JP2001001543A - 液体供給システムおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

液体供給システムおよびインクジェット記録装置

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JP2001001543A
JP2001001543A JP17905399A JP17905399A JP2001001543A JP 2001001543 A JP2001001543 A JP 2001001543A JP 17905399 A JP17905399 A JP 17905399A JP 17905399 A JP17905399 A JP 17905399A JP 2001001543 A JP2001001543 A JP 2001001543A
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ink
joint
container
liquid supply
negative pressure
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JP17905399A
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Hajime Yamamoto
肇 山本
Hiroshi Koshikawa
浩志 越川
Eiichiro Shimizu
英一郎 清水
Kenji Kitahata
健二 北畠
Shozo Hattori
省三 服部
Koki Hayashi
弘毅 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負圧制御室ユニットへの装着動作時の、イン
クタンクユニットへのエア進入を防ぐ。 【解決手段】 負圧制御室ユニット100には上下にジョ
イントパイプ180,1180が設けられ、インクタンクユニッ
ト200には各ジョイントパイプに対応するジョイント口2
30,1230が設けてあり、ジョイント口内にはそれぞれ弁
機構が設けられている。通常の使用状態では、下方のジ
ョイントパイプ1180は、インクタンクユニット200から
負圧制御室ユニット100へのインクの流通のみが行わ
れ、上方のジョイントパイプ180では、同様なインク流
と、逆方向のエアの流通も行われ、気液交換動作が行わ
れる。接続動作時には、下方のジョイントパイプ1180お
よびジョイント口1230の方が、上方のジョイントパイプ
180およびジョイント口230よりも、早いタイミングで連
通する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体供給システム
およびこれを用いたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録手段
(液体吐出ヘッド)から記録媒体上にインクを吐出して
記録を行うものであり、記録手段のコンパクト化が容易
であること、ノンインパクト方式のため騒音が少ないこ
と、多種多様なインクを用いることが可能なためカラー
画像が容易に形成可能であることなどの利点により、こ
こ数年で大きく普及している。
【0003】従来、インクジェット記録装置に用いられ
るインク供給システムとしては、インクジェットヘッド
に連通接続されたインクタンク内に、予めインクを含浸
保持させたインク吸収体を装填し、このインク吸収体内
のインクをインクジェットヘッドへ供給するようにした
ものが知られている。そのようなインク供給システムと
しては、インクタンク筺体内にポリウレタンフォームな
どの発泡性部材やフェルトなどの繊維部材などのインク
吸収体を装填し、タンク蓋を溶着する構成が一般的であ
る。これらの構成では、インクタンクの移動や振動にか
かわらず、インクを安定的に保持できるという利点があ
る。
【0004】近年のインクジェット記録装置の普及に伴
い、使用するインク量の増加が求められてきている。し
かし、前記したインク供給システムでは、インクタンク
内のほぼ全容積にインク吸収体が充填されており、この
インク吸収体の吸収可能な範囲でのみインクが収容でき
る。従って、インク吸収体が存在せずに、インクタンク
内のほぼ全容積にインクが注入される構成のインク供給
システムに比べると、インクタンク体積に対し注入でき
るインク量がかなり少なくなってしまう。
【0005】そこで、最近では、インク注入効率を向上
させるために、特開平6―40041号公報に開示され
ているように、インクタンク内の半分ほどのスペースに
インク吸収体が充填された構成が提案されている。この
場合、インクタンクを、インク吸収体(毛管力発生部
材)が収納されている毛管力発生部材収納容器と、イン
ク吸収体が存在しない中空容器であるインク供給容器と
に分割し、両者を着脱可能にし、接続管により両容器間
でインクが流通可能に連通する構成とすることが考えら
れる。それにより、インクを消費し尽くした場合、イン
ク供給容器のみを交換することにより簡単に効率よくイ
ンク補充ができる。具体的には、毛管力発生部材収納容
器が保持されているタンクホルダに、ガイド部材等を介
してインク供給容器を装着する過程で、両容器にそれぞ
れ設けられた識別用のID部材が互いに係合して、イン
ク供給容器がタンクホルダ上の所定の位置にスムースに
導かれ、接続管が両容器を連通可能に接続し、両容器が
結合する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以前のインクジェット
記録装置では、通常の使用時にはせいぜい3〜5g/min
程度のインク供給があれば十分であった。したがって、
図34に示すように、両容器を接続する接続管701と
して、比較的小さい開口断面積を有するものが用いられ
ており、インク供給容器702を毛管力発生部材収納容
器703に装着する際には、接続管701が両容器70
2,703を連通すると同時に接続管701の断面全域
にわたってインク流が毛管力発生部材収納容器703へ
向かう。この接続動作中に毛管力発生部材収納容器70
3からインク供給容器702へエアを引き込む可能性は
ほとんどない。
【0007】ところが、近年になって、それまで想定し
ていなかった約10〜15g/minといった高流量のイン
ク供給が望まれる場合があり、その場合には、図35,
36に示すように接続管704の開口断面積をかなり大
きくする必要がある。このような構成において、インク
供給容器701を毛管力発生部材収納容器703に装着
する際には、インク供給容器702にエアが引き込まれ
るおそれがある。
【0008】インク供給容器702を毛管力発生部材収
納容器703に、スムースに一気に装着する場合には、
接続管704の断面全域にわたってインク流が毛管力発
生部材収納容器703へ向かい、僅かにエアがインク供
給容器702へ進入しようとしてもインク流に遮られる
ため問題にならない。しかし、インク供給容器702の
毛管力発生部材収納容器703への装着動作を途中で停
止したり引き戻したり、あるいは非常にゆっくり行った
りすると、毛管力発生部材収納容器703へ向かうイン
ク流の勢いが弱く、接続管704の断面には、インク流
に逆行してエア705がインク供給容器702へ進入す
るスペースができ易い。このように、装着動作時にエア
705がインク流に遮られずに一気にインク供給容器7
02内に進入してしまう場合がある。最終的に毛管力発
生部材収納容器703とインク供給容器702との接続
は完了するものの、前記の通り接続動作中にインク供給
容器702にエア705が進入することにより、インク
供給容器702に過剰なエアが存在し圧力のバランスが
狂うおそれがある。
【0009】また、前記と同様にインク供給容器702
の毛管力発生部材収納容器703への装着動作を途中で
停止したり引き戻したり、あるいは非常にゆっくり行っ
たり、または、取付構造が不適切で装着動作に大きなス
トロークを必要とするような場合、毛管力発生部材収納
容器703から延びる接続管704とインク供給容器7
02とのシール部が強制変形されてインク供給容器70
2内に所望しないエア705が入る可能性があった。
【0010】特に、インク供給容器702が、インクの
導出に伴って変形可能な内袋を有する多層構造の容器で
ある場合、前記のように所望しない多量のエア705が
インク供給容器702に進入すると、インク吐出動作の
ために毛管力発生部材収納容器703とインク供給容器
702との間で気液交換動作が開始するまでのインク消
費工程において、インク供給容器702の収縮変形が十
分なされない。従って、温度変化や気圧変化に伴うイン
ク供給容器702内のエアの膨張収縮に対応して液体吐
出ヘッドの吐出口に作用する負圧力を一定範囲に維持し
ようとする機能が十分に発揮されないおそれがある。
【0011】インク供給容器702の毛管力発生部材収
納容器703への装着動作時にインク供給容器702に
エア705が進入しないように、厳密な動作を求める
と、使用者に過度の負担を強いることになったり、各部
品精度を極めて向上させる必要がありコストアップを招
くなどの不都合を生じる。
【0012】そこで本発明の目的は、簡単な構成で作業
を難しくすることなく、インク供給容器の毛管力発生部
材収納容器への装着動作時に、インク供給容器にエアが
進入しないようにする液体供給システムおよびそれを用
いたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、密閉空
間内に液体を収容する液体収容部を有する液体供給容器
と、液体供給容器が着脱可能であり、液体を保持可能な
毛管力発生部材が内蔵された毛管力発生部材収納容器と
を有する液体供給システムにおいて、液体供給容器と毛
管力発生部材収納容器とを接続する複数の接続管を有
し、複数の接続管は、鉛直上方に位置する気液交換用接
続管と鉛直下方に位置する液体供給用接続管とを含み、
液体供給用接続管は、液体供給容器の毛管力発生部材収
納容器への装着動作時に、気液交換用接続管より先に液
体供給容器内部と毛管力発生部材収納容器内部とを連通
させるところにある。
【0014】液体供給用接続管は、液体供給容器の毛管
力発生部材収納容器からの離脱動作時に、気液交換用接
続管より後に液体供給容器と毛管力発生部材収納容器と
の接続を解除することが好ましい。
【0015】気液交換用接続管の総断面積が、液体供給
用接続管の総断面積よりも大きいことが好ましい。この
場合、気液交換用接続管が、液体供給用接続管よりも多
くてもかまわない。
【0016】接続管は、液体供給容器側の接続部と毛管
力発生部材収納容器側の接続部とが連結されたものであ
ってもよい。
【0017】毛管力発生部材収納容器側の接続部は、毛
管力発生部材の収納部外に突出して設けられていること
が好ましい。
【0018】全ての接続管には、液体供給容器が前記毛
管力発生部材収納容器に装着された状態において液体供
給容器と毛管力発生部材収納容器との連通を遮断する弁
が設けられていることが好ましい。
【0019】全ての弁が、液体供給容器側の接続部に設
けられていてもよい。
【0020】毛管力発生部材収納容器には、外部に開放
された大気連通口が設けられており、気液交換用接続管
が、負圧発生部材を介して大気連通口と連通しているこ
とが好ましい。
【0021】液体供給容器が、外層と、外層に対して剥
離可能な内層とを備えた構造の容器であって、外層が略
多角柱状の筐体であり、内層が、液体を収容可能であ
り、筐体の内面と同等または相似形の外面を有し液体の
導出に伴い変形可能な内袋であってもよい。この場合、
内層が変形することで負圧を発生する構成であってもよ
い。
【0022】本発明のインクジェット記録装置は、前記
したいずれかの構成の液体供給システムと、負圧発生部
材収納容器から供給された液体を記録媒体に吐出する液
体吐出ヘッドとを有することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。
【0024】また、本発明における毛管力発生部材の
「固さ」とは、毛管力発生部材が収納容器内に収容され
ている状態におけるときの「固さ」であり、毛管力発生
部材の変形量に対する反発力の傾き(単位 kgf/m
m)により規定される。2つの毛管力発生部材の「固
さ」の大小は、変形量に対する反発力の傾きが大きい方
の毛管力発生部材の方を「固い毛管力発生部材」とす
る。
【0025】〈全体構成〉図1に本発明の一つの実施形
態であるインクジェットヘッドカートリッジの斜視図
を、図2にその断面図を示す。
【0026】本実施形態は、本発明が適用されるインク
ジェットヘッドカートリッジを構成する各要素のそれぞ
れ、及びそれらの関係を説明するものである。本実施形
態は、本発明の成立段階においてなされた数々の新規な
技術が適用された構成となっているので、これらの構成
を説明しながら、全体を説明することにする。
【0027】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジは、図1及び図2に示すように、インクジェット
ヘッドユニット160、ホルダ150、負圧制御室ユニ
ット(毛管力発生部材収納容器)100及びインクタン
クユニット(インク供給容器)200などから構成され
ている。ホルダ150内に負圧制御室ユニット100が
固定され、負圧制御室ユニット100の下方にはホルダ
を介してインクジェットヘッドユニット160が固定さ
れている。なお、ここで説明した、ホルダ150と負圧
制御室ユニット100、ホルダ150とインクジェット
ヘッドユニット160との固定は、例えば、互いをネジ
止めや係合等により易分解性にすることで、リサイクル
の面、バージョンの変更などの構成の変化に対するコス
トダウン等に対して効果がある。また、各部の部品の寿
命が異なるので交換を要する部品のみを簡易に交換でき
るという面でも易分解性にすることが好ましい。しか
し、条件によっては溶着、熱カシメなどで完全に固定し
てもよいことはもちろんである。負圧制御室ユニット1
00は、上面に開口部が形成された負圧制御室容器11
0と、負圧制御室容器110の上面に取り付けられた負
圧制御室蓋120と、負圧制御室容器110内に装填さ
れた、インクを含浸保持するための2つの吸収体(毛管
力発生部材)130、140とから構成されている。吸
収体130、140は、このインクジェットヘッドカー
トリッジの使用状態において上下2段に積み重ねられて
互いに密着して負圧制御室容器110内に充填されてお
り、下段の吸収体140が発生する毛管力は、上段の吸
収体130が発生する毛管力よりも高いため、下段の吸
収体140のほうがインク保持力が高いものである。イ
ンクジェットヘッドユニット160へは、インク供給管
165を通して負圧制御室ユニット100内のインクが
供給される。
【0028】インク供給管165の吸収体140側の先
端の供給口131にはフィルタ161が設けられてお
り、フィルタ161が吸収体140を押圧している。イ
ンクタンクユニット200は、ホルダ150に対して着
脱自在な構成となっている。負圧制御室容器110のイ
ンクタンクユニット200側の面に設けられた被接合部
であるジョイントパイプ(接続管)180は、インクタ
ンクユニット200のジョイント口230の内部に、ジ
ョイントパイプ(接続管)1180は、インクタンクユ
ニット200のジョイント口1230の内部にそれぞれ
挿入されて接続されている。そのジョイントパイプ18
0,1180とジョイント口230,1230との接続
部を介して、インクタンクユニット200内のインクが
負圧制御室ユニット100内へと供給されるように負圧
制御室ユニット100及びインクタンクユニット200
が構成されている。図2では省略しているが、負圧制御
室容器110のインクタンクユニット200側の面にお
けるジョイントパイプ180よりも上方の部分には、そ
の面から突出した、インクタンクユニット200の誤装
着防止のためのID部材170が設けられている。
【0029】負圧制御室蓋120には、負圧制御室容器
110の内部と外気、ここでは負圧制御室容器110内
に収納された吸収体130と外気とを連通させるための
大気連通口115が形成されており、負圧制御室容器1
10内における大気連通口115の近傍には、負圧制御
室蓋120の吸収体130側の面から突出したリブによ
り形成された空間、及び吸収体中のインク(液体)の存
在しない領域からなる、バッファ空間116が設けられ
ている。
【0030】ジョイント口230内には弁機構が設けら
れており、その弁機構は第1弁枠260a、第2弁枠2
60b、弁体261、弁蓋262及び付勢部材263か
ら構成されている。弁体261は、第2弁体260b内
で摺動可能に支持されると共に付勢部材263によって
第1弁枠260a側に付勢されている。ジョイント口2
30内にジョイントパイプ180が挿入されていない状
態では、付勢部材263の付勢力により弁体261の第
1弁枠260a側の部分の縁部が第1弁枠260aに押
圧されることより、インクタンクユニット200内の気
密性が維持される。ジョイント口230の内部へジョイ
ントパイプ180が挿入され、ジョイントパイプ180
によって弁体261が押圧されて第1弁枠260aから
離れる方向に移動することにより、第2弁枠260bの
側面に形成された開口を介してジョイントパイプ180
内がインクタンクユニット200の内部と連通する。こ
れによりインクタンクユニット200内の気密が開放さ
れ、インクタンクユニット200内のインクがジョイン
ト口230及びジョイントパイプ180を通って負圧制
御室ユニット100内へと供給される。つまり、ジョイ
ント口230内の弁が開くことによって、密閉状態であ
ったインクタンクユニット200のインク収容部内が前
記開口を介してのみ負圧制御室ユニット100に対して
連通状態となるものである。なお、ジョイント口123
0においても実質的に同一の構成である。ここでは10
00を加えた符号を付与し説明は省略する。
【0031】ここで、本実施形態のように、ホルダ15
0にインクジェットヘッドユニット160、負圧制御室
ユニット100が固定される状態において、インクジェ
ットヘッドユニット160及び負圧制御室ユニット10
0をそれぞれ、ホルダ150に対してねじなどの易分解
性を有する方法で固定することは、それぞれのユニット
をその耐用期間に応じて取り外して交換することができ
るので望ましい。
【0032】すなわち、本実施形態のインクジェットヘ
ッドカートリッジでは、通常は、インクタンクに設けら
れたID部材により誤って異なる種類のインクを収容す
るインクタンクを負圧制御室に装着することはないが、
負圧制御室ユニット100に設けられたID部材の損傷
や、使用者が故意に異なる種類のインクタンクを負圧制
御室ユニット100に装着した場合には、装着直後であ
れば、負圧制御室ユニット100のみを交換すればよ
い。また、落下などによりホルダ150が損傷した場合
は、ホルダ150のみを交換することも可能である。
【0033】なお、インクタンクユニット200を含
め、負圧制御室ユニット100、ホルダ150、インク
ジェットヘッドユニット160をそれぞれ分離する場合
において、各ユニットからのインク漏れを防ぐことがで
きるように固定部の位置を定めることは望ましい。
【0034】本実施形態の場合、インクタンクユニット
200は、ホルダ150のインクタンク係止部155を
利用して負圧制御室ユニット100と結合しているので
負圧制御室ユニット100のみが、固定化された状態に
ある他のユニットに対して外れることがない。すなわ
ち、少なくともインクタンクユニット200をホルダ1
50から外さないと、負圧制御室ユニット100はホル
ダ150から分離しにくいようになっている。このよう
に、負圧制御室ユニット100はホルダ150からイン
クタンクユニット200を取り外してはじめて取り外し
やすい構造になっているので、インクタンクユニット2
00が不用意に負圧制御室ユニット100から分離する
ことによる結合部からのインク漏れが発生すること恐れ
がない。
【0035】また、インクジェットヘッドユニット16
0のインク供給管165の端部には、フィルタ161が
設けられており、負圧制御室ユニット100を分離した
状態であっても、インクジェットヘッドユニット160
内のインクが漏れ出す恐れはない。加えて、負圧制御室
ユニット100には、インクタンク内のインクの漏れ出
しを防止するバッファ空間116(吸収体130、14
0内のインクを保持していない領域も含む)を備えてい
ること、また、毛管力の異なる2つの吸収体130、1
40の境界面113cがジョイントパイプ180より使
用時の姿勢で上方に設けられていること(より望ましく
は、本実施形態のように境界面113cを含むその近傍
の層の毛管力が吸収体130、140の領域よりも高く
なっていること)により、ホルダ150、負圧制御室ユ
ニット100、インクタンクユニット200が一体化し
た構造物は、その姿勢が変化してもインクが漏れ出す恐
れは少ない。そのため、本実施形態では、インクジェッ
トヘッドユニット160はホルダ150の接続端子を有
する面側である底面に固定部を備え、インクタンクユニ
ット200がホルダ150に装着されている状態でも容
易に分離可能となっている。
【0036】なお、ホルダ150の形状によっては、負
圧制御室ユニット100またはインクジェットヘッドユ
ニット160とホルダ150とが、分離不能に一体化し
てもよい。一体化の方法としては、あらかじめ一体的に
成形する方法や熱カシメなどで分離不能にしてもよい。
【0037】図2、図3(a)及び図3(b)に示すよ
うに、インクタンクユニット200は、インク収納容器
201と、第1弁枠260a,1260a及び第2弁枠
260b,1260bを含む弁機構と、ID部材250
(図2では省略)とから構成されている。ID部材25
0は、インクタンクユニット200と負圧制御室ユニッ
ト100との装着の際に誤装着を防止するためのもので
ある。
【0038】弁機構は、ジョイント口230,1230
内でインクの流れを制御するもので、負圧制御室ユニッ
ト100のジョイントパイプ180,1180と係合さ
れることにより開閉動作を行う。着脱時の弁開閉のこじ
れは、後述する弁構成やID部材170とID用凹部2
52によってタンク操作範囲を規制する構造等により防
止している。
【0039】〈インクタンクユニット〉図3は、図2に
示したインクタンクユニット200について説明するた
めの斜視図である。図3(a)は、インクタンクユニッ
ト200を示す斜視図であり、図3(b)は、インクタ
ンクユニット200が分解された状態を示す斜視図であ
る。
【0040】また、ID部材250の、負圧制御室ユニ
ット100側となる前面では、供給口穴253よりも上
の部分が傾斜面251となっている。傾斜面251は、
ID部材250の供給口穴253,1253側の前端面
からインク収納容器201側、すなわち後方へと傾斜し
ている。この傾斜面251には、インクタンクユニット
200の誤挿入防止のためのID用凹部252が複数
(図3では3つ)形成されている。本実施形態では、I
D部材250が、インク収納容器201の、負圧制御室
ユニット100側となる前面(供給口を有する面)に配
置されている。
【0041】インク収納容器201は、負圧発生機能を
有する、ほぼ多角柱形状の中空容器である。インク収納
容器201は筐体210と内袋220(図2参照)とか
ら構成され、筐体210と内袋220とがそれぞれ剥離
可能になっている。内袋220は可撓性を有しており、
この内袋220は、内部に収納されたインクの導出に伴
い変形可能である。また、内袋220はピンチオフ部
(溶着部)221を有し、このピンチオフ部221で内
袋220が筐体210に係合する形で支持されている。
また、筐体210の、ピンチオフ部221の近傍の部分
には外気連通口222が設けられており、外気連通口2
22を通して内袋220と筐体210との間に大気を導
入可能となっている。
【0042】図22に示すように、内袋220は、その
内側から順に、耐インク性を有する接液層220c、弾
性率支配層220b、ガスバリヤ性に優れたガスバリア
層220aが積層された3層からなり、それぞれの層が
接合状態で機能分離されている。弾性率支配層220b
は、インク収納容器201の使用温度範囲内で弾性率支
配層220bの弾性率がほぼ一定に保たれるものであ
り、すなわち、インク収納容器201の使用温度範囲内
で内袋220の弾性率がその弾性率支配層220bによ
ってほぼ一定に保たれる。内袋220では、中間の層と
外側の層とが入れ代わり、弾性率支配層220bが最も
外側の層で、ガスバリア層220aが中間の層であって
もよい。
【0043】このように内袋220が構成されているこ
とにより、耐インク層、弾性率支配層220b及びガス
バリア層220aという少ない層で内袋220がそれぞ
れの層の機能を十分に発揮することが可能となり、内袋
220の弾性率などの、温度変化に対する影響が少なく
なる。また、内袋220では、使用温度範囲内でインク
収納容器201内の負圧を制御するために適した弾性率
が確保されるので、インク収納容器201及び負圧制御
室ユニット110内のインクに対して内袋220が後述
するバッファの機能を有することととなる(詳しくは後
述する)。従って、負圧制御室容器110内の上部に設
けられたバッファ室、すなわちインク吸収体が充填され
ていない部分及び、吸収体130、140中のインクの
存在してない領域を減少させることができるので、負圧
制御室ユニット100を小型化することができ、使用効
率の高いインクジェットヘッドカートリッジ70が実現
される。
【0044】本実施形態においては、内袋220を構成
する最も内側の接液層220cの材質としてポリプロピ
レン、中間の弾性率支配層220bの材質として環状オ
レフィンコポリマ、最も外側のガスバリア層220aの
材質として、EVOH(EVA(エチレン酢酸ビニル共
重合体樹脂)のけん化物)が用いられている。ここで、
弾性率支配層220bに機能性接着樹脂材料を含ませる
ことで、互いの層間に接着層を特別に備える必要がない
ため、内袋220の厚みを薄くすることができ、好まし
い。
【0045】筐体210の材質としては、内袋220の
最内層と同じポリプロピレンが用いられている。また、
第1弁枠260aの材質としてもポリプロピレンが用い
られている。
【0046】ID部材250は、インクタンクユニット
200の誤装着防止のための複数のID部材170に対
応する左右それぞれに設けられた複数のID用凹部25
2を有し、インク収納容器201に固定されている。
【0047】ID部材170とID用凹部252によっ
て得られる誤装着防止機能は、負圧制御室ユニット10
0側に設けられた複数のID部材170に対応してID
部材250にID用凹部252が形成されることで誤装
着防止機構が構成されるので、ID部材170及びID
用凹部252の形状を位置を変えることにより、多種類
のID機能を果たすことが可能となる。
【0048】ID部材250のID用凹部252及び第
1弁枠260a,1260aのジョイント口230,1
230は、インクタンクユニット200の着脱方向の前
方となる前面に位置し、ID部材250と第1弁枠26
0a,1260aで形成されている。
【0049】また、インク収容容器201をブロー成形
により形成し、ID部材250及び第1弁枠260a,
1260aとをインジェクション(射出)成形により形
成し、インクタンクユニット200を3部材の構成とす
ることで、弁部材及びID用凹部252を精度良く成形
することが可能となる。
【0050】このようなID用凹部252を、ブロー成
形により作製されたブロータンクであるインク収納容器
201に直接形成した場合、インク収納容器201内層
の内袋220の剥離に対して影響、つまり、インクタン
ク内形状が複雑となるため、インクタンクユニット20
0で発生する負圧に対して影響を与える場合がある。し
かしながら、本実施形態のおけるインクタンクユニット
200の構成のように、ID部であるID部材250を
インク収納容器201と別部材とすることで、ID部材
250をインク収納容器201に取り付けることによる
インク収納容器201への上記のような影響がないの
で、インク収納容器201における安定した負圧の発生
及び制御が可能となる。
【0051】第1弁枠260a,1260aは、インク
収納容器201の筐体210及び内袋220のそれぞれ
に接合されている。第1弁枠260a,1260aは、
内袋220に対してインク収納容器201のインク導出
部にあたる内袋220の内袋露出部221a,1221
aと、ジョイント口230,1230の部分の対応する
面との溶着により接合される。ここで、筐体210も内
袋220の最内層と同じポリプロピレンであるため、ジ
ョイント口230,1230の周囲でも第1弁枠260
a,1260aと筐体210との溶着を行うことも可能
である。
【0052】これにより溶着による位置精度が高くなる
と共に、インク収納容器201の供給口部が完全にシー
ルされ、インクタンクユニット200の着脱時等におけ
る第1弁枠260a,1260aとインク収納容器20
1とのシール部分からのインク漏れ等が防止される。本
実施形態におけるインクタンクユニット200のよう
に、溶着による接合をする際には、シール性を高める上
で内袋220の接着面となる層の材質と第1弁枠260
a,1260aの材質とが同じであることが好ましい。
【0053】また、筐体210とID部材250との接
合では、第1弁枠260a,1260aのインク収納容
器201と接合されたシール面102に対向する面と、
ID部材250の下部に形成されたクリック部250
a、及び筐体210の側面部の係合部210aとそれに
対応したID部材250側のクリック部250aとが係
合されることにより、インク収納容器201にID部材
が係合固定されている。ここでの係合固定というのは、
例えば、凹凸による係合、はめ合わせ等による易分解性
を持たせた構造にすることが好ましい。このようにイン
ク収納容器201に対してID部材250を係合固定状
態とすることで、互いに微小可動可能状態となっている
ので着脱時におけるID部材170とID用凹部252
との接触による力を吸収することができ、インクタンク
ユニット200及び負圧制御室ユニット100の破損を
防止できる。
【0054】また、このようにインク収納容器201に
対してID部材250を部分的に係合固定状態に係合さ
せることで、インクタンクユニット200を分解しやす
くなり、リサイクルの観点で効果がある。また、このよ
うに筐体210の側面に、係合部210aとして係合用
の凹部を設けることで、インク収納容器201をブロー
成形により作製する際に構成が簡易になり、成形時の型
部材も簡易になり、膜厚の管理も容易になる。
【0055】さらに、筐体210とID部材250との
接合では、第1弁枠260a,1260aを筐体210
に接合した状態で行い、かつジョイント口230,12
30周辺では、第1弁枠260a,1260aを挟み込
んだ状態でクリック部250aを係合部210aに係合
させるので、着脱時のインクタンクユニット200、特
にジョイント部の強度の向上を図ることが可能となる。
【0056】また、インク収納容器201は、ID部材
250によって覆われる部分が凹部形状となり、供給口
の部分が突出しているので、インク収納容器201にI
D部材250を固定することにより、インクタンクユニ
ット200の前面に突出形状をなくすことができる。ま
た、筐体210の係合部210aと、それに対応したI
D部材250のクリック部250aとの凹凸の関係は逆
であってもよい。
【0057】またインク収納容器201とID部材25
0との縦横方向の位置規制を行うことができる。インク
収納容器201とID部材250の接合方法は、上述し
たような形態に限られるものではなく、係合位置、固定
方法は別の手段でも可能である。
【0058】図2及び図25に示すように、インク収納
容器201の底部は上部へ持ち上がる方向に傾斜してお
り、インク収納容器201の、ジョイント口230,1
230側と反対側の部分の下部がホルダ150のインク
タンク係止部155と係合している。インクタンクユニ
ット200をホルダ150から取り外す際に、インク収
納容器201の、インクタンク係止部155との係合部
が上方に持ち上がる構成となっており、インクタンクユ
ニット200の着脱動作時にインクタンクユニット20
0がほぼ回動する。本実施形態においては、この回動中
心はほぼ供給口(ジョイント口230)になる。ただ
し、厳密には後述するように回動中心は変化するもので
ある。このようなほぼ回動によるインクタンクユニット
200の着脱動作の場合、回動の支点からインクタンク
ユニット200のインクタンク係止部155側の部分の
角部までの距離と、その支点からインクタンク係止部1
55までの距離との関係において、前者が後者よりも長
くなるほど、インクタンクユニット200とインクタン
ク係止部155とのこじれが発生し、装着動作における
不必要な力、及びインクタンクユニット200及びホル
ダ150のそれぞれの押圧部における変形等の不具合が
起こる場合がある。
【0059】本実施形態のインク収納容器201のよう
に底面部を傾斜させて、インク収納容器201の、イン
クタンク係止部155側となる部分の下端を持ち上げら
れていることにより、インクタンクユニット200及び
ホルダ150のそれぞれの係合部で、インクタンクユニ
ット200の回動における必要以上のこじれを防止でき
るので、インクタンクユニット200の着脱動作を良好
に行うことが可能となる。
【0060】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジでは、インク収納容器201の負圧制御室ユニッ
ト100側の面となる一側面の下部にジョイント口23
0,1230が形成され、インク収納容器201の、ジ
ョイント口230,1230側と反対側の面である他側
面の下部、すなわち、後端部の下側の部分がインクタン
ク係止部155と係合している。また、インクタンク係
止部155の上部は、ジョイント口230の中心高60
3とほぼ同じ高さまでホルダ150の底部から上方に延
びている。これにより、ジョイント口230,1230
の水平方向の移動がインクタンク係止部155により確
実に規制され、ジョイント口230,1230とジョイ
ントパイプ180,1180との接続状態を良好に保持
することができる。ここでは、インクタンクユニット2
00の装着時におけるジョイント口230,1230と
ジョイントパイプ180,1180との接続を確実に保
持するために、インクタンク係止部155の上端がジョ
イント口230の上部とほぼ同じ高さに配置されてい
る。そして、インクタンクユニット200のジョイント
口230,1230側の前面の一部を中心とした回動動
作により、ホルダ150に着脱可能に装着されている。
インクタンクユニット200の着脱動作では、インクタ
ンクユニット200の、負圧制御室ユニット100に突
き当たった部分がインクタンクユニット200の回転中
心となる。このようにインクジェットヘッドカートリッ
ジで、上述したようにインク収納容器201の後端部の
底部が傾斜していることにより、回転中心600からイ
ンクタンク係止部上端601までの距離と、回転中心6
00からインクタンク係止部下端602までの距離との
差を小さくすることができるため、インクタンクユニッ
ト200及びホルダ150のそれぞれの係合部で、イン
クタンクユニット200の回動における必要以上のこじ
れを防止でき、インクタンクユニット200の着脱動作
を良好に行うことが可能となる。
【0061】インク収納容器201およびホルダ150
が上記のような形状に形成されていることにより、イン
クの高速供給のためにジョイント口230,1230の
大きさを大きくした際においても、インクタンクユニッ
ト200の着脱動作時にインク収納容器201後端の下
端部とインクタンク係止部155とのこじれ領域を減少
させることができる。これにより、ホルダ150にイン
クタンクユニット200を装着した際における固定性を
確保しつつも、インクタンクユニット200の装着時
の、インクタンク係止部155との無駄なこじれを回避
することができる。
【0062】ここで、図22を用いて詳細に説明する。
インクタンクユニット200の着脱動作における回転中
心600からインクタンクユニット200のインクタン
ク係止部下端602までの距離が、その回転中心600
からインクタンク係止部上端601までの距離よりも必
要以上に大きくなると、着脱動作に必要とされる力が非
常に強くなり、インクタンク係止部上端601が削れた
り、インク収納容器201が変形してしまうことがあ
る。従って、インクタンクユニット200の回転中心6
00からインクタンクユニット200のインクタンク係
止部下端602までの距離と、その回転中心600から
インクタンク係止部上端601までの距離との差は、適
度な固定力を発揮しつつ、着脱性に優れた範囲で、でき
るだけ小さいことが望ましい。
【0063】また、インクタンクユニット200の回転
中心600がジョイント口230の中心よりも低い位置
にある場合には、インクタンクユニット200の回転中
心600からインクタンク係止部上端601までの距離
がその回転中心600からインクタンク係止部下端60
2までの距離よりも長くなってしまうため、ジョイント
口230の中心の高さでインク収納容器201を正確に
抑えにくくなってしまう。従って、ジョイント口230
の高さ方向の中心を正確に固定するために、インクタン
クユニット200の回転中心600はジョイント口23
0の高さ方向の中心よりも上方にあることが望ましい。
【0064】また、インクタンクユニット200の回転
中心600をジョイント口230の中心高さ603より
も上方にあげた場合、インクタンクユニット200の、
インクタンク係止部155にあたる部分の厚みが大きく
なって、インクタンク係止部155にあたる部分が増え
てしまい、インクタンクユニット200及びホルダ15
0が破損する可能性が高くなってしまう。そのため、イ
ンクタンクユニット200の回転中心600はジョイン
ト口230の高さ方向の中心に近い方がインクタンクユ
ニット200の着脱性の観点から望ましい。また、イン
クタンクユニット200のインクタンク係止部155の
高さは、インクタンクユニット200の着脱性に基づい
て適宜決めればよいが、回転中心600より高くすれ
ば、インクタンクユニット200とホルダ150との係
止部の接触距離が長くなり、着脱動作によってこすれる
部分が増えるため、インクタンクユニット200及び1
50の劣化を考慮すると、その高さはインクタンクユニ
ット200の回転中心600よりも低いことが望まし
い。
【0065】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジでは、インク収納容器201の水平方向の
位置を固定するための付勢力が、弁体261を付勢する
付勢部材263によるものと、ゴムジョイント部280
(図4〜8参照)の反発力によるものであるが、そのよ
うな形態のみに限られず、インク収納容器201後端に
係止部、インクタンク係止部155のインク収納容器2
01側の面、または、負圧制御室ユニット100などに
インク収納容器201の水平方向の位置を固定するため
の付勢手段が設けられていてもよい。なお、ゴムジョイ
ント部280はインク収納容器が接続されている状態で
は、負圧制御室とインクタンクとの壁面で圧入された状
態となり、結合部(ジョイントパイプ周辺部)の気密性
を確保させる(完全な気密性を持たずとも大気にさらさ
れている領域が少なくできればよい)ほか、後述するシ
ール用突起によるシールの補助的な役割を果たすことが
できる。
【0066】次に、負圧制御室ユニット100の内部の
構成について説明する。
【0067】負圧制御室ユニット100の内部には、吸
収体130を上段に、吸収体140を下段として積み重
ねられた2段構成の負圧を発生する部材が収納されてい
る。従って、吸収体130は大気連通口115と連通
し、吸収体140は、その上面で吸収体130と密着す
るとともに、その下面でフィルタ161と密着してい
る。吸収体130と140との境界面113cは、連通
部としてのジョイントパイプ180の上端より使用時姿
勢において上方となっている。
【0068】吸収体130、140は、繊維方向がほぼ
揃えられた繊維体からなるもので、その主たる繊維方向
が、このインクジェットヘッドカートリッジ70をプリ
ンタに搭載した状態で鉛直方向に対して傾いて(より望
ましくは、本実施形態のように略水平方向になるよう
に)負圧制御室容器110内に収納されている。
【0069】このような、繊維方向が揃えられた吸収体
130、140は、例えば、繊維としてけん縮された熱
可塑性樹脂からなる短繊維(長さ60mm程度、例え
ば、ポリプロピレンとポリエチレン等の混紡繊維により
構成される)を用い、この短繊維からなる繊維塊を梳綿
機で繊維方向を揃えた後に、加熱し(加熱の際の温度
は、相対的に融点の低いポリエチレンの融点よりも高
く、相対的に融点の高いポリプロピレンの融点よりも低
い温度が望ましい)所望の長さに切断することによって
製造されている。ここで、本実施形態の繊維部材は、そ
の表層の繊維方向は、中央部に比べて相対的により整っ
ており、発生する毛管力も中央部に比べて大きくなって
いるが、その表面は鏡面状ではなく主としてスライバー
を束ねる際に発生した多少の凹凸を備えており、表層部
においても融着された交点を3次元的に有するものとな
っている。このため、繊維方向が揃えられた吸収体13
0、140の境界面113cは、凹凸を有する表面同士
が接触することで、その近傍の各吸収体130、140
の表層領域とあわせ、全体としてインクは水平方向に対
して適度な流動性を有する状態となる。すなわち、境界
面113cのみが周りの領域に比べてインク流動性が格
段に優れ、その結果として負圧制御室容器110と吸収
体130、140との間の隙間と境界面113cとの間
にインクパスを作る、ということはない。従って、吸収
体130、140の境界面113cを使用時姿勢におけ
るジョイントパイプ180の上部、望ましくは、本実施
形態のようにジョイントパイプ180の上部近傍に設け
ることで、後述する気液交換動作において、気液交換動
作中の吸収体130、140中でのインクと気体との界
面を、境界面113cとすることができ、結果としてイ
ンク供給動作中のヘッド部における静負圧を安定化させ
ることができる。
【0070】また、繊維部材としてその方向性に着目す
ると、図23に示すように、それぞれの繊維は主として
梳綿機で整えられた長手方向F1に連続的に配列される
とともに、それと直交する方向F2については、熱成形
により繊維間の交点の一部が融着することでつながりを
有する構造となっている。このため、吸収体130、1
40は図中F1方向に引っ張りを加えても壊れにくい、
図中F2方向に引っ張ると繊維間の結合部が破壊される
ことでF1方向の場合に比べて容易に分離することがで
きる。
【0071】繊維からなる吸収体130、140で、こ
のように主となる繊維方向F1が存在するので、主とな
る繊維方向F1とそれと直交する繊維方向F2とでは、
インクの流動性及び静止状態での保持の仕方が異なって
くる。
【0072】吸収体130、140の内部構造について
さらに詳細にみると、図24(a)に示すような捲縮さ
れた短繊維が、ある程度繊維方向が揃った状態で加熱さ
れることにより、図24(b)に示すような状態とな
る。ここで、図24(a)で繊維方向に複数の短繊維が
重なっていた領域αは、図24(b)に示すように交点
が融着される確率が高く、結果として繊維方向には、図
23に示すF1方向に対して切れにくい、連続した繊維
が形成される。また、捲縮された短繊維を用いることで
短繊維の端部領域(図24(a)に示すβ、γ)は、図
24(b)に示すように3次元的に他の短繊維と融着し
たり(β)、そのまま端部として残ったり(γ)する。
加えて、全ての繊維が全く同一の方向に揃っているわけ
ではないので、はじめから他の短繊維に対して交差する
ように傾いて接触している短繊維(図24(a)に示す
ε)は、加熱後は、そのまま融着される(図24(b)
に示すε)。このようにして、F2方向に対しても従来
の一方向繊維束と比べて強度の高い繊維が形成される。
【0073】また、本実施形態では、このような吸収体
130、140を主となる繊維方向F1が略水平方向及
び連通部からインク供給口に向かう方向に対して略平行
になるように配置している。そのため、図9に示すよう
に、インク収納容器201が接続された状態で吸収体1
40内の気液界面L(インクと気体の界面)は主となる
繊維方向F1の方向と平行な略水平方向となり、環境変
化による変動が起こった場合も、その気液界面は略水平
方向を維持するため、環境の変動が収まればその気液界
面は元の気液界面Lの位置に戻ることになり、環境変化
のサイクル数に応じて気液界面の重力方向に対するばら
つきが増大することはない。
【0074】その結果、インク収納容器201内のイン
クを使い切って、新たなインクタンクユニット200に
交換する際には、その気液界面は略水平方向が保たれる
ので、インクタンクユニット200の交換回数が増加し
てもバッファ空間116が減少することはない。
【0075】このように環境の変化に関わらず気液交換
動作中の気液界面Lの位置を安定化させるためには、接
続部としての連通部(本実施形態の場合は、ジョイント
パイプ180)の上端の領域、より望ましくは、上端よ
り上方を含む領域に、略水平方向に主たる繊維の配列成
分を有する層を備えていればよい。別の観点から見る
と、この層は供給口131と連通部の上端部とを結ぶ領
域にあればよく、また、さらに異なる観点から見れば、
気液交換動作における気液界面上にこの領域があればよ
い。後者を作用的に捉えるならば、この配列の方向性を
有する繊維層は、気液交換による液体供給動作におけ
る、吸収体140中の気液界面を水平化させるものであ
り、インク収納容器201からの液体移動に伴う吸収体
140の鉛直方向の変化を規制する機能を有するもので
ある。
【0076】吸収体140中にこのような層を有するこ
とで、この領域内で気液界面Lは重力方向に対してのば
らつきを抑えることができる。この場合、吸収体140
の水平方向の切断面における長手方向に対しても、主た
る繊維の配列成分が略平行であると、繊維の長手方向を
有効に利用できるのでより望ましい。
【0077】なお、ここで、繊維の配列方向は、鉛直方
向からわずかでも傾いていれば、理論上は、わずかでも
上述の効果を奏するが、実用上は水平方向に対して、お
よそ±30°の範囲にある場合、明確な効果が確認でき
た。従って、略水平の「略」は、本明細書中では上述の
傾きを含むものである。
【0078】本実施形態では、連通部の上端より下方の
領域についても主たる繊維方向の配列成分は、同一の吸
収体140で構成されているために同じに構成されてい
る。そのため、図9に示すような気液交換動作におい
て、不用意にその気液界面Lが連通部の上端より下方の
領域でばらつくことがなくなるため、インク切れなどに
よるインク供給不良を起こすことがない。
【0079】すなわち、気液交換動作において、大気連
通口115から導入される大気は、気液界面Lに到達す
ると主たる繊維方向に沿って分散される。その結果、気
液交換動作中の界面は略水平方向に保たれ、安定化する
ことができる。その結果、安定した負圧を維持しながら
インクを供給することが、より確実に行うことができる
という効果がある。また、気液交換動作についても、本
実施形態の場合は、主たる繊維方向が略水平方向である
ことから、インクは水平方向でほぼ均等に消費されてい
く。その結果、負圧制御室容器110のインクについて
も、使い残りの少ないインク供給システムを提供するこ
とができる。従って、特に本実施形態のように液体を直
接収納するインクタンクユニット200が交換可能なシ
ステムにおいては、吸収体130、140内のインクを
保持していない領域を効果的に作り出すことができるの
で、バッファ空間効率が向上し、環境変動に強いインク
供給システムを提供することができる。
【0080】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジが、いわゆるシリアルタイプのプリンタに
搭載されるものである場合は、往復走査されるキャリッ
ジに装着される。このとき、キャリッジの往復動作に伴
って、インクジェットヘッドカートリッジ内のインクに
は、キャリッジの移動方向成分の力が作用する。この力
が及ぼす、インクタンクユニット200からインクジェ
ットヘッドユニット160へのインク供給特性への悪影
響をできるだけ排除するために、吸収体130、140
の繊維方向、及びインクタンクユニット200と負圧制
御室ユニット100との配列方向は、インクタンクユニ
ット200のジョイント口230から負圧制御室容器1
10の供給口131へ向かう方向であることが望まし
い。
【0081】<ジョイントパイプおよびジョイント口>
本実施形態では、各図に示すように、ジョイントパイプ
(接続管)およびジョイント口が2つ設けられていると
いう特徴がある。そこでこの点について説明する。
【0082】本実施形態の負圧制御室ユニット100に
は、この液体吐出ヘッドの使用状態において鉛直上方と
なる位置にジョイントパイプ180が、鉛直下方となる
位置にジョイントパイプ1180がそれぞれ設けられて
いる。そして、インクタンクユニット200には、各ジ
ョイントパイプ180,1180に対応するジョイント
口230,1230が設けられている。このジョイント
口230,1230内には、後述する弁機構をなす弁体
261,1261、弁蓋262,1262、付勢部材2
63,1263、第1弁枠260a,1260a、第2
弁枠260b,1260bがそれぞれ設けられている。
【0083】このように、負圧制御室ユニット100と
インクタンクユニット200とが2つのジョイントパイ
プ180,1180で接続されており、このジョイント
パイプ180,1180は、使用状態における鉛直方向
上下に配置されている。従って、通常の使用状態では、
鉛直方向下方に位置するジョイントパイプ1180およ
びジョイント口1230では、インクタンクユニット2
00から負圧制御室ユニット100へのインクの流通の
みが行われる。これに対し、鉛直方向上方に位置するジ
ョイントパイプ180およびジョイント口230では、
インクタンクユニット200から負圧制御室ユニット1
00へのインク流に加えて、負圧制御室ユニット100
からインクタンクユニット200へのエアの流通も行わ
れ、いわゆる気液交換動作が行われる。すなわち、負圧
制御室ユニット100の境界面よりも上方にあるエア
が、インクタンクユニット200へ向かって流れようと
する際には、当然、上方に位置するジョイントパイプ1
80を通過することになり、下方に位置するジョイント
パイプ1180まで至ってこれを通過することは通常あ
り得ない。上方に位置するジョイントパイプ180はい
わば気液交換用接続管であり、下方に位置するジョイン
トパイプ1180は、気体の流通が行われない液体(イ
ンク)の流通専用の液体供給用接続管である。
【0084】従来は、多量のインク流量を確保するため
には大径のジョイントパイプが必要であるが、大径のジ
ョイントパイプを設けた場合には、接続動作時にエアが
インクタンクユニットに流入してしまい所望の圧力特性
が得られず圧力調整効果が発揮できなくなるという問題
があった。しかし本発明では、前記の通りジョイントパ
イプを複数本設けているので、1本1本のジョイントパ
イプの径は小さくても、全体としてのインク流量は十分
多くすることができる。しかも、各ジョイントパイプが
小径であるため、接続時にはインク流の勢いにより小径
のパイプ断面全体がインクで満たされてエアの逆流を阻
止するため、インクタンクユニットへのエアの進入が防
止され、所望の圧力特性が得られ、十分な圧力調整効果
が発揮できる。
【0085】また、本実施形態では、下方に位置するジ
ョイントパイプ1180の方が、上方に位置するジョイ
ントパイプ180よりも長く、接続動作時には、下方に
位置するジョイントパイプ1180およびジョイント口
1230の方が、上方に位置するジョイントパイプ18
0およびジョイント口230よりも、早いタイミングで
連通する。その効果について以下に説明する。
【0086】前記の通り、鉛直下方に位置するジョイン
トパイプ1180はインクのみが流通する液体供給用接
続管として作用するため、接続動作時にパイプ内部に気
泡が残留することは極力防ぐことが好ましい。一方、鉛
直上方に位置するジョイントパイプ180はインクとエ
アとが流通する気液交換用接続管として作用するため、
接続動作時にパイプ内部に多少気泡が残留しても構わな
い。
【0087】そこで、接続動作を考えてみると、複数あ
る接続管のうち先に連通する方が、インクタンクユニッ
ト内のインクが勢いよく流れ出すため、パイプ内部の気
泡を負圧制御室ユニット側に一気に押し流してしまう。
これに対し、後で連通するパイプにおいては、インクタ
ンクユニットから負圧制御室ユニットへ流れるインクの
勢いは(先に連通したパイプを介して既にインクは流れ
ているため)比較的弱くなるので、パイプ内部の気泡を
負圧制御室ユニット側に一気に押し流してしまえず、パ
イプ内部に残留させてしまうおそれがある。
【0088】これらの状況を鑑みると、インクのみが流
通する液体供給用接続管である鉛直下方のジョイントパ
イプ1180が、気液交換用接続管である鉛直上方のジ
ョイントパイプ180よりも、先に接続される構成が望
ましい。なお、本実施形態では、下方のジョイントパイ
プ1180を上方のジョイントパイプ180よりも長さ
を長く形成することによって、前記構成が達成されてい
るが、これに限定されるものではない。
【0089】また、以上説明した本実施形態の構成によ
ると、離脱動作時には、上方に位置するジョイントパイ
プ180およびジョイント口230の方が、下方に位置
するジョイントパイプ1180およびジョイント口12
30よりも、早いタイミングで連通を解除する。その効
果について以下に説明する。
【0090】両ジョイントパイプ180,1180が接
続されている状態から、上方のジョイントパイプ180
がジョイント口230から離脱して弁が閉じると、この
時点でインクタンクユニット200はジョイント口12
30を除いて密封される。その状態でインクタンクユニ
ット200がさらに引き抜かれると、ジョイントパイプ
1180とジョイント口1230の接続部が僅かに広が
って面積が大きくなるので、負圧が上昇する。従って、
下方のジョイントパイプ1180がジョイント口123
0から離脱して弁が閉じる前に、この負圧によって、ジ
ョイントパイプ1180内に溜まったインクがジョイン
ト口1230内に吸引される。これによって、ジョイン
トパイプ1180がジョイント口1230から完全に離
脱した後にジョイントパイプ1180内にインクが残留
して、このインクがたれて多部材等を汚染したりするこ
とが防げる。
【0091】なお、接続動作および離脱動作における弁
機構等の動作の詳細については後述する。
【0092】〈タンク装着動作〉次に、負圧制御室ユニ
ット100とホルダ150が一体となったものにインク
タンクユニット200を装着する動作について図4〜8
を参照して説明する。
【0093】図4〜8は、負圧制御室ユニット100が
取り付けられたホルダ150にインクタンクユニット2
00を装着する動作について説明するための断面図であ
る。インクタンクユニット200は、幅方向のガイド
(不図示)とホルダ150の底部151、負圧制御室ユ
ニット100の負圧制御室蓋120に設けられたガイド
部、及びホルダ150後部のインクタンク係止部155
に沿ってほぼ回動することで装着される。
【0094】まず、インクタンクユニット200の装着
動作として、図4に示される位置、すなわち、負圧制御
室ユニット100に設けられたインクタンクユニットの
誤挿入防止のためのID部材170(図2,3参照)に
インクタンクユニット200の傾斜面251が接触する
位置までインクタンクユニット200を移動させる。こ
の時点ではジョイント口230,1230とジョイント
パイプ180,1180が接触しない構成となってい
る。この時点でもし、誤ったインクタンクユニット20
0を装着しようとした場合には傾斜面251とID部材
170が干渉し、これ以降の、インクタンクユニット2
00の装着動作が阻止される。このようにインクジェッ
トヘッドカートリッジ70が構成されていることによ
り、前述の通り、ジョイント口230,1230とジョ
イントパイプ180,1180は接触しない構成となっ
ているので、誤装着時にジョイント部でのインクの混色
や、インク固着(インクの成分によっては(ex.アニ
オン、カチオンの反応)吸収体130、140で固着が
起きてしまい、負圧制御室ユニット100が使用不可能
となる場合も考えられる)等によるインクタンク交換型
の装置でのヘッド及びインクタンクの不必要な交換など
を未然に防止できる。また、上述したようにID部材2
50のID部を傾斜面に形成することで、複数のID部
材170を、それぞれのID部材170が対応するID
用凹部にほぼ同時に挿入することでIDの確認を行なう
ことが可能となり、確実な誤装着防止機能を達成でき
る。
【0095】次に、図5に示すように、ID用凹部25
2にID用部材170が挿入されると共に、ジョイント
口230にジョイントパイプ180が挿入されるよう
に、インクタンクユニット200を負圧制御室ユニット
100側に移動させる。この時点で、両弁体261,1
261は閉鎖状態にあり、ジョイント口230はシール
され、ジョイント口1230は開放された状態にある。
【0096】インクタンクユニット200の回動が続行
されると、図6に示すように、ジョイント口230にジ
ョイントパイプ180が挿入され、ジョイント口123
0もシールされる。なお、両弁体261,1261は依
然閉鎖状態にある。
【0097】次に、所定の位置に装着されたインクタン
クユニット200は、図7に示す位置、すなわちID部
材170とID用凹部252とが対応する位置に設けら
れているので、さらに負圧制御室ユニット200側の奥
まで移動させられる。さらに、インクタンクユニット2
00が矢印Gの方向に回動させられると、ジョイントパ
イプ1180の先端部が弁体1261に当接して弁体1
261が押される。これにより、弁機構が開いてインク
タンクユニット200内と負圧制御室ユニット100内
が連通され、インクタンクユニット200内のインク3
00が負圧制御室ユニット100内へ供給可能となる。
【0098】続いて、図8に示すように、ジョイントパ
イプ180の先端部が弁体261に当接して弁体261
が押され、弁機構が開いてここでもインクタンクユニッ
ト200内と負圧制御室ユニット100内が連通され
る。この弁機構の開閉動作の詳細については後述する。
【0099】その後、インクタンクユニット200がさ
らに回動され、図2に示した位置へインクタンクユニッ
ト200が押し込まれる。これにより、インクタンクユ
ニット200の後方面下部がホルダ150のインクタン
ク係止部155に係止され、インクタンクユニット20
0がホルダ150内の所望の位置に固定される。この状
態において、ID部材170はID用凹部252から若
干離脱する方向に移動することになる。インクタンクユ
ニット200を固定するための後方(ホルダ係止部15
5側)への付勢力は、インクタンクユニット200内の
付勢部材263と、ジョイントパイプ180,1180
の周囲に設けられているゴムジョイント部280とによ
り与えられる。
【0100】以上のように回動動作に伴って着脱を行う
インクタンクユニット200において、傾斜面251に
ID用凹部252が形成され、かつ、インクタンクユニ
ット200の下面が傾斜していることで、誤装着及びイ
ンクの混色のない確実なインクタンクユニット200の
着脱が最小限のスペースで可能となる。
【0101】このように、インクタンクユニット200
と負圧制御室ユニット100とを接続させたとき、負圧
制御室ユニット100内とインク収納容器201内との
圧力が等しくなるまでインクが移動し、図8に示すよう
に、ジョイントパイプ180,1180及びジョイント
口230,1230内における圧力が負となる状態で平
衡状態になる。(この状態を、「使用開始状態」と称す
る。)そこで、この平衡状態となるためのインク移動に
ついて、詳細に説明する。
【0102】インクタンクユニット200が装着される
ことでインク収納容器201のジョイント口230,1
230に設けられた弁機構が開くと、インク収納部はジ
ョイント口230,1230を除いて実質的な密閉状態
となる。すると、インク収納容器201内のインクがジ
ョイント口230,1230へ流れて負圧制御室ユニッ
ト100の吸収体140との間にインクパスが形成され
る。インクパスが形成されると、吸収体140の毛管力
により、インク収納容器201から吸収体140へのイ
ンク移動が開始され、その結果、吸収体140内のイン
クの界面が上昇する。また、内袋220は、内袋220
内の体積が減少する方向に、面積最大の面の中央部から
変形をはじめようとする。
【0103】ここで、筐体210は内袋220の角部の
変位を抑制する働きをするため、内袋220は、インク
消費による変形の作用力と装着前の状態(本実施形態の
図4〜7に示す初期状態)の形状に戻ろうとする作用力
とが働き、急激な変化をすることなく、変形の度合いに
応じた負圧を発生するようになる。筐体210と内袋2
20の空間は、外気連通口222を介して外気に連通し
ているので、上記変形に応じて筐体210と内袋220
との間に空気が導入される。
【0104】なお、ジョイント口230,1230及び
ジョイントパイプ180,1180内に空気が存在して
いても、インク収納容器201内のインクが吸収体14
0に接触することでインクパスが形成されると、インク
の導出に伴い内袋220が変形するので、その空気は内
袋220内へと容易に移動することができる。
【0105】インク移動は、インク収納容器201のジ
ョイント口230,1230における静負圧と、負圧制
御室ユニット100のジョイントパイプ180,118
0における静負圧とが等しくなるまで行なわれる。
【0106】以上説明したように、インク収納容器20
1と負圧制御室ユニット100との接続におけるインク
収納容器201から負圧制御室ユニット100へのイン
クの移動は、インク収納容器201に吸収体130、1
40を介した気体の導入をすることなく行われる。平衡
状態となった時のそれぞれの室の静負圧は、負圧制御室
ユニット100のインク供給口に接続されるインクジェ
ットヘッドユニット160などの液体吐出記録手段から
インクが漏れ出ないよう、接続する液体吐出記録手段の
種類に応じて適切な値となるように設定すればよい。
【0107】また、接続前に吸収体130に保持される
インク量のばらつきが存在するため、平衡状態に達した
場合でも、吸収体140にインクが充填されない領域が
残っていることがある。この領域は、バッファ領域とし
て利用することができる。
【0108】逆に、ばらつき量の影響により、平衡状態
に達した時のジョイントパイプ180,1180及びジ
ョイント口230,1230内での圧力が正になってし
まう恐れのある時は、液体吐出記録装置本体に設けられ
る後述の吸引回復手段により吸引回復を行ない、若干の
インクを流出させることで対応してもよい。
【0109】前述したように、本実施形態のインクタン
クユニット200は、その外底面をホルダ150のイン
クタンク係止部155の上に乗せた状態で斜めに挿入
し、インクタンク係止部155を乗り越えた後、ホルダ
150の底面に押し込むという、略回動動作を伴ってホ
ルダ150に装着される。また、この逆の動作によっ
て、インクタンクユニット200はホルダ150から取
り外される。そして、このインクタンクユニット200
の着脱動作に伴って、インクタンクユニット200に設
けられた弁機構の開閉動作が行われる。
【0110】〈弁機構の開閉動作〉以下に、弁機構の開
閉動作について図4〜8を参照して説明する。
【0111】図4は、インクタンクユニット200がジ
ョイント口230を斜め下向きにしてホルダ150に斜
めに挿入され、ジョイントパイプ180がジョイント口
230に挿入される前の状態を示している。
【0112】ここで、ジョイントパイプ180には、そ
の外周面に全周にわたってシール用突起180aが一体
的に設けられているとともに、先端に弁開閉用突起18
0bが設けられている。シール用突起180aは、ジョ
イントパイプ180がジョイント口230に挿入された
ときにジョイント口230のジョイントシール面260
に当接するものであり、上端部でのジョイントパイプ1
80の先端からの距離が下端部でのそれよりも大きくな
るように斜めに設けられている。
【0113】シール用突起180aは、後述するよう
に、インクタンクユニット200の着脱動作時にジョイ
ントシール面260に対して摺動するものであるので、
ジョイントシール面260との摺動性及び密着性の良い
材料が用いられることが好ましい。また、弁体261を
第1弁枠260a側に付勢する付勢部材263の形態は
特に限定されるものではなく、コイルばねや板ばねのよ
うなばね部材、あるいは、ゴムのような伸縮性を有する
部材等を用いることができる。また、リサイクル性を考
慮すると、樹脂からなる弾性部材にすると好ましい。
【0114】図5に示した状態では、弁開閉用突起18
0bは弁体261には当接しておらず、弁体261のジ
ョイントパイプ180側端部の外周に形成されたシール
部が、付勢部材263の付勢力によって第1弁枠260
aのシール部に押圧されている。これにより、インクタ
ンクユニット200の内部の気密性が維持されている。
【0115】インクタンクユニット200をホルダ15
0に更に挿入して行くと、シール用突起180aにより
ジョイント口230のジョイントシール面260がシー
ルされる。この際、シール用突起180aは上述したよ
うに斜めに設けられているので、まず、図5に示すよう
に、シール用突起180aの下端部がジョイントシール
面260に当接し、インクタンクユニット200の挿入
動作に伴ってジョイントシール面260に対して摺動し
ながら徐々にシール用突起180aの上部に向かって当
接範囲が広がり、最終的に、シール用突起180aの上
端部がジョイントシール面260に当接する。これによ
りシール突起180aの全周がジョイントシール面26
0と当接し、ジョイント口230はシール用突起180
aによってシールされる。
【0116】また、図5に示した状態では、弁開閉用突
起180bは弁体261には当接しておらず、弁機構は
開いていない。従って、弁機構の開く前にジョイント口
230のシールがなされるので、インクタンクユニット
200の装着動作中におけるジョイント口230からの
インク漏れが防止される。
【0117】さらに、上述したように、ジョイント口2
30のシールは、ジョイントシール面260の下側から
徐々になされていくので、シール用突起180aによる
ジョイント口230のシールがなされるまでは、ジョイ
ント口230内の空気はシール用突起180aとジョイ
ントシール面260との隙間から排出される。このよう
にジョイント口230内の空気が排出されることによっ
て、ジョイント口230がシールされた状態でジョイン
ト口230内に残存する空気の量が最小限になり、ジョ
イントパイプ180のジョイント口230内への侵入に
よる、ジョイント口230内の空気の過度の圧縮、すな
わちジョイント口230内の圧力の過度の上昇が防止さ
れる。その結果、インクタンクユニット200がホルダ
150に完全に装着される前の、ジョイント口230内
の圧力の上昇に伴う不用意な弁の開き、及びこれによる
ジョイント口230内へのインクの流出を防止すること
ができる。
【0118】続いて、図6に示すように、ジョイントパ
イプ1180によってジョイント口1230も、ジョイ
ント口230と同様にシールされる。
【0119】インクタンクユニット200をさらに挿入
していくと、図7に示すように、シール用突起1180
aによるジョイント口1230のシールがなされたま
ま、弁開閉用突起1180bは付勢部材1263の付勢
力に抗して弁体1261を押し込む。これにより、第2
弁枠1260bの開口1260cがジョイント口123
0と連通し、ジョイント口1230内の空気が開口12
60cを通ってインクタンクユニット200の内部に導
入されるとともに、インクタンクユニット200内のイ
ンクは開口1260c及びジョイントパイプ1180を
通って負圧制御室容器110(図2参照)へ供給され
る。
【0120】続いて、図8に示すように、ジョイントパ
イプ180の弁開閉用突起180bが弁体261を押し
込んで、上側の弁も前記した下側の弁と同様に開放され
る。
【0121】このように、ジョイント口230,123
0内の空気がインクタンクユニット200内に導入され
ることで、例えば使用途中のインクタンクユニット20
0を再度装着したとき、内袋220(図2参照)内の負
圧が緩和される。よって、負圧制御室容器110と内袋
220との負圧のバランスが改善され、負圧制御室容器
110へのインクの再供給性の悪化を防止することがで
きる。
【0122】以上の動作の後、インクタンクユニット2
00をホルダ150の底面に押し込み、図2に示すよう
に、インクタンクユニット200をホルダ150に装着
することで、ジョイント口230,1230とジョイン
トパイプ180,1180とが完全に接続され、前述し
た気液交換が確実に行われる状態となっている。
【0123】本実施形態では、第2弁枠260bには開
口部260cをインクタンクの底部側でかつ弁枠シール
部264の近傍に設けてある。この開口部260cの構
成によれば、弁機構開時、すなわち弁体261が弁開閉
用突起180bにより押圧され、弁蓋262側へ移動直
後直ちにインクタンクユニット200内のインクが負圧
制御室ユニット100へ供給が開始されかつ、インク使
い切り時のインクタンク内のインク残量を最小にする事
ができる。
【0124】また本実施形態においては、第1弁枠26
0a,1260aのジョイントシール面260,126
0すなわち第1弁枠のシール部を構成する材料としてエ
ラストマーを用いた。このように構成材料としてエラス
トマーを用いることでそのエラストマーの弾性力によ
り、ジョイントシール面260,1260ではジョイン
トパイプ180,1180のシール用突起180a,1
180aとの確実なシール性を確保することができ、第
1弁枠260a,1260aのシール部では弁体26
1,1261のシール部との確実なシール性を確保する
ことができる。その上、第1弁枠260a,1260a
とジョイントパイプ180,1180との間のシール性
を確保するのに最低限必要な弾性力以上の弾性力をエラ
ストマーに持たせること(例えばエラストマーの肉厚を
増やす)により、インクジェットヘッドカートリッジの
シリアルスキャン走査の際のジョイントパイプ接続箇所
の軸ブレやこじれをエラストマーの撓みで抑え、より信
頼性の高いシールを行なうことができる。さらに、構成
材料として用いたエラストマーは、第1弁枠260a,
1260aと一体成形が可能であり、部品を増やすこと
なく、上記のような効果が得られる。また、構成材料と
してエラストマーを用いる部分は、上記構成に限られる
ものではなく、ジョイントパイプ180,1180に形
成されたシール用突起180a,1180aの構成材料
や、弁体261,1261のシール部の構成材料として
エラストマーを用いてもよい。
【0125】一方、インクタンクユニット200をホル
ダ150から取り外すと、上述した動作と逆の順で、ジ
ョイント口230,1230のシールの解除及び弁機構
の動作が行われる。
【0126】すなわち、インクタンクユニット200
を、装着時とは逆向きに回動させながらホルダ150か
ら引き抜くと、まず、弁体261が付勢部材263の付
勢力によって前進し、弁体261のシール部が第1弁枠
260aのシール部に押圧されることによって、ジョイ
ント口230が弁体261によって閉鎖される。次い
で、ジョイント口1230が弁体1261によって閉鎖
される。
【0127】その後、さらにインクタンクユニット20
0を引き抜くことにより、シール用突起1180aによ
るジョイント口1230のシールが解除される。次い
で、シール用突起180aによるジョイント口230の
シールが解除される。このように、ジョイント口23
0,1230は弁機構の閉鎖後にシールが解除されるの
で、ジョイント口230,1230への無駄なインクの
供給が防止される。
【0128】さらに、シール用突起180a,1180
aは前述のように斜めに設けられているので、ジョイン
ト口230,1230のシールの解除は、シール用突起
180a,1180aの上端部から行われる。ジョイン
ト口230,1230のシールが解除される前は、ジョ
イント口230,1230及びジョイントパイプ18
0,1180の内部にはインクが残っているが、はじめ
に開放されるのはシール用突起180a,1180aの
上端部であり、下端部はまだシールされたままなので、
ジョイント口230,1230からインクが漏れること
はない。しかも、ジョイント口230,1230及びジ
ョイントパイプ180,1180の内部は負圧の状態で
あるので、シール用突起180a,1180aの上端部
が開放されると、そこからジョイント口230,123
0内に大気が入り込み、ジョイント口230,1230
及びジョイントパイプ180,1180に残っているイ
ンクは負圧制御容器110へ引き込まれる。
【0129】このように、ジョイント口230,123
0のシールを解除する際に、シール用突起180a,1
180の上端部を先に開放させ、ジョイント口230,
1230内に残ったインクを負圧制御容器110へ移動
させることで、インクタンクユニット200をホルダ1
50から取り外したときのジョイント口230,123
0からのインクの漏れが防止される。
【0130】以上説明したように、本実施形態における
インクタンクユニット200と負圧制御容器110との
接続構造によれば、インクタンクユニット200の弁機
構が作動する前にジョイント口230,1230のシー
ルがなされるので、ジョイント口230,1230から
の不用意なインクの漏れを防止することができる。しか
も、インクタンクユニット200の接続時及び取り外し
時において、シールタイミング及びその解除タイミング
に上部と下部とで時間差を設けることにより、接続時の
不用意な弁体261,1261の動作及び取り外し時の
ジョイント口230,1230に残存したインクの漏れ
を防止することができる。
【0131】また、本実施形態では、弁体261,12
61をジョイント口230,1230の開口端より奥に
配置しており、ジョイントパイプ180,1180の先
端の弁開閉用突起180b,1180bによって、この
弁体261,1261の動作を行わせているので、ユー
ザーが弁体261,1261に直接触れることはなく、
弁体261,1261に付着したインクによる汚れを防
止することができる。
【0132】〈ジョイント部の着脱動作とIDの関係〉
次に、図4〜8を用いてジョイント部の着脱動作とID
の関係について説明する。図4〜8はそれぞれ、インク
タンクユニット200をホルダー150へ装着する過程
を示す図である。
【0133】まず、図4に示す位置、すなわち、負圧制
御室ユニット100に設けられたインクタンクユニット
200の誤挿入防止のための複数のID部材170とイ
ンクタンクの傾斜面251が接触する位置まで装着動作
が行なわれる。この時点ではジョイント口230,12
30とジョイントパイプ180,1180が接触しない
構成となっている。この時点でもし、誤ったインクタン
クユニットを装着しようとした場合には前記傾斜面25
1と前記ID部材170が干渉し、それ以上のインクタ
ンクユニットの装着を阻止する。本構成によれば前述の
通りジョイント口230,1230とジョイントパイプ
180,1180が絶対接触しないので、誤装着時にジ
ョイント部でインクが混色したり、インク固着、不吐
出、画像欠陥、装置故障、インクタンク交換型の装置で
のヘッドの不必要な交換を未然に防止できる。
【0134】次に、正しい位置に装着されたインクタン
クユニット200は5に示す位置、すなわち前記ID部
材170とID用凹部252が対応する位置に設けられ
ているので、更に奥(負圧制御室ユニット200側)ま
で装着される。この位置まで装着されたインクタンクユ
ニット200はジョイント口1230とジョイントパイ
プ1180のシール用突起1180aの下端部がジョイ
ント口1230のシール面1260に当接する。以下、
前述の過程の通りジョイント部が接続され、インクタン
クユニット200内と負圧制御室ユニット100内が連
通される。続いて、ジョイント口230とジョイントパ
イプ180のシール用突起180aの下端部がジョイン
ト口230のシール面260に当接し、前述の過程の通
りジョイント部が接続され、ここでもインクタンクユニ
ット200内と負圧制御室ユニット100内が連通され
る。
【0135】上記の実施形態において、シール用突起1
80a,1180aはジョイントパイプ180,118
0に一体的に設けられているが、シール用突起180
a,1180aとジョイントパイプ180,1180は
別体で構成され、ジョイントパイプ180,1180の
周囲に設けられた凸部又は凹部にシール用突起180
a,1180aを略係合させることで、シール用突起1
80a,1180aがジョイントパイプ180,118
0の周囲を可動できる構成でも良い。ただし、シール用
突起180a,1180aの可動範囲はインクタンク2
00がホルダー150に装着される際に、可動範囲内に
おけるシール用突起180a,1180aがジョイント
シール面260,1260と完全に当接するまで弁体開
閉突起180b,1180bが弁体261,1261に
当接することが無いように設計されている。
【0136】インクタンクユニット200がホルダー1
50に装着される過程は、上記の実施形態では、シール
用突起180a,1180aの下端部がジョイントシー
ル面260,1260に当接し、インクタンクユニット
200の回動挿入動作に伴ってジョイントシール面26
0,1260に対して摺動しながら徐々にシール用突起
180a,1180aの上部に向かって当接範囲が広が
り、最終的にシール用突起180a,1180aの上端
部がジョイントシール面260,1260に当接するこ
とを示したが、シール用突起180a,1180aの上
端部がジョイントシール面260,1260に当接し、
インクタンクユニット200の挿入動作に伴ってジョイ
ントシール面260,1260に対して摺動しながら徐
々にシール用突起180a,1180aの下部に向かっ
て当接範囲が広がり、最終的にシール用突起180a,
1180aの下端部がジョイントシール面260,12
60に当接しても構わないし、また、下端部と上端部が
同時に当接しても構わない。その際、ジョイントパイプ
180,1180と弁体261,1261との間に存在
する空気が弁体261,1261を押し込んで弁体26
1,1261が開いたとしても、ジョイント口230,
1230がシール用突起180a,180aとジョイン
トシール面260,1260で完全にシールされている
ために収納容器201内のインク300が外に漏れ出す
ことはない。すなわち、本発明のポイントは、ジョイン
トパイプ180,1180とジョイント口230,12
30が完全にシールされた後、弁機構が開放されること
であり、本構成によれば、インクタンクユニット200
の装着時にインクタンク内のインク300が外へ漏れ出
すことはない。更に押し込まれた空気はインクタンクユ
ニット200内に入り、インク収納容器201内のイン
ク200をジョイント口230,1230に押し出すた
め、インク収納容器201から吸収体140へのインク
供給が速やかに行なわれる。
【0137】〈インク供給動作〉次に、図2に示したイ
ンクジェットヘッドカートリッジにおけるインクの供給
動作について図9を参照して説明する。図9は、図2に
示したインクジェットヘッドカートリッジにおけるイン
クの供給動作について説明するための断面図である。
【0138】上述したように負圧制御室ユニット100
内の吸収体を複数の部材に分割し、分割された部材同士
の境界面をジョイントパイプ180の上端より使用時姿
勢において上方に配置することにより、図2に示したイ
ンクジェットヘッドカートリッジにおいて吸収体13
0、140の双方にインクが存在する場合では、上方の
吸収体130内のインクを消費した後、下方の吸収体1
40内のインクを消費することが可能となる。また、環
境変化により気液界面Lが変動する場合、はじめに吸収
体140、及び吸収体130と140との境界面113
c近傍が充填された後、吸収体130にインクが進入す
る。従って、吸収体140の繊維方向とあわせて、負圧
制御室ユニット100内のバッファ空間116以外のバ
ッファ領域を安定的に確保することができる。さらに、
本実施形態のように、吸収体130の毛管力より吸収体
140の毛管力の強さを相対的に高くすることで、使用
時に確実に上方の吸収体130中のインクを消費するこ
とができる。
【0139】さらに加えて、本実施形態の場合、負圧制
御室蓋120のリブにより吸収体130が吸収体140
側に押されていることにより吸収体130と吸収体14
0とは境界面113cで圧接しており、吸収体130、
140の、境界面113c近傍の部分ではそれぞれ、他
の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態とな
っている。すなわち、吸収体140の毛管力をP1、吸
収体130の毛管力をP2、吸収体130、140同士
の境界面113c、及び吸収体130、140の、境界
面113c近傍の領域(境界層)の持つ毛管力をPSと
すると、P2<P1<PSとなっている。このように毛管
力の強い境界層を設けることで、疎密のばらつきを考慮
したP1とP2の毛管力範囲が吸収体130、140内の
疎密のばらつきによりオーバーラップしたとしても、界
面に上記条件を満たす毛管力があるので、上述したよう
な効果を確実に奏することができる。また、上述したよ
うに、吸収体130、140の境界面113cの下部近
傍にジョイントパイプ180を配することで気液交換時
の液面をこの位置で安定的に保つことが可能となるので
好ましい。
【0140】そこで、本実施形態における境界面113
cを構成するための方法について説明する。本実施形態
の場合、毛管力発生部材である吸収体140の構成材料
としては、毛管力P1=−110mmAq.のオレフィン系樹脂
繊維(2デニール)が用いられており、その固さは、0.
69kgf/mmである。ここで、吸収体130、140の固さ
は、負圧制御室容器110内に収納された状態において
φ15mmの押し棒を吸収体に押し込んだ時の反発力を測定
し、押し込み量に対する反発力の傾きにより求められて
いる。一方、吸収体130の構成材料としては、吸収体
140と同材料のオレフィン系樹脂繊を用いたが、吸収
体130のP2は吸収体140に比べて弱くなってお
り、その毛管力P2=−80mmAq.であり、かつ、その繊維
材料の繊維径が太く(6デニール)、吸収体130の剛性
は1.88kgf/mmと高くなっている。
【0141】このように、毛管力の弱い吸収体130の
方を毛管力の高い吸収体140に対して固くし、それら
の吸収体130、140を圧接させて組み合わせること
で、吸収体130、140同士の境界面113c付近で
は、吸収体140の方がつぶれることとなり、毛管力の
強さをP2<P1<PSとすることができる。さらに、P2
とPSの差を必ずP2とP1の差以上とすることができ
る。
【0142】〈インク消費動作〉次に、負圧制御室ユニ
ット100及びホルダ150にインクタンクユニット2
00を装着してからインク吸収容器201内のインクが
消費されるまでのインク消費動作の概要について図9〜
図11を参照して説明する。図10は、図9に基づいて
説明するインク消費動作におけるインクの状態について
説明するための図であり、図11は、そのインク消費動
作で内袋220の変形による内部圧力変動の抑制効果に
ついて説明するための図である。
【0143】まず、上述したようにインク収納容器20
1を負圧制御室ユニット100と接続させると、負圧制
御室ユニット100内とインク収納容器201内との圧
力が等しくなるまでインク収納容器201内のインクが
負圧制御室ユニット100内へ移動して使用開始状態と
なる。次に、インクジェットヘッドユニット160によ
りインクの消費が開始されると、内袋220内と吸収体
140の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバ
ランスを取りつつ、内袋220内と吸収体140の双方
に保持されたインクが消費される(第1のインク供給状
態:図10(a)の領域A)。ここで、吸収体130に
インクが保持されている場合には、吸収体130のイン
クも消費される。なお、図10(a)は、この時のイン
ク供給管165内における負圧変化の割合の一例につい
て説明するための図であり、図10(a)では、横軸
が、インク供給管165から負圧制御室容器110の外
部へのインク導出量、縦軸が、インク供給管165内の
負圧(静負圧)の値である。
【0144】次に、内袋220内に気体が導入されるこ
とで吸収体130、140が気液界面Lを保ちながらイ
ンクの導出に対してほぼ一定の負圧を保持する気液交換
状態(第2のインク供給状態:図10(a)の領域B)
を経て、毛管力発生部材収納室10内に残存するインク
を消費するようになる(図10(a)の領域C)。
【0145】このように、本実施形態のインクジェット
ヘッドカートリッジは、内袋220内へ外気を導入する
ことなく、内袋220内のインクを使用する工程を有す
るため、このインク供給工程(第1のインク供給状態)
においてインク収納容器201の内容積の制限は、結合
時において内袋220内に導入された空気のみを考慮す
ればよいことになる。その結果、インク収納容器201
の内容積の制限を緩和しても、温度変化などの環境変化
に対応可能であるという利点がある。
【0146】また、図10(a)における上述の領域
A、B、Cのどの状態においてインク収納容器201を
交換したとしても、安定的に負圧を発生することがで
き、これにより確実なインク供給動作を行うことができ
る。すなわち、本実施形態のインクジェットヘッドカー
トリッジによれば、インク収納容器201内のインクを
ほぼ完全に消費することができる。また、それだけでな
く、インクタンクユニット200の交換時にジョイント
パイプ180またはジョイント口230内に空気を含ん
でいてもよく、吸収体130、140のインク保持量に
よらずインク収納容器201の交換をできるので、必ず
しも残量検出機構を設けなくとも、インク収納容器20
1を交換可能なインクジェットヘッドカートリッジが得
られる。
【0147】ここで、以上説明した一連のインク消費過
程における動作について、図10(b)にてさらに別の
観点で説明する。
【0148】図10(b)は、一連のインク消費過程に
おける動作の一例について説明するための図であり、図
10(b)では、横軸が時間、縦軸がインク収納部から
のインク導出量、及び内袋220内への空気導入量であ
る。また、経過時間においてインクジェットヘッドユニ
ット160へのインク供給量は一定とする。
【0149】図10(b)に示されるインク導出量及び
空気導入量の観点で一連のインク消費過程における動作
について説明する。図10(b)において、内袋220
からのインク導出量が実線で、インク収納部への空気
導入量が実線で示されている。
【0150】時間t=0から時間t=t1までは、図1
0(a)に示した気液交換前の領域Aに相当する。この
領域Aでは、前述したように吸収体140からと内袋2
20内からとのバランスをとりながらインクがヘッドか
ら導出される。
【0151】次に、時間t=t1から時間t=t2まで
は、図10(a)の気液交換領域(B領域)に相当す
る。この領域Bでは、前述したような負圧バランスに基
づき、気液交換が行われる。図10(b)の実線で示
すように、内袋220内にエアが導入される(実線の
段差で示される)ことにより内袋220内からインクが
導出される。その際に、エアの導入に伴い、導入された
エアに等しい量のインクが直ちに内袋220内から導出
されるわけではなく、例えばエアの導入から、ある所定
の時間を経た後、導入されたエアに等しい量のインクが
最終的に内袋220内から導出されるようになってい
る。このような動作は、この図10(b)からも明らか
なように、内袋220を有しておらず、インク収納部が
変形しないインクタンクの動作に比べてタイミングのず
れが生じるものである。以上のように気液交換領域にお
いてこの動作が繰り返される。内袋220内のインクの
導出が進むと、ある時点で、内袋220内のエアの量と
インクの量とが逆転する。
【0152】時間t=t2を過ぎると、図10(a)に
示した気液交換後の領域(領域C)となる。この領域C
では、前述したように内袋220内がほぼ大気圧にな
る。それに伴い、内袋220の弾性力により初期状態
(使用開始前の状態)にもどる動作となる。ただし、内
袋220では、いわゆる座屈により、完全には初期の状
態には戻りきらない。そのため内袋220内への最終的
な空気導入量Vcは(V>Vc)となる。領域Cでも内袋
220からのインクはすべて使い切る状態となる。
【0153】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェットヘッドカートリッジの構成における気液交換動
作の現象の特徴として、気液交換中の圧力変動(図10
(a)における振幅γ)が従来の気液交換を行うインク
タンクシステムに比べて比較的大きいことがあげられ
る。
【0154】この理由として、気液交換を行う以前に内
袋220内からのインクの導出により、内袋220がタ
ンク内方に変形した状態になっている。そのため内袋2
20の弾性力により内袋220の壁部では常に外方へ向
かう力が働いている。そのため気液交換時に吸収体14
0内と内袋220内との圧力差を緩和させるために内袋
220内に入るエアの量が、前述したように所定量以上
に入る場合が多い。それにより内袋220内から負圧制
御室ユニット100へのインクの導出も多くなる傾向に
ある。それに対して、インクタンクユニット200の内
部が、内袋220のように壁部が変形しないようなイン
ク収納部を有する構成にした場合は、そのインク収納部
に所定量のエアが入ることにより直ちに負圧制御室ユニ
ット100へインクが導出される。
【0155】例えば、100%デューティ(ベタモー
ド)の印字を行う場合、インクジェットヘッドユニット
160から一度に大量のインクが吐出される。これによ
り負圧制御室ユニット100内及びインク収納容器20
1内からも急激にインクの導出が行われるが、本実施形
態のインクジェットヘッドカートリッジにおいては、気
液交換によるインクの導出が比較的多いので、インク切
れの心配がなく信頼性が向上する。
【0156】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジの構成によれば、内袋220が内方に変形
した状態でインクの導出が行われるため、キャリッジな
どの振動や、環境変化などによる外的要因に対してのバ
ッファ効果が高いという更なる利点がある。
【0157】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェットヘッドカートリッジは、微小な負圧変動を内袋
220により緩和することができるが、さらに、その構
成によれば、第2のインク供給状態など、内袋220内
に空気を含む場合においても、従来の方法とは異なる解
決方法により、温度変化などの環境の変化に対応するこ
とが可能となる。
【0158】次に、図2に示したインクジェットヘッド
カートリッジの環境条件を変化させた場合にそのユニッ
ト内で液体を安定して保持するメカニズムについて図1
1を参照して説明する。以下の説明では、吸収体13
0、140を毛管力発生部材とも称する。
【0159】大気圧の減少あるいは気温の上昇により、
内袋220内の空気が膨張すると、内袋220を構成す
る壁部や、内袋220内の液面が押圧される。これによ
り、内袋220の内容積が増加すると共に、内袋220
内のインクの一部がジョイント口230,1230及び
ジョイントパイプ180,1180を通して内袋220
内から負圧制御室容器110内へと流出する。ここで、
内袋220の内容積が増加するために、吸収体140へ
流出するインク量は、インクが収納される部分が変形不
可能な場合に比べて大幅に少なくなる。
【0160】ここで、ジョイント口230,1230及
びジョイントパイプ180,1180を通じて負圧制御
室容器110内へと流出するインク量は、気圧変化が急
激な場合、内袋220内の負圧を緩和し、内袋220の
内容積を増加させるため、内袋220の壁部の内方への
変形を緩和することにより生じる壁面の抵抗力と、イン
クを移動させて毛管力発生部材に吸収させるための抵抗
力と、の影響が初期的には支配的である。
【0161】特に、本構成の場合、毛管力発生部材(吸
収体130、140)の流抵抗が袋の復元に対する抵抗
より大きいので、空気の膨張にともない、まず内袋22
0の内容積が増加する。そして、この増加分の上限より
空気の膨張による体積の増加が大きい場合、ジョイント
口230,1230及びジョイントパイプ180,11
80を介して内袋220内から負圧制御室容器110側
へインクが流出するようになる。つまり、内袋220内
の壁面が環境変化に対するバッファとしての機能を果た
すため、前記毛管力発生部材内のインクの移動が緩やか
になり、インク供給管165近傍における負圧特性が安
定する。
【0162】なお、本実施形態では負圧制御室容器11
0に流出したインクは前記毛管力発生部材で保持される
ようにしている。この場合、負圧制御室容器110のイ
ンク量が一時的に増加して気液界面が上昇するので、使
用初期と同様にインク内圧の安定期より一時的にやや正
側の内圧になるが、インクジェットヘッドユニット16
0などの液体吐出記録手段の吐出特性への影響は小さ
く、実使用上の問題はない。また、大気圧が減圧前のレ
ベルに回復(1気圧に戻る)した場合(あるいは元の温度
に戻った場合)は、負圧制御室容器110に漏出して前
記毛管力発生部材に保持されていたインクが再び内袋2
20内に戻ると共に内袋220の内容積が元の状態へと
戻るようになる。
【0163】次に、気圧変化の後の初期的な動作の後、
変化した気圧のもとで定常状態に至ったときの原理動作
を説明する。
【0164】この状態で特徴的なことは、内袋220内
から導出されたインク量だけでなく、内袋220自体の
内容積の変化による負圧の変動に対してバランスを保つ
ように、前記毛管力発生部材に保持されているインクの
界面が変化することである。ここで、本発明における、
前記毛管力発生部材のインク吸収量とインク収納容器2
01との関係については、前述の減圧ないしは温度変化
時の大気連通口などからのインクの漏れを防止するとい
う観点から、インク収納容器201からの最悪条件下で
のインク流出量と、インク収納容器201からのインク
供給時に負圧制御室容器110に保持させるインク量と
を考慮して負圧制御室容器110の最大インク吸収量を
決め、少なくともその分の毛管力発生部材を収納するだ
けの容積を負圧制御室容器110に持たせれば良い。
【0165】図11(a)に、内袋220内が空気の膨
張に対して全く変形しない場合の、減圧前の内袋220
内の初期空間体積(空気の体積)を横軸(X)、気圧を
P気圧(0<P<1)に減圧した場合のインク流出量を
縦軸(Y)、として、これらの関係を点線で示した。
【0166】従って、内袋220内からのインク流出量
の最悪条件での見積は、例えば、大気圧の最大減圧条件
を0.7気圧とした場合、インク収納容器201からの
インク流出量が最大となるのは内袋220の容積VBの
30%のインクが内袋220内に残余している場合であ
り、内袋220内壁下端部より下のインクも負圧制御室
容器110の毛管力発生部材に吸収されるとすれば、内
袋220に残余している全てのインク(VBの30%)
が漏出すると考えれば良い。
【0167】これに対し、本実施形態では、内袋220
内が空気の膨張に対して変形するので、膨張前の内袋2
20の内容積に対し、膨張後の内袋220の内容積は増
加するとともに、この内袋220内の変形による負圧の
変動に対してバランスを保つように、負圧制御室容器1
10内のインク保持レベルが変化する。そして、定常状
態では、内袋220内からのインクによって気圧変動前
に比べて負圧が減少した毛管力発生部材との負圧のバラ
ンスを保つようになる。すなわち、内袋220内の膨張
量だけ、インク導出量は少なくなる。その結果、一例と
して実線で示したようになる。この点線と実線か
らも明らかなように、内袋220内からのインク流出量
の最悪条件での見積は、内袋220内が空気の膨張に対
して全く変形しない場合よりも小さくすることができ
る。上記の現象はインクタンクの温度変化の場合でも同
様であるが、50deg程度の温度上昇があっても流出
量は上記減圧時よりも少ない。
【0168】このように、本発明のインクタンクによれ
ば、環境の変化によるインク収納容器201内の空気の
膨張を、負圧制御室容器110だけではなく、最大で内
袋220内の外形形状が筐体210内面の形状と実質的
に等しくなるまでインク収納容器201自体の体積を増
加させるバッファ効果によりインク収納容器201でも
許容することができるので、インク収納容器201のイ
ンク収納量を大幅に増大しても環境変化に対応可能なイ
ンク供給システムを提供することができる。
【0169】また、初期の空気の体積をVA1とした時、
t=0で大気圧下からP気圧(0<P<1)の減圧環境
下にタンクの環境を変化させた場合の、時間の経過に伴
う内袋220内からのインク導出量及び内袋220の内
容積を図11(b)に模式的に示す。図11(b)にお
いて、横軸は時間(t)、縦軸は内袋220内からのイ
ンク導出量及び内袋220の内容積であり、内袋220
内からのインク導出量の時間変化を実線で、内袋22
0内の体積の時間変化を実線で示す。
【0170】図11(b)に示すように、急激な環境の
変化に対しては、最終的に負圧制御室容器110とイン
ク収納容器201とが負圧バランスを保つ定常状態とな
る前に、主としてインク収納容器201で空気の膨張に
対応することができる。従って、急激な環境変化に対し
て、インク収納容器201から負圧制御室容器110へ
のインクの導出タイミングを遅らせることができる。
【0171】従って、種々の使用環境下であっても、気
液交換により導入された外気の気体膨張に対して許容力
を高めつつ、インク収納容器201の使用中に安定した
負圧条件下でインク供給を行なうことのできるインク供
給システムを提供することができる。
【0172】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジによれば、使用する毛管力発生部材(インク吸収
体130、140)及び内袋220内の材料を適宜選択
することで、負圧制御室容器110と内袋220内との
体積割合を任意に決定することができ、1:2より大き
な場合でも、実用上使用することができる。特に、内袋
220内のバッファ効果を重視する場合には、弾性変形
可能な範囲内で使用開始状態に対する気液交換状態での
内袋220内の変形量を大きくするようにすればよい。
【0173】このように、本実施形態のインクジェット
ヘッドカートリッジによれば、負圧制御室容器110の
構成と合わせ、毛管力発生部材がわずかな占有体積しか
ない場合でも、外部環境に対する変化に対して相乗的に
効果を発揮することができる。
【0174】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジにおいて、図2に示したようにジョイントパイプ
180は負圧制御室容器110の下端部より上方に設け
られている。これにより、負圧制御室容器110内の吸
収体130,140中のインク成分のばらつきを低減さ
せる効果が得られる。この効果について、以下にさらに
詳細に説明する。
【0175】インクタンクユニット200からのインク
はジョイント口230、吸収体130,140を介して
インクジェットヘッドユニット160へと供給される
が、ジョイント口230,1230からインク供給管1
65までの経路はさまざまである。インクが最短距離で
直接供給される場合と、例えば、上述した環境変化など
による吸収体140内の液面の上昇によって、一度、吸
収体140の上部までいった後、インク供給管165へ
と導かれるものとでは、その経路にかなりの差がでる。
それによりインク成分のばらつきにより記録への影響が
でる場合がある。本実施形態のインクジェットヘッドカ
ートリッジの構成のように、ジョイントパイプ180を
吸収体140の上部へ位置させることで、インク経路の
ばらつき、つまり、経路の長さの差を押さえ、それによ
りインク成分のばらつきも押さえることが可能となる。
それにより、記録へのばらつき成分を押さえることがで
きる。これにより、ジョイントパイプ180及びジョイ
ント口230をなるべく上部にもっていくことが好まし
いが、バッファー機能を確保するため、本実施形態のよ
うに、ある程度の位置にとどめることが好ましい。この
位置は、吸収体130,140、インク、インクの供給
量、インク量等の条件により、適宜決定される。
【0176】ところで、本実施形態のインクジェットヘ
ッドカートリッジの負圧制御室容器110内には、上述
したように、毛管力をP1の吸収体140と毛管力をP2
の吸収体130とが圧接して収納されることで、毛管力
がPSの境界面113cが形成されている。各毛管力の
強さの関係はP2<P1<PS、すなわち、境界面113
cの毛管力が最も強く、ついで、下段側に配された吸収
体140の毛管力が強く、上段側に配された吸収体13
0の毛管力が最も弱いという関係にある。境界面113
cの毛管力が最も強く、かつ、上段側に配された吸収体
130の毛管力が最も弱いということで、連通口231
から供給されたインクが境界面113cを超えて上段側
の吸収体130に流れ込んだとしても、インクは境界面
113c側に強く引っ張られ、境界面113cの方に戻
ることとなる。このように、境界面113cが存在する
ことで、経路Jが吸収体140と吸収体130との両方
を通過するようなラインを描くことはなく、よって、連
通口230が供給口131より上方に形成されているこ
ととあいまって、経路Kの長さと経路Jの長さとの差違
を小さくすることができる。このため、吸収体140内
を流れるインクの経路が異なった際に生じる、インクが
吸収体140より受ける影響の差違も小さくできる。
【0177】また、本実施形態においては、負圧制御室
容器110に収納された、負圧発生部材であるインク吸
収体は2部材の構成となっている。本実施形態において
は、毛管力の異なる吸収体130、140で構成されて
おり、下部の吸収体として毛管力の強いものを用いてい
る。そして、吸収体130と140との境界面113c
の界面近傍の下部にジョイントパイプ180を位置させ
ることで、インク経路のばらつきを押さえつつ、確実な
バッファー部をも確保することが可能となっている。
【0178】また、供給口131は負圧制御室容器11
0の下壁の中央付近に形成されたものを例として示した
が、これに限定されることなく、必要であれば、連通口
231から遠ざけられた方向、すなわち、図2での下壁
の左端側あるいは左側の側壁に供給口が形成されるもの
であってもよい。これに伴い、ホルダ150に設けられ
たインクジェットヘッドユニット160の位置、及びイ
ンク供給管165の位置も下壁の左端側あるいは左側の
側壁に形成された供給口に対応する位置に設けられたも
のであってもよい。
【0179】〈弁機構〉次に、上述したインクタンクユ
ニット200のジョイント口230の内部に設けられた
弁機構について図12を参照して説明する。
【0180】図12(a)は、第2弁枠260bと弁体2
61との関係の正面図、図12(b)は、図12(a)の側
断面図、図12(c)は、第2弁枠260bと回転した弁
体261との関係の正面図、図12(d)は、図12
(d)の側断面図である。
【0181】ここでは、図12(a)及び図12(b)
に示すように、ジョイント口230の開口形状は、イン
ク収納容器201のインクの供給性能を高めるために、
一方向に延びる長穴状になっており、ジョイント口23
0の開口面積が拡大されている。しかしながら、ジョイ
ント口230の長手方向に対して垂直な横方向へジョイ
ント口230の開口幅を拡大すると、インク収納容器2
01の占めるスペースが増大し、ひいては装置の大型化
につながってしまう。この傾向は、最近のカラー化、フ
ォト化に伴い、インクタンクを横方向(キャリッジ走査
方向)に並列して並べる場合、特に効果がある。このた
め、本実施形態においては、インク収納容器201のイ
ンク供給口であるジョイント口230の形状を長穴とし
た。
【0182】さらに、本実施形態のインクジェットヘッ
ドカートリッジでは、ジョイント口230は、インクを
負圧制御室ユニット100に供給する役割と、インク収
納容器201内に大気を導入する役割とを有している。
従って、ジョイント口230が、重力方向に対して垂直
な方向に長手方向を持つ長穴形状となっていることは、
ジョイント口230内の下部を主としてインク供給路、
ジョイント口230内の上部を主として大気導入路とし
て容易に機能分離することが可能となり、確実なインク
供給及び気液交換を達成することができる。
【0183】前述したように、ジョイント口230の内
部には、インクタンクユニット200の装着に伴って負
圧制御室ユニット100のジョイントパイプ180が挿
入される。これにより、ジョイントパイプ180先端の
弁開閉用突起180bによって弁体261が押されてジ
ョイント口230の弁機構が開くことで、インク収納容
器201内のインクが負圧制御室ユニット100内へ供
給される。インクタンクユニット200がジョイントパ
イプ180に装着される姿勢により、弁開閉用突起18
0bが弁部材に対して、かた当たりをした場合において
も、ジョイントパイプ180の側面に配されているシー
ル用突起180aの先端部の断面形状が半円形状である
ことにより、弁体261の捩じれを回避することが可能
である。このとき、弁体261の安定的な摺動を可能と
するために、ジョイント口230内側のジョイントシー
ル面260と、弁体261の第1弁枠260a側の部分
の外周との間には、図12(a)及び図12(b)に示
すようにクリアランス266が設けられている。
【0184】さらに、ジョイントパイプ180の先端部
分では、少なくとも上部が開放されているので、ジョイ
ントパイプ180がジョイント口230に挿入された場
合にジョイントパイプ180内及びジョイント口230
内の上部での主たる大気導入路の形成が阻害されること
がなく、速やかな気液交換動作が可能となっている。
【0185】逆に、インクタンクユニット200の取り
外し動作時はジョイントパイプ180がジョイント口2
30から離れることにより、弁体261が付勢部材26
3から受ける弾性力により第1弁枠260a側の前方に
摺動し、図12(d)に示すように、第1弁枠260a
の弁枠シール部264と弁体261の弁体シール部26
5が係合することでインクの供給路が遮断される。
【0186】図13は、ジョイントパイプ180の先端
部の形状の一例を示す斜視図である。図13に示すよう
に、長穴形状のジョイントパイプ180の先端部におけ
る上方の部分には上側開口部181aが形成され、その
先端部における下方の部分には下側開口部181bが形
成されている。下側開口部181bはインク通路であ
り、上側開口部181aは、空気の通路用のものである
が、上側開口部181aにはインクが通されることもあ
る。
【0187】また弁体261の、第1弁枠260aへの
付勢力の値としては、使用環境の変化においてインク収
納容器201で内外圧の差が生じたとしても弁体261
の付勢力がほぼ一定に保たれるように設定されている。
このようなインクタンクユニット200を0.7気圧の
高地で使用した後、弁体261を閉じ、インクタンクユ
ニット200を1.0気圧の環境下に運搬した場合、イ
ンク収納容器201内は大気圧よりも圧力が低くなり、
弁体261を押し開く方向にその弁体261に力が働く
ことになる。本実施形態の場合、大気が弁体261を押
す力FAは、 FA=1.01×105[N/m2] (1.0気圧)となる。
【0188】また、インクタンク内の気体が弁体261
を押す力FBは、 FB=0.709×105[N/m2] (0.7気圧) となる。このような環境変化に対して常に弁体261に
付勢力を発生させるためには弁体261の付勢力FV
は、 FV−(FA−FB)>0 を満たす必要がある。つまり、本実施形態においては、 FV>1.01×105−0.709×105=0.30
4×105[N/m2] となる。この値は弁体261と第1弁枠260aが係合
している場合のものである。弁体261と第1弁枠26
0aが離れている場合、すなわち弁体261への付勢力
を発生させるための付勢部材263の変位量が大きくな
るため、弁体261を第1弁枠260a側に付勢する付
勢力の値はさらに大きくなることは明らかである。
【0189】このような構成の弁機構では、弁開閉用突
起180bの弁体261との摺動面が、インクの固着な
どにより摩擦係数が増大することがあり、その際には弁
体261が弁開閉用突起摺動面上を摺動せず、そのため
に回動動作に伴い、弁体261が弁開閉用突起180b
によって図中上方に押し上げられつつストロークすると
いういわゆる拗れ現象が発生する恐れがある。
【0190】そこで、拗れ(こじれ)現象の発生による
シール性能への影響を考慮できる弁の形態について比較
例とともに以下に述べる。
【0191】図14は本発明の弁機構と比較するための
形態例を示し、図15及び図16は図14の弁機構にお
ける拗れとシール状態を示している。図14の比較例で
は、長穴形状の弁体501および第2弁枠500bの間
の、摺動のためのクリアランス506は一定量である。
弁体501は付勢部材503により第1弁枠500aに
押し付けられ、弁体501の第2弁枠500b側のテー
パ状の弁体シール部501cと第1弁枠500aのテー
パ状のシール部500cとの密着によりジョイント口5
30をシールする。このような比較例の構造において上
記の拗れ現象が発生すると、図15に示すように弁体5
01と第2弁枠500bは接触面510aと接触面51
1bの2箇所で接触している。この2箇所の接触面間の
距離をX、クリアランス量をYとするとその拗れ角θは
θ=tan-1(2Y/X)となり、クリアランス量が同
一であれば接触面間距離Xが大きいほど小さくできる。
【0192】しかしこの比較例の場合は接触面間距離X
は比較的(例えば弁体直径と比べて)短いため、拗れ角
θは比較的大きい。言い換えれば、拗れの修正のために
は比較的大角度の回転動作を必要とする為、発生した拗
れは修正される確率が低いことが判る。
【0193】この拗れが修正されないまま、図16に示
すように再び第1枠体500aとの当接がなされると、
テーパ状の弁体シール部501c及び第1弁枠シール部
500cの特に長穴形状におけるR部においては両者の
当接半径が異なってしまい当接部が完全に密着せず、イ
ンク漏れが発生してしまう。
【0194】また、第2弁枠500bと弁蓋502とは
超音波で溶着されているが、比較例の弁蓋は単純な平面
であるため、超音波振動による位置ずれが生じ、弁体5
01の摺動軸501aが挿入される弁蓋502の穴のセ
ンター位置の精度がばらつく恐れがある。そのため、弁
蓋502の穴と弁体501の摺動軸501aとが接触し
ないように弁蓋502の穴を大きくとる必要が生じる。
付勢部材503の最小径は弁蓋502の穴径により決ま
るため、付勢部材503の小型化、ひいては弁の機構全
体の小型化が難しいものとなる。
【0195】このような比較例に対し、本実施形態の弁
機構は次のような構成をとる。図17は本発明の実施の
形態による弁機構を示し、図18及び図19は図17の
弁機構における拗れとシール状態を示している。図17
に示すように、本実施形態では弁体261はストローク
方向(図中右向き)に向かって直径(少なくとも長径)
が小さくなる方向にテーパーが設けられている。第2弁
枠260bの内周部は同じくストローク方向に向かって
内径が大きくなる方向にテーパーが設けられている。こ
の構成で弁体261が拗れた場合、図15の比較例の接
触面511bの位置で弁体261と第2弁枠260bと
が接触するには甚だ大きい角度が必要であり、その角度
に到達する前に弁体261の摺動軸が弁蓋262の穴に
接触する(図18参照)。これにより接触面間距離Xを
長く設定することができ、その結果、拗れ角θを小さく
することができる。そのため、拗れが修正されないまま
図19に示すように弁体261が第1枠体500aに当
接されても、比較例に比べて拗れ角θが非常に小さいた
め、弁体シール部265と第1弁枠シール部264との
密着性が良好である。
【0196】ただこの場合の拗れ角は、接触面間距離を
X、弁体261と第2弁枠260bの間のクリアランス
をY1、弁体261の摺動軸と弁蓋260bの穴の間の
クリアランスをY2とした場合、θ=tan-1(Y1+
Y2/X)となる。
【0197】また弁蓋252には、弁蓋252を第2弁
枠260bの内側に進入させると共に第2弁枠260b
の端部に当接することが可能な段部(弁蓋の進入量0.
8mm)である弁蓋溶着ガイド262aが設けられてい
る。そのため、弁蓋262において弁体261の摺動軸
が入る穴の径が比較例よりも小さくしてある。つまり、
弁蓋溶着ガイド262aにより、第2弁枠260bと弁
蓋262の超音波溶着のときの振動による弁蓋262の
位置ずれが小さくなるので、弁蓋262の穴のセンター
位置の精度を向上することができる。この事により、弁
蓋262の穴径を小さくでき、付勢部材263の最小径
をさらに小さくできるため、弁機構の小型化を図ること
ができる。また、弁体261の拗れにより弁体261の
摺動軸を介して弁蓋262に力が加わっても、弁蓋溶着
ガイド262aにより弁蓋262の剛性を確保すること
ができる。
【0198】さらに、弁蓋262の穴の稜線上にはR部
262bが設けられている。このR部262bは穴の稜
線のうち非溶着面側(図中右側)のみに設けてある。こ
の構成によると、拗れたままの弁体261の動作、特に
弁閉時における弁体261の摺動軸と弁蓋262との接
触抵抗を低減させることができる。
【0199】また、弁体261の第1弁枠260a側と
当接される端部は平面からなる弁体シール部265とな
っている。一方、第1弁枠260aの弁体シール部26
5が当接する部分は、第1弁枠260aの内側に設けた
エラストマー267からなる第1枠体シール部264と
なっている。このように弁体261と第1弁枠260a
のシール部分をフラット化することにより、仮に弁体が
拗れて当接しても、長円形状の弁体261のR部の第1
枠体260aに対する当接半径は一致するため、完全な
当接がなされる。さらに、第1弁枠シール部264を舌
状に突き出した形状にしているので、その当接時のシー
ルがより確実なものとなる。
【0200】また、このような構成の弁機構で、弁体2
61と第2弁枠260bとの間に摺動のためのクリアラ
ンスが設けられている場合、インクタンクユニット20
0の着脱動作において、図12(c)に示すように弁体
261がその軸を中心として第2弁枠260b内で回転
してしまうことがある。しかし本実施形態では、弁体2
61がその軸を中心として回転し、最大回転角を持った
状態で第1弁枠260aに付勢されても、弁枠シール部
264と弁体シール部265とが面で接触することとな
るので、弁機構の密閉性を確保することができる。
【0201】さらに、ジョイント口230及び弁機構の
形状を長穴状にしたことで、弁体261の摺動に対して
弁体261の回転角を最小限にとどめることができ、弁
の応答性も向上させることができるので、ジョイント口
230の弁機構のシール性を確保することが可能とな
る。また、ジョイント口230及び弁機構の形状が長穴
状であることにより、インクタンクユニット200の着
脱動作において、ジョイントパイプ180の側面に配さ
れたシール用突起180a及び弁体261がジョイント
口230内で速やかに摺動し、安定した接続動作が行わ
れる。
【0202】また、図13に示したように、ジョイント
パイプ180の弁体261との当接端部は、気液交換と
液供給のために上側開口部181a及び下側開口部18
1bを形成する2つの左右対向の弁開閉用突起180b
となっている。そのため、図20の(c)及び(d)に
示すように、突起180bと当接する弁体261の、第
1枠体シール部264と密着させる弁体シール部265
を除いた箇所に、突起180bに対応する2つの当接リ
ブ310を設けることが検討される。しかし、弁開時に
は弁体261は付勢部材263の押圧力に抗して押し戻
されるため、そのリブ部分は変形しない程度の剛性が求
められる。また、当接リブ部の配置と形状については、
ジョイントパイプ180の2つの弁開閉用突起180b
に対する弁体261の当接リブ部の位置が弁体261の
摺動軸261aの軸周りにずれたとしても、摺動軸26
1aを中心に2つの当接位置に加わるモーメントが相殺
されることが信頼性の観点から求められる。そこで本実
施形態では、図20の(a)及び(b)に示すように長
穴形状のジョイントパイプ180と相似形である長穴形
状のリブ311(例えば幅0.6mm、高さ1.3m
m)が弁体261に設けられている。言い換えれば、弁
体261の、第1枠体シール部264と密着させる弁体
シール部265を除いた箇所である中央部に、長穴形状
のくぼみ部311aが設けられている。この構成によ
り、弁体261は弁開閉用突起180bとの当接の際の
強度および信頼性を持ったものになっている。なお、リ
ブの形状が円環状となっており、中央部に凹部を有する
ことで、弁体の成形性を向上することができる。また、
この点からは、円環状リブの基端部の凹部を形成する側
の領域に微小曲面を設けることが好ましい。
【0203】また、図2及び図3に示したように、イン
クタンクユニット200は、インク収納容器201の供
給口部に、第1弁枠260a及び第2弁枠260bを含
む弁機構を挿入した後、ID部材250を溶着と係合に
よって組み付けるものになっている。特に、インク収納
容器201の供給口の開口縁面に内袋220が露出され
ており、この内袋露出部221aに弁機構の第1弁枠2
60aのフランジ部268が溶着され、さらにID部材
250がフランジ部268の箇所で溶着されるとともに
タンク筐体210の係合部210aで係合されている。
【0204】このような組み付けの形態では、例えば図
14の比較例のようにID部材550が接合される第1
弁枠フランジ部508が平坦である場合、ID部材55
0に設けられた供給口穴の内側にはエラストマー567
が存在しないことになり、図4〜8に示したジョイント
パイプ180の接続動作時においてシール漏れが生じる
恐れがある。そこで本実施形態では、ジョイント口53
0の開口面と同一面上に在った、第1弁枠フランジ部5
08のID部材550の溶着面をタンク装着側と反対側
に後退させてある。つまり、図2や図17等に示すよう
に第1弁枠フランジ部268にID部材250を接着し
たとき、ID部材250の外表面がジョイント口230
の開口面と揃うように、第1弁枠フランジ部268が配
置されている。この構成によれば、ID部材250に設
けられた供給口穴の内側にはエラストマー267が確実
に存在するため、上記のようなシール漏れが生じる恐れ
の無い信頼性の高い弁機構となる。また、ジョイント口
230の開口面より第1枠体フランジ部268をずらし
たことで、ジョイント口230の開口部が第1枠体フラ
ンジ部268のフランジ面より出っ張るので、ID部材
250を組み付ける際にジョイント口230の開口部に
よりID部材250の位置が案内されて位置決めが容易
になる。
【0205】さらに本実施形態によるインクタンクユニ
ット200の各インク収納容器201はホルダー150
内に装着され、各負圧制御室容器110に対してジョイ
ントパイプ180及び容器201のジョイント口230
の弁機構を通じて、液供給を行なうものとなっている。
このようにインク収納容器201を装着したホルダー1
50は、後述するようにシリアルスキャンタイプの記録
装置(図27参照)ではキャリッジに搭載されて記録紙
と平行な方向に往復移動される。この場合、キャリッジ
往復移動時のジョイントパイプ180の軸ぶれやインク
収納容器201の位置ずれ等による接続箇所での拗れに
より、インク収納容器201のジョイント口230の内
側面と負圧制御室容器110のジョイントパイプ180
の外側面とのシール状態が悪化しないように、その予防
策を講じてあることが製品信頼性の観点から好ましい。
【0206】そのため本実施形態では、図2及び図17
等に示した弁機構の第1弁枠260aの内側のエラスト
マー267の肉厚を、第1弁枠260aとジョイントパ
イプ180との間をただ単にシールするのに最低限必要
な厚さ以上に厚くすることで、キャリッジ往復移動時の
ジョイントパイプ接続箇所の軸ブレや拗れをエラストマ
ーの撓みで抑え、より信頼性の高いシールを確保させて
いる。また他の対策としては、ジョイントパイプ180
が挿入される弁枠の剛性をジョイントパイプ180の剛
性よりも高くすることで、キャリッジ往復移動時のジョ
イントパイプ接続箇所の軸ブレや拗れによる弁枠の変形
を抑えて、より信頼性の高いシールを確保してもよい。
【0207】次に、上記の弁機構を実現するそれぞれの
部品の寸法について図13、図20、図28を参照して
説明する。
【0208】図28において、弁体261の長手方向の
長さe5が5.7mm、弁体シール部265から弁体摺動軸
261aまでの長さe3が14.4mm、第2弁枠260bか
ら弁蓋262の内側面までの長さe1が8.7mm、第2弁
枠260bから弁蓋262の外側面までの長さe2が1
1.0mm、第1弁枠260aと第2弁枠260bの間の開
口部の長さe4が3.0mm、弁体261のシール部265
からのリブ部の突出量e6が1.3mm、弁蓋溶着ガイド2
62aの長さl2が0.8mm、弁体261のシール部26
5の長手方向の長さb1が9.7mm、弁体261の弁蓋2
62側の長手方向の長さb2が9.6mm、第2弁枠260
bの第1弁枠260a側の長手方向の長さa1が10.2m
m、第2弁枠260bの弁蓋262側の長手方向の長さ
a2が10.4mm、弁体摺動軸261aの軸径c1が1.8m
m、弁蓋262の弁体摺動軸261aが挿入される穴径
c2が2.4mm、付勢部材263としてのばねの長さが11.
8mm(ばね定数:1.016N/mm)、弁蓋262のR部262
bがR0.2mm(全周)、エラストマー267の一部であ
る第1弁枠シール部264の長さg1が0.8mm、第1弁
枠シール部264のR部がR0.4mm、第1弁枠シール部
264の厚さu1が0.4mm、エラストマー267の厚み
u2が0.8mm、エラストマー267の長手方向の内径g
2が8.4mm、第1弁枠260aの長手方向の外径g3が1
0.1mm、ジョイントパイプ180の長手方向の外径g5
が8.0mm、ジョイントパイプ180のシール用突起18
0aを含む長手方向の外径g4が8.7mm、第1弁枠フラ
ンジ部268の後退量l1が1.0mm、ジョイントパイプ
180の長さl3が9.4mm、弁開閉用突起180bの長
さl4が2.5mmである。
【0209】第1弁枠シール部264の長さg1は0.8m
mとしているが、第1弁枠シール部264がシール部弁
体シール部165と当接された際に折れ曲がって弁枠の
外に出る量で、かつ完全にシールできる量が望ましい。
そのため、第1弁枠シール部264の長さg1は、(g
3−g2)/2>g1>(b1−g2)/2の範囲内に
あればよい。
【0210】また図13及び図20に示した当接関係に
ある、ジョイントパイプ180の弁開閉用突起180b
および弁体261のリブ311の寸法としては、ジョイ
ントパイプ180及びリブ311の肉厚tが0.75mm、対
向する弁開閉用突起180bの内側間隔f3が1.7mm、
弁開閉用突起180bの外側間隔f4が3.2mm、弁体2
61の長穴形状のリブ311の短手方向の外側間隔f1
が2.6mm、リブ311の短手方向の内側間隔f2が1.4m
m、リブ311の長さdが3.6mmである。
【0211】また、長穴形状の第1枠体260aの内側
のエラストマー267は成形精度の観点から、その厚み
u2は長穴形状の円周部分と直線部分とで同じであるの
が望ましい。また、ジョイント口230の上下方向にお
いて、エラストマー267とジョイントパイプ180の
最大径部(シール用突起180aを含んだ箇所)との間
のシールのための食い込み量は、g4−g2=0.3mm
であり、この量をエラストマー267で吸収させた。こ
のとき、吸収するための実質肉厚が0.8mm×2=1.6mmあ
るが、上記食い込み量は0.3mmのため、エラストマー
267の変形にはそれほど力は必要ない。一方、ジョイ
ント口230の横方向においても、シールのための食い
込み量を0.3mmとし、実質肉厚が0.8mm×2=1.6mmのエ
ラストマー267でその食い込み量を吸収させた。ここ
で、縦方向についてジョイントパイプの外径g5<エラ
ストマーの長手方向の内径g2であり、横方向について
も同様にg5<g2なので、図28に示す状態におい
て、エラストマーはジョイントパイプのシール用突起1
80aにのみ当接することで、スムーズな挿入と結合部
の確実なシールを行うことができる。インク収納容器2
01のホルダー150における横方向のがたつきはエラ
ストマーの肉厚で吸収される範囲(本実施形態の場合±
0.8mm)であればよく、本実施例でのがたつきの許容範
囲は最大で±0.4mmとした。ここで、本実施形態の場
合、横方向のがたつきの量(中心の位置からのずれ量)
が、ジョイントパイプの外径g5とエラストマーの長手
方向の内径g2の差の絶対値の半分より大きい場合(す
なわち、本実施形態での横方向のがたつきが±0.2mm以
上の場合)には、ジョイントパイプのシール用突起18
0a以外の管の外壁がエラストマーに広範囲にわたり当
接して押圧するために、エラストマーの弾性力により中
心の位置に戻ろうとする力が働くことになる。
【0212】以上のような寸法を採れば、上述した効果
を奏する弁機構を実現することができた。
【0213】なお、以上の説明では弁体261について
例示したが、もう一つの弁体1261についても実質的
に同一構成であるため、1000加えた符号を付与し説
明は省略する。
【0214】〈弁機構の配置場所による効果〉また、本
実施形態のインクジェットヘッドカートリッジでは、イ
ンクタンクユニット200のジョイント口230に取り
付けられた弁機構における弁蓋262及び第2弁枠26
0bが、内袋220内に深く進入している。これによ
り、内袋220内のインクの消費に伴って内袋220が
変形した際に、内袋220におけるジョイント口230
付近の部分が筐体210から剥離しても、弁機構の、内
袋220内に深く挿入された部分、すなわち弁蓋262
や第2弁枠260bによって、内袋220におけるジョ
イント口230付近の部分の変形が規制される。このよ
うに、インクの消費に伴って内袋220が変形しても、
内袋220の、弁機構近傍の部分、及びその周囲の変形
が、その弁機構によって規制されることで、内袋220
内における弁機構の周囲のインク流路、及び気液交換動
作が行われる際の気泡上昇のための気泡用通路が確保さ
れる。そのため、内袋220の変形時における内袋22
0内から負圧制御室ユニット100へのインクの供給、
及び内袋220内での気泡上昇が妨げられることがな
い。
【0215】上述したように変形可能な内袋220を有
するインクタンクユニット200や、負圧制御室ユニッ
ト100を備えたインクジェットヘッドカートリッジで
は、内袋220をなるべく大きく変形させた上でインク
タンクユニット200と負圧制御室ユニット100との
気液交換動作を行うように内袋220内の負圧と負圧制
御室容器110内の負圧とをバランスさせることが、筐
体210内のバッファ空間を増やす上で望ましい。ま
た、インクの高速供給のためには、インクタンクユニッ
ト200のジョイント口230を大きくするとよい。も
ちろん、内袋220内におけるジョイント口230付近
の領域も、大きく空間が空いていて、その領域でインク
供給路が十分に確保されていることが望ましい。
【0216】そのように、内袋220を収納する筐体2
10内のバッファ空間を確保するために内袋220の変
形を大きくすると、通常、内袋220内におけるジョイ
ント口230付近の空間が、内袋220の変形に伴って
狭くなってしまう。内袋220内におけるジョイント口
230付近の空間が狭くなった場合、内袋220内で気
泡の上昇が妨げられたり、ジョイント口230付近のイ
ンク供給路が縮小されたりすることで、高速なインク供
給に対応できなくなる可能性がある。従って、本実施形
態のインクジェットヘッドカートリッジのように弁機構
が内袋220内に深く進入しておらず、内袋220の、
ジョイント口230の周囲の部分の変形が規制されてい
ない場合では、高速なインク供給に対応するために、内
袋220の変形量を、インクの供給に大きな影響を及ぼ
さない範囲までの変形量に押さえて、内袋220内の負
圧と負圧制御室容器110内の負圧とをバランスさせな
ければならない。
【0217】これに対して本実施形態では、上述したよ
うに内袋220内の奥にまで弁機構が進入して、その弁
機構によって内袋220の、ジョイント口230付近の
部分の変形が規制されている。これにより、内袋220
の変形を大きくしても、内袋220内におけるジョイン
ト口230付近の領域、すなわちジョイント口230と
連通するインク供給路を十分に確保することができるの
で、筐体210内での大きなバッファ空間の確保と、高
流量でのインクの供給とを両立することが可能となる。
【0218】また、上述したインクジェットヘッドカー
トリッジにおけるインクタンクユニット200の底部の
下方には、後述するように内袋220内のインクの残量
を検出するためにインク残量検知手段として用いられる
電極270が配置されている。電極270は、ホルダ1
50が装着されるプリンタのキャリッジに固定されてい
る。ここで、弁機構が取り付けられるジョイント口23
0は、インクタンク200の、負圧制御室ユニット10
0側となる前端面の下部に設けられ、弁機構が、インク
タンクユニット200の底面とほぼ平行な方向で内袋2
20内に深く挿入されているので、内袋220が変形し
た際に、弁機構の、深く挿入された部分によって内袋2
20の底部の変形が規制されている。さらに、筐体21
0及び内袋220からなるインク収納容器201の底部
の一部が傾斜していることによっても、内袋220の変
形時における内袋220の底部の変形が規制されてい
る。このようなインク収納容器201の底部の傾斜によ
って内袋220の底部の変形が規制される効果に加え
て、弁機構によって内袋220の底部の変形がさらに規
制されることにより、内袋220の底部の、電極270
に対する移動が規制されるため、より正確なインク残量
検知が可能となる。従って、上述したように内袋220
の、ジョイント口230の付近の部分の変形が弁機構に
よって規制されていることで、内袋220の変形を大き
くすることによる筐体210内での大きなバッファ空間
の確保と、高流量でのインクの供給とを両立させた上で
さらに、より正確なインク残量検知が可能な液体供給シ
ステムが得られる。
【0219】本実施形態では、上述したように内袋22
0の、ジョイント口230の付近の部分の変形が規制さ
れるように内袋220内の奥深くに弁機構を進入させて
いるが、弁機構とは異なる別の部材を内袋220内に進
入させて内袋220のその部分の変形を規制してもよ
い。また、内袋220の底部における電極270近傍の
部分の変形を防止するように、板部材などをジョイント
口230から内袋220内に進入させて、その板部材を
内袋220内の底面に沿って延在させてもよい。これに
より、電極270を用いて内袋220内のインク残量を
検出する際に、より正確なインク残量検知を行うことが
できる。
【0220】さらに、本実施形態では、ジョイント口2
30に取り付けられた弁機構において、ジョイント口2
30と連通してインク流路となる開口260cよりも、
さらに内袋220の奥にまでその弁機構の構成部品が進
入している。これにより、インクタンクユニット200
は、内袋220内におけるジョイント口230付近のイ
ンク流路を確実に確保することができるような構成とな
っている。
【0221】なお、以上の説明では弁体261について
例示したが、もう一つの弁体1261についても実質的
に同一構成であるため、1000加えた符号を付与し説
明は省略する。
【0222】〈インクタンクの製法〉次に、図21に基
づいて本形態のインクタンクの製造方法について説明す
る。
【0223】まず、図21(a)に示すように、インク
収納容器201の内袋露出部221aを重力方向上方に
向け、インク注入ノズル402によってインク供給開口
部からインク収納容器201内にインク401を注入す
る。本発明の構成では大気圧下でのインク注入が可能で
ある。
【0224】次に、図21(b)に示すように、弁体2
61,1261、弁蓋262,1262、付勢部材26
3,1263、第1弁枠260a,1260a、第2弁
枠260b,1260bをあらかじめ組み込んだ後、こ
の弁ユニットをインク収納容器201の供給口部に落と
し込む。
【0225】この時、インク収納容器201のシール面
102の外周部が第1弁枠260a,1260aの溶着
面外側の段形状によって囲まれ、インク収納容器201
と第1弁枠260a,1260aとの位置がきまり、位
置精度を出すことが可能となる。そして、溶着ホーン4
00を上方から第1弁枠260a,1260aのジョイ
ント口230,1230の外周部にあて、第1弁枠26
0a,1260aとインク収納容器201の内袋220
とがシール面102で溶着されると同時に、シール面1
02の外周部で第1弁枠260a,1260aとインク
収納容器201の筐体210とが溶着確実なシールが可
能となる。尚、本発明においては超音波溶着及び振動溶
着においても適用可能である。また、熱溶着・接着剤等
にも適用可能である。
【0226】次に図21(c)に示すように、ID部材
250を第1弁枠260a,1260aが溶着されたイ
ンク収納容器201にかぶせる。この時、インク収納容
器201の筐体側面部に形成される係合部210aとI
D部材250のクリック部250aとが係合されると同
時に、ID部材250の下面側にあるクリック部250
aはインク収納容器201のシール面102の対方向に
位置する筐体210を第1弁枠260a,1260aを
挟み込んだ状態で係合する(図3参照)。
【0227】〈タンク内のインク残量検出〉次に、イン
クタンクユニット内のインク残量の検出について説明す
る。
【0228】図2に示したように、ホルダ150の、イ
ンクタンクユニット200が装着される領域の下方に
は、インク収納容器201の幅(図面の奥行き方向)よ
りも狭い幅を持つ板状の電極270が設けられている。
この電極270は、ホルダ150が装着されるプリンタ
のキャリッジ(不図示)に固定されており、配線271
を介してプリンタの電気制御系に接続されている。
【0229】一方、インクジェットヘッドユニット16
0は、インク供給管165と連通するインク流路162
と、それぞれインク吐出用のエネルギを発生するエネル
ギ発生素子(不図示)を備えた複数のノズル(不図示)
と、インク流路162から供給されたインクを一時的に
保持して各ノズルに供給する共通液室164とを備えて
いる。エネルギ発生素子は、ホルダ150に設けられた
接続端子281と接続され、ホルダ150がキャリッジ
に装着されることによって、接続端子281はプリンタ
の電気制御系に接続される。プリンタからの記録信号
は、接続端子281を介してエネルギ発生素子に送ら
れ、エネルギ発生素子の駆動によりノズル内のインクに
吐出エネルギを与えることで、ノズルの開口端である吐
出口からインクが吐出される。
【0230】また、共通液室164内には、同じく接続
端子281を介してプリンタの電気制御系と接続する電
極290が設けられている。これら2つの電極270、
290で、インク収納容器201内のインク残量検知手
段が構成される。
【0231】なお、本実施形態では、このインク残量検
知手段によるインク残量の検知をより正確に行えるよう
にするため、インクタンクユニット200のジョイント
口230を、図2に示すインク収納容器201の最大面
積面に挟まれる面の、使用状態における下端部に設けて
いる。また、インク供給容器201の底面の一部を、使
用状態において水平面に対して傾斜させている。具体的
には、インクタンクユニット200のジョイント口23
0,1230が設けられた側の端を前端、それと反対側
の端を後端としたとき、弁機構が設けられた前端部分の
近傍は水平面と平行な面とし、そこから後端までの領域
は、前端から後端に向かって上昇する傾斜面としてい
る。この、インク収納容器201の底面の傾斜角度は、
後述する内袋220の変形を考慮すると、インクタンク
ユニット200の後端面とのなす角が鈍角であることが
好ましく、本実施形態では95度以上となるように設定
されている。
【0232】そして、このようなインク収納容器201
の底面の形状に合せて電極270は、インク収納容器2
01の傾斜領域と対向する位置に、この傾斜領域と平行
になるように配置されている。
【0233】以下に、このインク残量検知手段による、
インク収納容器201内のインクの残量検知について説
明する。
【0234】インク残量検知は、ホルダ150側の電極
270と共通液室164内の電極290との間にパルス
電圧を印加し、そのときの電極270とインクとの対向
面積に応じて変化するキャパシタンス(静電容量)を検
出することによって行う。例えば、両電極270、29
0間に、ピーク値が5Vの矩形波パルス電圧をパルス周
波数1kHzで印加し、その回路の時定数およびゲイン
を演算処理することで、インク収納容器201内のイン
クの有無を検知することができる。
【0235】インクの消費によりインク収納容器201
内のインク残量が減少してくると、インク液面はインク
収納容器201の底面に向かって下降してくる。さら
に、インク残量が減少し、インク液面がインク収納容器
201の底面の傾斜領域に達すると、インクの消費に伴
い、電極270とインクとの対向面積が徐々に小さくな
り(電極270とインクとの距離はほぼ一定)、キャパ
シタンスが減少し始める。
【0236】最後には、電極270と対向する部位には
インクが存在しなくなり、ゲインの低下およびインクに
よる電気抵抗の上昇を、印加パルスのパルス幅を変えた
り、パルス周波数を変えたりして時定数を演算すること
で検出でき、これをもって、インク収納容器201内の
インクが非常に少ないことを判定する。
【0237】以上が、インク残量の検出の概略である
が、実際には、本実施形態のインク収納容器201は、
内袋220と筐体220とで構成されており、インクの
消費とともに、負圧制御室容器110内の負圧とインク
収納容器201内の負圧とのバランスを保つように、両
者の間での気液交換、及び、外気連通口222を介して
の筐体210と内袋220との間への空気の導入を行い
ながら、内袋220は内容積減少方向に内側へ変形して
いく。
【0238】この変形の際、図9に示すように、内袋2
20はインク収納容器201のコーナー部で規制を受け
ながら変形する。内袋220の変形、すなわち筐体21
0からの剥離あるいは離脱は、最大面積面(図9に示す
断面とほぼ平行な面)となる2つの面で一番大きく、そ
の面と隣接する面である底面では小さい。それでも、内
袋220の変形に伴って、インクと電極270との距離
は大きくなり、キャパシタンスはその距離に反比例して
小さくなる。しかしながら、本実施形態では、内袋22
0の変形方向とほぼ直交する面に電極270の主領域が
あり、内袋220が変形しても、電極270と内袋22
0の底部近傍領域とはほぼ平行に保たれる。その結果、
静電容量を形成する面積が確保され、確実な検出が可能
となる。
【0239】また、前述したように本実施形態では、イ
ンク収納容器201の底面と後端面とのなすコーナー部
の角度が95度以上の鈍角を構成しているため、他のコ
ーナー部に比べて内袋220が筐体210から離脱し易
い。その結果、ジョイント口230,1230に向かっ
て内袋220が変形した際にも、インクをジョイント口
230,1230に向かって排出し易く構成される。
【0240】以上、本実施形態の構成の説明を個別に行
ったが、これらは適宜組み合わせても可能なものであ
り、組み合わせることによりさらなる効果も可能であ
る。
【0241】例えば、ジョイント部を長円構成と前述の
弁構成とを組み合わせることで、着脱時の摺動を安定さ
せ、弁の開閉についてもより確実な開閉が可能となる。
また、長円形状とすることで、インクの供給量を確実に
向上させることができる。この際、回動装着の支点が上
部にシフトするが、インクタンクの底面を上部に傾斜さ
せることで、こじれの少ない、安定した着脱動作が可能
となる。
【0242】以上説明したように本実施形態の上記構成
は、従来にはない構成であって、それぞれが単独で有効
なものをもたらすとともに、複合的にも各構成要件があ
ることで有機的な構成をもたらすものである。すなわ
ち、上述における各構成は単独でも複合的に見ても優れ
た発明であり、本発明にとって好ましい構成例を開示し
ているものである。
【0243】<インクジェットヘッドカートリッジ>図
26は本発明に適用可能なインクタンクユニットを用い
たインクジェットヘッドカートリッジの概略説明図であ
る。
【0244】図26に示す形態のインクジェットヘッド
カートリッジ70は、複数種類の液体(本実施形態の場
合、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の
3色)を吐出可能なインクジェットヘッドユニット16
0にそれぞれの液体を収納した負圧制御室容器110
a、110b、110cが一体化された負圧制御室ユニ
ット100を備えており、この負圧制御室ユニット10
0に対してそれぞれの液体を収納したインクタンクユニ
ット200a,200b,200cを互いに着脱可能と
している。
【0245】本実施形態では、それぞれのインクタンク
ユニット200a,200b,200cを対応する負圧
制御室容器110a、110b、110cに誤りなく装
着させるために、インタンクユニット200の外面の一
部を覆うのホルダー150を設けるとともに、インクタ
ンクユニット200の装着方向前面に凹部を有するID
部材250を設け、負圧制御室容器110にID部材2
50の凹部と対応する凸状のID部材170を設けるこ
とで、確実に誤装着を防止する構成となっている。
【0246】本発明においては、収納される液体の種類
はY,M,C以外の他の色であってもよいことは言うま
でもなく、収納される液体容器の数、及び組合せ(例え
ばブラック(Bk)のみ単独のタンクで、他のY,M,
Cは一体タンクとする)についても任意であることは言
うまでもない。
【0247】<記録装置>最後に、上述のインクタンク
ユニット、あるいはインクジェットヘッドカートリッジ
を搭載可能なインクジェット記録装置の一例について、
図27を用いて説明する。
【0248】図27に示す記録装置は、インクタンクユ
ニット200及びインクジェットヘッドカートリッジ7
0を着脱自在に搭載可能なキャリッジ81と、ヘッドの
複数のオリフィスからのインク乾燥を防止するためのヘ
ッドキャップとヘッドの動作不良時に複数のオリフィス
からインクを吸引するための吸引ポンプとが組み込まれ
たヘッド回復ユニット82と、被記録媒体としての記録
用紙が搬送される給紙面83とを備える。
【0249】キャリッジ81は、回復ユニット82上で
の位置をホームポジションとしており、ベルト84がモ
ータなどにより駆動されることで図中の左方向へ走査さ
れる。この走査中に、給紙面(プラテン)83上に搬送
された記録用紙に向けてヘッドよりインクを吐出するこ
とで印字が行なわれる。
【0250】<変形例>図29には、本実施形態の変形
例のインクタンクユニット2200が示されている。図
29に示されている変形例では、単一の内袋露出部22
21aが2つの第2弁枠260b,1260bを挿入す
る構成となっている。それ以外の構成は図3と同様であ
る。
【0251】図30には、本実施形態の変形例のインク
タンクユニット3200が示されている。図30に示さ
れている変形例では、鉛直上方に位置する円形のジョイ
ント口2230が、鉛直下方に位置する円形のジョイン
ト口3230よりも大径になっている。下方のジョイン
ト口3230に接続されるジョイントパイプ(図示せ
ず)はインクのみが流通する液体供給用接続管であるた
め、径の細さにかかわらず液体の連続的な流通を確保し
やすいが、上方のジョイント口2230ジョイントパイ
プ(図示せず)はエアとインクとが流通する気液交換用
接続管であるため、径が細いと、気泡(エア)の移動に
対する抵抗が大きく、気泡がインクタンクユニット20
0へ移動しにくく、気液交換動作が円滑に行われにく
い。そこで、気泡(エア)の移動に対する抵抗を小さく
し、気泡がインクタンクユニット200へ移動しやす
く、気液交換動作が円滑に行なわれるように、上方のジ
ョイントパイプおよびジョイント口2230の径が大き
く形成されている。
【0252】図31に示す他の変形例のインクタンクユ
ニット4200は、図30と同様に鉛直上方に位置する
ジョイント口4230が、鉛直下方に位置するジョイン
ト口5230よりも大面積になっている。本実施形態で
は、上方のジョイント口4230は縦横比が1:3の横
長の長円形である。なお、図32に示す変形例のインク
タンクユニット5200ように、上方の長円径のジョイ
ント口6230が斜めに形成された構成としてもよい。
【0253】また、図33に示す他の変形例のインクタ
ンクユニット6200は、3つのジョイント口723
0,8230,9230をもつ例であり、3つのジョイ
ント口および弁(不図示)はいずれも円断面で、上方に
2つのジョイント口7230,8230が設けられてお
り、これらの面積の総和はインクを供給するジョイント
9230aの断面積の2倍となっている。
【0254】図29〜33に示す変形例においては、詳
述しないが、いずれも各ジョイント口に対応したジョイ
ントパイプおよび弁機構が設けられている。
【0255】なお、以上説明した実施例においては、イ
ンクタンクユニット200側にのみ弁機構(上方弁およ
び下方弁)を有する構成について説明したが、下方弁に
ついては、負圧制御室ユニット100側に弁機構を有
し、インクタンクユニット側は、開口部の表面張力によ
るメニスカスで、インクタンクユニットが単体で存在す
る場合のインクの漏れ出しを防止する構成としてもよ
い。この場合、販売時には、インクタンクユニット20
0側の下方の開口をシールテープなどでシールすること
が、例えば物流時にインクタンクユニットが押圧された
場合にもインクが漏れ出ることを防げるので、望まし
い。
【0256】なお、本発明の弁機構は、上述の液体収納
容器において最も好適に利用可能なものであるが、液体
収納容器の形状としてはこの形態に限定されることな
く、供給口部において液体を直接収容する、他の容器に
も適用することができる。
【0257】
【発明の効果】簡単な構成で作業を難しくすることな
く、インク供給容器の毛管力発生部材収納容器への装着
動作時に、インク供給容器にエアが進入することを防
ぐ。使用者が余計な神経を使うことなしに簡単に装着で
きる構成でありながら、装着時のインク供給容器内への
エア取り込みや気液交換を防止することが可能となり、
安定したインク供給システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態であるインクジェット
ヘッドカートリッジを示す斜視図である。
【図2】図1のカートリッジの断面図である。
【図3】図2に示したインクタンクユニットについて説
明するための斜視図である。
【図4】図2の負圧制御室ユニットにインクタンクユニ
ットを装着する動作の第1段階について説明するための
断面図である。
【図5】図2の負圧制御室ユニットにインクタンクユニ
ットを装着する動作の第1段階について説明するための
断面図である。
【図6】図2の負圧制御室ユニットにインクタンクユニ
ットを装着する動作の第1段階について説明するための
断面図である。
【図7】図2の負圧制御室ユニットにインクタンクユニ
ットを装着する動作の第1段階について説明するための
断面図である。
【図8】図2の負圧制御室ユニットにインクタンクユニ
ットを装着する動作の第1段階について説明するための
断面図である。
【図9】図2に示したインクジェットヘッドカートリッ
ジにおけるインクの供給動作について説明するための断
面図である。
【図10】図9に基づいて説明するインク消費動作にお
けるインクの状態について説明するための図である。
【図11】図9に基づいて説明するインク消費動作で内
袋の変形による内部圧力変動の抑制効果について説明す
るための図である。
【図12】本発明に適用可能な弁機構における弁枠と弁
体との関係を示す図である。
【図13】本発明に適用可能な弁機構の開閉動作時に係
合するジョイントパイプの先端部の形状の一例を示す斜
視図である。
【図14】本発明に適用可能な弁機構と比較するための
形態例を示す図である。
【図15】図14の弁機構における拗れの状態を示す図
である。
【図16】図14の弁機構におけるシール状態を示す図
である。
【図17】本発明に適用可能な弁機構を示す図である。
【図18】図17の弁機構における拗れの状態を示す図
である。
【図19】図17の弁機構におけるシール状態を示す図
である。
【図20】図17の弁機構における弁体のジョイントパ
イプ先端部との係合形状を説明するための図である。
【図21】本発明に適用可能なインクタンクの製造方法
を説明するための図である。
【図22】図2に示したインク収納容器の内部構成例を
示す断面図である。
【図23】図2に示した負圧制御室容器内の吸収体を説
明するための図である。
【図24】図2に示した負圧制御室容器内の吸収体を説
明するための図である。
【図25】図2に示したインクタンクユニットの回動に
よる着脱動作を説明するための図である。
【図26】本発明に適用可能なインクタンクユニットを
用いたインクジェットヘッドカートリッジの概略説明図
である。
【図27】本発明のインクジェットヘッドカートリッジ
を適用可能な記録装置の概略構成を示す図である。
【図28】本発明に適用可能なインクタンクユニットの
接続箇所の構成部品の寸法を説明するための図である。
【図29】本発明の変形例のインクタンクユニットの斜
視図である。
【図30】本発明の他の変形例のインクタンクユニット
の斜視図である。
【図31】本発明の他の変形例のインクタンクユニット
の斜視図である。
【図32】本発明の他の変形例のインクタンクユニット
の斜視図である。
【図33】本発明の他の変形例のインクタンクユニット
の斜視図である。
【図34】従来のインクタンクユニットの接続箇所を説
明するための図である。
【図35】従来の他のインクタンクユニットの接続箇所
を説明するための図である。
【図36】図35に示すインクタンクユニットの接続箇
所からのエアの進入を説明するための図である。
【符号の説明】
21 繊維 70 インクジェットヘッドカートリッジ 81 キャリッジ 82 ヘッド回復ユニット 83 給紙面 84 ベルト 102 シール面 100 負圧制御室ユニット(毛管力発生部材収納容
器) 110 負圧制御室容器 113c 境界面 115 大気連通口 116 バッファ空間 120 負圧制御室蓋 121 ガイド部 130、140 吸収体 131 供給口 150 ホルダ 151 底部 155 インクタンク係止部 160 インクジェットヘッドユニット 161 フィルタ 162 インク流路 164 共通液室 165 インク供給管 170 ID部材 180,1180 ジョイントパイプ(接続管) 180a,1180a シール用突起 180b,1180b 弁開閉用突起 181a,1181a 上側開口部 181b,1181b 下側開口部 200 インクタンクユニット(インク供給容器) 201 インク収納容器 210 筐体 210a 係合部 211a、211b 接触面 220 内袋 221 ピンチオフ部 221a 内袋露出部 222 外気連通口 230 ジョイント口(接続管) 250 ID部材 250a クリック部 252 ID用凹部 251 傾斜面 253,1253 係合穴 260,1260 ジョイントシール面 260a,1260a 第1弁枠 260b,1260b 第2弁枠 260c,1260c 開口 261,1261 弁体 262,1262 弁蓋 262a,1262a 弁蓋溶着ガイド 262b,1262b R部 263,1263 付勢部材 264,1264 第1弁枠シール部 265,1265 弁体シール部 266,1266 クリアランス 267,1267 エラストマー 268,1268 弁体フランジ部 270、290 電極 280 ゴムジョイント部 281 接続端子 300、401 インク 400 溶着ホーン 402 インク注入ノズル 600 回転中心 601 インクタンクユニット係止部上端 602 インクタンクユニット係止部下端 603 インク供給口中心高 2200,3200,4200,5200,6200
インクタンクユニット 2221a 内袋露出部 2230,3230,4230,5230,6230,
7230,8230,9230 ジョイント口(接続
管) L 気液界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 英一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 北畠 健二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 服部 省三 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 林 弘毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA15 EA26 EB20 EB51 KB05 KB08 KC05 KC06 KC12 KC13 KC14 KC16 KC22 KD02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉空間内に液体を収容する液体供給容
    器と、前記液体供給容器が着脱可能であり、液体を保持
    可能な毛管力発生部材が内蔵された毛管力発生部材収納
    容器とを有する液体供給システムにおいて、 前記液体供給容器と前記毛管力発生部材収納容器とを接
    続する複数の接続管を有し、前記複数の接続管は、鉛直
    上方に位置する気液交換用接続管と鉛直下方に位置する
    液体供給用接続管とを含み、前記液体供給用接続管は、
    前記液体供給容器の前記毛管力発生部材収納容器への装
    着動作時に、前記気液交換用接続管より先に前記液体供
    給容器内部と前記毛管力発生部材収納容器内部とを連通
    させることを特徴とする液体供給システム。
  2. 【請求項2】 前記液体供給用接続管は、前記液体供給
    容器の前記毛管力発生部材収納容器からの離脱動作時
    に、前記気液交換用接続管より後に前記液体供給容器と
    前記毛管力発生部材収納容器との接続を解除する請求項
    1に記載の液体供給システム。
  3. 【請求項3】 前記気液交換用接続管の総断面積が、前
    記液体供給用接続管の総断面積よりも大きい請求項1ま
    たは2に記載の液体供給システム。
  4. 【請求項4】 前記気液交換用接続管が、前記液体供給
    用接続管よりも多い請求項3に記載の液体供給システ
    ム。
  5. 【請求項5】 前記接続管は、前記液体供給容器側の接
    続部と前記毛管力発生部材収納容器側の接続部とが連結
    されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    液体供給システム。
  6. 【請求項6】 前記毛管力発生部材収納容器側の接続部
    は、前記毛管力発生部材の収納部外に突出して設けられ
    ている請求項5に記載の液体供給システム。
  7. 【請求項7】 全ての前記接続管には、前記液体供給容
    器が前記毛管力発生部材収納容器に装着された状態にお
    いて前記液体供給容器と前記毛管力発生部材収納容器と
    の連通を遮断する弁が設けられている請求項1〜6に記
    載の液体供給システム。
  8. 【請求項8】 全ての前記弁が、前記液体供給容器側の
    接続部に設けられている請求項7に記載の液体供給シス
    テム。
  9. 【請求項9】 前記毛管力発生部材収納容器には、外部
    に開放された大気連通口が設けられており、前記気液交
    換用接続管が、前記負圧発生部材を介して前記大気連通
    口と連通している請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    液体供給システム。
  10. 【請求項10】 前記液体供給容器が外層と該外層に対
    して剥離可能な内層とを備えた構造の容器であって、前
    記外層が略多角柱状の筐体であり、前記内層が、液体を
    収容可能であり、筐体の内面と同等または相似形の外面
    を有し前記液体の導出に伴い変形可能な内袋である請求
    項1〜9のいずれか1項に記載の液体供給システム。
  11. 【請求項11】 前記内層が変形することで負圧を発生
    することを特徴とする請求項10に記載の液体供給シス
    テム。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の液体供給システムと、前記負圧発生部材収納容器から
    供給された液体を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッドと
    を有するインクジェット記録装置。
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