JP7032038B2 - ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブルに関する。
自動車の電動パーキングブレーキケーブルや車輪速センサケーブル等のケーブルには、導体の周りをポリエチレンやポリ塩化ビニル等の絶縁被覆層で被覆した複数の電線を束ね、その外周をシース層で被覆したケーブルが用いられている。このようなケーブルは、エンジンやブレーキディスク等からの放熱に曝されるため、強靱性及び柔軟性に加え、耐熱性が要求される。
この耐熱性の要求に対し、ポリウレタンエラストマーと、ポリジフェニルエーテル以外のハロゲン系難燃剤と、カルボジイミド化合物とを含む耐熱難燃性ポリウレタンエラストマー組成物で電線を被覆し、上記耐熱難燃性ポリウレタンエラストマー組成物に電子線を照射することで、シース層を形成したケーブルが提案されている(特開平6-212073号公報参照)。上記従来のケーブルでは、この電子線照射によりシース層のポリウレタンを電子架橋することで耐熱性を向上している。
特開平6-212073号公報
しかしながら、電動パーキングブレーキや車輪速センサ等に用いる電線は径が大きいため、この電線を束ねてシース層で被覆したケーブルの外径も大きくなる。ケーブルの外径が大きい場合、ケーブルを曲げた際の応力が大きくなるため、ケーブルの外周に位置するシース層に必要な強度が大きくなる。この強度確保のため、シース層の肉厚は大きくなり易い。シース層のポリウレタンを電子架橋するための電子線はシース層の外側から照射されるため、肉厚が大きいシース層の内部のポリウレタンまで電子架橋させるには、電子線の出力を高める必要がある。従って、上記従来のケーブルを製造するには、高出力な電子線設備が必要となり、ケーブルの製造コストが高くなる。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、強靱性、柔軟性及び耐熱性を有し、かつシース層の肉厚が大きい場合であっても製造コストが比較的低いケーブルの提供を目的とする。
本発明の一態様に係るケーブルは、導体及びこの導体を被覆する絶縁被覆層を有する1又は複数のコア材と、上記1又は複数のコア材を被覆するシース層とを備えるケーブルであって、上記シース層が内側シース層と、この内側シース層を被覆する外側シース層とを備え、内側シース層がシラン架橋した超低密度ポリエチレンを含有し、外側シース層の主成分がポリウレタンであり、上記内側シース層の樹脂成分100質量部における上記超低密度ポリエチレンの含有量が、20質量部以上100質量部以下であり、上記超低密度ポリエチレンにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が、0.05質量%以上1質量%以下である。
本発明のケーブルは、強靱性、柔軟性及び耐熱性を有し、かつシース層の肉厚が大きい場合であっても製造コストが比較的低い。従って、本発明のケーブルは、自動車の電動パーキングブレーキや車輪速センサ等の電気配線に使用されるケーブルとして好適に用いることができる。
本発明の一実施形態のケーブルの模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るケーブルは、導体及びこの導体を被覆する絶縁被覆層を有する1又は複数のコア材と、上記1又は複数のコア材を被覆するシース層とを備えるケーブルであって、上記シース層が内側シース層と、この内側シース層を被覆する外側シース層とを備え、内側シース層がシラン架橋した超低密度ポリエチレンを含有し、外側シース層の主成分がポリウレタンであり、上記内側シース層の樹脂成分100質量部における上記超低密度ポリエチレンの含有量が、20質量部以上100質量部以下であり、上記超低密度ポリエチレンにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が、0.05質量%以上1質量%以下である。
当該ケーブルは、内側シース層がシラン架橋した超低密度ポリエチレンを含有し、その含有量が上記範囲内であり、かつシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が上記下限以上である。これにより、上記超低密度ポリエチレンは、シラン架橋基が水分と接触することで架橋反応した網目状高分子構造を有する。上記内側シース層はこのシラン架橋した高分子構造により耐熱性が向上するので、当該ケーブルは少なくとも内側シース層を電子架橋する必要がない。このため、当該ケーブルは、製造時に電子線設備を必要としないか、又は外側シース層の電子架橋ができる程度の低出力な電子線設備しか必要としないので、電子線照射にかかるコストを低く抑えることができる。従って、当該ケーブルはシース層の肉厚が大きい場合であっても製造コストが比較的低い。また、シラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が上記上限以下であるので、内側シース層のシラン架橋基による硬質化が抑止され、当該ケーブルは柔軟性を有する。また、当該ケーブルは、外側シース層の主成分がポリウレタンである。ポリウレタンと超低密度ポリエチレンとは接着し易く、内側シース層と外側シース層との接着強度を確保し易いので、当該ケーブルは、内側シース層と外側シース層とが剥離し難い。また、ポリウレタンを主成分とすることで機械的強度が増すので、当該ケーブルは強靱性を有する。
内側シース層が非架橋樹脂をさらに含むとよい。内側シース層に比較的安価な非架橋樹脂をさらに含ませることで、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できる。
上記非架橋樹脂がエステル結合を含有するビニルモノマーと、エチレンとの共重合体であるとよい。上記共重合体は比較的安価であり、かつ外側シース層の主成分であるポリウレタンとの接着性が高い。従って、上記非架橋樹脂を上記共重合体とすることで、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できると共に内側シース層と外側シース層とをさらに剥離し難くできる。
外側シース層のポリウレタンがアロファネート架橋したポリウレタンであるとよい。このように外側シース層のポリウレタンをアロファネート架橋したポリウレタンとすることで、外側シース層の強度をさらに高められ、当該ケーブルの強靱性を高められる。また、外側シース層に対して電子線架橋を行う必要がないため、電子線設備を不要とでき、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できる。
ここで、「超低密度ポリエチレン」とは、比重が0.9以下のポリエチレンを指す。また、「主成分」とは、最も含有量の多い成分を意味し、例えば含有量が50質量%以上、好ましくは90%以上の成分をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るケーブルについて詳説する。
図1に示すケーブルは、2本のコア材1と、上記2本のコア材1を被覆するシース層2とを備える。当該ケーブルは、自動車の電気配線に使用される電動パーキングブレーキケーブルや車輪速センサケーブル等のケーブルとして好適に用いることができる。
<コア材>
2本のコア材1は、それぞれ電気信号を伝達する電線であり、導体1a及びこの導体1aを被覆する絶縁被覆層1bを有する。
2本のコア材1は、長さ方向に沿って外周が接するように配設されている。また、2本のコア材1は並列して配設されてもよいが、撚り合わされて配設されていることが好ましい。このように2本のコア材1を撚り合わせることで、当該ケーブルの柔軟性を高めることができる。
上記コア材1の導体1aは、単線又は撚線として構成される。また、上記導体1aの素線としては、通電できる限り特に限定されないが、錫メッキ軟銅線等の軟銅線、銅合金線などが挙げられる。
上記導体1aの平均外径はコア材1に要求される抵抗値等により適宜決定されるが、上記導体1aの平均外径の下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、上記導体1aの平均外径の上限としては、3mmが好ましく、2.6mmがより好ましい。上記導体1aの平均外径が上記下限未満であると、コア材1の抵抗値が高くなり過ぎ、電気信号が十分に伝達できないおそれがある。逆に、上記導体1aの平均外径が上記上限を超えると、コア材1が不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。なお、導体の「平均外径」とは、導体の断面と同等の面積を有する円の直径を長さ方向に平均した値を意味する。
上記コア材1の絶縁被覆層1bの主成分としては、絶縁性が確保される限り特に限定されないが、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂を用いることができる。また、上記樹脂は、電子線の照射により架橋処理されているとよい。上記樹脂が架橋処理されていることで、上記コア材1の耐熱性が向上する。
上記絶縁被覆層1bの平均肉厚の下限としては、0.15mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、上記絶縁被覆層1bの平均肉厚の上限としては、0.8mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。上記絶縁被覆層1bの平均肉厚が上記下限未満であると、コア材1の絶縁性が不足し、隣接するコア材1と短絡するおそれがある。逆に、上記絶縁被覆層1bの平均肉厚が上記上限を超えると、コア材1が不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
上記絶縁被覆層1bには、必要に応じて耐熱老化防止剤や難燃剤等の添加剤を適宜含有してもよい。上記耐熱老化防止剤としては、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-第三ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤や、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤などを挙げることができる。また、上記難燃剤としては、臭素系有機化合物、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
上記コア材1の平均外径の下限としては、1mmが好ましく、1.3mmがより好ましい。一方、上記コア材1の平均外径の上限としては、4mmが好ましく、3.8mmがより好ましい。上記コア材1の平均外径が上記下限未満であると、導体1aの平均外径又は絶縁被覆層1bの平均肉厚が不足し、コア材1の導電性が不足したり、絶縁性が不足したりするおそれがある。逆に、上記コア材1の平均外径が上記上限を超えると、コア材1が不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
<シース層>
シース層2は、上記2本のコア材1を被覆する内側シース層2aと、この内側シース層2aを被覆する外側シース層2bとを備える。
(内側シース層)
内側シース層2aは、シラン架橋した超低密度ポリエチレン(VLDPE;Very Low Density Polyethylene)を含有する。
内側シース層2aの樹脂成分100質量部における上記VLDPEの含有量の下限としては、20質量部であり、40質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましい。上記VLDPEの含有量が上記下限未満であると、当該ケーブルのシラン架橋が不十分となるおそれがある。一方、上記VLDPEの含有量の上限は、特に限定されず、100質量部であるが、後述する非架橋樹脂を含有させるためには、90質量部がより好ましい。
上記内側シース層2aの上記VLDPEにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量の下限としては、0.05質量%であり、0.1質量%がより好ましい。一方、上記ケイ素原子の含有量の上限としては、1質量%であり、0.5質量%がより好ましい。上記ケイ素原子の含有量が上記下限未満であると、当該ケーブルのシラン架橋による耐熱性向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記ケイ素原子の含有量が上記上限を超えると、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
上記内側シース層2aは非架橋樹脂を含むとよい。上記内側シース層2aに比較的安価な非架橋樹脂を含ませることで、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できる。上記非架橋樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)や、エチレンとエステル結合を含有するビニルモノマーとの共重合体等を挙げることができる。これらの非架橋樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ここで、「非架橋樹脂」とは、架橋していない樹脂を指す。
中でも上記非架橋樹脂がエステル結合を含有するビニルモノマーと、エチレンとの共重合体であるとよい。上記共重合体は比較的安価であり、かつ外側シース層2bの主成分であるポリウレタンとの接着性が高い。従って、上記非架橋樹脂を上記共重合体とすることで、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できると共に内側シース層2aと外側シース層2bとをさらに剥離し難くできる。このような共重合体としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体等を挙げることができる。
上記内側シース層2aが非架橋樹脂を含む場合、上記内側シース層2aの樹脂成分100質量部における上記非架橋樹脂の含有量の下限としては、10質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。一方、上記非架橋樹脂の含有量の上限としては、80質量部が好ましく、60質量部がより好ましい。上記非架橋樹脂の含有量が上記下限未満であると、非架橋樹脂を用いることによる当該ケーブルの製造コスト低減効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記非架橋樹脂の含有量が上記上限を超えると、相対的にシラン架橋したVLDPEが不足し、当該ケーブルのシラン架橋による耐熱性向上効果が不十分となるおそれがある。
上記内側シース層2aの平均外径は、2本のコア材1を被覆できるように適宜決定されるが、上記内側シース層2aの平均外径の下限としては、3mmが好ましく、3.4mmがより好ましい。一方、上記内側シース層2aの平均外径の上限としては、12mmが好ましく、11mmがより好ましい。上記内側シース層2aの平均外径が上記下限未満であると、当該ケーブルのシラン架橋による耐熱性向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記内側シース層2aの平均外径が上記上限を超えると、当該ケーブルが不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
上記内側シース層2aは、互いに接する2本のコア材1を被覆するため、肉厚が通常不均一となる。上記内側シース層2aの平均最小肉厚の下限としては、0.3mmが好ましく、0.45mmがより好ましい。一方、上記内側シース層2aの平均最小肉厚の上限としては、3mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。上記内側シース層2aの平均最小肉厚が上記下限未満であると、当該ケーブルのシラン架橋による耐熱性向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記内側シース層2aの平均最小肉厚が上記上限を超えると、当該ケーブルが不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。なお、内側シース層の「平均最小肉厚」とは、内側シース層の外周の任意の点とコア材の外周の任意の点との間の距離の最小値を長さ方向に平均した値を指す。
上記内側シース層2aには、架橋を促進するための触媒を含有させることが好ましい。このような触媒としては、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム等の金属カルボン酸塩や、チタン酸エステル、有機塩基、無機酸、有機酸などが挙げられる。内側シース層2aの樹脂100質量部に対する上記触媒の含有量の下限としては、0.01質量部が好ましく、0.03質量部がより好ましい。一方、上記触媒の含有量の上限としては、0.15質量部が好ましく、0.12質量部がより好ましい。上記触媒の含有量が上記下限未満であると、内側シース層2aのVLDPEの架橋が十分に進行しないおそれがある。逆に、上記触媒の含有量が上記上限を超えると、相対的にシラン架橋したVLDPEが不足し、当該ケーブルのシラン架橋による耐熱性向上効果が不十分となるおそれがある。
上記内側シース層2aには、必要に応じて耐熱老化防止剤や難燃剤等の添加剤を適宜含有してもよい。上記耐熱老化防止剤及び難燃剤としては、絶縁被覆層1bと同様のものを用いることができる。内側シース層2aにおける上記添加剤の含有量は、シラン架橋したVLDPEの耐熱性向上効果を維持しつつ、添加剤の効果が発現するように決められるが、樹脂100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下とできる。
(外側シース層)
外側シース層2bの主成分は、ポリウレタン(PU)である。中でも柔軟性に優れる熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
また、上記ポリウレタンは、電子線架橋したポリウレタンとすることもできるが、アロファネート架橋したポリウレタンであるとよい。このように外側シース層2bのポリウレタンをアロファネート架橋したポリウレタンとすることで、外側シース層2bの強度をさらに高められ、当該ケーブルの強靱性を高められる。また、外側シース層2bに対して電子線架橋を行う必要がなくなるため、内側シース層2aがシラン架橋したVLDPEにより電子架橋を行う必要がないことと相まって、シース層2を架橋するための電子線設備を不要とできる。このため、当該ケーブルの製造コストがさらに低減される。
なお、アロファネート架橋させたポリウレタンは、例えばジフェニルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキサンジイソシアナート等の多価イソシアナート化合物をポリウレタンのベース樹脂に添加したコンパウンドや、ポリウレタンのベース樹脂にイソシアナート基を含有させたアロファネート架橋性ポリマー等の外側シース層用樹脂組成物を用いて製造することができる。このとき、多価イソシアナート化合物の含有量の下限としては、外側シース層2bを構成する樹脂成分100質量部に対して2質量部が好ましく、4質量部がより好ましい。一方、上記多価イソシアナート化合物の含有量の上限としては、15質量部が好ましく、12質量部がより好ましい。
外側シース層2bの樹脂成分100質量部におけるPUの含有量の下限としては、50質量部が好ましく、80質量部がより好ましく、90質量部がさらに好ましい。上記PUの含有量が上記下限未満であると、内側シース層2aと外側シース層2bとの接着強度が不足するおそれがある。一方、上記PUの含有量の上限は、特に限定されず、100質量部とできる。
上記外側シース層2bの平均肉厚の下限としては、0.2mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。一方、上記外側シース層2bの平均肉厚の上限としては、0.7mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。上記外側シース層2bの平均肉厚が上記下限未満であると、当該ケーブルの強度が不足するおそれがある。逆に、上記外側シース層2bの平均肉厚が上記上限を超えると、当該ケーブルが不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。また、上記外側シース層2bを電子線架橋したポリウレタンとする場合、外側シース層2bを電子架橋するために高出力な電子線設備が必要となり、当該ケーブルの製造コスト低減効果が不足するおそれがある。
上記外側シース層2bには、必要に応じて耐熱老化防止剤や難燃剤等の添加剤を適宜含有してもよい。上記耐熱老化防止剤及び難燃剤としては、絶縁被覆層1bと同様のものを用いることができる。
当該ケーブルの平均外径の下限としては、3.5mmが好ましく、4mmがより好ましい。一方、当該ケーブルの平均外径の上限としては、13mmが好ましく、12mmがより好ましい。当該ケーブルの平均外径が上記下限未満である場合、シース層2の厚さが不足し、当該ケーブルの絶縁性が不足するおそれがある。逆に、当該ケーブルの平均外径が上記上限を超える場合、当該ケーブルが不要に太くなるため、当該ケーブルの柔軟性が低下するおそれがある。
当該ケーブルの内側シース層2aと外側シース層2bとの90°剥離試験による接着強度の下限としては、2.5N/cmが好ましく、3.5N/cmがより好ましい。上記接着強度が上記下限未満である場合、当該ケーブルの使用時に内側シース層2aと外側シース層2bとが剥離するおそれがある。一方、上記接着強度の上限は、特に限定されないが、通常15N/cm程度である。ここで、「90°剥離試験による接着強度」は、JIS-K-6854(1999)に記載の90°剥離試験に準拠して測定される値である。
当該ケーブルの25℃における弾性率の上限としては、30MPaが好ましく、25MPaがより好ましい。上記弾性率が上記上限を超えると、当該ケーブルの柔軟性が不足するおそれがある。一方、上記弾性率の下限としては、特に限定されないが、後述する耐熱性の観点から例えば5MPaとできる。ここで、「弾性率」とは、動的粘弾性測定法により測定される貯蔵弾性率の値である。
当該ケーブルの150℃における弾性率の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。上記弾性率が上記下限未満であると、当該ケーブルの耐熱性が不足するおそれがある。一方、上記弾性率の上限としては、特に限定されないが、柔軟性の観点から例えば0.8MPaとできる。
<ケーブルの製造方法>
当該ケーブルは、例えばシース層2を形成するための樹脂組成物を準備する工程と、上記樹脂組成物を用いた押出成形をする工程とを備える製造方法により製造することができる。
(樹脂組成物準備工程)
樹脂組成物準備工程では、内側シース層2aを形成するための内側シース層用樹脂組成物と、外側シース層2bを形成するための外側シース層用樹脂組成物とを準備する。
内側シース層用樹脂組成物としては、例えばVLDPEのベース樹脂にシラン化合物を添加したコンパウンドや、VLDPEのベース樹脂に活性シラン基を含有させたシラン架橋性ポリマー等を用いることができる。また、架橋反応を促進するための触媒や、耐熱老化防止剤等の添加剤を加えてもよい。なお、内側シース層2aに非架橋樹脂を含ませる場合は、内側シース層用樹脂組成物に非架橋樹脂をさらに加える。内側シース層用樹脂組成物は、例えばオープンロールミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押出機等により溶融混練され、例えばペレット状に成形される。
上記シラン化合物としては、アルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、上記シラン架橋性ポリマーは、例えばVLDPEのベース樹脂にシラン化合物を添加してスーパーミキサー等で室温で撹拌した後に、VLDPEの融点以上に加熱しつつ、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、又は二軸若しくは単軸押出機で混練を行う方法で製造することができる。これによりベース樹脂にシラン化合物がグラフトされ、シラン架橋性ポリマーが得られる。
上記シラン化合物のグラフトを促進するため、シラン化合物と共にラジカル発生剤を添加するとよい。このラジカル発生剤としては、例えばジクミルペルオキシド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
ベース樹脂100質量部に対するラジカル発生剤の含有量の下限としては、0.02質量部が好ましく、0.05質量部がより好ましい。一方、上記ラジカル発生剤の含有量の上限としては、0.15質量部が好ましく、0.12質量部がより好ましい。上記ラジカル発生剤の含有量が上記下限未満であると、シラン化合物のグラフトが不十分となるおそれがある。逆に、上記ラジカル発生剤の含有量が上記上限を超えると、内側シース層2aの加工性が低下するおそれや、局部的なグラフトが発生し、内側シース層2aを成形した際の外観が悪化するおそれがある。
また、外側シース層用樹脂組成物としては、例えばポリウレタンを含む組成物を用いることができる。また、上記組成物に耐熱老化防止剤等の添加剤を含めてもよい。
なお、外側シース層2bをアロファネート架橋させる場合は、例えばジフェニルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキサンジイソシアナート等の多価イソシアナート化合物をポリウレタンのベース樹脂に添加したコンパウンドや、ポリウレタンのベース樹脂にイソシアナート基を含有させたアロファネート架橋性ポリマー等を外側シース層用樹脂組成物として用いることができる。また、架橋反応を促進するための触媒を加えてもよい。なお、アロファネート架橋性ポリマーは、ポリウレタンのベース樹脂及び多価イソシアナート化合物を用いて、上記シラン架橋性ポリマーと同様の方法で製造することができる。
(押出成形工程)
押出成形工程では、例えば撚り合わせた2本のコア材1の周りに上記内側シース層用樹脂組成物及び外側シース層用樹脂組成物を、外側シース層用樹脂組成物が外側となるように押し出す。
押出成形は、公知の溶融押出成形機を用いることができる。また、押出は、上記内側シース層用樹脂組成物をコア材1の周りに押し出した後に、さらにその外周に外側シース層用樹脂組成物を押し出してもよく、上記内側シース層用樹脂組成物及び外側シース層用樹脂組成物を、外側シース層用樹脂組成物が外側となるように同時に押し出ししてもよい。
押出後にシース層2の架橋処理を行う。この架橋処理は上記シース層2を室温で放置することにより行うこともできるが、工程の短時間化のためには、上記架橋処理として水や水蒸気等による水架橋を用いることができる。この水架橋は、例えば温度50℃以上100℃以下、湿度85%以上95%以下の高湿恒温槽で24時間以上の条件で行われる。
なお、上記シース層2には、電子線を照射してさらに電子線架橋を行うこともできるが、電子線照射を行わないとよい。当該ケーブルは、電子線照射を行わなくともシラン架橋させたVLDPEにより耐熱性が向上する。このため、電子線照射を行わないことで、シース層2を架橋するための電子線設備を不要とでき、当該ケーブルの製造コストをさらに低減できる。
<利点>
当該ケーブルは、内側シース層2aがシラン架橋した超低密度ポリエチレンを含有し、内側シース層2aの樹脂成分100質量部における上記超低密度ポリエチレンの含有量が20質量部以上100質量部以下であり、かつシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が0.05質量%以上である。これにより、上記超低密度ポリエチレンは、シラン架橋基が水分と接触することで架橋反応した網目状高分子構造を有する。上記内側シース層2aはこのシラン架橋した高分子構造により耐熱性が向上するので、当該ケーブルは少なくとも内側シース層2aを電子架橋する必要がない。このため、当該ケーブルは、製造時に電子線設備を必要としないか、又は外側シース層2bの電子架橋ができる程度の低出力な電子線設備しか必要としないので、電子線照射にかかるコストを低く抑えることができる。従って、当該ケーブルはシース層2の肉厚が大きい場合であっても製造コストが比較的低い。また、シラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が1質量%以下であるので、内側シース層2aのシラン架橋基による硬質化が抑止され、当該ケーブルは柔軟性を有する。また、当該ケーブルは、外側シース層2bの主成分がポリウレタンである。ポリウレタンと超低密度ポリエチレンとは接着し易く、内側シース層2aと外側シース層2bとの接着強度を確保し易いので、当該ケーブルは、内側シース層2aと外側シース層2bとが剥離し難い。また、ポリウレタンを主成分とすることで機械的強度が増すので、当該ケーブルは強靱性を有する。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、コア材が2本の場合を説明したが、コア材は1本又は3本以上であってもよい。
また、当該ケーブルは、コア材とシース層との間や、シース層の外周に他の層を備えてもよい。コア材とシース層との間に配設される他の層としては、例えば当該ケーブルからコア材を取り出し易くするための紙テープ層が挙げられる。また、シース層の外周に配設される他の層としては、例えばシールド層が挙げられる。
上記実施形態では、当該ケーブルの製造方法として、押出成形を行ってから架橋処理を行う場合について説明したが、樹脂組成物に架橋処理を行った後に押出成形を行ってもよい。
また、上記実施形態では、非架橋樹脂を加え溶融混練された内側シース層用樹脂組成物を押出成型機に投入する場合を説明したが、非架橋樹脂は押出成形時に混ぜ合わせてもよい。具体的には、内側シース層用樹脂組成物及び非架橋樹脂それぞれをペレット状に成形して準備し、これらのペレットを押出成型機に投入することで、非架橋樹脂を混ぜ合わせながら押し出してもよい。
また、当該ケーブルは、自動車の電気配線に使用されるケーブルに限定されるものではなく、例えば自動車の給電用のケーブルや耐熱性の要求される電子機器用のケーブル等として使用してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[No.1]
まず、ベース樹脂としての比重0.870のVLDPE(ダウ社の「エンゲージ8100」)、及びシラン化合物としてのアルコキシシラン(信越シリコーン社の「KBM1003」)をVLDPEにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量(Si含有量)が0.2質量%となるように混合した。この混合物100質量部、及びラジカル発生剤としてのジクミルペルオキシド(日本油脂株式会社の「パークミルD」)1質量部をスーパーミキサーに投入して、室温にて60rpmでローターを回転させて撹拌した。次に、混合容量3Lの加圧ニーダーに投入して、ローターを30rpmで回転させて、開始温度100℃、練り上がり温度200℃で溶融混練し、シラン架橋基含有VLDPEを得た。
内部シース層用樹脂組成物として、上記シラン架橋基含有VLDPE、非架橋のEVA(三井デュポンポリケミカル株式会社の「エバフレックスEV360」)、酸化防止剤(BASF社のイルガノックス1010)、及び触媒(ジオクチル錫)を混合したものを表1に示す組成で準備した。
外部シース層用樹脂組成物として、エーテル系のポリウレタン(BASF社の「ET385-50」)を準備した。なお、上記ポリウレタンはアロファネート架橋基を含有していないポリウレタンである。
撚り合わせた2本のコア材(導体径2.4mm、絶縁被覆層肉厚0.3mm)の周りに、上記内側シース層用樹脂組成物及び外側シース層用樹脂組成物を、外側シース層用樹脂組成物が外側となるように同時に押出成形を行った。なお、上記押出成形には、ケーブルの平均外径が8.3mm、外側シース層の平均肉厚が0.5mmとなるような金型を用いた。上記押出成形後、温度60℃、湿度90%の高湿高温槽で24時間の架橋処理を行い、No.1のケーブルを得た。
[No.2~4、8]
No.1の内部シース層用樹脂組成物において、シラン架橋基含有VLDPE及び非架橋のEVAを表1に示す組成とした以外は、No.1と同様にして、No.2~No.4及びNo.8のケーブルを得た。
[No.5]
外部シース層用樹脂組成物として、No.2のポリウレタン100質量部に対して、多価イソシアナート化合物含有ポリウレタン(大日精化工業株式会社の「クロスネートEM-30」、多価イソシアナート化合物の含有量30質量%以上40質量%以下のポリウレタン)20質量部を混合して、アロファネート架橋基を含有するポリウレタンを準備した。なお、上記混合後の多価イソシアナート化合物の含有量は、外側シース層を構成する樹脂成分100質量部に対して5質量部以上6.6質量部以下である。この外部シース層用樹脂組成物を用いた以外は、No.2と同様にして、No.5のケーブルを得た。
[No.6]
ベース樹脂としての比重0.870のVLDPE(ダウ社の「エンゲージ8100」)、及びシラン化合物としてのアルコキシシラン(信越シリコーン社の「KBM1003」)をVLDPEにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量(Si含有量)が0.7質量%となるように混合した。この混合物を用いた以外は、No.2と同様にして、No.6のケーブルを得た。
[No.7]
内部シース層用樹脂組成物として、非架橋のEVA(三井デュポンポリケミカル株式会社の「エバフレックスEV360」)、及び酸化防止剤(BASF社のイルガノックス1010)を混合したものを表1に示す組成で準備した。
上記内部シース層用樹脂組成物を用いた以外は、No.1と同様にして押出成形を行った。上記押出成形後、180kGyの電子線照射により架橋処理を行い、No.7のケーブルを得た。
[No.9、10]
シラン架橋基含有VLDPEにおいて、ベース樹脂としてのVLDPE及びシラン化合物としてのアルコキシシランを表1に示すSi含有量となるように混合した以外は、No.1と同様にして、No.9、10のケーブルを得た。
[No.11]
ベース樹脂としての比重0.929の低密度ポリエチレン(LDPE、Low Density Polyethylene;日本ポリエチレン株式会社の「ノバテックLF280H」)、及びシラン化合物としてのアルコキシシラン(信越シリコーン社の「KBM1003」)をSi含有量が0.2質量%となるように混合した。この混合物を用いて、No.2と同様の条件で溶融混練し、シラン架橋基含有LDPEを得た。なお、「低密度ポリエチレン」とは、比重が0.9超0.93以下のポリエチレンを指す。
上記シラン架橋基含有LDPEを用いた以外は、No.2と同様にして、No.11のケーブルを得た。
[No.12]
No.11の内部シース層用樹脂組成物において、シラン架橋基含有LDPE及び非架橋のEVAを表1に示す組成とした以外は、No.11と同様にして、No.12のケーブルを得た。
[No.13]
ベース樹脂としての比重0.936のEVA(旭化成株式会社の「サンテックEF1531」)、及びシラン化合物としてのアルコキシシラン(信越シリコーン社の「KBM1003」)をSi含有量が0.2質量%となるように混合した。この混合物を用いて、No.2と同様の条件で溶融混練し、シラン架橋基含有EVAを得た。
上記シラン架橋基含有EVAを用いた以外は、No.2と同様にして、No.13のケーブルを得た。
[No.14]
No.13の内部シース層用樹脂組成物において、シラン架橋基含有EVA及び非架橋のEVAを表1に示す組成とした以外は、No.13と同様にして、No.14のケーブルを得た。
[評価方法]
No.1~No.14のケーブルについて、内側シース層と外側シース層との接着強度と、25℃及び150℃における弾性率を測定した。結果を表1に示す。
(接着強度)
接着強度は、JIS-K-6854(1999)に記載の90°剥離試験に準拠して測定した。なお、接着強度が2.5N/cm以上である場合、内側シース層と外側シース層との接着強度が高いと判断した。
(弾性率)
25℃及び150℃における弾性率は、動的粘弾性測定法により25℃及び150℃における貯蔵弾性率を測定した。上記測定における測定周波数は10Hz、歪みは0.08%とした。なお、25℃における弾性率が30MPa以下である場合、ケーブルの柔軟性が優れると判断した。また、150℃における弾性率が0.1MPa以上である場合、ケーブルが熱変形し難く、耐熱性が優れると判断した。
Figure 0007032038000001
表1において、材料の欄の「-」は含有していないことを示す。また、電子線照射の欄の「-」は、電子線照射を行っていないことを示す。また、150℃における弾性率の欄の「-」は、ケーブルを150℃とすることでケーブルの軟化が進み過ぎ、弾性率が測定できなかったことを意味する。
表1から、No.1~No.6のケーブルは、接着強度が高く、柔軟性及び耐熱性に優れる。特にNo.1~No.6のケーブルは、電子線照射を行ったNo.7のケーブルと同等の接着強度及び柔軟性を有する。
これに対し、No.8のケーブルは、内側シース層のシラン架橋したVLDPEの含有量が小さいため、耐熱性に劣る。また、No.9のケーブルは、内側シース層のシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が大きいため、柔軟性に劣る。No.10のケーブルは、内側シース層のシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量が小さいため、耐熱性に劣る。また、No.11~14のケーブルは、内側シース層のシラン架橋したVLDPEを含有しないため、接着強度及び柔軟性に劣る。
さらに、VLDPEにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量のみが異なるNo.2とNo.6とを比較すると、No.2は、No.6に対して耐熱性及び接着強度が同等であり、柔軟性に優れる。このことから、VLDPEにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量を0.1質量%以上0.5質量%以下とすることで、さらに柔軟性を高められることが分かる。
以上から、内側シース層にシラン架橋したVLDPEを用い、上記内側シース層の樹脂成分100質量部における上記超低密度ポリエチレンの含有量を20質量部以上100質量部以下の範囲とし、上記超低密度ポリエチレンにおけるシラン架橋を構成するケイ素原子の含有量を0.05質量%以上1質量%以下の範囲とすることで、電子線照射をすることなく、強靱性、柔軟性及び耐熱性に優れるケーブルが得られることが分かる。
本発明のケーブルは、強靱性、柔軟性及び耐熱性を有し、かつケーブルの径が大きい場合であっても製造コストが比較的低い。従って、本発明のケーブルは、自動車の電気配線に使用される電動パーキングブレーキケーブルや車輪速センサケーブル等のケーブルとして好適に用いることができる。
1 コア材
1a 導体
1b 絶縁被覆層
2 シース層
2a 内側シース層
2b 外側シース層

Claims (9)

  1. 導体及びこの導体を被覆する絶縁被覆層を有する1又は複数のコア材と、上記1又は複数のコア材を被覆するシース層とを備えるケーブルであって、
    上記シース層が内側シース層と、この内側シース層を被覆する外側シース層とを備え、
    内側シース層がシラン架橋した超低密度ポリエチレンを含有し、
    外側シース層の主成分がポリウレタンであり、
    上記内側シース層の樹脂成分100質量部における上記超低密度ポリエチレンの含有量が、20質量部以上100質量部以下であり、
    上記内側シース層の樹脂成分中のケイ素原子の含有量が上記樹脂成分の全量に対して0.04質量%以上0.2質量%以下であるケーブル。
  2. 上記ケイ素原子が、アルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランよりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物由来である請求項1に記載のケーブル。
  3. 25℃における貯蔵弾性率が5MPa以上30MPa以下である請求項1又は請求項2に記載のケーブル。
  4. 150℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以上0.8MPa以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のケーブル。
  5. 上記内側シース層と上記外側シース層との90°剥離試験による接着強度が、2.5N/cm以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のケーブル。
  6. 上記内側シース層がエステル結合を含有するビニルモノマーとエチレンとの共重合体をさらに含み、
    上記内側シース層の樹脂成分100質量部における、上記超低密度ポリエチレンの含有量が20質量部以上50質量部以下であり、上記共重合体の含有量が50質量部以上80質量部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のケーブル。
  7. 上記外側シース層のポリウレタンがアロファネート架橋したポリウレタンである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のケーブル。
  8. 自動車の電動パーキングブレーキの電気配線に使用される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のケーブル。
  9. 車輪速センサの電気配線に使用される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のケーブル。
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