JP5558908B2 - 加圧式筆記具 - Google Patents
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Description
この従来技術によれば、筆記部の突出状態においては、リフィール内が加圧されているため、筆記部からのインクの吐出量を比較的多く維持することができ、特に上向き筆記性能が向上する等のメリットがある。
しかしながら、上記従来技術では、軸筒前端から筆記部を突出させた後、直ぐに筆記具を使用しない場合であっても、筆記部の突出状態においてはリフィール内が加圧されているため、筆記部からインクが流出してしまうおそれがある。
先ず、リフィール内径、前記軸部及び前記シール部について高い寸法精度が要求されるため、寸法不良によって作動不良を生じやすく、また、比較的小径の既存のリフィールには対応し難かった。
また、リフィールに対し、その後端開口部の近くまでインクを充填することができないので、筆記可能期間が短くなるという問題もあった。
また、リフィールを後退させる際のストローク量を適切に設定するのが困難であるという問題もあった。
筆記等のためにリフィールに対し後方への押圧力が加わると、シリンダーに対しリフィール及びホルダーが後退し、加圧室が圧縮される。そのため、加圧室に連通するリフィール内が加圧され、筆記部から吐出される筆記液の流量を比較的高く維持することができる。ひいては、掠れ等を生じない良好な筆記性能を得ることができるのは勿論のこと、その良好な筆記性能を上向き筆記時においても維持することができる。
しかも、リフィール内に挿入される部材を要さないため、リフィール内径について高い寸法精度を要求されず、良好な作動性を得られる上、比較的小径の既存のリフィールにも対応し易く、リフィールに対しその後端開口部の近くまでインクを充填することができる。また、ホルダーとシリンダーとの間の距離(換言すれば、加圧室の前後方向の距離)の調整により、リフィールの後退量を適切に設定することができる。
なお、本明細書中において、「前」とは筆記部22の突出方向(図1によれば下方)を意味し、「後」とは筆記部22の突出方向に対する逆方向(図1によれば上方)を意味するものとする。
この加圧式筆記具は、軸筒10内に、筆記液23を充填したリフィール20と、該リフィール20の後端側に環状に装着されたホルダー30と、該ホルダー30の外周面に環状に装着された弁体40と、ホルダー30に対し後方から覆い被されて該ホルダーを進退可能に保持するシリンダー50と、ホルダー30をシリンダー50に対し前方へ付勢する第一の付勢部材60と、ホルダー30の前進を規制する規制部材70と、シリンダー50を外部操作により軸筒10に対し進退させる進退機構80とを具備し、ホルダー30とシリンダー50との間に、リフィール20の後端開口部に連通する加圧室Eを確保し、この加圧室Eをホルダー30の後退により圧縮するようにしている。
この軸筒10の内面には、進退機構80を構成する第二の付勢部材81を受ける段部12が形成されている。
また、筆記液23は、本実施の形態の一例によればボールペンインクであり、前記転写ボールを介してスムーズに吐出されるように、その成分や粘度等が適宜に設定されている。この筆記液の他例としては、白色の修正液とすることも可能である。
弁体40は、Oリング等の環状弾性部材であって、その外径が縮径部33の外径よりも大きく設定され、且つ、その内径が環状凹部33a底部内径よりも大きく設定されている。また、この弁体40の幅方向(図示の上下方向)の寸法は、環状凹部33aの幅方向の寸法よりも小さく設定される。
この弁体40は、後述する通気路sの途中に位置し、ホルダー30の後退に連動して通気路sを閉鎖し、ホルダー30の前進に連動して同通気路sを開放する。
縮径部51bは、後退した際の弁体40の外周面に摺接するように、弁体40の外径よりも若干小さな内径に形成される。
この加圧室Eの前後方向の寸法は、リフィール20内を加圧する際のリフィール20の後退量となり、例えば、0.2〜0.5mm程度に設定される。
この第一の付勢部材60の付勢力は、筆圧と略同程度(例えば約100g)、又は筆圧よりも若干大きく設定される。
この規制部材70は、その前端側の拡径された鍔部71を、シリンダー50の前端に係止させて、シリンダー50と一体化されている。
先ず、図1に示すように、ノック体82に対するノック操作が行われず、筆記部22が軸筒10内に没入した状態では、第一の付勢部材60の付勢力により、ホルダー30が規制部材70に当接した前進位置に保持される。この前進位置においては、リフィール20内におけるフォロア24後方側の空間、及び加圧室Eが、通気路sを介して外部に連通されている。したがって、リフィール20内は加圧されない大気圧状態に維持される。
この際、ホルダー30は、シリンダー50に対し第一の付勢部材60によって前方へ付勢され規制部材70に当接しているため、前進するシリンダー50と一体的に前進する。そのため、この前進の前後において、シリンダー50に対するホルダー30の相対位置に変化はなく、加圧室Eは、通気路sを介して外部に連通された状態でもって、加圧されない一定の容積に保たれる。
このホルダー30の後退の際、弁体40は、ホルダー30内の縮径部51bに摺接されることで、環状凹部33a内を相対的に前進し(図示の下方へ移動し)、環状凹部33a内の前端面33a1に当接される。そのため、加圧室Eを外部へ連通する通気路sが、弁体40により閉鎖され、この閉鎖状態において加圧室Eが狭められることになる。
よって、加圧室Eからリフィール20内後端側にわたる空間の気体が圧縮され、その圧力によってフォロア24及び筆記液23が前方へ押圧される。
この加圧状態では、筆記液23の流量を比較的大きく維持することができ、特に上向き筆記性能を向上させることができる。
そして、この前進により、加圧室Eが広がるとともに、弁体40が環状凹部33aの前端面33a1から離れ、加圧室Eが通気路sによって外部に連通する。
したがって、筆記部22が被筆記面から離間された状態では、リフィール20内の加圧状態が解除されるので、再び、筆記部22からの筆記液23の流出を防ぐことができる。
30:ホルダー 33a:環状凹部
40:弁体 50:シリンダー
51a:大内径部 51b:縮径部
60:第一の付勢部材 70:規制部材
80:進退機構 81:第二の付勢部材
82:ノック体 83:進退部材
E:加圧室 s:通気路
Claims (5)
- 前端に筆記部を有するとともに後端に開口部を有し、内在する筆記液を前記筆記部から吐出するようにしたリフィールと、
前記リフィールの後端側に環状に装着されるホルダーと、
該ホルダーに対し後方から覆い被されて該ホルダーを進退可能に保持するシリンダーと、
前記ホルダーを前記シリンダーに対し前方へ付勢する付勢部材とを、軸筒内に備え、
前記筆記部が軸筒前端から突出した状態で前記ホルダーと前記シリンダーとの間に前記リフィールの後端開口部に連通する加圧室が確保され、前記状態で前記加圧室が前記シリンダーに相対する前記ホルダーの後退により狭められて圧縮されるようにしたことを特徴とする加圧式筆記具。 - 前記シリンダーを前記軸筒内に進退可能に設けるとともに、該シリンダーを外部操作により進退させる進退機構を設け、
前記付勢部材を第一の付勢部材とし、
前記シリンダーを前記進退機構により前進させた際に、前記シリンダーと共に前進した前記リフィールの筆記部が軸筒前端から突出し、前記シリンダーを前記進退機構により後退させた際には、前記シリンダーと共に後退した前記リフィールの筆記部が軸筒前端に没入するようにした加圧式筆記具であって、
前記シリンダーに一体化されるとともに前記ホルダーに対し前方側から当接する規制部材と、前記軸筒に対し前記シリンダー及び前記規制部材を後方へ付勢する第二の付勢部材とを具備したことを特徴とする請求項1記載の加圧式筆記具。 - 前記シリンダー及び前記規制部材の前進の前後において前記ホルダーと前記規制部材との当接を維持することで前記加圧室を一定の容積に保ち、
前記リフィールが該リフィールに対する後方への押圧力により筆記部の突出状態から後退する際に、該リフィールと一体的に前記ホルダーが後退し、該ホルダーが前記規制部材から後方へ離間して前記加圧室を狭めるようにしたことを特徴とする請求項2記載の加圧式筆記具。 - 前記進退機構は、前記第二の付勢部材と、軸筒から後方へ突出するノック体と、前記シリンダーに対し後方側から当接する進退部材とを備え、前記ノック体のノック操作により前記進退部材を前進させて係止し、その係止状態を同ノック体の再ノック操作により解除するように構成し、
前記ホルダーの外周面に沿って外部に連通する通気路を設け、前記ホルダーの外周面には前記通気路及び前記加圧室に連通する環状凹部を設け、この環状凹部内には前後方向へ移動自在に環状の弁体を設け、前記シリンダーの内周面には後退した際の前記弁体の外周面に摺接する縮径部を設け、
前記リフィールが該リフィールに対する後方への押圧力により筆記部の突出状態から後退して、該リフィールと一体的に前記ホルダーが後退した際に、前記弁体が、前記縮径部に摺接されて相対的に前進し前記通気路を閉鎖するようにしたことを特徴とする請求項2又は3記載の加圧式筆記具。 - 前記筆記部を軸筒前端から突出した状態で、前記シリンダーを軸筒に対し進退不能に固定したことを特徴とする請求項1記載の加圧式筆記具。
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