JP7007939B2 - 繰出式加圧筆記具 - Google Patents
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Description
この特許文献2に記載されている筆圧加圧式のボールペンは、筆記時にボールペンチップ(筆記先端部)が筆圧によって後退することで加圧機構部が作動してインキ収容管内のインキの後端に圧力を掛ける構造のため、筆記毎に加圧しつつ筆記することとなり、筆記時のインキ収容管内の圧力が一定の状態となることで、安定した筆跡を得ることができる。
「1.軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記インキ収容筒の後方には、前記ボールペンレフィルの前端部を前記軸筒の前端開口部から出没させる繰出機構と、当該インキ収容筒の後部に連結し、外部と連通する空気口を備えた加圧機構と、を具備し、
前記加圧機構が、前記ボールペンレフィルの前方への繰り出し動作に連動して前記空気口の外部との連通を遮断し、前記インキ収容筒の後方空間部を圧縮して加圧すると共に、前記ボールペンレフィルの前記軸筒内への没入動作に連動して前記空気口を外部と連通させ、前記インキ収容筒の後方空間部の密閉状態を解除して外気圧と同圧とするよう構成した繰出式加圧筆記具であって、
前記軸筒の内側面と前記ボールペンレフィルの外側面との間に、当該軸筒に対して前後動自在に形成した重量体が配設され、
前記ボールペンレフィルの外側面に、該ボールペンレフィルと一体または別体で形成され、外方へ向って突出する当接体が配設され、
前記軸筒と前記ボールペンレフィルとの間に第一の弾発部材が配設されると共に、前記第一の弾発部材により前記ボールペンレフィルと前記当接体とが後方へ弾発され、
前記ボールペンレフィルの前端部が前記軸筒の前端開口部から突出した状態で、前記軸筒を軸方向に沿って前後に振り、前記重量体の前進に伴い当該重量体に当接した前記当接体が前記軸筒に対して前進して前記第一の弾発部材を収縮させることで、前記加圧機構の空気口が外部と連通して前記インキ収容筒の後方空間部の密閉状態を解除して外気圧と同圧とすると共に、収縮した前記第一の弾発部材が伸びることで、前記加圧機構の空気口が遮断され前記インキ収容筒の後方空間部を再度圧縮して加圧する加圧リセット機構を設けたことを特徴とする繰出式加圧筆記具。」である。
また、重量体の形状も、軸筒を振ることで前後動可能、且つ、重量体が前進した際に当接体と当接可能に構成されていれば、特に限定されることはない。更に、重量体は、一部品で形成されていてもよく、複数の部品を係着、接着、圧入などにより固着することで一体化させて構成してもよい。
また、本発明の繰出式加圧筆記具は、ボールペンレフィルが軸筒内に没入している状態で軸筒を前後に振り、重量体の前後動により第一の弾発部材を収縮させることで、ボールペンレフィルが前進して軸筒の前端開口部から突出するよう振出式の繰出機構を設け、更に、ボールペンレフィルが軸筒から突出した状態で再度軸筒を振ることで、加圧リセット機構が作動するよう構成してもよく、この場合、ボールペンレフィルの繰出しと、インキ収容筒の後方空間部の密閉状態の解除、再加圧するという2つの動作を軸筒を振ることで容易に実施することができ、利便性が向上する効果を奏する。
また、本実施例では、軸筒の長手方向において、ボールペンチップがある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。更に、軸筒の軸径方向において、ボールペンレフィルがある方を内方と表現し、その反対側を外方と表現する。
尚、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
本実施例の繰出式加圧筆記具1は、図1及び図2に示すように、後軸2の前方に前軸3を螺合することで軸筒4を形成してあり、軸筒4内に前後動可能に配設されたノック体5と、ノック体5内に配設された加圧機構6と、加圧機構6の前部に装着され軸筒4内を前後に摺動可能なボールペンレフィル7と、後軸3の側面に回動自在に係止されたクリップ8と、軸筒4内に前後動自在に配設された重量体9と、により構成してある。また、繰出式加圧筆記具1は、ボールペンレフィル7が軸筒4に対して前後動することで、当該ボールペンレフィル7の前端部を前軸3の前端開口部3aから出没させる繰出機構10を備えている。
尚、重量体9は、軸筒4を振った際の運動エネルギーが大きくなるよう、比重の高い材料で形成することが好ましく、本実施例では、ステンレス(SUS304)を用いて形成してある。
尚、掛止突起5aは後軸2の側孔2bに挿入してあり、これによりノック体5は、後軸2に対して、前後動自在且つ回動不能に係止される。
尚、クリップ8の前部には、基部8cから軸筒4側に延び、ノック体5の側面に形成した掛止突起5aと掛止する被掛止部8dを形成してある。
尚、加圧機構6は、ノック体5のストッパー5bにより前方への移動を制限してある。
また、シリンダー17の内孔17bには、シリンダー17の内側部17dとピストン18の前端とOリング19とにより囲まれた加圧空間部21が形成され、加圧空間部21は空気口17cによりシリンダー17の外部と連通させてある。
尚、装着部17gは、シリンダー17にボールペンレフィル7を装着した際、シリンダー17とボールペンレフィル7との間の気密が確保され、且つ、手で容易に着脱可能になるよう外方への突出量(外径)を調整してある。
尚、シリンダー17が後退した際、シリンダー17の後端にノック体5の内段部5cが当接することで、シリンダー17の後退を制限してある。
図1の非ノック時(非筆記時)においては、第1コイルスプリング15の弾発力が第2コイルスプリング20の弾発力より小さくなり、ノック体5を前方へ押圧した図3の状態(筆記状態)では、第1コイルスプリング15の弾発力が第2コイルスプリング20の弾発力より大きくなるよう各コイルスプリングの弾発力を調整してある。
尚、具体的には、本実施例におけて、非ノック時(非筆記状態)の第1コイルスプリング15の弾発力は1.0Nであり、第2コイルスプリング20の弾発力は1.5Nとなるよう構成した。また、ノック時(筆記状態)の第1コイルスプリング15の弾発力は2.4Nであり、第2コイルスプリング20の弾発力は1.7Nとなるよう構成した。
図1の状態からノック体5を前方へ押圧(図1の矢印F方向)すると、ノック体5に押されたピストン18が前進する。この際、非ノック時における第2コイルスプリング20の弾発力は、第1コイルスプリング15の弾発力より大きく設定してあることから、第2コイルスプリング20は圧縮されることなく加圧空間部21は非加圧状態のままシリンダー17とボールペンレフィル7と摺動リング22とが共に前方に押圧されて前進する。そして、摺動リング22に押されて、第1コイルスプリング15が圧縮し、当該第1コイルスプリング15の弾発力が第2コイルスプリング20の弾発力より大きくなることでシリンダー17の前進が止まる。更にノック体5が前進し、ノック体5の内段部5cがシリンダー17の後端に当接すると、シリンダー17がボールペンレフィル7と共に再びノック体5に押されて前進し、前軸3の前端開口部3aからボールペンチップ14の前端部14aを突出させる。そこで、ノック体5の掛止突起5aが、後軸2の側面に配置したクリップ8の先端部の被掛止部8dに掛止することで、ボールペンチップ13の前端を、前軸3(軸筒4)の前端開口部3aから突出した状態を維持させる図3の状態となる。
図3の筆記状態から、前軸3(軸筒4)を把持したまま軸筒4を軸方向に沿って前後に振ると、慣性力により重量体9が軸筒4及びボールペンレフィル7に対して前後に摺動する。そして、重量体9の前端面9aが摺動リング22(当接体)の後端面22aに当接すると、当接した際の衝撃で、摺動リング22が第1コイルスプリング15(第一の弾性部材)の弾発力に抗して前進する。更に、摺動リング22が前進した分、第2コイルスプリング20の弾発力でピストン18及びOリング19に対してシリンダー17が前方へ移動する。そして、Oリング19がシリンダー17の空気口17cに達すると、加圧空間部21と外部とが連通し、加圧空間部21の圧縮状態が解除されて、外気圧まで圧力が下がる図4の状態となる。尚、この際、ボールペンレフィル7、シリンダー17、ノック体5の3部品は摺動リング22の移動に合わせて自重により前方側へ移動した状態となる。
ここで、重量体9に押された摺動リング22の前進が止まると(図4の状態)、第1コイルスプリング15の弾発力により摺動リング22、重量体9、ボールペンレフィル7、シリンダー17、ピストン18、Oリング19、ノック体5が後方へ移動する。そして、ノック体5の掛止突起5aがクリップ8の被掛止部8dに当接することでノック体5の後退が止まり、次にノック体5の内段部5cにピストン18の後端が当接することでピストン18とOリング19の後退が止まる。この際、ノック時(筆記状態)においては第2コイルスプリング20の弾発力より第1コイルスプリング15の弾発力を強くなるよう設定しているため、シリンダー17とボールペンレフィル7は後退を続け、シリンダー17の空気口17cがOリング19より後方へ移動し、加圧空間部21が密閉状態となり、更にシリンダー17が後方へ移動することで、加圧空間部21が再び圧縮された図3の状態に戻る。
また、図3の状態で筆記を続けると、ボールペンレフィル7内のインキ12を消費するため、ボールペンレフィル7の後部内孔7c(後方空間部)の容積がインキ12の消費分増加してしまい、結果として、後部内孔7c(後方空間部)と連通している加圧空間部21が減圧され、使うごとに効果が減少してしまうが、軸筒4を前後に振り、加圧リセット機構を作動させることで加圧空間部21の密閉状態を解除、再加圧することができ、加圧空間部21内の圧縮状態を回復することができる。
また、繰出式加圧筆記具1は、軸筒4を振り、重量体9を前後動させることで加圧リセット機構を作動させる操作を何度繰り返しても、加圧空間部21の加圧量が増え続けることはなく、過度に加圧量が増えることでボールペンチップ14の前端部14a(筆記先端部)からインキ12が漏れることはない。
更に、重量体を比重の異なる複数の部品により構成、または、前後方向で形状や厚み等を変えることで筆記時の重心位置を調整してもよい。
2…後軸、2a…外側面、2b…側孔、2c…クリップ係止部、
2d…クリップ用係止突起、2e…スプリング用係止突起、2f…係止孔
3…前軸、3a…前端開口部、3b…外側面、3c…内孔、3d…側孔、
3e…内段部、
4…軸筒、
5…ノック体、5a…掛止突起、5b…ストッパー、5c…内段部、
6…加圧機構、
7…ボールペンレフィル、7a…外段部、7b…後端内周部、
7c…後部内孔(後方空間部)、7d…前部外側面、
8…クリップ、8a…内突起、8b…係止軸部、8c…基部、8d…被掛止部、
9…重量体、
10…芯繰出機構、
11…インキ収容筒、
12…インキ(筆記具用インキ組成物)、
13…インキ追従体、
14…ボールペンチップ、14a…前端部、
15…第1コイルスプリング(第一の弾発部材)、
16…クリップ用スプリング、
17…シリンダー、17a…後端開口部、17b…内孔、17c…空気口、
17d…内側部、17e…前部、17f…中央部、17g…装着部、
17h…窓部、17i…内方段部、17j…窓部後端、
18…ピストン、18a…外周部、18b…凸部、18c…凹状部、
18d…後部内孔、18e…前段部、
19…Oリング、
20…第2コイルスプリング(第二の弾発部材)、
21…加圧空間部、
22…摺動リング(当接体)、22a…後端面、22b…前端面、
R…係止軸。
Claims (1)
- 軸筒内に、筆記具用インキ組成物を充填したインキ収容筒と、該インキ収容筒の前方にボールペンチップと、を具備したボールペンレフィルを収容してなり、
前記インキ収容筒の後方には、前記ボールペンレフィルの前端部を前記軸筒の前端開口部から出没させる繰出機構と、当該インキ収容筒の後部に連結し、外部と連通する空気口を備えた加圧機構と、を具備し、
前記加圧機構が、前記ボールペンレフィルの前方への繰り出し動作に連動して前記空気口の外部との連通を遮断し、前記インキ収容筒の後方空間部を圧縮して加圧すると共に、前記ボールペンレフィルの前記軸筒内への没入動作に連動して前記空気口を外部と連通させ、前記インキ収容筒の後方空間部の密閉状態を解除して外気圧と同圧とするよう構成した繰出式加圧筆記具であって、
前記軸筒の内側面と前記ボールペンレフィルの外側面との間に、当該軸筒に対して前後動自在に形成した重量体が配設され、
前記ボールペンレフィルの外側面に、該ボールペンレフィルと一体または別体で形成され、外方へ向って突出する当接体が配設され、
前記軸筒と前記ボールペンレフィルとの間に第一の弾発部材が配設されると共に、前記第一の弾発部材により前記ボールペンレフィルと前記当接体とが後方へ弾発され、
前記ボールペンレフィルの前端部が前記軸筒の前端開口部から突出した状態で、前記軸筒を軸方向に沿って前後に振り、前記重量体の前進に伴い当該重量体に当接した前記当接体が前記軸筒に対して前進して前記第一の弾発部材を収縮させることで、前記加圧機構の空気口が外部と連通して前記インキ収容筒の後方空間部の密閉状態を解除して外気圧と同圧とすると共に、収縮した前記第一の弾発部材が伸びることで、前記加圧機構の空気口が遮断され前記インキ収容筒の後方空間部を再度圧縮して加圧する加圧リセット機構を設けたことを特徴とする繰出式加圧筆記具。
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