以下に、本発明に係る車両用表示システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る車両用表示システムの実施形態の1つを図1から図21に基づいて説明する。
図1の符号1は、本実施形態の車両用表示システムを示す。この車両用表示システム1は、車両の車室内に搭載され、表示対象情報を表示させることによって、この表示対象情報を車室内の利用者に提供する。この車両用表示システム1は、主に車両用計器として利用されるものであり、車両速度等の車両情報を表示対象情報として表示させる。また、この車両用表示システム1では、運転者の利便性に寄与する運転支援情報(カーナビゲーションシステムの経路案内情報、路車間通信で得られた他車両の情報等)などを表示対象情報として表示させることも可能である。この車両用表示システム1においては、後述するフレーム11の内方領域11aで車室内の利用者に視認されるよう表示対象情報を表示させる。この車両用表示システム1は、車室内の所定位置(例えばインスツルメントパネル内やダッシュボード上)に配置される。この例示では、運転者の眼前にあるインスツルメントパネルの収容部101に収容されている。
この例示の車両用表示システム1は、少なくとも2つの固定位置の間で変位可能な可動体10を備える(図1から図5)。その少なくとも2つの固定位置とは、図3に示す起立位置P1(図1及び図2の実線)と図4に示す傾倒位置P2(図1及び図2の二点鎖線)のことである。起立位置P1とは、フレーム11の内方領域11aが車室内の利用者側を向くように可動体10を変位させた固定位置のことである。このため、起立位置P1では、その内方領域11aを少なくとも車両後方(車室内の利用者側)に向けるべく、フレーム11を車両上下方向に立たせている。この例示では、立たせたフレーム11(内方領域11a)の車両上方側を車両下方側よりも僅かに車両前方側に向けて傾けた第1傾斜状態を起立位置P1としている。傾倒位置P2とは、その車両前方側への傾きを起立位置P1よりも更に大きくしてフレーム11(内方領域11a)を寝かせた固定位置のことである。このため、傾倒位置P2では、その内方領域11aを少なくとも車両上方に向けるべく、フレーム11を寝かせている。この例示では、寝かせたフレーム11(内方領域11a)の車両前方側を車両後方側よりも僅かに車両上方側に持ち上げた第2傾斜状態を傾倒位置P2としている。
本実施形態の可動体10は、起立位置P1における車両上下方向に対するフレーム11(内方領域11a)の傾斜角を徐々に増やしつつ、全体を車両後方側且つ車両下方側へと徐々に変位させていくことによって傾倒位置P2になる(図5)。また、この可動体10は、傾倒位置P2における車両上下方向に対するフレーム11(内方領域11a)の傾斜角を徐々に減らしつつ、全体を車両前方側且つ車両上方側へと徐々に変位させていくことによって起立位置P1になる(図5)。尚、図5における符号Phは、起立位置P1と傾倒位置P2との間の変位途中における可動体10の或る位置を示している。
この可動体10は、環状又は環状の一部を欠損させた非環状のフレーム11と、このフレーム11の内方領域11aを塞ぐ閉塞部材12と、このフレーム11と閉塞部材12を保持するベース部材13と、を備え(図3、図4及び図6)、これらをネジ部材B等で一体化させたものである。
この例示のフレーム11は、合成樹脂材料等で円環状に成形されており、その内方の円板状の空間が内方領域11aとなる。このフレーム11は、利用者の視認対象となる加飾部材として利用されるものである。このため、このフレーム11は、少なくとも利用者が視認し得る位置に例えば金属調の加工を施している。また、このフレーム11は、その前面側(起立位置における車両後方側)で且つ内周面側に、周方向に等間隔で交互に配置された凹部11bと凸部11cとを形成している。
ここで、この例示の表示装置80は、後述するように、フレーム11の前面側(起立位置P1における車両後方側で且つ傾倒位置P2における車両上方側)に虚像を形成し、その虚像によって形成された表示対象情報が恰も内方領域11aに表示されているかのように利用者に視認させる。このため、閉塞部材12は、フレーム11よりも背面側(起立位置P1における車両前方側で且つ傾倒位置P2における車両下方側)の機構等が内方領域11aから見えないように、その背面側に配置し、この背面から内方領域11aを塞ぐ。この例示の閉塞部材12は、円板状の内方領域11aに合わせた形状となるように暗色の合成樹脂材料等で成形されている。この閉塞部材12は、その内方領域11a側で車室内側に露出させている露出面部12Aを有する。
ベース部材13は、閉塞部材12の背面側(起立位置P1における車両前方側で且つ傾倒位置P2における車両下方側)に配置され、そのフレーム11と閉塞部材12に一体化させる。この例示のベース部材13は、フレーム11と閉塞部材12の形状に合わせて、合成樹脂材料等で円板状に成形する。
以下においては、便宜上、可動体10(フレーム11、閉塞部材12及びベース部材13)の起立位置P1における車両後方側で且つ傾倒位置P2における車両上方側を「前面側」と称し、可動体10の起立位置P1における車両前方側で且つ傾倒位置P2における車両下方側を「背面側」と称する。また、以下においては、その可動体10の起立位置P1における車両上方側で且つ傾倒位置P2における車両前方側を「上部」と称し、可動体10の起立位置P1における車両下方側で且つ傾倒位置P2における車両後方側を「下部」と称する。
この車両用表示システム1においては、その可動体10を2点で保持している。この車両用表示システム1には、可動体10の上部(第1保持部分)10aと下部(第2保持部分)10bの内の一方を保持する第1保持体と、その内の他方を保持する第2保持体と、が設けられている。その第1保持体と第2保持体には、それぞれに回転軸が設けられている。第1保持体と第2保持体は、それぞれに別体のものであってもよく、一体のものであってもよい。この例示では、その第1保持体と第2保持体とが一体成形された保持部材14を設けている(図7)。その保持部材14は、可動体10の上部10aと下部10bとの間でベース部材13の背面側を覆うように成形及び配置される。この保持部材14は、第1保持体に相当する第1保持部14aと、第2保持体に相当する第2保持部14bと、を有する。この例示では、第1保持部14aに可動体10の上部10aを保持させ、第2保持部14bに可動体10の下部10bを保持させる。第2保持部14bは、可動体10の下部10b側から見て、車両左側と車両右側とに1つずつ設けている。また、この保持部材14においては、第1保持部14aと第2保持部14bに、各々車幅方向に延在させた第1回転軸15Aと第2回転軸15Bとが設けられている。第2回転軸15Bは、第2保持部14b毎に設けられている。第1回転軸15Aは、第1保持部14aと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第1保持部14aに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。また、第2回転軸15Bは、第2保持部14bと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第2保持部14bに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。この保持部材14は、例えば合成樹脂材料等で成形され、ネジ部材B等で可動体10に一体化される。
車両用表示システム1は、その可動体10の変位を担う駆動装置20とガイド装置30とを備える(図3から図5)。その駆動装置20とガイド装置30は、本システムの骨格部材41に取り付けられて支持されており(図8及び図9)、利用者に視認させぬよう第1カバー部材42と第2カバー部材43とで可能限り覆い隠されている(図2)。骨格部材41は、例えば金属材料によって成形されている。この骨格部材41は、起立位置P1における可動体10の背面側に配置された第1支持部41aと、起立位置P1における可動体10の下部10b側で車幅方向に2つに分かれて配置された第2支持部41bと、を有している。第1カバー部材42と第2カバー部材43は、可動体10の変位に拘わらず、後述する半透明鏡82越しにフレーム11と表示対象情報のみが視認されるように形状及び配置を決めることが望ましい。第1カバー部材42には、起立位置P1と傾倒位置P2との間で可動体10が変位した際に可動体10の下部10bが当接せぬよう第1切欠き42aが設けられている。また、この第1カバー部材42には、後述するが如く可動体10を車幅方向へと変位させる際に可動体10の下部10bが当接せぬよう第2切欠き42bが設けられている。
駆動装置20は、動力源21と動力伝達装置22と駆動制御装置23とを備える(図3及び図4)。この駆動装置20は、動力源21の動力を可動体10の起立位置P1と傾倒位置P2との間における変位動作時の駆動力として第1保持体(この例示では保持部材14の第1保持部14a)に伝達させるものである。その第1保持体には、その駆動力として、起立位置P1から傾倒位置P2に変位させる際の第1駆動力と、傾倒位置P2から起立位置P1に変位させる際の第1駆動力とは逆向きの第2駆動力と、が伝達される。この駆動装置20は、主に可動体10の背面側(起立位置P1における車両前方側)で且つ骨格部材41の背面側(車両前方側)に配置され、この骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられる。
動力源21は、可動体10を変位させるための駆動力の元となる動力を発生させる。この例示では、この動力源21として電動機を用いる。この動力源21は、駆動制御装置23によって制御される。例えば、駆動制御装置23は、可動体10の変位後の目標位置に応じて、動力源21から出力させる動力を制御する。この例示の動力源21は、保持部材としても利用される第1軸受体24に保持され、この第1軸受体24を介して第1支持部41aに取り付けられる(図8及び図9)。
動力伝達装置22は、その動力源21の動力が伝達された際に、起立位置P1と傾倒位置P2との間で可動体10を変位させる。このため、この動力伝達装置22は、動力源21から伝達された動力を駆動力に変換して可動体10に伝える。この例示の動力伝達装置22は、第1軸受体24に保持され、この第1軸受体24を介して第1支持部41aに取り付けられる。この動力伝達装置22は、第1動力伝達機構50と第2動力伝達機構60とを備える(図5)。
第1動力伝達機構50は、第1から第3の歯車51〜53を備えており(図8及び図9)、これらの第1から第3の歯車51〜53を介して動力源21の動力(出力トルク)を第2動力伝達機構60に伝える。この例示の第1から第3の歯車51〜53には、平歯車を用いている。第1歯車51は、動力源21の出力軸(図示略)に対して同心上に取り付けられ、その出力軸と一体になって回転する。第2歯車52は、回転軸54に対して同心上に取り付けられ、その回転軸54と一体になって回転する。その回転軸54は、動力源21の出力軸に対して間隔を空け且つ軸線を同一方向に向けて平行に配置されている。この第2歯車52は、第1歯車51に噛み合わされている。第3歯車53は、動力源21の出力軸や回転軸54と平行な回転中心軸を有するものであり、第2歯車52に噛み合わされている。この第1動力伝達機構50には、第2歯車52と第3歯車53の回転を円滑に行うべく、第2歯車52の回転軸54と第3歯車53の回転軸(第2動力伝達機構60の後述する軸部材61)を回転自在に保持する軸受(図示略)が各々設けられている。それぞれの軸受と第1から第3の歯車51〜53は、第1軸受体24に設けた収容部24aに収容される。よって、この第1動力伝達機構50は、その第1軸受体24を介して骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられることになる。
ここで、第3歯車53の回転中心軸には、軸部材61が同心上に配置されている。第3歯車53は、その軸部材61と一体になって回転する。従って、この第1動力伝達機構50においては、動力源21の動力(出力トルク)が第1から第3の歯車51〜53を介して軸部材61に伝達されることによって、その動力の第2動力伝達機構60への伝達が行われる。
第2動力伝達機構60は、軸周りの回転トルクを軸線方向に沿った力に変換して伝える運動方向変換機構である。この例示の第2動力伝達機構60は、軸部材61と、この軸部材61の軸周りの回転に伴って軸部材61上を軸線方向に沿って往復移動可能な運動方向変換部材62と、を備える(図5、図8及び図9)。具体的に、この第2動力伝達機構60は、所謂送りネジ機構として構成されている。
軸部材61は、動力源21の出力軸や回転軸54に対して間隔を空け且つ軸線を同一方向に向けて平行に配置され、同心上に配置された第3歯車53の回転に連動して軸周りに回転する。つまり、この軸部材61は、動力源21の動力によって自らの軸周りに回転することができる。軸部材61は、前述したように、一方の端部側(第3歯車53側)が収容部24a内の軸受によって回転自在に保持されている。更に、この軸部材61の他方の端部側は、軸受25によって回転自在に保持されている。その軸受25は、第2軸受体26に収容され、この第2軸受体26を介して骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられる。よって、この第2動力伝達機構60は、第1及び第2の軸受体24,26を介して第1支持部41aに取り付けられることになる。この軸部材61は、例えば金属材料で円柱状又は円筒状に成形され、その外周面上に軸線方向に沿って螺刻された雄ネジ部61aを有する。
運動方向変換部材62は、その雄ネジ部61aに螺合させる雌ネジ部62aを有する(図7)。この例示の運動方向変換部材62は、第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bとに大別される(図5及び図7)。第1運動方向変換部材62Aは、例えば金属材料から成る雌ネジ部62aと合成樹脂材料とのインサート成形によって一体化されたものであり、骨格部材41の第1支持部41aの背面側(車両前方側)に配置される。このため、この第1運動方向変換部材62Aは、雄ネジ部61aと雌ネジ部62aとを螺合させた状態で、軸部材61に対して回転自在に保持されている。一方、第2運動方向変換部材62Bは、合成樹脂材料で成形され、第1支持部41aの正面側(車両後方側)に配置される。この第2運動方向変換部材62Bは、第1回転軸15Aを介して保持部材14の第1保持部14aに対して回転自在に連結する。このため、可動体10と第2運動方向変換部材62Bは、その第1回転軸15Aを回転中心軸にして、互いに相対的な回動動作を行うことができる。
この第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bは、互いに一体化され、保持部材14を介して可動体10に連結される。ここで、骨格部材41の第1支持部41aは、車幅方向と軸部材61の軸線の向きとに各々平行な平面を有しており、その平面部分に、軸部材61の軸線と同じ向きに延在させた貫通孔41a1を有する(図8及び図9)。第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bは、その貫通孔41a1を挟み込むように配置し、この貫通孔41a1の延在方向に沿って往復移動し得るように一体化させる。例えば、第2運動方向変換部材62Bには、第1運動方向変換部材62Aに向けて突出させた2本の円柱状又は円筒状の軸部材63が設けられている(図7)。それぞれの軸部材63は、貫通孔41a1の延在方向に沿って配列させた状態で、この貫通孔41a1に挿通させる。第1運動方向変換部材62Aには、それぞれの軸部材63を挿通させる円柱状の貫通孔62A1が各々形成されている。第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bは、貫通孔41a1に挿通された軸部材63を貫通孔62A1に挿通させ、軸部材63の先端に設けた雄ネジ部63aに雌ネジ部材64を締め付けていくことで一体化される。
この第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bとの間には、内方に軸部材63が挿通されると共に、貫通孔41a1に挿入される円環状のカラー部材65を軸部材63毎に介在させている。そのカラー部材65の軸線方向の長さは、第1支持部41aの平面部分の板厚(つまり貫通孔41a1の厚さ)よりも長くしている。このため、第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bは、一体化された際に第1支持部41aの平面部分を挟持しないので、貫通孔41a1に沿って自在に往復移動することができる。
ここで、そのカラー部材65の直径は、貫通孔41a1の短手方向(延在方向に対する直交方向)の幅と同等の大きさであるが、その幅よりも僅かに小さくしている。このため、運動方向変換部材62(第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62B)は、カラー部材65が貫通孔41a1で係止され、軸部材61に対する雌ネジ部62aの軸周りの回転が規制されるので、軸部材61が軸周りに回転した際に、雌ネジ部62aの軸周りの回転が規制された状態のまま軸部材61の軸線方向に沿って移動することができる。従って、この第2動力伝達機構60は、動力源21の動力が伝達されてきた際に、軸部材61の軸線方向(つまり運動方向変換部材62の移動方向)に沿った駆動力を保持部材14の第1保持部14aに第1回転軸15Aを介して伝える。よって、この駆動装置20は、可動体10が起立位置P1のときに起立位置P1から傾倒位置P2に変位させるべく動力源21の動力が制御された場合、運動方向変換部材62の車両上方側から車両下方側への移動方向に沿った第1駆動力を保持部材14の第1保持部14aに伝え、その第1駆動力に応じた力を可動体10の上部10aに作用させる。また、この駆動装置20は、可動体10が傾倒位置P2のときに傾倒位置P2から起立位置P1に変位させるべく動力源21の動力が制御された場合、運動方向変換部材62の車両下方側から車両上方側への移動方向に沿った第2駆動力を保持部材14の第1保持部14aに伝え、その第2駆動力に応じた力を可動体10の上部10aに作用させる。
ガイド装置30は、起立位置P1と傾倒位置P2との間における可動体10の変位動作を案内するものである。このガイド装置30は、被ガイド部31と、この被ガイド部31を案内するガイドレール32と、を備える。このガイド装置30において、その変位動作の案内は、第2保持体(この例示では保持部材14の第2保持部14b)に設けた被ガイド部31をガイドレール32に沿って案内することによって行う(図8及び図9)。被ガイド部31とガイドレール32は、それぞれ第2保持部14b毎に設けられている。このため、このガイド装置30においては、被ガイド部31とガイドレール32の組み合わせが可動体10の下部10b側から見て車両左側と車両右側とに1組ずつ設けられている。
この例示の被ガイド部31は、第2保持部14bに設けた第2回転軸15Bと、この第2回転軸15Bに設けた2つの回転体(第1及び第2の回転体31A,31B)と、によって構成する(図7)。第2回転軸15Bは、例えば金属材料で円柱状又は円筒状に成形される。第1回転体31Aと第2回転体31Bは、それぞれに第2回転軸15Bの端部に同心上に並べて配置される。この第1回転体31Aと第2回転体31Bは、第2回転軸15Bと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第2回転軸15Bに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。また、この第1回転体31Aと第2回転体31Bは、外周面を転動面として利用する円板状部材又は円環状部材であってもよく、平歯車であってもよい。この例示の第1回転体31Aには、平歯車を用いる。尚、図中では、便宜上、第1回転体31Aの歯の図示を省略している。一方、第2回転体31Bには、円環状部材を用いる。
ガイドレール32は、保持部材14の第1保持部14aに対して第1駆動力が作用している場合に、可動体10の上部10aが第1駆動力の方向に向けて移動するよう可動体10の下部10b側の被ガイド部31を案内させることによって、可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2へと変位させるように形成する。更に、このガイドレール32は、その第1保持部14aに対して第2駆動力が作用している場合に、可動体10の上部10aが第2駆動力の方向に向けて移動するよう可動体10の下部10b側の被ガイド部31を案内させることによって、可動体10を傾倒位置P2から起立位置P1へと変位させるように形成する。
ガイドレール32は、起立位置P1における可動体10の下部10b側から車両後方に向けて延在させた部材であり、その延在方向に沿って被ガイド部31を案内する。それぞれのガイドレール32は、車両下方に配置されている骨格部材41の第2支持部41bに取り付ける。
ガイドレール32は、その延在方向に沿って弧状に形成された弧状ガイド部33と、その延在方向に沿って直線上に形成された直線状ガイド部34と、を有する(図3及び図4)。このガイドレール32においては、駆動装置20側に弧状ガイド部33を配置し、その弧状ガイド部33よりも車両後方側に直線状ガイド部34を配置する。つまり、弧状ガイド部33は、第1駆動力の初期印加時に被ガイド部31を案内する部位である。また、この弧状ガイド部33は、第2駆動力の末期印加時に被ガイド部31を案内する部位でもある。この弧状ガイド部33は、被ガイド部31を自らの弧状に沿って駆動力の向きに応じて案内する。この例示の弧状ガイド部33は、車両後方に向かうに連れて車両下方へと位置が変化していく弧状に形成している。一方、直線状ガイド部34は、第1駆動力の初期印加後に被ガイド部31を案内する部位である。また、この直線状ガイド部34は、第2駆動力の末期印加時までに被ガイド部31を案内する部位でもある。この直線状ガイド部34は、被ガイド部31を自らの直線状に沿って駆動力の向きに応じて案内する。この例示の直線状ガイド部34は、車両前後方向に延在させている。
ここで、第1駆動力の初期印加時とは、起立位置P1において可動体10に第1駆動力を作用させ始めてからの最初の印加期間のことである。第1駆動力の初期印加後とは、可動体10に対する第1駆動力の最初の印加期間が経過してから第1駆動力の印加が終わるまでの最後の印加期間のことである。第2駆動力の末期印加時とは、傾倒位置P2から起立位置P1へと可動体10を変位させる際の第2駆動力の印加が終わるまでの最後の印加期間のことである。つまり、第2駆動力の末期印加時とは、傾倒位置P2において可動体10に第2駆動力を作用させ始めてからの最初の印加期間を第2駆動力の初期印加時とするならば、可動体10に対する第2駆動力の最初の印加期間が経過してから第2駆動力の印加が終わるまでの最後の印加期間のことをいう。ここでは、その第2駆動力の初期印加時が第2駆動力の末期印加時までの期間に相当する。
具体的に、ガイドレール32は、被ガイド部31の第1回転体31Aや第2回転体31Bを転動させながら延在方向に向けて案内するものである。この例示のガイドレール32は、第1回転体31Aを転動させながら案内する第1ガイドレール部32Aと、第2回転体31Bを転動させながら案内する第2ガイドレール部32Bと、を有する(図10及び図11)。尚、図10及び図11には、それぞれのガイドレール32の間で骨格部材41の第2支持部41bに取り付けられた第3カバー部材44を示している。その第3カバー部材44は、ガイドレール32の弧状ガイド部33と直線状ガイド部34に沿って形成された板状部材であり、それぞれのガイドレール32に対して車両下方側に配置している。
第1ガイドレール部32Aには、ラック部32A1が設けられている。そのラック部32A1は、第1回転体31Aの歯が噛み合わされるラックギヤであり、第1ガイドレール部32Aの延在方向に沿って所定ピッチで歯が設けられている。第1回転体31Aは、その延在方向に沿ってラック部32A1の歯に噛み合いながら転動していくことができる。このラック部32A1は、先に説明した弧状ガイド部33と直線状ガイド部34とに大別される。尚、図中では、便宜上、ラック部32A1の歯の図示を省略している。
また、第2ガイドレール部32Bには、第2回転体31Bの転動面を転動させる第1及び第2のガイド面32B1,32B2が形成されている。その第1及び第2のガイド面32B1,32B2は、その面同士を互いに対向させた状態のまま第2ガイドレール部32Bの延在方向に沿って延在させている。その第1ガイド面32B1と第2ガイド面32B2は、その延在方向における各位置において、その面同士が略等間隔になっている。第2回転体31Bの転動面(外周面)は、その第1ガイド面32B1と第2ガイド面32B2との間に配置する。第1ガイド面32B1は、車両下方側に配置されており、主に可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2へと変位させる際に、第2回転体31Bの転動面が第2ガイドレール部32Bの延在方向に沿って転動する。第2ガイド面32B2は、車両上方側に配置されており、可動体10を傾倒位置P2から起立位置P1へと変位させる際に、第2駆動力によって被ガイド部31に作用する力の方向如何で、第2回転体31Bの転動面が第2ガイドレール部32Bの延在方向に沿って転動することがある。第1及び第2のガイド面32B1,32B2は、先に説明した弧状ガイド部33と直線状ガイド部34とに大別される。
この車両用表示システム1は、可動体10を起立位置P1と傾倒位置P2との間でのみ変位させるものであってもよい。但し、本実施形態では、可動体10を車幅方向にも変位可能なものとして車両用表示システム1を構成する。このため、この車両用表示システム1には、起立位置P1と傾倒位置P2との間の可動体10の変位を担う駆動装置(第1駆動装置)20の他に、可動体10の車幅方向への変位を担う別の駆動装置(第2駆動装置)70も備えている(図12及び図13)。
この例示では、可動体10を車幅方向における少なくとも2つの固定位置の間で変位させる。例えば、この例示では、起立位置P1を車幅方向における第1固定位置P1とし、この第1固定位置P1から車両右方側に変位させた位置を車幅方向における第2固定位置P3とする(図14)。この例示の可動体10においては、ベース部材13及び保持部材14を骨格部材41に対して車幅方向への相対移動が行われないように配置し、そのベース部材13及び保持部材14に対してフレーム11及び閉塞部材12を車幅方向に相対移動させる。
その車幅方向への相対移動を実現させる機構(言うなれば相対移動機構)は、閉塞部材12の背面に設けたボス部12aと、ベース部材13に形成され、そのボス部12aが挿通された貫通孔13aと、ボス部12aの雌ネジ部(図示略)に螺合されたネジ部材Bと、を備える(図15)。ボス部12aは、閉塞部材12の背面からベース部材13側に向けて立設させた筒体(ここでは円筒体)であり、その内方に雌ネジ部が形成されている。貫通孔13aは、相対移動方向(つまり車幅方向)に少なくとも相対移動の移動量分だけ延在させたものであり、短手方向における幅をボス部12aの外径よりも僅かに大きく形成している。ボス部12aは、その自由端側の端部を貫通孔13aよりも保持部材14側に突出させている。ベース部材13は、そのボス部12aにネジ部材Bを螺合させることによって、フレーム11及び閉塞部材12の一体化物に取り付けられると共に、この一体化物に対する車幅方向への相対移動が可能になる。この相対移動機構は、可動体10において複数設ける。この例示では、4つの相対移動機構を設けている。
第2駆動装置70は、動力源71と動力伝達装置72とを備える(図12)。この第2駆動装置70は、動力源71の動力を第1固定位置P1と第2固定位置P3との間における変位動作時の駆動力として可動体10に伝達させるものである。可動体10には、その駆動力として、第1固定位置P1から第2固定位置P3に変位させる際の第3駆動力と、第2固定位置P3から第1固定位置P1に変位させる際の第3駆動力とは逆向きの第4駆動力と、が伝達される。この第2駆動装置70は、可動体10(具体的には閉塞部材12)と保持部材14との間に配置される。
動力源71は、可動体10を変位させるための駆動力の元となる動力を発生させる。この例示では、この動力源71として電動機を用いる。この動力源71は、保持部材14に保持させている。この動力源71は、駆動制御装置によって制御される。その駆動制御装置は、第2駆動装置70専用のものであってもよく、第1駆動装置20の駆動制御装置23を用いてもよい。この例示では、第1駆動装置20の駆動制御装置23に第2駆動装置70専用の制御機能も持たせている。
動力伝達装置72は、運動方向変換機構を有するものであり、動力源71の動力が伝達された際に、第1固定位置P1と第2固定位置P3との間で可動体10を変位させる。このため、この動力伝達装置72は、動力源71から伝達された動力を駆動力に変換して可動体10に伝える。
この例示の動力伝達装置72は、ネジ歯車72aと斜歯歯車72bと平歯車72cとラックギヤ72dとを備える(図12)。ネジ歯車72aは、動力源71の出力軸(図示略)に対して同心上に取り付けられ、その出力軸と一体になって回転する。斜歯歯車72bは、ネジ歯車72aに噛み合わされている。この斜歯歯車72bは、回転軸72eに対して同心上に取り付けられ、その回転軸72eと一体になって回転する。その回転軸72eは、軸線方向を可動体10(フレーム11、閉塞部材12及びベース部材13)の中心軸に合わせて配置する。この回転軸72eは、軸周りに回転させるべく、保持部材14に対して回転自在に取り付けられている。平歯車72cは、斜歯歯車72bよりもベース部材13側で回転軸72eに対して同心上に取り付けられ、斜歯歯車72bと共に回転軸72eと一体になって回転する。ラックギヤ72dは、閉塞部材12に取り付けられ、フレーム11及び閉塞部材12と一体になって車幅方向に移動する。このラックギヤ72dは、ベース部材13から保持部材14側に突出させることによって、平歯車72cに噛み合わせる。このため、ベース部材13には、相対移動時におけるラックギヤ72dの車幅方向への移動を阻害せぬように、車幅方向に延在させた貫通孔13bを形成している(図13)。ラックギヤ72dは、その貫通孔13bを介して保持部材14側に突出させ、この突出部分で平歯車72cに噛み合わせている。
動力伝達装置72は、動力源71の動力が伝達されてきた際に、車幅方向に沿った駆動力を閉塞部材12に伝える。よって、この第2駆動装置70は、フレーム11及び閉塞部材12が第1固定位置P1のときに第1固定位置P1から第2固定位置P3に変位させるべく動力源71の動力が制御された場合、車両右方側に向けた第3駆動力を閉塞部材12に伝え、フレーム11及び閉塞部材12をベース部材13及び保持部材14に対して車両右方側に相対移動させる。これにより、可動体10においては、フレーム11及び閉塞部材12が第2固定位置P3へと変位する。また、この第2駆動装置70は、フレーム11及び閉塞部材12が第2固定位置P3のときに第2固定位置P3から第1固定位置P1に変位させるべく動力源71の動力が制御された場合、車両左方側に向けた第4駆動力を閉塞部材12に伝え、フレーム11及び閉塞部材12をベース部材13及び保持部材14に対して車両左方側に相対移動させる。これにより、可動体10においては、フレーム11及び閉塞部材12が第1固定位置P1へと変位する。
ここで、動力源71には、例えばスイッチ71aを介して電線74が電気的に接続されている(図7)。そして、この第2駆動装置70は、可動体10が起立位置P1と傾倒位置P2との間で変位する際に、可動体10と共に移動する。このため、電線74は、その配索経路如何で、可動体10の起立位置P1と傾倒位置P2との間における変位と共に撓んでしまう可能性がある。
そこで、この電線74は、その変位によって動力源71との距離が然程変化しない運動方向変換部材62に保持させ、この保持点よりも電源(車両の二次電池等)側で変位に伴う電線74の動きを吸収させる。例えば、第1運動方向変換部材62Aには、軸部材63や貫通孔62A1の軸線方向(言うなれば車両前後方向)に貫通させた貫通孔62A2を形成する(図7)。更に、第2運動方向変換部材62Bには、その軸線方向に貫通させた貫通孔62B2を形成する(図7)。動力源71側から引き出された電線74は、第2運動方向変換部材62Bの貫通孔62B2に車両後方側から通した後、第1運動方向変換部材62Aの貫通孔62A2に車両後方側から通し、車両前方へと引き出す(図9)。そして、この電線74は、この運動方向変換部材62に保持させる。その保持には、例えば、テープ巻き、クリップ等を用いればよい。これにより、本実施形態の車両用表示システム1は、可動体10が起立位置P1と傾倒位置P2との間で変位した際に、動力源71と運動方向変換部材62との間における電線74の撓みを抑えることができる。よって、この車両用表示システム1は、撓みそのものによる電線74の耐久性の低下を抑えることができる。更に、この車両用表示システム1は、その変位時における周辺の可動部品への電線74の接触を抑えることができるので、この点からも電線74の耐久性の低下を抑えることができる。
更に、本実施形態の車両用表示システム1は、表示対象情報を車室内の利用者が視認し得るように表示させる表示装置80を備える(図3及び図4)。その表示装置80は、少なくともフレーム11の内方領域11aで車室内の利用者に視認されるよう表示対象情報を表示させる。この例示の表示装置80は、フレーム11の内方領域11aよりも前面側に虚像を形成し、その虚像によって形成された表示対象情報が恰も内方領域11a(換言するならば露出面部12A)に表示されているかのように利用者に視認させる。このため、この表示装置80は、表示体81と半透明鏡(所謂ハーフミラー)82と光源83と表示制御装置84とを備える。
表示体81とは、表示対象情報に関わる表示像を作像し、この作像された表示像の投射光を半透明鏡82に投射させる作像・投射装置のことである。この表示体81は、可動体10よりも車室内側で且つ収容部101の上方に配置する。半透明鏡82は、表示体81よりも車両下方側で且つ可動体10よりも車室内側において、車両上方側を車両前方側へと傾倒させて配置する。表示体81から投射された表示像は、半透明鏡82を透過して、フレーム11の前面側に表示像(表示対象情報)の虚像を形成する。光源83は、例えばフレーム11を照らすものであり、起立位置P1における可動体10よりも車室内側で且つ車両上方側で、更に傾倒位置P2における可動体10よりも車両上方側に配置する。例えば、この光源83は、収容部101を成す壁体等に取り付ける。
例えば、表示制御装置84は、フレーム11の内方領域11aで車室内の利用者に視認されるよう表示対象情報を表示させるべく、可動体10の固定位置に応じた表示像(つまり可動体10の固定位置毎に異なる表示対象情報の表示像)を表示体81に作像させ且つ投射させる。また、この表示制御装置84は、起立位置P1(第1固定位置P1)と傾倒位置P2と第2固定位置P3とにおいて、表示対象情報の表示の有無を適宜制御するものであってもよい。表示対象情報を表示させない場合、表示制御装置84は、例えば表示像の作像及び投射を表示体81に禁止させる。ここでは、表示対象情報の図示を省略する。
また、この表示制御装置84は、この例示のように傾倒位置P2がフレーム11の内方領域11aを車両上方側で且つ車両後方側に向けた位置である場合、少なくとも起立位置P1(第1固定位置P1)と傾倒位置P2とで表示対象情報を表示させる。一方、表示制御装置84は、傾倒位置P2がフレーム11の内方領域11aを車両上方側に向けた位置であり、その内方領域11aを利用者が視認し難い場合、少なくとも起立位置P1(第1固定位置P1)で表示対象情報を表示させ、傾倒位置P2での表示対象情報の表示を禁止させる。但し、この例示では、フレーム11が車幅方向にも変位するので、第2固定位置P3においても表示対象情報を表示させる。
ここで、この表示装置80は、閉塞部材12に替えてフレーム11の内方領域11aに液晶表示装置等の表示体を配設し、その内方領域11aに表示対象情報を直接表示させるものであってもよい。
ところで、光源83がフレーム11を照らしているときには、この光源83からの出射光がフレーム11のみならず閉塞部材12の露出面部12Aにも到達する。このため、その露出面部12Aの形状如何では、露出面部12Aで反射した光源83の光の反射光によって、虚像が視認し難くなってしまう可能性がある。例えば、閉塞部材12が円板状に成形されており、露出面部12Aが平面になっている場合には、その反射光が虚像側に向けて出射される可能性が高く、虚像が車室内の利用者側から見え難くなってしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、露出面部12Aを曲面形状に形成することで、虚像の視認性を向上させる。
その露出面部12Aの曲面形状は、虚像の形成されている位置に向けた露出面部12Aからの反射光の出射量を減少させるべく、その位置を避けた方向へと反射光が拡散される形状とする。この曲面形状は、その条件を満たすものであれば如何様な形状であってもよい。例えば、露出面部12Aは、車室内の利用者側に突出させた凸状曲面形状又は車室内の利用者側とは逆側に凹ませた凹状曲面形状に形成すればよい。具体的に、凸状曲面形状とする場合、露出面部12Aは、フレーム11の内方領域11aにおける外周縁側から中央に向かうに連れて車室内の利用者側に突出させた円錐傾斜面形状に形成する(図3及び図4)。また、凹状曲面形状とする場合、露出面部12Aは、その内方領域11aにおける外周縁側から中央に向かうに連れて車室内の利用者側とは逆側に向けてすり鉢状に凹ませたすり鉢状の円錐傾斜面形状に形成する。
このように、本実施形態では、露出面部12Aを曲面形状に形成しているので、この露出面部12Aからの光源83の光の反射光を拡散させ、虚像側に向けた反射光の出射量を減少させることができる。従って、本実施形態の車両用表示システム1は、車室内の利用者側から見た虚像の視認性を向上させることができる。
以上示したように、本実施形態の車両用表示システム1は、起立位置P1と傾倒位置P2との間で可動体10を変位させ、その可動体10のフレーム11の内方領域11aに表示対象情報を表示させるものである。また、この車両用表示システム1は、第1固定位置P1(起立位置P1)と第2固定位置P3との間で可動体10を車幅方向にも変位させ、その可動体10のフレーム11の内方領域11aに表示対象情報を表示させることができる。このように、この車両用表示システム1は、車室内の利用者に対して視覚的な刺激を与えるものであり、商品性を向上させることができる。そして、この車両用表示システム1においては、閉塞部材12の露出面部12Aを曲面形状に形成し、虚像の視認性を高めているので、更なる商品性の向上が可能になる。
ここで、ここまでの例示では、収容部101を成す壁体等に光源83を取り付けている。このため、この車両用表示システム1においては、可動体10の固定位置如何で、フレーム11や露出面部12Aへの光源83の光の当り方が変わることになるので、例えばフレーム11の周囲における或る位置で部分的に陰が形成されてしまうなど、フレーム11の全体が均等に照らされない可能性がある。そこで、図16から図19に示す例示では、光源83を可動体10に取り付け、内方領域11a側からフレーム11を照らすように構成している。
この場合、閉塞部材12は、その内方領域11aにおける外周縁側を塞ぐ第1閉塞部材12B1と、この第1閉塞部材12B1よりも車室内の利用者側に当該第1閉塞部材12B1に対して間隔を空けて配置され、内方領域11aにおける第1閉塞部材12B1で塞がれなかった開口12bを車室内の利用者側から覆う第2閉塞部材12B2と、に分けて設ける。これにより、この閉塞部材12においては、第1閉塞部材12B1と第2閉塞部材12B2との間に、第2閉塞部材12B2の外周縁形状に沿った隙間12cが形成される。そして、光源83は、第2閉塞部材12B2に対して車室内の利用者側とは逆側で、かつ、その隙間12cからフレーム11を照らすように配置する。
具体的に、例えば、第1閉塞部材12B1には、内方領域11aにおける中心位置を中心位置とする又は内方領域11aにおける重心位置を重心位置とする開口12bを形成する。その開口12bの形状(換言するならば第1閉塞部材12B1の内周縁の形状)は、例えば、内方領域11aの外周縁を縮小させた形状となるように形成する。そして、第2閉塞部材12B2は、第1閉塞部材12B1の内周縁部に対して車室内の利用者側に間隔を空け、この第1閉塞部材12B1の内周縁部を車室内の利用者側から外周縁部で覆いつつ、開口12bも覆うことができる形状に成形する。図示しないが、第1閉塞部材12B1と第2閉塞部材12B2との間は、例えば第2閉塞部材12B2の外周縁部に沿って間隔を空けて配置した複数の連結部材を介して一体化されている。その連結部材は、光源83の光によるフレーム11の照射を邪魔しない位置に設ける。
光源83は、例えば、第2閉塞部材12B2とベース部材13との間に配置し、ブラケット等の連結部材(図示略)を介して第1閉塞部材12B1に取り付ける。
この例示では、円環状のフレーム11に合わせて、これと同心の円環状の第1閉塞部材12B1と円板状の第2閉塞部材12B2を設けている。このため、閉塞部材12には、第2閉塞部材12B2の外周縁部の周方向に沿った隙間12cが形成される。光源83は、第2閉塞部材12B2に対して車室内の利用者側とは逆側で、かつ、円板状の開口12bの中央部分に配置する。これにより、この可動体10においては、その固定位置に拘わらず、光源83の光が隙間12cから放射状に出射され、フレーム11を均等に照らすことができる(図20及び図21)。図20では、第1固定位置P1(起立位置P1)を例に挙げている。図21では、第2固定位置P3を例に挙げている。従って、この車両用表示システム1においては、可動体10の固定位置に影響されない均質なフレーム11の見栄えを提供することできるので、商品性を向上させることができる。
また、第1閉塞部材12B1や第2閉塞部材12B2には、先に説明した露出面部12Aの曲面形状を適用してもよい。これにより、この車両用表示システム1においては、虚像の視認性を向上させ、更なる商品性の向上が可能になる。