリッジ
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 ヘッドタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 可撓性部材(可撓性フィルム)
205 変位部材(満タン検知フィラ)
207 大気開放機構
241 送液ポンプ
301 満タン検知センサ
500 制御部
600 ホスト(情報処理装置)

Claims (4)

  1. 液滴を吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構とを有するヘッドタンクと、
    前記ヘッドタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
    前記ヘッドタンクと前記メインタンクとの間に設けた可逆型送液手段と、
    前記ヘッドタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記可逆型送液手段を正転させて前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの送液を行なったときに、前記ヘッドタンク内の圧力が所定圧力まで回復しないときには前記メインタンクがエンド状態になったと判定し、前記可逆型送液手段を逆転させて前記ヘッドタンクから前記メインタンクに所定量の液体を戻し、印刷停止状態とする制御をする第1制御手段と、
    前記第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、装置に残存する液体を使用した緊急印刷の指示がされたときには、前記ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、前記メインタンク内に逆送された液体を前記ヘッドタンクに送液した後、前記大気開放機構を閉じた状態にし、前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送液して前記ヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう第2制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 液滴を吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構とを有するヘッドタンクと、
    前記ヘッドタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
    前記ヘッドタンクと前記メインタンクとの間に設けた可逆型送液手段と、
    前記ヘッドタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記可逆型送液手段を正転させて前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの送液を行なったときに、前記ヘッドタンク内の圧力が所定圧力まで回復しないときには前記メインタンクがエンド状態になったと判定し、前記可逆型送液手段を逆転させて前記ヘッドタンクから前記メインタンクに所定量の液体を戻し、印刷停止状態とする制御をする第1制御手段と、
    前記第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、装置に残存する液体を使用した緊急印刷の指示がされたときには、前記メインタンク内に逆送された液体を前記ヘッドタンクに送液し、前記ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にした後、前記大気開放機構を閉じた状態にし、前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送液して前記ヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう第2制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  3. 液滴を吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構とを有するヘッドタンクと、
    前記ヘッドタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
    前記ヘッドタンクと前記メインタンクとの間に設けた可逆型送液手段と、
    前記ヘッドタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記可逆型送液手段を正転させて前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの送液を行なったときに、前記ヘッドタンク内の圧力が所定圧力まで回復しないときには前記メインタンクがエンド状態になったと判定し、印刷停止状態とする制御をする第1制御手段と、
    前記第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、前記メインタンクの交換が指示されたときには、前記可逆型送液手段を逆転させて前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの送液を行ない、
    前記第1制御手段で印刷停止状態とされたときに、装置に残存する液体を使用した緊急印刷の指示がされたときには、前記ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、前記大気開放機構を閉じた状態にし、前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送液して前記ヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう第3制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記前記緊急印刷で前記ヘッドタンクの負圧が増加して前記メインタンクからの送液が必要になったときには、再度、前記ヘッドタンクの大気開放機構を開放状態にし、前記メインタンク内に逆送された液体を前記ヘッドタンクに送液した後、前記大気開放機構を閉じた状態にし、前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送液して前記ヘッドタンク内を所定の負圧状態にする制御を行なう手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
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