JP2013196528A - 設計支援方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の応力に対し接合部の剥離が生じることがない強度を有し、且つ熱膨張による座屈が生じることのない接着剤の適正な接着形状(幅及び厚さ)を決定する。
【解決手段】一の部材21と他の部材20との接合部31に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップと、前記解析条件情報において、応力N1に対して少なくとも前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅と厚さの寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値N2よりも低いか否かを判定するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低い場合に、前記耐熱性解析に用いた前記接着幅の寸法値、及びそれに基づく接着厚さの寸法値を適正な接着形状として出力するステップとを実行する。
【選択図】図3
【解決手段】一の部材21と他の部材20との接合部31に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップと、前記解析条件情報において、応力N1に対して少なくとも前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅と厚さの寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値N2よりも低いか否かを判定するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低い場合に、前記耐熱性解析に用いた前記接着幅の寸法値、及びそれに基づく接着厚さの寸法値を適正な接着形状として出力するステップとを実行する。
【選択図】図3
Description
本発明は、設計支援方法に関し、例えば樹脂部材同士の接合に用いる接着剤の適正な接着形状を決定する設計支援方法に関する。
例えば自動車のバックドアパネルにおいて、図10に示すように樹脂製のアウターパネル20とインナーパネル21とをウレタン系の接着剤30によって接合したものがある。このようなパネルは、従来の鋼板を用いたものに比べ、各段に軽量化を図ることが可能である。
前記アウターパネル20とインナーパネル21とを接合する場合、インナーパネル21の縁部に沿って図11(a)に示すように断面三角状に接着剤30が塗布され、その上からアウターパネル20を押し付けて図11(b)に示すように接着剤30を押し広げ、接合している。
ところで、図11(a)に示すように幅D1及び厚さL1に塗布された断面三角状の接着剤30は、アウターパネル20とインナーパネル21との間で押しつぶされることにより、図10、図11(b)に示すように幅D2及び厚さL2に変形する。
当然ながら、前記幅D2及び厚さL2は、アウターパネル20とインナーパネル21とに押しつぶされる力によって変化し、それに伴い接合部31における接着力が変化する。より具体的には、強く押しつぶされて接着剤30の接着幅D2が大きくなるほど、接着力が向上し、軽く押しつぶされて接着剤30の接着幅D2が小さいほど、接着力が低下する。
当然ながら、前記幅D2及び厚さL2は、アウターパネル20とインナーパネル21とに押しつぶされる力によって変化し、それに伴い接合部31における接着力が変化する。より具体的には、強く押しつぶされて接着剤30の接着幅D2が大きくなるほど、接着力が向上し、軽く押しつぶされて接着剤30の接着幅D2が小さいほど、接着力が低下する。
尚、前記のように例えばアウターパネルとインナーパネルとを接着剤を介して接合することについては、例えば特許文献1に記載されている。
しかしながら、前記接着剤30の接着幅D2が小さく、接着力が弱い場合には、図12に示すように接合部31に対し応力Fが加えられた場合、接着剤30の強度が耐えきれず、接合部31の剥離が生じるという課題があった。
一方、前記接合部31の剥離を防止するため、接着剤30の接着幅D2を大きくして接着強度が過剰になると、高温環境下においてアウターパネル20が熱膨張した際、図13に示すように、発生応力がアウターパネル20の接合部周辺20aに集中し、座屈が生じるという課題があった。
一方、前記接合部31の剥離を防止するため、接着剤30の接着幅D2を大きくして接着強度が過剰になると、高温環境下においてアウターパネル20が熱膨張した際、図13に示すように、発生応力がアウターパネル20の接合部周辺20aに集中し、座屈が生じるという課題があった。
前記課題に対し、従来は、設計段階で不具合発生箇所を予測する有効な手段がなく、実際に不具合が生じた都度、接着剤30の接着形状(厚さ、幅)を変更することにより対応していた。具体的には、接合部31の剥離が生じた場合には接着幅をより大きく(厚さを小さく)変更して強度を増加させ、一方、熱膨張による座屈が生じた場合には接着幅をより小さく(厚さを大きく)変更して接着剤30の弾性を増加させていた(即ち発生応力を吸収可能とする)。
しかしながら、前記のように不具合(接合部の剥離、座屈)が生じた都度に接着剤30の接着形状(幅、厚さ)を変えて対策する場合、複数の接着形状を何度も繰り返し評価する必要があり、適正な接着形状を決定するまでに時間と手間を要するという課題があった。
しかしながら、前記のように不具合(接合部の剥離、座屈)が生じた都度に接着剤30の接着形状(幅、厚さ)を変えて対策する場合、複数の接着形状を何度も繰り返し評価する必要があり、適正な接着形状を決定するまでに時間と手間を要するという課題があった。
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、一の部材と他の部材とを接着剤により接合する構造において、所定の応力に対し接合部の剥離が生じることがない強度を有し、且つ熱膨張による前記部材の座屈が生じることのない接着剤の適正な接着形状(幅及び厚さ)を容易に決定可能な設計支援方法を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係る設計支援方法は、一の部材に所定の接着剤を塗布し、前記一の部材に対し前記接着剤を介して他の部材を押圧することにより、前記一の部材と他の部材とを前記接着剤により接合する接着構造において、前記一の部材と他の部材とが接合された状態の前記接着剤の適正な接着幅及び厚さ寸法を決定する設計支援方法であって、演算処理を行うCPUが、記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、前記一の部材と他の部材との接合部に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップと、前記解析条件情報において、所定の応力に対して少なくとも前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅と厚さの寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低い場合に、前記耐熱性解析に用いた前記接着幅の寸法値、及びそれに基づく接着厚さの寸法値を適正な接着形状として出力するステップとを実行することに特徴を有する。
尚、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップにおいて、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも高い場合、前記耐熱性解析に用いる接着幅の寸法値を、前回の耐熱性解析で用いた値よりも小さい値であって、且つ前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅の寸法値に変更するステップと、前記変更した接着幅の寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップとを、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低くなるまで繰り返し実行することが望ましい。
また、前記一の部材と他の部材との接合部に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップにおいて、前記接合部に加えられる所定の応力と、前記接着剤の強度と接着幅との相関データとを取得し、前記耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップにおいて、前記相関データに基づき、前記接合部に加えられる所定の応力よりも高い強度となる接着幅の寸法値をパラメータとして用いることが望ましい。
このようなステップを実行することにより、所定の応力に対し少なくとも部材同士の接合部における剥離が生じない強度を有し、且つ、熱膨張による前記部材の座屈が生じることがない接着剤の適正な形状(幅及び厚さ)を容易に得ることができる。
したがって、設計段階において接着剤の適正な形状を容易に決定することができ、実際に製造された製品において、接着剤による接合部の剥離、及び熱膨張による座屈の発生を防止することができる。
したがって、設計段階において接着剤の適正な形状を容易に決定することができ、実際に製造された製品において、接着剤による接合部の剥離、及び熱膨張による座屈の発生を防止することができる。
本発明によれば、一の部材と他の部材とを接着剤により接合する構造において、所定の応力に対し接合部の剥離が生じることがない強度を有し、且つ熱膨張による前記部材の座屈が生じることのない接着剤の適正な接着形状(幅及び厚さ)を容易に得ることができる。
以下、本発明にかかる設計支援方法の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
尚、本実施の形態においては、例えば自動車のバックドアパネルの構成部品である樹脂製のインナーパネル(一の部材)と樹脂製のアウターパネル(他の部材)とをウレタン系接着剤により接合する場合に、前記接着剤の適正な接着形状(幅、厚さ)を決定する方法について説明する。
また、以下の実施の形態の説明においては、先に図10乃至図13に示した構成と同一の部材、若しくは相当する部材については同じ符号で示している。
尚、本実施の形態においては、例えば自動車のバックドアパネルの構成部品である樹脂製のインナーパネル(一の部材)と樹脂製のアウターパネル(他の部材)とをウレタン系接着剤により接合する場合に、前記接着剤の適正な接着形状(幅、厚さ)を決定する方法について説明する。
また、以下の実施の形態の説明においては、先に図10乃至図13に示した構成と同一の部材、若しくは相当する部材については同じ符号で示している。
図1は、本発明に係る設計支援方法を実施する設計支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図示する設計支援装置1は、部材同士を接着する接着剤の接着形状(厚さ寸法及び幅寸法)を決定するための処理を行う情報処理装置2と、ユーザからの各種要求を受け付ける入力装置3と、情報処理装置2が行った処理結果を出力する出力装置4とを備える。また、情報処理装置2は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、CAD装置5に接続されている。
図示する設計支援装置1は、部材同士を接着する接着剤の接着形状(厚さ寸法及び幅寸法)を決定するための処理を行う情報処理装置2と、ユーザからの各種要求を受け付ける入力装置3と、情報処理装置2が行った処理結果を出力する出力装置4とを備える。また、情報処理装置2は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、CAD装置5に接続されている。
情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)100と、RAM(RandomAccess Memory)等により構成された主記憶装置101と、I/Oインタフェース102と、ネットワークインタフェース103と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置104とを有する。
また、補助記憶装置104には、適正な接着形状を決定するための各機能を実現するプログラムが記憶されている。そして、前記各機能は、CPU100が補助記憶装置104に格納されている前記プログラムを主記憶装置101にロードして実行することにより実現される。
また、補助記憶装置104には、適正な接着形状を決定するための各機能を実現するプログラムが記憶されている。そして、前記各機能は、CPU100が補助記憶装置104に格納されている前記プログラムを主記憶装置101にロードして実行することにより実現される。
また、入力装置3は、キーボードやマウス等により構成され、ユーザからの各種要求や解析条件等を受け付けて情報処理装置2に出力するものである。
また、出力装置4は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置2が出力する画像情報を出力するものである。
また、出力装置4は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置2が出力する画像情報を出力するものである。
次に、情報処理装置2により実行される各機能について説明する。
図2は、情報処理装置2により実施される各機能を示す機能ブロック図である。図2に示すように、情報処理装置2には、制御部10と、データ取得部11と、解析部12と、出力部13とが具備される。
図2は、情報処理装置2により実施される各機能を示す機能ブロック図である。図2に示すように、情報処理装置2には、制御部10と、データ取得部11と、解析部12と、出力部13とが具備される。
制御部10は、情報処理装置2の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして制御部10は、前記受け付けた要求に従い、データ取得部11、解析部12、及び出力部13を制御し、設計者からの要求に応じた各種の処理を行う。
また、データ取得部11は、ネットワークNWに接続されているCAD装置4との間で通信し、解析データの授受を行う。例えば、データ取得部11は、ネットワークNWを介してCAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されている設計情報(CAD情報)を取得する。また、データ取得部11は、入力装置2を介して、設計者が入力する解析に用いる各種条件の入力を受け付ける。
また、解析部12は、CAD装置4から取得したアウターパネル及びインナーパネルの設計情報及び解析条件情報を用いて、熱膨張に伴うパネルの座屈や接合部の剥離の発生を抑制することのできる接着剤の適正な接着形状(幅、厚さ寸法)を出力する。
また、出力部13は、解析部12から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
また、出力部13は、解析部12から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
続いて、設計支援装置1により実施される解析処理の流れについて図3(フロー)に沿って説明する。
先ず、CPU100が補助記憶装置104に格納されているプログラムを主記憶装置101にロードして実行することにより、データ取得部11が機能する。データ取得部11は、ネットワークNWを介して、CAD装置5にアクセスし、CAD装置5に格納されているアウターパネル20及びインナーパネル21の設計データ(部品形状、物性データ等)を取得し、情報処理装置2のメモリ(主記憶装置101又は補助記憶装置104)に格納する(図3のステップS1)。
先ず、CPU100が補助記憶装置104に格納されているプログラムを主記憶装置101にロードして実行することにより、データ取得部11が機能する。データ取得部11は、ネットワークNWを介して、CAD装置5にアクセスし、CAD装置5に格納されているアウターパネル20及びインナーパネル21の設計データ(部品形状、物性データ等)を取得し、情報処理装置2のメモリ(主記憶装置101又は補助記憶装置104)に格納する(図3のステップS1)。
次いで、データ取得部11は、入力装置3から入力された解析条件データ(拘束条件、温度条件、熱履歴条件等)を取得し、情報処理装置2のメモリ(主記憶装置101又は補助記憶装置104)に格納する(図3のステップS2)。
前記解析条件データのうち、拘束条件においては、例えば使用する接着剤30の特性を示すものとして、接着剤30の強度と接着幅との相関式(1)が用いられ、この式(1)に基づき、接着剤30の接着幅が耐熱性解析のパラメータとして設定される。
式(1)において、強度y(MPa)は、接着幅x(mm)の関数として表される。a,bは所定の係数である。
前記解析条件データのうち、拘束条件においては、例えば使用する接着剤30の特性を示すものとして、接着剤30の強度と接着幅との相関式(1)が用いられ、この式(1)に基づき、接着剤30の接着幅が耐熱性解析のパラメータとして設定される。
式(1)において、強度y(MPa)は、接着幅x(mm)の関数として表される。a,bは所定の係数である。
y=a・Ln(x)−b ・・・(1)
また、解析条件データとして、接合部31に加えられる最大荷重N1が用いられる。
ここで、前記式(1)及び最大荷重N1をグラフに示すと、図4のように表される(縦軸が強度、横軸が接着幅)。このグラフにより、接着剤30の強度(接着力)が、接合部31に入力される最大荷重(図4中に示す荷重値N1)よりも高い領域T1の接着幅(接着幅Dth以上の値)において、接合部31の剥離を抑制できることが示される。したがって、耐熱性解析のパラメータとして設定される接着剤30の接着幅は寸法Dth以上の値とされる。
ここで、前記式(1)及び最大荷重N1をグラフに示すと、図4のように表される(縦軸が強度、横軸が接着幅)。このグラフにより、接着剤30の強度(接着力)が、接合部31に入力される最大荷重(図4中に示す荷重値N1)よりも高い領域T1の接着幅(接着幅Dth以上の値)において、接合部31の剥離を抑制できることが示される。したがって、耐熱性解析のパラメータとして設定される接着剤30の接着幅は寸法Dth以上の値とされる。
尚、前記式(1)は、予め強度実験を行うことによって得ることができる。
具体的には、強度実験では図5に示すような試験片40を作製する。図5(a)は試験片40の側面図、図5(b)は試験片40の平面図である。試験片40は、アウターパネル20及びインナーパネル21と同素材(樹脂製)の長尺板状の被着体41、42の端部を、実際の製造工程で使用する接着剤30で結合したものである。
具体的には、強度実験では図5に示すような試験片40を作製する。図5(a)は試験片40の側面図、図5(b)は試験片40の平面図である。試験片40は、アウターパネル20及びインナーパネル21と同素材(樹脂製)の長尺板状の被着体41、42の端部を、実際の製造工程で使用する接着剤30で結合したものである。
接着剤30の接着幅の条件として、例えば被着体42上に、図6(a)に示すように所定幅、及び所定厚さの接着剤30を断面三角形状に塗布し、その上から被着体41を押し付けて接着幅を複数段階で変更したものを用いる。
具体的には、図6(b)の表に示すように、接着剤30の接着幅が例えば24mm、16mm、12mm、8mmの4段階の条件とする。
具体的には、図6(b)の表に示すように、接着剤30の接着幅が例えば24mm、16mm、12mm、8mmの4段階の条件とする。
そして、各接着幅の条件において、試験片40を図7に示すように万能引張試験機45にセットし、被着体41を被着体42から引き離す方向(矢印の方向)に例えば50mm/minの速度で引張り、接合部31(接着剤30)が剥離される強度を測定することにより、図4のグラフのプロットデータを得ることができる。そして、複数のプロットデータに基づき、前記式(1)を導くことができる。
解析条件データがメモリに格納されると、解析部12が機能し、耐熱性CAE(耐熱性解析)を行い(図3のステップS3)、接合部31における発生応力を算出する(図3のステップS4)。
具体的には、メモリに格納された「設計データ」及び「解析条件データ」を用いて有限要素法による耐熱性CAEを実行し、アウターパネル20とインナーパネル21との接合部31における発生応力を算出する。
尚、この耐熱性CAEにおいては、具体的な拘束条件のパラメータとして、前記のように接着剤30の接着幅を用い、その初期値は、前記式(1)に基づき、少なくとも接着幅Dth以上の値(例えば初期値24mm)が設定される。
具体的には、メモリに格納された「設計データ」及び「解析条件データ」を用いて有限要素法による耐熱性CAEを実行し、アウターパネル20とインナーパネル21との接合部31における発生応力を算出する。
尚、この耐熱性CAEにおいては、具体的な拘束条件のパラメータとして、前記のように接着剤30の接着幅を用い、その初期値は、前記式(1)に基づき、少なくとも接着幅Dth以上の値(例えば初期値24mm)が設定される。
前記耐熱性CAEにより発生応力の値が算出されると、制御部10は、その値が予め設定された目標応力値N2、即ち、アウターパネル20が座屈する降伏応力値(座屈の発生応力閾値)よりも低いか否かを判定する(図3のステップS5)。
そして、前記算出された発生応力の値が、前記目標応力値N2よりも低ければ、その耐熱性CAEで用いた接着幅、及びそれに対応する厚さ寸法を適正値として決定する(図3のステップS6)。また、出力部13が機能し、決定された接着剤30の幅寸法、厚さ寸法を出力装置4に出力する。
そして、前記算出された発生応力の値が、前記目標応力値N2よりも低ければ、その耐熱性CAEで用いた接着幅、及びそれに対応する厚さ寸法を適正値として決定する(図3のステップS6)。また、出力部13が機能し、決定された接着剤30の幅寸法、厚さ寸法を出力装置4に出力する。
一方、図3のステップS5において、耐熱性CAEにより算出された発生応力の値が目標応力値N2よりも高い場合、解析部12は、その発生応力の算出に用いた接着幅よりも所定値小さく、且つ値Dth以上の寸法値を新たな接着幅のパラメータとして設定する。
そして、再びステップS3の耐熱性CAEを実施し、接合面31における発生応力を算出する(図3のステップS4)。
そして、算出した発生応力の値が、目標応力値N2よりも低いか否かを比較処理し(図3のステップS5)、低ければステップS6に進んで接着幅と厚さを決定し、高ければ、再度、ステップS7の処理に進む。
そして、再びステップS3の耐熱性CAEを実施し、接合面31における発生応力を算出する(図3のステップS4)。
そして、算出した発生応力の値が、目標応力値N2よりも低いか否かを比較処理し(図3のステップS5)、低ければステップS6に進んで接着幅と厚さを決定し、高ければ、再度、ステップS7の処理に進む。
以上のように、本発明に係る設計支援方法の実施の形態によれば、予め求められた接着剤30の強度と接着幅との相関式(1)に基づき、少なくとも接合部31の剥離が生じない強度を有する接着幅の寸法値が、(発生応力を算出するための)耐熱性CAEの解析条件データとして用いられる。
更に、前記耐熱性CAEにおいて算出された発生応力が、アウターパネル20における座屈が生じないものであれば、その算出に用いた接着幅、及びそれにより決まる厚さ寸法が、適切な接着形状の値として出力される。
即ち、本発明に係る設計支援方法によれば、所定の応力N1に対し接合部31が剥離せず、且つ座屈を抑制する接着剤30の適正な接着形状(幅及び厚さ)を容易に決定することができる。
更に、前記耐熱性CAEにおいて算出された発生応力が、アウターパネル20における座屈が生じないものであれば、その算出に用いた接着幅、及びそれにより決まる厚さ寸法が、適切な接着形状の値として出力される。
即ち、本発明に係る設計支援方法によれば、所定の応力N1に対し接合部31が剥離せず、且つ座屈を抑制する接着剤30の適正な接着形状(幅及び厚さ)を容易に決定することができる。
尚、前記実施の形態において、図3のフローでは、ステップS5において、発生応力の値が目標応力値N2よりも低ければ、その時点でステップS6に進んで接着幅と厚さを決定し終了するものとした。
しかしながら、そのような方法に限定することなく、より適正な接着幅と厚さを求めて接着形状を決定することもできる。
しかしながら、そのような方法に限定することなく、より適正な接着幅と厚さを求めて接着形状を決定することもできる。
具体的に説明すると、複数の接着幅の寸法値(例えば24mm、16mm、12mm、8mm)についてそれぞれ耐熱性CAEを行い、発生応力を求める。これをグラフに示すと図8に示すように表すことができる(縦軸が発生応力、横軸が接着幅)。
また、これらのデータから、接着剤30に係る発生応力の特性式(2)を得ることができる。式(2)において、発生応力y(MPa)は、接着幅x(mm)の関数として表される。式中c,dは所定の係数である。
また、これらのデータから、接着剤30に係る発生応力の特性式(2)を得ることができる。式(2)において、発生応力y(MPa)は、接着幅x(mm)の関数として表される。式中c,dは所定の係数である。
y=c・x+d ・・・(2)
図8に示すようにグラフ中に目標応力値N2及び式(2)を表すと、領域T2内の接着幅であれば、接着剤30の弾性により発生応力を吸収し、座屈の発生が抑制されることが示される。
また、図4のグラフと図8のグラフとを共に図9のグラフに示すと、所定の応力N1に対し接合部31における剥離が生じず、且つ、発生応力を弾性で吸収し、アウターパネル20を座屈させることがない接着剤30の接着幅は、クロスハッチングで囲まれた領域T3となる。
したがって、領域T3で示される接着幅範囲の中間値(例えば14mm)を接着幅として決定すれば、最も適正な接着剤の接着形状を得ることができる。
また、図4のグラフと図8のグラフとを共に図9のグラフに示すと、所定の応力N1に対し接合部31における剥離が生じず、且つ、発生応力を弾性で吸収し、アウターパネル20を座屈させることがない接着剤30の接着幅は、クロスハッチングで囲まれた領域T3となる。
したがって、領域T3で示される接着幅範囲の中間値(例えば14mm)を接着幅として決定すれば、最も適正な接着剤の接着形状を得ることができる。
また、前記実施の形態にあっては、アウターパネル20とインナーパネル21との接合に、一種の接着剤30を用いる場合について説明したが、本発明にあっては、部位によって種類の異なる接着剤を用いる場合にも適用することができる。
即ち、接着剤の種類に応じて、前記した図3のステップS1乃至S7の処理を行うことにより、それぞれ適正な接着剤の接着形状を得ることができる。
即ち、接着剤の種類に応じて、前記した図3のステップS1乃至S7の処理を行うことにより、それぞれ適正な接着剤の接着形状を得ることができる。
1 設計支援装置
2 情報処理装置
3 入力装置
4 出力装置
5 CAD装置
10 制御部
11 データ取得部
12 解析部
13 出力部
20 アウターパネル(部材)
21 インナーパネル(部材)
30 接着剤
2 情報処理装置
3 入力装置
4 出力装置
5 CAD装置
10 制御部
11 データ取得部
12 解析部
13 出力部
20 アウターパネル(部材)
21 インナーパネル(部材)
30 接着剤
Claims (3)
- 一の部材に所定の接着剤を塗布し、前記一の部材に対し前記接着剤を介して他の部材を押圧することにより、前記一の部材と他の部材とを前記接着剤により接合する接着構造において、前記一の部材と他の部材とが接合された状態の前記接着剤の適正な接着幅及び厚さ寸法を決定する設計支援方法であって、
演算処理を行うCPUが、記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、
前記一の部材と他の部材との接合部に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップと、
前記解析条件情報において、所定の応力に対して少なくとも前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅と厚さの寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、
前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップと、
前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低い場合に、前記耐熱性解析に用いた前記接着幅の寸法値、及びそれに基づく接着厚さの寸法値を適正な接着形状として出力するステップとを実行することを特徴とする設計支援方法。 - 前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップにおいて、前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも高い場合、
前記耐熱性解析に用いる接着幅の寸法値を、前回の耐熱性解析で用いた値よりも小さい値であって、且つ前記接合部の剥離が生じない強度となる接着幅の寸法値に変更するステップと、
前記変更した接着幅の寸法値を用いて耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップと、
前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低いか否かを判定するステップとを、
前記算出した発生応力が、前記部材における座屈の発生応力閾値よりも低くなるまで繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載された設計支援方法。 - 前記一の部材と他の部材との接合部に対する耐熱性解析のパラメータとして、前記一の部材と他の部材の設計情報及び解析条件情報を取得するステップにおいて、
前記接合部に加えられる所定の応力と、前記接着剤の強度と接着幅との相関データとを取得し、
前記耐熱性解析を行い、前記接合部における発生応力を算出するステップにおいて、
前記相関データに基づき、前記接合部に加えられる所定の応力よりも高い強度となる接着幅の寸法値をパラメータとして用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された設計支援方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012064659A JP2013196528A (ja) | 2012-03-22 | 2012-03-22 | 設計支援方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018158706A (ja) * | 2016-11-29 | 2018-10-11 | ダイハツ工業株式会社 | 車両用バックドアインナパネル |
-
2012
- 2012-03-22 JP JP2012064659A patent/JP2013196528A/ja active Pending
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JP2018158706A (ja) * | 2016-11-29 | 2018-10-11 | ダイハツ工業株式会社 | 車両用バックドアインナパネル |
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