JP7063325B2 - カルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の製造方法において、前記高分子凝集剤が、カチオン系の高分子凝集剤であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記高分子凝集剤が、下記(A)と、下記(B)および/または下記(C)とを共縮合してなる縮合物であることが好ましい。
・(A)アルキルアミン類およびアルカノールアミン類から選択される少なくとも1種、もしくは、アルキルアミン類およびアルカノールアミンから選択される少なくとも1種とアンモニアとの混合物
・(B)エピハロヒドリン
・(C)下記一般式(1)で表される化合物
本発明の製造方法において、前記カルボキシル基含有ニトリルゴムが、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位を含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記製造方法により得られる架橋性ゴム組成物を架橋する工程を備えるゴム架橋物の製造方法が提供される。
まず、本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスについて説明する。
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを構成するカルボキシル基含有ニトリルゴムとしては、特に限定されず、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体、カルボキシル基含有単量体および必要に応じて加えられる共重合可能なその他の単量体を、乳化重合することにより得られ、エステル化等されていない無置換の(フリーの)カルボキシル基を含有するニトリルゴムであればよい。
次いで、本発明のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法について、説明する。
本発明のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対して、1価の金属塩と、高分子凝集剤とを、ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して、1価の金属塩の配合量が3~25重量部、前記高分子凝集剤の配合量が0.01~10重量部、1価の金属塩/高分子凝集剤の重量比が10~500の範囲にて混合することにより、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる凝固工程を備えるものである。
・(A)アルキルアミン類およびアルカノールアミン類から選択される少なくとも1種、もしくは、アルキルアミン類およびアルカノールアミンから選択される少なくとも1種とアンモニアとの混合物
・(B)エピハロヒドリン
・(C)下記一般式(1)で表される化合物
本発明の架橋性ゴム組成物は、上述した本発明の製造方法により得られるカルボキシル基含有ニトリルゴムに、架橋剤を配合することにより得られる組成物である。架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などを用いることもできるが、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性をより高めることができるという観点より、ポリアミン系架橋剤が好ましい。
塩基性架橋促進剤の具体例としては、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(以下「DBU」と略す場合がある)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5(以下「DBN」と略す場合がある)、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メトキシエチルイミダゾール、1-フェニル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-フェニルイミダゾール、1-メチル-2-ベンジルイミダゾール、1,4-ジメチルイミダゾール、1,5-ジメチルイミダゾール、1,2,4-トリメチルイミダゾール、1,4-ジメチル-2-エチルイミダゾール、1-メチル-2-メトキシイミダゾール、1-メチル-2-エトキシイミダゾール、1-メチル-4-メトキシイミダゾール、1-メチル-2-メトキシイミダゾール、1-エトキシメチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-4-ニトロイミダゾール、1,2-ジメチル-5-ニトロイミダゾール、1,2-ジメチル-5-アミノイミダゾール、1-メチル-4-(2-アミノエチル)イミダゾール、1-メチルベンゾイミダゾール、1-メチル-2-ベンジルベンゾイミダゾール、1-メチル-5-ニトロベンゾイミダゾール、1-メチルイミダゾリン、1,2-ジメチルイミダゾリン、1,2,4-トリメチルイミダゾリン、1,4-ジメチル-2-エチルイミダゾリン、1-メチル-フェニルイミダゾリン、1-メチル-2-ベンジルイミダゾリン、1-メチル-2-エトキシイミダゾリン、1-メチル-2-ヘプチルイミダゾリン、1-メチル-2-ウンデシルイミダゾリン、1-メチル-2-ヘプタデシルイミダゾリン、1-メチル-2-エトキシメチルイミダゾリン、1-エトキシメチル-2-メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-オルト-トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n-ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N-メチルシクロペンチルアミン、N-ブチルシクロペンチルアミン、N-ヘプチルシクロペンチルアミン、N-オクチルシクロペンチルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、N-ブチルシクロヘキシルアミン、N-ヘプチルシクロヘキシルアミン、N-オクチルシクロオクチルアミン、N-ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N-ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N-メトキシエチルシクロペンチルアミン、N-エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N-メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N-メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N-アミノプロピルシクロペンチルアミン、N-アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2-クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3-クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤がより好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7および1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5がさらに好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5~20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成しさらに前記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン-アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10~200℃、好ましくは25~120℃である。架橋温度は、通常、100~200℃、好ましくは130~190℃であり、架橋時間は、通常、1分~24時間、好ましくは2分~1時間である。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O-リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、ショックアブソーバシール、ロングライフクーラント(LLC)など冷却液の密封用シールであるクーラントシールやオイルクーラントシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventer)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、摩擦材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。これらのなかでも、本発明のゴム架橋物は、耐水性および耐圧縮永久歪み性に優れるものであるため、水系冷媒をシールするためのシール材用途として、特に好適である。
カルボキシル基含有ニトリルゴムを構成する各単量体単位の含有割合は、以下の方法により測定した。
すなわち、マレイン酸モノn-ブチル単位の含有割合は、2mm角のカルボキシル基含有ニトリルゴム0.2gに、2-ブタノン100mlを加えて4時間攪拌した後、エタノール20mlおよび水10mlを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、カルボキシル基含有ニトリルゴム100gに対するカルボキシル基のモル数を求め、求めたモル数をマレイン酸モノn-ブチル単位の量に換算することにより算出した。
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6384に従い、ケルダール法により、カルボキシル基含有ニトリルゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
1,3-ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、上記各単量体単位に対する残り成分として算出した。
カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-11)および(a-12)については、まず、1,3-ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合を、水素添加反応前と水素添加反応後のヨウ素価(JIS K6235による)を測定することにより算出した。
次にアクリル酸n-ブチル単位の含有割合を、上記で求めたマレイン酸モノn-ブチル単位、1,3-ブタジエン単位、飽和化ブタジエン単位、および、アクリロニトリル単位の含有割合から、計算により求めた。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
カルボキシル基含有ニトリルゴム中の金属の含有量は、カルボキシル基含有ニトリルゴムに硫酸、硝酸を添加して加熱し、湿式分解し、次いで、これを適宜希釈して、ICP-AES(SPS-5000:セイコーインスツルメント社製)を使用して、内標準検量線法で測定した。なお、本実施例では、検出可能な全ての金属の含有量(全金属含有量)と、2価以上の金属の含有量(2価以上金属含有量)とを測定した。
架橋性ゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形した後、170℃で4時間二次架橋を行うことでシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を、温度80℃としたLLC(Long Life Coolant)溶液中に、168時間浸漬させた。そして、下記式にしたがって、LLC溶液浸漬後の膨潤度を求めた。LLC溶液浸漬後の膨潤率が低いほど、耐水性、さらには耐LLC性に優れているといえる。
LLC溶液浸漬後の膨潤度(%)=(LLC溶液浸漬後のゴム架橋物の重量-LLC溶液浸漬前のゴム架橋物の重量)÷LLC溶液浸漬前のゴム架橋物の重量×100
内径30mm、リング径3mmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物を170℃で20分間、プレス圧10MPaで架橋した後、170℃で4時間二次架橋を行うことにより、O-リング状の試験片を得た。そして、得られたO-リング状の試験片を用いて、O-リング状の試験片を挟んだ二つの平面間の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて168時間保持する条件で、JIS K6262に従って、圧縮永久ひずみを測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
水洗および回収後のクラム状のゴムを、分級篩を用いて分級を行った。その後、60℃で12時間真空乾燥し、乾燥後の乾燥クラムについて、重量測定を行うことで、重量平均粒径を求め、これを平均クラム径とした。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの製造)
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、濃度10%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩5部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn-ブチル4部、t-ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3-ブタジエン59部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、キレート剤、およびビルダーを仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。その後、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止し、引き続いて、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去することで、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの凝固)
攪拌機を備えた混合容器に、水1200部、塩化ナトリウム(1価の金属塩)5部、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物(商品名「パピオゲン P-271」、センカ社製、重量平均分子量(Mw):2,000-3,000、カチオン系高分子凝集剤)0.3部を添加し、攪拌した後に、混合物の温度を80℃に昇温した。次いで、混合容器に、合成例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス800部(カルボキシル基含有ニトリルゴム換算で100部)を添加し、添加を終了した後、温度を80℃以上に保ちながら3分間攪拌を行うことで、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させ、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを含有するクラムスラリーを得た。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-1)を得ることができた。
バンバリーミキサを用いて、得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-1)100部に、FEFカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)40部、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(商品名「アデカサイザーC-8」、ADEKA社製、可塑剤)5部、4,4’-ジ-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸1部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(商品名「フォスファノールRL210」、東邦化学工業社製、加工助剤)1部を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(デュポンダウエラストマー社製、商品名「Diak#1」、脂肪族多価アミン類に属するポリアミン架橋剤)2.4部、および1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7(DBU)(商品名「RHENOGRAN XLA-60(GE2014)」、RheinChemie社製、DBU60%(ジンクジアルキルジフォスフェイト塩になっている部分も含む)、塩基性架橋促進剤)4部を配合して、混練することにより、架橋性ゴム組成物を得た。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から10部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物の使用量を0.3部から0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-2)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-2)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-2)を得ることができた。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から15部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物の使用量を0.3部から0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-3)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-3)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-3)を得ることができた。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際に、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物(商品名「パピオゲン P-271」)0.3部に代えて、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物(商品名「ユニセンス KHE 100L」、センカ社製、重量平均分子量(Mw):10,000-100,000、カチオン系高分子凝集剤)0.4部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-4)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-4)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-4)を得ることができた。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際に、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物(商品名「パピオゲン P-271」)0.3部に代えて、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物(「ユニセンス FPA 100L」、センカ社製、重量平均分子量(Mw):10,000-100,000、カチオン系高分子凝集剤)0.5部を使用した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-5)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-5)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-5)を得ることができた。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から15部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、凝固操作を行ったところ、凝固が進行せず、凝固物を得ることができなかった。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から75部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-6)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-6)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。なお、比較例2における、塩化ナトリウムの使用量は75部としているが、凝固を良好に進行させるためには75部配合する必要があったため、75部とした。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際に、塩化ナトリウム5部に代えて、塩化カルシウム5部を使用し、かつ、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-7)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-7)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。なお、比較例3における、塩化カルシウムの使用量は5部としているが、凝固を良好に進行させるためには5部配合する必要があったため、5部とした。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際に、塩化ナトリウムを使用せず、かつ、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物の使用量を0.3部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-8)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-8)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から15部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物の使用量を0.3部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-9)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-9)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対し凝固を行う際における、塩化ナトリウムの使用量を5部から40部に変更するとともに、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物の使用量を0.3部から0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-10)を得た。得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-10)の全金属含有量、および2価以上金属含有量は表1に示す通りであった。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの製造)
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、濃度10%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩5部、アクリロニトリル20部、マレイン酸モノn-ブチル5部、アクリル酸n-ブチル35部、t-ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3-ブタジエン40部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、キレート剤、およびビルダーを仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。その後、濃度10重量%のハイドロキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止し、引き続いて、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去することで、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの凝固)
攪拌機を備えた混合容器に、水1200部、塩化ナトリウム(1価の金属塩)10部、ジメチルアミン-アンモニア-エピクロルヒドリン重縮合物(商品名「パピオゲン P-271」、センカ社製、重量平均分子量(Mw):2,000-3,000、カチオン系高分子凝集剤)0.2部を添加し、攪拌した後に、混合物の温度を80℃に昇温した。次いで、混合容器に、合成例2で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス800部(カルボキシル基含有ニトリルゴム換算で100部)を添加し、添加を終了した後、温度を80℃以上に保ちながら3分間攪拌を行うことで、カルボキシル基含有ニトリルゴムを凝固させ、クラム状のカルボキシル基含有ニトリルゴムを含有するクラムスラリーを得た。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-11)を得ることができた。
そして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-1)に代えて、上記にて得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-11)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの製造)
アクリロニトリルの仕込み量を15部、アクリル酸n-ブチルの仕込み量を40部に変更した以外は、合成例2と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度:12.5重量%)を得た。
(カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの凝固)
合成例2で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに代えて、合成例3で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを使用した以外は、実施例6と同様にして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-12)を得た。
また、真空乾燥に代えて、排気機能のある乾燥機を用いて、100℃1時間の加熱乾燥をすることによっても、十分に乾燥されたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-12)を得ることができた。
そして、カルボキシル基含有ニトリルゴム(a-1)に代えて、上記にて得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a-12)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
一方、凝固剤として、1価の金属塩のみを使用した場合には、その配合量が少なすぎると、凝固を行うことができず(比較例1)、また、凝固を良好にできる量まで、その配合量を増やすと、得られるゴム架橋物は、耐水性に劣るものとなった(比較例2)。
また、凝固剤として、2価の金属塩としての塩化カルシウムを使用した場合や、高分子凝集剤のみを使用した場合には、得られるゴム架橋物は、耐圧縮永久歪み性に劣るものとなった(比較例3,4)。
さらに、凝固剤として、1価の金属塩と、高分子凝集剤とを使用した場合であっても、1価の金属塩/高分子凝集剤の重量比が小さすぎたり、1価の金属塩の配合量が多すぎたりすると、得られるゴム架橋物は、耐水性および耐圧縮永久歪み性に劣るものとなった(比較例5,6)。
Claims (5)
- カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに対して、1価の金属塩と、高分子凝集剤とを、前記ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して、前記1価の金属塩の配合量が3~25重量部、前記高分子凝集剤の配合量が0.01~10重量部、1価の金属塩/高分子凝集剤の重量比が10~500の範囲にて混合することにより、カルボキシル基含有ニトリルゴム成分を凝固させる凝固工程を備えるカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法であって、
前記高分子凝集剤が、
下記(A)と、下記(B)および/または下記(C)とを共縮合してなる縮合物、
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド-アクリルアミド共重合物、
ジアリルアミン塩酸塩-アクリルアミド共重合物、ならびに、
ジアリルアミン塩酸塩-アクリル酸-アクリルアミド共重合物から選択される少なくとも一種であるカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
・(A)アルキルアミン類およびアルカノールアミン類から選択される少なくとも1種、もしくは、アルキルアミン類およびアルカノールアミンから選択される少なくとも1種とアンモニアとの混合物
・(B)エピハロヒドリン
・(C)下記一般式(1)で表される化合物
- 前記高分子凝集剤が、カチオン系の高分子凝集剤である請求項1に記載のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
- 前記カルボキシル基含有ニトリルゴムが、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位を含有する請求項1または2に記載のカルボキシル基含有ニトリルゴムの製造方法。
- 請求項1~3のいずれかに記載の製造方法により得られるカルボキシル基含有ニトリルゴムに、架橋剤を配合する工程を備える架橋性ゴム組成物の製造方法。
- 請求項4に記載の製造方法により得られる架橋性ゴム組成物を架橋する工程を備えるゴム架橋物の製造方法。
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