JP7031090B2 - 車両用バックドアインナパネル - Google Patents

車両用バックドアインナパネル Download PDF

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Description

本発明は、車両用バックドアを構成する合成樹脂製のインナパネルに関する。
車両の軽量化および製造コストの縮減のため、従来の板金製に替わって合成樹脂製のバックドアが知られている。合成樹脂製のバックドアは、板金製のバックドアと比較して剛性が低く、かつ変形しやすいという欠点がある。合成樹脂製のバックドアは、車両前方に位置するインナパネルに、車両後方に位置するアウタパネルが接合された構成となっている。このうち、インナパネルがバックドアの強度および剛性を受け持つ部材である。インナパネルにおいて、バックウインドウが設けられる開口部よりも車両下方に位置し、かつ板構造を構成する裾部は、特に剛性が低く、かつ変形しやすい部位である。
こうした事情から、特許文献1において、合成樹脂製のバックドアを構成するインナパネルとアウタパネルとの間の中空部に、板金製のリインフォースが配置されたバックドアの補強構造が開示されている。当該補強構造により、バックドアの剛性が車両上下方向のみならず車幅方向においても向上し、バックドア全体の変形量を抑制することができる。ただし、板金製のリインフォースを配置するため、バックドアの重量が増加し、車両の燃費性能が低下するという課題がある。あわせて、バックドアの部品点数および組立工数が増加するという課題がある。
特開2013-233871号公報
本発明は、上述の事情に鑑み、軽量化を図りつつ、剛性を向上させることが可能な車両用バックドアインナパネルを提供することをその課題とする。
本発明によって提供される車両用バックドアインナパネルは、バックウインドウが設けられる開口部と、前記開口部よりも車両上方に位置し、かつ車幅方向に延びる上部と、前記開口部よりも車両下方に位置する裾部と、前記開口部の左右両側に位置し、かつ車両上下方向に延びるとともに、前記上部と前記裾部とを連結する一対の側部と、を備える合成樹脂製の車両用バックドアインナパネルであって、前記裾部は、その上端に位置する開口下辺部と、前記開口下辺部の左右両側に位置し、かつ前記側部の下端がそれぞれつながる一対の連結部と、当該裾部の下端および左右両端に位置し、かつ一対の前記連結部につながる枠部と、を有し、前記開口下辺部と、一対の前記連結部と、前記枠部と、の各々には、車両後方に向けて開口した第1凹溝が形成され、前記裾部において前記第1凹溝により囲まれた領域には、前記第1凹溝の底面に対して車両後方に向けて膨出する箱形膨出部が形成され、一対の前記連結部と、前記枠部とには、前記第1凹溝よりも外周側に位置する第2凹溝が形成され、前記第2凹溝の底面は、前記第1凹溝の底面よりも車両後方に位置することを特徴としている。
本発明にかかる車両用バックドアインナパネルにおいては、裾部の開口下辺部と、一対の連結部と、枠部との各々には、車両後方に向けて開口した第1凹溝が形成されている。また、裾部において第1凹溝により囲まれた領域には、第1凹溝の底面に対して車両後方に向けて膨出する箱形膨出部が形成されている。このような構成をとることによって、剛性が高い枠状の骨格構造が箱形膨出部を取り囲むように裾部に構成されるため、比較的重量が重いリインフォースを設けずに、裾部の剛性を向上させることができる。
あわせて、一対の連結部と、枠部とには、第1凹溝よりもインナパネルの外周側に位置する第2凹溝が形成されている。第2凹溝の底面は、第1凹溝の底面よりも車両後方に位置する。このため、一対の連結部および枠部は、第1凹溝および第2凹溝により車両前後方向の段差を有する二段溝構造となっており、車両上下方向まわりの断面二次モーメントがより増加した構成となっている。このため、当該二段溝構造によって、裾部の剛性をより向上させることができる。したがって、本発明にかかる車両用バックドアインナパネルによれば、軽量化を図りつつ、剛性を向上させることが可能となる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の一実施形態にかかる車両用バックドアインナパネルの車両前方から視た斜視図である。 図1に示すインナパネルの車両後方から視た斜視図である。 図1に示すインナパネルの概略正面図(車両後方から視た図)である。 図1に示すインナパネルの詳細正面図(車両後方から視た図)である。 図4のV-V線に沿う断面図である。 図4のVI-VI線に沿う断面図である。 図4のVII-VII線に沿う断面図である。 図4のVIII-VIII線に沿う断面図である。
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
図1~図8に基づき、本発明の一実施形態にかかる車両用バックドアインナパネル(以下「インナパネルA10」という。)について説明する。
ここで、説明の便宜上、各図において示されるuprを車両上方向、dwを車両下方向、frを車両前方向、rrを車両後方向、rhを車両右方向、lhを車両左方向とする。なお、以下の説明で、特記なく上下を用いる場合は、車両上下方向の上下を指すものとし、特記なく左右を用いる場合は、車両左右方向(車幅方向)の左右を指すものとする。あわせて、特記なく前後を用いる場合は、車両前後方向の前後を指すものとする。
車両用バックドア(以下、単に「バックドア」という。)は、車両の後部開口を塞ぐように配置され、インナパネルA10およびアウタパネル(図示略)を構成要素として含む。インナパネルA10は、車両前方および車内側に位置し、アウタパネルは、車両後方および車外側に位置する。インナパネルA10およびアウタパネルは、ともに合成樹脂製である。インナパネルA10にアウタパネルを接合させ、かつバックウインドウ(図示略)を車両後方からアウタパネルに接合させることによって、バックドアが構成される。インナパネルA10は、ガラス繊維(GF)が含有されたポリプロピレン(PP)により構成され、かつ射出成形により一体成形されている。本実施形態では、インナパネルA10の色は、灰白色である。
インナパネルA10は、図1~図4に示すように、開口部10、上部20、裾部30および一対の側部40を備える。
開口部10は、図1~図4に示すように、上部20、裾部30および一対の側部40によって囲まれた開口領域である。バックドアが構成されたとき、開口部10には、車両後方から開口部10を塞ぐバックウインドウ(図示略)が設けられる。
図1~図4に示すように、裾部30および一対の側部40の外縁には、車幅方向および車両下方においてインナパネルA10の外側に向けて突出する第1フランジ51が形成されている。また、図1~図4に示すように、開口部10に隣接する上部20、裾部30および一対の側部40の内縁には、車両上下方向および車幅方向において開口部10に向けて突出する第2フランジ52が形成されている。第2フランジ52は、開口部10を取り囲んでいる。第1フランジ51および第2フランジ52の後面(車両後方を向く面)にアウタパネルを突き合わせることによって、インナパネルA10にアウタパネルが接合される。接合にあたっては、たとえばポリウレタン系接着剤が用いられる。
上部20は、図1~図4に示すように、開口部10よりも車両上方に位置し、かつ車幅方向に延びている。上部20は、インナパネルA10において梁構造を構成する。上部20には、一対のドアヒンジ取付け部21が設けられている。一対のドアヒンジ取付け部21は、上部20の左右両端に位置する。各々のドアヒンジ取付け部21には、車両前方からドアヒンジ(図示略)が、車両後方から鋼製のドアヒンジ補強材(図示略)が、それぞれ取り付けられている。バックドアは、左右一対のドアヒンジを介して車両の後部開口の上縁に連結される。このため、バックドアは、当該ドアヒンジにより車両の後部開口の上縁回りに回動可能とされている。この回動によって、バックドアの開閉がなされる。
裾部30は、図1~図4に示すように、開口部10よりも車両下方に位置する。裾部30は、インナパネルA10において板構造を構成する。裾部30は、開口下辺部31、一対の連結部32および枠部33を有する。
図1~図4に示すように、開口下辺部31は、裾部30の上端に位置し、かつ車幅方向に延びる部分である。図5に示すように、開口下辺部31には、車両後方に向けて開口した第1凹溝341が形成されている。第1凹溝341は、車両後方を向く底面341aを有する。底面341aは、車両上下方向および車幅方向に沿って配置されている。
図1~図4に示すように、一対の連結部32は、開口下辺部31の左右両側に位置し、かつ側部40の下端がそれぞれつながる部分である。各々の連結部32には、車両前方からダンパステー(図示略)が、車両後方から鋼製のドアステー補強材(図示略)が取り付けられている。連結部32には、バックドアのダンパステーを取り付けるためのドアステー取付け孔321が、車両前後方向に貫通して設けられている。また、図7に示すように、第1フランジ51および第2フランジ52を含めた連結部32の横断面形状は、車両後方に向けて開口したハット状である。このようなハット状断面に基づき、連結部32には、車両後方に向けて開口した第1凹溝341と、第1凹溝341よりもインナパネルA10の外周側に位置し、かつ車両後方に向けて開口した第2凹溝342とが形成されている。第2凹溝342は、車両後方を向く底面342aを有する。底面342aは、車両上下方向および車幅方向に沿って配置されている。
図1~図4に示すように、枠部33は、裾部30の下端および左右両端に位置し、かつ一対の連結部32につながる部分である。図5および図6に示すように、枠部33には、車両後方に向けて開口した第1凹溝341および第2凹溝342が形成されている。また、枠部33の下端中央には、ラッチ取付け部331が設けられている。バックドアは、ラッチ取付け部331に取り付けられたラッチ(図示略)が車両の後部開口の下縁に設けられたストライカ(図示略)に係合することによって、車両の後部開口がバックドアにより閉じられた状態が保持される。
図1~図4に示すように、第1凹溝341は、開口下辺部31、一対の連結部32および枠部33において、車両後方から視て枠状(ロ字状)に形成されている。また、図5~図7に示すように、一対の連結部32および枠部33において、第2凹溝342の底面342aは、第1凹溝341の底面341aよりも車両後方に位置する。第2凹溝342は、裾部30の外縁に形成された第1フランジ51につながっている。
図1~図6に示すように、裾部30において第1凹溝341により囲まれた領域には、第1凹溝341の底面341aに対して車両後方に向けて膨出する箱形膨出部35が形成されている。車両前方から視たとき、箱形膨出部35は、車両後方側に陥入させられている。なお、箱形膨出部35を囲む第1凹溝341が、裾部30の周縁部分に該当する。箱形膨出部35は、車両後方を向き、かつ車両上下方向および車幅方向に沿った膨出面351を有する。インナパネルA10にアウタパネルが接合されたとき、箱形膨出部35は、膨出面351に塗布された接着剤(たとえばポリウレタン系接着剤)を介してアウタパネルに接触する。
図1~図4に示すように、箱形膨出部35には、膨出面351から車両前方に向けて凹み、かつ車両後方に向けて開口したV字骨格36が形成されている。V字骨格36の横断面形状は、溝形状(コ字状)である。V字骨格36は、ラッチ取付け部331に対して左側に配置された左腕部361と、ラッチ取付け部331に対して右側に配置された右腕部362とを含む。車両前方から視たとき、左腕部361および右腕部362は、ともに箱形膨出部35から膨出する突条をなしている。V字骨格36は、ラッチ取付け部331の左右両側から車幅方向に対して斜め上方に延びて、一対の連結部32に到達している。
一対の側部40は、図1~図4に示すように、開口部10の左右両側に位置し、かつ車両上下方向に延びている。一対の側部40は、インナパネルA10において柱構造を構成する。一対の側部40は、上部20と裾部30とを連結する。図8に示すように、側部40は、車両後方に向けて開口しており、かつ底面401および一対の内側面402を有する。
図8に示すように、底面401は、車両上下方向および車幅方向に沿って配置され、かつ車両後方を向く。一対の内側面402は、底面401の左右両端につながり、かつ車両後方に向けて突出している。一対の内側面402は、車幅方向において互いに対向している。インナパネルA10の外周側に位置する一方の内側面402の後端は、第1フランジ51につながっている。インナパネルA10の内周側に位置する他方の内側面402の後端は、第2フランジ52につながっている。このため、第1フランジ51および第2フランジ52を含めた側部40の横断面形状は、車両後方に向けて開口したハット状である。
次に、インナパネルA10の作用効果について説明する。
インナパネルA10においては、裾部30の開口下辺部31と、一対の連結部32と、枠部33の各々には、車両後方に向けて開口した第1凹溝341が形成されている。また、裾部30において第1凹溝341により囲まれた領域には、第1凹溝341の底面34aに対して車両後方に向けて膨出する箱形膨出部35が形成されている。このような構成をとることによって、裾部30には、車両後方から視て箱形膨出部35を囲む枠状であり、かつ比較的剛性(曲げおよびねじり)が高い骨格構造が構成される。このため、比較的重量が重いリインフォースを設けずに、裾部30の剛性を向上させることができる。
あわせて、一対の連結部32と、枠部33とには、第1凹溝341よりもインナパネルA10の外周側に位置する第2凹溝342が形成されている。第2凹溝342の底面342aは、第1凹溝341の底面341aよりも車両後方に位置する。このため、一対の連結部32および枠部33は、第1凹溝341および第2凹溝342により車両前後方向の段差を有する二段溝構造となっており、車両上下方向まわりの断面二次モーメントがより増加した構成となっている。このため、当該二段溝構造によって、裾部30の剛性をより向上させることができる。したがって、インナパネルA10によれば、軽量化を図りつつ、剛性を向上させることが可能となる。
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明によって提供される車両用バックドアインナパネルの技術的構成について、以下に付記する。
[付記1]
バックウインドウが設けられる開口部と、
前記開口部よりも車両上方に位置し、かつ車幅方向に延びる上部と、
前記開口部よりも車両下方に位置する裾部と、
前記開口部の左右両側に位置し、かつ車両上下方向に延びるとともに、前記上部と前記裾部とを連結する一対の側部と、を備える合成樹脂製の車両用バックドアインナパネルであって、
前記裾部は、その上端に位置する開口下辺部と、前記開口下辺部の左右両側に位置し、かつ前記側部の下端がそれぞれつながる一対の連結部と、当該裾部の下端および左右両端に位置し、かつ一対の前記連結部につながる枠部と、を有し、
前記開口下辺部と、一対の前記連結部と、前記枠部と、の各々には、車両後方に向けて開口した第1凹溝が形成され、
前記裾部において前記第1凹溝により囲まれた領域には、前記第1凹溝の底面に対して車両後方に向けて膨出する箱形膨出部が形成されていることを特徴とする、車両用バックドアインナパネル。
A10:インナパネル
10:開口部
20:上部
21:ドアヒンジ取付け部
30:裾部
31:開口下辺部
32:連結部
321:ドアステー取付け孔
33:枠部
331:ラッチ取付け部
341:第1凹溝
341a:底面
342:第2凹溝
342a:底面
35:箱形膨出部
351:膨出面
36:V字骨格
361:左腕部
362:右腕部
40:側部
401:底面
402:内側面
51:第1フランジ
52:第2フランジ

Claims (1)

  1. バックウインドウが設けられる開口部と、
    前記開口部よりも車両上方に位置し、かつ車幅方向に延びる上部と、
    前記開口部よりも車両下方に位置する裾部と、
    前記開口部の左右両側に位置し、かつ車両上下方向に延びるとともに、前記上部と前記裾部とを連結する一対の側部と、を備える合成樹脂製の車両用バックドアインナパネルであって、
    前記裾部は、当該裾部の上端に位置する開口下辺部と、前記開口下辺部の左右両側に位置し、かつ前記一対の側部の下端につながる一対の連結部と、当該裾部の下端および左右両端に位置し、かつ前記一対の連結部につながる枠部と、を有し、
    前記開口下辺部、前記一対の連結部、および前記枠部には、車両後方で開口し、かつ連続した第1凹溝が形成されており、
    前記裾部には、前記第1凹溝で囲まれた領域に位置し、かつ前記第1凹溝の底面に対して車両後方に膨出した箱形膨出部が形成されており、
    前記一対の連結部、および前記枠部には、前記第1凹溝よりも外周側に位置する第2凹溝が形成されており、
    前記第2凹溝の底面は、前記第1凹溝の底面よりも車両後方に位置しており、
    前記箱形膨出部は、車両後方を向く膨出面を有し、
    前記第2凹溝の底面は、前記膨出面よりも車両後方に位置する領域と、前記膨出面よりも車両前方に位置する領域と、を含む、車両用バックドアインナパネル。
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