JP7043294B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
具体的には、スロットの内面とコイルとの間に発泡樹脂シートが挟まれた状態において、発泡樹脂シートが加熱される。発泡樹脂シートは、両表面に発泡性樹脂が設けられている。発泡樹脂シートが加熱されることにより、発泡性樹脂が膨張されて、スロットの内面の全面と、コイルのうちスロットに挿入された部位の全面とに塗布(接着)されている。これにより、コイルが発泡樹脂シートを介してステータコアに固着されている。
また、特許文献2のステータは、スロットの内面の端部のみにコイルが接着されている。よって、スロットの内面全域にコイルが接着されている場合と比べて、コイルに発生した熱をステータコアに伝え難くなる。すなわち、ステータコアとコイルとの熱伝達特性を良好に保つことが難しくなることが考えられる。このため、コイルの温度を、例えば、ステータの外周部を冷却する水冷構造において好適に確保する工夫が求められる。
このように、コイルの端面がスロットの内面に未接着状態に保たれている。よって、ステータコアに対してコイルを強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV(Noise Vibration)特性を好適に確保することができる。
これにより、例えば、ステータの外周部を水冷構造で冷却する状態において、コイルに発生した熱をステータコアに良好に伝えることができる。このように、ステータコアに伝達された熱を水冷構造で良好に冷却することにより、コイルの冷却特性を好適に確保できる。これにより、コイルの温度を好適に確保することができる。
そこで、請求項2において、コイルのうち、スロットの径方向内側寄りの両側面を接着領域とし、接着領域をスロットの内面に接着するようにした。よって、コイルより発生した熱を、接着領域を経てスロットの内面(すなわち、ステータコア)に効率よく伝えることができる。これにより、エアギャップ側において、コイルからステータコアへの熱伝達特性を向上させることができる。
このように、コイルによる発熱が高くなるエアギャップ側において熱伝達特性を向上させ、その他の部位のバックヨーク側において熱伝達特性を好適に抑えることができる。よって、コイルの温度を均一化できる。これにより、コイルによる発熱が高くなるエアギャップ側の熱伝達特性を向上させて、コイルを効果的に冷却することができる。
このように、シート内側面の少なくとも一部をコイルに対して非接触に保つことにより、ステータコアに対してコイルを強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を一層好適に確保することができる。
図1に示すように、回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のような車両に搭載される走行用モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ステータ10と、ロータ20と、シャフト4とを備えている。ハウジング2は、ステータ10およびロータ20を収容するとともに、シャフト4を回転可能に支持している。なお、ステータ10、ロータ20およびシャフト4は、それぞれ軸線Cを共通軸線として配置されている。
以下、軸線Cの延びる方向を軸方向と称し、軸線Cに直交する方向を径方向と称し、軸線C回りに周回する方向を周方向と称して説明する。また、各図中において矢印Zは軸方向、矢印Rは径方向、矢印θは周方向をそれぞれ示している。
ステータコア11は、ロータ20を径方向の外側から取り囲む筒状に形成されている。ステータコア11は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成された環状のプレートが軸方向(すなわち、積層方向)に積層されて構成されている。なお、ステータコア11は、いわゆる圧粉コアであっても構わない。
複数のティース24は、周方向に所定間隔をおいて形成され、バックヨーク23の内周面から径方向の内側に突出している。
周方向において隣り合うティース24間に、スロット26が所定間隔をおいて溝状に形成されている。すなわち、複数のスロット26は、複数のティース24に対して周方向へ交互に形成された状態でステータコア11に備えられている。
複数のスロット26にコイル13が配置され、コイル13が複数のティース24に取り付けられている。この状態において、ステータコア11にコイル13が装着されている。
ステータ10は、コイル13に電流が流れることにより磁界を発生する。
これにより、ロータコア31は、シャフト4と一体となって、軸線C回りに回転可能になっている。ロータ20は、ステータ10において発生する磁界が磁石33と反発または吸引することにより回転駆動される。
スロット内周面41は、第1スロット内側面45と、第2スロット内側面46と、第1スロット内端面47と、第2スロット内端面48とを有する。
第1スロット内側面45は、ステータコア11の径方向に沿う側面である。第2スロット内側面46は、ステータコア11の径方向に沿う側面である。第1スロット内端面47は、ステータコアの径方向に対して直交する端面である。第2スロット内端面48は、ステータコアの径方向に対して直交する端面である。複数のスロット26に対してコイル13と絶縁シート層15とが挿入されている。
第1コイル側面51は、ステータコア11の径方向に沿う側面であり、第1スロット内側面45と対向する位置に配置されている。第2コイル側面52は、ステータコア11の径方向に沿う側面であり、第2スロット内側面46と対向する位置に配置されている。
第1コイル端面53は、ステータコアの径方向に対して直交する端面であり、第1スロット内端面47と対向する位置に配置されている。第2コイル端面54は、ステータコアの径方向に対して直交する端面であり、第2スロット内端面48と対向する位置に配置されている。
絶縁シート56は、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。絶縁シート56は、第1シート部56aと、第2シート部56bと、第3シート部56cと、第4シート部56dと、第5シート部56eとを備えている。絶縁シート56は、第1シート部56aと第5シート部56eとが重ね合されることによりO字形状に配置されている。
第1外面接着層57aは、第2シート部56bの外面に重ね合された状態に積層されている。第2外面接着層57bは、第3シート部56cの外面に重ね合された状態に積層されている。第3外面接着層57cは、第4シート部56dの外面に重ね合された状態に積層されている。
よって、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層15を配置する際に、スロット26のスロット内周面41に接触して第1~第3の外面接着層57a~57cが第2~第4のシート部56b~56dから剥がれることを防止できる。これにより、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層15を配置する作業が容易になり生産性を高めることができる。
なお、例えば、第2~第4のシート部56b~56dから第1~第3の外面接着層57a~57cが剥がれることを考慮して、スロット26のスロット内周面41に第1~第3の外面接着層57a~57cを積層することも可能である。
第1内面接着層58aは、第2シート部56bの内面に重ね合された状態に積層されている。第2内面接着層58bは、第4シート部56dの内面に重ね合された状態に積層されている。第1内面接着層58aおよび第2内面接着層58bは、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。
第1内面接着層58aおよび第2内面接着層58bは、例えば、外面接着層57と同様に、球状の発泡剤を複数内包するとともに熱硬化性を有する樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)としての発泡樹脂により構成されている。
第1シート部56aおよび第5シート部56eは、重ね合された状態において、第2コイル端面54と第2スロット内端面48との間に介在されている。第2コイル端面54は、第2スロット内端面48に固着(接着)されない状態に保たれる未接着領域となる。
これにより、第1コイル側面51が、第2シート部56b、第1内面接着層58a、および第1外面接着層57aを介して第1スロット内側面45に固着(接着)される。すなわち、第1コイル側面51は、第1スロット内側面45に絶縁シート層15を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
これにより、第2シート部56bが、第2外面接着層57bを介して第1スロット内端面47に固着(接着)される。すなわち、第1コイル端面53は、第1スロット内端面47に固着されない状態に保たれる未接着領域となる。
これにより、第2コイル側面52が、第4シート部56d、第2内面接着層58b、および第3外面接着層57cを介して第2スロット内側面46に固着(接着)される。すなわち、第2コイル側面52は、第2スロット内側面46に絶縁シート層15を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層15を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層15を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
(第1実施形態の変形例)
図5に示すように、ステータ70は、第1実施形態の絶縁シート層15を絶縁シート層72に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のステータ10と同様である。
絶縁シート層72は、第1実施形態の外面接着層57を外面接着層74に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の絶縁シート層15と同様である。絶縁シート層72は、O字形状に配置されている。具体的には、絶縁シート層72は、第1シート部56aおよび第2シート部56bが径方向に重ね合された状態においてバックヨーク23側に配置されている。また、絶縁シート層72の第3シート部56cは、スロット開口部42(すなわち、エアギャップ)側に配置されている。エアギャップとは、ステータコア11の内周面11a(図2参照)とロータコア31の外周面31a(図2参照)との隙間をいう。
第1外面接着層74aは、第2シート部56bの外面に重ね合された状態に積層されている。第2外面接着層74bは、第4シート部56dの外面に重ね合された状態に積層されている。第3外面接着層74cは、第5シート部56eの外面に重ね合された状態に積層されている。
第1~第3の外面接着層74a~74c(すなわち、外面接着層74)は、第1実施形態の外面接着層57と同様に、例えば、球状の発泡剤を複数内包するとともに熱硬化性を有する樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)としての発泡樹脂により構成されている。
よって、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層72を配置する際に、スロット内周面41に接触して第1~第3の外面接着層74a~74cが第2シート部56b、第4シート部56d、および第5シート部56eから剥がれることを防止できる。これにより、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層72を配置する作業が容易になり生産性を高めることができる。
なお、例えば、第2シート部56b、第4シート部56d、および第5シート部56eから第1~第3の外面接着層74a~74cが剥がれることが考えられる。この状態を考慮して、スロット26のスロット内周面41に第1~第3の外面接着層74a~74cを積層することも可能である。
これにより、第5シート部56eが、第3外面接着層74cを介して第1スロット内端面47に固着(接着)されている。すなわち、第1コイル端面53は、第1スロット内端面47に固着されない状態に保たれる未接着領域となる。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層15を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層15を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
図6に示すように、ステータ80は、第1実施形態の絶縁シート層15を絶縁シート層82に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のステータ10と同様である。
絶縁シート層82は、スロット26とコイル13との間にB字形状に配置されている。具体的には、絶縁シート層82は、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。絶縁シート層82は、例えば、絶縁シート(具体的には、絶縁紙)83と、外面接着層84と、内面接着層85とを備えている。
絶縁シート83は、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。絶縁シート83は、第1シート部83aと、第2シート部83bと、第3シート部83cと、第4シート部83dと、第5シート部83eと、第6シート部83fと、第7シート部83gとを備えている。
第1外面接着層84aは、第2シート部83bの外面に重ね合された状態に積層されている。第2外面接着層84bは、第3シート部83cの外面に重ね合された状態に積層されている。第3外面接着層84cは、第4シート部83dの外面に重ね合された状態に積層されている。第4外面接着層84dは、第5シート部83eの外面に重ね合された状態に積層されている。第5外面接着層84eは、第6シート部83fの外面に重ね合された状態に積層されている。
このように、第1~第5の外面接着層84a~84eは、第2~第6のシート部83b~83fの全表面に連続し、かつ、ステータコア11の積厚方向において全領域に形成されている。すなわち、第2~第6のシート部83b~83fに対して第1~第5の外面接着層84a~84eの積層面積が大きく確保されている。
なお、第2~第6のシート部83b~83fから第1~第5の外面接着層84a~84eが剥がれることを考慮して、スロット26のスロット内周面41に第1~第5の外面接着層84a~84eを積層(塗布)することも可能である。
第1内面接着層85aは、第2シート部83bの内面に重ね合された状態に積層されている。第2内面接着層85bは、第4シート部83dの内面に重ね合された状態に積層されている。第3内面接着層85cは、第6シート部83fの内面に重ね合された状態に積層されている。第1~第3の内面接着層85a~85cは、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。
これにより、第2外側コイル側面52aが、第2シート部83b、第1内面接着層85a、および第1外面接着層84aを介して第2スロット内側面46に固着(接着)されている。すなわち、第2外側コイル側面52aは、第2スロット内側面46に絶縁シート層82を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
これにより、第2内側コイル側面52bが、第6シート部83f、第3内面接着層85c、および第5外面接着層84eを介して第2スロット内側面46に固着(接着)されている。すなわち、第2内側コイル側面52bは、第2スロット内側面46に絶縁シート層82を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
また、第2外側コイル側面52aと、第2内側コイル側面52bとにより、第2コイル側面52が形成される。これにより、第2コイル側面52は、第2スロット内側面46に絶縁シート層82を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層82を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層82を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
(第2実施形態の第1変形例)
図7に示すように、ステータ90は、第2実施形態の絶縁シート層82を絶縁シート層91に代えたもので、その他の構成は第2実施形態のステータ80と同様である。
絶縁シート層91は、例えば、絶縁シート83と、外面接着層84と、内面接着層92とを備えている。すなわち、絶縁シート層91は、第2実施形態の絶縁シート層82の内面接着層85を内面接着層92に代えたもので、その他の構成は第2実施形態の絶縁シート層82と同様である。
内面接着層92は、第2実施形態の内面接着層85(図6参照)に加えて、第4内面接着層85dと、第5内面接着層85eとを備えている。
第5内面接着層85eは、第2内面接着層85bと第3内面接着層85cとの間に介在され、各内面接着層85b,85cに連続して形成されている。第5内面接着層85eは、第5シート部83dの内面全域に重ね合された状態に積層されている。
ここで、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層91を配置する際に、第1~第5の内面接着層85a~85eが、第1コイル側面51、第2コイル側面52、第1コイル端面53、および第2コイル端面54に接触する。
(第2実施形態の第2変形例)
図8に示すように、ステータ100は、コイル13のセグメントコイルの個数を増したもので、その他の構成は第2実施形態のステータ80と同様である。
コイル13は、第1セグメントコイル13aと、第2セグメントコイル13bと、第3セグメントコイル13cと、第4セグメントコイル13dとを備えている。
コイル13は、バックヨーク23からスロット開口部42(すなわち、エアギャップ)側に向けて径方向に積層されている。
コイル13は、4個のセグメントコイル13a~13dで構成されることにより、第2実施形態のコイル13と比べて大型に形成されている。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層82を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層82を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
(第2実施形態の第3変形例)
図9に示すように、ステータ110は、第2実施形態の第2変形例の絶縁シート層82を絶縁シート層91に代えたもので、その他の構成は第2実施形態の第2変形例のステータ100と同様である。
絶縁シート層91は、例えば、絶縁シート83と、外面接着層84と、内面接着層92とを備えている。すなわち、絶縁シート層91は、第2実施形態の第2変形例の絶縁シート層82の内面接着層85を内面接着層92に代えたもので、その他の構成は第2実施形態の第2変形例の絶縁シート層82と同様である。
内面接着層92は、第2実施形態の内面接着層85(図6参照)に加えて、第4内面接着層85dと、第5内面接着層85eとを備えている。
第5内面接着層85eは、第2内面接着層85bと第3内面接着層85cとの間に介在され、各内面接着層85b,85cに連続して形成されている。第5内面接着層85eは、第5シート部83eの内面全域に重ね合された状態に積層されている。
ここで、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層91を配置する際に、第1コイル側面51、第2コイル側面52、第1コイル端面53、および第2コイル端面54に接触する。
図10に示すように、ステータ120は、第1実施形態の絶縁シート層15を絶縁シート層122に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のステータ10と同様である。
絶縁シート層122は、スロット26とコイル13との間にS字形状に配置されている。具体的には、絶縁シート層122は、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。絶縁シート層122は、例えば、絶縁シート(絶縁紙)123と、外面接着層124と、内面接着層125とを備えている。
第4外面接着層124dは、第5シート部123eの外面に重ね合された状態に積層されている。第5外面接着層124eは、第6シート部123fの外面に重ね合された状態に積層されている。第6外面接着層124fは、第7シート部123gの外面に重ね合された状態に積層されている。
第1~第3の外面接着層124a~124cは、第1~第3のシート部123a~123cの全表面に連続し、かつ、ステータコア11の積厚方向において全領域に形成されている。すなわち、第1~第3のシート部123a~123cに対する第1~第3の外面接着層124a~124cの積層面積を大きく確保できる。
第4~第6の外面接着層124d~124fは、第5~第7のシート部123e~123gの全表面に連続し、かつ、ステータコア11の積厚方向において全領域に形成されている。すなわち、第5~第7のシート部123e~123gに対する第4~第6の外面接着層124d~124fの積層面積を大きく確保できる。
これにより、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層122を配置する作業が容易になり生産性を高めることができる。
また、第4~第6の外面接着層124d~124fが第5~第7のシート部123e~123gから剥がれることを考慮して、スロット26のスロット内周面41に第4~第6の外面接着層124d~124fを積層(塗布)することも可能である。
第1内面接着層125aは、第1シート部123aの内面に重ね合された状態に積層されている。第2内面接着層125bは、第3シート部123cの内面に重ね合された状態に積層されている。第3内面接着層125cは、第5シート部123eの内面に重ね合された状態に積層されている。第4内面接着層125dは、第7シート部123gの内面に重ね合された状態に積層されている。第1~第3の内面接着層125a~125dは、ステータコア11の積厚方向において全領域に配置されている。
これにより、「第2外側コイル側面52a」は、第1シート部123a、第1内面接着層125a、および第1外面接着層124aを介して第2スロット内側面46に固着(接着)されている。すなわち、「第2外側コイル側面52a」は、第2スロット内側面46に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
これにより、第1外側コイル側面51aは、第3シート部123c、第2内面接着層125b、および第3外面接着層124cを介して第1スロット内側面45に固着(接着)されている。すなわち、第1外側コイル側面51aは、第1スロット内側面45に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
これにより、「第2内側コイル側面52b」は、第5シート部123e、第3内面接着層125c、および第4外面接着層124dを介して第2スロット内側面46に固着(接着)されている。すなわち、「第2内側コイル側面52b」は、第2スロット内側面46に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
ここで、第2外側コイル側面52aと、第2内側コイル側面52bとにより、第2コイル側面52が形成される。これにより、第2コイル側面52は、第2スロット内側面46に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
これにより、第1内側コイル側面51bが、第7シート部123g、第4内面接着層125d、および第6外面接着層124fを介して第1スロット内側面45に固着(接着)される。すなわち、第1内側コイル側面51bは、第1スロット内側面45に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
ここで、第1外側コイル側面51aと、第1内側コイル側面51bとにより、第1コイル側面51が形成される。これにより、第1コイル側面51は、第1スロット内側面45に絶縁シート層122を介して固着された状態に保たれる接着領域となる。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層122を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層122を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
(第3実施形態の第1変形例)
図11に示すように、ステータ130は、第3実施形態の絶縁シート層122を絶縁シート層132に代えたもので、その他の構成は第3実施形態のステータ120と同様である。
絶縁シート層132は、例えば、絶縁シート123と、外面接着層124と、内面接着層134とを備えている。すなわち、絶縁シート層132は、第3実施形態の絶縁シート層122の内面接着層125を内面接着層134に代えたもので、その他の構成は第3実施形態の絶縁シート層122と同様である。
内面接着層134は、第3実施形態の内面接着層125(図10参照)に加えて、第4内面接着層125eと、第5内面接着層125fとを備えている。
第6内面接着層125fは、第3内面接着層125cと第4内面接着層125dとの間に介在され、各内面接着層125c,125dに連続して形成されている。第6内面接着層125fは、第6シート部123fの内面全域に重ね合された状態に積層されている。
また、第3内面接着層125c、第4内面接着層125d、および第6内面接着層125fは、第5~第7のシート部123e~123gの全表面に連続した層状に一体に形成されている。よって、第5~第7のシート部123e~123gに対して第3内面接着層125c、第4内面接着層125d、および第6内面接着層125fの積層面積が大きく確保されている。
この状態において、第1~第3のシート部123a~123cおよび第5~第7のシート部123e~123g(すなわち、内面接着層134)に対して第1~第6の内面接着層125a~125fの積層面積が大きく確保されている。よって、内面接着層134から第1~第6の内面接着層125a~125fが剥がれることを防止できる。これにより、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層132を配置する作業が容易になり生産性を高めることができる。
(第3実施形態の第2変形例)
図12に示すように、ステータ140は、コイル13のセグメントコイルの個数を増したもので、その他の構成は第3実施形態のステータ120と同様である。
コイル13は、第1セグメントコイル13aと、第2セグメントコイル13bと、第3セグメントコイル13cと、第4セグメントコイル13dとを備えている。
第1~第4のセグメントコイル13a~13dは、バックヨーク23からスロット開口部42(すなわち、エアギャップ)側に向けて径方向に積層されている。
コイル13は、4個のセグメントコイル13a~13dで構成されることにより、第3実施形態のコイル13と比べて大型に形成されている。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層122を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層122を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
(第3実施形態の第3変形例)
図13に示すように、ステータ150は、第3実施形態の第2変形例の絶縁シート層122を絶縁シート層132に代えたもので、その他の構成は第3実施形態の第2変形例のステータ140と同様である。
絶縁シート層132は、例えば、絶縁シート123と、外面接着層124と、内面接着層134とを備えている。すなわち、絶縁シート層132は、第3実施形態の第2変形例の絶縁シート層122の内面接着層125を内面接着層134に代えたもので、その他の構成は第3実施形態の第2変形例の絶縁シート層122と同様である。
内面接着層134は、第3実施形態の第2変形例の内面接着層125(図12参照)に加えて、第5内面接着層125eと、第6内面接着層125fとを備えている。
第6内面接着層125fは、第3内面接着層125cと第4内面接着層125dとの間に介在され、各内面接着層125c,125dに連続して形成されている。第6内面接着層125fは、第6シート部123fの内面全域に重ね合された状態に積層されている。
また、第3内面接着層125c、第4内面接着層125d、および第6内面接着層125fは、第5~第7のシート部123e~123gの全表面に連続した層状に一体に形成されている。よって、第5~第7のシート部123e~123gに対する第3内面接着層125c、第4内面接着層125d、および第6内面接着層125fの積層面積を大きく確保できる。
この状態において、第1~第3のシート部123a~123cおよび第5~第7のシート部123e~123g(すなわち、内面接着層134)に対して第1~第6の内面接着層125a~125fの積層面積が大きく確保されている。よって、内面接着層134から第1~第6の内面接着層125a~125fが剥がれることを防止できる。これにより、スロット26とコイル13との間に絶縁シート層132を配置する作業が容易になり生産性を高めることができる。
[第4実施形態]
図14に示すように、ステータ160は、スロット内周面41がスロット外側内周面41aと、スロット内側内周面41bとにより構成されている。
ここで、回転電機1(図2参照)は、高回転高トルク領域において、回転電機1のスロット内側内周面41b(エアギャップ側)のコイル渦電流損失が大きくなることが考えられ、コイル13による発熱が高くなるおそれがある。そこで、第4実施形態のステータ160において、スロット内側内周面41bの熱伝達特性をスロット外側内周面41aより大きくした。
スロット外側内周面41aは、第1スロット内側面45の第1外側スロット内側面45aと、第2スロット内側面46の第2外側スロット内側面46aとを備えている。
スロット内側内周面41bは、第1スロット内側面45の第1内側スロット内側面45bと、第2スロット内側面46の第2内側スロット内側面46bとを備えている。
コイル13は、例えば、第1~第4のセグメントコイル13a~13dを備えている。第1~第4のセグメントコイル13a~13dは、ステータコア11の内周面11aから外周面11b(図2参照)に向けてステータコア11の径方向に積層されている。
第3セグメントコイル13cおよび第4セグメントコイル13dは、スロット内側内周面41bに配置されている。第3セグメントコイル13cおよび第4セグメントコイル13dにより、第1コイル側面51の第1内側コイル側面51bが形成され、第2コイル側面52の第2内側コイル側面52bが形成されている。
内側寄りの絶縁シート層82は、スロット内側内周面41bにおいて、第3~第4のセグメントコイル13c,13dを覆うように配置されている。内側寄りの絶縁シート層82は、例えば、絶縁シート83と、外面接着層84と、内面接着層85とを備えている。
すなわち、第3~第4のセグメントコイル13c,13dにおいて、第1内側コイル側面51bおよび第2内側コイル側面52bの両側面がステータコア11に固着する接着領域となる。
また、第3~第4のセグメントコイル13c,13dに発生した熱を、第2内側コイル側面52bから絶縁シート層82、第2内側スロット内側面46bを経てステータコア11に良好に伝達できる。
これにより、スロット内側内周面41bにおいて、第3~第4のセグメントコイル13c,13dに発生した熱をステータコア11へ伝達する熱伝達特性を良好に確保できる。
一方、第2外側コイル側面52aは、第2外側スロット内側面46aに対して非接触に保たれる未接着領域となる。
すなわち、第1~第2のセグメントコイル13a,13bにおいて、第1外側コイル側面51aおよび第2外側コイル側面52aの一側面として第2外側コイル側面52aが未接着領域となる。これにより、スロット外側内周面41aにおいて、第1~第2のセグメントコイル13a,13bに発生した熱をステータコア11へ伝達する熱伝達特性を好適に抑えることができる。
よって、第1~第4のセグメントコイル13a~13d(すなわち、コイル13)の温度を均一化できる。これにより、コイル13に発生した熱を効率よくステータコア11に伝達させて、コイル13を効果的に冷却することができる。
[第5実施形態]
図15に示すように、ステータ170は、第4実施形態の外側寄りの絶縁シート層162を外側寄りの絶縁シート層172に代え、内側寄りの絶縁シート層162を内側寄りの絶縁シート層174に代えたもので、その他の構成は第4実施形態と同様である。
外側寄りの外面接着層176は、第4実施形態の外面接着層84から第4外面接着層84d(図14参照)を除去したものである。
よって、スロット外側内周面41aにおいて、外側寄りの絶縁シート層172が配置されることにより、第1外側コイル側面51aが外側寄りの絶縁シート層172を介して第1外側スロット内側面45aに固着(接着)されている。
よって、第2外側コイル側面52aは、第2外側スロット内側面46aに対して非接触に保たれている。
内側寄りの外面接着層177は、第4実施形態の外面接着層84から第2外面接着層84b(図14参照)を除去したものである。
内側寄りのシート外側面182は、スロット外側内周面41aに対向するようにU字状に形成され、バックヨーク23側が開口されている。内側寄りのシート外側面182の全域には、第1外面接着層84aと、第3外面接着層84cと、第4外面接着層84dと、第5外面接着層84eとが積層されている。内側寄りのシート外側面182は、各外面接着層84a,84c,84d,84eを介してスロット内側内周面41bに全域が固着(接着)された接着領域となる。
よって、スロット内側内周面41bにおいて、内側寄りの絶縁シート層174が配置されることにより、第1内側コイル側面51bが内側寄りの絶縁シート層174を介して第1内側スロット内側面45bに固着(接着)されている。
よって、第2内側コイル側面52bは、第2内側スロット内側面46bに対して非接触に保たれている。
そこで、外側寄りのシート内側面183のうち第2外側コイル側面52aに対向する面を、未接着領域とし、第2外側コイル側面52aに対して非接着に保つようにした。また、内側寄りのシート内側面183のうち第2内側コイル側面52bに対向する面を、未接着領域とし、第2内側コイル側面52bに対して非接着に保つようにした。
これにより、ステータコア11に対して第1~第4のセグメントコイル13a~13dを強固に接着し過ぎないようにできる。この結果、回転電機1(図1参照)の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を一層好適に確保することができる。
内側寄りの絶縁シート層174の外面接着層177は、第4実施形態の外面接着層84から第2外面接着層84b(図14参照)が除去されている。
すなわち、図14に示すように、第4外面接着層84dおよび第2外面接着層84bは、第2セグメントコイル13bと第3セグメントコイル13cとの間に挟持された状態に配置されている。すなわち、第4外面接着層84dおよび第2外面接着層84bは、スロット26のスロット内周面41に接触しない接着層である。よって、第4外面接着層84dおよび第2外面接着層84bを除去することが可能になる。
図16示すように、ステータ180は、第2実施形態の第1変形例の外面接着層84から第2外面接着層84b(図6参照)と、第4外面接着層84d(図6参照)とを除去したもので、その他の構成は第1変形例のステータ90と同様である。
第6実施形態のステータ180によれば、第1コイル端面53は、未接着領域として、第1スロット内端面47に固着(接着)されない状態に保たれている。また、第2コイル端面54は、未接着領域として、第2スロット内端面48に固着(接着)されない状態に保たれている。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層91を経て第1コイル側面51から第1スロット内側面45を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層91を経て第2コイル側面52から第2スロット内側面46を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
図17示すように、ステータ190は、第2実施形態の第1変形例の外面接着層84から第1外面接着層84aと、第3外面接着層84cと、第5外面接着層84eとを除去したもので、その他の構成は第1変形例のステータ90と同様である。
第7実施形態のステータ190によれば、第1コイル側面51は、未接着領域として、第1スロット内側面45に固着(接着)されない状態に保たれている。また、第2コイル側面52は、未接着領域として、第2スロット内側面46に固着(接着)されない状態に保たれている。
よって、ステータコア11に対してコイル13を強固に接着し過ぎないようにできる。これにより、回転電機1の剛性が必要以上に高められることを抑えて、NV特性を好適に確保することができる。
よって、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層91を経て第1コイル端面53から第1スロット内端面47を経てステータコア11に良好に伝達できる。また、コイル13に発生した熱を、絶縁シート層91を経て第2コイル端面54から第2スロット内端面48を経てステータコア11に良好に伝達できる。コイル13からステータコア11への熱伝達特性を良好に確保できる。
例えば、第1実施形態~第5実施形態では、絶縁シート56,83,123として絶縁紙を例示したが、これに限らない。その他の例として、例えば、絶縁シート56,83,123として樹脂製のシートを使用することも可能である。
10,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190…ステータ
11…ステータコア
13…コイル
13a~13d…第1~第4のセグメントコイル(セグメントコイル)
15,72,74,82,91,122,132,162,172,174…絶縁シート層
26…スロット
41…スロット内周面(内面)
41a…スロット外側内周面(スロットの径方向外側寄りの部位)
41b…スロット内側内周面(スロットの径方向内側寄りの部位)
51…第1コイル側面(側面)
51a…第1外側コイル側面
51b…第1内側コイル側面
52…第2コイル側面(側面)
52a…第2外側コイル側面
52b…第2内側コイル側面
53…第1コイル端面(端面)
54…第2コイル端面(端面)
56,83,123…絶縁シート
182…シート外側面
183…シート内側面
Claims (3)
- ステータコアに設けられた複数のスロットに対して、コイルと絶縁シートとが挿入されたステータを備え、
前記スロットに挿入された前記コイルのうち、前記ステータコアの径方向に沿う少なくとも一側面を、前記スロットの内面に前記絶縁シートを介して接着する接着領域とし、
前記スロットに挿入された前記コイルのうち、前記ステータコアの径方向に対して直交する端面を、前記スロットの内面に対して非接触に保たれる未接着領域とし、
前記絶縁シートの前記スロット側の少なくとも一部に、前記スロットの内面と接着するための接着剤により形成された外面接着層を有し、
前記コイルの前記端面と前記スロットの内面との間には、前記絶縁シート及び前記外面接着層が設けられる、
ことを特徴とする回転電機。 - ステータコアに設けられた複数のスロットに対して、コイルと絶縁シートとが挿入されたステータを備え、
前記スロットに挿入された前記コイルのうち、前記ステータコアの径方向に沿う少なくとも一側面を、前記スロットの内面に前記絶縁シートを介して接着する接着領域とし、
前記スロットに挿入された前記コイルのうち、前記ステータコアの径方向に対して直交する端面を、前記スロットの内面に対して非接触に保たれる未接着領域とし、
前記コイルは、
前記スロットの径方向内側寄りの部位において、前記ステータコアの径方向に沿う両側面を、前記スロットの内面に前記絶縁シートを介して接着する接着領域とし、
前記スロットの径方向外側寄りの部位において、前記ステータコアの径方向に沿う一側面を、前記スロットの内面に対して非接触に保たれる未接着領域とする、
ことを特徴とする回転電機。 - 前記絶縁シートは、
前記スロットの内面に対向するシート外側面を、前記スロットの内面に接着する接着領域とし、
前記コイルに対向するシート内側面の一部を、前記コイルに対して非接着に保たれる未接着領域とする、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
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