JP2001063097A - 液体供給システム及び該システムに用いられる液体供給容器 - Google Patents

液体供給システム及び該システムに用いられる液体供給容器

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JP2001063097A JP2000104851A JP2000104851A JP2001063097A JP 2001063097 A JP2001063097 A JP 2001063097A JP 2000104851 A JP2000104851 A JP 2000104851A JP 2000104851 A JP2000104851 A JP 2000104851A JP 2001063097 A JP2001063097 A JP 2001063097A
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liquid supply
container
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健二 北畠
Hajime Yamamoto
肇 山本
Hiroshi Koshikawa
浩志 越川
Eiichiro Shimizu
英一郎 清水
Koki Hayashi
弘毅 林
Shozo Hattori
省三 服部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安易かつ確実な方法で液体供給容器内の液体
の有無を検知することで安定した液体供給を実現する。 【解決手段】 内部にインクを収納するインク収納容器
201は、ジョイント口230を介して、吸収体13
0,140を収納した負圧制御室容器110と接続さ
れ、負圧制御室容器110に対してインクを供給する。
インク収納容器201の底面は、ジョイント口230が
設けられた側の端部が低くなるように水平面に対して傾
斜している。インク収納容器201を保持するホルダー
150の下方には、インク収納容器201内のインクの
有無を検知する手段を構成する電極270が、インク収
納容器201の底面の形状に合わせ、インク収納容器2
01の底面と平行に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部へ液体を供給
するために負圧を利用する液体供給システムに関し、特
に、液体収納部内の液体の残量を検出可能な液体供給シ
ステム及び液体供給容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、外部へ液体を供給するために負圧
を利用する液体供給方法としては、例えばインクジェッ
ト記録装置分野では、インク吐出ヘッドに対して負圧を
与えるインクタンクが提案され、記録ヘッドと一体化可
能にした構成(ヘッドカートリッジ)が実施されてき
た。ヘッドカートリッジは、さらに分類すると、記録ヘ
ッドとインクタンク(インク収容部)とが常時一体の構
成と、記録手段とインク収納部が別体で、かつ記録装置
に対して双方とも分離でき、使用時に一体にして使用す
る構成とに分けることができる。
【0003】このような液体供給システムにおいて負圧
を発生させるための最も容易な方法の一つとして、多孔
質体の毛管力を利用する方法が挙げられる。この方法に
おけるインクタンクは、インクタンク内部全体にインク
貯蔵を目的として収納、好ましくは圧縮収納されたスポ
ンジ等の多孔質体と、印字中のインク供給を円滑にする
ためインク収納部に空気を取り入れ可能な大気連通口と
を含む構成となる。
【0004】しかし、多孔質部材をインク保持部材とし
て使用する場合の課題として、単位体積当たりのインク
収納効率が低いことが挙げられる。この課題を解決する
ために、本出願人は、EP0580433号公報において、負圧
発生部材収納室に対して連通部を除く全体が実質密閉の
インク収納室を有し負圧発生部材収納室を大気に開放し
た状態で使用されるインクタンクを提案している。ま
た、EP0581531号公報において、上述の構造のインクタ
ンクに対して、インク収納室を交換可能にした発明を提
案している。この発明は、インクが無くなった場合には
インク収納室のみを交換すればよいので、廃棄物を減少
させることができ、近年の環境問題にも即したものであ
る。
【0005】上述のインクタンクは、インク収納室内の
インクの導出に伴って気体がインク収納室内に収納され
る気液交換動作によってインク収納室から負圧発生部材
収納室へのインク供給が行なわれるために、この気液交
換動作中は、ほぼ一定の負圧条件下でインクを供給でき
るメリットがある。
【0006】さらに、本出願人は、EP0738605号公報に
おいて、略多角柱形状の筐体と、筐体の内面と同等もし
くは相似形の外面を有し内部に収納される液体の導出に
伴い変形可能な収納部と、を備え、収納部の厚さを、略
多角柱形状の各面の中央域より角部を構成する部分を薄
くすることを特徴とする液体収納容器を提案している。
この液体収納容器は、液体の導出に伴い収納部が適当に
収縮する(現象的には気液交換をしていない)ことで、
負圧を利用しながら液体供給ができるものである。その
ため、従来の袋状のインク収納部材に比べて、配置する
位置に制限されることがなくなり、キャリッジ上に配置
することができる。また、収納部に直接インクを保持す
ることで、インク収納効率の向上という点からも優れた
発明である。
【0007】上述したように、負圧発生部材収納室とイ
ンク収納室とを有する液体供給システムは、インク収納
効率の向上及びインク供給特性の安定化の点で優れてお
り、その中でも特に、インク収納室を交換可能としたも
のは、環境問題の点からも優れている。
【0008】しかし、従来の気液交換動作はインク収納
室から負圧発生部材収納室へのインク導出は、連通部を
介した大気の導入に連動しているため、短時間に大量の
インクを負圧発生部材収納室から外部(液体吐出ヘッド
など)に供給するような場合には、負圧発生部材収納室
における急激なインク消費に対して気液交換動作による
インク収納室から負圧発生部材収納室へのインク供給が
不足するおそれがあった。従って、このインク供給不足
を解消するためにも、インク収納室内でのインクの状態
を知る必要がある。
【0009】ところで、インクジェット記録装置では、
インク残量や残量が低下した状態を検知する方法として
は、インクタンク内に2個の電極を設け、電極間の電気
抵抗や導通状態を検出する方法や、インクタンクを透光
性の部材で形成するとともにインクタンク近傍に光学セ
ンサを配し、インクタンクを通る光の透過量を検出して
インクタンク内のインク残量を検知する方法などが知ら
れている。
【0010】しかし、インクタンク内に電極を設けるも
のでは、インクタンクが交換方式の場合は、インクタン
クの交換に伴い、インクタンクに付加した電極等の検知
手段に関わる部分も同時に交換されることになり、イン
クタンクの製造コストの上昇や、ランニングコストの上
昇を招いてしまう。また、インクタンクを通る光の透過
量を検知する方法では、イエローのような淡い色のイン
クでは濃い色に比べて誤検出が発生しやすかった。
【0011】そこで、このような不具合を解消するため
に、特開平10−109430号公報には、記録ヘッド
内に第1の電極を設けるとともにインクタンクの近傍に
インクタンクとは非接触に第2の電極を設け、第1の電
極にパルス電圧を与え、これにより第2の電極に発生す
る電圧を検出することで、インクタンク内のインクの残
量を検出する方法が開示されている。この検出系は、第
1の電極への入力信号がインクを介して記録ヘッドから
インクタンクに伝わり、インクタンクと第2の電極との
静電結合により検出信号を得るものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法で
は、上述した静電結合による静電容量の大きさは、第2
の電極とインクとの対向面積に基づいてインクの有無を
検出するものなので、インクが、インク収納室の電極と
対向する壁面に被膜として残ると、実際にはインクがな
くなっているのにまだインクが残っていると誤検出して
しまうことがある。
【0013】また、上述した静電結合による静電容量の
大きさは、一般的には、第2の電極とインクとの対向面
積、第2の電極とインクとの対向距離等により変わるの
で、これらを規定すれば、基本的には静電容量が安定
し、インク残量検出系の時定数も安定する。しかし、カ
ラー記録用のインクジェット記録装置など、複数のイン
ク収納室が互いに近接して並べられているような場合、
静電容量は隣接するインク収納室のインク量によっても
変化し、インク残量検出系の時定数を変化させる要因と
なってしまう。時定数の変化は検出信号のゲインの変化
の原因となり、インク残量の検出精度が低下してしまう
おそれがある。
【0014】本発明の第1の目的は、特にEP0738605号
公報や、EP0581531号公報などに好適に利用可能な、安
易かつ確実な方法でインクタンク内のインクの有無を検
知することで安定した液体供給を実現する液体供給シス
テム、及び該システムに用いられるインクタンクを提供
することである。
【0015】本発明の第2の目的は、上記第1の目的に
加えて、あるいは単独で、複数の液体収納室が並列に配
置された構成において、液体収納室内の液体残量を精度
良く知ることで安定した液体の供給を行える液体供給シ
ステム及び液体供給容器を提供することである。
【0016】本発明の第3の目的は、上記第1、第2の
目的に加えて、あるいは単独で、液体収納部内の液体残
量を精度良く知ることで安定した液体の供給を行える液
体供給システム及び液体供給容器を提供することであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の第1の目的を達成
するための本発明の液体供給システムは、外部に液体を
導出するための液体導出部を備えた液体供給容器の下方
に配置された電極を備え、前記液体供給容器内の液体と
前記電極との対向面積に対応する静電容量によって前記
液体供給容器内の液体有無を検知する検知手段を有する
液体供給システムであって、前記電極は前記液体供給容
器の底面と平行かつ非接触に配置されるとともに、前記
液体供給容器の底面は、前記液体供給容器の一端から他
端に向けて水平面に対して傾斜し、低いほうの下端部に
前記液体導出部を有することを特徴とする。
【0018】上述のシステムによれば、液体供給容器の
底面が水平面に対して上記のように傾斜し、液体導出部
は低いほうの下端部に設けられているので、液体収納部
内の液体残量が上記の傾斜面よりも低くなると、インク
の電極との対向面積が、液体の減少とともに小さくな
る。これに伴い、検知手段で検知される静電容量も小さ
くなり、これにより液体収納部の液体残量が少なくなっ
たことが容易かつ確実に検出される。
【0019】本発明のさらに他の形態の液体供給システ
ムは、外部に液体を供給するための液体供給部を有する
とともに、負圧発生部材を内部に収納する負圧発生部材
収納室と、接続部を介して前記負圧発生部材収納室と接
続され、前記接続部を除いて実質的な密閉空間を形成す
る液体収納部を有する液体供給容器と、少なくとも、前
記液体供給容器の下方に前記液体供給容器の底面と平行
に配置された電極を有し、前記液体収納部内の液体と前
記電極との対向面積に対応する静電容量によって前記液
体収納部の液体残量を検知する検知手段とを有し、前記
液体収納部は、前記液体供給容器の内面と実質的に相似
形であり、前記液体供給容器の底面部に対応する領域が
変形することで負圧を発生可能な部材で構成されている
ことを特徴とする。
【0020】上述のシステムによれば、液体供給部から
の液体の消費中は液体収納部は内側に変形し、インクの
供給負圧発生部材収納室との負圧のバランスをとってい
るが、この変形は液体収納部の底面においても発生す
る。従って、液体収納部内のインクが残量が液体収納部
の底部に近くなると、液体の電極との対向面積が小さく
なり、その変化を検知することで、液体残量が少なくな
ったことが容易かつ確実に検出される。
【0021】また、上述の第2の目的を達成するための
液体供給システムは、それぞれ外部に液体を供給するた
めの液体供給部を備える複数の液体供給容器の下方に配
置された電極を備え、前記液体供給容器内の液体と前記
電極とのインピーダンスによって前記液体供給容器内の
液体残量を検知する検知手段を有する液体供給システム
において、前記液体供給容器は互いに隣接して配置さ
れ、前記液体供給容器の、隣接する液体供給容器と対向
する側壁の厚さが、前記電極と対向する底壁の厚さより
も大きいことを特徴とする。
【0022】このように、上述の第2の目的を達成する
ための液体供給システムとして、本発明者らは、鋭意検
討の結果、静電容量を利用して液体収納容器内の液体の
残量を検出するものにおいて、複数の液体収納容器が隣
接して配置される場合、隣接する液体収納容器間の静電
容量に着目した。
【0023】上記のとおり構成された本発明では、液体
供給容器(液体収納部)内の液体と電極とのインピーダ
ンスの変化を検出することで、液体供給容器内の液体残
量が検出される。ここで、液体供給容器(液体収納部)
の壁面の厚さは、隣接する液体供給容器と対向する側壁
の厚さが、電極と対向する底壁の厚さよりも大きいの
で、隣接する液体供給容器との間に発生する静電容量の
影響が抑えられ、目的とする液体供給容器内の液体の残
量をより精度良く検出可能となるまた、上述の第3の目
的を達成するための本発明の液体供給システムは、外部
に液体を供給するための液体供給部を備えた液体供給容
器の下方に配置された電極を備え、前記液体供給容器内
の液体と前記電極とのインピーダンスによって前記液体
供給容器内の液体残量を検知する検知手段を有する液体
供給システムであって、前記液体供給容器の前記電極と
対向する部位よりも前記液体供給部側の領域に、前記液
体供給容器内の液体の残量が検出すべき残量となったと
き、前記電極と対向する領域の液体を前記液体供給部側
と分断させる分断構造を有することを特徴とする。
【0024】上記のとおり構成された本発明では、液体
供給容器(液体収納部)内の液体と電極とのインピーダ
ンスの変化を検出することで、液体供給容器内の液体残
量が検出される。ここで、液体供給容器(液体収納部)
の底壁に分断構造を有するので、液体供給容器内の液体
の残量が少なくなると、液体供給容器の底壁に液体が膜
状に残っても、電極と対向する領域の液体は、接続部
(液体導出部)側と確実に分断される。これにより、液
体供給容器の底壁を介しての電極と液体との間の電気的
な回路が分断されインピーダンスが高くなり、これを検
出することで液体供給容器内の液体残量が少なくなった
ことが検出される。
【0025】分断構造は、電極と対向する領域から液体
導出部へ向かう方向と交差する方向に全域にわたって設
けられた突起や段差とすることができる。特に、分断構
造を突起とした場合、使用状態における水平面に対す
る、突起の液体導出部側の面の角度をθ1 、突起の電
極と対向する領域側の面の角度をθ2としたとき、θ1
>θ2の関係を満たすように突起を設けることによっ
て、突起で分断された液体が、液体導出部側へは行き易
くなり、かつ、電極と対向する側へは行きにくくなる。
【0026】また、液体供給容器は、上記突起に伴う凹
部を外壁面に有していてもよく、この場合、この液体供
給容器を着脱可能に保持するホルダを有する液体供給シ
ステムにおいては、液体供給容器の凹部に嵌合する突起
をホルダに設けることで、液体供給容器の位置決めがな
される。
【0027】また、本発明は上述の各液体供給システム
に用いられる液体供給容器をも提供するものである。
【0028】本発明の液体供給容器は、液体を収納する
液体収納部と、該液体を外部に導出する液体導出部とを
備える液体供給容器であって、前記液体供給容器は、前
記液体との対向面積に対応する静電容量によって前記液
体収納部内の液体の残量を検知するために前記液体供給
容器の下方に配置される電極に対向する底面を備えてい
ることを特徴とする。
【0029】本発明の他の形態の液体収納容器は、液体
を収納する液体収納部と該液体を外部に導出する液体導
出部とを備え、前記液体収納部を隣接させて複数個並べ
て配置される液体供給容器であって、前記液体収納部
は、前記液体とのインピーダンスによって前記液体収納
部内の液体の残量を検知するために電極が下方に対向配
置される底壁を備え、前記液体収納部の、隣接する液体
収納部と対向する側壁の厚さが前記底壁の厚さよりも大
きいことを特徴とする。
【0030】本発明のさらに他の形態の液体収納容器
は、 液体を収納する液体収納部と該液体を外部に導出
する液体導出部とを備えた液体供給容器であって、前記
液体収納部は、前記液体とのインピーダンスによって前
記液体収納部内の液体の残量を検知するために電極が下
方に対向配置される底壁を備え、前記底壁の前記電極と
対向する部位よりも前記液体導出部側の領域に、前記液
体収納部内の液体の残量が検出すべき残量となったと
き、前記電極と対向する領域の液体を前記液体導出部側
と分断させる分断構造を有することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。
【0032】なお、本発明における毛管力発生部材の
「固さ」とは、毛管力発生部材が液体収納容器内に収容
されている状態におけるときの「固さ」であり、毛管力
発生部材の変形量に対する反発力の傾き(単位:N/m
m)により規定される。2つの毛管力発生部材の「固
さ」の大小は、変形量に対する反発力の傾きが大きい方
の毛管力発生部材の方を「固い毛管力発生部材」とす
る。
【0033】〈全体構成〉図1に本発明の一つの実施形
態であるインクジェットヘッドカートリッジの斜視図
を、図2にその断面図を示す。
【0034】本実施形態は、本発明が適用されるインク
ジェットヘッドカートリッジを構成する各要素のそれぞ
れ、及びそれらの関係を説明するものである。本実施形
態は、本発明の成立段階においてなされた数々の新規な
技術が適用された構成となっているので、これらの構成
を説明しながら、全体を説明することにする。
【0035】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジは、図1及び図2に示すように、インクジェット
ヘッドユニット160、ホルダー150、負圧制御室ユ
ニット100及びインクタンクユニット200などから
構成されている。ホルダー150内に負圧制御室ユニッ
ト100が固定され、負圧制御室ユニット100の下方
にはホルダーを介してインクジェットヘッドユニット1
60が固定されている。なお、ここで説明した、ホルダ
ー150と負圧制御室ユニット100、ホルダー150
とインクジェットヘッドユニット160との固定は、例
えば、互いをネジ止めや係合等により易分解性にするこ
とで、リサイクルの面、バージョンの変更などの構成の
変化に対するコストダウン等に対して効果がある。ま
た、各部の部品の寿命が異なるので交換を要する部品の
みを簡易に交換できるという面でも易分解性にすること
が好ましい。しかし、条件によっては溶着、熱カシメな
どで完全に固定してもよいことはもちろんである。負圧
制御室ユニット100は、上面に開口部が形成された負
圧制御室容器110と、負圧制御室容器110の上面に
取り付けられた負圧制御室蓋120と、負圧制御室容器
110内に装填された、インクを含浸保持するための2
つの吸収体130、140とから構成されている。吸収
体130、140は、このインクジェットヘッドカート
リッジの使用状態において上下2段に積み重ねられて互
いに密着して負圧制御室容器110内に充填されてお
り、下段の吸収体140が発生する毛管力は、上段の吸
収体130が発生する毛管力よりも高いため、下段の吸
収体140のほうがインク保持力が高いものである。イ
ンクジェットヘッドユニット160へは、インク供給管
165を通して負圧制御室ユニット100内のインクが
供給される。
【0036】インク供給管165の吸収体140側の先
端の供給口131にはフィルタ161が設けられてお
り、フィルタ161が吸収体140を押圧している。イ
ンクタンクユニット200は、ホルダー150に対して
着脱自在な構成となっている。負圧制御室容器110の
インクタンクユニット200側の面に設けられた被接合
部であるジョイントパイプ180は、インクタンクユニ
ット200のジョイント口230の内部に挿入されて接
続されている。そのジョイントパイプ180とジョイン
ト口230との接続部を介して、インクタンクユニット
200内のインクが負圧制御室ユニット100内へと供
給されるように負圧制御室ユニット100及びインクタ
ンクユニット200が構成されている。負圧制御室容器
110のインクタンクユニット200側の面におけるジ
ョイントパイプ180よりも上方の部分には、その面か
ら突出した、インクタンクユニット200の誤装着防止
のためのID部材170が設けられている。
【0037】負圧制御室蓋120には、負圧制御室容器
110の内部と外気、ここでは負圧制御室容器110内
に収納された吸収体130と外気とを連通させるための
大気連通口115が形成されており、負圧制御室容器1
10内における大気連通口115の近傍には、負圧制御
室蓋120の吸収体130側の面から突出したリブによ
り形成された空間、及び吸収体中のインク(液体)の存
在しない領域からなる、バッファ空間116が設けられ
ている。
【0038】ジョイント口230内には弁機構が設けら
れており、その弁機構は第1弁枠260a、第2弁枠2
60b、弁体261、弁蓋262及び付勢部材263か
ら構成されている。弁体261は、第2弁体260b内
で摺動可能に支持されると共に付勢部材263によって
第1弁枠260a側に付勢されている。ジョイント口2
30内にジョイントパイプ180が挿入されていない状
態では、付勢部材263の付勢力により弁体261の第
1弁枠260a側の部分の縁部が第1弁枠260aに押
圧されることより、インクタンクユニット200内の気
密性が維持される。
【0039】ジョイント口230の内部へジョイントパ
イプ180が挿入され、ジョイントパイプ180によっ
て弁体261が押圧されて第1弁枠260aから離れる
方向に移動することにより、第2弁枠260bの側面に
形成された開口を介してジョイントパイプ180内がイ
ンクタンクユニット200の内部と連通する。これによ
りインクタンクユニット200内の気密が開放され、イ
ンクタンクユニット200内のインクがジョイント口2
30及びジョイントパイプ180を通って負圧制御室ユ
ニット100内へと供給される。つまり、ジョイント口
230内の弁が開くことによって、密閉状態であったイ
ンクタンクユニット200のインク収容部内が前記開口
を介してのみ負圧制御室ユニット100に対して連通状
態となるものである。
【0040】ここで、本実施形態のように、ホルダー1
50にインクジェットヘッドユニット160、負圧制御
室ユニット100が固定される状態において、インクジ
ェットヘッドユニット160及び負圧制御室ユニット1
00をそれぞれ、ホルダー150に対してねじなどの易
分解性を有する方法で固定することは、それぞれのユニ
ットをその耐用期間に応じて取り外して交換することが
できるので望ましい。
【0041】すなわち、本実施形態のインクジェットヘ
ッドカートリッジでは、通常は、インクタンクに設けら
れたID部材により誤って異なる種類のインクを収容す
るインクタンクを負圧制御室に装着することはないが、
負圧制御室ユニット100に設けられたID部材の損傷
や、使用者が故意に異なる種類のインクタンクを負圧制
御室ユニット100に装着した場合には、装着直後であ
れば、負圧制御室ユニット100のみを交換すればよ
い。また、落下などによりホルダー150が損傷した場
合は、ホルダー150のみを交換することも可能であ
る。
【0042】なお、インクタンクユニット200を含
め、負圧制御室ユニット100、ホルダー150、イン
クジェットヘッドユニット160をそれぞれ分離する場
合において、各ユニットからのインク漏れを防ぐことが
できるように固定部の位置を定めることは望ましい。
【0043】本実施形態の場合、インクタンクユニット
200は、ホルダー150のインクタンク係止部155
を利用して負圧制御室ユニット100と結合しているの
で負圧制御室ユニット100のみが、固定化された状態
にある他のユニットに対して外れることがない。すなわ
ち、少なくともインクタンクユニット200をホルダー
150から外さないと、負圧制御室ユニット100はホ
ルダー150から分離しにくいようになっている。この
ように、負圧制御室ユニット100はホルダー150か
らインクタンクユニット200を取り外してはじめて取
り外しやすい構造になっているので、インクタンクユニ
ット200が不用意に負圧制御室ユニット100から分
離することによる結合部からのインク漏れが発生するこ
と恐れがない。
【0044】また、インクジェットヘッドユニット16
0のインク供給管165の端部には、フィルタ161が
設けられており、負圧制御室ユニット100を分離した
状態であっても、インクジェットヘッドユニット160
内のインクが漏れ出す恐れはない。加えて、負圧制御室
ユニット100には、インクタンク内のインクの漏れ出
しを防止するバッファ空間116(吸収体130、14
0内のインクを保持していない領域も含む)を備えてい
ること、また、毛管力の異なる2つの吸収体130、1
40の境界面113cがジョイントパイプ180より使
用時の姿勢で上方に設けられていること(より望ましく
は、本実施形態のように境界面113cを含むその近傍
の層の毛管力が吸収体130、140の領域よりも高く
なっていること)により、ホルダー150、負圧制御室
ユニット100、インクタンクユニット200が一体化
した構造物は、その姿勢が変化してもインクが漏れ出す
恐れは少ない。そのため、本実施形態では、インクジェ
ットヘッドユニット160はホルダー150の接続端子
を有する面側である底面に固定部を備え、インクタンク
ユニット200がホルダー150に装着されている状態
でも容易に分離可能となっている。
【0045】なお、ホルダー150の形状によっては、
負圧制御室ユニット100またはインクジェットヘッド
ユニット160とホルダー150とが、分離不能に一体
化してもよい。一体化の方法としては、あらかじめ一体
的に成形する方法や熱カシメなどで分離不能にしてもよ
い。
【0046】図2、図3(a)及び図3(b)に示すよ
うに、インクタンクユニット200は、インク収納容器
201と、第1弁枠260a及び第2弁枠260bを含
む弁機構と、ID部材250とから構成されている。I
D部材250は、インクタンクユニット200と負圧制
御室ユニット100との装着の際に誤装着を防止するた
めのものである。
【0047】弁機構は、ジョイント口230内でインク
の流れを制御するもので、負圧制御室ユニット100の
ジョイントパイプ180と係合されることにより開閉動
作を行う。着脱時の弁開閉のこじれは、後述する弁構成
やID部材170とID用凹部252によってタンク操
作範囲を規制する構造などにより防止している。
【0048】〈インクタンクユニット〉図3は、図2に
示したインクタンクユニット200について説明するた
めの斜視図である。図3(a)は、インクタンクユニッ
ト200を示す斜視図であり、図3(b)は、インクタ
ンクユニット200が分解された状態を示す斜視図であ
る。
【0049】また、ID部材250の、負圧制御室ユニ
ット100側となる前面では、供給口穴253よりも上
の部分が傾斜面251となっている。傾斜面251は、
ID部材250の供給口穴253側の前端面からインク
収納容器201側、すなわち後方へと傾斜している。こ
の傾斜面251には、インクタンクユニット200の誤
挿入防止のためのID用凹部252が複数(図3では3
つ)形成されている。本実施形態では、ID部材250
が、インク収納容器201の、負圧制御室ユニット10
0側となる前面(供給口を有する面)に配置されてい
る。
【0050】インク収納容器201は、負圧発生機能を
有する、ほぼ多角柱形状の中空容器である。インク収納
容器201は筐体210と内袋220(図2参照)とか
ら構成され、筐体210と内袋220とがそれぞれ剥離
可能になっている。内袋220は可撓性を有しており、
この内袋220は、内部に収納されたインクの導出に伴
い変形可能である。また、内袋220はピンチオフ部
(溶着部)221を有し、このピンチオフ部221で内
袋220が筐体210に係合する形で支持されている。
また、筐体210の、ピンチオフ部221の近傍の部分
には外気連通口222が設けられており、外気連通口2
22を通して内袋220と筐体210との間に大気を導
入可能となっている。
【0051】図19に示すように、内袋220は、その
内側から順に、耐インク性を有する接液層220c、弾
性率支配層220b、ガスバリヤ性に優れたガスバリア
層220aが積層された3層からなり、それぞれの層が
接合状態で機能分離されている。弾性率支配層220b
は、インク収納容器201の使用温度範囲内で弾性率支
配層220bの弾性率がほぼ一定に保たれるものであ
り、すなわち、インク収納容器201の使用温度範囲内
で内袋220の弾性率がその弾性率支配層220bによ
ってほぼ一定に保たれる。内袋220では、中間の層と
外側の層とが入れ代わり、弾性率支配層220bが最も
外側の層で、ガスバリア層220aが中間の層であって
もよい。
【0052】このように内袋220が構成されているこ
とにより、耐インク層、弾性率支配層220b及びガス
バリア層220aという少ない層で内袋220がそれぞ
れの層の機能を十分に発揮することが可能となり、内袋
220の弾性率などの、温度変化に対する影響が少なく
なる。また、内袋220では、使用温度範囲内でインク
収納容器201内の負圧を制御するために適した弾性率
が確保されるので、インク収納容器201及び負圧制御
室ユニット110内のインクに対して内袋220が後述
するバッファの機能を有することとなる(詳しくは後述
する。)。従って、負圧制御室容器110内の上部に設
けられたバッファ室、すなわちインク吸収体が充填され
ていない部分及び、吸収体130、140中のインクの
存在してない領域を減少させることができるので、負圧
制御室ユニット100を小型化することができ、使用効
率の高いインクジェットヘッドカートリッジ70が実現
される。
【0053】本実施形態においては、内袋220を構成
する最も内側の接液層220cの材質としてポリプロピ
レン、中間の弾性率支配層220bの材質として環状オ
レフィンコポリマ、最も外側のガスバリア層220aの
材質として、EVOH(EVA(エチレン酢酸ビニル共
重合体樹脂)のけん化物)が用いられている。ここで、
弾性率支配層220bに機能性接着樹脂材料を含ませる
ことで、互いの層間に接着層を特別に備える必要がない
ため、内袋220の厚みを薄くすることができ、好まし
い。
【0054】筐体210の材質としては、内袋220の
最内層と同じポリプロピレンが用いられている。また、
第1弁枠260aの材質としてもポリプロピレンが用い
られている。
【0055】ID部材250は、インクタンクユニット
200の誤装着防止のための複数のID部材170に対
応する左右それぞれに設けられた複数のID用凹部25
2を有し、インク収納容器201に固定されている。
【0056】ID部材170とID用凹部252によっ
て得られる誤装着防止機能は、負圧制御室ユニット10
0側に設けられた複数のID部材170に対応してID
部材250にID用凹部252が形成されることで誤装
着防止機構が構成されるので、ID部材170及びID
用凹部252の形状や位置を変えることにより、多種類
のID機能を果たすことが可能となる。
【0057】ID部材250のID用凹部252及び第
1弁枠260aのジョイント口230は、インクタンク
ユニット200の着脱方向の前方となる前面に位置し、
ID部材250と第1弁枠260aとの2部材で形成さ
れている。
【0058】また、インク収容容器201をブロー成形
により形成し、ID部材250及び第1弁枠260aと
をインジェクション(射出)成形により形成し、インク
タンクユニット200を3部材の構成とすることで、弁
部材及びID用凹部252を精度良く成形することが可
能となる。
【0059】このようなID用凹部252を、ブロー成
形により作製されたブロータンクであるインク収納容器
201に直接形成した場合、インク収納容器201内層
の内袋220の剥離に対して影響、つまり、インクタン
ク内形状が複雑となる為、インクタンクユニット200
で発生する負圧に対して影響を与える場合がある。しか
しながら、本実施形態のおけるインクタンクユニット2
00の構成のように、ID部であるID部材250をイ
ンク収納容器201と別部材とすることで、ID部材2
50をインク収納容器201に取り付けることによるイ
ンク収納容器201への上記のような影響がないので、
インク収納容器201における安定した負圧の発生及び
制御が可能となる。
【0060】第1弁枠260aは、少なくともインク収
納容器201の内袋220に接合されている。第1弁枠
260aは、内袋220に対してインク収納容器201
のインク導出部にあたる内袋220の内袋露出部221
aと、ジョイント口230の部分の対応する面との溶着
により接合される。ここで、筐体210も内袋220の
最内層と同じポリプロピレンであるため、ジョイント口
230の周囲でも第1弁枠260aと筐体210との溶
着を行うことも可能である。
【0061】これにより溶着による位置精度が高くなる
と共に、インク収納容器201の供給口部が完全にシー
ルされ、インクタンクユニット200の着脱時等におけ
る第1弁枠260aとインク収納容器201とのシール
部分からのインク漏れ等が防止される。本実施形態にお
けるインクタンクユニット200のように、溶着による
接合をする際には、シール性を高める上で内袋220の
接着面となる層の材質と第1弁枠260aの材質とが同
じであることが好ましい。
【0062】また、筐体210とID部材250との接
合では、第1弁枠260aのインク収納容器201と接
合されたシール面102に対向する面と、ID部材25
0の下部に形成されたクリック部250a、及び筐体2
10の側面部の係合部210aとそれに対応したID部
材250側のクリック部250aとが係合されることに
より、インク収納容器201にID部材が係合固定され
ている。
【0063】ここでの係合固定というのは、例えば、凹
凸による係合、はめ合わせ等による易分解性を持たせた
構造にすることが好ましい。このようにインク収納容器
201に対してID部材250を係合固定状態とするこ
とで、互いに微小可動可能状態となっているので、着脱
時におけるID部材170とID用凹部252との接触
による力を吸収することができ、インクタンクユニット
200及び負圧制御室ユニット100の破損を防止でき
る。
【0064】また、このようにインク収納容器201に
対してID部材250を部分的に係合固定状態に係合さ
せることで、インクタンクユニット200を分解しやす
くなり、リサイクルの観点で効果がある。また、このよ
うに筐体210の側面に、係合部210aとして係合用
の凹部を設けることで、インク収納容器201をブロー
成形により作製する際に構成が簡易になり、成形時の型
部材も簡易になり、膜厚の管理も容易になる。
【0065】さらに、筐体210とID部材250との
接合では、第1弁枠260aを筐体210に接合した状
態で行い、かつジョイント口230周辺では、第1弁枠
260aを挟み込んだ状態でクリック部250aを係合
部210aに係合させるので、着脱時のインクタンクユ
ニット200、特にジョイント部の強度の向上を図るこ
とが可能となる。
【0066】また、インク収納容器201は、ID部材
250によって覆われる部分が凹部形状となり、供給口
の部分が突出しているので、インク収納容器201にI
D部材250を固定することにより、インクタンクユニ
ット200の前面に突出形状をなくすことができる。さ
らに、第1弁枠260aとインク収納容器201との溶
着部がID部材250によって覆われるので、その溶着
部を保護することができる。なお、筐体210の係合部
210aと、それに対応したID部材250のクリック
部250aとの凹凸の関係は逆であってもよい。
【0067】また、前述したように、インクタンクユニ
ット200の装着時にはジョイントパイプ180と弁部
材とによりインク漏れのない確実な装着が行われる。本
実施形態においては、負圧制御室ユニット100のジョ
イントパイプ180の周囲に弾性部材であるゴムジョイ
ント部280を設けることで、不意のインク漏れに対応
している。このゴムジョイント部280は、インクタン
クユニット200が装着されることによってID部材2
50の密閉を行う。この密閉により、負圧制御室ユニッ
ト100とインクタンクユニット200との互いの密着
性が向上する。
【0068】インクタンクユニット200を取り外す際
には、この密着力が抵抗力となり得る。しかし、本発明
の構成においてはID部材250とインク収納容器20
1とが係合状態に結合されているので、ID部材250
とインク収納容器201との間に隙間が形成されてお
り、この隙間からゴムジョイント部280とID部材2
50との間に空気が導入されるため、インクタンク20
0離脱時の力が軽減される。よって、インク漏れ等が起
こることがない。
【0069】またインク収納容器201とID部材25
0との縦横方向の位置規制を行うことができる。インク
収納容器201とID部材250の接合方法は、上述し
たような形態に限られるものではなく、係合位置、固定
方法は別の手段でも可能である。
【0070】図2及び図22に示すように、インク収納
容器201の底部は上部へ持ち上がる方向に傾斜してお
り、インク収納容器201の、ジョイント口230側と
反対側の部分の下部がホルダー150のインクタンク係
止部155と係合している。インクタンクユニット20
0をホルダー150から取り外す際に、インク収納容器
201の、インクタンク係止部155との係合部が上方
に持ち上がる構成となっており、インクタンクユニット
200の着脱動作時にインクタンクユニット200がほ
ぼ回動する。本実施形態においては、この回動中心はほ
ぼ供給口(ジョイント口230)になる。ただし、厳密
には後述するように回動中心は変化するものである。こ
のようなほぼ回動によるインクタンクユニット200の
着脱動作の場合、回動の支点からインクタンクユニット
200のインクタンク係止部155側部分の角部までの
距離と、その支点からインクタンク係止部155までの
距離との関係において、前者が後者よりも長くなるほ
ど、インクタンクユニット200とインクタンク係止部
155とのこじれが発生し、装着動作における不必要な
力、及びインクタンクユニット200及びホルダー15
0のそれぞれの押圧部における変形等の不具合が起こる
場合がある。
【0071】本実施形態のインク収納容器201のよう
に底面部を傾斜させて、インク収納容器201の、イン
クタンク係止部155側となる部分の下端を持ち上げら
れていることにより、インクタンクユニット200及び
ホルダー150のそれぞれの係合部で、インクタンクユ
ニット200の回動における必要以上のこじれを防止で
きるので、インクタンクユニット200の着脱動作を良
好に行うことが可能となる。
【0072】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジでは、インク収納容器201の負圧制御室ユニッ
ト100側の面となる一側面の下部にジョイント口23
0が形成され、インク収納容器201の、ジョイント口
230側と反対側の面である他側面の下部、すなわち、
後端部の下側の部分がインクタンク係止部155と係合
している。また、インクタンク係止部155の上部は、
ジョイント口230の中心高603とほぼ同じ高さまで
ホルダー150の底部から上方に延びている。これによ
り、ジョイント口230の水平方向の移動がインクタン
ク係止部155により確実に規制され、ジョイント口2
30とジョイントパイプ180との接続状態を良好に保
持することができる。ここでは、インクタンクユニット
200の装着時におけるジョイント口230とジョイン
トパイプ180との接続を確実に保持するために、イン
クタンク係止部155の上端がジョイント口230の上
部とほぼ同じ高さに配置されている。そして、インクタ
ンクユニット200のジョイント口230側前面の一部
を中心とした回動動作により、ホルダー150に着脱可
能に装着されている。インクタンクユニット200の着
脱動作では、インクタンクユニット200の、負圧制御
室ユニット100に突き当たった部分がインクタンクユ
ニット200の回転中心となる。このようにインクジェ
ットヘッドカートリッジで、上述したようにインク収納
容器201の後端部の底部が傾斜していることにより、
回転中心600からインクタンク係止部上端601まで
の距離と、回転中心600からインクタンク係止部下端
602までの距離との差を小さくすることができるた
め、インクタンクユニット200及びホルダー150の
それぞれの係合部で、インクタンクユニット200の回
動における必要以上のこじれを防止でき、インクタンク
ユニット200の着脱動作を良好に行うことが可能とな
る。
【0073】インク収納容器201及びホルダー150
が上記のような形状に形成されていることにより、イン
クの高速供給のためにジョイント口230の大きさを大
きくした際においても、インクタンクユニット200の
着脱動作時にインク収納容器201後端の下端部とイン
クタンク係止部155とのこじれ領域を減少させること
ができる。これにより、ホルダー150にインクタンク
ユニット200を装着した際における固定性を確保しつ
つも、インクタンクユニット200の装着時の、インク
タンク係止部155との無駄なこじれを回避することが
できる。
【0074】ここで、図22を用いて詳細に説明する。
インクタンクユニット200の着脱動作における回転中
心600からインクタンクユニット200のインクタン
ク係止部下端602までの距離が、その回転中心600
からインクタンク係止部上端601までの距離よりも必
要以上に大きくなると、着脱動作に必要とされる力が非
常に強くなり、インクタンク係止部上端601が削れた
り、インク収納容器201が変形してしまうことがあ
る。従って、インクタンクユニット200の回転中心6
00からインクタンクユニット200のインクタンク係
止部下端602までの距離と、その回転中心600から
インクタンク係止部上端601までの距離との差は、適
度な固定力を発揮しつつ、着脱性に優れた範囲で、でき
るだけ小さいことが望ましい。
【0075】また、インクタンクユニット200の回転
中心600がジョイント口230の中心よりも低い位置
にある場合には、インクタンクユニット200の回転中
心600からインクタンク係止部上端601までの距離
がその回転中心600からインクタンク係止部下端60
2までの距離よりも長くなってしまうため、ジョイント
口230の中心の高さでインク収納容器201を正確に
抑えにくくなってしまう。従って、ジョイント口230
の高さ方向の中心を正確に固定するために、インクタン
クユニット200の回転中心600はジョイント口23
0の高さ方向の中心よりも上方にあることが望ましい。
【0076】また、インクタンクユニット200の回転
中心600をジョイント口230の中心高さ603より
も上方にあげた場合、インクタンクユニット200の、
インクタンク係止部155にあたる部分の厚みが大きく
なって、インクタンク係止部155にあたる部分が増え
てしまい、インクタンクユニット200及びホルダー1
50が破損する可能性が高くなってしまう。そのため、
インクタンクユニット200の回転中心600はジョイ
ント口230の高さ方向の中心に近い方がインクタンク
ユニット200の着脱性の観点から望ましい。また、イ
ンクタンクユニット200のインクタンク係止部155
の高さは、インクタンクユニット200の着脱性に基づ
いて適宜決めればよいが、回転中心600より高くすれ
ば、インクタンクユニット200とホルダー150との
係止部の接触距離が長くなり、着脱動作によってこすれ
る部分が増えるため、インクタンクユニット200及び
150の劣化を考慮すると、その高さはインクタンクユ
ニット200の回転中心600よりも低いことが望まし
い。
【0077】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジでは、インク収納容器201の水平方向の
位置を固定するための付勢力が、弁体261を付勢する
付勢部材263によるものと、ゴムジョイント部280
(図4参照)の反発力によるものであるが、そのような
形態のみに限られず、インク収納容器201後端に係止
部、インクタンク係止部155のインク収納容器201
側の面、または、負圧制御室ユニット100などにイン
ク収納容器201の水平方向の位置を固定するための付
勢手段が設けられていてもよい。なお、ゴムジョイント
部280はインク収納容器が接続されている状態では、
負圧制御室とインクタンクとの壁面で圧入された状態と
なり、結合部(ジョイントパイプ周辺部)の気密性を確
保させる(完全な気密性をもたずとも大気にさらされて
いる領域が少なくできればよい。)ほか、後述するシー
ル用突起によるシールの補助的な役割を果たすことがで
きる。
【0078】次に、負圧制御室ユニット100の内部の
構成について説明する。
【0079】負圧制御室ユニット100の内部には、吸
収体130を上段に、吸収体140を下段として積み重
ねられた2段構成の負圧を発生する部材が収納されてい
る。従って、吸収体130は大気連通口115と連通
し、吸収体140は、その上面で吸収体130と密着す
るとともに、その下面でフィルタ161と密着してい
る。吸収体130と140との境界面113cは、連通
部としてのジョイントパイプ180の上端より使用時姿
勢において上方となっている。
【0080】吸収体130、140は、繊維方向がほぼ
揃えられた繊維体からなるもので、その主たる繊維方向
が、このインクジェットヘッドカートリッジ70をプリ
ンタに搭載した状態で鉛直方向に対して傾いて(より望
ましくは、本実施形態のように略水平方向になるよう
に)負圧制御室容器110内に収納されている。
【0081】このような、繊維方向が揃えられた吸収体
130、140は、例えば、繊維としてけん縮された熱
可塑性樹脂からなる短繊維(長さ60mm程度、例え
ば、ポリプロピレンとポリエチレン等の混紡繊維により
構成される)を用い、この短繊維からなる繊維塊を梳綿
機で繊維方向を揃えた後に、加熱し(加熱の際の温度
は、相対的に融点の低いポリエチレンの融点よりも高
く、相対的に融点の高いポリプロピレンの融点よりも低
い温度が望ましい)所望の長さに切断することによって
製造されている。ここで、本実施形態の繊維部材は、そ
の表層の繊維方向は、中央部に比べて相対的により整っ
ており、発生する毛管力も中央部に比べて大きくなって
いるが、その表面は鏡面状ではなく主としてスライバー
を束ねる際に発生した多少の凹凸を備えており、表層部
においても融着された交点を3次元的に有するものとな
っている。このため、繊維方向が揃えられた吸収体13
0、140の境界面113cは、凹凸を有する表面同士
が接触することで、その近傍の各吸収体130、140
の表層領域とあわせ、全体としてインクは水平方向に対
して適度な流動性を有する状態となる。すなわち、境界
面113cのみが周りの領域に比べてインク流動性が格
段に優れ、その結果として負圧制御室容器110と吸収
体130、140との間の隙間と境界面113cとの間
にインクパスを作る、ということはない。従って、吸収
体130、140の境界面113cを使用時姿勢におけ
るジョイントパイプ180の上部、望ましくは、本実施
形態のようにジョイントパイプ180の上部近傍に設け
ることで、後述する気液交換動作において、気液交換動
作中の吸収体130、140中でのインクと気体との界
面を、境界面113cとすることができ、結果としてイ
ンク供給動作中のヘッド部における静負圧を安定化させ
ることができる。
【0082】また、繊維部材としてその方向性に着目す
ると、図20に示すように、それぞれの繊維は主として
梳綿機で整えられた長手方向F1に連続的に配列される
とともに、それと直行する方向F2については、熱成形
により繊維間の交点の一部が融着することでつながりを
有する構造となっている。このため、吸収体130、1
40は図中F1方向に引っ張りを加えても壊れにくい、
図中F2方向に引っ張ると繊維間の結合部が破壊される
ことでF1方向の場合に比べて容易に分離することがで
きる。
【0083】繊維からなる吸収体130、140で、こ
のように主となる繊維方向F1が存在するので、主とな
る繊維方向F1とそれと直交する繊維方向F2とでは、
インクの流動性及び静止状態での保持の仕方が異なって
くる。
【0084】吸収体130、140の内部構造について
さらに詳細にみると、図21(a)に示すような捲縮さ
れた短繊維が、ある程度繊維方向が揃った状態で加熱さ
れることにより、図21(b)に示すような状態とな
る。ここで、図21(a)で繊維方向に複数の短繊維が
重なっていた領域αは、図21(b)に示すように交点
が融着される確率が高く、結果として繊維方向には、図
20に示すF1方向に対して切れにくい、連続した繊維
が形成される。また、捲縮された短繊維を用いることで
短繊維の端部領域(図21(a)に示すβ、γ)は、図
21(b)に示すように3次元的に他の短繊維と融着し
たり(β)、そのまま端部として残ったり(γ)する。
加えて、全ての繊維が全く同一の方向に揃っているわけ
ではないので、はじめから他の短繊維に対して交差する
ように傾いて接触している短繊維(図21(a)に示す
ε)は、加熱後は、そのまま融着される(図21(b)
に示すε)。このようにして、F2方向に対しても従来
の一方向繊維束と比べて強度の高い繊維が形成される。
【0085】また、本実施形態では、このような吸収体
130、140を主となる繊維方向F1が略水平方向及
び連通部からインク供給口に向かう方向に対して略平行
になるように配置している。そのため、図6に示すよう
に、インク収納容器201が接続された状態で吸収体1
40内の気液界面L(インクと気体の界面)は主となる
繊維方向F1の方向と平行な略水平方向となり、環境変
化による変動が起こった場合も、その気液界面は略水平
方向を維持するため、環境の変動が収まればその気液界
面は元の気液界面Lの位置に戻ることになり、環境変化
のサイクル数に応じて気液界面の重力方向に対するばら
つきが増大することはない。
【0086】その結果、インク収納容器201内のイン
クを使い切って、新たなインクタンクユニット200に
交換する際には、その気液界面は略水平方向が保たれる
ので、インクタンクユニット200の交換回数が増加し
てもバッファ空間116が減少することはない。
【0087】このように環境の変化に関わらず気液交換
動作中の気液界面Lの位置を安定化させるためには、接
続部としての連通部(本実施形態の場合は、ジョイント
パイプ180)の上端の領域、より望ましくは、上端よ
り上方を含む領域に、略水平方向に主たる繊維の配列成
分を有する層を備えていればよい。別の観点から見る
と、この層は供給口131と連通部の上端部とを結ぶ領
域にあればよく、また、さらに異なる観点から見れば、
気液交換動作における気液界面上にこの領域があればよ
い。後者を作用的に捉えるならば、この配列の方向性を
有する繊維層は、気液交換による液体供給動作におけ
る、吸収体140中の気液界面を水平化させるものであ
り、インク収納容器201からの液体移動に伴う吸収体
140の鉛直方向の変化を規制する機能を有するもので
ある。
【0088】吸収体140中にこのような層を有するこ
とで、この領域内で気液界面Lは重力方向に対してのば
らつきを抑えることができる。この場合、吸収体140
の水平方向の切断面における長手方向に対しても、主た
る繊維の配列成分が略平行であると、繊維の長手方向を
有効に利用できるのでより望ましい。
【0089】なお、ここで、繊維の配列方向は、鉛直方
向からわずかでも傾いていれば、理論上は、わずかでも
上述の効果を奏するが、実用上は水平方向に対して、お
よそ±30°の範囲にある場合、明確な効果が確認でき
た。従って、略水平の「略」は、本明細書中では上述の
傾きを含むものである。
【0090】本実施形態では、連通部の上端より下方の
領域についても主たる繊維方向の配列成分は、同一の吸
収体140で構成されているために同じに構成されてい
る。そのため、図6に示すような気液交換動作におい
て、不用意にその気液界面Lが連通部の上端より下方の
領域でばらつくことがなくなるため、インク切れなどに
よるインク供給不良を起こすことがない。
【0091】すなわち、気液交換動作において、大気連
通口115から導入される大気は、気液界面Lに到達す
ると主たる繊維方向に沿って分散される。その結果、気
液交換動作中の界面は略水平方向に保たれ、安定化する
ことができる。その結果、安定した負圧を維持しながら
インクを供給することが、より確実に行うことができる
という効果がある。また、気液交換動作についても、本
実施形態の場合は、主たる繊維方向が略水平方向である
ことから、インクは水平方向でほぼ均等に消費されてい
く。その結果、負圧制御室容器110のインクについて
も、使い残りの少ないインク供給システムを提供するこ
とができる。従って、特に本実施形態のように液体を直
接収納するインクタンクユニット200が交換可能なシ
ステムにおいては、吸収体130、140内のインクを
保持していない領域を効果的に作り出すことができるの
で、バッファ空間効率が向上し、環境変動に強いインク
供給システムを提供することができる。
【0092】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジが、いわゆるシリアルタイプのプリンタに
搭載されるものである場合は、往復走査されるキャリッ
ジに装着される。このとき、キャリッジの往復動作に伴
って、インクジェットヘッドカートリッジ内のインクに
は、キャリッジの移動方向成分の力が作用する。この力
が及ぼす、インクタンクユニット200からインクジェ
ットヘッドユニット160へのインク供給特性への悪影
響をできるだけ排除するために、吸収体130、140
の繊維方向、及びインクタンクユニット200と負圧制
御室ユニット100との配列方向は、インクタンクユニ
ット200のジョイント口230から負圧制御室容器1
10の供給口131へ向かう方向であることが望まし
い。
【0093】〈タンク装着動作〉次に、負圧制御室ユニ
ット100とホルダー150が一体となったものにイン
クタンクユニット200を装着する動作について図4を
参照して説明する。
【0094】図4は、負圧制御室ユニット100が取り
付けられたホルダー150にインクタンクユニット20
0を装着する動作について説明するための断面図であ
る。インクタンクユニット200は、幅方向のガイド
(不図示)とホルダー150の底部151、負圧制御室
ユニット100の負圧制御室蓋120に設けられたガイ
ド部121、及びホルダー150後部のインクタンク係
止部155に沿って矢印F及びGの方向へほぼ回動する
ことで装着される。
【0095】まず、インクタンクユニット200の装着
動作として、図4(a)に示される位置、すなわち、負
圧制御室ユニット100に設けられたインクタンクユニ
ットの誤挿入防止のためのID部材170にインクタン
クユニット200の傾斜面251が接触する位置までイ
ンクタンクユニット200を移動させる。この時点では
ジョイント口230とジョイントパイプ180が接触し
ない構成となっている。この時点でもし、誤ったインク
タンクユニット200を装着しようとした場合には傾斜
面251とID部材170が干渉し、これ以降の、イン
クタンクユニット200の装着動作が阻止される。この
ようにインクジェットヘッドカートリッジ70が構成さ
れていることにより、前述の通り、ジョイント口230
とジョイントパイプ180は接触しない構成となってい
るので、誤装着時にジョイント部でのインクの混色や、
インク固着(インクの成分によっては(ex.アニオ
ン、カチオンの反応)吸収体130、140で固着が起
きてしまい、負圧制御室ユニット100が使用不可能と
なる場合も考えられる)等によるインクタンク交換型の
装置でのヘッド及びインクタンクの不必要な交換などを
未然に防止できる。また、上述したようにID部材25
0のID部を傾斜面に形成することで、複数のID部材
170を、それぞれのID部材170が対応するID用
凹部にほぼ同時に挿入することでIDの確認を行うこと
が可能となり、確実な誤装着防止機能を達成できる。
【0096】次に、図4(b)に示すように、ID用凹
部252にID用部材170が挿入されると共に、ジョ
イント口230にジョイントパイプ180が挿入される
ように、インクタンクユニット200を負圧制御室ユニ
ット100側に移動させる。
【0097】次に、所定の位置に装着されたインクタン
クユニット200は、図4(c)に示す位置、すなわち
ID部材170とID用凹部252とが対応する位置に
設けられているので、さらに負圧制御室ユニット200
側の奥まで移動させられる。さらに、インクタンクユニ
ット200が矢印Gの方向に回動させられると、ジョイ
ントパイプ180の先端部が弁体261に当接して弁体
261が押される。これにより、弁機構が開いてインク
タンクユニット200内と負圧制御室ユニット100内
が連通され、インクタンクユニット200内のインク3
00が負圧制御室ユニット100内へ供給可能となる。
この弁機構の開閉動作の詳細については後述する。
【0098】その後、インクタンクユニット200が矢
印Gの方向へさらに回動され、図2に示した位置へイン
クタンクユニット200が押し込まれる。これにより、
インクタンクユニット200の後方面下部がホルダー1
50のインクタンク係止部155に係止され、インクタ
ンクユニット200がホルダー150内の所望の位置に
固定される。この状態において、ID部材170はID
用凹部252から若干離脱する方向に移動することにな
る。インクタンクユニット200を固定するための後方
(ホルダー係止部155側)への付勢力は、インクタン
クユニット200内の付勢部材263と、ジョイントパ
イプ180の周囲に設けられているゴムジョイント部2
80とにより与えられる。
【0099】以上のように回動動作に伴って着脱を行う
インクタンクユニット200において、傾斜面251に
ID用凹部252が形成され、かつ、インクタンクユニ
ット200の下面が傾斜していることで、誤装着及びイ
ンクの混色のない確実なインクタンクユニット200の
着脱が最小限のスペースで可能となる。
【0100】このように、インクタンクユニット200
と負圧制御室ユニット100とを接続させたとき、負圧
制御室ユニット100内とインク収納容器201内との
圧力が等しくなるまでインクが移動し、図4(d)に示
すように、ジョイントパイプ180及びジョイント口2
30内における圧力が負となる状態で平衡状態になる
(この状態を、「使用開始状態」と称する)。
【0101】そこで、この平衡状態となるためのインク
移動について、詳細に説明する。
【0102】インクタンクユニット200が装着される
ことでインク収納容器201のジョイント口230に設
けられた弁機構が開くと、インク収納部はジョイント口
230を除いて実質的な密閉状態となる。すると、イン
ク収納容器201内のインクがジョイント口230へ流
れて負圧制御室ユニット100の吸収体140との間に
インクパスが形成される。インクパスが形成されると、
吸収体140の毛管力により、インク収納容器201か
ら吸収体140へのインク移動が開始され、その結果、
吸収体140内のインクの界面が上昇する。また、内袋
220は、内袋220内の体積が減少する方向に、面積
最大の面の中央部から変形をはじめようとする。
【0103】ここで、筐体210は内袋220の角部の
変位を抑制する働きをするため、内袋220は、インク
消費による変形の作用力と装着前の状態(本実施形態の
図4(a)〜図4(c)に示す初期状態)の形状に戻ろ
うとする作用力とが働き、急激な変化をすることなく、
変形の度合いに応じた負圧を発生するようになる。筐体
210と内袋220の空間は、外気連通口222を介し
て外気に連通しているので、上記変形に応じて筐体21
0と内袋220との間に空気が導入される。
【0104】なお、ジョイント口230及びジョイント
パイプ180内に空気が存在していても、インク収納容
器201内のインクが吸収体140に接触することでイ
ンクパスが形成されると、インクの導出に伴い内袋22
0が変形するので、その空気は内袋220内へと容易に
移動することができる。
【0105】インク移動は、インク収納容器201のジ
ョイント口230における静負圧と、負圧制御室ユニッ
ト100のジョイントパイプ180における静負圧とが
等しくなるまで行なわれる。
【0106】以上説明したように、インク収納容器20
1と負圧制御室ユニット100との接続におけるインク
収納容器201から負圧制御室ユニット100へのイン
クの移動は、インク収納容器201に吸収体130、1
40を介した気体の導入をすることなく行われる。平衡
状態となった時のそれぞれの室の静負圧は、負圧制御室
ユニット100のインク供給口に接続されるインクジェ
ットヘッドユニット160などの液体吐出記録手段から
インクが漏れ出ないよう、接続する液体吐出記録手段の
種類に応じて適切な値となるように設定すればよい。
【0107】また、接続前に吸収体130に保持される
インク量のばらつきが存在するため、平衡状態に達した
場合でも、吸収体140にインクが充填されない領域が
残っていることがある。この領域は、バッファ領域とし
て利用することができる。
【0108】逆に、ばらつき量の影響により、平衡状態
に達した時のジョイントパイプ180及びジョイント口
230内での圧力が正になってしまう恐れのある時は、
液体吐出記録装置本体に設けられる後述の吸引回復手段
により吸引回復を行ない、若干のインクを流出させるこ
とで対応してもよい。
【0109】前述したように、本実施形態のインクタン
クユニット200は、その外底面をホルダー150のイ
ンクタンク係止部155の上に乗せた状態で斜めに挿入
し、インクタンク係止部155を乗り越えた後、ホルダ
ー150の底面に押し込むという、略回動動作を伴って
ホルダー150に装着される。また、この逆の動作によ
って、インクタンクユニット200はホルダー150か
ら取り外される。そして、このインクタンクユニット2
00の着脱動作に伴って、インクタンクユニット200
に設けられた弁機構の開閉動作が行われる。
【0110】〈弁機構の開閉動作〉以下に、弁機構の開
閉動作について図5(a)〜(e)を参照して説明す
る。
【0111】図5(a)は、インクタンクユニット20
0がジョイント口230を斜め下向きにしてホルダー1
50に斜めに挿入され、ジョイントパイプ180がジョ
イント口230に挿入される直前の状態を示している。
【0112】ここで、ジョイントパイプ180には、そ
の外周面に全周にわたってシール用突起180aが一体
的に設けられているとともに、先端に弁開閉用突起18
0bが設けられている。シール用突起180aは、ジョ
イントパイプ180がジョイント口230に挿入された
ときにジョイント口230のジョイントシール面260
に当接するものであり、上端部でのジョイントパイプ1
80の先端からの距離が下端部でのそれよりも大きくな
るように斜めに設けられている。
【0113】シール用突起180aは、後述するよう
に、インクタンクユニット200の着脱動作時にジョイ
ントシール面260に対して摺動するものであるので、
ジョイントシール面260との摺動性及び密着性の良い
材料が用いられることが好ましい。また、弁体261を
第1弁枠260a側に付勢する付勢部材263の形態は
特に限定されるものではなく、コイルばねや板ばねのよ
うなばね部材、あるいは、ゴムのような伸縮性を有する
部材等を用いることができる。また、リサイクル性を考
慮すると、樹脂からなる弾性部材にすると好ましい。
【0114】図5(a)に示した状態では、弁開閉用突
起180bは弁体261には当接しておらず、弁体26
1のジョイントパイプ180側端部の外周に形成された
シール部が、付勢部材263の付勢力によって第1弁枠
260aのシール部に押圧されている。これにより、イ
ンクタンクユニット200の内部の気密性が維持されて
いる。
【0115】インクタンクユニット200をホルダー1
50に更に挿入して行くと、シール用突起180aによ
りジョイント口230のジョイントシール面260がシ
ールされる。この際、シール用突起180aは上述した
ように斜めに設けられているので、まず、図5(b)に
示すように、シール用突起180aの下端部がジョイン
トシール面260に当接し、インクタンクユニット20
0の挿入動作に伴ってジョイントシール面260に対し
て摺動しながら徐々にシール用突起180aの上部に向
かって当接範囲が広がり、最終的に、図5(c)に示す
ように、シール用突起180aの上端部がジョイントシ
ール面260に当接する。これによりシール突起180
aの全周がジョイントシール面260と当接し、ジョイ
ント口230はシール用突起180aによってシールさ
れる。
【0116】また、図5(c)に示した状態では、弁開
閉用突起180bは弁体261には当接しておらず、弁
機構は開いていない。従って、弁機構の開く前にジョイ
ント口230のシールがなされるので、インクタンクユ
ニット200の装着動作中におけるジョイント口230
からのインク漏れが防止される。
【0117】さらに、上述したように、ジョイント口2
30のシールは、ジョイントシール面260の下側から
徐々になされていくので、シール用突起180aによる
ジョイント口230のシールがなされるまでは、ジョイ
ント口230内の空気はシール用突起180aとジョイ
ントシール面260との隙間から排出される。このよう
にジョイント口230内の空気が排出されることによっ
て、ジョイント口230がシールされた状態でジョイン
ト口230内に残存する空気の量が最小限になり、ジョ
イントパイプ180のジョイント口230内への侵入に
よる、ジョイント口230内の空気の過度の圧縮、すな
わちジョイント口230内の圧力の過度の上昇が防止さ
れる。その結果、インクタンクユニット200がホルダ
ー150に完全に装着される前の、ジョイント口230
内の圧力の上昇に伴う不用意な弁の開き、及びこれによ
るジョイント口230内へのインクの流出を防止するこ
とができる。
【0118】インクタンクユニット200をさらに挿入
していくと、図5(d)に示すように、シール用突起1
80aによるジョイント口230のシールがなされたま
ま、弁開閉用突起180bは付勢部材263の付勢力に
抗して弁体261を押し込む。これにより、第2弁枠2
60bの開口260cがジョイント口230と連通し、
ジョイント口230内の空気が開口260cを通ってイ
ンクタンクユニット200の内部に導入されるととも
に、インクタンクユニット200内のインクは開口26
0c及びジョイントパイプ180を通って負圧制御室容
器110(図2参照)へ供給される。
【0119】このように、ジョイント口230内の空気
がインクタンクユニット200内に導入されることで、
例えば使用途中のインクタンクユニット200を再度装
着したとき、内袋220(図2参照)内の負圧が緩和さ
れる。よって、負圧制御室容器110と内袋220との
負圧のバランスが改善され、負圧制御室容器110への
インクの再供給性の悪化を防止することができる。
【0120】以上の動作の後、インクタンクユニット2
00をホルダー150の底面に押し込み、図5(e)に
示すように、インクタンクユニット200をホルダー1
50に装着することで、ジョイント口230とジョイン
トパイプ180とが完全に接続され、前述した気液交換
が確実に行われる状態となっている。
【0121】本実施形態では、第2弁枠260bには開
口部260cをインクタンクの底部側でかつ弁枠シール
部264の近傍に設けてある。この開口部260cの構
成によれば、弁機構開時、すなわち弁体261が弁開閉
用突起180bにより押圧され、弁蓋262側へ移動直
後直ちにインクタンクユニット200内のインクが負圧
制御室ユニット100へ供給が開始されかつ、インク使
い切り時のインクタンク内のインク残量を最小にする事
ができる。
【0122】また本実施形態においては、第1弁枠26
0aのジョイントシール面260すなわち第1弁枠のシ
ール部を構成する材料としてエラストマーを用いた。こ
のように構成材料としてエラストマーを用いることでそ
のエラストマーの弾性力により、ジョイントシール面2
60ではジョイントパイプ180のシール用突起180
aとの確実なシール性を確保することができ、第1弁枠
260aのシール部では弁体261のシール部との確実
なシール性を確保することができる。その上、第1弁枠
260aとジョイントパイプ180との間のシール性を
確保するのに最低限必要な弾性力以上の弾性力をエラス
トマーに持たせること(例えばエラストマーの肉厚を増
やす)により、インクジェットヘッドカートリッジのシ
リアルスキャン走査の際のジョイントパイプ接続箇所の
軸ブレや拗れをエラストマーの撓みで抑え、より信頼性
の高いシールを行なうことができる。さらに、構成材料
として用いたエラストマーは、第1弁枠260aと一体
成形が可能であり、部品を増やすことなく、上記のよう
な効果が得られる。また、構成材料としてエラストマー
を用いる部分は、上記構成に限られるものではなく、ジ
ョイントパイプ180に形成されたシール用突起180
aの構成材料や、弁体261のシール部の構成材料とし
てエラストマーを用いてもよい。
【0123】一方、インクタンクユニット200をホル
ダー150から取り外すと、上述した動作と逆の順で、
ジョイント口230のシールの解除及び弁機構の動作が
行われる。
【0124】すなわち、インクタンクユニット200
を、装着時とは逆向きに回動させながらホルダー150
から引き抜くと、まず、弁体261が付勢部材263の
付勢力によって前進し、弁体261のシール部が第1弁
枠260aのシール部に押圧されることによって、ジョ
イント口230が弁体261によって閉鎖される。
【0125】その後、さらにインクタンクユニット20
0を引き抜くことにより、シール用突起180aによる
ジョイント口230のシールが解除される。このよう
に、ジョイント口230は弁機構の閉鎖後にシールが解
除されるので、ジョイント口230への無駄なインクの
供給が防止される。
【0126】さらに、シール用突起180aは前述のよ
うに斜めに設けられているので、ジョイント口230の
シールの解除は、シール用突起180aの上端部から行
われる。ジョイント口230のシールが解除される前
は、ジョイント口230及びジョイントパイプ180の
内部にはインクが残っているが、はじめに開放されるの
はシール用突起180aの上端部であり、下端部はまだ
シールされたままなので、ジョイント口230からイン
クが漏れることはない。しかも、ジョイント口230及
びジョイントパイプ180の内部は負圧の状態であるの
で、シール用突起180aの上端部が開放されると、そ
こからジョイント口230内に大気が入り込み、ジョイ
ント口230及びジョイントパイプ180に残っている
インクは負圧制御容器110へ引き込まれる。
【0127】このように、ジョイント口230のシール
を解除する際に、シール用突起180aの上端部を先に
開放させ、ジョイント口230内に残ったインクを負圧
制御容器110へ移動させることで、インクタンクユニ
ット200をホルダー150から取り外したときのジョ
イント口230からのインクの漏れが防止される。
【0128】以上説明したように、本実施形態における
インクタンクユニット200と負圧制御容器110との
接続構造によれば、インクタンクユニット200の弁機
構が作動する前にジョイント口230のシールがなされ
るので、ジョイント口230からの不用意なインクの漏
れを防止することができる。しかも、インクタンクユニ
ット200の接続時及び取り外し時において、シールタ
イミング及びその解除タイミングに上部と下部とで時間
差を設けることにより、接続時の不用意な弁体261の
動作及び取り外し時のジョイント口230に残存したイ
ンクの漏れを防止することができる。
【0129】また、本実施形態では、弁体261をジョ
イント口230の開口端より奥に配置しており、ジョイ
ントパイプ180の先端の弁開閉用突起180bによっ
て、この弁体261の動作を行わせているので、ユーザ
ーが弁体261に直接触れることはなく、弁体261に
付着したインクによる汚れを防止することができる。
【0130】〈ジョイント部の着脱動作とIDの関係〉
次に、図4と図5を用いてジョイント部の着脱動作とI
Dの関係について説明する。図4と図5はそれぞれ、イ
ンクタンクユニット200をホルダー150へ装着する
過程を示す図であり、図4の(a)、(b)、(c)と
図5の(a)、(b)、(c)は同一時期で、図4はI
Dの状態を、図5はジョイント部の詳細を示している。
【0131】まず、図4(a)、図5(a)に示す位
置、すなわち、負圧制御室ユニット100に設けられた
インクタンクユニット200の誤挿入防止のための複数
のID部材170とインクタンクの傾斜面251が接触
する位置まで装着動作が行なわれる。この時点ではジョ
イント口230とジョイントパイプ180が接触しない
構成となっている。この時点でもし、誤ったインクタン
クユニットを装着しようとした場合には前記傾斜面25
1と前記ID部材170が干渉し、それ以上のインクタ
ンクユニットの装着を阻止する。本構成によれば前述の
通りジョイント口230とジョイントパイプ180が絶
対接触しないので、誤装着時にジョイント部でインクが
混色したり、インク固着、不吐出、画像欠陥、装置故
障、インクタンク交換型の装置でのヘッドの不必要な交
換を未然に防止できる。
【0132】次に、正しい位置に装着されたインクタン
クユニット200は図4(b)、図4(b)に示す位
置、すなわち前記ID部材170とID用凹部252が
対応する位置に設けられているので、更に奥(負圧制御
室ユニット200側)まで装着される。この位置まで装
着されたインクタンクユニット200はジョイント口2
30とジョイントパイプ180のシール用突起180a
の下端部がジョイント口230のシール面260に当接
する。
【0133】以下、前述の過程の通りジョイント部が接
続され、インクタンクユニット200内と負圧制御室ユ
ニット100内が連通される。
【0134】上記の実施形態において、シール用突起1
80aはジョイントパイプ180に一体的に設けられて
いるが、シール用突起180aとジョイントパイプ18
0は別体で構成され、ジョイントパイプ180の周囲に
設けられた凸部又は凹部にシール用突起180aを略係
合させることで、シール用突起180aがジョイントパ
イプ180の周囲を可動できる構成でも良い。ただし、
シール用突起180aの可動範囲はインクタンク200
がホルダー150に装着される際に、可動範囲内におけ
るシール用突起180aがジョイントシール面260と
完全に当接するまで弁体開閉突起180bが弁体261
に当接することが無いように設計されている。
【0135】インクタンクユニット200がホルダー1
50に装着される過程は、上記の実施形態では、シール
用突起180aの下端部がジョイントシール面260に
当接し、インクタンクユニット200の挿入動作に伴っ
てジョイントシール面260に対して摺動しながら徐々
にシール用突起180aの上部に向かって当接範囲が広
がり、最終的にシール用突起180aの上端部がジョイ
ントシール面260に当接することを示したが、シール
用突起180aの上端部がジョイントシール面260に
当接し、インクタンクユニット200の挿入動作に伴っ
てジョイントシール面260に対して摺動しながら徐々
にシール用突起180aの下部に向かって当接範囲が広
がり、最終的にシール用突起180aの下端部がジョイ
ントシール面260に当接しても構わないし、また、下
端部と上端部が同時に当接しても構わない。その際、ジ
ョイントパイプ180と弁体261との間に存在する空
気が弁体261を押し込んで弁体261が開いたとして
も、ジョイント口230がシール用突起180aとジョ
イントシール面260で完全にシールされているために
収納容器201内のインク300が外に漏れ出すことは
ない。すなわち、本発明のポイントは、ジョイントパイ
プ180とジョイント口230が完全にシールされた
後、弁機構が開放されることであり、本構成によれば、
インクタンクユニット200の装着時にインクタンク内
のインク300が外へ漏れ出すことはない。更に押し込
まれた空気はインクタンクユニット200内に入り、イ
ンク収納容器201内のインク200をジョイント口2
30に押し出すため、インク収納容器201から吸収体
140へのインク供給が速やかに行なわれる。
【0136】〈インク供給動作〉次に、図2に示したイ
ンクジェットヘッドカートリッジにおけるインクの供給
動作について図6を参照して説明する。図6は、図2に
示したインクジェットヘッドカートリッジにおけるイン
クの供給動作について説明するための断面図である。
【0137】上述したように負圧制御室ユニット100
内の吸収体を複数の部材に分割し、分割された部材同士
の境界面をジョイントパイプ180の上端より使用時姿
勢において上方に配置することにより、図2に示したイ
ンクジェットヘッドカートリッジにおいて吸収体13
0、140の双方にインクが存在する場合では、上方の
吸収体130内のインクを消費した後、下方の吸収体1
40内のインクを消費することが可能となる。また、環
境変化により気液界面Lが変動する場合、はじめに吸収
体140、及び吸収体130と140との境界面113
c近傍が充填された後、吸収体130にインクが進入す
る。従って、吸収体140の繊維方向とあわせて、負圧
制御室ユニット100内のバッファ空間116以外のバ
ッファ領域を安定的に確保することができる。さらに、
本実施形態のように、吸収体130の毛管力より吸収体
140の毛管力の強さを相対的に高くすることで、使用
時に確実に上方の吸収体130中のインクを消費するこ
とができる。
【0138】さらに加えて、本実施形態の場合、負圧制
御室蓋120のリブにより吸収体130が吸収体140
側に押されていることにより吸収体130と吸収体14
0とは境界面113cで圧接しており、吸収体130、
140の、境界面113c近傍の部分ではそれぞれ、他
の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態とな
っている。すなわち、吸収体140の毛管力をP1、吸
収体130の毛管力をP2、吸収体130、140同士
の境界面113c、及び吸収体130、140の、境界
面113c近傍の領域(境界層)の持つ毛管力をPSと
すると、P2<P1<PSとなっている。このように毛管
力の強い境界層を設けることで、疎密のばらつきを考慮
したP1とP2の毛管力範囲が吸収体130、140内の
疎密のばらつきによりオーバーラップしたとしても、界
面に上記条件を満たす毛管力があるので、上述したよう
な効果を確実に奏することができる。また、上述したよ
うに、吸収体130、140の境界面113cの下部近
傍にジョイントパイプ180を配することで気液交換時
の液面をこの位置で安定的に保つことが可能となるので
好ましい。
【0139】そこで、本実施形態における境界面113
cを構成するための方法について説明する。本実施形態
の場合、毛管力発生部材である吸収体140の構成材料
としては、毛管力P1=−1080Paのオレフィン系樹脂繊
維(2デニール)が用いられており、その固さは、6.76
N/mmである。ここで、吸収体130、140の固さは、
負圧制御室容器110内に収納された状態においてφ15
mmの押し棒を吸収体に押し込んだ時の反発力を測定し、
押し込み量に対する反発力の傾きにより求められてい
る。一方、吸収体130の構成材料としては、吸収体1
40と同材料のオレフィン系樹脂繊を用いたが、吸収体
130のP2は吸収体140に比べて弱くなっており、
その毛管力P2=−785Paであり、かつ、その繊維材料の
繊維径が太く(6デニール)、吸収体130の剛性は1
8.4N/mmと高くなっている。
【0140】このように、毛管力の弱い吸収体130の
方を毛管力の高い吸収体140に対して固くし、それら
の吸収体130、140を圧接させて組み合わせること
で、吸収体130、140同士の境界面113c付近で
は、吸収体140の方がつぶれることとなり、毛管力の
強さをP2<P1<PSとすることができる。さらに、P2
とPSの差を必ずP2とP1の差以上とすることができ
る。
【0141】〈インク消費動作〉次に、負圧制御室ユニ
ット100及びホルダー150にインクタンクユニット
200を装着してからインク吸収容器201内のインク
が消費されるまでのインク消費動作の概要について図6
〜図8を参照して説明する。図7は、図6に基づいて説
明するインク消費動作におけるインクの状態について説
明するための図であり、図8は、そのインク消費動作で
内袋220の変形による内部圧力変動の抑制効果につい
て説明するための図である。
【0142】まず、上述したようにインク収納容器20
1を負圧制御室ユニット100と接続させると、負圧制
御室ユニット100内とインク収納容器201内との圧
力が等しくなるまでインク収納容器201内のインクが
負圧制御室ユニット100内へ移動して使用開始状態と
なる。次に、インクジェットヘッドユニット160によ
りインクの消費が開始されると、内袋220内と吸収体
140の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバ
ランスを取りつつ、内袋220内と吸収体140の双方
に保持されたインクが消費される(第1のインク供給状
態:図7(a)の領域A)。ここで、吸収体130にイ
ンクが保持されている場合には、吸収体130のインク
も消費される。なお、図7(a)は、この時のインク供
給管165内における負圧変化の割合の一例について説
明するための図であり、図7(a)では、横軸が、イン
ク供給管165から負圧制御室容器110の外部へのイ
ンク導出量、縦軸が、インク供給管165内の負圧(静
負圧)の値である。
【0143】次に、内袋220内に気体が導入されるこ
とで吸収体130、140が気液界面Lを保ちながらイ
ンクの導出に対してほぼ一定の負圧を保持する気液交換
状態(第2のインク供給状態:図7(a)の領域B)を
経て、毛管力発生部材収納室10内に残存するインクを
消費するようになる(図7(a)の領域C)。
【0144】このように、本実施形態のインクジェット
ヘッドカートリッジは、内袋220内へ外気を導入する
ことなく、内袋220内のインクを使用する工程を有す
るため、このインク供給工程(第1のインク供給状態)
においてインク収納容器201の内容積の制限は、結合
時において内袋220内に導入された空気のみを考慮す
ればよいことになる。その結果、インク収納容器201
の内容積の制限を緩和しても、温度変化などの環境変化
に対応可能であるという利点がある。
【0145】また、図7(a)における上述の領域A、
B、Cのどの状態においてインク収納容器201を交換
したとしても、安定的に負圧を発生することができ、こ
れにより確実なインク供給動作を行うことができる。す
なわち、本実施形態のインクジェットヘッドカートリッ
ジによれば、インク収納容器201内のインクをほぼ完
全に消費することができる。また、それだけでなく、イ
ンクタンクユニット200の交換時にジョイントパイプ
180またはジョイント口230内に空気を含んでいて
もよく、吸収体130、140のインク保持量によらず
インク収納容器201の交換をできるので、必ずしも残
量検出機構を設けなくとも、インク収納容器201を交
換可能なインクジェットヘッドカートリッジが得られ
る。
【0146】ここで、以上説明した一連のインク消費過
程における動作について、図7(b)にてさらに別の観
点で説明する。
【0147】図7(b)は、一連のインク消費過程にお
ける動作の一例について説明するための図であり、図7
(b)では、横軸が時間、縦軸がインク収納部からのイ
ンク導出量、及び内袋220内への空気導入量である。
また、経過時間においてインクジェットヘッドユニット
160へのインク供給量は一定とする。
【0148】図7(b)に示されるインク導出量及び空
気導入量の観点で一連のインク消費過程における動作に
ついて説明する。図7(b)において、内袋220から
のインク導出量が実線で、インク収納部への空気導入
量が実線で示されている。
【0149】時間t=0から時間t=t1までは、図7
(a)に示した気液交換前の領域Aに相当する。この領
域Aでは、前述したように吸収体140からと内袋22
0内からとのバランスをとりながらインクがヘッドから
導出される。
【0150】次に、時間t=t1から時間t=t2まで
は、図7(a)の気液交換領域(B領域)に相当する。
この領域Bでは、前述したような負圧バランスに基づ
き、気液交換が行われる。図7(b)の実線で示すよ
うに、内袋220内にエアが導入される(実線の段差
で示される)ことにより内袋220内からインクが導出
される。その際に、エアの導入に伴い、導入されたエア
に等しい量のインクが直ちに内袋220内から導出され
るわけではなく、例えばエアの導入から、ある所定の時
間を経た後、導入されたエアに等しい量のインクが最終
的に内袋220内から導出されるようになっている。こ
のような動作は、この図7(b)からも明らかなよう
に、内袋220を有しておらず、インク収納部が変形し
ないインクタンクの動作に比べてタイミングのずれが生
じるものである。以上のように気液交換領域においてこ
の動作が繰り返される。内袋220内のインクの導出が
進むと、ある時点で、内袋220内のエアの量とインク
の量とが逆転する。
【0151】時間t=t2を過ぎると、図7(a)に示
した気液交換後の領域(領域C)となる。この領域Cで
は、前述したように内袋220内がほぼ大気圧になる。
それに伴い、内袋220の弾性力により初期状態(使用
開始前の状態)にもどる動作となる。ただし、内袋22
0では、いわゆる座屈により、完全には初期の状態には
戻りきらない。そのため内袋220内への最終的な空気
導入量Vcは(V>Vc)となる。領域Cでも内袋220
からのインクはすべて使い切る状態となる。
【0152】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェットヘッドカートリッジの構成における気液交換動
作の現象の特徴として、気液交換中の圧力変動(図7
(a)における振幅縺jが従来の気液交換を行うインク
タンクシステムに比べて比較的大きいことがあげられ
る。
【0153】この理由として、気液交換を行う以前に内
袋220内からのインクの導出により、内袋220がタ
ンク内方に変形した状態になっている。そのため内袋2
20の弾性力により内袋220の壁部では常に外方へ向
かう力が働いている。そのため気液交換時に吸収体14
0内と内袋220内との圧力差を緩和させるために内袋
220内に入るエアの量が、前述したように所定量以上
に入る場合が多い。それにより内袋220内から負圧制
御室ユニット100へのインクの導出も多くなる傾向に
ある。それに対して、インクタンクユニット200の内
部が、内袋220のように壁部が変形しないようなイン
ク収納部を有する構成にした場合は、そのインク収納部
に所定量のエアが入ることにより直ちに負圧制御室ユニ
ット100へインクが導出される。
【0154】例えば、100%デューティ(ベタモー
ド)の印字を行う場合、インクジェットヘッドユニット
160から一度に大量のインクが吐出される。これによ
り負圧制御室ユニット100内及びインク収納容器20
1内からも急激にインクの導出が行われるが、本実施形
態のインクジェットヘッドカートリッジにおいては、気
液交換によるインクの導出が比較的多いので、インク切
れの心配がなく信頼性が向上する。
【0155】また、本実施形態のインクジェットヘッド
カートリッジの構成によれば、内袋220が内方に変形
した状態でインクの導出が行われるため、キャリッジな
どの振動や、環境変化などによる外的要因に対してのバ
ッファ効果が高いという更なる利点がある。
【0156】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェットヘッドカートリッジは、微小な負圧変動を内袋
220により緩和することができるが、さらに、その構
成によれば、第2のインク供給状態など、内袋220内
に空気を含む場合においても、従来の方法とは異なる解
決方法により、温度変化などの環境の変化に対応するこ
とが可能となる。
【0157】次に、図2に示したインクジェットヘッド
カートリッジの環境条件を変化させた場合にそのユニッ
ト内で液体を安定して保持するメカニズムについて図8
を参照して説明する。以下の説明では、吸収体130、
140を毛管力発生部材とも称する。
【0158】大気圧の減少あるいは気温の上昇により、
内袋220内の空気が膨張すると、内袋220を構成す
る壁部や、内袋220内の液面が押圧される。これによ
り、内袋220の内容積が増加すると共に、内袋220
内のインクの一部がジョイント口230及びジョイント
パイプ180を通して内袋220内から負圧制御室容器
110内へと流出する。ここで、内袋220の内容積が
増加するために、吸収体140へ流出するインク量は、
インクが収納される部分が変形不可能な場合に比べて大
幅に少なくなる。
【0159】ここで、ジョイント口230及びジョイン
トパイプ180を通じて負圧制御室容器110内へと流
出するインク量は、気圧変化が急激な場合、内袋220
内の負圧を緩和し、内袋220の内容積を増加させるた
め、内袋220の壁部の内方への変形を緩和することに
より生じる壁面の抵抗力と、インクを移動させて毛管力
発生部材に吸収させるための抵抗力と、の影響が初期的
には支配的である。
【0160】特に、本構成の場合、毛管力発生部材(吸
収体130、140)の流抵抗が袋の復元に対する抵抗
より大きいので、空気の膨張にともない、まず内袋22
0の内容積が増加する。そして、この増加分の上限より
空気の膨張による体積の増加が大きい場合、ジョイント
口230及びジョイントパイプ180を介して内袋22
0内から負圧制御室容器110側へインクが流出するよ
うになる。つまり、内袋220内の壁面が環境変化に対
するバッファとしての機能を果たすため、前記毛管力発
生部材内のインクの移動が緩やかになり、インク供給管
165近傍における負圧特性が安定する。
【0161】なお、本実施形態では負圧制御室容器11
0に流出したインクは前記毛管力発生部材で保持される
ようにしている。この場合、負圧制御室容器110のイ
ンク量が一時的に増加して気液界面が上昇するので、使
用初期と同様にインク内圧の安定期より一時的にやや正
側の内圧になるが、インクジェットヘッドユニット16
0などの液体吐出記録手段の吐出特性への影響は小さ
く、実使用上の問題はない。また、大気圧が減圧前のレ
ベルに回復(1気圧に戻る)した場合(あるいは元の温
度に戻った場合)は、負圧制御室容器110に漏出して
前記毛管力発生部材に保持されていたインクが再び内袋
220内に戻ると共に内袋220の内容積が元の状態へ
と戻るようになる。
【0162】次に、気圧変化の後の初期的な動作の後、
変化した気圧のもとで定常状態に至ったときの原理動作
を説明する。
【0163】この状態で特徴的なことは、内袋220内
から導出されたインク量だけでなく、内袋220自体の
内容積の変化による負圧の変動に対してバランスを保つ
ように、前記毛管力発生部材に保持されているインクの
界面が変化することである。ここで、本発明における、
前記毛管力発生部材のインク吸収量とインク収納容器2
01との関係については、前述の減圧ないしは温度変化
時の大気連通口などからのインクの漏れを防止するとい
う観点から、インク収納容器201からの最悪条件下で
のインク流出量と、インク収納容器201からのインク
供給時に負圧制御室容器110に保持させるインク量と
を考慮して負圧制御室容器110の最大インク吸収量を
決め、少なくともその分の毛管力発生部材を収納するだ
けの容積を負圧制御室容器110に持たせれば良い。
【0164】図8(a)に、内袋220内が空気の膨張
に対して全く変形しない場合の、減圧前の内袋220内
の初期空間体積(空気の体積)を横軸(X)、気圧をP
気圧(0<P<1)に減圧した場合のインク流出量を縦
軸(Y)、として、これらの関係を点線で示した。
【0165】従って、内袋220内からのインク流出量
の最悪条件での見積は、例えば、大気圧の最大減圧条件
を0.7気圧とした場合、インク収納容器201からの
インク流出量が最大となるのは内袋220の容積VBの
30%のインクが内袋220内に残余している場合であ
り、内袋220内壁下端部より下のインクも負圧制御室
容器110の毛管力発生部材に吸収されるとすれば、内
袋220に残余している全てのインク(VBの30%)
が漏出すると考えれば良い。
【0166】これに対し、本実施形態では、内袋220
内が空気の膨張に対して変形するので、膨張前の内袋2
20の内容積に対し、膨張後の内袋220の内容積は増
加するとともに、この内袋220内の変形による負圧の
変動に対してバランスを保つように、負圧制御室容器1
10内のインク保持レベルが変化する。そして、定常状
態では、内袋220内からのインクによって気圧変動前
に比べて負圧が減少した毛管力発生部材との負圧のバラ
ンスを保つようになる。すなわち、内袋220内の膨張
量だけ、インク導出量は少なくなる。その結果、一例と
して実線で示したようになる。この点線と実線か
らも明らかなように、内袋220内からのインク流出量
の最悪条件での見積は、内袋220内が空気の膨張に対
して全く変形しない場合よりも小さくすることができ
る。上記の現象はインクタンクの温度変化の場合でも同
様であるが、50度程度の温度上昇があっても流出量は
上記減圧時よりも少ない。
【0167】このように、本発明のインクタンクによれ
ば、環境の変化によるインク収納容器201内の空気の
膨張を、負圧制御室容器110だけではなく、最大で内
袋220内の外形形状が筐体210内面の形状と実質的
に等しくなるまでインク収納容器201自体の体積を増
加させるバッファ効果によりインク収納容器201でも
許容することができるので、インク収納容器201のイ
ンク収納量を大幅に増大しても環境変化に対応可能なイ
ンク供給システムを提供することができる。
【0168】また、初期の空気の体積をVA1とした時、
t=0で大気圧下からP気圧(0<P<1)の減圧環境
下にタンクの環境を変化させた場合の、時間の経過に伴
う内袋220内からのインク導出量及び内袋220の内
容積を図8(b)に模式的に示す。図8(b)におい
て、横軸は時間(t)、縦軸は内袋220内からのイン
ク導出量及び内袋220の内容積であり、内袋220内
からのインク導出量の時間変化を実線で、内袋220
内の体積の時間変化を実線で示す。
【0169】図8(b)に示すように、急激な環境の変
化に対しては、最終的に負圧制御室容器110とインク
収納容器201とが負圧バランスを保つ定常状態となる
前に、主としてインク収納容器201で空気の膨張に対
応することができる。従って、急激な環境変化に対し
て、インク収納容器201から負圧制御室容器110へ
のインクの導出タイミングを遅らせることができる。
【0170】従って、種々の使用環境下であっても、気
液交換により導入された外気の気体膨張に対して許容力
を高めつつ、インク収納容器201の使用中に安定した
負圧条件下でインク供給を行うことのできるインク供給
システムを提供することができる。
【0171】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジによれば、使用する毛管力発生部材(インク吸収
体130、140)及び内袋220内の材料を適宜選択
することで、負圧制御室容器110と内袋220内との
体積割合を任意に決定することができ、1:2より大き
な場合でも、実用上使用することができる。特に、内袋
220内のバッファ効果を重視する場合には、弾性変形
可能な範囲内で使用開始状態に対する気液交換状態での
内袋220内の変形量を大きくするようにすればよい。
【0172】このように、本実施形態のインクジェット
ヘッドカートリッジによれば、負圧制御室容器110の
構成と合わせ、毛管力発生部材がわずかな占有体積しか
ない場合でも、外部環境に対する変化に対して相乗的に
効果を発揮することができる。
【0173】本実施形態のインクジェットヘッドカート
リッジにおいて、図2に示したようにジョイントパイプ
180は負圧制御室容器110の下端部より上方に設け
られている。これにより、負圧制御室容器110内の吸
収体130,140中のインク成分のばらつきを低減さ
せる効果が得られる。この効果について、以下にさらに
詳細に説明する。
【0174】インクタンクユニット200からのインク
はジョイント口230、吸収体130,140を介して
インクジェットヘッドユニット160へと供給される
が、ジョイント口230からインク供給管165までの
経路はさまざまである。インクが最短距離で直接供給さ
れる場合と、例えば、上述した環境変化などによる吸収
体140内の液面の上昇によって、一度、吸収体140
の上部までいった後、インク供給管165へと導かれる
ものとでは、その経路にかなりの差がでる。それにより
インク成分のばらつきにより記録への影響がでる場合が
ある。本実施形態のインクジェットヘッドカートリッジ
の構成のように、ジョイントパイプ180を吸収体14
0の上部へ位置させることで、インク経路のばらつき、
つまり、経路の長さの差を押さえ、それによりインク成
分のばらつきも押さえることが可能となる。それによ
り、記録へのばらつき成分を押さえることができる。こ
れにより、ジョイントパイプ180及びジョイント口2
30をなるべく上部にもっていくことが好ましいが、バ
ッファ機能を確保するため、本実施形態のように、ある
程度の位置にとどめることが好ましい。この位置は、吸
収体130,140、インク、インクの供給量、インク
量等の条件により、適宜決定される。
【0175】ところで、本実施形態のインクジェットヘ
ッドカートリッジの負圧制御室容器110内には、上述
したように、毛管力をP1の吸収体140と毛管力をP2
の吸収体130とが圧接して収納されることで、毛管力
がPSの境界面113cが形成されている。各毛管力の
強さの関係はP2<P1<PS、すなわち、境界面113
cの毛管力が最も強く、ついで、下段側に配された吸収
体140の毛管力が強く、上段側に配された吸収体13
0の毛管力が最も弱いという関係にある。境界面113
cの毛管力が最も強く、かつ、上段側に配された吸収体
130の毛管力が最も弱いということで、連通口231
から供給されたインクが境界面113cを超えて上段側
の吸収体130に流れ込んだとしても、インクは境界面
113c側に強く引っ張られ、境界面113cの方に戻
ることとなる。このように、境界面113cが存在する
ことで、経路Jが吸収体140と吸収体130との両方
を通過するようなラインを描くことはなく、よって、連
通口230が供給口131より上方に形成されているこ
ととあいまって、経路Kの長さと経路Jの長さとの差違
を小さくすることができる。このため、吸収体140内
を流れるインクの経路が異なった際に生じる、インクが
吸収体140より受ける影響の差違も小さくできる。
【0176】また、本実施形態においては、負圧制御室
容器110に収納された、負圧発生部材であるインク吸
収体は2部材の構成となっている。本実施形態において
は、毛管力の異なる吸収体130、140で構成されて
おり、下部の吸収体として毛管力の強いものを用いてい
る。そして、吸収体130と140との境界面113c
の界面近傍の下部にジョイントパイプ180を位置させ
ることで、インク経路のばらつきを押さえつつ、確実な
バッファ部をも確保することが可能となっている。
【0177】また、供給口131は負圧制御室容器11
0の下壁の中央付近に形成されたものを例として示した
が、これに限定されることなく、必要であれば、連通口
231から遠ざけられた方向、すなわち、図2での下壁
の左端側あるいは左側の側壁に供給口が形成されるもの
であってもよい。これに伴い、ホルダー150に設けら
れたインクジェットヘッドユニット160の位置、及び
インク供給管165の位置も下壁の左端側あるいは左側
の側壁に形成された供給口に対応する位置に設けられた
ものであってもよい。
【0178】〈弁機構〉次に、上述したインクタンクユ
ニット200のジョイント口230の内部に設けられた
弁機構について図9を参照して説明する。
【0179】図9(a)は、第2弁枠260bと弁体2
61との関係の正面図、図9(b)は、図9(a)の側
断面図、図9(c)は、第2弁枠260bと回転した弁
体261との関係の正面図、図9(d)は、図9(d)
の側断面図である。
【0180】図3や、図9(a)及び図9(b)に示す
ように、ジョイント口230の開口形状は、インク収納
容器201のインクの供給性能を高めるために、一方向
に延びる長穴状になっており、ジョイント口230の開
口面積が拡大されている。しかしながら、ジョイント口
230の長手方向に対して垂直な横方向へジョイント口
230の開口幅を拡大すると、インク収納容器201の
占めるスペースが増大し、ひいては装置の大型化につな
がってしまう。この傾向は、最近のカラー化、フォト化
に伴い、インクタンクを横方向(キャリッジ走査方向)
に並列して並べる場合、特に効果がある。このため、本
実施形態においては、インク収納容器201のインク供
給口であるジョイント口230の形状を長穴とした。
【0181】さらに、本実施形態のインクジェットヘッ
ドカートリッジでは、ジョイント口230は、インクを
負圧制御室ユニット100に供給する役割と、インク収
納容器201内に大気を導入する役割とを有している。
従って、ジョイント口230が、重力方向に対して垂直
な方向に長手方向を持つ長穴形状となっていることは、
ジョイント口230内の下部を主としてインク供給路、
ジョイント口230内の上部を主として大気導入路とし
て容易に機能分離することが可能となり、確実なインク
供給及び気液交換を達成することができる。
【0182】前述したように、ジョイント口230の内
部には、インクタンクユニット200の装着に伴って負
圧制御室ユニット100のジョイントパイプ180が挿
入される。これにより、ジョイントパイプ180先端の
弁開閉用突起180bによって弁体261が押されてジ
ョイント口230の弁機構が開くことで、インク収納容
器201内のインクが負圧制御室ユニット100内へ供
給される。インクタンクユニット200がジョイントパ
イプ180に装着される姿勢により、弁開閉用突起18
0bが弁部材に対して、かた当たりをした場合において
も、ジョイントパイプ180の側面に配されているシー
ル用突起180aの先端部の断面形状が半円形状である
ことにより、弁体261の捩じれを回避することが可能
である。このとき、弁体261の安定的な摺動を可能と
するために、ジョイント口230内側のジョイントシー
ル面260と、弁体261の第1弁枠260a側の部分
の外周との間には、図9(a)及び図9(b)に示すよ
うにクリアランス266が設けられている。
【0183】さらに、ジョイントパイプ180の先端部
分では、少なくとも上部が開放されているので、ジョイ
ントパイプ180がジョイント口230に挿入された場
合にジョイントパイプ180内及びジョイント口230
内の上部での主たる大気導入路の形成が阻害されること
がなく、速やかな気液交換動作が可能となっている。
【0184】逆に、インクタンクユニット200の取り
外し動作時はジョイントパイプ180がジョイント口2
30から離れることにより、弁体261が付勢部材26
3から受ける弾性力により第1弁枠260a側の前方に
摺動し、図9(d)に示すように、第1弁枠260aの
弁枠シール部264と弁体261の弁体シール部265
が係合することでインクの供給路が遮断される。
【0185】図10は、ジョイントパイプ180の先端
部の形状の一例を示す斜視図である。図10に示すよう
に、長穴形状のジョイントパイプ180の先端部におけ
る上方の部分には上側開口部181aが形成され、その
先端部における下方の部分には下側開口部181bが形
成されている。下側開口部181bはインク通路であ
り、上側開口部181aは、空気の通路用のものである
が、上側開口部181aにはインクが通されることもあ
る。
【0186】また弁体261の、第1弁枠260aへの
付勢力の値としては、使用環境の変化においてインク収
納容器201で内外圧の差が生じたとしても弁体261
の付勢力がほぼ一定に保たれるように設定されている。
このようなインクタンクユニット200を0.7気圧の
高地で使用した後、弁体261を閉じ、インクタンクユ
ニット200を1.0気圧の環境下に運搬した場合、イ
ンク収納容器201内は大気圧よりも圧力が低くなり、
弁体261を押し開く方向にその弁体261に力が働く
ことになる。本実施形態の場合、大気が弁体261を押
す力FAは、 FA=1.01×105[N/m2] (1.0気圧) となる。
【0187】また、インクタンク内の気体が弁体261
を押す力FBは、 FB=0.709×105[N/m2] (0.7気圧) となる。このような環境変化に対して常に弁体261に
付勢力を発生させるためには弁体261の付勢力FV
は、 FV−(FA−FB)>0 を満たす必要がある。
【0188】つまり、本実施形態においては、 FV>1.01×105−0.709×105=0.30
4×105[N/m2] となる。
【0189】この値は弁体261と第1弁枠260aが
係合している場合のものである。弁体261と第1弁枠
260aが離れている場合、すなわち弁体261への付
勢力を発生させるための付勢部材263の変位量が大き
くなるため、弁体261を第1弁枠260a側に付勢す
る付勢力の値はさらに大きくなることは明らかである。
【0190】このような構成の弁機構では、弁開閉用突
起180bの弁体261との摺動面が、インクの固着な
どにより摩擦係数が増大することがあり、その際には弁
体261が弁開閉用突起摺動面上を摺動せず、そのため
に回動動作に伴い、弁体261が弁開閉用突起180b
によって図中上方に押し上げられつつストロークすると
いういわゆる拗れ現象が発生する恐れがある。
【0191】そこで、拗れ(こじれ)現象の発生による
シール性能への影響を考慮できる弁の形態について比較
例とともに以下に述べる。
【0192】図11は本発明の弁機構と比較するための
形態例を示し、図12及び図13は図11の弁機構にお
ける拗れとシール状態を示している。図11の比較例で
は、長穴形状の弁体501および第2弁枠500bの間
の、摺動のためのクリアランス506は一定量である。
弁体501は付勢部材503により第1弁枠500aに
押し付けられ、弁体501の第2弁枠500b側のテー
パ状の弁体シール部501cと第1弁枠500aのテー
パ状のシール部500cとの密着によりジョイント口5
30をシールする。このような比較例の構造において上
記の拗れ現象が発生すると、図12に示すように弁体5
01と第2弁枠500bは接触面510aと接触面51
1bの2箇所で接触している。この2箇所の接触面間の
距離をX、クリアランス量をYとするとその拗れ角θは
θ=tan-1(2Y/X)となり、クリアランス量が同
一であれば接触面間距離Xが大きいほど小さくできる。
【0193】しかしこの比較例の場合、接触面間距離X
は比較的(例えば弁体直径と比べて)短いため、拗れ角
θは比較的大きい。言い換えれば、拗れの修正のために
は比較的大角度の回転動作を必要とする為、発生した拗
れは修正される確率が低いことが判る。
【0194】この拗れが修正されないまま、図13に示
すように再び第1枠体500aとの当接がなされると、
テーパ状の弁体シール部501c及び第1弁枠シール部
500cの特に長穴形状におけるR部においては両者の
当接半径が異なってしまい当接部が完全に密着せず、イ
ンク漏れが発生してしまう。
【0195】また、第2弁枠500bと弁蓋502とは
超音波で溶着されているが、比較例の弁蓋は単純な平面
であるため、超音波振動による位置ずれが生じ、弁体5
01の摺動軸501aが挿入される弁蓋502の穴のセ
ンター位置の精度がばらつく恐れがある。そのため、弁
蓋502の穴と弁体501の摺動軸501aとが接触し
ないように弁蓋502の穴を大きくとる必要が生じる。
付勢部材503の最小径は弁蓋502の穴径により決ま
るため、付勢部材503の小型化、ひいては弁の機構全
体の小型化が難しいものとなる。
【0196】このような比較例に対し、本実施形態の弁
機構は次のような構成をとる。図14は本発明の実施の
形態による弁機構を示し、図15及び図16は図14の
弁機構における拗れとシール状態を示している。図14
に示すように、本実施形態では弁体261はストローク
方向(図中右向き)に向かって直径(少なくとも長径)
が小さくなる方向にテーパが設けられている。第2弁枠
260bの内周部は同じくストローク方向に向かって内
径が大きくなる方向にテーパが設けられている。この構
成で弁体261が拗れた場合、図12の比較例の接触面
511bの位置で弁体261と第2弁枠260bとが接
触するには甚だ大きい角度が必要であり、その角度に到
達する前に弁体261の摺動軸が弁蓋262の穴に接触
する(図15参照)。これにより接触面間距離Xを長く
設定することができ、その結果、拗れ角θを小さくする
ことができる。そのため、拗れが修正されないまま図1
6に示すように弁体261が第1枠体500aに当接さ
れても、比較例に比べて拗れ角θが非常に小さいため、
弁体シール部265と第1弁枠シール部264との密着
性が良好である。
【0197】ただこの場合の拗れ角は、接触面間距離を
X、弁体261と第2弁枠260bの間のクリアランス
をY1、弁体261の摺動軸と弁蓋260bの穴の間の
クリアランスをY2とした場合、θ=tan-1(Y1+
Y2/X)となる。
【0198】また弁蓋252には、弁蓋252を第2弁
枠260bの内側に進入させると共に第2弁枠260b
の端部に当接することが可能な段部(弁蓋の進入量0.
8mm)である弁蓋溶着ガイド262aが設けられてい
る。そのため、弁蓋262において弁体261の摺動軸
が入る穴の径が比較例よりも小さくしてある。つまり、
弁蓋溶着ガイド262aにより、第2弁枠260bと弁
蓋262の超音波溶着のときの振動による弁蓋262の
位置ずれが小さくなるので、弁蓋262の穴のセンター
位置の精度を向上することができる。この事により、弁
蓋262の穴径を小さくでき、付勢部材263の最小径
をさらに小さくできるため、弁機構の小型化を図ること
ができる。また、弁体261の拗れにより弁体261の
摺動軸を介して弁蓋262に力が加わっても、弁蓋溶着
ガイド262aにより弁蓋262の剛性を確保すること
ができる。
【0199】さらに、弁蓋262の穴の稜線上にはR部
262bが設けられている。このR部262bは穴の稜
線のうち非溶着面側(図中右側)のみに設けてある。こ
の構成によると、拗れたままの弁体261の動作、特に
弁閉時における弁体261の摺動軸と弁蓋262との接
触抵抗を低減させることができる。
【0200】また、弁体261の第1弁枠260a側と
当接される端部は平面からなる弁体シール部265とな
っている。一方、第1弁枠260aの弁体シール部26
5が当接する部分は、第1弁枠260aの内側に設けた
エラストマー267からなる第1枠体シール部264と
なっている。このように弁体261と第1弁枠260a
のシール部分をフラット化することにより、仮に弁体が
拗れて当接しても、長円形状の弁体261のR部の第1
枠体260aに対する当接半径は一致するため、完全な
当接がなされる。さらに、第1弁枠シール部264を舌
状に突き出した形状にしているので、その当接時のシー
ルがより確実なものとなる。
【0201】また、このような構成の弁機構で、弁体2
61と第2弁枠260bとの間に摺動のためのクリアラ
ンスが設けられている場合、インクタンクユニット20
0の着脱動作において、図9(c)に示すように弁体2
61がその軸を中心として第2弁枠260b内で回転し
てしまうことがある。しかし本実施形態では、弁体26
1がその軸を中心として回転し、最大回転角を持った状
態で第1弁枠260aに付勢されても、弁枠シール部2
64と弁体シール部265とが面で接触することとなる
ので、弁機構の密閉性を確保することができる。
【0202】さらに、ジョイント口230及び弁機構の
形状を長穴状にしたことで、弁体261の摺動に対して
弁体261の回転角を最小限にとどめることができ、弁
の応答性も向上させることができるので、ジョイント口
230の弁機構のシール性を確保することが可能とな
る。また、ジョイント口230及び弁機構の形状が長穴
状であることにより、インクタンクユニット200の着
脱動作において、ジョイントパイプ180の側面に配さ
れたシール用突起180a及び弁体261がジョイント
口230内で速やかに摺動し、安定した接続動作が行わ
れる。
【0203】また、図10に示したように、ジョイント
パイプ180の弁体261との当接端部は、気液交換と
液供給のために上側開口部181a及び下側開口部18
1bを形成する2つの左右対向の弁開閉用突起180b
となっている。そのため、図17の(c)及び(d)に
示すように、突起180bと当接する弁体261の、第
1枠体シール部264と密着させる弁体シール部265
を除いた箇所に、突起180bに対応する2つの当接リ
ブ310を設けることが検討される。しかし、弁開時に
は弁体261は付勢部材263の押圧力に抗して押し戻
されるため、そのリブ部分は変形しない程度の剛性が求
められる。また、当接リブ部の配置と形状については、
ジョイントパイプ180の2つの弁開閉用突起180b
に対する弁体261の当接リブ部の位置が弁体261の
摺動軸261aの軸周りにずれたとしても、摺動軸26
1aを中心に2つの当接位置に加わるモーメントが相殺
されることが信頼性の観点から求められる。そこで本実
施形態では、図17の(a)及び(b)に示すように長
穴形状のジョイントパイプ180と相似形である円環形
状のリブ311(例えば幅0.6mm、高さ1.3m
m)が弁体261に設けられている。言い換えれば、弁
体261の、第1枠体シール部264と密着させる弁体
シール部265を除いた箇所である中央部に、長穴形状
のくぼみ部311aが設けられている。この構成によ
り、弁体261は弁開閉用突起180bとの当接の際の
強度および信頼性を持ったものになっている。尚、リブ
の形状が円環状となっており、中央部に凹部を有するこ
とで弁体の成形性を向上することができる。また、この
点からは、円環状のリブの基端部の凹部を形成する側の
領域に微小曲面を設けることが好ましい。
【0204】また、図2及び図3に示したように、イン
クタンクユニット200は、インク収納容器201の供
給口部に、第1弁枠260a及び第2弁枠260bを含
む弁機構を挿入した後、ID部材250を溶着と係合に
よって組み付けるものになっている。特に、インク収納
容器201の供給口の開口縁面に内袋220が露出され
ており、この内袋露出部221aに弁機構の第1弁枠2
60aのフランジ部268が溶着され、さらにID部材
250がフランジ部268の箇所で溶着されるとともに
タンク筐体210の係合部210aで係合されている。
【0205】このような組み付けの形態では、例えば図
11の比較例のようにID部材550が接合される第1
弁枠フランジ部508が平坦である場合、ID部材55
0に設けられた供給口穴の内側にはエラストマー567
が存在しないことになり、図5に示したジョイントパイ
プ180の接続動作時においてシール漏れが生じる恐れ
がある。そこで本実施形態では、ジョイント口530の
開口面と同一面上に在った、第1弁枠フランジ部508
のID部材550の溶着面をタンク装着側と反対側に後
退させてある。つまり、図2や図14等に示すように第
1弁枠フランジ部268にID部材250を接着したと
き、ID部材250の外表面がジョイント口230の開
口面と揃うように、第1弁枠フランジ部268が配置さ
れている。この構成によれば、ID部材250に設けら
れた供給口穴の内側にはエラストマー267が確実に存
在するため、上記のようなシール漏れが生じる恐れの無
い信頼性の高い弁機構となる。また、ジョイント口23
0の開口面より第1枠体フランジ部268をずらしたこ
とで、ジョイント口230の開口部が第1枠体フランジ
部268のフランジ面より出っ張るので、ID部材25
0を組み付ける際にジョイント口230の開口部により
ID部材250の位置が案内されて位置決めが容易にな
る。
【0206】さらに本実施形態によるインクタンクユニ
ット200の各インク収納容器201はホルダー150
内に装着され、各負圧制御室容器110に対してジョイ
ントパイプ180及び容器201のジョイント口230
の弁機構を通じて、液供給を行なうものとなっている。
このようにインク収納容器201を装着したホルダー1
50は、後述するようにシリアルスキャンタイプの記録
装置(図24参照)ではキャリッジに搭載されて記録紙
と平行な方向に往復移動される。この場合、キャリッジ
往復移動時のジョイントパイプ180の軸ぶれやインク
収納容器201の位置ずれ等による接続箇所での拗れに
より、インク収納容器201のジョイント口230の内
側面と負圧制御室容器110のジョイントパイプ180
の外側面とのシール状態が悪化しないように、その予防
策を講じてあることが製品信頼性の観点から好ましい。
【0207】そのため本実施形態では、図2及び図14
等に示した弁機構の第1弁枠260aの内側のエラスト
マー267の肉厚を、第1弁枠260aとジョイントパ
イプ180との間をただ単にシールするのに最低限必要
な厚さ以上に厚くすることで、キャリッジ往復移動時の
ジョイントパイプ接続箇所の軸ブレや拗れをエラストマ
ーの撓みで抑え、より信頼性の高いシールを確保させて
いる。また他の対策としては、ジョイントパイプ180
が挿入される弁枠の剛性をジョイントパイプ180の剛
性よりも高くすることで、キャリッジ往復移動時のジョ
イントパイプ接続箇所の軸ブレや拗れによる弁枠の変形
を抑えて、より信頼性の高いシールを確保してもよい。
【0208】次に、上記の弁機構を実現するそれぞれの
部品の寸法について図10、図17、図25を参照して
説明する。
【0209】図25において、弁体261の長手方向の
長さe5が5.7mm、弁体シール部265から弁体摺動軸
261aまでの長さe3が14.4mm、第2弁枠260bか
ら弁蓋262の内側面までの長さe1が8.7mm、第2弁
枠260bから弁蓋262の外側面までの長さe2が1
1.0mm、第1弁枠260aと第2弁枠260bの間の開
口部の長さe4が3.0mm、弁体261のシール部265
からのリブ部の突出量e6が1.3mm、弁蓋溶着ガイド2
62aの長さl2が0.8mm、弁体261のシール部26
5の長手方向の長さb1が9.7mm、弁体261の弁蓋2
62側の長手方向の長さb2が9.6mm、第2弁枠260
bの第1弁枠260a側の長手方向の長さa1が10.2m
m、第2弁枠260bの弁蓋262側の長手方向の長さ
a2が10.4mm、弁体摺動軸261aの軸径c1が1.8m
m、弁蓋262の弁体摺動軸261aが挿入される穴径
c2が2.4mm、付勢部材263としてのばねの長さが11.
8mm(ばね定数:1.016N/mm)、弁蓋262のR部262
bがR0.2mm(全周)、エラストマー267の一部であ
る第1弁枠シール部264の長さg1が0.8mm、第1弁
枠シール部264のR部がR0.4mm、第1弁枠シール部
264の厚さu1が0.4mm、エラストマー267の厚み
u2が0.8mm、エラストマー267の長手方向の内径g
2が8.4mm、第1弁枠260aの長手方向の外径g3が1
0.1mm、ジョイントパイプ180の長手方向の外径g5
が8.0mm、ジョイントパイプ180のシール用突起18
0aを含む長手方向の外径g4が8.7mm、第1弁枠フラ
ンジ部268の後退量l1が1.0mm、ジョイントパイプ
180の長さl3が9.4mm、弁開閉用突起180bの長
さl4が2.5mmである。
【0210】第1弁枠シール部264の長さg1は0.8m
mとしているが、第1弁枠シール部264がシール部弁
体シール部165と当接された際に折れ曲がって弁枠の
外に出る量で、かつ完全にシールできる量が望ましい。
そのため、第1弁枠シール部264の長さg1は、(g
3−g2)/2>g1>(b1−g2)/2の範囲内に
あればよい。
【0211】また図10及び図17に示した当接関係に
ある、ジョイントパイプ180の弁開閉用突起180b
および弁体261のリブ311の寸法としては、ジョイ
ントパイプ180及びリブ311の肉厚tが0.75mm、対
向する弁開閉用突起180bの内側間隔f3が1.7mm、
弁開閉用突起180bの外側間隔f4が3.2mm、弁体2
61の長穴形状のリブ311の短手方向の外側間隔f1
が2.6mm、リブ311の短手方向の内側間隔f2が1.4m
m、リブ311の長さdが3.6mmである。
【0212】また、長穴形状の第1枠体260aの内側
のエラストマー267は成形精度の観点から、その厚み
u2は長穴形状の円周部分と直線部分とで同じであるの
が望ましい。また、ジョイント口230の上下方向にお
いて、エラストマー267とジョイントパイプ180の
最大径部(シール用突起180aを含んだ箇所)との間
のシールのための食い込み量は、g4−g2=0.3mm
であり、この量をエラストマー267で吸収させた。こ
のとき、吸収するための実質肉厚が0.8mm×2=1.6mmあ
るが、上記食い込み量は0.3mmのため、エラストマー
267の変形にはそれほど力は必要ない。一方、ジョイ
ント口230の横方向においても、シールのための食い
込み量を0.3mmとし、実質肉厚が0.8mm×2=1.6mmのエ
ラストマー267でその食い込み量を吸収させた。ここ
で、縦方向についてジョイントパイプの外径g5<エラ
ストマーの長手方向の内径g2であり、横方向について
も同様にg5<g2なので、図25に示す状態におい
て、エラストマーはジョイントパイプのシール用突起1
80aにのみ当接することで、スムーズな挿入と結合部
の確実なシールを行うことができる。インク収納容器2
01のホルダー150における横方向のがたつきはエラ
ストマーの肉厚で吸収される範囲(本実施形態の場合は
±0.8mm)であればよく、本実施形態でのがたつきの許
容範囲は最大で±0.4mmとした。ここで、本実施形態の
場合、横方向のがたつきの量(中心の位置からのずれ
量)が、ジョイントパイプの外径g5とエラストマーの
長手方向の内径g2の差の絶対値の半分より大きい場合
(すなわち、本実施形態での横方向のがたつきが±0.2m
m以上の場合)には、ジョイントパイプのシール用突起
180a以外の管の外壁がエラストマーに広範囲にわた
り当接して押圧するために、エラストマーの弾性力によ
り中心の位置に戻ろうとする力が働くことになる。
【0213】以上のような寸法を採れば、上述した効果
を奏する弁機構を実現することができた。
【0214】〈弁機構の配置場所による効果〉また、本
実施形態のインクジェットヘッドカートリッジでは、イ
ンクタンクユニット200のジョイント口230に取り
付けられた弁機構における弁蓋262及び第2弁枠26
0bが、内袋220内に深く進入している。これによ
り、内袋220内のインクの消費に伴って内袋220が
変形した際に、内袋220におけるジョイント口230
付近の部分が筐体210から剥離しても、弁機構の、内
袋220内に深く挿入された部分、すなわち弁蓋262
や第2弁枠260bによって、内袋220におけるジョ
イント口230付近の部分の変形が規制される。このよ
うに、インクの消費に伴って内袋220が変形しても、
内袋220の、弁機構近傍の部分、及びその周囲の変形
が、その弁機構によって規制されることで、内袋220
内における弁機構の周囲のインク流路、及び気液交換動
作が行われる際の気泡上昇のための気泡用通路が確保さ
れる。そのため、内袋220の変形時における内袋22
0内から負圧制御室ユニット100へのインクの供給、
及び内袋220内での気泡上昇が妨げられることがな
い。
【0215】上述したように変形可能な内袋220を有
するインクタンクユニット200や、負圧制御室ユニッ
ト100を備えたインクジェットヘッドカートリッジで
は、内袋220をなるべく大きく変形させた上でインク
タンクユニット200と負圧制御室ユニット100との
気液交換動作を行うように内袋220内の負圧と負圧制
御室容器110内の負圧とをバランスさせることが、筐
体210内のバッファ空間を増やす上で望ましい。ま
た、インクの高速供給のためには、インクタンクユニッ
ト200のジョイント口230を大きくするとよい。も
ちろん、内袋220内におけるジョイント口230付近
の領域も、大きく空間が空いていて、その領域でインク
供給路が十分に確保されていることが望ましい。
【0216】そのように、内袋220を収納する筐体2
10内のバッファ空間を確保するために内袋220の変
形を大きくすると、通常、内袋220内におけるジョイ
ント口230付近の空間が、内袋220の変形に伴って
狭くなってしまう。内袋220内におけるジョイント口
230付近の空間が狭くなった場合、内袋220内で気
泡の上昇が妨げられたり、ジョイント口230付近のイ
ンク供給路が縮小されたりすることで、高速なインク供
給に対応できなくなる可能性がある。従って、本実施形
態のインクジェットヘッドカートリッジのように弁機構
が内袋220内に深く進入しておらず、内袋220の、
ジョイント口230の周囲の部分の変形が規制されてい
ない場合では、高速なインク供給に対応するために、内
袋220の変形量を、インクの供給に大きな影響を及ぼ
さない範囲までの変形量に抑えて、内袋220内の負圧
と負圧制御室容器110内の負圧とをバランスさせなけ
ればならない。
【0217】これに対して本実施形態では、上述したよ
うに内袋220内の奥にまで弁機構が進入して、その弁
機構によって内袋220の、ジョイント口230付近の
部分の変形が規制されている。これにより、内袋220
の変形を大きくしても、内袋220内におけるジョイン
ト口230付近の領域、すなわちジョイント口230と
連通するインク供給路を十分に確保することができるの
で、筐体210内での大きなバッファ空間の確保と、高
流量でのインクの供給とを両立することが可能となる。
【0218】また、上述したインクジェットヘッドカー
トリッジにおけるインクタンクユニット200の底部の
下方には、後述するように内袋220内のインクの残量
を検出するためにインク残量検知手段として用いられる
電極270が配置されている。電極270は、ホルダー
150が装着されるプリンタのキャリッジに固定されて
いる。ここで、弁機構が取り付けられるジョイント口2
30は、インクタンク200の、負圧制御室ユニット1
00側となる前端面の下部に設けられ、弁機構が、イン
クタンクユニット200の底面とほぼ平行な方向で内袋
220内に深く挿入されているので、内袋220が変形
した際に、弁機構の、深く挿入された部分によって内袋
220の底部の変形が規制されている。さらに、筐体2
10及び内袋220からなるインク収納容器201の底
部の一部が傾斜していることによっても、内袋220の
変形時における内袋220の底部の変形が規制されてい
る。このようなインク収納容器201の底部の傾斜によ
って内袋220の底部の変形が規制される効果に加え
て、弁機構によって内袋220の底部の変形がさらに規
制されることにより、内袋220の底部の、電極270
に対する移動が規制されるため、より正確なインク残量
検知が可能となる。従って、上述したように内袋220
の、ジョイント口230の付近の部分の変形が弁機構に
よって規制されていることで、内袋220の変形を大き
くすることによる筐体210内での大きなバッファ空間
の確保と、高流量でのインクの供給とを両立させた上で
さらに、より正確なインク残量検知が可能な液体供給シ
ステムが得られる。
【0219】本実施形態では、上述したように内袋22
0の、ジョイント口230の付近の部分の変形が規制さ
れるように内袋220内の奥深くに弁機構を進入させて
いるが、弁機構とは異なる別の部材を内袋220内に進
入させて内袋220のその部分の変形を規制してもよ
い。また、内袋220の底部における電極270近傍の
部分の変形を防止するように、板部材などをジョイント
口230から内袋220内に進入させて、その板部材を
内袋220内の底面に沿って延在させてもよい。これに
より、電極270を用いて内袋220内のインク残量を
検出する際に、より正確なインク残量検知を行うことが
できる。
【0220】さらに、本実施形態では、ジョイント口2
30に取り付けられた弁機構において、ジョイント口2
30と連通してインク流路となる開口260cよりも、
さらに内袋220の奥にまでその弁機構の構成部品が進
入している。これにより、インクタンクユニット200
は、内袋220内におけるジョイント口230付近のイ
ンク流路を確実に確保することができるような構成とな
っている。
【0221】〈インクタンクの製法〉次に、図18に基
づいて本形態のインクタンクの製造方法について説明す
る。
【0222】まず、図18(a)に示すように、インク
収納容器201の内袋露出部221aを重力方向上方に
向け、インク注入ノズル402によってインク供給開口
部からインク収納容器201内にインク401を注入す
る。本発明の構成では大気圧下でのインク注入が可能で
ある。
【0223】次に、図18(b)に示すように、弁体2
61、弁蓋262、付勢部材263、第1弁枠260
a、第2弁枠260bをあらかじめ組み込んだ後、この
弁ユニットをインク収納容器201の供給口部に落とし
込む。
【0224】この時、インク収納容器201のシール面
102の外周部が第1弁枠260aの溶着面外側の段形
状によって囲まれ、インク収納容器201と第1弁枠2
60aとの位置がきまり、位置精度を出すことが可能と
なる。そして、溶着ホーン400を上方から第1弁枠2
60aのジョイント口230の外周部にあて、第1弁枠
260aとインク収納容器201の内袋220とがシー
ル面102で溶着されると同時に、シール面102の外
周部で第1弁枠260aとインク収納容器201の筐体
210とが溶着確実なシールが可能となる。尚、本発明
においては超音波溶着及び振動溶着においても適用可能
である。また、熱溶着・接着剤等にも適用可能である。
【0225】次に図18(c)に示すように、ID部材
250を第1弁枠260aが溶着されたインク収納容器
201にかぶせる。この時、インク収納容器201の筐
体側面部に形成される係合部210aとID部材250
のクリック部250aとが係合されると同時に、ID部
材250の下面側にあるクリック部250aはインク収
納容器201のシール面102の対方向に位置する筐体
210を第1弁枠260aを挟み込んだ状態で係合する
(図3参照)。
【0226】〈タンク内のインク残量検出〉次に、イン
クタンクユニット内のインク残量の検出について説明す
る。
【0227】図2に示したように、ホルダー150の、
インクタンクユニット200が装着される領域の下方に
は、インク収納容器201の幅(図面の奥行き方向)よ
りも狭い幅を持つ板状の電極270が設けられている。
この電極270は、ホルダー150が装着されるプリン
タのキャリッジ(不図示)に固定されており、配線27
1を介してプリンタの電気制御系に接続されている。
【0228】一方、インクジェットヘッドユニット16
0は、インク供給管165と連通するインク流路162
と、それぞれインク吐出用のエネルギを発生するエネル
ギ発生素子(不図示)を備えた複数のノズル(不図示)
と、インク流路162から供給されたインクを一時的に
保持して各ノズルに供給する共通液室164とを備えて
いる。エネルギ発生素子は、ホルダー150に設けられ
た接続端子281と接続され、ホルダー150がキャリ
ッジに装着されることによって、接続端子281はプリ
ンタの電気制御系に接続される。プリンタからの記録信
号は、接続端子281を介してエネルギ発生素子に送ら
れ、エネルギ発生素子の駆動によりノズル内のインクに
吐出エネルギを与えることで、ノズルの開口端である吐
出口からインクが吐出される。
【0229】また、共通液室164内には、同じくコン
タクトパッド280及び接続端子281を介してプリン
タの電気制御系と接続する電極290が設けられてい
る。これら2つの電極270、290で、インク収納容
器201内のインク残量検知手段が構成される。
【0230】なお、本実施形態では、このインク残量検
知手段によるインク残量の検知をより正確に行えるよう
にするため、インクタンクユニット200のジョイント
口230を、図2に示すインク収納容器201の最大面
積面に挟まれる面の、使用状態における下端部に設けて
いる。また、インク供給容器201の底面の一部を、使
用状態において水平面に対して傾斜させている。具体的
には、インクタンクユニット200のジョイント口23
0が設けられた側の端を前端、それと反対側の端を後端
としたとき、弁機構が設けられた前端部分の近傍は水平
面と平行な面とし、そこから後端までの領域は、前端か
ら後端に向かって上昇する傾斜面としている。この、イ
ンク収納容器201の底面の傾斜角度は、後述する内袋
220の変形を考慮すると、インクタンクユニット20
0の後端面とのなす角が鈍角であることが好ましく、本
実施形態では95度以上となるように設定されている。
【0231】そして、このようなインク収納容器201
の底面の形状に合せて、電極270は、インク収納容器
201の底面の傾斜領域と対向する位置に、この傾斜領
域と平行になるように配置されている。
【0232】以下に、このインク残量検知手段による、
インク収納容器201内のインクの残量検知について説
明する。
【0233】インク残量検知は、ホルダー150側の電
極270と共通液室164内の電極290との間にパル
ス電圧を印加し、そのときの電極270とインクとの対
向面積に応じて変化するキャパシタンス(静電容量)を
検出することによって行う。例えば、両電極270、2
90間に、ピーク値が5Vの矩形波パルス電圧をパルス
周波数1kHzで印加し、その回路の時定数およびゲイ
ンを演算処理することで、インク収納容器201内のイ
ンクの有無を検知することができる。
【0234】インクの消費によりインク収納容器201
内のインク残量が減少してくると、インク液面はインク
収納容器201の底面に向かって下降してくる。さら
に、インク残量が減少し、インク液面がインク収納容器
201の底面の傾斜領域に達すると、インクの消費に伴
い、電極270とインクとの対向面積が徐々に小さくな
り(電極270とインクとの距離はほぼ一定)、キャパ
シタンスが減少し始める。
【0235】最後には、電極270と対向する部位には
インクが存在しなくなり、ゲインの低下および、インク
による電気抵抗の上昇を、印加パルスのパルス幅を変え
たり、パルス周波数を変えたりして時定数を演算するこ
とで検出でき、これをもって、インク収納容器201内
のインクが非常に少ないことを判定する。
【0236】以上が、インク残量の検出の概略である
が、実際には、本実施形態のインク収納容器201は、
内袋220と筐体220とで構成されており、インクの
消費とともに、負圧制御室容器110内の負圧とインク
収納容器201内の負圧とのバランスを保つように、両
者の間での気液交換、及び、外気連通口222を介して
の筐体210と内袋220との間への空気の導入を行い
ながら、内袋220は内容積減少方向に内側へ変形して
いく。
【0237】この変形の際、図6に示すように、内袋2
20はインク収納容器201のコーナー部で規制を受け
ながら変形する。内袋220の変形、すなわち筐体21
0からの剥離あるいは離脱は、最大面積面(図6に示す
断面とほぼ平行な面)となる2つの面で一番大きく、そ
の面と隣接する面である底面では小さい。それでも、内
袋220の変形に伴って、インクと電極270との距離
は大きくなり、キャパシタンスはその距離に反比例して
小さくなる。しかしながら、本実施形態では、内袋22
0の変形方向とほぼ直交する面に電極270の主領域が
あり、内袋220が変形しても、電極270と内袋22
0の底部近傍領域とはほぼ平行に保たれる。その結果、
静電容量を形成する面積が確保され、確実な検出が可能
となる。
【0238】また、前述したように本実施形態では、イ
ンク収納容器201の底面と後端面とのなすコーナー部
の角度が95度以上の鈍角を構成しているため、他のコ
ーナー部に比べて内袋220が筐体210から離脱し易
い。その結果、ジョイント口230に向かって内袋22
0が変形した際にも、インクをジョイント口230に向
かって排出し易く構成される。
【0239】以上、本実施形態の構成の説明を個別に行
ったが、これらは適宜組み合わせても可能なものであ
り、組み合わせることによりさらなる効果も可能であ
る。
【0240】例えば、ジョイント部を長円構成と前述の
弁構成とを組み合わせることで、着脱時の摺動を安定さ
せ、弁の開閉についてもより確実な開閉が可能となる。
また、長円形状とすることで、インクの供給量を確実に
向上させることができる。この際、回動装着の支点が上
部にシフトするが、インクタンクの底面を上部に傾斜さ
せることで、こじれの少ない、安定した着脱動作が可能
となる。
【0241】<インクジェットヘッドカートリッジ>図
23は本発明に適用可能なインクタンクユニットを用い
たインクジェットヘッドカートリッジの概略説明図であ
る。
【0242】図23に示す形態のインクジェットヘッド
カートリッジ70は、複数種類の液体(本実施形態の場
合、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の
3色)を吐出可能なインクジェットヘッドユニット16
0にそれぞれの液体を収納した負圧制御室容器110
a、110b、110cが一体化された負圧制御室ユニ
ット100を備えており、この負圧制御室ユニット10
0に対してそれぞれの液体を収納したインクタンクユニ
ット200a,200b,200cを互いに着脱可能と
している。
【0243】本実施形態では、それぞれのインクタンク
ユニット200a,200b,200cを対応する負圧
制御室容器110a、110b、110cに誤りなく装
着させるために、インタンクユニット200の外面の一
部を覆うのホルダー150を設けるとともに、インクタ
ンクユニット200の装着方向前面に凹部を有するID
部材250を設け、負圧制御室容器110にID部材2
50の凹部と対応する凸状のID部材170を設けるこ
とで、確実に誤装着を防止する構成となっている。
【0244】本発明においては、収納される液体の種類
はY,M,C以外の他の色であってもよいことは言うま
でもなく、収納される液体容器の数、及び組合せ(例え
ばブラック(Bk)のみ単独のタンクで、他のY,M,
Cは一体タンクとする)についても任意であることは言
うまでもない。
【0245】<記録装置>次に、上述のインクタンクユ
ニット、あるいはインクジェットヘッドカートリッジを
搭載可能なインクジェット記録装置の一例について、図
24を用いて説明する。
【0246】図24に示す記録装置は、インクタンクユ
ニット200及びインクジェットヘッドカートリッジ7
0を着脱自在に搭載可能なキャリッジ81と、ヘッドの
複数のオリフィスからのインク乾燥を防止するためのヘ
ッドキャップとヘッドの動作不良時に複数のオリフィス
からインクを吸引するための吸引ポンプとが組み込まれ
たヘッド回復ユニット82と、被記録媒体としての記録
用紙が搬送される給紙面83とを備える。
【0247】キャリッジ81は、回復ユニット82上で
の位置をホームポジションとしており、ベルト84がモ
ータなどにより駆動されることで図中の左方向へ走査さ
れる。この走査中に、給紙面(プラテン)83上に搬送
された記録用紙に向けてヘッドよりインクを吐出するこ
とで印字が行なわれる。
【0248】以上説明したように本実施形態の上記構成
は、従来にはない構成であって、それぞれが単独で有効
なものをもたらすとともに、複合的にも各構成要件があ
ることで有機的な構成をもたらすものである。すなわ
ち、上述における各構成は単独でも複合的に見ても優れ
た発明であり、本発明にとって好ましい構成例を開示し
ているものである。なお、本発明の弁機構は、上述の液
体収納容器において最も好適に利用可能なものである
が、液体収納容器の形状としてはこの形態に限定される
ことなく、供給口部において液体を直接収容する、他の
容器にも適用することができる。
【0249】〈液体検知に関する補足説明〉次に、本発
明の最大の特徴である、液体の有無検知(あるいは残量
検知)に関する補足説明を行う。
【0250】まず、図2などに示される本発明のインク
ジェットヘッドカートリッジに用いられるインクジェッ
トヘッドユニット160の断面構成について、ノズルの
長手方向に沿った断面図である図26を参照して補足説
明する。図26において、Alからなる支持基板190
に支持されたシリコン基板191には、SiO2からな
る蓄熱層192が積層され、その上に、TaNからなる
発熱抵抗層193が形成されている。発熱抵抗層193
上には発熱抵抗用の配線194aが形成され、この配線
194aで挟まれた領域が熱作用部となる。一方、共通
液室164側においては後述する電極290用の配線1
94bが形成されている。なお、ノズル163と反対側
の端部には、外部との電気的接続のためのコンタクトパ
ッド197が設けられている。そして、配線194a上
には、SiNからなる保護層195及びTaからなる耐
キャビテーション層196が積層されている。一方、配
線194b上には、同じく保護層195及び、電極29
0が設けられている。電極290はTaからなり(本構
成では耐キャビテーション層196と一体の膜であ
る)、一部の領域(図26参照)では配線194bと接
続する保護層195を形成している。このように構成さ
れたヘッド用基体上に、ノズル163を仕切る流路壁、
及び共通液室164にインクを供給するためのインク供
給口199が形成された天板198が接合され、これに
よってインクジェットヘッドユニット160が構成され
る。
【0251】上述した電極290は、共通液室164の
液室空間内に露出するように設けられ、通常の使用状態
においては常にインクと接触している。また、電極29
0は、配線194bに対応したコンタクトパッド280
を介し、さらにインクジェットヘッドユニット160に
設けられた接続端子281を介してプリンタの電気制御
系と接続される。
【0252】これら2つの電極270,290で、イン
ク収納容器201内のインク残量検知手段が構成され
る。この2つの電極270,290間の等価回路を図2
7に示す。図27に示すように、この等価回路は、イン
ク自体の持つレジスタンスと、電極270,290間に
存在するインクのキャパシタンスとのRC直列回路であ
る。
【0253】さて、この回路によるインク収納容器20
1内のインクの残量検知について、図28を用いて補足
説明を行う。本実施例では、上述のように、ホルダー1
50側の電極270と共通液室164内の電極290と
の間にパルス電圧を印加し、そのときの電極270とイ
ンクとの対向面積に応じて変化するキャパシタンス(静
電容量)を検出することによって行っている。
【0254】具体的には、図28(a)に示すパルスを
電極270,290間に印加したとき、インク収納容器
201内にインクが十分に存在している場合には、イン
クの物性等によっても異なるが、図28(b)に示すよ
うな出力波形が観測される。インク収納容器201内の
インクがなくなると、インクがなくなったことによるキ
ャパシタンスの減少及びレジスタンスの増加に伴い、そ
れぞれ図28(c)及び図28(d)に示すような出力
波形が観測される。
【0255】なお、本実施形態では電極290を共通液
室164内に設けているが、電極290は、通常の使用
状態で常にインクに接触する位置であれば、他の部分、
例えば負圧制御室容器110内の吸収体140に設けて
もよい。
【0256】インクの消費によりインク収納容器201
内のインク残量が減少してくると、インク液面はインク
収納容器201の底面に向かって下降してくる。さら
に、インク残量が減少し、インク液面がインク収納容器
201の底面の傾斜領域に達すると、インクの消費に伴
い、電極270とインクとの対向面積が徐々に小さくな
り(電極270とインクとの距離はほぼ一定)、キャパ
シタンスが減少し始める。なお、この点に着目すれば、
電極270は、必ずしも本実施形態のようにインク収納
容器201の傾斜した底面と平行になるように配する必
要はなく、水平方向と平行に配してもよい。
【0257】そして、さらにインクが消費されると、電
極270と対向するインクの面積がさらに小さくなり、
電極270とインクとの対向面積が極めて小さくなると
キャパシタンスはほぼゼロとなり、インクが殆どなくな
った状態であることが検出される(図28(c))。
【0258】インク収納容器201内のインクが非常に
少なくなると、電極270と対向する部位にはインクが
存在しなくなり、ゲインの低下およびインクによる電気
抵抗の上昇を、印加パルスのパルス幅を変えたり、パル
ス周波数を変えたりして時定数を演算することで検出で
き(図28(d))、これをもって、インク収納容器2
01内のインクを使い切ったと判定する。
【0259】すなわち、矩形波パルスを印加した際に得
られる出力(波形全体の高さ)は、キャパシタンスに概
ね比例し、キャパシタンスの減少に伴いhb→hcと変化
するため、この間に所望のインクレベル(本実施例の場
合「インクなし」)に対応した閾値を予め装置に設定し
ておくことで、検出値との比較演算によりインクレベル
が検出可能である。また、出力波形の時定数は、概ねレ
ジスタンスRとキャパシタンスCとの積で表されるた
め、レジスタンスの増大に伴い、同じ印加パルスであっ
てもtc→tdのように変化していく。なお、複数の閾
値、あるいはインク消費量に伴う変化の情報を予め装置
に設定しておくことで、インク量をアナログ的に検知す
ることも可能である。
【0260】この時点では、負圧制御室容器110内に
は、下方の吸収体140の上部でインク界面を形成した
状態でインクがまだ残っている。従って、この時点でイ
ンクタンクユニット200を交換すれば、続けて安定し
た状態でインクタンクユニット200から負圧制御室容
器110へインクを供給することができる。
【0261】なお、図2に示す液体供給システムのイン
クタンクユニット200に対して液体残量(有無)の検
知を行い、この検知にしたがってインクタンクユニット
200の交換を行うことは、従来のインクタンクを交換
可能とするインクジェットヘッドカートリッジと比べ、
インクジェットヘッドカートリッジ側にインクを保持す
る負圧制御室ユニット100を有したまま、インクタン
クユニット200を交換する点で異なっている。上述の
液体供給システムでは、インクタンクユニット200の
交換の際に負圧制御室ユニット100内のインクと交換
された新たなインクタンクユニット内のインクとが容易
に接触し、インク供給経路を形成することができるの
で、インクタンユニット200交換の際にインクジェッ
トヘッドカートリッジに対してインク供給経路をインク
で満たすための回復操作をする必要はない。その結果、
回復処理に伴う余分なインク消費を低減することもでき
る。このような利点を確実に得るためには、インクタン
クユニット200内のインクの有無の検知を確実かつ安
価に行うことはきわめて重要であり、本発明を適用する
ことでこうした確実なインク有無検知を行うことは、上
述の液体供給システムにおける余分な液体の消費の防止
という観点からも、きわめて優れたものである。
【0262】〈種々の変形例〉次に、本発明の種々の変
形例について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以
下の各変形例については、特に断りのない限り、それぞ
れの変形例(図2に示す本実施形態も含む)を組み合わ
せ可能であり、組み合わせによって生じる種々の形態に
ついても、本発明に含まれるものとする。
【0263】(第1の変形例)図29は、本発明の第1
の変形例のインクジェットカートリッジの断面図であ
る。
【0264】本変形例では、インクタンクユニット40
0のインク収納容器401は、底面が使用状態における
水平面と平行になるように構成されている。また、それ
に伴い、負圧制御室ユニット300のホルダー350
の、インク収納容器401の底面を受ける部分も、使用
状態における水平面と平行になるように構成されてい
る。また、ホルダー350側の電極470も、平板形状
の部材で構成され、ホルダー350に装着されたインク
収納容器401の底面と平行になるように、プリンタに
固定されている。その他の構成については図2に示す実
施例と同様であるので、その説明は省略する。
【0265】本変形例でも、インク収納容器401の内
袋420は、負圧制御室ユニット300の負圧制御室容
器310内の負圧とのバランスをとるように、内側に変
形する。ここで、インク収納容器401の底面について
は、図2に示す実施例のように傾斜した構造ではない
が、内袋420の変形方向と垂直に電極470が設けら
れているので、やはり図2に示す実施例と同様の効果が
ある。
【0266】また、インク収納容器401の底面と後端
面とのなす角は鈍角には構成されていないので、内袋4
20の変形の際には、このコーナー部での変形が、筐体
410によってやや規制を受ける。したがって、内袋4
20の底面は中央部が盛り上がるように変形し、図29
(a)に示すように、前端部と後端部の2ヶ所にインク
460が残ることもある。しかし、このインクジェット
カートリッジを搭載するキャリッジ(不図示)の移動と
ともに、図29(b)に示すように、負圧制御室容器3
10との接続部であるジョイント口430側のインクと
一体となり、ジョイント口430から負圧制御室容器3
10へ導出可能となる。その間、図2に示す実施例で述
べたとおり、インク収納容器401内のインク460が
消費されると、電極470に対向するインク460が殆
どなくなり、キャパシタンスがほぼゼロとなることによ
り、インク使い切りが近いことが検出される。
【0267】最後には、電極470と対向する部位には
インクが存在しなくなり、インク収納容器401内のイ
ンクがなくなると、インクによる電気抵抗が数100k
Ω以上まで上昇することが、印加パルスのパルス幅を変
えたり、パルス周波数を変えたりして時定数を演算する
ことで検出でき、これをもって、インク収納容器401
内のインクを使い切ったと判定する。
【0268】(第2の変形例)図30は、本発明の第2
の変形例のインクジェットカートリッジの断面図であ
る。本変形例は、インクタンクユニット600のインク
収納容器601の構成が図2に示す実施例と異なる。す
なわち、本変形例のインク収納容器601は、インクの
収納部分が、2重構造のものではなくインクの導出によ
っても変形しにくい筐体610のみで構成されている。
インク収納容器601は、ジョイント口630を除いて
密閉空間を形成しており、内部にはインクとともに、微
加圧源となる空気または窒素ガスが収納されている。そ
の他の構成は、図2に示す実施例と同様であるので、そ
の説明は省略する。
【0269】このように、インク収納容器601のイン
ク収納部が変形しない構成のインクタンクユニット60
0であっても、図2に示す実施例と同様にしてインク収
納容器601内のインクの使い切りを検出することがで
きる。
【0270】(第3の変形例)本変形例では、図2に示
す実施例で述べたような、内袋と筐体との2重構造のイ
ンク収納容器を有するインクタンクユニットと、第2の
変形例で述べたような、筐体のみで構成されたインク収
納容器を有するインクタンクユニットとの両者を交換し
て使用可能なシステムにおける制御の例を、電極が検出
する状態を含めて、いくつかの段階に分けて、図31〜
図38を参照して説明する。なお、本変形例で説明する
インクジェットカートリッジは図2に示したものと同様
の構成のものであるので、図31〜図38では、図2と
同一の部分については図2と同一の符号を付している。
【0271】(1)インクタンク使い切り 図31に示すように、インクタンクユニット200内の
インクを使い切ると、気液交換によりジョイント口23
0から導出されるインクが存在しなくなるため、大気連
通口115から吸収体130,140を介して、大気が
インク収納容器201の内袋220内へ導かれる。これ
により内袋220は、矢印に示すように筐体210に向
かう方向へ膨張復元し、筐体210と当接して安定す
る。
【0272】その間、下方の吸収体140内のインク界
面は、インクジェットヘッドユニット160へのインク
供給に伴い、インク収納容器201内にインクが存在し
気液交換動作を行っていたときの位置Aから、位置Bに
向かって下降する。そして、インク界面が位置Bに到達
する前に、このインクタンクユニット200を新たなも
のと交換する。なお、交換後の動作については、後述す
る(3)の段階で説明する。
【0273】(2)インクタンク装着 図32は、新たなインクタンクユニット200を装着し
た直後の状態を示している。
【0274】インクタンク200が装着されると、ホル
ダー150の下方の電極270と、インクジェットヘッ
ドユニット160内に設けられた電極290(図2参
照)との間にパルス電圧を印加し、その時定数(または
ゲイン)から、インクが収容されたインクタンクユニッ
ト200が装着されたか否かが検知される。インクタン
クユニットが装着されなかったり、使用済みのインクタ
ンクユニットが装着された場合には、警告を発し、ユー
ザにタンク装着を促す。
【0275】このようにインクタンクユニット200が
装着されると、図33に示すように、インク収納容器2
01内のインクは、ジョイント口230及びジョイント
パイプ180を介して、下方の吸収体140とは直接、
上方の吸収体130とは間接的に接続される。そして、
インク収納容器201内の負圧と負圧制御室容器101
内の負圧とのバランスを維持するため、インク収納容器
201内のインクはジョイント口230及びジョイント
パイプ180を通って負圧制御室容器110へ流れ込
む。その結果、負圧制御室110内でのインク界面は、
前述した位置Bから上昇し、上方の吸収体130にまで
インクが吸収されて位置Cへ達する。
【0276】インク収納容器201から負圧制御室容器
110へのインクの移動に伴い、インク収納容器201
においては、インクを直接収納している内袋220が内
側に変形する。この時点では、内袋220の変形は、最
大面積面での変形が主であり、図33に示す断面では、
筐体210からの剥離(離脱)はあまりみられない。
【0277】(3)インク消費段階1 インクジェットヘッドユニット160にインクを供給し
ていくと、負圧制御室容器110内のインクが消費さ
れ、図34に示すように、負圧制御室容器110内のイ
ンクの界面は、上方の吸収体130内での位置である位
置Cから、下方の吸収体140内での位置である位置A
に向かって下降していく。この間、同時にインク収納容
器201内のインクも消費され、その消費に伴って内袋
220が更に内側に変形し、内袋220は最大面積面以
外の面においても筐体210から離脱し始める。インク
界面が位置Aまで下降してくると、図35に示すよう
に、インク収納容器201内の負圧を一定に維持しよう
と、気液交換動作が始まる。
【0278】上記の内袋220の筐体210からの離脱
(具体的には、底面における離脱)は、2つの電極27
0,290(図2参照)で構成されるインク残量検知手
段を利用して検出することが可能である。変形可能な内
袋220を持ったインク収納容器201の場合、内袋2
20の変形に伴ってインクと電極270との距離が大き
くなり、その後、負圧のバランスがとられることにより
一定の距離で安定する。そして、この距離の変化による
キャパシタンスの変化、及びその後のほぼ安定した状態
を検出することで、気液交換状態であることを検出する
ことができる。
【0279】一方、図30に示したような、内袋を持た
ないインク収納容器601を有するインクタンクユニッ
ト600が負圧制御室容器110に接続された場合に
は、このような電極270とインクとの距離の変化がな
く、これによるキャパシタンスの変化も認められないた
め、これにより、インクタンクユニット201とは異な
る形態のインクタンクユニットが接続されたことがわか
る。
【0280】変形可能な内袋220をもったインクタン
クユニット200を使用することを前提として設計され
たインク供給システムにおいては、内袋をもたないイン
クタンクユニットを装着した場合、このようなインクタ
ンクユニットは、インクタンクユニット自身には、図2
に示す実施例で述べたような環境変化によるインク収納
部内の空気の膨張を吸収するバッファ効果がないため、
負圧制御室容器110内にインクが溢れ、適正な負圧を
発生できない場合がある。
【0281】こうした不具合を回避するため、所定量の
インクを消費してもキャパシタンスが低下しないインク
タンクユニットは、内袋をもたない構造のタンクユニッ
トであるとして認識し、温度変化があった場合には、イ
ンクジェットヘッドユニット160のノズル163(図
2参照)から強制的にインクを吸引し、余分なインクを
排出することで、信頼性を確保することができる。
【0282】なお、プリンタには通常、環境温度を検出
する手段、あるいは記録ヘッドの温度検出手段等によ
る、プリンタ未使用時の間接的環境温度検出手段が設け
られており、上記の温度変化は、これを利用して知るこ
とができる。
【0283】(4)インク消費段階2 気液交換を続けながらインクを消費していくと、図36
に示すように、負圧発生室容器110内のインク界面を
位置Aでほぼ安定させた状態で、インク収納容器201
内のインクが消費され、次第に、図37に示すように、
インク収納容器201の内袋220の底面が徐々に現れ
てくる。これにより、内袋220内でのインク液面と内
袋底面との境界線がジョイント口230に向かって移動
し、インク収納容器201内のインクの電極270との
対向面積が減少していく。この間、キャパシタンスは連
続的に減少するので、これを利用して、インク収納容器
201内のインク残量が少なくなった時期でのインク収
納容器201内のインク残量をアナログ的に検出するこ
とができる。
【0284】(5)インク消費段階3 さらにインクを消費していくと、図38に示すように、
インク収納容器201内のインクは、ジョイント口23
0近傍の水平な部分のみに存在するようになり、さらに
このインクがなくなると、キャパシタンスがほぼゼロに
近づき、レジスタンス(電気抵抗)が極端に増大する。
これをもってインクタンクユニット200のインクの使
い切りと判断し、プリンタは、ユーザへのタンク交換促
進の告知を行う。
【0285】(6)インクタンクユニット交換可能期 インクタンクユニット200内のインクが空になると、
(1)の段階で説明したように、内袋220は筐体21
0と当接するように、もとの状態に復元していく。ま
た、インクが空になっても、インクの供給方向に対して
インクタンクユニット200の下流側にある、ジョイン
トパイプ180、下方の吸収体140、及びインクジェ
ットヘッドユニット160内にはインクが存在してお
り、印字の続行は可能である。この時点でユーザが新た
なインクタンク200と交換すれば、それ以降は、
(2)の段階で説明したとおりである。また、使用中に
まだインクが残っている状態で一度取り外したインクタ
ンクユニットを再度装着した場合には、(3)または
(4)の段階で説明したとおりである。
【0286】また、上述したように、インクタンクユニ
ット200内のインクがなくなっても、ある程度は印字
を続行することができる。しかし、負圧制御室容器11
0内のインク界面が、新たなインクタンクユニットを接
続してもジョイント口180からインクジェットヘッド
ユニット160までの連続したインクパスを形成し得な
い位置(B)よりも低下すると、良好なインクパスの形
成が困難となる。
【0287】これを防止するために、上述した(5)の
段階が完了した時点で、ノズル(図2参照)からのイン
クの吐出回数のカウントによって、インクの消費量を換
算し、負圧制御室容器110内のインク界面が位置Bに
達する直前で印字動作を中断してユーザにタンク交換を
再度促し、インクを収容したインクタンクユニットが装
着されるまでは印字動作を再開しないといった制御が可
能である。
【0288】(第4の変形例)図39は、本発明の第4
の変形例を説明する断面図である。本変形例のインク収
納容器は、前述の実施形態のように図1に示すような形
でインクジェットヘッドカートリッジなどのホルダに保
持されている。図39は複数のインク収納容器201を
切断した断面図である。
【0289】具体的には、図39の断面図に示すよう
に、ブラックインクを収納するインク収納容器201B
k、シアンインクを収納するインク収納容器201C、
マゼンタインクを収納するインク収納容器201M、イ
エローインクを収納するインク収納容器201Yが、互
いに間隔pだけあけて並列に保持されている。
【0290】一つのインク収納容器201だけを考えれ
ば、上述したように、電極270,290間にはRC直
列回路が構成されるが、このように、複数のインク収納
容器201Bk、201C、201M、201Yが隣接
している場合には、図41(a)に示す等価回路のよう
に、各インク収納容器毎の静電容量C1〜C4の他に、隣
接するインク収納容器間にも、静電容量C12、C23、C
34が発生する。そして、これら隣接するインク収納容器
間の静電容量C12、C23、C34は、隣接するインク収納
容器内のインク量によって変化し、インク残量検出系の
時定数を変化させる要因となる。そこで、より正確なイ
ンク残量検出のためには、これらの静電容量C12
23、C34の大きさをできるだけ小さくし、これらの影
響を小さくする必要がある。
【0291】ここで、隣接するインク収納容器同士の関
係において、インク収納容器の側面積をS、インク収納
容器の内壁面間の距離(インク収納容器の側壁の厚さ×
2+インク収納容器の間隔p)をd、誘電率をεとした
とき、インク収納容器間静電容量Cabは、 Cab=ε(S/d)…式(1) で表わされる(より詳細にはdは側面積全域に渡って撓
んだ分布をしており、収容容器を形成する樹脂と間隔P
のエアとの誘電率の積分式で表される。)。式(1)か
ら、インク収納容器間静電容量Cabを小さくするために
は、側面積Sを小さくする方法と、容器内壁間距離dを
大きくする方法が考えられる。側面積Sを小さくするの
は、インクの収納効率の観点から好ましくない。そこ
で、本変形例では、容器内壁間距離dを大きくすること
によって対応している。
【0292】より詳細には、プリントシステムを小型化
するためにキャリッジを小型化することを考慮し、イン
ク収納容器201Bk、201C、201M、201Y
間の間隔dをできるだけ小さくするために、図39に示
すように、各インク収納容器201Bk、201C、2
01M、201Yについて、側壁の厚さをT1、t1、電
極270と対向する底壁の厚さをT2、t2(それぞれ大
文字のTは筐体の厚みを、小文字のtは内袋の厚みを表
す)としたとき、 T1>T2、t1>t2 の関係を満たすようにインク収納容器201Bk、20
1C、201M、201Yを成形している。これによ
り、すべての壁厚を均一に成形した場合に比べて、イン
ク収納容器間静電容量Cabを小さくすることができ、そ
の結果、相互干渉による影響を少なくし、インク残量を
より高精度に検出することができるようになる。
【0293】また、図41(b)に示すように、検出し
たいインク収納容器以外の検出回路を、電気的にGROUND
に落とすことで、相互緩衝をより低減することが出来
る。
【0294】ところで、本実施形態では、図2等でも説
明したように、インク収納容器201は、筐体210と
内袋220との二重構造であり、インクの導出に伴っ
て、内袋220が内側に変形する。しかも、この変形
は、前述したように、隣接するインク収納容器201と
の対向面である最大面積面で最も大きい。従って、本実
施形態のような内袋220を有するインク収納容器20
1は、インクの導出に伴い容器内壁間距離dが大きくな
るものであるので、より好ましいものであるが、本発明
は、このような二重構造のインク収納容器201に限ら
れるものではなく、インクの導出に伴って変形する内袋
を有しないものであってもよい。この場合の例を図40
に示す。図40においても、側壁の筐体の厚みT1と、
底面の筐体の厚みT2とは、T1>T2を満たしている。
【0295】また、上述した変形例では、インク収納容
器201は、図39にも示したように、上壁と底壁とが
互いに平行、すなわち、使用状態においては、インク収
納容器201の幅方向について底壁が水平面と平行とな
る形状のものを示したが、幅方向にも水平面に対して傾
斜させ、インク残量が少なくなったときのインクと電極
との対向面積がより小さくなるようにしてもよい。
【0296】このようなインク収納容器の例を図42に
示す。図42(a)に示すインク収納容器501aは、
幅方向略中央部が内方に突出した底壁を有している。イ
ンク収納容器501aの底壁と対向する電極570a
も、インク収納容器501aの底壁の形状に合せた形状
となっている。これにより、インク収納容器501a内
のインク残量が少なくなると、インクは、インク収納容
器501aの幅方向両端部のみに残ることになる。一
方、インクが十分に残っている状態では、底壁が平坦な
場合と比べてインクと電極570aとの対向面積が大き
くなっている。従って、インクが十分に残っているとき
と残量が少ないときとの対向面積の比が大きくなり、電
極570aでの出力波形のS/N比も大きくなるので、
インクが無くなったことをより正確に検出することがで
きる。
【0297】同様に、図42(b)に示すインク収納容
器501bは、底壁が一様に傾斜し、インク502bは
幅方向一端部に残る構成となっているとともに、電極5
70bもインク収納容器501bの底壁の形状に合せた
形状となっている。また、図42(c)に示すインク収
納容器501cは、かまぼこ状の底壁を有しインク50
2cは幅方向中央部に残る構成となっているとともに、
電極570cもインク収納容器501cの底壁の形状に
合せた形状となっている。なお、図42(a)〜(c)
では、インク収納容器501a、501b、501cは
壁面が単層のものとして描かれているが、図2等に示し
たような二重構造のものであってもよいし、図示のとお
り、筐体のみで構成されるものであってもよい。
【0298】(第5の変形例)図43及び図44は本発
明の第5の変形例を説明するための説明図である。本変
形例では、図2に示す前述の実施形態に対し、インク収
納容器201の底面に、インク収納容器201の幅方向
(図43の奥行き方向)全域にわたって内側へ突出する
タンク内突起202が設けられている点が異なってい
る。
【0299】このタンク内突起202は、図43に示す
ように、電極270と対向する位置よりも前方すなわち
ジョイント口230側に位置している。インク収納容器
201にタンク内突起202が設けられていることに伴
い、インク収納容器201のタンク内突起202に対応
する部分の外壁面は凹部となっており、ホルダ150
の、この凹部と対向する部位には、インクタンクユニッ
ト200がホルダ150に装着されたときに凹部に嵌合
するホルダ突起152が設けられている。
【0300】タンク内突起202について、図44を参
照して詳細に説明する。タンク内突起202は、ジョイ
ント口230に対向する傾斜面(第1の面)202a
と、インクタンクユニット200の後端面に対向する傾
斜面(第2の面)202bとの2つの傾斜面を有する。
ここで、使用状態における水平面に対する、第1の面の
なす角をθ1、第2の面のなす角をθ2としたとき、θ1
>θ2の関係を満たしている。具体的には、本実施形態
では、θ1=約60°、θ2=約30°としている。ま
た、タンク内突起202に嵌合するホルダ突起151の
頂角を、本実施形態では約90°とした。
【0301】このような突起を持ったインクタンク内の
インクが消費され、液面の位置がタンク内突起202の
頂点202c(図44参照)の位置よりも低下すると、
インクはインク内突起202を境に前後に分断される。
ここで、タンク内突起201の第1の面201a及び第
2の面201bの、水平面とのなす角θ1、θ2が、θ1
>θ2の関係を満たすように形成されているので、イン
ク収納容器201の後端側のインクは、このインクタン
クユニット200を搭載するプリンタの記録動作中のキ
ャリッジの往復運動によるインク収納容器201内のイ
ンクの揺動により、タンク内突起202を越えてジョイ
ント口230側へ排出され易くなる。一方、ジョイント
口230側のインクは、タンク内突起202を越えて後
端側へ戻りにくい構成となっている。
【0302】前述の実施形態のように、本変形例のよう
な分断構造をもたないインク収納容器の場合には、イン
ク収納容器201内のインクが消費されて、インク収納
容器201内のインクが無くなる状態において、インク
の表面張力により、インク収納容器201の底部にイン
クが膜状に残ることがある。本変形例では、インク収納
容器201の底壁にタンク内突起202を有するので、
仮に、インク収納容器201の底部の電極270と対向
する領域にインクが膜状に残ったとしても、タンク内突
起202によりインクの連続性が分断される。その結
果、液体収納部201を介してのインクと電極270と
の間の電気回路のインピーダンスが上昇する。このとき
の時定数及びゲインの変化を検出することで、インク収
納容器201内のインクの残量が非常に少ないことを判
定することができる。
【0303】また、ホルダ150は、タンク内突起20
2に嵌合するホルダ突起151を有するので、インクタ
ンクユニット200をホルダ150に装着する際のイン
クタンクユニット200の位置合わせ、及びホルダ15
0へのインクタンクユニット200の保持を確実に行う
ことができる。しかも、ホルダ150へのインクタンク
ユニット200の装着は、前述したような略回動動作に
よって行われるので、図44に示したθ1とθ2との関係
をθ2>θ1とすることにより、インクタンクユニット2
00の装着をスムーズに行うことができる。
【0304】なお、上述した変形例では、筐体210と
内袋220との二重構造のインク収納容器201を例に
挙げて説明したが、本発明におけるインク収納容器はこ
れに限らず、筐体210のみで構成されるものであって
もよい。また、インク収納容器内のインク残量が、検出
すべき残量となったときに、電極290と対向する領域
のインクをジョイント口230側と連続しないように分
断させる構造として、本変形例はタンク内突起202を
例に挙げたが、上記のようにインクを分断することがで
きる構造であれば、単にジョイント口230側の高さを
低くした階段状の段差として構成してもよい。ただし、
このような構造は、段差として高くなっている部分につ
いては、その分だけインクの収納効率が低下することに
なるので、本変形例に示したような突起形状がより好ま
しい。
【0305】(第6の変形例)図45は、本発明の第6
の変形例を説明するための模式的説明図である。本変形
例では、同じ種類のインクを収容する2つのインク収納
容器1201と1202とが、インクジェットヘッドユ
ニット160の共通のノズルにそれぞれインクを供給す
るように、インク供給経路1100によって連通してい
る点に特徴がある。
【0306】このような形態の場合、図45に示すよう
に各変形例と同様に電極270,290を設けると、こ
れらの2つのタンクは同時にそのインクの有無(あるい
は残量)をこのインク検出手段によって検出されること
になる。図46(a)及び(b)は、インク検出手段に
よる検出結果の一例を示している。
【0307】図45に示すようなインク供給システムの
場合、一般的にはインク収納容器1201、1202の
双方からインクが導出される場合と、いずれか一方から
優先的にインクが導出される場合とがある。図46
(a)は、一方のインク収納容器1201のインクが優
先的に消費された場合の、図28(a)に示す引加パル
スが加えられた場合の、出力波形の最大値VHを、イン
ク消費量を横軸に模式的に示したものである。図46
(a)において、区間c1、c2、c3はそれぞれ図4
6(c1)、(c2)、(c3)の状態に相当する。区
間c1では、VH≒Vであり、区間c2ではVH≒V’
となった後、区間c3では、VH≒0である。区間c2
では、一方のインク収納容器1201のインクのみが消
費されている。
【0308】一方、図46(b)は、インク収納容器1
201及び1202の双方のインクが消費された場合
の、図28(a)に示す引加パルスが加えられた場合
の、出力波形の最大値VHを、インク消費量を横軸に模
式的に示したものである。図46(b)において、区間
d1、d2、d3はそれぞれ図46(d)に示す(d
1)、(d2)、(d3)の状態に相当する。区間d1
では、VH≒Vであり、区間d3では、VH≒0であ
る。この場合、区間d2では、2つのインク収納容器の
いずれもインクがほぼ消費される状態を示しており、急
激にVHが変化している。
【0309】このように、複数の容器で共通の液体を供
給する場合、電極290はインク流路1100を介して
インク収納容器1201にも1202にも液体で連通し
ているので、全ての容器が空になった場合の波形の変化
と比較することで、インクタンクの交換を確実に行うこ
とができる。
【0310】さらに、インク収納容器1201と120
2とが互いに分離可能である場合には、上述の検出結果
を利用して、V’の値がしばらく続くときに、いずれか
一方のインク収納容器が空である、との警告を記録装置
や該記録装置を制御する制御装置上で表示させ、ユーザ
に交換を促すようにしてもよい。
【0311】また、3つの液体収納容器が連通路を介し
て接続されている場合、VH≒2/3Vがしばらく続く
ときには3つの容器のうちのいずれか一つの容器が空
に、VH≒1/3Vがしばらく続くときには3つの容器
のうちのいずれか二つの容器が空に、なったとそれぞれ
判断することが出来る。
【0312】(第7の変形例)図47は、本発明の第7
の変形例を説明するための模式的説明図である。本変形
例では、前述の第6の変形例に対し、2つの液体収納容
器1201、1202の底部に対向する電極270の、
容器1201へ対向する部分の面積と、容器1202へ
対向する部分の面積との比が異なる(本変形例の場合概
ね2:1)となっている点が異なっている。
【0313】本変形例において、図47に示すように各
変形例と同様に電極270,290を設けると、これら
の2つのタンクは同時にそのインクの有無(あるいは残
量)をこのインク検出手段によって検出されることにな
る。図48(a)及び(b)は、インク検出手段による
検出結果の一例を示している。また、図48(a)の区
間c1、c2、c3における液体収納容器1201、1
202の状態をそれぞれ図48(c1)、(c2)、
(c3)に示し、図48(b)の区間c1’、c2’、
c3’における液体収納容器1201、1202の状態
をそれぞれ図48(c1’)、(c2’)、(c3’)
に示す。
【0314】図48(a)に示すように、対向電極の対
向面積の小さい容器1202内のインクが先に消費され
た場合、区間c2において、VH≒V’(≒2/3V)
がしばらく検出される。一方、図48(b)に示すよう
に、対向電極の対向面積の大きい容器1201のインク
が先に消費された場合、区間c2’において、VH≒
V’’(≒1/3V)がしばらく検出される。
【0315】したがって、本変形例の場合には、前述の
第6の変形例の場合とは異なり、検出結果から一方の容
器内のインクが無くなったことをユーザにアナウンスす
る場合、いずれの容器が空になったのかについてまでア
ナウンスすることが可能である。
【0316】なお、上述の変形例では2つの容器の場合
で説明したが、n個のタンクの場合には、電極の対向面
積比を概ね2n-1:2n-2:.:20(n≧3)とすればよ
い。また、上述の変形例では電極の対向面積比を変化さ
せたが、電極とタンク底面との距離の比としてもよい。
【0317】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液体供給容器の底面を水平面に対して傾斜させたり、あ
るいは、液体収納部を変形することで負圧を発生可能な
部材で構成することで、液体供給容器の液体残量が少な
くなったときの、液体の電極との対向面積の変化を利用
して、液体残量が少なくなったことを検出することがで
きる。液体供給容器と負圧発生部材収納室とが分離可能
な場合、この時点で液体供給容器を交換すれば、引き続
き安定して液体供給容器から負圧発生部材収納室へ液体
を供給することができる。
【0318】また、液体供給容器(液体収納部)の壁面
の厚さを、隣接する液体供給容器と対向する側壁の厚さ
が、電極と対向する底壁の厚さよりも大きくすることに
より、隣接する液体供給容器との間に発生する静電容量
の影響を少なくすることができる。その結果、目的とす
る液体供給容器内の液体の残量をより精度良く検出する
ことができ、外部への液体の供給を安定して行うことが
できる。
【0319】また、液体供給容器(液体収納部)の液体
残量検出用の電極と対向する底壁に分断構造を有するこ
とで、底壁に液体が膜状に残った場合でも確実に液体の
残量を検出することができ、結果的に外部への液体の供
給を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態であるインクジェット
ヘッドカートリッジを示す斜視図である。
【図2】図1のカートリッジの断面図である。
【図3】図2に示したインクタンクユニットについて説
明するための斜視図である。
【図4】図2の負圧制御室ユニットが取り付けられたホ
ルダーにインクタンクユニットを装着する動作について
説明するための断面図である。
【図5】本発明に適用可能な弁機構の開閉動作を説明す
るための断面図である。
【図6】図2に示したインクジェットヘッドカートリッ
ジにおけるインクの供給動作について説明するための断
面図である。
【図7】図6に基づいて説明するインク消費動作におけ
るインクの状態について説明するための図である。
【図8】図6に基づいて説明するインク消費動作で内袋
の変形による内部圧力変動の抑制効果について説明する
ための図である。
【図9】本発明に適用可能な弁機構における弁枠と弁体
との関係を示す図である。
【図10】本発明に適用可能な弁機構の開閉動作時に係
合するジョイントパイプの先端部の形状の一例を示す斜
視図である。
【図11】本発明に適用可能な弁機構と比較するための
形態例を示す図である。
【図12】図11の弁機構における拗れの状態を示す図
である。
【図13】図11の弁機構におけるシール状態を示す図
である。
【図14】本発明に適用可能な弁機構を示す図である。
【図15】図14の弁機構における拗れの状態を示す図
である。
【図16】図14の弁機構におけるシール状態を示す図
である。
【図17】図14の弁機構における弁体のジョイントパ
イプ先端部との係合形状を説明するための図である。
【図18】本発明に適用可能なインクタンクの製造方法
を説明するための図である。
【図19】図2に示したインク収納容器の内部構成例を
示す断面図である。
【図20】図2に示した負圧制御室容器内の吸収体を説
明するための図である。
【図21】図2に示した負圧制御室容器内の吸収体を説
明するための図である。
【図22】図2に示したインクタンクユニットの回動に
よる着脱動作を説明するための図である。
【図23】本発明に適用可能なインクタンクユニットを
用いたインクジェットヘッドカートリッジの概略説明図
である。
【図24】本発明のインクジェットヘッドカートリッジ
を適用可能な記録装置の概略構成を示す図である。
【図25】本発明に適用可能なインクタンクユニットの
接続箇所の構成部品の寸法を説明するための図である。
【図26】図2に示したインクジェットヘッドユニット
の断面図である。
【図27】図2に示した2つの電極間の等価回路図であ
る。
【図28】インクタンクユニット内のインク残量検出の
ときの印加パルス及び出力波形を示す図である。
【図29】本発明の第1の変形例のインクジェットカー
トリッジの断面図である。
【図30】本発明の第2の変形例のインクジェットカー
トリッジの断面図である。
【図31】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図32】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図33】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図34】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図35】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図36】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図37】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図38】本発明の第3の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図39】本発明の第4の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図40】本発明の第4の変形例の更なる変形例を説明
する、インクジェットカートリッジの断面図である。
【図41】複数のインク収納容器が互いに隣接して配置
された状態でのインク残量検出系の等価回路の一例を示
す説明図である。
【図42】インク収納容器の幅方向の断面形状のいくつ
かの変更例を示す図である。
【図43】本発明の第5の変形例を説明する、インクジ
ェットカートリッジの断面図である。
【図44】本発明の第5の変形例のインク収納容器のタ
ンク内突起近傍を説明するための部分断面図である。
【図45】本発明の第6の変形例を説明するための説明
図である。
【図46】図45に示す変形例でのインク検出結果の例
およびその状態でのインク収納容器の状態を示す図であ
る。
【図47】本発明の第7の変形例を説明するための説明
図である。
【図48】図47に示す変形例でのインク検出結果の例
およびその状態でのインク収納容器の状態を示す図であ
る。
【符号の説明】
21 繊維 70 インクジェットヘッドカートリッジ 81 キャリッジ 82 ヘッド回復ユニット 83 給紙面 84 ベルト 100 負圧制御室ユニット 102 シール面 110 負圧制御室容器 113c 境界面 115 大気連通口 116 バッファ空間 120 負圧制御室蓋 121 ガイド部 130,140 吸収体 131 供給口 150 ホルダー 151 底部 155 インクタンク係止部 160 インクジェットヘッドユニット 161 フィルタ 162 インク流路 164 共通液室 165 インク供給管 170 ID部材 180 ジョイントパイプ 180a シール用突起 180b 弁開閉用突起 181a 上側開口部 181b 下側開口部 200 インクタンクユニット 201 インク収納容器 210 筐体 210a 係合部 211a,211b 接触面 220 内袋 221 ピンチオフ部 221a 内袋露出部 222 外気連通口 230 ジョイント口 250 ID部材 250a クリック部 251 傾斜面 252 ID用凹部 253 係合穴 260 ジョイントシール面 260a 第1弁枠 260b 第2弁枠 260c 開口 261 弁体 262 弁蓋 262a 弁蓋溶着ガイド 262b R部 263 付勢部材 264 第1弁枠シール部 265 弁体シール部 266 クリアランス 267 エラストマー 268 弁体フランジ部 270,290 電極 280 ゴムムジョイント部 281 接続端子 300,401 インク 400 溶着ホーン 402 インク注入ノズル 510 係合凸部 511 係合凹部 512 ピンチオフ 513 爪 514 リブ穴 550 係合矢印部 551 係合スリット 552 係合軸 553 係合穴 554 係合レール溝 555 係合レール 600 回転中心 601 インクタンクユニット係止部上端 602 インクタンクユニット係止部下端 603 インク供給口中心高 L 気液界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越川 浩志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 清水 英一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 林 弘毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 服部 省三 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA29 EB20 EB51 FA10 KB05 KB08 KC01 KC05 KC06 KC09 KC14 KC16 KD06 2F014 AB01 DA02 EA10

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部に液体を導出するための液体導出部
    部を備えた液体供給容器の下方に配置された電極を備
    え、前記液体供給容器内の液体と前記電極との対向面積
    に対応する静電容量によって前記液体供給容器内の液体
    有無を検知する検知手段を有する液体供給システムであ
    って、 前記電極は前記液体供給容器の底面と平行かつ非接触に
    配置されるとともに,前記液体供給容器の底面は、前記
    液体供給容器の一端から他端に向けて水平面に対して傾
    斜し、低いほうの下端部に前記液体導出部を有すること
    を特徴とする液体供給システム。
  2. 【請求項2】 前記液体供給容器の底面は、前記液体導
    出部の近傍に水平面と平行な部分を有し、前記電極は、
    前記傾斜した部分から前記水平面と平行な部分まで延び
    ている請求項1に記載の液体供給システム。
  3. 【請求項3】 前記液体供給容器は、筐体と,該筐体の
    内面と略同等の外面を有し前記液体導出部を除いて実質
    的な密閉空間を形成するとともに内部に収納された液体
    の導出に伴い変形する液体収納部と、を備えるととも
    に,前記検知手段は、前記液体収納部の変形による前記
    液体収納部内の液体と前記電極との距離の変化に基づく
    静電容量ないしは時定数の変化を検知する請求項1に記
    載の液体供給システム。
  4. 【請求項4】 前記液体供給容器をその底面が前記電極
    に対向するように互いに隣接して複数備えるとともに、
    該液体供給容器のそれぞれは、隣接する液体供給容器と
    対向する側面の厚さが,前記電極と対向する底面の厚さ
    よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液体供
    給システム。
  5. 【請求項5】 前記液体供給容器の前記電極と対向する
    部位よりも前記液体供給部側の領域に、前記液体供給容
    器内の液体の残量が検出すべき残量となったとき、前記
    電極と対向する領域の液体を前記液体供給部側と分断さ
    せる分断構造を有することを特徴とする請求項1に記載
    の液体供給システム。
  6. 【請求項6】 前記液体供給容器をその底面が前記電極
    に対向するように互いに隣接して複数備えるとともに,
    該複数の液体供給容器のうち、同じ液体を収容する液体
    供給容器のそれぞれの液体導出部同士を連通させる液体
    導出経路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記
    載の液体供給システム。
  7. 【請求項7】 前記静電容量の変化により、前記複数の
    液体収納容器のうち所定の個数の容器内の残量を検知す
    ることを特徴とする請求項6に記載の液体供給システ
    ム。
  8. 【請求項8】 前記電極と前記複数の液体収納容器との
    対向面積が、それぞれ異なるように設けられていること
    を特徴とする請求項6に記載の液体供給システム。
  9. 【請求項9】 前記検知手段により前記静電容量ないし
    は時定数の変化を検知することで前記液体供給容器内の
    液体残量を検知することを特徴とする請求項1に記載の
    液体供給システム。
  10. 【請求項10】 前記液体導出部を介して前記液体供給
    容器と接続されるとともに負圧発生部材を内部に収納す
    る負圧発生部材収納室を備え、該負圧発生部材収納室は
    前記液体導出部を介して供給される液体を外部に導出す
    るための液体供給部を有することを特徴とする請求項1
    に記載の液体供給システム。
  11. 【請求項11】 前記液体導出部は前記液体供給容器の
    最大面積面に挟まれる面に設けられ、前記液体供給容器
    の前記液体導出部が設けられた面と反対側の面と前記底
    面とのなす角が鈍角である請求項10に記載の液体供給
    システム。
  12. 【請求項12】 前記負圧発生部材収納室と前記液体供
    給容器とは前記液体導出部で分離可能である請求項10
    に記載の液体供給システム。
  13. 【請求項13】 外部に液体を供給するための液体供給
    部を有するとともに、負圧発生部材を内部に収納する負
    圧発生部材収納室と、 接続部を介して前記負圧発生部材収納室と接続され、前
    記接続部を除いて実質的な密閉空間を形成する液体収納
    部を有する液体供給容器と、 少なくとも、前記液体供給容器の下方に前記液体供給容
    器の底面と平行に配置された電極を有し、前記液体収納
    部内の液体と前記電極との対向面積に対応する静電容量
    によって前記液体収納部の液体残量を検知する検知手段
    とを有し、 前記液体収納部は、前記液体供給容器の内面と実質的に
    相似形であり、前記液体供給容器の底面部に対応する領
    域が変形することで負圧を発生可能な部材で構成されて
    いることを特徴とする液体供給システム。
  14. 【請求項14】 それぞれ外部に液体を供給するための
    液体供給部を備える複数の液体供給容器の下方に配置さ
    れた電極を備え、前記液体供給容器内の液体と前記電極
    とのインピーダンスによって前記液体供給容器内の液体
    残量を検知する検知手段を有する液体供給システムにお
    いて、 前記液体供給容器は互いに隣接して配置され、前記液体
    供給容器の、隣接する液体供給容器と対向する側壁の厚
    さが、前記電極と対向する底壁の厚さよりも大きいこと
    を特徴とする液体供給システム。
  15. 【請求項15】 外部に液体を供給するための液体供給
    部を備えた液体供給容器の下方に配置された電極を備
    え、前記液体供給容器内の液体と前記電極とのインピー
    ダンスによって前記液体供給容器内の液体残量を検知す
    る検知手段を有する液体供給システムであって、 前記液体供給容器の前記電極と対向する部位よりも前記
    液体供給部側の領域に、前記液体供給容器内の液体の残
    量が検出すべき残量となったとき、前記電極と対向する
    領域の液体を前記液体供給部側と分断させる分断構造を
    有することを特徴とする液体供給システム。
  16. 【請求項16】 液体を収納する液体収納部と、該液体
    を外部に導出する液体導出部とを備える液体供給容器で
    あって、 前記液体供給容器は、前記液体との対向面積に対応する
    静電容量によって前記液体収納部内の液体の残量を検知
    するために前記液体供給容器の下方に配置される電極に
    対向する底面を備えていることを特徴とする液体供給容
    器。
  17. 【請求項17】 前記底面は前記電極に対して傾斜して
    配置される請求項16に記載の液体供給容器。
  18. 【請求項18】 前記液体収納部は変形可能であり、外
    部に該液体収納部を保護する筐体を備えている、請求項
    16に記載の液体供給容器。
  19. 【請求項19】 液体を収納する液体収納部と該液体を
    外部に導出する液体導出部とを備え、前記液体収納部を
    隣接させて複数個並べて配置される液体供給容器であっ
    て、 前記液体収納部は、前記液体とのインピーダンスによっ
    て前記液体収納部内の液体の残量を検知するために電極
    が下方に対向配置される底壁を備え、 前記液体収納部の、隣接する液体収納部と対向する側壁
    の厚さが前記底壁の厚さよりも大きいことを特徴とする
    液体供給容器。
  20. 【請求項20】 液体を収納する液体収納部と該液体を
    外部に導出する液体導出部とを備えた液体供給容器であ
    って、 前記液体収納部は、前記液体とのインピーダンスによっ
    て前記液体収納部内の液体の残量を検知するために電極
    が下方に対向配置される底壁を備え、 前記底壁の前記電極と対向する部位よりも前記液体導出
    部側の領域に、前記液体収納部内の液体の残量が検出す
    べき残量となったとき、前記電極と対向する領域の液体
    を前記液体導出部側と分断させる分断構造を有すること
    を特徴とする液体供給容器。
  21. 【請求項21】 前記分断構造は、前記液体収納部の内
    底壁に、前記電極と対向する領域から前記液体導出部へ
    向かう方向と交差する方向に全域にわたって設けられた
    突起である、請求項20に記載の液体供給容器。
  22. 【請求項22】 前記突起は、前記液体導出部側の第1
    の面と、前記電極と対向する側の第2の面とを有し、 使用状態における水平面に対する、前記第1の面の角度
    をθ1、前記第2の面の角度をθ2としたときθ1>θ
    2の関係を満たしている、請求項20に記載の液体供給
    容器。
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