以下に、本発明に係る車両用表示システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る車両用表示システムの実施形態の1つを図1から図10に基づいて説明する。
図1から図9の符号1は、本実施形態の車両用表示システムを示す。この車両用表示システム1は、車両の車室内に搭載し、車室内で表示させた車室内表示情報を車室内の利用者に視覚情報として提供する。この車両用表示システム1は、車室内の如何様な場所で車室内表示情報を表示させるものであってもよい。また、車室内表示情報は、車室内で提供するものであれば、如何様なものであってもよい。
ここで例示する車両用表示システム1は、主に車両用計器として利用されるものであり、主たる利用者である運転者の眼前で車両速度等の車両情報を車室内表示情報として表示する。よって、この車両用表示システム1は、インスツルメントパネルの収容部101の中で車室内表示情報が表示されるように配置している(図3から図5及び図7から図9)。また、この車両用表示システム1では、運転者の利便性に寄与する運転支援情報(カーナビゲーションシステムの経路案内情報、路車間通信で得られた他車両の情報等)などを車室内表示情報として表示させることも可能である。
この車両用表示システム1は、入射光を反射させる反射面10a(図1、図4から図6、図8及び図9)と、この反射面10aとは逆側で入射光を反射面10a側に透過させる透過面10b(図2)と、を有する半鏡面体10を備える(図1から図10)。半鏡面体10は、保持体11に嵌合固定する(図1から図10)。その保持体11は、反射面10aと透過面10bとを露出させるべく、半鏡面体10の外周面が嵌め込まれるように形成されている。保持体11は、合成樹脂材料等で成形する。
この車両用表示システム1において、半鏡面体10は、反射面10aを利用者側に向けた第1固定位置P1(図1から図5)と第1固定位置P1に対して反射面10aの位置を変えた第2固定位置P2(図6から図9)との間で変位させることができるように組み付ける。
この例示の第1固定位置P1とは、反射面10aを車両上下方向に立たせた起立位置のことである。ここでは、反射面10aが車両後方を向いている位置を第1固定位置P1とする。第1固定位置P1は、反射面10a及び透過面10bが車両上下方向に沿うような位置に設定してもよく、反射面10aを車両上下方向に立たせつつも、車両上方側を車両下方側よりも僅かに車両前方側に向けて傾けた位置に設定してもよい。
第2固定位置P2は、第1固定位置P1とは異なる位置であるが、この第1固定位置P1と同じように、反射面10aを利用者側に向けた位置に設定してもよい。この場合には、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で、反射面10aを利用者側に向けたまま、半鏡面体10を例えば車両上下方向や車幅方向等にスライドさせながら変位させる。
また、第2固定位置P2は、第1固定位置P1に対して反射面10aを傾倒させた傾倒位置として設定してもよい。この第2固定位置P2での第1固定位置P1に対する反射面10aの傾きは、反射面10aを介して車室内表示情報が利用者に視認されない大きさのものであってもよく、反射面10aを介して車室内表示情報を利用者に視認させる大きさのものであってもよい。また、この第2固定位置P2は、第1固定位置P1に対して反射面10aの車両上方側を利用者から離れる方向(ここでは車両前方)に傾けた位置であってもよく、第1固定位置P1に対して反射面10aにおける車幅方向の何れか一方側を利用者から離れる方向(ここでは車両前方)に傾けた位置であってもよい。
この例示の半鏡面体10は、起立位置としての第1固定位置P1と傾倒位置としての第2固定位置P2との間で変位させる。この例示の半鏡面体10は、第1固定位置P1のときに、反射面10a及び透過面10bが車両上下方向に沿うように位置固定する。また、この例示の半鏡面体10は、第2固定位置P2のときに、反射面10aが車両上方を向くように車両上方側を傾けて寝かせつつも、傾倒後の車両前方側を車両後方側よりも車両上方側に持ち上げて位置固定し、反射面10aを介した車室内表示情報の視認が行えるようにする。
更に、この例示の車両用表示システム1において、半鏡面体10は、第1固定位置P1のときに、車両上下方向に対する傾斜角を徐々に増やしつつ、全体を車両後方側且つ車両下方側へと徐々に変位させていくことによって、第2固定位置P2へと変位させる。また、この半鏡面体10は、第2固定位置P2における車両上下方向に対する傾斜角を徐々に減らしつつ、全体を車両前方側且つ車両上方側へと徐々に変位させていくことによって、第1固定位置P1へと変位させる。
この車両用表示システム1は、少なくとも第1固定位置P1と第2固定位置P2とを半鏡面体10の固定位置として利用できるように構成する。よって、この車両用表示システム1は、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間の途中の位置を固定位置として利用できるように構成してもよい。また、この車両用表示システム1は、少なくとも第1固定位置P1で車室内表示情報を利用者に視認させるものとして構成する。よって、この車両用表示システム1は、第2固定位置P2で車室内表示情報を利用者に視認させるものとして構成してもよく、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間の途中の固定位置で車室内表示情報を利用者に視認させるものとして構成してもよい。更に、この車両用表示システム1は、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間の変位動作の途中で車室内表示情報を利用者に視認させるものとして構成してもよい。
この車両用表示システム1は、半鏡面体10の透過面10b側に配置し、その半鏡面体10を介して利用者に視認させることが可能な視認対象物20を少なくとも1つ備える(図1及び図3から図10)。視認対象物20とは、半鏡面体10を介して視認させることが可能な外装色のものであってもよい。また、この視認対象物20とは、自らが発光するものであってもよく、光源(図示略)からの光を反射させるものであってもよく、光源(図示略)の光を透過させるものであってもよい。
この視認対象物20としては、実体物を適用する。よって、視認対象物20は、その輪郭線等を明瞭なものとして視認させることができるように、半鏡面体10の透過面10bに近接配置する。例えば、この視認対象物20は、設計上の所望の明瞭性を確保し得る範囲内で透過面10bに近づけて配置する。
この視認対象物20は、半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して平行になるように配置する(図3、図7及び図10)。例えば、視認対象物20は、これが何たるかを明確に輪郭線等で表す基準形状が定められている。よって、視認対象物20は、その基準形状が利用者側から判るように半鏡面体10の透過面10bに対して正対させることで、半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して平行になるように配置する。
この例示では、実体指針20Aを視認対象物20として設けている(図1及び図3から図10)。その実体指針20Aは、軸線が半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して平行になるように配置する。この実体指針20Aは、光源の光を内方から外方へと透過させることによって、その透過光を半鏡面体10の透過面10bに入射させる。
車両用表示システム1は、その実体指針20Aを回動させるための駆動装置(以下、「指針駆動装置」という。)21を備えている(図1、図3及び図5から図10)。指針駆動装置21は、実体指針20Aを回動させる回動軸21aを備える(図1、図3及び図5から図10)。実体指針20Aと回動軸21aは、互いの軸線が直交配置された状態で取り付けられている。更に、指針駆動装置21は、図示しないが、その回動軸21aを軸周りに回動させるための動力を発生させる動力源と、その動力源の動力を回動軸21aに伝える動力伝達機構と、を備える。
指針駆動装置21においては、その回動軸21a、動力源及び動力伝達機構が収容部材21b(図3、図7及び図10)に収容されている。その収容部材21bは、回動軸21aに直交配置された円板面21b1を有している(図10)。この指針駆動装置21においては、その円板面21b1と回動軸21aを同軸上に配置し、その円板面21b1の周方向に沿って実体指針20Aを回動させる。この例示では、実体指針20Aを収容部材21bの円板面21b1から径方向の外側に突出させている。収容部材21bについては、例えば、自らを視認対象物20の1つとして利用者に視認させたい場合、視認させることが可能な色の合成樹脂材料等で成形し、利用者に視認させたくない場合、視認させることが不能な色の合成樹脂材料等で成形する。
この指針駆動装置21においては、指針駆動制御部によって動力源の動力が制御される。この例示の指針駆動装置21は、その指針駆動制御部を成す回路基板部21cを備えている(図10)。
ここで、この車両用表示システム1においては、半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して視認対象物20(実体指針20A)を平行な状態に保ったままで、その視認対象物20を半鏡面体10と一緒に第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で変位させる。そこで、この車両用表示システム1は、その半鏡面体10と視認対象物20との平行な状態を保ったままで半鏡面体10及び視認対象物20を保持する保持部材30を備える(図1から図3、図6、図7及び図10)。つまり、この車両用表示システム1では、半鏡面体10、視認対象物20及び保持部材30の一体化物(以下、「半鏡面組立体」という。)ASが構成されており(図1から図10)、その半鏡面組立体ASを第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で変位させる。
この例示では、保持体11及び指針駆動装置21についても半鏡面体10及び視認対象物20(実体指針20A)と一緒に変位させるので、保持体11及び指針駆動装置21も半鏡面組立体ASに含まれる。よって、この例示の保持部材30は、保持体11を介して半鏡面体10を保持し、かつ、指針駆動装置21の収容部材21bを介して実体指針20Aを保持するように成形する。保持部材30は、螺子部材等の締結部材(図示略)を用いて、保持体11と収容部材21bとに組み付ける。この保持部材30は、合成樹脂材料等で成形する。この例示の保持部材30は、実体指針20A及び収容部材21bに対して半鏡面体10側とは逆側に配置する。
このように、この車両用表示システム1は、半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して視認対象物20(実体指針20A)を平行な状態で配置しているので、その視認対象物20を明瞭なものとして視認させることができる。
この車両用表示システム1は、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASにおける車両上方側と車両下方側の内の一方に配置し、半鏡面組立体ASと一体になって移動する第1移動体31(図1、図6及び図10)と、その内の他方に配置し、半鏡面組立体ASと一体になって移動する第2移動体32(図6及び図10)と、を備える。この例示では、その第1移動体31と第2移動体32を保持部材30に設ける。この例示の保持部材30は、車両上方側に第1移動体31を有し、車両下方側に第2移動体32を有している。
車両用表示システム1は、半鏡面体10を視認対象物20(実体指針20A)及び保持部材30と共に第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で変位させる駆動装置40と、その変位動作を補助するガイド装置50と、を備える(図1から図4、図6及び図7)。この例示では、その駆動装置40が動力を半鏡面組立体ASに伝えることによって、その半鏡面組立体ASがガイド装置50で案内されながら変位していく。
その駆動装置40とガイド装置50は、本システムの第1骨格部材61と第2骨格部材62に取り付けられて支持される(図1、図2及び図6)。第1骨格部材61と第2骨格部材62は、例えば金属材料によって成形されている。第1骨格部材61は、例えば金属板を母材にして成形し、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASに対して利用者側とは逆側(つまり、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASよりも車両前方側)に配置する。この第1骨格部材61は、可能な限り駆動装置40を利用者側から覆い隠すことができるように設ける。第2骨格部材62は、例えば金属板を母材にして成形し、第1固定位置P1及び第2固定位置P2の半鏡面組立体ASよりも車両下方側に配置する。ガイド装置50は、この第2骨格部材62に載せ置かれる。ここで、この車両用表示システム1においては、第1固定位置P1及び第2固定位置P2の半鏡面組立体ASよりも車両下方側で、かつ、ガイド装置50の動作を阻害しない位置に、カバー部材63を設けている(図1)。そのカバー部材63は、利用者から可能な限り視認されないように、例えば、暗色の合成樹脂材料等で成形する。
駆動装置40は、動力源41と動力伝達装置42と駆動制御装置43とを備える(図3及び図7)。この駆動装置40は、半鏡面組立体ASの第1固定位置P1と第2固定位置P2との間における変位動作時の駆動力として、動力伝達装置42を介して動力源41の動力を第1移動体31に伝達させるものである。この駆動装置40は、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASに対して利用者側とは逆側(つまり、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASよりも車両前方側)に配置し、第1骨格部材61に取り付ける。
動力源41は、半鏡面組立体ASを変位させるための駆動力の元となる動力を発生させる。この例示では、この動力源41として電動機を用いる。この動力源41は、駆動制御装置43によって制御される。例えば、駆動制御装置43は、半鏡面組立体ASの変位後の目標位置に応じて、動力源41から出力させる動力を制御する。この例示の動力源41は、螺子部材等の締結部材(図示略)を用いて第1骨格部材61に取り付ける。
動力伝達装置42には、その動力源41の動力が直接的に又は歯車群等を介して間接的に伝えられる。この動力伝達装置42は、その動力源41の動力が伝達された際に、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で半鏡面組立体ASを変位させる。この動力伝達装置42は、動力源41から伝達された動力を駆動力に変換して半鏡面組立体ASに伝える。この例示の動力伝達装置42は、螺子部材等の締結部材(図示略)を用いて第1骨格部材61に取り付ける。この動力伝達装置42は、動力伝達機構70を備える(図2、図3及び図7)。
動力伝達機構70は、軸周りの回転トルクを軸線方向に沿った力に変換して伝える運動方向変換機構である。この例示の動力伝達機構70は、軸部材71と、この軸部材71の軸周りの回転に伴って軸部材71上を軸線方向に沿って往復移動可能な運動方向変換部材72と、を備える(図2及び図3)。具体的に、この動力伝達機構70は、所謂送りネジ機構として構成されている。
軸部材71には、動力源41の動力が直接的に又は歯車群等を介して間接的に伝えられる。この例示の軸部材71は、軸線が第1固定位置P1における半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bと平行になるように配置する。この軸部材71は、車両上下方向に軸線を延在させて配置し、車両上方側の一端を動力源41側に対して軸周りの回転が自在となるように取り付けると共に、軸受73(図2、図3及び図7)を介して車両下方側の他端を第1骨格部材61に対して軸周りの回転が自在となるように取り付ける。この例示の軸部材71は、第1骨格部材61よりも車両前方側に配置する。この軸部材71は、例えば金属材料で円柱状又は円筒状に成形し、その外周面上に軸線方向に沿って螺刻された雄ネジ部71aを有する(図2、図3及び図7)。
運動方向変換部材72は、その雄ネジ部71aに螺合させる雌ネジ部(図示略)を有する。この運動方向変換部材72には、軸部材71を介して動力源41の動力が伝達される。この例示の運動方向変換部材72は、第1運動方向変換部材72A(図2、図3及び図7)と第2運動方向変換部材72B(図1、図3、図6及び図7)とに大別される。
第1運動方向変換部材72Aは、合成樹脂材料等で成形し、第1骨格部材61よりも車両前方側に配置する。この第1運動方向変換部材72Aには、雌ネジ部を有する雌ネジ部材72Cが組み付けられている(図2)。この第1運動方向変換部材72Aは、雄ネジ部71aと雌ネジ部とを螺合させた状態で、軸部材71に対して回転自在に保持されている。そして、この第1運動方向変換部材72Aは、その軸部材71の軸線方向に沿う移動以外の動きを行わせないように、第2運動方向変換部材72Bや保持部材30、ガイド装置50等を介して第2骨格部材62に組み付けられている。よって、この第1運動方向変換部材72Aは、動力源41の動力が伝達された軸部材71の軸周りの回転に連動して、その軸部材71上を軸線方向に沿って往復移動することができる。
一方、第2運動方向変換部材72Bは、合成樹脂材料で成形して、第1骨格部材61よりも車両後方側に配置する。この第2運動方向変換部材72Bは、螺子部材等の締結部材(図示略)を用いて第1運動方向変換部材72Aに取り付ける。よって、この第2運動方向変換部材72Bは、動力源41の動力が伝達された軸部材71の軸周りの回転に連動して、第1運動方向変換部材72Aと共に、その軸部材71の軸線方向に沿って往復移動することができる。第1骨格部材61には、その運動方向変換部材72の往復移動を阻害せぬように貫通孔61aが形成されている(図1、図2及び図6)。尚、この例示では、その貫通孔61aと同様の機能を成す貫通孔85aが後述する保持部材85にも形成されている。
第2運動方向変換部材72Bには、第1回転軸15A(図1、図3、図6及び図7)を介して第1移動体31を回転自在に取り付ける。よって、運動方向変換部材72に伝えられた動力源41の動力は、その第1回転軸15Aを介して第1移動体31に伝達される。その第1回転軸15Aは、例えば金属材料で円柱状又は円筒状に成形し、車幅方向に軸線を延在させるように配置する。ここで、第2運動方向変換部材72Bは、その動きとして、軸部材71の軸線方向に沿う往復移動のみを行う。故に、第2運動方向変換部材72Bは、その往復移動を行う際に、第1回転軸15Aを介して動力源41の動力を第1移動体31に伝えながら、第1回転軸15Aを介して第1移動体31を相対回転させることができる。従って、この駆動装置40は、動力源41の動力が第1移動体31に伝達された際に、ガイド装置50の動作と相俟って、第2運動方向変換部材72Bに対して第1移動体31を第1回転軸15Aの軸周りに相対回転させながら、半鏡面組立体ASを第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で変位させることができる。
ガイド装置50は、半鏡面組立体ASを第1固定位置P1と第2固定位置P2との間での変位動作に沿って案内することによって、その変位動作を補助するものである。このガイド装置50は、被ガイド部51と、この被ガイド部51を案内するガイドレール52と、を備える(図1から図3、図6及び図7)。この例示では、一対の被ガイド部51とガイドレール52を半鏡面組立体ASから見て車両左側と車両右側とに1つずつ設けている。
このガイド装置50において、その変位動作の案内は、第2移動体32に設けた被ガイド部51をガイドレール52に沿って車両前後方向に案内することによって行う。その際、第2移動体32は、そのガイドレール52に対して、第2回転軸15B(図1、図3、図6及び図7)の軸周りに相対回転しながら案内されていく。第2回転軸15Bは、例えば金属材料で円柱状又は円筒状に成形する。この第2回転軸15Bは、車幅方向に軸線を延在させるように配置して、軸線方向を第1回転軸15Aの軸線方向に合わせる。
この例示の被ガイド部51は、第2回転軸15Bに設けた同心の第1及び第2の回転体51A,51Bによって構成する(図3及び図7)。第1及び第2の回転体51A,51Bは、これらで対を成し、第2回転軸15Bの両端に1組ずつ設けている。この第1回転体51Aと第2回転体51Bは、外周面を転動面として利用する円板状部材又は円環状部材であってもよく、平歯車であってもよい。この例示の第1回転体51Aには、平歯車を用いる。尚、図中では、便宜上、歯の図示を省略している。一方、第2回転体51Bには、円環状部材を用いる。
ガイドレール52は、螺子部材等の締結部材(図示略)を用いて第2骨格部材62に取り付ける。このガイドレール52は、第1回転体51Aの歯が噛み合わされるラック部52Aと、第2回転体51Bが収容される収容部52Bと、を備える(図1、図3及び図7)。ラック部52Aは、第1回転体51Aとの間で互いの歯同士を噛み合わせながら、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間における半鏡面組立体ASの変位動作に沿って第1回転体51Aを転動させる。また、収容部52Bは、第2回転体51Bの転動面を車両上下方向で挟み込みながら、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間における半鏡面組立体ASの変位動作に沿って第2回転体51Bを自転させつつ案内する。そのラック部52Aと収容部52Bは、車両前後方向に延在させ、かつ、車両後方側が車両前方側よりも車両下方側に位置するように傾斜させている。
このガイド装置50は、駆動装置40が第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で半鏡面組立体ASを変位させる際に、それぞれの被ガイド部51を介してそれぞれのガイドレール52で第2移動体32を案内しながら、それぞれのガイドレール52に対して第2移動体32を第2回転軸15Bの軸周りに相対回転させる。つまり、このガイド装置50は、その半鏡面組立体ASの変位動作に沿って第2移動体32を第2回転軸15Bの軸周りに相対回転させながら案内する。
この車両用表示システム1は、車室内表示情報を表示する2つの表示器(第1表示器81、第2表示器82)を備える(図1から図3、図5から図7及び図9)。第1表示器81と第2表示器82は、車室内表示情報の表示又は非表示を表示制御装置83で制御する(図3及び図7)。例えば、第1表示器81と第2表示器82は、自らが車室内表示情報に関わる表示像を作像するものであってもよく、表示制御装置83で作像された表示像が入力されるものであってもよい。
第1表示器81は、半鏡面体10の反射面10aで利用者側に向けて反射させる車室内表示情報を表示する。この第1表示器81は、半鏡面体10の反射面10aに向けて車室内表示情報に係る出射光を出射し、その出射光が反射面10aで利用者側に向けて反射されるように、車室内表示情報を表示する。その際、この第1表示器81は、出射光が反射面10aの全体又は全体の中の少なくとも1箇所で反射されるように、車室内表示情報を表示する。この第1表示器81は、車室内表示情報が表示される矩形の表示面(図示略)を有する。
この例示の第1表示器81は、表示面を第1固定位置P1の半鏡面体10の反射面10aに直交させている。故に、この例示の第1表示器81は、半鏡面組立体ASの変位動作に伴い第1固定位置P1から傾倒させた半鏡面体10の反射面10aに向けて、車室内表示情報に係る出射光を出射させる。よって、この例示の第1表示器81は、その傾倒させた半鏡面体10の反射面10aよりも車両上方側で、かつ、第1固定位置P1の半鏡面体10(半鏡面組立体AS)よりも車両上方側に配置する。この第1表示器81は、収容部101に取り付ける。
半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときには、この第1表示器81に車室内表示情報を表示させずに、第2表示器81に車室内表示情報を表示させる。これにより、利用者は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、半鏡面体10を介して実体指針20Aを視認することができると共に、第2表示器81に表示されている車室内表示情報を視認することができる。また、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときには、第1表示器81と第2表示器81の双方に車室内表示情報を表示させなければ、半鏡面体10を介した実体指針20Aのみを利用者に視認させることができる。
この例示の第1表示器81には、半鏡面体10(半鏡面組立体AS)が第2固定位置P2のときに車室内表示情報を表示させることができる。利用者は、半鏡面体10の反射面10aで反射した第1表示器81の車室内表示情報を視認することができる。例えば、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときには、この第1表示器81と第2表示器82の内の少なくとも一方に車室内表示情報を表示させる。これにより、利用者は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、半鏡面体10を介して実体指針20Aを視認することができると共に、第1表示器81と第2表示器82の内の少なくとも一方に表示されている車室内表示情報を視認することができる。
更に、第1表示器81には、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1と第2固定位置P2との間に位置しているときに、車室内表示情報を表示させてもよい。半鏡面組立体ASが第1固定位置P1と第2固定位置P2との間に位置しているときとは、その間に半鏡面組立体ASの別の固定位置が設定されているとき、又は、その間で半鏡面組立体ASが変位している最中のことをいう。
また、第1表示器81は、その表示面が第1固定位置P1の半鏡面体10の反射面10aに対して挟角の傾斜角で傾倒させて配置することで、第1固定位置P1の半鏡面体10の反射面10aに向けて、車室内表示情報に係る出射光を出射させてもよい。これにより、利用者は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときにも、半鏡面体10の反射面10aで反射した第1表示器81の車室内表示情報を視認することができる。
第2表示器82は、車室内表示情報が表示される矩形の表示面82aを有する(図6及び図9)。この第2表示器82には、利用者側に向けて車室内表示情報に係る出射光を出射させる。この例示の第2表示器82には、第1固定位置P1における半鏡面体10の透過面10bに向け且つ利用者側に向けて車室内表示情報に係る出射光を出射させる。よって、この第2表示器82は、第1固定位置P1の半鏡面組立体ASに対する利用者側とは逆側(第1固定位置P1の半鏡面組立体ASよりも車両前方側)に配置する。この第2表示器82は、表示面82aを露出させた状態で保持部材85(図1から図3、図6及び図7)に保持させる。その保持部材85は、合成樹脂材料等で成形し、第1骨格部材61に取り付ける。
例えば、この第2表示器82は、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間での半鏡面組立体ASの位置に拘わらず、表示面82aの全体に表示された車室内表示情報を利用者が視認できる位置に配置することができる。第1固定位置P1と第2固定位置P2との間での半鏡面組立体ASの位置に拘わらずとは、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1又は第2固定位置P2に位置しているときのみならず、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1と第2固定位置P2との間に位置しているときも含む意味である。この場合の第2表示器82は、第1固定位置P1と第2固定位置P2との間での半鏡面組立体ASの位置に拘わらず、利用者から見て表示面82aの全体が保持体11と視認対象物20(実体指針20A)と指針駆動装置21と保持部材30とで隠されない位置に配置する。
例えば、この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの全体が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置する。この配置形態では、表示面82aの全体に表示されている車室内表示情報の出射光を第1固定位置P1の半鏡面体10が透過させるので、その表示面82aの全体の車室内表示情報が利用者に視認される。このような配置の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよく、表示面82aの全体又は一部が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置してもよい。前者では、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体に表示されている車室内表示情報を利用者が半鏡面体10を介さずに直接視認することができる。後者では、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体又は一部に表示されている車室内表示情報が半鏡面体10を介して視認される。また、この後者では、表示面82aの一部が半鏡面体10で隠されているならば、この表示面82aに車室内表示情報を表示するときに、表示面82aの一部と残りの部分の内の少なくとも一方に車室内表示情報を表示すればよい。
また、この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの一部が利用者から見て半鏡面体10で隠され、かつ、表示面82aの残りの部分が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよい。この配置形態では、表示面82aに車室内表示情報を表示するときに、表示面82aの一部と残りの部分の内の少なくとも一方に車室内表示情報を表示することができる。表示面82aの一部に表示されている車室内表示情報は、第1固定位置P1の半鏡面体10を介して利用者に視認される。一方、表示面82aの残りの部分に表示されている車室内表示情報は、第1固定位置P1の半鏡面体10を介さずに利用者に直接視認される。このような配置の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよく、表示面82aの一部が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置してもよい。半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときの車室内表示情報は、先の例示の如く制御すればよい。
また、この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよい。この配置形態では、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの全体に表示されている車室内表示情報を利用者が半鏡面体10を介さずに直接視認することができる。このような配置の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよく、表示面82aの一部が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置してもよい。半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときの車室内表示情報は、先の例示の如く制御すればよい。
また、これらのような配置形態に替えて、第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの一部に表示された車室内表示情報を利用者が視認でき、かつ、表示面82aの残りの部分に車室内表示情報が仮に表示されたとしても、その車室内表示情報を利用者が視認できない位置に配置してもよい。この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、利用者から見て表示面82aの残りの部分が保持体11と視認対象物20(実体指針20A)と指針駆動装置21と保持部材30の内の少なくとも1つで隠される位置に配置する。
例えば、この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの全体が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置する。この配置形態では、表示面82aの一部に表示されている車室内表示情報の出射光のみを第1固定位置P1の半鏡面体10が透過させるので、その表示面82aの一部の車室内表示情報が利用者に視認される。よって、第2表示器82には、表示面82aの残りの部分に車室内表示情報を表示させなければよい。その際、利用者は、実体指針20Aについても、第1固定位置P1の半鏡面体10を介して視認することができる。このような配置の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよく、表示面82aの一部が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置してもよい。半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときの車室内表示情報は、先の例示の如く制御すればよい。よって、前者では、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体に表示されている車室内表示情報を利用者が半鏡面体10を介さずに直接視認することができる。その際、利用者は、実体指針20Aについても、第2固定位置P2の半鏡面体10を介して視認することができる。後者では、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの一部に表示されている車室内表示情報が半鏡面体10を介して視認される。その際、利用者は、実体指針20Aについても、第2固定位置P2の半鏡面体10を介して視認することができる。
本実施形態では、この配置形態を例として挙げている。例えば、ここでは、実体指針20Aを車両速度の指針として利用する。この場合、第1表示器81と第2表示器81の内の少なくとも一方には、実体指針20Aが指し示すための情報を車室内表示情報として表示させる。ここでは、車両速度の数値情報を車室内表示情報として第1表示器81と第2表示器81の内の少なくとも一方に表示させる。例えば、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときには、その車室内表示情報を第2表示器82に表示させる。また、その車室内表示情報は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2に位置しているとき、又は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1と第2固定位置P2との間に位置しているときに、第1表示器81と第2表示器81の内の少なくとも一方に表示させる。
また、この場合の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第1固定位置P1のときに、表示面82aの一部が半鏡面体10を介さずに利用者に目視され、かつ、表示面82aの残りの部分が上記の如く保持体11等で隠される位置に配置してもよい。この配置形態では、表示面82aの一部に表示されている車室内表示情報のみを利用者が半鏡面体10を介さずに直接視認することができる。このような配置の第2表示器82は、半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときに、表示面82aの全体が半鏡面体10を介さずに利用者に目視されるように配置してもよく、表示面82aの一部が利用者から見て半鏡面体10で隠されるように配置してもよい。半鏡面組立体ASが第2固定位置P2のときの車室内表示情報は、先の例示の如く制御すればよい。
尚、この車両用表示システム1は、利用者に車室内表示情報を視認させつつも、不要なもの(駆動装置40、ガイド装置50、収容部101の内方のリブ等)を利用者に視認させないためのカバー部材(図示略)を備えている。そのカバー部材は、暗色の半透明の合成樹脂材料等で成形し、収容部101における利用者側の開口を塞ぐように配置する。
以上示したように、本実施形態の車両用表示システム1は、半鏡面体10の反射面10a及び透過面10bに対して視認対象物20(実体指針20A)を平行な状態で配置し、その平行状態を保ったまま第1固定位置P1と第2固定位置P2との間で変位させる。よって、この車両用表示システム1は、その視認対象物20を明瞭なものとして利用者に視認させることができる。例えば、この車両用表示システム1は、視認対象物20の質感、色調、形状等を利用者に認識させ易くなるので、その質感等に幅を持たせた設計が可能になる。従って、この車両用表示システム1は、視認対象物20の静的状態や動的状態での演出に幅を持たせた設計が可能になるので、この視認対象物20の視覚的な品質を向上させることができ、商品性を向上させることができる。
また、本実施形態の車両用表示システム1は、視認対象物20のみの表示形態、第1表示器81と第2表示器82の内の少なくとも一方に表示されている車室内表示情報のみの表示形態、視認対象物20及び第1表示器81と第2表示器82の内の少なくとも一方に表示されている車室内表示情報を組み合わせた表示形態、半鏡面組立体ASの位置に応じた表示形態など、様々な表示形態を提供することができる。従って、この車両用表示システム1は、この点からも商品性を向上させることができる。
ところで、この車両用表示システム1は、第2表示器82の配置場所に第2表示器82に替えてLED(発光ダイオード)等の光源(図示略)を配置してもよく、第2表示器82の配置場所に隣接させて光源(図示略)を配置してもよい。この場合には、例えば、その光源の光により照らされた情報を表示する少なくとも1つの情報表示部を半鏡面体10又は半鏡面体10に隣接させた暗色の板部材(図示略)に設ける。その情報表示部とは、例えば、右左折の方向指示表示部や各種警告灯(ウォーニングランプ、所謂テルテール)等のことである。この情報表示部は、その表示内容に応じた形状や文字等として半鏡面体10又は半鏡面体10に隣接させた板部材に印刷されている。