JP7066718B2 - 加圧式筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、インキ収容筒内の筆記具用インキ組成物に圧力を加える加圧式筆記具に関するものである。
従来からこの種の加圧式筆記具として、例えばJP2000-335173Aに開示のように、インキ収容管の後端部に加圧機構が設けられ、ノック体の押圧操作に連動させて前記インキ収容管内を加圧状態とすることで筆記先端部からのインキ吐出量を増加させ、筆跡幅や筆跡濃度を向上させる構造が知られている。
しかしながら、JP2000-335173Aのような加圧式筆記具にあっては、加圧機構部を作動させた後は、インキ収容管内に掛かる圧力が変えられないため、必ずしも使用者の好みに合った筆跡幅や筆跡濃度にならない場合があった。
また、この問題を解決する技術として、JPH08-141482Aには、液タンク内の修正液の後端に掛ける圧力を任意に調整可能な塗布具が開示されている。
JPH08-141482Aの塗布具では、軸筒後端の回転体を、筒内端部のタンク押動部の押圧起点から押圧終点方向に向けて段階的に回転させることで、各段の加圧部の高さに応じて液タンクの後端を軸筒前方に押動し段階的に液タンクを圧縮する構造となっている。
しかしながら、JPH08-141482Aの構造では、使用時に液タンク内を任意の強さで加圧することが可能であるが、使用時には毎回、回転体を回転することで加圧力を調整する必要があり、更に使用を中止する際も、加圧したままでは液塗布口から液漏れを起こす危険性があるため、回転体を元の位置まで回転させてから保管する必要があり、手間が掛かっていた。
一方、JP2011-235612Aには、筆記時の筆圧によって加圧機構を作動させ、筆記液収容管内を加圧状態とする、いわゆる筆圧加圧式のボールペンが開示されている。
このJP2011-235612Aに記載されている筆圧加圧式のボールペンは、筆記時にボールペンレフィルが筆圧によって後退することで加圧機構が作動してインキの後端に圧力を掛ける構造のため、JPH08-141482Aのように、加圧時のインキ後端に掛かる圧力を調整するためには、筆圧が掛かった際にボールペンレフィルが後退する幅を増減させる必要があり、その分、軸筒からボールペンレフィルの前端部が突出する長さを一定にすることが困難であった。
ところで、ボールペンの把持位置は、人によって様々ではあるが、筆記時のペン先の位置を基準に把持位置を決定していることが多い。このため、使用者はペン先の突出する長さに合わせて軸筒を把持する位置を変えねばならず、特に筆記具の把持部に滑り止め用の凹凸や把持しやすいように内方または外方へ向って湾曲して形成されている場合には、把持位置を変えると把持感触まで変わってしまう問題が生じていた。
JP2009-202513Aの加圧式筆記具は、加圧機構が、後端部に内外を連通する空気孔を有するシリンダーと、ノック体の内壁に装着した有底筒体からなる密閉部材とを具備し、ノック体の前進によって、シリンダーの後端部を密閉部材の有底内壁に圧接してシリンダーの空気孔を閉鎖し、さらに、シリンダーの前進によって、密閉されたシリンダー内の空気を圧縮し、インキ収容筒の後端部の空間に圧力を加える構造になっている。
また、一般的に加圧式筆記具にあっては、加圧状態を解除する時に、密閉した空間を圧縮した分は元に戻す必要がある。このため、加圧した空間を解除する際、加圧空間の圧力がインキの消費等によって大気圧近傍に達していると、大気圧よりも気圧の低い負圧状態となってしまい、インキ収容筒内に充填した筆記具用インキがインキ収容筒の後端側に移動し、インキ逆流が発生する恐れがある。この対策としてJP2009-202513Aの加圧式筆記具では、ノック体がコイルスプリングにより後方へ付勢され、加圧機構の加圧状態を解除する際、コイルスプリングの付勢力でシリンダーと密閉部材との密閉を解除してシリンダーの空気孔を開放し、シリンダー内及びインキ収容筒の後端部を大気圧と同圧にした後、シリンダーが後退することで、密閉空間を解除する時に、大気圧よりも気圧が低い負圧状態となることを防止する構造となっている。
上述のJP2011-235612Aに記載されている筆圧加圧式のボールペンは、筆記時にボールペンレフィルが筆圧によって後退することで加圧機構が作動してインキの後端に圧力を掛けることができ、筆記時に筆記先端部が紙面等に対して当接・離間を繰り返すことで、加圧状態と非加圧状態とを切り替える構造となっている。このため、筆記時にボールペンレフィルが大きく後退してしまうと非常に筆記し難いものになってしまうため、筆記時におけるボールペンレフィルの後退量は最低限にする必要がある。よって、JP2009-202513Aのようなノック式の加圧式筆記具のように、ノック体を長いストローク前進させることで加圧室内に高く加圧を掛けることができないことから、加圧機構によって掛かる圧力もノック式と比較すると小さくなる。そして、筆圧加圧式ではそもそも紙面から筆記先端部が離れるたびに加圧室の加圧状態がリセットされる構造のため、1回の圧縮により加圧できる圧力は低いものの、略一定の加圧状態を保って筆記することができるという利点がある。
しかしながら、JP2011-235612Aの構造では、筆記毎に加圧室の加圧状態をリセットしており、1回の動作で加圧している圧力も低くなるため、加圧リセット時に発生する負圧状態も極小さなものとなるが、JP2009-202513Aのようなノック式の加圧式筆記具と比較すると、筆記時に加圧状態がリセットされる回数が圧倒的に多くなることから、筆記先端部から空気をボールペンレフィル内に巻き込み易く、最終的にはインキが逆流して筆記不能の状態になる虞があった。
本発明は、前記問題を鑑みてなされたものであって、筆圧によりインキ収容筒内のインキ後端に圧力を加えることができる加圧式筆記具において、回動体を回動することでインキ収容筒内を使用者の好みに合わせて加圧を調整することができると共に、回動体を回動した際に軸筒先端から突出するボールペンレフィルの前端部の突出量が一定に保たれる加圧式筆記具を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、筆圧によりインキ収容筒内のインキ後端に圧力を加えることができる加圧式筆記具において、筆記時に筆記先端部を筆記面から離間させインキの後端に掛かる加圧状態を解除した際、加圧室内の気圧が大気圧より低くなる負圧状態になることを防ぎ、インキの逆流を防止することができる加圧式筆記具を提供することを第2の目的とする。
本発明の加圧式筆記具は、
筆記具用インキ組成物が充填されたレフィルを内部に収容可能な軸筒と、
前記レフィルの後退にともなって前記筆記具用インキ組成物に圧力を加える加圧機構と、
前記圧力を調整する加圧力調整機構と、を備える。
本発明の加圧式筆記具において、
前記軸筒の後端から突出するように設けられた回動体をさらに備え、
前記加圧力調整機構は、前記回動体を回動させることにより、前記圧力を調整してもよい。
本発明の加圧式筆記具は、
軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記ボールペンレフィルの後方に、筆圧が掛かることで前記ボールペンレフィルが後退して、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧機構が配設された加圧式筆記具であって、
前記加圧機構の後方に、前記軸筒の後端から突出する回動体と、該回動体を回動することで作動し前記ボールペンレフィルの後退量を調整する加圧力調整機構と、を備え
前記加圧機構は前記軸筒に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、
前記回動体は前記軸筒に対して回動自在に係止され、
前記回動体を回動することで前記加圧力調整機構が作動し、前記インキ収容筒内の筆記具用インキ組成物の後端に掛ける圧力を調整すると共に、前記回動体を回動する前後で、軸方向における前記軸筒に対する前記ボールペンレフィルの相対位置が変化しないように構成した。
本発明の加圧式筆記具において、
前記軸筒の内部に、該軸筒に対し回動不能且つ前後動自在に係止されたスライド部材が配設され、
前記スライド部材が、該スライド部材の内方に配設された前記加圧機構と、該スライド部材の後端開口部から一部が後方へ突出するよう配設された前記回動体と、を具備し、
前記回動体を前方へ押圧することで、前記ボールペンレフィルの前端部が前記軸筒の前端開口部より突出するよう構成してもよい。
本発明の加圧式筆記具において、
前記加圧力調整機構が、前記スライド部材と、該スライド部材の前端開口部から挿入され当該スライド部材に対して回動自在且つ前後動自在に係止された前記回動体と、該回動体の内部に配設され当該回動体に対して回動自在且つ前後動自在に係止された摺動部材と、を備え、
前記スライド部材と前記回動体との間に、該スライド部材に対して該回動体を前後動させる第一のカム機構と、前記回動体と前記摺動部材との間に、前記回動体に対して前記摺動部材を前後動させる第二のカム機構と、を備えてもよい。
本発明の加圧式筆記具において、
前記第一のカム機構が、前記スライド部材の内面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第一のカム斜面と、前記回動体の外面に、前記第一のカム斜面と摺接するよう形成された第一のカム突起と、を備え、
前記第二のカム機構が、前記摺動部材の外面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第二のカム斜面と、前記回動体の内面に、前記第二のカム斜面と摺接するよう形成された第二のカム突起と、を備えてもよい。
本発明の加圧式筆記具において、
前記加圧機構は、前後に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の内部に配設され、前記ボールペンレフィルの後端部が着脱自在に装着される弾性部材と、前記弾性部材の内壁と前記インキ収容筒の後端部との間に形成され該インキ収容筒の後端開口部内に連通する加圧室と、前記筒状体の内方且つ前記弾性部材の後方に配設された止め具と、前記加圧室と外部とを連通させる空気孔と、を備え、
前記筒状体はスライド部材に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、前記摺動部材は前記筒状体に対して前後動自在且つ回動不能に係止され、
前記筒状体の後部内段部と前記摺動部材の前部内段部との間に弾発部材を配設することで前記摺動部材に対して前記筒状体が前方へ弾発され、
前記ボールペンレフィルと共に前記筒状体が後退することで、前記弾性部材と前記止め具とが当接して該弾性部材を変形させ、前記加圧室が圧縮して前記インキ収容筒内のインキの後端に圧力を掛けてもよい。
本発明によれば、筆圧によりインキ収容筒内のインキ後端に圧力を加えることができる加圧式筆記具において、回動体を回動することでインキ収容筒内を使用者の好みに合わせて加圧力を調整可能とすると共に、回動体を回動した際に軸筒先端から突出するボールペンレフィルの前端部の突出量が一定に保たれる加圧式筆記具を提供することができる。
本発明の加圧式筆記具は、
軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記ボールペンレフィルの後方に、筆圧が掛かることで前記ボールペンレフィルが後退して、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧機構が配設された加圧式筆記具であって、
前記加圧機構が、筒状に形成されたシリンダーと、外周面に気密用変形部を有し前記シリンダーに対して前後動自在に形成された気密弁と、前記シリンダーの後部内孔に前後動自在に装着されたピストンと、前記ピストンと前記シリンダーとの間に配設された気密部材と、前記シリンダーと前記気密弁と前記ピストンと前記気密部材とで囲まれ前記ボールペンレフィルの後部に連通された加圧室と、前記気密弁と前記ピストンとの間に配設され前記気密弁を前方へ弾発する弾発部材と、を備え、
前記ボールペンチップの前端に筆圧が掛かると、前記ボールペンレフィルが後退し、当該ボールペンレフィルの後退に連動して前記シリンダーと前記気密弁とが前記弾発部材の弾発力に抗して前記ピストンに対して後退し、前記加圧室内を密閉した後に圧縮して加圧すると共に、前記ボールペンレフィルへの筆圧が解除されると、前記シリンダーより先に前記気密弁が前記ピストンに対して前進することで前記加圧室と外部とを連通する空気通路が形成され、前記加圧室の気密状態が解除されて大気圧と同圧になり、その後、前記シリンダーが遅れて前進する。
本発明の加圧式筆記具において、
前記ボールペンレフィルの前端に筆圧が掛かった際、前記気密弁の気密用変形部と前記シリンダーの当接部とが当接することで前記加圧室内が気密状態となるよう構成すると共に、前記ボールペンレフィルへの筆圧が解除された際、前記気密弁の気密用変形部により当該気密弁と前記シリンダーの当接部との間で発生する嵌合力より前記気密部材により前記ピストンと前記シリンダーとの間に発生する嵌合力を大きくすることで、前記シリンダーより先に前記気密弁が前記ピストンに対して前進するよう構成してもよい。
本発明によれば、筆圧によりインキ収容筒内のインキ後端に圧力を加えることができる加圧式筆記具において、ボールペンチップの先端部を筆記面から離間させインキの後端に掛かる加圧状態を解除した際、加圧室内の気圧が大気圧より低くなる負圧状態になることを防ぎ、インキの逆流を防止することができる加圧式筆記具を提供することができる。
本発明の加圧式筆記具において、
前記圧力を調整する加圧力調整機構をさらに備えてもよい。
本発明の加圧式筆記具において、
前記軸筒の後端から突出するように設けられた回動体をさらに備え、
前記加圧力調整機構は、前記回動体を回動させることにより、前記圧力を調整してもよい。
本発明の加圧式筆記具において、
前記筆記具用インキ組成物は、熱変色性インキであり、
前記回動体の後端に設けられ、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を変色させることが可能な摩擦体と、
前記軸筒の後端を上方に向けた状態では前記回動体の回動を許容し、前記軸筒の後端を下方に向けた状態では前記回動体の回動を妨げる、ストッパー部材と、をさらに備えてもよい。
図1は、第1実施形態の加圧式筆記具の縦断面図である。 図2は、図1の要部を拡大した拡大縦断面図である。 図3は、第1実施形態の加圧機構及び加圧力調整機構を説明するための分解図である。 図4は、図2におけるIV-IV線拡大断面図である。 図5は、図2におけるV-V線拡大断面図である。 図6は、図1の状態から回動体を押圧したノック状態を示す縦断面図である。 図7は、図6の加圧式筆記具で筆記する際の状態を示す説明図である。 図8は、図7の状態から軸心に沿って筆圧を掛けた状態を示す説明図である。 図9Aは、筆圧を掛けた際の加圧式筆記具の動作を示す説明図であり、筆圧を掛ける前の状態を示している。 図9Bは、筆圧を掛けた際の加圧式筆記具の動作を示す説明図であり、筆圧を掛けて加圧空間を気密した状態を示している。 図9Cは、筆圧を掛けた際の加圧式筆記具の動作を示す説明図であり、筆圧を掛けて加圧空間が加圧された状態を示している。 図10Aは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力を高く設定した状態を示している。 図10Bは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力を低く設定した状態を示している。 図10Cは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力が掛からないよう設定した状態を示している。 図11Aは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Aに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図11Bは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Bに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図11Cは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Cに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図12Aは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Aに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図12Bは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Bに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図12Cは、加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二の加圧機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図10Cに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図13は、第1実施形態の加圧式筆記具の変形例を示す側面図である。 図14は、第2実施形態の加圧式筆記具の外観図である。 図15は、第2実施形態の加圧式筆記具の縦断面図である。 図16は、図15の要部を拡大した拡大縦断面図である。 図17は、第2実施形態の加圧機構及び加圧力調整機構を説明するための分解図である。 図18は、図16におけるXVIII-XVIII線拡大断面図である。 図19は、図16におけるXIX-XIX線拡大断面図である。 図20は、図15の状態から回動体を押圧したノック状態を示す縦断面図である。 図21は、図20の加圧式筆記具で筆記する際の状態を示す説明図である。 図22は、図21の状態から軸心に沿って筆圧を掛けた状態を示す説明図である。 図23は、図21の要部を拡大した拡大縦断面図である。 図24は、図23の状態から筆圧を掛けた状態を示す拡大縦断面図である。 図25は、図24の状態から筆圧を最後まで掛けた状態を示す拡大縦断面図である。 図26は、図25の状態から筆圧を解除し、空気通路が形成された状態を示す拡大縦断面図である。 図27Aは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力を高く設定した状態を示している。 図27Bは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力を低く設定した状態を示している。 図27Cは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の動作を示す説明図であり、加圧力が掛からないよう設定した状態を示している。 図28Aは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Aに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図28Bは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Bに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図28Cは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第一のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Cに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図29Aは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Aに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図29Bは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Bに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図29Cは、第2実施形態において加圧式筆記具の回動体を回動した際の第二のカム機構のカムの嵌合状態を説明する説明図であり、図27Cに示した加圧式筆記具におけるカムの嵌合状態を示している。 図30は、第2実施形態に係る加圧式筆記具の変形例を示す部分縦断面図である。 図31は、加圧式筆記具を図30のXXXI-XXXI線に対応する断面において示す図である。 図32は、図30の加圧式筆記具の加圧機構及び加圧力調整機構を構成する各部品を示す分解図である。 図33は、図30の回動体を拡大して示す縦断面図である。 図34は、図30の加圧式筆記具を用いて筆跡を消色する方法について説明するための図である。 図35は、加圧式筆記具を図34のXXXV-XXXV線に対応する断面において示す図である。
次に図面を参照しながら、本発明の加圧式筆記具を詳細に説明するが、本発明は以下の各実施形態及び変形例に限定されるものではない。
また、本明細書では、軸筒の長手方向において、ボールペンチップがある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。これにともなって、軸筒の長手方向に沿った方向を前後方向と表現することがある。また、前後方向への移動を前後動と表現することがある。更に、軸筒の軸径方向において、ボールペンレフィルがある方を内方と表現し、その反対側を外方と表現する。
尚、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
〔第1実施形態〕
本実施形態の加圧式筆記具1は、軸筒4と、加圧機構7と、加圧力調整機構24と、を備える。軸筒4は、筆記具用インキ組成物であるインキ11が充填されたレフィル8を内部に収容可能に構成されている。加圧機構7は、インキ11に圧力を加える機構である。加圧式筆記具1は、レフィル8の前端部が軸筒4の前端開口部3aから突出した筆記状態と、レフィル8の前端部が軸筒4の前端開口部3aから没入した非筆記状態と、を切り換え可能に構成されている。図1から図5に示された加圧式筆記具1では、後軸2の前方に前軸3を螺合することで軸筒4を形成してあり、軸筒4内に前後動可能に配設されたスライド部材5と、スライド部材5に回動可能に係止された回動体6と、スライド部材5内に配設された加圧機構7と、加圧機構7に装着され軸筒4内を前後に摺動可能なレフィル(ボールペンレフィル)8と、後軸2の側面に回動自在に係止されたクリップ9と、により構成してある。
ボールペンレフィル8は、PP樹脂からなる透明のインキ収容筒10に、筆記具用のインキ組成物であるインキ11及び当該インキ11の後端にインキの消費に伴い追従するグリース状のインキ追従体12を直接収容し、インキ収容筒10の前端開口部に、ボール(φ0.38mm)を回動自在に抱持したボールペンチップ13の後端部を圧入嵌合し、インキ収容筒10の後端開口部に円筒状の尾栓14を圧入嵌合して得たものである。
尚、尾栓14は、内部に前後方向に貫通する貫通孔と、後部に段部を設けて装着部14aとを形成してある。
前軸3(軸筒4)は、図1に示すように、前端にボールペンレフィル8のボールペンチップ13が突出可能な前端開口部3aが形成されている。また、後部内周面には内段部3bが形成してある。
後軸2(軸筒4)は筒状に形成してあり、図2に示すように、外側面2aに軸方向に沿って延び、内孔まで貫通する側孔2bが形成してある。また、外側面2aには外方へ向って突出するクリップ係止部2cが形成してあり、クリップ係止部2cはクリップ用係止突起2dとスプリング用係止突起2eにより構成してある。そして、クリップ用係止突起2dには軸方向に対して直交する方向に係止孔2fを形成してある。
また、後軸2の後部内周面には内方へ向って突出し、前後に延びる係止レール部2gを形成してある。
スライド部材5は、図2から図4に示すように、外周部に外方へ向って突出する掛止部5aを形成してあり、掛止部5aを後軸2の側孔2bに配置してある。また、スライド部材5の後部外側面には軸方向に沿って延びる係止溝5dが形成してあり、後軸2の係止レール部2gに係止溝5dを装着することで、後軸2に対してスライド部材5を前後に摺動自在且つ回動不能に係止してある。
更に、スライド部材5の前部内孔には内方へ向って突出する突起状の前部内突起5bが形成してあり、スライド部材5の後部には、内径が小さく形成された内段部5cが形成してある。
また、スライド部材5の側面には、前端から後方へ向って延びるスリット部5eが形成してあり、スリット部5eは軸心を挟んで対称に2箇所形成してある。更に、スライド部材5の内面には、軸周方向に沿って傾斜して形成され内方へ向って突出する第一のカム斜面5fが形成してあり、第一のカム斜面5fには複数の段部5gが形成してある。尚、複数の段部5gは、それぞれ後方へ向って凹状に形成された凹部5hを形成してある。
スライド部材5の前方には筒状のスペーサリング15が配設してあり、スペーサリング15の後部には後段部15aを形成してある。また、後段部15aにスライド部材5の前部内突起5bを圧入することで、スライド部材5にスペーサリング15を着脱不能に装着してある。
更に、図1に示すように、前軸3(軸筒4)の内面に形成した内段部3bとスペーサリング15の前端部15bとの間にノック用コイルスプリング16を圧縮状態で張架することで、前軸3(軸筒4)に対してスライド部材5をスペーサリング15を介して後方に弾発してある。
クリップ9は、図1、図2、図4及び図5に示すように、後軸2のスプリング用係止突起2eと、クリップ9の内壁部に軸筒4側に突出するように形成した内突起9aとの間にクリップ用スプリング17を配設し、クリップ9の内側壁に形成した係止軸部9bを係止孔2fに係止することで、クリップ9の先端部を、後軸2の外壁面側に常時弾発するよう張架してある。また、クリップ9の後端部を押圧(図2の矢印G方向)することにより、クリップ9と後軸2との係止軸Rを支点とし、クリップ9の先端部を後軸2の外壁面から離間可能な可動式クリップとして構成してある。
尚、クリップ9の前部には、基部9dから軸筒4側に延び、スライド部材5の側面に形成した掛止部5aと掛止する被掛止部9cを形成してある。
加圧機構7は、レフィル8の後退にともなってインキ11に圧力を加える機構である。加圧機構7は、図1から図3に示すように、ボールペンレフィル8の後方且つスライド部材5の内方に、当該スライド部材5に対して前後動自在に収納され、円筒状に形成された筒状体18と、筒状体18に対して前後動自在に装着された止め具19と、筒状体18の内周部に圧入装着され、且つ、ボールペンレフィル8の後端部に着脱自在に装着された弾性部材20と、弾性部材20の内部に形成されボールペンレフィル8の後部内孔8aに連通する加圧空間(加圧室)21と、で構成してある。
また、加圧機構7は、筒状体18の前端がスペーサリング15の後端に当接することで加圧機構7の前方への移動が制限されるよう構成してある。
筒状体18について詳述すると、図2及び図3に示すように、筒状体18は前後に貫通され複数の段部を備えた貫通孔18aを備えており、外周部には外方へ向って突出する係止突起18bを形成してある。また、筒状体18は外周部に外段部18cを形成してあり、前部に比べて後部の方が外径を小さく形成してある。
更に、筒状体18の後端部には後方側に向かって突出する後端凸部18dが、軸心を挟んで2箇所形成してある。
尚、図5に示すように、筒状体18の係止突起18bはスライド部材5の側面に形成したスリット部5eに挿入してあり、これにより筒状体18はスライド部材5に対して回動不能且つ前後動自在に係止してある。
止め具19について詳述すると、図1から図3、及び図5に示すように、止め具19には前端部に鍔部19aを形成してあり、後端部に外方へ向って突出する二つの係止部19bを形成してある。また、二つの係止部19bの間には後端から前方へ向って延びるスリット19cを形成してある。
尚、止め具19を筒状体18に装着する際、鍔部19aが筒状体18の貫通孔18aに形成された内段に当接することで後方への移動が制限され、更に、止め具19の側面には軸心方向に延びる溝状の空気通路19eが軸周方向に沿って均等に複数配置して形成してあり、空気通路19eにより筒状体18の貫通孔18aの中孔部18fと後孔部18gとが常に通気された状態が保たれるように構成してある。
弾性部材20について詳述すると、図2及び図3に示すように、弾性部材20はニトリルゴムにより形成してあり、弾性部材20は前後に貫通する内孔20aを備えている。
また、弾性部材20は筒状体18の貫通孔18aの前部内側面18hに圧入嵌着してあり、内孔20aの前部内周部20bには、ボールペンレフィル8の尾栓14の装着部14aが着脱自在に装着されている。
尚、弾性部材20を前部内側面18hに圧入嵌着した際、弾性部材20の後端と止め具19の前端面19dとの間には隙間が形成されるよう構成してあり、ボールペンレフィル8に筆圧が掛かるとき以外は、その隙間が維持されるようにしてある。
更に、弾性部材20の内部には前述した加圧空間(加圧室)21が形成され、加圧空間21はボールペンレフィル8の後部内孔8aに連通してある。
また、加圧空間21は内孔20aの後部に形成された空気孔20cにより筒状体18の中孔部18fに連通され、中孔部18fは空気通路19eにより後孔部18gを通じて外部に連通していることから、加圧空間21は外部に連通される。
筒状体18の後方には摺動部材22が配設してあり、摺動部材22の側面には第二のカム斜面22aが形成してある。また、第二のカム斜面22aには複数の段部22bが形成してあり、複数の段部22bにはそれぞれ前方へ向って凹状に形成された凹部22cを形成してある。
更に、摺動部材22の前部には後方に向かってスリット状に切り欠かれ、軸心を挟んで2箇所形成された前端凹部22dを形成してあり、筒状体18の後端凸部18dを摺動部材22の前端凹部22dに挿入することで、筒状体18に対して摺動部材22を前後動自在且つ回動不能に係止してある。
また、摺動部材22の内孔に、前方方向から止め具19を挿入して該止め具19の係止部19bを摺動部材22の後端から後方へ突出させて係止することで、止め具19と摺動部材22とを着脱不能に固定してある。
尚、止め具19を摺動部材22へ挿入する際、スリット19cにより2つの係止部19bが撓んで軸心側に寄ることで止め具19を内孔に挿入し易くしてある。
また、筒状体18の後部内段部18eと摺動部材22の前部内段部22eとの間には加圧用コイルスプリング23を張架してあり、加圧用コイルスプリング23により摺動部材22に対して筒状体18を前方へ弾発してある。
ここで、前述した回動体6は、図2に示すように、スライド部材5の内部に該スライド部材5の前端開口部から挿入され、スライド部材5の後方開口部から後方へ一部が突出するように装着してある。
また、回動体6には、図3に示すように、後部外周面に軸心に沿って複数の溝部6aを形成してあり、溝部6aにより回動体6を指で掴んだ際に滑り難くしてある。
更に、溝部6aの前方には外方へ向って突出し後方から前方へ向って外径が大きくなるように傾斜した凸状部6bが形成してあり、回動体6をスライド部材5に装着した際、凸状部6bによりスライド部材5から回動体6が抜けないよう構成してある。
また、回動体6は、前部外周面6cから後方へ向って延びるように第一のカム突起6dと、後部内周面6eから前方へ向って延びるように形成された第二のカム突起6fと、を形成してある。
尚、回動体6の第一のカム突起6dとスライド部材5の第一のカム斜面5fとがカム嵌合することで第一のカム機構30が構成され、回動体6の第二のカム突起6fと摺動部材22の第二のカム斜面22aとがカム嵌合することで第二のカム機構40を構成してある。
ここで、スライド部材5と回動体6と摺動部材22とで、回動体6を回動させることで加圧空間21が圧縮され加圧される圧力を変更することができる加圧力調整機構24が構成される。
次に、回動体6を前方へ押圧(ノック操作)することで、ボールペンレフィル8の筆記先端であるボールペンチップ13を前軸3の前端開口部3aから出没させる状態を説明する。
図1の状態から回動体6を前方へ押圧(図1の矢印F方向)すると、スライド部材5に対して回動体6が前進して凸状部6bがスライド部材5の後端に当接し、回動体6に押圧されたスライド部材5と、スライド部材5に圧入装着されているスペーサリング15と、が回動体6と共に、ノック用コイルスプリング16の弾発力に抗して前進する。同時に、回動体6は摺動部材22とカム嵌合しているため、摺動部材22が前方へ押圧され、摺動部材22が前進することで加圧用コイルスプリング23に弾発されて筒状体18が前進する。そして、筒状体18の前進に伴い弾性部材20を介してボールペンレフィル8が前方へ押圧されて前進し、前軸3の前端開口部3aからボールペンチップ13の前端部が突出する。その際、スライド部材5の掛止部5aが、後軸2の側面に配置したクリップ9の先端部の被掛止部9cに掛止することで、ボールペンチップ13の前端を、前軸3(軸筒4)の前端開口部3aから突出した状態を維持させる図6の状態となる。
ここで、クリップ9の後端部を押圧(図6の矢印G方向)し、クリップ9の被掛止部9cに掛止したスライド部材5の掛止部5aの掛止状態を解除すると、ノック用コイルスプリング16の弾発力によって、ボールペンレフィル8、加圧機構7、摺動部材22、スライド部材5及び回動体及6が後方に移動して図1の状態に戻る。
次に、本実施形態において、筆記する際の筆記圧で、インキ追従体12を介してボールペンレフィル8内のインキ11の後端に圧力をかける状態を説明する。
図6及び図9Aに示すように、ボールペンチップ13の前端が、前軸3の前端開口部3aから突出した状態で、図7のように軸筒4を傾けて保持し、ボールペンレフィル8の前端に筆圧を掛け、図7の矢印H方向にボールペンレフィル8が後退すると、スライド部材5は掛止部がクリップ9の被掛止部9cに係止しているため後退できず、回動体6はスライド部材5に対してカム嵌合しているため後退できず、更に、摺動部材22は回動体6とカム嵌合している為に後退できないため、加圧用コイルスプリング23の弾発力に抗して筒状体18が弾性部材20と共に後退する。そして、摺動部材22に係止され停止している止め具19の前端面19dに弾性部材20の後端が当接すると、空気孔20cが前端面19dで塞がれて加圧空間21が密閉される図9Bの状態となる。更に、ボールペンレフィル8が後退し、筒状体18が後退すると、弾性部材20が弾性変形することで図9Cのように加圧空間21が圧縮され、ボールペンレフィル8内のインキ11の後端にインキ追従体12を介して圧力を加える図8の状態となる。すなわち、ボールペンレフィル8の後退にともなって、加圧機構7によりインキ11の後端に圧力が加えられる。
尚、ボールペンレフィル8の筆圧による矢印H方向への後退は、筒状体18の外段部18cが回動体6の前端6gに当接することで停止される。つまり、外段部18cと前端6gとの隙間の大きさにより、ボールペンレフィル8が後退できる長さを決めることができる。
また、筆圧を解除すると、加圧用コイルスプリング23の弾発力及び変形した弾性部材20の復元力により、筒状体18及び弾性部材20が前方(元の位置)に移動する。そして、弾性部材20の後端が止め具19の前端面19dから離間すると、空気孔20cが開放されて加圧空間21及びボールペンレフィル8の後部内孔8cの密閉を解除して、大気圧と同圧になり、図7の状態に戻る。
次に、図6のノック状態において、回動体6を後軸2に対して回動することで加圧力調整機構24を作動させ、インキ11に掛かる加圧力を調整する動作を説明する。
図10Aの状態から回動体6を後端側から視て左方向(反時計回り)に回転させて図10Bの状態にすると、スライド部材5は後軸2に対して回動不能に係止していることから、図11Aから図11Bのように回動体6の第一のカム突起6dは第一のカム斜面に沿って第1段部5g1から隣の第2段部5g2へ移動する。この際、第一のカム突起6dが一段動いたL1分(図11A参照)、回動体6はスライド部材5に対して前進し、同時に、加圧用コイルスプリング23で後方に弾発されている摺動部材もL1分前進する。
そして、摺動部材22は筒状体18に対して回動不能に係止され、筒状体18はスライド部材5に回動不能に係止されていることから、摺動部材22は軸筒4に対して回動することができないため、回動体6の回転に伴い図12Aから図12Bのように回動体6の第二のカム突起6fは摺動部材22の第二のカム斜面22aに沿って第1段部22b1から隣の第2段部22b2へ移動する。この際、第二のカム突起6fが一段動いたM1分(図12A参照)、摺動部材22は回動体6に対して後退する。このため、摺動部材22は第一のカム機構30によりL1分前進し、第二のカム機構40によりM1分後退する。そして、本実施形態では、L1=M1となるように構成しているため、軸筒4に対して回動体6のみL1分前進し、摺動部材22は軸筒4に対して相対位置が変化しない。また、摺動部材22の位置が変わらないため、加圧用コイルスプリング23で前方へ弾発されている筒状体18の位置も変化せず、筒状体18に弾性部材20を介して固定されているボールペンレフィル8の軸筒4に対する相対位置も変化することはない。このため、筒状体18の外段部18cと回動体6の前端6gとの隙間が回動体が前進したL1分短くなるため、筆圧が掛かった際にボールペンレフィル8が後退できる長さもL1分減る。そして、筆圧が掛かった際の弾性部材20の変形量も減ることから加圧空間21に掛かる圧力が下がり、結果として、回動体6を左に一段分回転することでボールペンレフィル8内のインキ11の後端に掛かる圧力を下げることができる。
また、図10Bの状態から回動体6を更に後端側から視て左方向(反時計回り)に回転して第一のカム突起6dをスライド部材5の第一のカム斜面5fに沿って移動させ、図10Cの状態にすることで、第一のカム機構30により図11Bから図11Cのように回動体6の第一のカム突起6dは第2段部5g2から隣の第3段部5g3へ移動し、第二のカム機構40により図12Bから図12Cのように回動体6の第二のカム突起6fは第2段部22b2から隣の第3段部22b3移動する。この際、第一カム突起の移動量L2と第二カム突起の移動量M2を同じにしているため、摺動部材22は動かず、回動体6のみ筒状体18に対してM2分更に前進し、回動体6の前端6iが筒状体18の外段部18cと当接する。
この状態では、筒状体18が回動体6により後退することができないため、ボールペンレフィル8も後退することはできなくなり、筆記時に筆圧が掛かってもインキ11が加圧されることはなく、非加圧式の筆記具として使用できると共に、この状態のまま保管したとしてもボールペンレフィル8内が加圧されることがないため、図10Cの状態にすることで、保管時にボールペンチップ先端からのインキ11の流出を防止することができる。
尚、詳述はしないが、本実施形態では、ノック時同様に非ノック時でも回動体6を回動することで、筆記時にインキ11に掛かる圧力の設定を変更することが可能である。
以上により、本実施形態の加圧式筆記具1は、回動体6を回動することで加圧力調整機構24を作動させインキ収容筒10内を使用者の好みに合わせて加圧力を調整すると共に、回動体6を回動してインキ11に掛かる加圧力の設定を変えても、ボールペンレフィル8は軸筒に対して前後動することがないため、前軸3の前端開口部3aからボールペンレフィル8の先端部が突出する長さが変化することはなく、筆記具を把持する際の位置を変えることなく使用することができる。
本実施形態の加圧式筆記具1は、筆記具用インキ組成物(インキ)11が充填されたレフィル8を内部に収容可能な軸筒4と、レフィル8の後退にともなって筆記具用インキ組成物(インキ)11に圧力を加える加圧機構7と、圧力を調整する加圧力調整機構24と、を備える。
このような加圧式筆記具1によれば、筆記の際の筆圧によるレフィル8の後退にともなって当該レフィル8内の筆記具用インキ組成物(インキ)11に圧力を加えることができる加圧式筆記具1において、加圧力調整機構24により筆記具用インキ組成物(インキ)11に掛かる圧力を調整して筆記時におけるレフィル8からの筆記具用インキ組成物(インキ)11の流出量を変化させることができる。これにより、使用者の好みに合わせて筆跡の太さ及び/又は濃度を調整することが可能になる。
本実施形態の加圧式筆記具1は、軸筒4の後端から突出するように設けられた回動体6をさらに備え、加圧力調整機構24は、回動体6を回動させることにより、圧力を調整する。
このような加圧式筆記具1によれば、使用者が回動体6を回動することにより、筆記具用インキ組成物(インキ)11に掛かる加圧力を容易に調整することができる。
本実施形態の加圧式筆記具1は、軸筒4内に、筆記具用インキ組成物(インキ)11を充填したインキ収容筒10と、該インキ収容筒10の前方部にボールペンチップ13と、を具備したボールペンレフィル8を収容してなり、ボールペンレフィル8の後方に、筆圧が掛かることでボールペンレフィル8が後退して、筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に圧力を加える加圧機構7が配設された加圧式筆記具であって、加圧機構7の後方に、軸筒4の後端から突出する回動体6と、該回動体6を回動することで作動しボールペンレフィル8の後退量を調整する加圧力調整機構24と、を備え、加圧機構7は軸筒4に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、回動体6は軸筒4に対して回動自在に係止され、回動体6を回動することで加圧力調整機構24が作動し、インキ収容筒10内の筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に掛ける圧力を調整すると共に、回動体6を回動する前後で、軸方向における軸筒4に対するボールペンレフィル8の相対位置が変化しないように構成される。
このような加圧式筆記具1によれば、回動体6を回動することで、ボールペンレフィル8の後退量を変化させる加圧力調整機構24を作動させ、筆記時に筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に掛かる圧力を調整することで、ボールペンレフィル8のボールペンチップ13の先端からの筆記具用インキ組成物(インキ)11の流出量を変え、筆跡の太さや、筆跡濃度を使用者の好みに合わせて調整することができる。
また、本実施形態の加圧式筆記具1は、いわゆる筆圧加圧式であるため、筆圧が掛かった時のみ筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に圧力が掛かる。このため、非筆記時や保管時には筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に圧力が掛かることがなく、ボールペンチップ13の前端からインキが漏れることを防止できる。
更に、回動体6を回動した際、軸方向におけるボールペンレフィル8と軸筒4の相対位置が変化しないように構成することで、ボールペンレフィル8の前端部が軸筒4の前端開口部3aから突出する長さが変化することがない。このため、加圧力を調整しても軸筒4を把持する位置を変える必要がなく、紙面までの距離感や把持位置を一定に保ったまま筆記を継続することができる。
本実施形態の加圧式筆記具1では、軸筒4の内部に、該軸筒4に対し回動不能且つ前後動自在に係止されたスライド部材5が配設され、スライド部材5が、該スライド部材5の内方に配設された加圧機構7と、該スライド部材5の後端開口部から一部が後方へ突出するよう配設された回動体6と、を具備し、回動体6を前方へ押圧することで、ボールペンレフィル8の前端部が軸筒4の前端開口部3aより突出するよう構成される。
このような加圧式筆記具1によれば、加圧式筆記具1を、ボールペンレフィル8の前端部が軸筒4の前端開口部3aより突出するよう構成した、いわゆるノック式の加圧式筆記具とすることができる。
本実施形態の加圧式筆記具1では、加圧力調整機構24が、スライド部材5と、該スライド部材5の前端開口部3aから挿入され当該スライド部材5に対して回動自在且つ前後動自在に係止された回動体6と、該回動体6の内部に配設され当該回動体6に対して回動自在且つ前後動自在に係止された摺動部材22と、を備え、スライド部材5と回動体6との間に、該スライド部材5に対して該回動体6を前後動させる第一のカム機構30と、回動体6と摺動部材22との間に、回動体6に対して摺動部材22を前後動させる第二のカム機構40と、を備える。
このような加圧式筆記具1によれば、回動体6の押圧(ノック操作)によりボールペンレフィル8を出没させる動作と、回動体6の回動により摺動部材22を前後動し加圧力を調整する動作とを別々に実行できるようになる。このため、本実施形態の出没機構は、加圧力を毎回調整することなく、筆記状態と非筆記状態とを容易に切り替えることができる。
尚、回動体6を押圧した際、ボールペンレフィル8の前端部を軸筒4の前端開口部3aから突出させた状態を維持する手段としては、回動体6の前後動に連動するスライド部材5に突起状の掛止部5aを設け、軸筒4の外周部にクリップ9を形成し、前記掛止部5aとクリップ9に形成した被掛止部9cとを掛止させることで維持してもよく、軸筒4の側面に形成した被掛止部に掛止部を掛止させることで維持してもよいが、掛止状態を解除した際にスライド部材5が元の位置に戻るようにコイルスプリングやゴムなどで弾発した構成とすることが好ましい。
また、スライド部材5と回動体6との間に、スライド部材5に対して回動体6を前後動させる第一のカム機構30を設け、回動体6と摺動部材22との間に、回動体6に対して摺動部材22を前後動させる第二のカム機構40を設けることにより、回動体6を回動した際のスライド部材5に対して回動体6が前後動する動作と、回動体6に対して摺動部材22を前後動する動作と、を切り分けることができ、更に、スライド部材5に対して回動体6を前後に動かす動作と、回動体6に対して摺動部材22を前後に動かす動作と、を前後逆の方向に同量だけ作用するよう構成することで、回動体6を回動し、スライド部材5に対して回動体6が前後に動いても摺動部材22はスライド部材5に対して前後方向には相対的に動かないように構成することができる。
本実施形態の加圧式筆記具1では、第一のカム機構30が、スライド部材5の内面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第一のカム斜面5fと、回動体6の外面に、第一のカム斜面5fと摺接するよう形成された第一のカム突起6dと、を備え、第二のカム機構40が、摺動部材22の外面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第二のカム斜面22aと、回動体6の内面に、第二のカム斜面22aと摺接するよう形成された第二のカム突起6fと、を備える。
このような加圧式筆記具1によれば、第一のカム機構30は、スライド部材5の内面に第一のカム斜面5fを形成し、回動体6の外面に第一のカム突起6dを形成して第一のカム突起6dと第一のカム斜面5fとが摺接するように構成することで、スライド部材5に対して回動体6が前後動する。また、第二のカム機構40は、回動体6の内面に第二のカム突起6fを形成し、摺動部材22の外面に第二のカム斜面22aを形成して第二のカム突起6fと第二のカム斜面22aとが摺動するように構成することで、回動体6に対して摺動部材22が前後動する。なお、第一のカム機構30は、スライド部材5の内面にカム突起を設け、カム突起と回動体6の外面に形成したカム斜面とが摺接するよう構成してもよい。また、第二のカム機構40は、回動体6の内面にカム斜面を設け、カム斜面と摺動部材22の外面に形成したカム突起とが摺動するよう構成してもよい。
尚、回動体6の外面に第一のカム突起6dを形成し、スライド部材5の内面に第一のカム突起6dと摺接する第一のカム斜面5fを設け、且つ、回動体6の内面に第二のカム突起6fを形成し、摺動部材22の外面に第二のカム突起6fと摺接する第二のカム斜面22aを設けることが好ましく、この場合、回動体6の外面と内面とにカム突起6d,6fを形成することで、回動体6とスライド部材5及び摺動部材22との摺接位置をコントロールし易くなり、回動体6を基準にスライド部材5が前後動する長さと、摺動部材22が前後動する長さを一致させ易くする効果を奏する。
また、スライド部材5の内面及び摺動部材22の外面にそれぞれ形成する第一のカム斜面5f及び第二のカム斜面22aには、各々複数の段部5g,22bを設けることが好ましく、回動体6を回動させた際の加圧力の調整を段階的に切り替え可能とすることで、使用者が加圧力を調整し易くなる効果を奏する。
本実施形態の加圧式筆記具1では、加圧機構7は、前後に貫通する貫通孔18aを有する筒状体18と、筒状体18の内部に配設され、ボールペンレフィル8の後端部が着脱自在に装着される弾性部材20と、弾性部材20の内壁とインキ収容筒10の後端部との間に形成され該インキ収容筒10の後端開口部内に連通する加圧室(加圧空間)21と、筒状体18の内方且つ弾性部材20の後方に配設された止め具19と、加圧室(加圧空間)21と外部とを連通させる空気孔20cと、を備え、筒状体18はスライド部材5に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、摺動部材22は筒状体18に対して前後動自在且つ回動不能に係止され、筒状体18の後部内段部と摺動部材22の前部内段部との間に弾発部材(加圧用コイルスプリング)23を配設することで摺動部材22に対して筒状体18が前方へ弾発され、ボールペンレフィル8と共に筒状体18が後退することで、弾性部材20と止め具19とが当接して該弾性部材20を変形させ、加圧室(加圧空間)21が圧縮してインキ収容筒10内のインキ組成物11の後端に圧力を掛ける。
このような加圧式筆記具1によれば、前記加圧機構7は、ボールペンレフィル8と共に筒状体18が後退することで、弾性部材20が止め具19に当接して変形し、弾性部材20が変形した分、弾性部材20内の加圧室(加圧空間)21が圧縮されて筆記具用インキ組成物(インキ)11の後端に圧力が掛かるように構成される。この場合、圧縮された加圧室(加圧空間)21を開放した際、弾性部材20の弾発力で元の非圧縮状態に戻すことが可能となるので、スプリングなどの弾発体を別途配置しなくてもよく、スプリングを配置する場合でもスプリングの弾発力を小さくできるため設計の自由度を上げることが可能である。
尚、前記弾性部材20に用いる材料は、ゴム弾性を有する樹脂材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー等が好適に使用できる。
また、回動体6の外面に表示部を設け、前記段部5g,22bと前記回動体6のカム突起6d,6fとが当接した際に、前記回動体6の表示部と軸筒4外面に設けた表示部とが一致した箇所がそのときの加圧力の強さを表すよう構成してもよい。
尚、加圧力の強さを表す方法としては、数字(0、1、2、3・・・・)や文字(強、中、弱、無)、記号等を用いることができ、特に限定されるものではない。
なお、上述した第1実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、第1実施形態と同様に構成され得る部分について、第1実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、第1実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図13は本変形例に係る加圧式筆記具100を示しており、加圧式筆記具100の後軸200には、外面200aに線と数字で形成した表示部200bを形成してある。また、回動体600の外面600aには、凹状、且つ、側面から見て三角形状に形成された表示部600bを形成してある。
本変形例では、回動体600を前方へノックした状態で該回動体600を回動した際に、表示部600bの前端頂部600cを、後軸200の表示部200bの線状部200cに合わせ、線状部200cの前部にある数字部200dを読み取ることで、その際にインキの後端に掛けられる加圧力を視認することができる。
尚、本変形例では、表示部600bの前端頂部600cを数字部200dの「2」に合わせた時に、加圧力が最大の状態(図10A)になるよう調整してあり、「1」に合わせた時に、低い加圧力を掛かる状態(図10B)になるように調整してあり、「0」に合わせた際には、加圧力が掛からない状態(図10C)になるように調整してある。
〔第2実施形態〕
次に、図14~図29Cを参照して、第2実施形態について説明する。
本実施形態の加圧式筆記具101は、図14から図19に示すように、後軸102の前方に前軸103を螺合することで軸筒104を形成してあり、軸筒104内に前後動可能に配設されたスライド部材105と、スライド部材105に回動可能に係止された回動体106と、スライド部材105内に配設された加圧機構130と、加圧機構130に装着され軸筒104内を前後に摺動可能なボールペンレフィル108と、後軸102の側面に回動自在に係止されたクリップ109と、により構成してある。
ボールペンレフィル108は、PP樹脂からなる透明のインキ収容筒110に、筆記具用インキ(20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件におけるインキ粘度755mPa・sの水性ゲルインキ)であるインキ111及び当該インキ111の後端にインキ111の消費に伴い追従するグリース状のインキ追従体112を直接収容し、インキ収容筒110の前端開口部に、ボール(φ0.38mm)を回動自在に抱持したボールペンチップ113の後端部を圧入嵌合してある。
前軸103は、図15に示すように、前端にボールペンレフィル108のボールペンチップ113が突出可能な前端開口部103aが形成されている。
後軸102は筒状に形成してあり、図16に示すように、外側面102aに軸方向に沿って延び、内孔まで貫通する側孔102bが形成してある。また、外側面102aには外方へ向って突出するクリップ係止部102cが形成してあり、クリップ係止部102cはクリップ用係止突起102dとスプリング用係止突起102eにより構成してある。そして、クリップ用係止突起102dには軸方向に対して直交する方向に係止孔102fを形成してある。
また、後軸102の後部内周面には内方へ向って突出し、前後に延びる係止レール部102gを形成してあり、前部内周面には周方向に延び凹状に形成した内方係止部102iを形成してある。
更に、図14に示すように、後軸102の後部外周面には、線状部と数字で形成した加圧力表示部102hを形成してある。尚、加圧力表示部102hは印刷、転写、塗装などを用いて後軸102の外周面に加飾を施すことで形成してもよく、射出成形等で凹状部または凸状部として一体的に形成してもよい。
また、後軸102の内方には、リング状の中駒107を配設してあり、中駒107の外周部に形成した外方係止部107aを、後軸102の内方係止部102iに落とし込み嵌合させることで中駒107を後軸102に着脱不能に装着してある。更に、中駒107の後部内周部には内段部107bを形成してある。
スライド部材105は、図15から図18に示すように、外周部に外方へ向って突出する掛止部105aを形成してあり、掛止部105aを後軸102の側孔102bに挿入すること、且つ、スライド部材105の後部外側面には軸方向に沿って延びる係止溝105bが形成してあり、後軸102の係止レール部102gに係止溝105bを装着することで、後軸102に対してスライド部材105を前後に摺動自在且つ回動不能に係止してある。
また、スライド部材105の側面には、図17に示すように、前端から後方へ向って延びるスリット部105cが形成してあり、スリット部105cは軸心を挟んで対称に2箇所形成してある。そして、スリット部の後部には部分的にスリット幅を狭く形成したスリット係止部105dを形成してある。
更に、スライド部材105の内面には、軸周方向に沿って傾斜して形成され内方へ向って突出する第一のカム斜面105eが形成してあり、第一のカム斜面105eには複数の段部105f(第1段部105f1、第2段部105f2、第3段部105f3)を形成してある。尚、複数の段部105fは、それぞれ後方へ向って凹状に形成された凹部105gを形成してある。
スライド部材105の前方には筒状のスペーサリング114が配設してあり、スペーサリング114の後部には後段部114aを形成してある。また、後段部114aをスライド部材105の内周部105hに挿入することで、スライド部材105にスペーサリング114に装着してある。
更に、図16に示すように、後軸102(軸筒104)の内面に装着した中駒107の内段部107bとスペーサリング114の内段部114bとの間にノック用コイルスプリング115を圧縮状態で張架することで、後軸102(軸筒104)に対してスライド部材105をスペーサリング114を介して後方に弾発してある。
クリップ109は、図14から図16に示すように、後軸102のスプリング用係止突起102eと、クリップ109の内壁部109aとの間にクリップ用コイルスプリング116を配設し、クリップ109の内側壁に形成した係止軸部109bを係止孔102fに係止することで、クリップ109の先端部を、後軸102の外壁面側に常時弾発するよう張架してある。また、クリップ109の後端部を押圧(図15の矢印G方向)することにより、クリップ109と後軸102との係止軸Rを支点とし、クリップ109の先端部を後軸102の外壁面から離間可能な可動式クリップとして構成してある。
尚、クリップ109の前部には、基部109dから軸筒104側に延び、スライド部材105の側面に形成した掛止部105aと掛止する被掛止部109cを形成してある。
加圧機構130は、図15から図17に示すように、ボールペンレフィル108のボールペンレフィル108の後方且つスライド部材105の内方に、当該スライド部材105に対して前後動自在に収納され、円筒状に形成されたシリンダー117と、シリンダー117の後部に配設され、当該シリンダー117に対して前後動自在に装着されたピストン118と、シリンダー117の前部内周部に前後動自在に装着され、且つ、ボールペンレフィル108の後端部に着脱自在に装着された気密弁119と、気密弁119とピストン118との間に張架された加圧用コイルスプリング(弾発部材)120と、シリンダー117とピストン118と気密弁119とで囲まれボールペンレフィル108の後部内孔108aに連通する加圧空間(加圧室)121と、で構成してある。
シリンダー117について詳述すると、図15から図17に示すように、シリンダー117は前後に貫通され複数の段部を備えた貫通孔117aを備えている。また、シリンダー117の外周部には外方へ向って突出する係止突起117bと、貫通孔117aまで貫通し軸周方向へ延びる側孔117cを形成してある。
更に、シリンダー117の後部内孔117dには、図19に示すように平地部117eを形成してある。
尚、図17および図19に示すように、シリンダー117の係止突起117bはスライド部材105の側面に形成したスリット部105cのスリット係止部105dに、当該スリット係止部105dと係止突起117bとの軸方向の隙間分は前後動可能に遊嵌してあり、これにより、シリンダー117はスライド部材105と共に後軸102(軸筒104)に対して回動不能且つ前後動可能に係止される。
ピストン118について詳述すると、図15から図19に示すように、前端部に後方へ向って凹む前端凹部118aを形成してある。また、側面には軸周方向に延びる溝部118bを形成してあり、溝部118bには、気密部材として、JIS-K6235で測定したデュロメーターA硬度50のシリコーンゴムで形成した第一のOリング122を装着してある。そして、第一のOリング122(気密部材)の外端はシリンダー117の内周面と当接するよう構成してあり、第一のOリング122(気密部材)によりシリンダー117とピストン118との間をシールして加圧空間121の密封をすると共に、シリンダー117に対してピストン118の前後への摺動に一定の摺動抵抗が発生するようにしてある。
更に、ピストン118は後部より前部のほうが径大で形成され、外周部に形成される外面段部118cがシリンダー117の内段117hに当接することでピストン118の後方への移動を制限してある。そして、ピストン118の後部外周部には平面部118gを形成してあり、平面部118gをシリンダー117の平地部117eに合わせて装着することで、ピストン118をシリンダー117に対して前後動可能且つ回動不能に装着してある。
また、ピストン118の側面には第二のカム斜面118dが形成してある。そして、第二のカム斜面118dには複数の段部118e(第1段部118e1、第2段部118e2、第3段部118e3)が形成してあり、複数の段部118eにはそれぞれ前方へ向って凹状に形成された凹部118fを形成してある。
気密弁119について詳述すると、図15から図17に示すように、気密弁119には、その内部に、軸方向に沿って延び、ボールペンレフィル108の後部内孔108aと加圧空間121とを繋ぐ内孔119aを形成してある。また、気密弁119の前部119bは後部外周部より小径で形成されており、前部119bにはボールペンレフィル108の後部内孔108aが着脱自在に装着される装着部119cを形成してある。このため、加圧空間121(加圧室)は気密弁119の内孔119aによりボールペンレフィル108の後部内孔108aまで連通される。
また、気密弁119の中間外周部には外方突起119dが形成され、外方突起119dの前方には外方へ向って突出する鍔部119gを形成してある。そして、気密弁119の外方突起119dをシリンダー117の側孔117cに挿着することで、気密弁119をシリンダー117に対して前後動自在、且つ、着脱不能に装着してある。
尚、気密弁119に対するシリンダー117の前後動は、外方突起119dの前端と側孔117cの前端とが当接すること、または、鍔部119gの後端とシリンダー117の前端とが当接することで制限されるよう構成してある。
更に、気密弁119の後部外周面には軸周方向に延びる溝部119eを形成してあり、溝部119eには気密用変形部として、JIS-K6235で測定したデュロメーターA硬度50のシリコーンゴムで形成した第二のOリング123を装着してある。
尚、第二のOリング123(気密用変形部)はシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)と当接可能に構成してあり、第二のOリング123(気密用変形部)とシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)とが当接状態にあるときは加圧空間121が密閉されて気密が取られると共に、第二のOリング123(気密用変形部)とシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)とが非当接状態にあるときは、第二のOリング123(気密用変形部)とシリンダー117の側孔117cの後端部との間の隙間と、側孔117cと、で加圧空間121と加圧式筆記具101の外部とが連通する空気通路124が形成され、加圧空間121が外気と同圧の状態になるよう構成してある。
また、気密弁119の内孔119aには後方内段部119fが形成してあり、後方内段部119fとピストン118の前端凹部118aとの間に加圧用コイルスプリング120を張架することで気密弁119をピストン118に対して前方へ弾発してある。
そして、気密弁119の鍔部119gはスペーサリング114の後端に当接するよう構成してあるため、ピストン118は加圧用コイルスプリング120により気密弁119を介して後方へ弾発される状態にもなる。
次に、回動体106について詳述すると、図15から図16に示すように、回動体106はスライド部材105の内部に該スライド部材105の前端開口部から挿入され、スライド部材105の後方開口部から後方へ一部が突出するように装着してある。
また、図17に示すように、回動体106には、前部外周面116aから後方へ向って延びるように第一のカム突起106bと、後部内周面106cから前方へ向って延びるように形成された第二のカム突起106dと、を形成してある。
尚、回動体106の第一のカム突起106bとスライド部材105の第一のカム斜面105eとがカム嵌合することで第一のカム機構140が構成され、回動体106の第二のカム突起106dとピストン118の第二のカム斜面118dとがカム嵌合することで第二のカム機構150を構成してある。
また、図14に示すように、回動体106の後部外周面には凹状、且つ、側面から見て三角形状に形成された位置合わせ用マーカー106fを形成してある。
本実施形態では、回動体106を前方へノックした状態で該回動体106を回動した際に、位置合わせ用マーカー106fの前端頂部106gを、後軸102の加圧力表示部102hの線状部に合わせ、線状部の前部にある数字を読み取ることで、その際にインキの後端に掛けられる加圧力を視認することができる。
尚、本実施形態では、位置合わせ用マーカー106fを加圧力表示部102hの「3」に合わせた時に、加圧空間(加圧室)121内の加圧が最大の状態(図27A)になるよう調整してあり、「2」に合わせた時に、低い加圧が掛かる状態(図27B)になるように調整してあり、「1」に合わせた際には、加圧が掛からない状態(図27C)になるように調整してある。
更に、回動体106の後端開口部には、熱可塑性エラストマーで形成された尾栓125を圧入装着してあり、尾栓125の側面に、軸方向に沿って延びる突状部を軸周方向に複数均等配置することで、回動体106を尾栓125ごと回転させる際に滑り難くしてある。
尚、スライド部材105と回動体106と尾栓125とピストン118とで、回動体106を回動させることで加圧空間121が加圧される圧力を変更することができる加圧力調整機構160が構成される。
次に、回動体106を前方へ押圧(ノック操作)することで、ボールペンレフィル108の筆記先端であるボールペンチップ113を前軸103の前端開口部103aから出没させる状態を説明する。
図15の状態から尾栓125及び回動体106をノック用コイルスプリング115の弾発力に抗して前方へ押圧(図15の矢印F方向)すると、回動体106の第二のカム突起106dとピストン118の第二のカム斜面118dとがカム嵌合していることから回動体106と共にピストン118が当該回動体106に押されて前進する。そして、回動体106の前端106eがシリンダー117の後端117fに当接すると、シリンダー117が前進し、更に、シリンダー117の前端と気密弁119の鍔部119gが当接すると、シリンダー117と共に気密弁119と気密弁119の装着部119cに装着されているボールペンレフィル108とが前進し、前軸103の前端開口部103aからボールペンレフィル108のボールペンチップ113の前端部が突出する。
この際、シリンダー117の係止突起117bはスライド部材105のスリット係止部105dに前後動自在に遊嵌しているため、スリット係止部105dの前端に前進したシリンダー117の係止突起117bが当接することでスライド部材105が前進を開始し、スライド部材105の掛止部105aが、後軸102の側面に配置したクリップ109の先端部の被掛止部109cに掛止することで、ボールペンレフィル108のボールペンチップ113の前端を、前軸103(軸筒104)の前端開口部103aから突出した状態を維持させる図20の状態となる。
ここで、クリップ109の後端部を押圧(図20の矢印G方向)し、クリップ109の被掛止部109cに掛止したスライド部材105の掛止部105aの掛止状態を解除すると、ノック用コイルスプリング115の弾発力によって、ボールペンレフィル108、加圧機構130、スペーサリング114、スライド部材105及び回動体106が後方に移動して図15の状態に戻る。
次に、本実施形態において、筆記する際の筆記圧で、インキ追従体112を介してボールペンレフィル108内のインキ111の後端に圧力をかける状態を説明する。
図20及び図23のボールペンチップ113の前端が、前軸103の前端開口部103aから突出した状態で、図21のように軸筒104を傾けて保持し、ボールペンチップ113の前端に筆圧を掛け、図21の矢印H方向にボールペンレフィル108が後退すると、スライド部材105は掛止部105aがクリップ109の被掛止部109cに掛止しているため後退できず、回動体106はスライド部材105に対してカム嵌合しているため後退できず、更に、ピストン118は回動体106とカム嵌合している為に後退できないため、加圧用コイルスプリング120の弾発力に抗してボールペンレフィル108と共に気密弁119が後退する。そして、気密弁119に固定している第二のOリング123がシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)に当接すると、加圧空間(加圧室)121と外部とを連通させていた空気通路124が閉じられて加圧空間121内が気密される図24の状態となる。更に、ボールペンレフィル108が後退すると、気密弁119と共にシリンダー117がピストン118に対して後退し、加圧空間121の容積が減ることで当該加圧空間121内が圧縮され、気密弁119の内孔119aを通してボールペンレフィル108内のインキ111の後端にインキ追従体112を介して圧力を加える図22及び図25の状態となる。
ここで、図22及び図25の状態からボールペンチップ113の前端に掛けている筆圧を解除すると、加圧用コイルスプリング120の弾発力で気密弁119が前進する。この際、筆圧によりシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)に第二のOリング123が押し付けられ変形することで、第二のOリング123とシリンダー117とが軽い嵌合状態となっている。このため気密弁119の前進に合わせてシリンダー117が前方へ引っ張られ、シリンダー117も同時に前進しようとする。しかし、第二のOリング123により気密弁119とシリンダー117との間に働く嵌合力より、第一のOリング122によりピストン118とシリンダー117との間に働く嵌合力が大きくなるよう設定しているため、ピストン118に対してシリンダー117は動かず気密弁119のみが先に前進した図26の状態となる。これにより、第二のOリング123とシリンダー117の当接部117g(側孔117cの後端)とが離間すると、空気通路124が形成されて加圧空間121と外部とが連通して大気圧と同圧となる。その後、前進した気密弁119の外方突起119dの前端とシリンダー117の側孔117cの前端とが当接することでシリンダー117も遅れて前進を開始し、図20及び図23の状態に戻る。結果として、筆圧をかけた状態の加圧式筆記具101で筆記をすることによりインキ収容筒110内のインキ111が消費され、その分加圧空間121が減圧されていても、筆圧解除時にシリンダー117が前進する前に気密弁119が前進することで空気通路124が形成され、加圧空間121が大気と同圧になるため、加圧空間121内は、筆圧により圧縮した際と同等の強制的な減圧をされることがなく、大気圧より低くなる負圧状態となることを防ぐことができるものとなった。
尚、一例として、本実施形態のボールペンチップ113の前端に筆圧を掛けた図22及び図25の状態において、第二のOリング123により気密弁119とシリンダー117との間で発生する嵌合力(気密弁119に対してシリンダー117を移動させるのに必要な押圧力)は0.1Nであり、第一のOリング122によりピストン118とシリンダー117との間に発生する嵌合力(ピストン118に対してシリンダー117を移動させるのに必要な押圧力)は0.5Nであることから、筆圧を解除した際、ピストン118に対してシリンダー117は動かず気密弁119のみが先に前進するよう構成される。
次に、図20のノック状態において、回動体106を後軸102に対して回動することで加圧力調整機構160を作動させ、インキ111に掛かる加圧力を調整する動作を説明する。
図20及び図27Aの状態から回動体106の位置合わせ用マーカー106fの前端頂部106g(図14参照)が後軸102の加圧力表示部102hの「3」から「2」の位置に合致するまで回動体106を後端側から視て左方向(反時計回り)に回転させ、図27Bの状態にすると、スライド部材105は後軸102に対して回動不能に係止していることから、図28Aから図28Bのように回動体106の第一のカム突起106bはスライド部材105の第一のカム斜面105eに沿って第1段部105f1から隣の第2段部105f2へ移動する。この際、第一のカム突起106bが一段動いたL1分(図28A参照)、回動体106はスライド部材105に対して前進する。
そして、ピストン118は、シリンダー117及びスライド部材105を介して後軸102(軸筒104)に対して回動不能に係止していることから、回動体106の回転に伴い図29Aから図29Bのように回動体106の第二のカム突起106dはピストン118の第二のカム斜面118dに沿って第1段部118e1から隣の第2段部118e2へ移動する。この際、第二のカム突起106dが一段動いたM1分(図29A参照)、ピストン118は回動体106に対して後退する。このため、ピストン118は第一のカム機構140によりL1分前進し、第二のカム機構150によりM1分後退する。そして、本実施形態では、L1=M1となるように構成しているため、軸筒104に対して回動体106のみL1分前進し、ピストン118は軸筒104に対して相対位置が変化しない。また、ピストン118の位置が変わらないため、加圧用コイルスプリング120で前方へ弾発されている気密弁119の位置も変化せず、気密弁119の装着部119cに装着されているボールペンレフィル108の軸筒104に対する相対位置も変化することはない。このため、シリンダー117の後端117fと回動体106の前端106eとの隙間が回動体106が前進したL1分短くなるため、筆圧が掛かった際にボールペンレフィル108が後退できる長さもL1分減り、加圧空間(加圧室)121の圧縮量が減ることで加圧空間121内に掛かる圧力が下がる。結果として、回動体106を後端側から見て左方向(反時計回り)に一段分回転することでボールペンレフィル108内のインキ111の後端に掛かる圧力を下げることができる。
また、図27Bの状態から回動体106の位置合わせ用マーカー106fの前端頂部106g(図14参照)が後軸102の加圧力表示部102hの「2」から「1」の位置に合致するまで回動体106を左方向(反時計回り)に回転し、第一のカム突起106bをスライド部材105の第一のカム斜面105eに沿って移動させて図27Cの状態にすることで、第一のカム機構140により図28Bから図28Cのように回動体106の第一のカム突起106bは第2段部105f2から隣の第3段部105f3へ移動し、第二のカム機構150により図29Bから図29Cのように回動体106の第二のカム突起106dは第2段部118e2から隣の第3段部118e3に移動する。この際、第一のカム突起106bの移動量L2と第二のカム突起106dの移動量M2を同じにしているため、ピストン118は動かず、回動体106のみシリンダー117に対してM2分更に前進し、回動体106の前端106eがピストン118の外面段部118cと当接する。
この状態では、シリンダー117の後端117fが回動体106の前端106eに当接していることにより後退することができないため、ボールペンレフィル108も後退する長さが減り、加圧空間121を密閉することができなくなる。このため筆記時に筆圧が掛かってもインキ111が加圧機構130により加圧されることはなく、非加圧式の筆記具として使用できると共に、ノックした状態で保管したとしても、誤動作によりボールペンレフィル108内が加圧されることがないため、保管時にボールペンチップ113の先端からのインキ111の流出を防止することができる。
尚、詳述はしないが、本実施形態では、ノック時同様に非ノック時でも回動体106を回動することで、筆記時にインキ111に掛かる圧力の設定を変更することが可能である。
尚、本実施形態では、一例として、回動体106の位置合わせ用マーカー106fを後軸102の加圧力表示部102hの「3」の位置に合わせた状態で筆圧を掛け加圧機構130を作動させた際の加圧空間121内の加圧状態は、大気圧を1000hpaとした場合、1040hpaであり、位置合わせ用マーカー106fを加圧力表示部102hの「2」に合わせた状態では1020hpaであり、位置合わせ用マーカー106fを「1」の位置に合わせた状態では、無加圧のため大気圧と同圧の1000hpaである。
以上により、本実施形態の加圧式筆記具101は、回動体106を回動し加圧力調整機構160を作動させることで、インキ収容筒110内を使用者の好みに合わせて加圧力を調整し、ボールペンチップ113の先端から吐出するインキ量を変更して筆跡の太さや筆跡濃度を向上可能とすると共に、回動体106を回動してインキ111に掛かる加圧力の設定を変えても、ボールペンレフィル108は軸筒に対して前後動することがないため、前軸103の前端開口部103aからボールペンレフィル108の先端部が突出する長さが変化することはなく、筆記具を把持する位置を変えることなく使用を継続可能なものとなった。また、筆圧解除時に加圧空間121(加圧室)内が負圧になりインキ収容筒110内のインキ111の逆流を防ぐことが可能な加圧式筆記具を提供することができた。
本実施形態の加圧式筆記具101は、軸筒104内に、筆記具用インキ組成物(インキ)111を充填したインキ収容筒110と、該インキ収容筒110の前方部にボールペンチップ113と、を具備したボールペンレフィル108を収容してなり、ボールペンレフィル108の後方に、筆圧が掛かることでボールペンレフィル108が後退して、筆記具用インキ組成物111の後端に圧力を加える加圧機構130が配設された加圧式筆記具101であって、加圧機構130が、筒状に形成されたシリンダー117と、外周面に気密用変形部(第二のOリング)123を有しシリンダー117に対して前後動自在に形成された気密弁119と、シリンダー117の後部内孔117dに前後動自在に装着されたピストン118と、ピストン118とシリンダー117との間に配設された気密部材(第一のOリング)122と、シリンダー117と気密弁119とピストン118と気密部材(第一のOリング)122とで囲まれボールペンレフィル108の後部に連通された加圧室(加圧空間)121と、気密弁119とピストン118との間に配設され気密弁119を前方へ弾発する弾発部材(加圧用コイルスプリング)120と、を備え、ボールペンチップ113の前端に筆圧が掛かると、ボールペンレフィル108が後退し、当該ボールペンレフィル108の後退に連動してシリンダー117と気密弁119とが弾発部材(加圧用コイルスプリング)120の弾発力に抗してピストン118に対して後退し、加圧室(加圧空間)121内を密閉した後に圧縮して加圧すると共に、ボールペンレフィル108への筆圧が解除されると、シリンダー117より先に気密弁119がピストン118に対して前進することで加圧室(加圧空間)121と外部とを連通する空気通路124が形成され、加圧室(加圧空間)121の気密状態が解除されて大気圧と同圧になり、その後、シリンダー117が遅れて前進する。
気密部材(第一のOリング)122このような加圧式筆記具101では、ボールペンレフィル108の前端に筆圧が掛かると、シリンダー117と気密弁119とが弾発部材(加圧用コイルスプリング)120の弾発力に抗してピストン118に対して後退し、加圧室(加圧空間)121内を密閉・圧縮して加圧すると共に、ボールペンレフィル108への筆圧が解除されると、シリンダー117より先に気密弁119がピストン118に対して前進することで加圧室(加圧空間)121と外部とを連通する空気通路124が形成されるよう構成している。このため、筆記することでインキ収容筒110内の筆記具用インキを消費し、加圧室(加圧空間)121内の圧力が下がっていたとしても、加圧室(加圧空間)121の気密状態を解除した後に気密弁119とシリンダー117とピストン118との相対位置を筆圧を掛ける前の状態に戻すため、加圧室(加圧空間)121内が大気圧よりも気圧の低い負圧状態となることを防ぎ、ボールペンチップ113先端から空気を巻き込むことによるインキの逆流を防止することができる。
本実施形態の加圧式筆記具101は、ボールペンレフィル108の前端に筆圧が掛かった際、気密弁119の気密用変形部(第二のOリング)123とシリンダー117の当接部とが当接することで加圧室(加圧空間)121内が気密状態となるよう構成すると共に、ボールペンレフィル108への筆圧が解除された際、気密弁119の気密用変形部(第二のOリング)123により当該気密弁119とシリンダー117の当接部との間で発生する嵌合力より気密部材(第一のOリング)122によりピストン118とシリンダー117との間に発生する嵌合力を大きくすることで、シリンダー117より先に気密弁119がピストン118に対して前進するよう構成される。
このような加圧式筆記具101では、筆圧が掛かった際に気密弁119に押されて同時に後退したシリンダー117が、筆圧を解除した際に気密部材(第一のOリング)122によりピストン118との間で発生する嵌合力により気密弁119の前進についていけずに気密弁119の気密用変形部(第二のOリング)123とシリンダー117の前部内端部との当接状態が解けて離間し、気密用変形部(第二のOリング)123と前部内端部との間に外部と連通する空気通路124が形成されることで、筆圧解除時にシリンダー117が前進するより先に加圧室(加圧空間)121内の気密状態を解除することができる。
尚、本実施形態において、筆圧が解除された際、気密用変形部(第二のOリング)123により気密弁119とシリンダー117の前部内端部との間で発生する嵌合力、及び、気密部材(第一のOリング)122によりピストン118とシリンダー117との間に発生する嵌合力とは、気密部材(第一のOリング)122に対してシリンダー117を摺動させるのに必要になる押圧力とピストン118に対してシリンダー117を摺動させるのに必要な押圧力とを指し、各々の嵌合力はプッシュプルゲージを用いることで計測することができる。
更に、本実施形態における気密弁119の気密用変形部(第二のOリング)123は、気密弁119の側面に2色成形などを用いて一体的に形成してもよく、ゴム弾性を有するOリング等の別部品を係止することで形成してもよい。尚、気密用変形部(第二のOリング)123を構成する材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー等のゴム弾性を有する合成樹脂を用いることができ、その硬度は、Oリングがシリンダー117の前部内端部と当接した際に加圧室(加圧空間)121内が気密状態となり易いよう、JIS-K6235で測定したデュロメーターA硬度として、20以上90以下で形成することが好ましい。
また、シリンダー117とピストン118との間に配設される気密部材(第一のOリング)122は、シリンダー117とピストン118との間をシールして気密状態を形成すると共に、シリンダー117とピストン118との間に適度の摩擦力が発生するようシリンダー117またはピストン118のどちらか一方に固定することが好ましく、組立の容易性を考慮するとピストン118の外周部に係止することが好ましい。尚、気密弁119の気密用変形部(第二のOリング)123同様、気密部材(第一のOリング)122はピストン118の外面もしくはシリンダー117の内面に2色成形などにより一体的に形成してもよい。
また、気密部材(第一のOリング)122を構成する材料としてはシリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー等のゴム弾性を有する合成樹脂を用いることができ、その硬度は、JIS-K6235で測定したデュロメーターA硬度として、20以上70以下で形成することが好ましい。
本実施形態の加圧式筆記具101は、インキ収容筒110に収容された筆記具用インキの後端に接する密閉された加圧室(加圧空間)121の空気が大気圧より高い気圧となるよう加圧することで筆記具用インキを吐出し易くすることが可能となり、その加圧する程度は筆記具用インキの粘度などの特性やボールペンチップ113の構造により適宜設定すればよい。
尚、大気圧を1000hPaとした場合、例えば粘度が低い筆記具用インキ(一例として20℃の環境下における粘度が1mPa・s~2000mPa・sの筆記具用インキ)では、加圧室(加圧空間)121内の密閉された空気の気圧を1005hPaを越え1500hPaの範囲となる加圧状態にすることで筆記具用インキを吐出し易くすることができる。
尚、加圧式筆記具1,100,101は、油性インキ、水性インキなど、インキの種類に限定されることなく実施可能である。特に、水性インキや剪断減粘性の水性インキを用いた場合には、加圧によるインキ吐出量の増減が大きく、筆跡の太さや幅や筆跡の濃淡など加圧力の変化による差が大きいので好適に用いることができる。更に、インキとしてマイクロカプセル顔料を用いた熱変色性インキを用いた場合、一般的に筆跡が薄くなり易いためインキ吐出量を高くすることが望まれるが、インキ吐出量が高くなると筆記距離への影響も大きいため、加圧力を用途に合わせて可変できる本発明は好適に使用できる。
次に、図30~図35を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、第2実施形態と同様に構成され得る部分について、第2実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、第2実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図30は、本変形例に係る加圧式筆記具201を示す部分縦断面図であり、回動体106を前方へノックした状態において加圧式筆記具201を示している。図31は、図30におけるXXXI-XXXI線に対応する加圧式筆記具201の断面を示す図であり、図32は、加圧式筆記具201の加圧機構及び加圧力調整機構を構成する各部品を示す分解図であり、図33は、加圧式筆記具201の回動体106を拡大して示す縦断面図である。
本変形例の加圧式筆記具201では、ボールペンレフィル108に充填される筆記具用インキ組成物111として熱変色性インキが用いられる例について説明する。本変形例の筆記具用インキ組成物(インキ)111は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色性インキである。したがって、形成される筆跡は熱変色性を有しており、加熱または冷却によって変色または消色する。なお、これに限られず、筆記具用インキ組成物(インキ)111として熱変色性インキ以外の他のインキ組成物を用いることも可能である。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、0.1μm~5.0μmであることが好ましく、0.1μm~4.0μmであることがより好ましく、0.5μm~3.0μmであることがさらに好ましい。マイクロカプセル顔料の平均粒子径を上記数値範囲とすることにより、高濃度の発色性を維持しつつ、本発明の筆記具の筆記感をより滑らかなものとすることができる。なお、粒子径、粒度分布の測定は、例えばコールター法(電気的検知帯法)により測定することができる。具体的には精密分布測定装置(ベックマンコールター製Multisizer4e)を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。或いは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔株式会社堀場製作所製;LA-300〕を用いて測定し、標準試料を用いて校正した数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出することができる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量は、インキ組成物全量に対し、5~40質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、15~35質量%であることがさらに好ましい。可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有量を上記数値範囲とすることにより、インキ流出性を維持しつつ、発色性能を向上させることができる。
可逆熱変色性インキの変色温度は、その目的などに応じて適切に設定される。たとえば、加熱により消色する可逆熱変色性インキを用いる場合、加熱によって消色する温度は、25℃~95℃に設定することが好ましく、36℃~90℃に設定することがより好ましい。より具体的には、高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃~95℃、好ましくは、36℃~90℃、の範囲に設定し、低温側変色点〔完全発色温度(t1)〕を、-30℃~+20℃、好ましくは、-30℃~+10℃、の範囲に設定することができる。このような構成とすることにより、常態(日常の生活温度域)で色彩を有効に保持することができるとともに、筆跡を加熱、具体的には後述する摩擦体125等による摩擦熱による加熱、で容易に消色させることができる。
本変形例では、回動体106の後端に摩擦体が設けられている。とりわけ図30に示された例では、尾栓125が摩擦体として構成されている。これにともなって、本変形例においては尾栓125を摩擦体125とも呼ぶ。摩擦体125は、回動体106に対して回動不能且つ前後動不能に固定されている。摩擦体125は、例えば熱変色性を有する筆記具用インキ組成物111による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱によりこの筆跡を変色(消色)させるために用いられる。なお、これに限られず、摩擦体125は、砂消しゴム等の摩擦体であってもよい。摩擦体125は、例えば弾性材料からなり、回動体106の後端に圧入、係合、螺合、嵌合、接着、2色成形によって固定することができる。
本変形例の加圧式筆記具201は、回動体106とピストン118との間に配置されたストッパー部材170を有している。ストッパー部材170は、軸筒104の後端を上方に向けた状態(図30)では回動体106の回動を許容し、軸筒104の後端を下方に向けた状態(図34)では回動体106の回動を妨げる機能を有する部材である。ここで、下方とは重力が作用する方向を意味し、上方とは下方と反対の方向、すなわち重力が作用する方向と反対の方向を意味する。また、軸筒104の後端を上方に向けた状態とは、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも上方側に位置する状態を指し、軸筒104の後端を下方に向けた状態とは、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも下方側に位置する状態を指す。さらに、軸筒104の後端を上方に向けた状態で回動体106の回動を許容するとは、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも上方側に位置する姿勢にある全ての状態において回動体106の回動を許容するもののみならず、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも上方側に位置する姿勢にある状態のうちの一部の状態において回動体106の回動を許容するものをも含む。同様に、軸筒104の後端を下方に向けた状態で回動体106の回動を妨げるとは、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも下方側に位置する姿勢にある全ての状態において回動体106の回動を妨げるもののみならず、軸筒104の後端が軸筒104の前端よりも下方側に位置する姿勢にある状態のうちの一部の状態において回動体106の回動を妨げるものをも含む。
図30及び図32に示された例では、ストッパー部材170は、本体部170aと、本体部170aに対して前方に位置する被案内部170bと、本体部170aの外周面に設けられた突出部170cと、を備えている。本体部170aは略円筒状の形状を有している。被案内部170bは本体部170aの前側部分から前方へ直線状に延び出している。図31に示されているように、被案内部170bの延在方向に直交する断面において、被案内部170bは略矩形形状、とりわけ略正方形形状、の輪郭を有している。また、被案内部170bの延在方向に沿って、被案内部170bの断面は一定形状の輪郭を有している。すなわち、被案内部170bにおける被案内部170bの延在方向に直交する任意の2つの断面は、互いに同一形状の輪郭を有している。
突出部170cは、本体部170aにおける円筒状をなす外周面から径方向に突出して形成されている。図示された例では、突出部170cは、前後方向に沿って直線状に延びている。したがって、被案内部170bの延びる方向と突出部170cの延びる方向とは、互いに平行をなしている。各突出部170cは、周方向に互いに等角度間隔を有して配置されている。図35に示された例では、ストッパー部材170は、2つの突出部170cを有しており、各突出部170cは、互いに180度の角度間隔を有して配置されている。これに限られず、ストッパー部材170は、1つの突出部170cを有してもよいし、3つ以上の突出部170cを有してもよい。
ストッパー部材170は、本体部170aと被案内部170bとを前後方向に沿って貫通する貫通孔170dを有している。貫通孔170dは、本体部170aの後方端面及び被案内部170bの前方端面のそれぞれに開口している。なお、貫通孔170dは必須の構成要素ではなく、ストッパー部材170は貫通孔170dを有していなくてもよい。すなわち、ストッパー部材170は中実の部材として構成されていてもよい。
ピストン118は、図30~図32に示されているように、ストッパー部材170の被案内部170bを前後動可能に案内する案内部118hを有している。案内部118hは、ピストン118内を前後方向に延び、ピストン118の後方端面に開口する穴として形成されている。案内部118hの延在方向に直交する断面において、案内部118hは、ストッパー部材170の被案内部170bと相補形状をなす輪郭を有している。すなわち、案内部118hの延在方向に直交する断面において、案内部118hは、略矩形形状、とりわけ略正方形形状、の輪郭を有している。これにより、ストッパー部材170は、ピストン118に対して前後動可能且つ回動不能に保持される。また、案内部118hの延在方向に沿って、案内部118hの断面は一定形状の輪郭を有している。すなわち、案内部118hにおける案内部118hの延在方向に直交する任意の2つの断面は、互いに同一形状の輪郭を有している。
図33に示されているように、回動体106の内周面には、ストッパー部材170の突出部170cの移動を規制する規制部106hが設けられている。規制部106hの数は、ストッパー部材170の突出部170cの数と同一である。すなわち、本変形例では、回動体106の周方向に沿って2つの規制部106hが、互いに180度の角度間隔を有して設けられている。図示された規制部106hは、第1溝部106iと、第1溝部106iの後方に位置し第1溝部106iに連通する複数の第2溝部106jと、を有している。第1溝部106iは、前後方向に沿って直線状に延び、回動体106の周方向に沿って一定の幅を有している。第2溝部106jは、第一のカム斜面105eの段部105f及び第二のカム斜面118dの段部118eの数に対応して設けられている。すなわち、本変形例では、1つの第1溝部106iに対して、3つの第2溝部106jが設けられている。各第2溝部106jは、前後方向に沿って直線状に延び、回動体106の周方向に沿って並べられている。各第2溝部106jは、少なくとも前方側(第1溝部106iに近接する側)の所定の範囲において回動体106の周方向に沿って一定の幅を有している。当該所定の範囲における周方向に沿った第2溝部106jの幅は、当該第2溝部106j内でストッパー部材170の突出部170cがスムーズに前後動できる程度の大きさに設定される。その一方、摩擦体125を用いて筆跡を摩擦する際の摩擦体125の回動を適切に抑制する観点からは、第2溝部106jと突出部170cとの間に生じ得る周方向の遊び寸法は、できるだけ小さいことが好ましい。
次に、図34及び図35を参照して、本変形例の加圧式筆記具201を用いて筆跡を消色する方法について説明する。図34は、筆跡を消色するために、加圧式筆記具201の後端を下方に向けた状態を示す図であり、図35は、加圧式筆記具201を、図34のXXXV-XXXV線に対応する断面において示す図である。
図30に示されているように軸筒104の後端を上方に向けた状態では、重力の作用によりストッパー部材170は前方側に位置している。このとき、ストッパー部材170の本体部170aの前方端部又は被案内部170bの前方端部がピストン118に当接し、被案内部170bの少なくとも前方側の部分が、ピストン118の案内部118h内に位置する。また、ストッパー部材170の突出部170cは、回動体106の規制部106hの第1溝部106i内に位置する。したがって、突出部170cは、第1溝部106iの幅の範囲内で周方向に沿って移動可能である。すなわち、回動体106は、第1溝部106iの幅の範囲内でストッパー部材170及びピストン118に対して回動可能である。これにより、ストッパー部材170は、軸筒104の後端を上方に向けた状態では回動体106の回動を許容する。したがって、軸筒104の後端を上方に向けた状態では、図27A~図27Cを参照して上述したように、回動体106を回動させることで加圧力調整機構160を作動させ、筆記具用インキ組成物(インキ)111に掛かる加圧力を調整することが可能になる。
摩擦体125を用いて筆記具用インキ組成物(インキ)111による筆跡を摩擦し、この筆跡を変色(消色)させる際には、使用者は、図34に示されているように摩擦体125を下方に向ける。すなわち、軸筒104の後端を下方に向ける。これにより、ストッパー部材170は、重力の作用により後方へ向けて移動する。このとき、ストッパー部材170の突出部170cは、回動体106の規制部106hの複数の第2溝部106jのうちの1つに進入する(図35参照)。具体的には、加圧力表示部102hに対する位置合わせ用マーカー106fの指示位置(図14参照)に対応する第2溝部106j内に、突出部170cが進入する。換言すると、第一のカム斜面105eの段部105f1~105f3(図28A~図28C参照)に対する第一のカム突起106bの嵌合位置に対応する第2溝部106j内に、突出部170cが進入する。さらに換言すると、第二のカム斜面118dの段部118e1~118e3(図28A~図28C参照)に対する第二のカム突起106dの嵌合位置に対応する第2溝部106j内に、突出部170cが進入する。第2溝部106jの周方向に沿った幅は、第1溝部106iの周方向に沿った幅よりも小さくなっており、これにより、軸筒104の後端を下方に向けた状態では、回動体106の回動が妨げられる。したがって、軸筒104の後端が下方に向き、ストッパー部材170の突出部170cが規制部106hの複数の第2溝部106jのうちの1つに進入している場合には、回動体106を回動させることによる、筆記具用インキ組成物(インキ)111に掛かる加圧力の調整が不可能になる。すなわち、この場合、摩擦体125で筆跡を摩擦する際に、摩擦体125と共に回動体106が回動し、筆記具用インキ組成物(インキ)111に掛かる加圧力が使用者の意図に関係なく変更されてしまうことを防止することができる。
本変形例の加圧式筆記具201では、筆記具用インキ組成物(インキ)111は、熱変色性インキであり、回動体106の後端に設けられ、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を変色させることが可能な摩擦体125と、軸筒104の後端を上方に向けた状態では回動体106の回動を許容し、軸筒104の後端を下方に向けた状態では回動体106の回動を妨げる、ストッパー部材170と、をさらに備える。
このような加圧式筆記具201によれば、軸筒104の後端を上方に向けた状態では、回動体106を回動させることにより加圧力調整機構160を作動させ、筆記具用インキ組成物(インキ)111に掛かる加圧力を調整することが可能になる。その一方、軸筒104の後端を下方に向けて摩擦体125で筆跡を消色する際には、摩擦体125による筆跡の摩擦にともなって回動体106が回動することが妨げられ、筆記具用インキ組成物(インキ)111に掛かる加圧力が意図せず変更されてしまうことを防止することができる。

Claims (11)

  1. 筆記具用インキ組成物が充填されたレフィルを内部に収容可能な軸筒と、
    前記レフィルの後退にともなって前記筆記具用インキ組成物に圧力を加える加圧機構と、
    前記圧力を調整する加圧力調整機構と、
    前記軸筒の後端から突出するように設けられた回動体と、を備え、
    前記加圧力調整機構は、前記回動体を回動させることにより、前記圧力を調整する、加圧式筆記具。
  2. 軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
    前記ボールペンレフィルの後方に、筆圧が掛かることで前記ボールペンレフィルが後退して、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧機構が配設された加圧式筆記具であって、
    前記加圧機構の後方に、前記軸筒の後端から突出する回動体と、該回動体を回動することで作動し前記ボールペンレフィルの後退量を調整する加圧力調整機構と、を備え、
    前記加圧機構は前記軸筒に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、
    前記回動体は前記軸筒に対して回動自在に係止され、
    前記回動体を回動することで前記加圧力調整機構が作動し、前記インキ収容筒内の筆記具用インキ組成物の後端に掛ける圧力を調整すると共に、前記回動体を回動する前後で、軸方向における前記軸筒に対する前記ボールペンレフィルの相対位置が変化しないように構成した、加圧式筆記具。
  3. 前記軸筒の内部に、該軸筒に対し回動不能且つ前後動自在に係止されたスライド部材が配設され、
    前記スライド部材が、該スライド部材の内方に配設された前記加圧機構と、該スライド部材の後端開口部から一部が後方へ突出するよう配設された前記回動体と、を具備し、
    前記回動体を前方へ押圧することで、前記ボールペンレフィルの前端部が前記軸筒の前端開口部より突出するよう構成した、請求項に記載の加圧式筆記具。
  4. 前記加圧力調整機構が、前記スライド部材と、該スライド部材の前端開口部から挿入され当該スライド部材に対して回動自在且つ前後動自在に係止された前記回動体と、該回動体の内部に配設され当該回動体に対して回動自在且つ前後動自在に係止された摺動部材と、を備え、
    前記スライド部材と前記回動体との間に、該スライド部材に対して該回動体を前後動させる第一のカム機構と、前記回動体と前記摺動部材との間に、前記回動体に対して前記摺動部材を前後動させる第二のカム機構と、を備えた、請求項に記載の加圧式筆記具。
  5. 前記第一のカム機構が、前記スライド部材の内面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第一のカム斜面と、前記回動体の外面に、前記第一のカム斜面と摺接するよう形成された第一のカム突起と、を備え、
    前記第二のカム機構が、前記摺動部材の外面に、軸方向に対して傾斜し軸周方向へ延びる第二のカム斜面と、前記回動体の内面に、前記第二のカム斜面と摺接するよう形成された第二のカム突起と、を備えた、請求項に記載の加圧式筆記具。
  6. 前記加圧機構は、前後に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の内部に配設され、前記ボールペンレフィルの後端部が着脱自在に装着される弾性部材と、前記弾性部材の内壁と前記インキ収容筒の後端部との間に形成され該インキ収容筒の後端開口部内に連通する加圧室と、前記筒状体の内方且つ前記弾性部材の後方に配設された止め具と、前記加圧室と外部とを連通させる空気孔と、を備え、
    前記筒状体はスライド部材に対して回動不能且つ前後動自在に係止され、前記摺動部材は前記筒状体に対して前後動自在且つ回動不能に係止され、
    前記筒状体の後部内段部と前記摺動部材の前部内段部との間に弾発部材を配設することで前記摺動部材に対して前記筒状体が前方へ弾発され、
    前記ボールペンレフィルと共に前記筒状体が後退することで、前記弾性部材と前記止め具とが当接して該弾性部材を変形させ、前記加圧室が圧縮して前記インキ収容筒内の前記インキ組成物の後端に圧力を掛ける、請求項またはに記載の加圧式筆記具。
  7. 軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方部にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
    前記ボールペンレフィルの後方に、筆圧が掛かることで前記ボールペンレフィルが後退して、前記筆記具用インキ組成物の後端に圧力を加える加圧機構が配設された加圧式筆記具であって、
    前記加圧機構が、筒状に形成されたシリンダーと、外周面に気密用変形部を有し前記シリンダーに対して前後動自在に形成された気密弁と、前記シリンダーの後部内孔に前後動自在に装着されたピストンと、前記ピストンと前記シリンダーとの間に配設された気密部材と、前記シリンダーと前記気密弁と前記ピストンと前記気密部材とで囲まれ前記ボールペンレフィルの後部に連通された加圧室と、前記気密弁と前記ピストンとの間に配設され前記気密弁を前方へ弾発する弾発部材と、を備え、
    前記ボールペンチップの前端に筆圧が掛かると、前記ボールペンレフィルが後退し、当該ボールペンレフィルの後退に連動して前記シリンダーと前記気密弁とが前記弾発部材の弾発力に抗して前記ピストンに対して後退し、前記加圧室内を密閉した後に圧縮して加圧すると共に、前記ボールペンレフィルへの筆圧が解除されると、前記シリンダーより先に前記気密弁が前記ピストンに対して前進することで前記加圧室と外部とを連通する空気通路が形成され、前記加圧室の気密状態が解除されて大気圧と同圧になり、その後、前記シリンダーが遅れて前進する、加圧式筆記具。
  8. 前記ボールペンレフィルの前端に筆圧が掛かった際、前記気密弁の気密用変形部と前記シリンダーの当接部とが当接することで前記加圧室内が気密状態となるよう構成すると共に、前記ボールペンレフィルへの筆圧が解除された際、前記気密弁の気密用変形部により当該気密弁と前記シリンダーの当接部との間で発生する嵌合力より前記気密部材により前記ピストンと前記シリンダーとの間に発生する嵌合力を大きくすることで、前記シリンダーより先に前記気密弁が前記ピストンに対して前進するよう構成した、請求項に記載の加圧式筆記具。
  9. 前記圧力を調整する加圧力調整機構をさらに備える、請求項またはに記載の加圧式筆記具。
  10. 前記軸筒の後端から突出するように設けられた回動体をさらに備え、
    前記加圧力調整機構は、前記回動体を回動させることにより、前記圧力を調整する、請求項に記載の加圧式筆記具。
  11. 前記筆記具用インキ組成物は、熱変色性インキであり、
    前記回動体の後端に設けられ、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱により該筆跡を変色させることが可能な摩擦体と、
    前記軸筒の後端を上方に向けた状態では前記回動体の回動を許容し、前記軸筒の後端を下方に向けた状態では前記回動体の回動を妨げる、ストッパー部材と、をさらに備える、請求項及び10のいずれかに記載の加圧式筆記具。
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