JP7056317B2 - 液晶セル積層体 - Google Patents
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Description
液晶セルにはガラスが用いられており、製造工程で研磨加工を行ったり、他部材と重ね合わせたりする。これらの製造工程でガラス表面に傷や異物が付着する場合があり、液晶パネルとして不具合が生じることがあるため、検査を行う必要がある。
また、表面の滑り性を向上させるために粒子含有量を抑えたまま表面層の厚さを小さくすることでフィルム表面を粗くする方法も提案されている。しかし、この方法によると、フィルム表面に高い突起が発生しやすく、偏光板に貼り付けた時に偏光板を傷付ける場合がある。
オープンセル方式において使用される偏光板の保護フィルムに関しては、フィルムの透明性を高く保ちながら、フィルムの取り扱い性および表面性が良好となるようにフィルムの処方を綿密に調整する必要がある。
本発明の実施形態の一例である液晶セル積層体(「本液晶セル積層体」と称する)は、ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セルの両表面に、保護フィルム(「本保護フィルム」と称する)を剥離可能に積層してなる液晶セル積層体である。
本液晶セル積層体は、保護フィルムを、オープンセル方式で流通する液晶セルに使用される偏光板の保護フィルムとして使用した時に、フィルムとしての取り扱い性を保持しつつ、液晶セルの製造工程における検査工程での積層状態におけるガラス表面の検査性を低下させることなく、また、液晶パネルの製造工程にいたるまでの間、偏光板を保護し続けることができる。
本液晶セル積層体における液晶セルは、ガラス板、液晶及び偏光板を備えており、偏光板が少なくとも外側に配置されていれば、他の部材をさらに備えていてもよいし、ガラス板、液晶及び偏光板の積層順序も任意である。
ただし、偏光板/ガラス/液晶/ガラス/偏光板の順に構成されるのが一般的である。
本保護フィルムは、粒子を含まない透明樹脂からなる中間層と、粒子を含まない透明樹脂、言い換えれば粒子と透明樹脂とを含む樹脂組成物からなる表面層と、を備えた積層フィルムである。
本保護フィルムは、上記中間層と上記表面層の2層を少なくとも備えていれば、他の層を備えていてもよい。例えば、上記中間層と上記表面層との間に、透明樹脂からなる層を備えていてもよい。すなわち、本保護フィルムは、少なくとも2層が積層されてなるものであり、その積層数は3層、4層、5層又はそれ以上の多層、例えば50層であってもよく、特に限定されるものではない。
本保護フィルムを構成する透明樹脂の主成分(主成分樹脂)としては、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、アクリル系樹脂などを挙げることができる。
この際、「主成分樹脂」とは、各層を構成する透明樹脂のうち最も含有量の高い透明樹脂を示す。
中でも、本保護フィルムを構成する各層の主成分樹脂はポリエステルであるのが好ましい。
また、本保護フィルムは、ポリエステルを各層の主成分樹脂とする中間層及び各表面層を備えた2軸延伸フィルムであるのが好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
前記ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えばp-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等を挙げることができる。これらはいずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン-2,6-ナフタレート等を例示することができる。
また、当該ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位及びエチレン-2,6-ナフタレート単位以外の第三成分を共重合成分又は混合成分として含有していてもよい。例えば、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂を混合してもよい。
本保護フィルムを構成する中間層は、粒子を実質的に含有しない層であるのが好ましい。
この際、「実質的に含有しない」とは、具体的には、粒子の含有量が150ppm以下のことを指す。中間層よりも表面層に粒子を含有させることで、十分な作業性を確保することができる。
他方、本保護フィルムを構成する表面層は、粒子を含有する層であるのが好ましい。
両側の各表面層(「各表面層」とも称する)の主成分樹脂は、中間層の主成分樹脂と同じ透明樹脂であっても、異なる透明樹脂であってもよい。例えば各表面層の主成分樹脂がポリエステルであって、中間層の主成分樹脂が同じポリエステル又は異なるポリエステルである場合を例示することができる。
本保護フィルムにおいて、表面層が粒子を含んでいることにより、本保護フィルムのフィルム表面に適度な粗さを付与することができる。
粒子の平均粒径が5.0μm以下であれば、フィルムのヘーズが大きくなるのを抑えることができ、フィルムの透明性を維持することができる。他方、粒子の平均粒径が1.5μm以上であれば、適度な表面粗度を得ることができ、フィルムの取り扱い性を高めることができる。
なお、粒子の平均粒径は、10個以上の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径とする。
なお、当該突起数cは、保護フィルムの表面を、光学顕微鏡で拡大観察した際、100μm×100μm(10000μm2)の範囲内に観察される突起の数である。
前記比率(d/c)は、保護フィルムの表面の状態を示唆するものである。前記比率(d/c)が0.0025以上であれば、各表層面における突起数cが過剰に観察されず、液晶セル積層体に用いられる保護フィルムとして十分な透明性を有するため、検査性が良好なフィルムを得ることができる。一方、前記比率(d/c)が0.050以下であれば、保護フィルムとして十分な滑り性を確保することができるため好ましい。
ポリエステルに予め粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において粒子を添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進める段階で添加する。また、ベント付き混錬押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混錬押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行ってもよい。
本保護フィルムを構成する各層には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などを挙げることができる。
本保護フィルム全体の厚さは、12μm~50μmであるのが好ましく、中でも19μm以上或いは38μm以下であるのがさらに好ましい。かかる範囲であれば、フィルムの取り扱い性を良好に維持することができる。
表面層の厚さtが前記範囲内であることによって、適度な表面粗度を得ることができ、フィルムの取り扱い性を高めることができる。
フィルム取り扱い性の向上効果を得るために、少なくとも2層のポリエステル層のうち表面層に粒子を含有させることでフィルムの滑り性を向上させることができる。その際、用いる粒子の粒径d(μm)、表面層の厚さt(μm)との関係が、上記のように0.25≦t/d≦1.0になるように、粒子を含有させることが好ましい。
当該t/dが1.0以下ということは、表面層の厚さが粒子の平均粒径以下であることを意味する。このため、t/dが1.0以下であれば、フィルム表面の摩擦係数が大きくなり過ぎることがなく、フィルムの滑り性を維持して良好な取り扱いを維持することができる。また、粒径が小さ過ぎることがないから、フィルムの滑り性向上のために粒子含有量を増やす必要もなく、ヘーズが大きくなるのを防いで、積層状態におけるガラス表面の検査性を良好に維持することができる。その一方、t/dが0.25以上であれば、表面層の厚さが薄過ぎることがなく、表面に高い突起が発生するのを抑制して、偏光板に貼り付けた時に保護フィルムが偏光板を傷付けることを防止することができ、更には、粒子が表面層から脱落することを抑制することもできる。
中間層の厚さt’に対する各表面層の厚さtの比率(t/t’)が0.02以上であれば、粒子が剥き出しになることが抑えられ、適度な表面粗度を得ることができるとともに、粒子が表面層から脱落することを抑制することもできる。一方、t/t’が0.10以下であればヘーズが小さくなり、積層状態におけるガラス表面の十分な検査性を有することができるため好ましい。このように、中間層の厚さに対して表面層の厚さを極めて小さくすることにより、液晶セルの保護フィルムとして好適なものとすることができる。
例えば、本保護フィルムが3層積層構造のフィルムの場合、各表面層の厚さtが1μm~3μmであり、中間層の厚さt’が10μm~48μmである例を挙げることができる。
本保護フィルムのヘーズは2.5%以下、好ましくは1.5%以下である。ヘーズを2.5%以下とすることで、十分な透明性を有するため、検査工程における積層状態におけるガラス表面の検査性を十分に有することができ、ガラスと積層させた際に、ガラスの傷の有無を容易に検査することができる。
本保護フィルムの平均表面粗さ(Ra)は5~45nmであるのが好ましい。
平均表面粗さ(Ra)が上記範囲であれば、フィルム滑り性が良好となり好ましい。
かかる観点から、本保護フィルムの平均表面粗さ(Ra)は5~15nmであるのがさらに好ましく、中でも6nm以上或いは10nm以下であるのがさらに好ましい。
本保護フィルム表面の最大高さ(Rt)は100~900nmであるのが好ましい。
最大高さ(Rt)が100nm以上であれば、十分なフィルム滑り性が得られ、最大高さ(Rt)が900nm以下であれば、突起が小さく、フィルムの表面性が良好となり好ましい。
かかる観点から、本保護フィルム表面の最大高さ(Rt)は200~800nmであるのがさらに好ましく、中でも250nm以上或いは500nm以下であるのがさらに好ましい。
本保護フィルムの製造方法の一例について説明する。本保護フィルムの製造方法が次に説明する製造方法に限定されるものではない。
例えば、各層を形成するそれぞれのポリマーを、その融点以上の温度に加熱して溶融させる。次いで、溶融したポリマーを溶融押出機のダイから共押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移点以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向積層シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、そのための手法として静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
ここで、縦方向とは、未配向積層シートの押出時のシート流れ方向(MD)であり、横方向とは、シート流れ方向に対して直交方向(TD)である。
得られた二軸延伸フィルムは、更に150~240℃で1~600秒間熱処理(熱固定)を行うことが好ましく、この際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1~20%弛緩することが好ましい。
上述した本保護フィルムは、ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セル、例えば偏光板/ガラス板/液晶/偏光板の順に積層されてなる構成を有する液晶セルの各偏光板の外側に剥離可能に貼り合わせて、本液晶セル積層体を作製することができる。
このガラス板の厚さは例えば0.1mm~1.0mm、中でも0.2mm以上或いは0.8mm以下、その中でも0.3mm以上或いは0.7mm以下であるのが好ましい。
ガラス板は、高精細な美しい画像を正確に映し出すため、凹凸がなく、表面が極めて平滑であり、さらには内部の気泡、微細な傷や異物(ゴミ)がないことが求められている。
この液晶は、液晶層を囲むようにシール材が配置され、このシール材により上側支持体及び下側支持体が一体に保持され、液晶材料の漏出が防止された構成となっているのが一般的である。
偏光子は一定の方向に振動する光のみを透過させるフィルタであり、その材料は特に限定されるものではなく各種のものを使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。偏光子の厚さは、特に制限するものではなく、5μm~80μm程度であるのが一般的である。
他方、偏光板の透明保護フィルムとしては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂として、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物を挙げることができる。
また、偏光子の片側に、接着剤層を介して透明保護フィルムが貼り合わされ、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることもできる。
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「X≦」(Xは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」旨の意図も包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)或いは「≦Y」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下の実施例及び比較例において、諸物性ないし特性は以下のように測定または定義されたものである。
ポリエステルに非相溶な他の成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
粒子の平均粒径は、10個以上の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、粒子の直径を測定し、その平均値として求めた。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定した。
突起数は、保護フィルム表面を光学顕微鏡で拡大観察した際、100μm×100μmの10000μm2の範囲内にある突起の数をカウントすることで測定した。
JIS K7136に準じ、ヘーズメーター「HM-150」(株式会社村上色彩技術研究所製)により、保護フィルムのヘーズを測定した。
ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セルの両表面に、保護フィルムを剥離可能に積層してなる液晶セル積層体を形成し、この状態でガラス板表面の検査をした時の適正を次のように評価した。
厚さ1mmのスライドガラスの表面に傷を入れ、保護フィルム/偏光板/スライドガラス/ライトの構成のサンプルを作成し、保護フィルム側からスライドガラスの表面を確認し、下記判定基準により、積層状態におけるガラス表面の検査性を評価した。
<判定基準>
A:スライドガラス表面の傷が明瞭に確認できる(液晶セル積層体の検査性が良好)
B:スライドガラス表面の傷が確認できる(液晶セル積層体の検査性は実用上問題なし)
C:スライドガラス表面の傷が確認し難い(液晶セル積層体の検査性は実用上問題あり)
ASTM-D1894に準じて、保護フィルム同士を重ね合わせた時の静摩擦係数および動摩擦係数を測定し、下記判定基準によりフィルム滑り性を評価した。
<判定基準>
A:静摩擦係数および動摩擦係数が0.2以下(フィルム滑り性が良好であるため、液晶セル積層体の取り扱い性は良好)
B:静摩擦係数または動摩擦係数が0.2より大きく0.4以下(フィルム滑り性は十分であるため、液晶セル積層体の取り扱い性は実用上問題なし)
C:静摩擦係数または動摩擦係数が0.4より大きい(フィルム滑り性は不十分であるため、液晶セル積層体の取り扱い性は実用上問題あり)
表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製、SE-3F)を用いて、平均表面粗さ(Ra)を次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔nm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
前述のRa測定時に得られた断面曲線の抜き取り部分を、その平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、その値をマイクロメートル(μm)単位で表したものを抜き取り部分の最大高さRtとした。最大高さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の最大高さの平均値で表した。
ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セルの両表面に、保護フィルムを剥離可能に積層してなる液晶セル積層体を形成した際、保護フィルムの表面に突起が存在すると偏光フィルムに傷を付ける可能性があるため、下記判定基準により、保護フィルムの表面性すなわち突起の有無を評価した。
<判定基準>
A:Rtが500nm未満(フィルム表面の突起が小さく、表面性が良好であるため、液晶セル積層体の表面性は良好)
B:Rtが500nm以上、900nm未満(表面性は十分有するため、液晶セル積層体の表面性は実用上問題なし)
C:Rtが900nm以上(表面性は不十分であるため、液晶セル積層体の表面性は実用上問題あり)
ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セルの両表面に、保護フィルムを剥離可能に積層してなる液晶セル積層体を形成することを想定して、上記の積層状態におけるガラス表面の検査性、フィルム滑り性、表面性の各評価項目につき、下記判定基準で総合評価を行った。
<判定基準>
A:検査性、フィルム滑り性、表面性の全てがAもしくはB、かつAが2つ以上
B:検査性、フィルム滑り性、表面性の全てがAもしくはB、かつAが1つ以下
C:検査性、フィルム滑り性、表面性のうち1つ以上がC
以下の実施例及び比較例において、以下のポリエステルチップを用いた。
ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール70質量部、および酢酸カルシウム一水塩0.07質量部を反応器に採り、加熱昇温すると共にメタノールを留去させてエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04質量部および三酸化アンチモン0.035質量部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後反応を終了し、常法に従い、チップ化したポリエステルチップ(A)を用いた。なお、ポリエステルチップ(A)の極限粘度は、0.65dL/gであった。
平均粒径2.7μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(B)を用いた。
なお、ポリエステルチップ(B)の極限粘度は、0.65dL/gであった。
平均粒径3.4μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(C)を用いた。
平均粒径2.0μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(D)を用いた。
平均粒径2.7μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.6質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(E)を用いた。
平均粒径4.5μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.2質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(F)を用いた。
平均粒径1.5μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(G)を用いた。
平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(H)を用いた。
平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム粒子をポリエステルに対して2.0質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(I)を用いた。
平均粒径5.8μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(J)を用いた。
平均粒径1.5μmの非晶質シリカ粒子をポリエステルに対して0.3質量%となるように添加した以外は、上記ポリエステルチップ(A)と同様に溶融重合させ、チップ化したポリエステルチップ(K)を用いた。
上記ポリエステルチップ(A)を中間層用の原料とし、上記ポリエステルチップ(B)を表面層用の原料とし、表面層および中間層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して(表面層/中間層/表面層)の2種3層積層の無定形シートとし、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて未配向積層シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.4倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て90℃で横方向に4.1倍延伸し、更に230℃で10秒間の熱処理を行って、厚さ38μm(各表面層の厚さは1.0μm、中間層の厚さは36.0μm)の保護フィルムを得た。
実施例1において、各表面層の厚さを1.5μm、中間層の厚さを35.0μmとした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。
下記表に示すように、表面層用の原料をそれぞれ、ポリエステルチップ(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)とした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。
表面層用の原料をポリエステルチップ(C)とした以外は、実施例2と同様にして保護フィルムを得た。
各表面層の厚さを2.0μm、中間層の厚さを34.0μmとした以外は、実施例3と同様にして保護フィルムを得た。
表面層の厚さをそれぞれ2.7μm、中間層の厚さを32.6μmとした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。
表面層の厚さをそれぞれ0.4μm、中間層の厚さを37.2μmとした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。
表面層の厚さをそれぞれ3.5μm、中間層の厚さを31.0μmとした以外は、実施例3と同様にして保護フィルムを得た。
表面層用の原料をポリエステルチップ(K)として、表面層の厚さをそれぞれ0.4μm、中間層の厚さを37.2μmとした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。
Claims (7)
- ガラス板、液晶及び偏光板を備えた液晶セルの両表面に、保護フィルムを剥離可能に積層してなる、保護フィルム/偏光板/ガラス/液晶/ガラス/偏光板/保護フィルムの構成からなる、オープンセル方式用液晶セル積層体であって、
当該保護フィルムは、粒子を含まない透明樹脂からなる中間層と、粒子を含む透明樹脂からなる表面層とを備え、ヘーズが2.5%以下である積層フィルムであり、当該表面層が含有する粒子の平均粒径d(μm)が1.5以上5.0以下であり、当該表面層の厚さt(μm)が1.0以上3.0以下であり、且つ、前記表面層における突起数cは、100個/10000μm 2 以上500個/10000μm 2 以下であることを特徴とするオープンセル方式用液晶セル積層体。 - 前記表面層が含有する粒子の平均粒径d(μm)と、前記表面層の厚さt(μm)との関係が0.25≦t/d≦1.0であることを特徴とする請求項1に記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
- 前記表面層が含有する粒子の平均粒径d(μm)と、前記表面層の厚さt(μm)との関係が0.25≦t/d≦0.67であることを特徴とする請求項1に記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
- 前記粒子の平均粒径d(μm)と、前記表面層における突起数c(個/100μm2)との関係(d/c)が、0.0025≦d/c≦0.050であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
- 前記保護フィルムにおいて、中間層の厚さに対する各表面層の厚さの比(表面層/中間層)は0.02以上0.10以下であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
- 前記保護フィルムは、中間層及び各表面層の何れもポリエステルを主成分とし、且つ2軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
- 前記保護フィルムにおける中間層の厚さは、10μm~48μmであることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のオープンセル方式用液晶セル積層体。
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