JP7031287B2 - 3次元網目状構造体 - Google Patents
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即ち、熱可塑性樹脂を押出機内で溶融し、多数の孔を有するダイスから溶融した樹脂を押出成形してストランドとする。ダイスの下方には水槽が設けられており、ストランドが自然流下して水槽内に着水し、ストランドが水中に滞留すると、水による冷却で樹脂が固化し、ループ状の絡み合いを持つ3次元網目状構造体が製造される(特許文献1)。
成形に用いる熱可塑性樹脂としては、エチレン・α-オレフィン共重合体が提案されている。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]~[7]の通りである。
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1~10の炭化水素基又は炭素数1~10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1~10のアルコキシ基である。)
本発明の変性ポリエチレンは、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される補外結晶融解終了温度が100℃~130℃、およびJIS K6253によるA硬度が90以下の条件を満足するポリエチレン(以下、「本発明のポリエチレン」と称す場合がある。)に不飽和シラン化合物が0.1~5質量%グラフト変性されたものである。
本発明のポリエチレンとしては、原料モノマーとしてエチレンを含むものであれば限定されず、公知のポリエチレン樹脂が適宜用いられる。
即ち、変性エチレン・α-オレフィン共重合体の耐熱性の問題について前述したが、変性エチレン・α-オレフィン共重合体に限らず、ポリエチレン全般に耐熱性の問題があり、これらは、本発明に従って補外結晶融解終了温度が100℃~130℃、及びJIS K6253によるA硬度が90以下の条件を満足するポリエチレンを用い、これを不飽和シラン化合物で変性することで、耐熱性をより改善することができる。
本発明に用いる不飽和シラン化合物は限定されないが、下記式(1)で表される不飽和シラン化合物が好適に用いられる。
RSi(R’)3 …(1)
本発明の変性ポリエチレンは、上記の本発明のポリエチレンに上記の不飽和シラン化合物をグラフト変性することにより製造することができる。グラフト変性の方法には特に制限は無く、公知の手法に従って行うことができ、例えば、溶液変性、溶融変性、電子線や電離放射線の照射による固相変性、超臨界流体中での変性等が好適に用いられる。これらの中でも設備やコスト競争力に優れた溶融変性が好ましく、連続生産性に優れた押出機を用いた溶融混練変性が更に好ましい。溶融混練変性に用いられる装置としては、例えば単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー等が挙げられる。これらの中でも連続生産性に優れた単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機が好ましい。
本発明の変性ポリエチレンには、樹脂組成物に常用されている配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。このような配合剤としては、例えば熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、防錆剤、粘度調整剤、及び顔料等を挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、具体的には、2-ヒドロキシ-4-ノルマル-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアリゾール系;フェニルサルチレート、p-オクチルフェニルサルチレート等のサリチル酸エステル系のものが用いられる。紫外線吸収剤は、変性ポリエチレン100質量部に対して1.0~0.01質量部含有させるのが好ましい。
粘度調整剤としてはゴム配合油、具体的にはパラフィン系プロセスオイルが好ましい。粘度調整剤は、変性ポリエチレン100質量部に対して0.5~5質量部含有させるのが好ましい。
本発明の変性ポリエチレンは、JIS K7210(1999)に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトフローレート(MFR)が、通常1g/10分以上、好ましくは2g/10分以上、より好ましくは3g/10分以上であり、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは25g/10分以下である。MFRが前記下限値以上であると、ダイスウェル及び溶融張力が低いためストランド径が増加しにくく、3次元網状構造体の側面に沿ってループを形成しやすく、良好な反発感を持つ製品を作製しやすくなる。MFRが前記上限値以下であると、複数のストランドを押出成形する際、ストランドの吐出が安定しやすく、複数のストランドが丸まって固まった樹脂塊を形成しにくい。またループ形成及びストランドの融着が安定し、ストランド径も均一となりやすく、3次元網状構造体としての均一性が良好となり、製品としての性能、品質が向上する傾向にある。
本発明の変性ポリエチレンとシラノール縮合触媒とを用いて変性ポリエチレン組成物とすることができる。
この変性ポリエチレン組成物は、本発明の変性ポリエチレンが流動性に優れることから、組成物としたときの流動性、成形性にも優れる。
本発明に用いることのできるシラノール縮合触媒としては、金属有機酸塩、チタネート、ホウ酸塩、有機アミン、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、無機酸及び有機酸、並びに無機酸エステルからなる群から選択される1種以上の化合物等が挙げられる。
なお、以上に挙げたシラノール縮合触媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン・エチレン共重合体としては、高融点の観点からエチレン5~20質量%とプロピレン95~80質量%とを共重合させたものが好ましい。
本発明の変性ポリエチレン組成物には、本発明の変性ポリエチレン、及びシラノール縮合触媒以外に、その他の成分として各種の添加剤や変性ポリエチレン及び触媒マスターバッチ中のポリオレフィン以外の樹脂等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
また、前述の変性ポリエチレンに配合し得る配合剤を含有させることができる。
本発明の変性ポリエチレンとシラノール縮合触媒を含む本発明の変性ポリエチレン組成物を押出成形、射出成形、プレス成形等の各種成形方法により成形した後、水雰囲気中に曝すことにより、シラノール基間の架橋反応を進行させ、シラン架橋ポリエチレンとすることができる。水雰囲気中に曝す方法は、各種の条件を採用することができ、水分を含む空気中に放置する方法、水蒸気を含む空気を送風する方法、水浴中に浸漬する方法、温水を霧状に散水させる方法等が挙げられる。
シラン架橋ポリエチレンのゲル分率は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定することができる。
本発明の変性ポリエチレン、変性ポリエチレン組成物及びシラン架橋ポリエチレンの用途は特に限定されないが、家具、ベッド用マット、枕等の寝具;車両用、船舶などの乗物用座席等のクッション材として好適に用いることができる。なお、これらの用途に適用される場合、前述の3次元網目状構造体として用いることが好ましい。この3次元網目状構造体は、必要に応じて、他の材料との積層体として用いることもできる。
ただし、本発明の成形体は何ら3次元網目状構造体に限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
・PE-1:ニポロン(登録商標)HM510R(東ソー社製、エチレン・1-ヘキセン共重合体、MFR:12g/10分(190℃、2.16kg荷重)、密度:0.905g/cm3、融解終了温度:98℃、A硬度:92)
・PE-2:インフューズ(登録商標) 9807(ダウデュポンエラストマー社製、エチレン・1-オクテン共重合体、MFR:8g/10分(190℃、2.16kg荷重)、密度:0.866g/cm3、融解終了温度:125℃、A硬度:61)
・触媒MB:LZ082(三菱化学社製、錫触媒(ジオクチル錫ジラウレート)を下記物性の線状低密度ポリエチレン中に1質量%含有するもの)を使用した。
(線状低密度ポリエチレンの物性)
MFR:4g/10分(190℃、2.16kg荷重)
密度:0.900g/cm3
融点:90℃
各種物性、特性の測定・評価方法は以下の通りである。
(融解終了温度)
(株)日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計、商品名「DSC6220」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約5mgを加熱速度100℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で3分間保持した後、冷却速度10℃/分で-10℃まで降温し、その後、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから補外ピーク終了点(℃)を算出し融解終了温度とした。
JIS K6253に準拠して、高分子計器社製ASKER CL-150にて測定した。
JIS K7210(1999)に準拠して、190℃、2.16kg荷重にて測定した。
シラン変性ポリエチレンを加熱燃焼させ灰化し、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定量し、高周波プラズマ発光分析装置(島津製作所社製ICPS7510)を用いてICI発光分析法によりグラフト変性により導入された不飽和シラン化合物量の定量を行った。
(ゲル分率)
キシレン沸点にて10時間ソックスレー抽出した後の不溶分の質量%を測定した。
製造されたシート状の成形品を直径30mmの円形状に打ち抜き、これを6枚重ね、JIS K6262に準拠して、スペーサーにより25%圧縮した状態で、23℃で24時間、次いで表1に示す試験温度(20℃、50℃又は70℃)で22時間熱処理を行い、圧縮をとき、処理後23℃の恒温室に30分放置した後、厚さを測定し、圧縮永久歪み(CS:単位%)を計算した。圧縮永久歪みの値は低い方が良好である。
上記圧縮永久歪みの測定において、70℃で圧縮永久歪を測定したサンプルを無荷重で85℃・85%Rhの条件で3時間保管し形状回復させた。その後、23℃の恒温室に30分放置し、厚さを測定し形状回復後の永久歪(単位%)を計算した。形状回復後の永久歪の値は低い方が良好である。
<実施例1>
ポリエチレンとしてPE-1を75質量部、およびPE-2を25質量部用い、不飽和シラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(VTMOS)2.0質量部と、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド0.2量部をブレンダーにて攪拌した。その後、温度220℃に設定された二軸スクリュー押出機(池貝社製、PCM45)に投入し、ノズルより出てきたストランドを水槽にて冷却固化させた後にペレット状にカッティングして変性ポリエチレン-Aを得た。得られた変性ポリエチレン-Aの物性を表-1に示す。
ポリエチレンとしてPE-1を50質量部およびPE-2を50質量部用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、変性ポリエチレン-Bを得た。変性ポリエチレン-Bを用い実施例1と同様な操作を行い変性ポリエチレン組成物-Bを製造し、更に、シラン架橋ポリエチレン-Bを製造した。
変性ポリエチレン-B及びシラン架橋ポリエチレン-Bについて評価を行った結果を表-1に示す。
ポリエチレンとしてPE-1を25質量部およびPE-2を75質量部用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、変性ポリエチレン-Cを得た。変性ポリエチレン-Bを用い実施例1と同様な操作を行い変性ポリエチレン組成物-Cを製造し、更に、シラン架橋ポリエチレン-Cを製造した。
変性ポリエチレン-C及びシラン架橋ポリエチレン-Cについて評価を行った結果を表-1に示す。
ポリエチレンとしてPE-2を100質量部用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、変性ポリエチレン-Dを得た。変性ポリエチレン-Dを用い実施例1と同様な操作を行い変性ポリエチレン組成物-Dを製造し、更に、シラン架橋ポリエチレン-Dを製造した。
変性ポリエチレン-D及びシラン架橋ポリエチレン-Dについて評価を行った結果を表-1に示す。
ポリエチレンとしてPE-1を100質量部用い、VTMOS、有機過酸化物を用いない以外は、実施例1と同様の操作を行い、非変性ポリエチレン-Eを得た。非変性ポリエチレン-Eを用い、触媒MB:LZ082を用いない以外は実施例1と同様の操作を行い非架橋ポリエチレン組成物-Eを製造し、更に、非架橋ポリエチレン-Eを製造した。
非変性ポリエチレン-E及び非架橋ポリエチレン-Eについて評価を行った結果を表-1に示す。
ポリエチレンとしてPE-1を100質量部用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、変性ポリエチレン-Fを得た。変性ポリエチレン-Fを用い実施例1と同様の操作を行い変性ポリエチレン組成物-Fを製造し、更に、シラン架橋ポリエチレン-Fを製造した。
変性ポリエチレン-F及びシラン架橋ポリエチレン-Fについて評価を行った結果を表-1に示す。
実施例1~4の変性ポリエチレンは圧縮永久歪が小さく、形状回復後の永久歪も小さいため、耐久性、耐熱性、および形状回復性に優れるものである。
このポリエチレンをシラン変性した比較例1の変性ポリエチレンも、圧縮永久歪も形状回復後の永久歪も大きい。
このため、これらは、歪が残りやすく耐久性、および耐熱性に劣る。
Claims (4)
- 示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される補外結晶融解終了温度が100℃~130℃、およびJIS K6253によるA硬度が60以上90以下の条件を満足するエチレン・α-オレフィン共重合体に不飽和シラン化合物が0.1~5質量%グラフト変性された変性ポリエチレンと、
シラノール縮合触媒とを含む変性ポリエチレン組成物を架橋反応させたシラン架橋ポリエチレンよりなる3次元網目状構造体であって、
該シラン架橋ポリエチレンをキシレン沸点にて10時間ソックスレー抽出した後の不溶分であるゲル分率が35~50%である3次元網目状構造体。 - 前記不飽和シラン化合物が下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の3次元網目状構造体。
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1~10の炭化水素基又は炭素数1~10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1~10のアルコキシ基である。) - 前記エチレン・α-オレフィン共重合体の密度が0.850~0.940g/cm3である、請求項1又は2に記載の3次元網目状構造体。
- 前記変性ポリエチレン組成物の押出成形ストランド同士の熱融着物を前記架橋反応させてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の3次元網目状構造体。
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