JP7027158B2 - 水田作業機 - Google Patents

水田作業機 Download PDF

Info

Publication number
JP7027158B2
JP7027158B2 JP2017247838A JP2017247838A JP7027158B2 JP 7027158 B2 JP7027158 B2 JP 7027158B2 JP 2017247838 A JP2017247838 A JP 2017247838A JP 2017247838 A JP2017247838 A JP 2017247838A JP 7027158 B2 JP7027158 B2 JP 7027158B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
continuously variable
power
variable transmission
transmission
hydrostatic continuously
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017247838A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019110841A (ja
Inventor
達弘 米田
真 安田
究 福永
恒寿 國安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP2017247838A priority Critical patent/JP7027158B2/ja
Priority to KR1020207013196A priority patent/KR20200097686A/ko
Priority to CN201880079524.0A priority patent/CN111465314A/zh
Priority to PCT/JP2018/024389 priority patent/WO2019123696A1/ja
Publication of JP2019110841A publication Critical patent/JP2019110841A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7027158B2 publication Critical patent/JP7027158B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等のように、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場面に供給する水田作業機に関する。
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、エンジン(原動部に相当)の動力が変速装置に伝達され、変速装置の動力が並列的に分岐されて、走行用の車輪及び苗植付装置(作業装置に相当)に伝達されている。
これにより、機体の走行方向に沿って事前に設定された株間(供給量に相当)で、苗植付装置により苗が圃場面に植え付けられるのであり、変速装置が操作されて機体の走行速度が変化しても、苗植付装置に伝達される動力も変速装置の動力であるので、苗植付装置による株間は一定間隔に維持される。
特許文献1では、変速装置の動力が、株間変速装置を通って苗植付装置に伝達されており、株間変速装置を操作することによって、苗植付装置による株間を所望の間隔に設定できる。
特開2014-70653号公報
特許文献1では、株間変速装置が、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置である。近年では、圃場面や農用資材の状態等に応じて、圃場面に対する農用資材の供給量を適切に設定したいという要望が高まっている。
例えば、ギヤ変速型式の変速装置に代えて、静油圧式無段変速装置などの無段変速装置を設けることもできる。この場合、エンジン(原動部に相当)の動力が変速装置に伝達され、その変速装置の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、作業伝動系の動力が上述した静油圧式無段変速装置などの無段変速装置を通って作業装置に伝達されるような構成を想定できる。このような構成を採用すれば、作業装置に対してその無段変速装置が出力する多様な速度の動力を伝達し、水田や農用資材の状態等に応じて、農用資材の供給量を細かく適切に設定できるようになると考えられる。
しかしながら、変速装置の動力が並列的に分岐されて、走行用の車輪と、苗植付装置(作業装置に相当)に伝達されている場合、水田作業機を後進させるのに伴って変速装置の出力軸が前進時の回転方向とは逆の後進時の回転方向で回転すると、走行駆動系だけでなく、作業伝動系にもその逆回転(後進時の回転)の動力が伝達される。そして、苗植付装置の植付アームが逆回転すると、植付アームによって苗が意図しない方向に飛ばされる可能性がある。
本発明は、水田作業機において、機体の走行方向を前進及び後進に切り替えても、農用資材が意図しない方向に飛ばされることのないようにすることを目的としている。
本発明の水田作業機は、
原動部の動力が伝達される第一静油圧式無段変速装置と、
前記第一静油圧式無段変速装置からの出力が入力される変速機構が内装されたミッションケースと、
機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、が備えられ、
前記ミッションケース内に、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を、走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐させる分岐部が設けられ、
前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を変速可能な第二静油圧式無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
前記分岐部よりも前記作業伝動系側で前記作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構が設けられ、
前記第二静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧モータを備える静油圧式無段変速装置であり、
前記動力調節機構は、前記油圧モータが有するモータ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータを備え、
前記動力調節機構の動作により、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を前進駆動させる前進動力である場合には当該前進動力を前記作業装置に伝達し、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を後進駆動させる後進動力である場合には当該後進動力を前記作業装置に伝達しない。
本発明によると、作業伝動系の動力が第二静油圧式無段変速装置を通って作業装置に伝達される。つまり、作業装置には、第二静油圧式無段変速装置が出力する多様な速度の動力が伝達される。それにより、水田や農用資材の状態等に応じて、農用資材の供給量を細かく適切に設定できるようになって、水田作業機の作業精度を向上させることができる。
尚、第一静油圧式無段変速装置の動力が分岐部で走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、作業伝動系の動力が作業装置(例えば苗植付装置など)に伝達されている場合、水田作業機を後進させるのに伴って第一静油圧式無段変速装置の出力軸が逆回転すると、走行駆動系だけでなく、作業伝動系にもその逆回転の動力が伝達される。
そして、作業装置も逆方向に駆動されて、意図しない作業を作業装置が行う可能性もある。例えば、作業装置としての苗植付装置の植付アームが逆回転することで、苗が意図しない方向に飛ばされる可能性がある。
ところが本発明のように、分岐部よりも作業伝動系側で、第二静油圧式無段変速装置から作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構を設けることで、動力調節機構の動作により、第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が走行用の車輪を前進駆動させる前進動力である場合にはその前進動力を作業装置に伝達し、第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が走行用の車輪を後進駆動させる後進動力である場合にはその後進動力を作業装置に伝達しないことができる。つまり、水田作業機において、機体の走行方向を前進及び後進に切り替えても、農用資材が意図しない方向に飛ばされることのないようにできる。
本発明の水田作業機は、
原動部の動力が伝達される第一静油圧式無段変速装置と、
前記第一静油圧式無段変速装置からの出力が入力される変速機構が内装されたミッションケースと、
機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、が備えられ、
前記ミッションケース内に、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を、走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐させる分岐部が設けられ、
前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を変速可能な第二静油圧式無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
前記分岐部よりも前記作業伝動系側で前記作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構が設けられ、
前記第二静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプ及び可変容量型の油圧モータを備える静油圧式無段変速装置であり、
前記動力調節機構は、前記油圧ポンプが有するポンプ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータ及び前記油圧モータが有するモータ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータの少なくとも何れか一方を備え、
前記動力調節機構の動作により、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を前進駆動させる前進動力である場合には当該前進動力を前記作業装置に伝達し、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を後進駆動させる後進動力である場合には当該後進動力を前記作業装置に伝達しない。
本発明によると、第二静油圧式無段変速装置が静油圧式無段変速装置であるので、静油圧式無段変速装置のポンプ斜板及びモータ斜板の少なくとも何れか一方の傾斜角度を調節することで、その出力部から出力される動力を少しだけ高速側に変速したり、少しだけ低速側に変速したりというような、細かな変速を無理なく行うことができる。更に、静油圧式無段変速装置のポンプ斜板及びモータ斜板の少なくとも何れか一方の傾斜角度を調節することで、作業装置に動力を伝達させない動力調節機構の機能を実現できる。
本発明において、前記動力調節機構は、前記分岐部よりも下流且つ前記第二静油圧式無段変速装置よりも上流に設けられ、前記走行用の車輪を前進回転させる場合における前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の前進駆動力を前記第二静油圧式無段変速装置に伝達し、前記走行用の車輪を後進回転させる場合における前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の後進駆動力を前記第二静油圧式無段変速装置に伝達しないように構成されるクラッチを備えると好適である。
本発明によると、第一静油圧式無段変速装置の出力軸の前進駆動力を第二静油圧式無段変速装置に伝達する状態と、第一静油圧式無段変速装置の出力軸の後進駆動力を第二静油圧式無段変速装置に伝達しない状態との何れかにクラッチの状態を切り替えることで動力調節機構の機能を実現できる。
本発明において、前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸と前記第二静油圧式無段変速装置の入力軸とが同軸上に配置されていると好適である。
本発明によると、第一静油圧式無段変速装置の出力軸と、第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が伝達される第二静油圧式無段変速装置の入力軸とを同軸上に配置することで、第一静油圧式無段変速装置の出力軸と第二静油圧式無段変速装置の入力軸とを例えばギヤなどを用いて連結しなくてもよくなる。その結果、部品点数が減少することで、装置重量が減少するという効果、装置コストが減少するという効果、装置の組み立てが容易になるという効果が得られる。
本発明において、
前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の途中に前記分岐部が設けられると好適である。
本発明によると、第一静油圧式無段変速装置の出力軸の途中で第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されるので、第一静油圧式無段変速装置から走行伝動系及び作業伝動系に動力を伝達させる構成が比較的簡素になる。
本発明において、
前記作業装置が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材を圃場面に間欠的に供給すると好適である。
本発明によると、第二静油圧式無段変速装置を操作することにより、第二静油圧式無段変速装置の最高速位置と最低速位置との間において、多くの供給間隔を設定できる。
これにより、圃場面や農用資材の状態等に応じて、供給間隔を細かく適切に設定できるようになって、水田作業機の作業精度を向上させることができる。
本発明において、
前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての種子を圃場面に点播する播種装置が備えられていると好適である。
本発明によると、事前に設定された供給間隔で種子を圃場面に供給できる。
本発明において、
前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての苗を圃場面に供給する苗植付装置が備えられていると好適である。
本発明によると、事前に設定された供給間隔で苗を圃場面に供給できる。
乗用型田植機の全体側面図である。 乗用型田植機の全体平面図である。 走行伝動系の構成を示す図である。 作業伝動系の構成を示す図である。 変速装置から出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に伝達される状態について説明する図である。 変速装置から出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に伝達される状態について説明する図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う水田作業機の一例である乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。機体11の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1(走行用の車輪に相当)、右及び左の後輪2(走行用の車輪に相当)を備えた機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
右及び左のマーカー12が、苗植付装置5の右及び左の横側部に備えられている。マーカー12は、田面に接地する作用姿勢(図1参照)、及び田面から上方に離れた格納姿勢に変更自在であり、マーカー12の先端部に回転体12aが回転自在に支持されている。マーカー12の作用姿勢において、マーカー12の回転体12aが田面に接地するのであり、機体11の走行に伴ってマーカー12の回転体12aが、回転しながら田面に指標を形成する。
(運転部の付近の構成)
図1及び図2に示すように、機体11に、運転座席13、及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル14が備えられている。
機体11の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って、支持フレーム17が連結されている。
支持フレーム17において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、計測装置18が取り付けられている。計測装置18には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置18は機体11の位置を示す測位データを出力する。
右及び左の後輪2を支持する後車軸ケース22において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置19が取り付けられている。慣性計測装置19及び計測装置18の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体11)が備える受信装置を使用して、計測装置18の受信装置の位置を計測するものである。
慣性計測装置19は、機体11のヨー角度の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置19により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置18及び慣性計測装置19によって、機体11の位置及び機体11の方位が検出される。
(ミッションケースの付近の構成)
図1に示すように、機体11の前部に、ミッションケース20が支持されており、ミッションケース20の右及び左の横側部に連結された前車軸ケース21に、右及び左の前輪1が支持されている。機体11の後部に、後車軸ケース22が支持されており、後車軸ケース22に右及び左の後輪2が支持されている。
図1に示すように、ミッションケース20の前部に、エンジン23(原動部に相当)が支持されている。ミッションケース20の左の横側部に、静油圧型式の無段変速装置24(第一静油圧式無段変速装置に相当)が連結されており、エンジン23の動力が伝動ベルト25を介して無段変速装置24の入力軸24aに伝達される。
無段変速装置24は、中立位置、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、操縦ハンドル14の左の横側に備えられた変速レバー30により無段変速装置24を操作する。
(前輪及び後輪への走行伝動系の構成)
図3に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、ポンプ26が連結されており、ポンプ26は油圧シリンダ4に作動油を供給する。無段変速装置24の入力軸24aがミッションケース20に入り込んでおり、ポンプ26の入力軸26aと、無段変速装置24の入力軸24aとに亘って伝動軸27が連結されている。
ミッションケース20の内部に、伝動軸28,29が左右方向に沿って支持されて、無段変速装置24の出力軸24bが伝動軸28の端部に連結されている。ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29に亘って、ギヤ変速型式の副変速装置31(変速機構に相当)が備えられている。
副変速装置31は、伝動軸28に連結された低速ギヤ32及び高速ギヤ33、スプライン構造により伝動軸29に一体回転及びスライド自在に外嵌されたシフトギヤ34を備えている。運転座席13の近傍に備えられた副変速レバー(図示せず)により、シフトギヤ34をスライド操作できる。
副変速装置31において、シフトギヤ34を低速ギヤ32に咬合させると、伝動軸28の動力が低速状態で伝動軸29に伝達され、シフトギヤ34を高速ギヤ33に咬合させると、伝動軸28の動力が高速状態で伝動軸29に伝達される。
水田において植付作業を行う場合、副変速装置31を低速状態に操作するのであり、路上等において高速で走行する場合に、副変速装置31を高速状態に操作する。
右及び左の前輪1に動力を伝達する右及び左の前車軸35が、ミッションケース20及び前車軸ケース21に亘って支持されており、右及び左の前車軸35の間に、前輪デフ装置36が備えられている。伝動軸29に連結された伝動ギヤ37と、前輪デフ装置36のケース36aに連結された伝動ギヤ38とが、咬合している。
ミッションケース20の後部に出力軸39が前後方向に沿って支持されており、前輪デフ装置36のケース36aに連結されたベベルギヤ40と、出力軸39の前部に形成されたベベルギヤ39aとが、咬合している。
図1及び図3に示すように、出力軸39の後部に、伝動軸41が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸41の後部が、自在継手(図示せず)を介して、後車軸ケース22の入力軸(図示せず)に連結されている。
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28、副変速装置31、伝動軸29、伝動ギヤ37,38、前輪デフ装置36及び前車軸35を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
前輪デフ装置36に伝達された動力が、ベベルギヤ40、出力軸39、伝動軸41、後車軸ケース22の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
出力軸39に、多板型式のブレーキ42が外嵌されており、図2に示すブレーキペダル43を踏み操作することにより押圧部材85が作動して、その押圧部材85により押圧されるブレーキ42を制動状態に操作できる。ブレーキ42により出力軸39に制動を掛けることによって、前輪1及び後輪2に制動を掛けることができる。
出力軸39は、回転自在な状態でベアリング87によって保持されている。ベアリング87は、出力軸39を保持する内筒部87aと、複数のボールを介して内筒部87aの外周側に位置する外筒部87bとを有する。ベアリング87と押圧部材85側の部品との間にはカラー88が設けられている。このカラー88を介してベアリング87の内筒部87aと押圧部材85側の部品とは接触するが、ベアリング87の外筒部87bと押圧部材85側の部品との間にはそのカラー88の厚さの分だけ隙間が形成される。
デフロック部材44が、キー構造により左の前車軸35に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。運転座席13の下側に備えられたデフロックペダル(図示せず)を踏み操作することにより、デフロック部材44をスライド操作して前輪デフ装置36のケース36aに咬合させることにより、前輪デフ装置36をデフロック状態に操作できる。
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が前輪1及び後輪2(走行用の車輪)に伝達される状態となっている。
(苗植付装置への作業伝動系の構成)
図4に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、静油圧式無段変速装置45(第二静油圧式無段変速装置に相当)が連結されており、静油圧式無段変速装置45の入力軸45aと伝動軸28とが連結されている。静油圧式無段変速装置45の入力軸45aがミッションケース20の反対側に突出しており、静油圧式無段変速装置45に冷却風を送るファン46が、静油圧式無段変速装置45の入力軸45aの突出部に連結されている。
静油圧式無段変速装置45の出力軸45bに伝動軸47が連結されている。ミッションケース20の内部に、伝動軸48,49が左右方向に沿って支持されており、伝動軸49の端部が伝動軸47と同芯状に相対回転自在に支持されている。
静油圧式無段変速装置45の出力軸45b(出力部)よりも下流に減速機構が設けられている。本実施形態では、減速機構は、伝動ギヤ50と伝動ギヤ51とを用いて構成される。具体的には、2組のギヤを備えた伝動ギヤ50が、伝動軸48の外側に回転自在に外嵌されている。伝動軸47に形成された伝動ギヤ47aと、伝動ギヤ50の大径ギヤ部分50aとが咬合し、伝動軸49に連結された伝動ギヤ51と、伝動ギヤ50の小径ギヤ部分50bとが咬合している。そして、伝動ギヤ47aと大径ギヤ部分50aとのギヤ比、及び、小径ギヤ部分50bと伝動ギヤ51とのギヤ比の組み合わせを適切に設定することにより、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bの回転速度が減速されて伝動軸49に伝達される。
苗植付装置5で必要とする動力の速度、例えば回転速度が低い場合、その低い回転速度に合わせて静油圧式無段変速装置45が出力する動力の回転速度も低くしなければならないとすると、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bからは低トルク・低速回転の動力が出力されることになる。その場合、苗植付装置5に伝達されるのが低トルク・低速回転の動力であれば、苗植付装置5の駆動抵抗により、苗植付装置5の駆動が停止してしまう可能性がある。ところが本実施形態のように、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bよりも下流に減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)が設けられていると、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bから出力される動力の回転速度を高くしても、減速機構で減速した上で苗植付装置5に適切なトルク・回転速度の動力を伝達できる。このように、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bの回転速度を設定回転速度以上にして、減速機構での減速比を大きくとることで、走行速度が低い場合や苗植付装置5で必要とする回転速度が低い場合でも、苗植付装置5には確実に動力が伝わる(植付アーム8を確実に駆動させる)ことができる。
減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)よりも下流には、入力される動力に対して出力される動力の角速度を変化させる不等速変速装置52が備えられている。本実施形態では、ミッションケース20の内部において、伝動軸48,49に亘って、ギヤ変速型式の不等速変速装置52が備えられており、伝動軸48に第1ベベルギヤ53が連結されている。ミッションケース20の後部に出力軸54が前後方向に沿って支持され、第2ベベルギヤ55が出力軸54の前部に植付クラッチ56を介して外嵌されており、ベベルギヤ53,55が咬合している。
言い換えると、ミッションケース20内に支持された伝動軸48(第1軸)と、その伝動軸48の下流に平面視で伝動軸48と交差する方向に沿って配置された出力軸54(第2軸)とが設けられている。ベベルギヤ53,55は、伝動軸48に設けられる第1ベベルギヤ53と、出力軸54に設けられ且つ第1ベベルギヤ53に噛み合う第2ベベルギヤ55とを有する。加えて、ミッションケース20に出力軸54の少なくとも上流側端部が挿入される開口部APが形成され、第2ベベルギヤ55の直径が開口部APの直径よりも小さく設定されている。このように、第2ベベルギヤ55の直径が、ミッションケース20に形成される開口部APよりも小さく設定されていることで、ミッションケース20を破損させずに、第2ベベルギヤ55及び出力軸54を、ミッションケース20から開口部APを通して取り出すことができる。
また、作業伝動系に動力の伝達方向を変換するベベルギヤ53,55が設けられ、ベベルギヤ53,55は減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)とは別途に設けられている。つまり、ベベルギヤ53,55では変速(増速、減速)を行わなくてもよいため、ベベルギヤ53,55の径が大きくなることを回避できる。また、静油圧式無段変速装置45及び減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)よりも下流側にベベルギヤ53,55が設けられて、動力の伝達方向の変換が行われる。つまり、静油圧式無段変速装置45及び減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)により変速が行われる機構と、ベベルギヤ53,55により動力の伝達方向の変換が行われる機構とを分けることができる。
図1及び図4に示すように、出力軸54の後部に、伝動軸57が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸57の後部が、自在継手(図示せず)を介して、苗植付装置5の入力軸(図示せず)に連結されている。
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28及び静油圧式無段変速装置45の入力軸45aを介して、静油圧式無段変速装置45に伝達される。
静油圧式無段変速装置45で変速された動力が、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bから、伝動軸47(伝動ギヤ47a)、伝動ギヤ50,51、伝動軸49、不等速変速装置52、伝動軸48、ベベルギヤ53,55、植付クラッチ56、出力軸54、伝動軸57を介して、苗植付装置5に伝達される。植付クラッチ56は、第2ベベルギヤ55と出力軸54との間での動力の伝達を伝動状態にするか、或いは、第2ベベルギヤ55と出力軸54との間での動力の伝達を遮断状態にするかを切り替えることができる。
図5は変速装置(無段変速装置24)から出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に伝達される状態について説明する図である。尚、無段変速装置24の具体的な構成については図示を省略している。図示するように、前進側及び後進側での変速指令が変速レバー30により行われると、その指令は制御装置63に伝達される。そして、その指令に基づいて無段変速装置24及び静油圧式無段変速装置45の動作制御が行われる。
具体例を挙げて説明すると、制御装置63は、変速レバー30により行われた前進指令を受けると、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向で且つ所定の回転速度で回転するように無段変速装置24の例えば油圧ポンプのポンプ斜板の傾斜角度をアクチュエータにより調節する。それに対して、制御装置63は、変速レバー30により行われた後進指令を受けると、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向とは逆の後進時の回転方向で且つ所定の回転速度で回転するように無段変速装置24の例えば油圧ポンプのポンプ斜板の傾斜角度をアクチュエータにより調節する。そして、無段変速装置24の出力軸24bから出力される動力は副変速装置31などを介して走行用の車輪(前輪1、後輪2)に伝達される。
また、本実施形態では、無段変速装置24の出力軸24bから出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐される分岐部Dは、副変速装置31が設けられている部位である。この部位では、伝動軸28の動力が副変速装置31によって伝動軸29(走行伝動系)へと分岐され、伝動軸28の動力は静油圧式無段変速装置45の入力軸45a(作業伝動系)へも伝達される。無段変速装置24の出力軸24bと伝動軸28とは同芯であり、両者は同軸と見なすことができるので、無段変速装置24の出力軸24bの途中に分岐部Dが設けられた構成になっているとも言える。加えて、無段変速装置24の出力軸24bと静油圧式無段変速装置45の入力軸45aとが同軸上(同芯上)に配置された構成になっている。無段変速装置24の出力軸24bと、無段変速装置24から出力される動力が伝達される静油圧式無段変速装置45の入力軸45aとが同軸上に配置されることで、無段変速装置24の出力軸24bと静油圧式無段変速装置45の入力軸45aとを例えばギヤなどを用いて連結しなくてもよくなる。その結果、部品点数が減少することで、装置重量が減少するという効果、装置コストが減少するという効果、装置の組み立てが容易になるという効果が得られる。
図5に示すように、静油圧式無段変速装置45は油圧ポンプ80及び油圧モータ82を備えている。油圧ポンプ80にはポンプ斜板81が設けられ、油圧モータ82にはモータ斜板83が設けられる。本実施形態では、油圧ポンプ80が有するポンプ斜板81の傾斜角度をアクチュエータ67によって調節でき、モータ斜板83の傾斜角度は固定である。
そして、制御装置63が、アクチュエータ67の動作を制御する(即ち、ポンプ斜板81の傾斜角度を調節する)ことで、静油圧式無段変速装置45において入力軸45aの回転速度から出力軸45bの回転速度への変速が行われる。そして、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bから出力される動力は、伝動軸47などを介して苗植付装置5に伝達される。
例えば、水田において植付作業を行う場合、以下のような操作が行われる。
植付作業の開始時において、作業者は、設定部(図示せず)により複数の設定株間のうちの一つを設定(選択)する。そして、設定部により一つの株間が設定された状態において植付作業を開始すると、設定された株間に対応して制御装置63が操作信号を出力し、その操作信号に応じて静油圧式無段変速装置45による変速動作が実施される。
植付クラッチ56を伝動状態に操作すると、苗植付装置5に動力が伝達されて、苗植付装置5が作動する。
苗植付装置5が作動すると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面の反時計方向に回転駆動され、2組の植付アーム8が、苗のせ台10の下部から交互に苗(農用資材に相当)を取り出して圃場面としての田面に植え付ける。これにより、機体11の走行方向に沿って、事前に設定された供給量、即ち設定株間(供給間隔に相当)で、苗が田面に間欠的に植え付け供給される。
植付クラッチ56を遮断状態に操作すると、苗植付装置5への動力が遮断されて、苗植付装置5が停止し、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、作業伝動系の動力が静油圧式無段変速装置45及び不等速変速装置52を通って、苗植付装置5(作業装置)に伝達される状態となっている。
以上のような構成の水田作業機では、水田作業機を後進させるのに伴って無段変速装置24の出力軸24bが前進の回転方向とは逆の後進時の回転方向に回転する。そのため、作業伝動系に対してその後進時の回転方向で回転する動力が伝達されると、苗植付装置5も逆方向に駆動されて、例えば、苗植付装置5の植付アーム8が逆回転することで、苗が意図しない方向に飛ばされる可能性がある。
ところが、水田作業機には、分岐部Dよりも作業伝動系側で、無段変速装置24から作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構を設けている。本実施形態では、動力調節機構は、油圧ポンプ80が有するポンプ斜板81の傾斜角度を調節するアクチュエータ67を用いて実現される。つまり、静油圧式無段変速装置45のポンプ斜板81の傾斜角度を調節することで、その静油圧式無段変速装置45から苗植付装置5に動力を伝達させない動力調節機構の機能を実現できる。
そして、制御装置63は、無段変速装置24から出力される動力が走行用の車輪(前輪1、後輪2)を前進駆動させる前進動力である場合には、上記動力調節機構の動作により、その前進動力を苗植付装置5に伝達し、無段変速装置24から出力される動力が走行用の車輪(前輪1、後輪2)を後進駆動させる後進動力である場合には、上記動力調節機構の動作により、その後進動力を苗植付装置5に伝達しないことができる。つまり、水田作業機において、機体11の走行方向を前進及び後進に切り替えても、苗などの農用資材が意図しない方向に飛ばされることのないようにできる。
具体的には、制御装置63は、変速レバー30により行われた前進指令を受けた場合、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bが前進時の回転方向で且つ所定の回転速度で回転するように静油圧式無段変速装置45の油圧ポンプ80のポンプ斜板81の傾斜角度をアクチュエータ67により調節する。それに対して、制御装置63は、変速レバー30により行われた後進指令を受けた場合、静油圧式無段変速装置45の出力軸45bが回転しない或いは非常に小さいトルクしか加わらないように静油圧式無段変速装置45の油圧ポンプ80のポンプ斜板81の傾斜角度をアクチュエータ67により調節する。
(不等速変速装置の構成)
図4に示すように、不等速変速装置52は、伝動軸49に連結された等速ギヤ58及び不等速ギヤ59、伝動軸48に相対回転自在に外嵌された等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を備えており、等速ギヤ58,60が咬合し、不等速ギヤ59,61が咬合している。
キー状の変速部材62が伝動軸48の内部にスライド自在に支持されており、変速部材62をスライド操作して、等速ギヤ60及び不等速ギヤ61のうちの一つに係合させることにより、変速部材62を係合させた等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を伝動軸48に連結状態とできる。
等速ギヤ58,60は、円形ギヤで同径である。これにより、変速部材62を等速ギヤ60に係合させると、伝動軸49の1回転の動力が、角速度の等速状態で1回転の動力として伝動軸48に伝達される。
不等速ギヤ59,61は、楕円ギヤ、偏芯ギヤ又は非円形ギヤである。これにより、変速部材62を不等速ギヤ61のうちの一つに係合させると、伝動軸49の1回転の動力が1回転の動力として伝動軸48に伝達されるのであるが、1回転のうち角速度が高低に変化する。
不等速ギヤ59,61が偏芯ギヤである場合、一つの偏芯ギヤにおいてギヤ歯の転位が複数設定されており、ギヤ歯によって転位が異なるものに設定されている。これにより、不等速ギヤ59,61のバックラッシのバラ付きを少なくすることができて、不等速ギヤ59,61による動力の伝達が滑らかなものにできる。
加えて、不等速変速装置52の出力部に対応する伝動軸48の回転速度は、苗植付装置5に伝達される出力軸54及び伝動軸57の回転速度と同じである。言い換えると、伝動軸48の回転速度は、ベベルギヤ53,55、植付クラッチ56、出力軸54、伝動軸57を介して、苗植付装置5に伝達される間に変化しない。これは、減速機構(伝動ギヤ50及び伝動ギヤ51)よりも下流に不等速変速装置52が設置され、不等速変速装置52よりも下流では変速が行われないことにより得られる効果である。このような構成により、不等速変速装置52によって、伝動軸48に1回転のうち角速度が高低に変化する状態を作り出すと、その状態が伝動軸57及び苗植付装置5にもそのまま伝達され、苗が田面に供給される瞬間での苗植付装置5の植付アーム8の作動速度が適切な値となるようにできる。
更に、本実施形態では、植付クラッチ56は、第2ベベルギヤ55と出力軸54とが相対的に1回転する間に1回だけ、即ち360°に1回だけ遮断状態から伝動状態に移行できるように構成されている。例えば、出力軸54には1つの爪部が設けられ、第2ベベルギヤ55が設けられた部材には1つの窪み部が設けられている。そして、第2ベベルギヤ55と出力軸54とが相対的に1回転する間に、出力軸54の爪部は1回だけ第2ベベルギヤ55が設けられた部材には1つの窪み部に嵌まることで伝動状態に移行できるような位置関係になっている。このように、第2ベベルギヤ55と出力軸54とが特定の位置関係にあるタイミングでのみ植付クラッチ56が伝動状態に移行できるように構成にすることで、植付クラッチ56が伝動状態である間は、不等速変速装置52により伝動軸48に1回転のうち角速度が高低に変化するタイミングと、植付アーム8の1回転のうち角速度が高低に変化するタイミング(速度分布)とを常に同期させることができる。以上のように、不等速変速装置52の出力部に対応する伝動軸48から苗植付装置5の間では、軸の回転速度は一定であり(例えば、伝動軸48の回転周期と植付アーム8の回転周期とが同じ)、且つ、軸の回転位相も一定である。その結果、植付クラッチ56が伝動状態及び遮断状態に何度切り替えられても、伝動軸48の1回転のうち角速度が高低に変化するタイミングと、植付アーム8の1回転のうち角速度が高低に変化するタイミング(速度分布)とは同じになる。
<第2実施形態>
第2実施形態の水田作業機は、動力調節機構の構成が上記第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の水田作業機について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図6は、変速装置(無段変速装置24)から出力される動力が走行伝動系及び作業伝動系に伝達される状態について説明する図である。尚、無段変速装置24の具体的な構成については図示を省略している。本実施形態でも、前進側及び後進側での変速指令が変速レバー30により行われると、その指令は制御装置63に伝達される。そして、制御装置63は、変速レバー30により行われた前進指令を受けると、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向で且つ所定の回転速度で回転するように無段変速装置24の例えば油圧ポンプのポンプ斜板の傾斜角度をアクチュエータにより調節する。それに対して、制御装置63は、変速レバー30により行われた後進指令を受けると、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向とは逆の後進時の回転方向で且つ所定の回転速度で回転するように無段変速装置24の例えば油圧ポンプのポンプ斜板の傾斜角度をアクチュエータにより調節する。
加えて、本実施形態では、無段変速装置24の出力軸24bと同軸上(同芯上)にある伝動軸28の途中に、即ち、分岐部Dよりも下流且つ静油圧式無段変速装置45よりも上流に、走行用の車輪(前輪1、後輪2)を前進回転させる場合の無段変速装置24の出力軸24bの前進駆動力を静油圧式無段変速装置45に伝達し、走行用の車輪(前輪1、後輪2)を後進回転させる場合の無段変速装置24の出力軸24bの後進駆動力を静油圧式無段変速装置45に伝達しないように構成されるクラッチ84を、動力調節機構として設けている。
例えば、伝動軸28に設けられるクラッチ84はワンウェイクラッチを用いて実現できる。つまり、このクラッチ84がワンウェイクラッチの場合、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向で回転している場合はその回転が静油圧式無段変速装置45の入力軸45aに伝達され、無段変速装置24の出力軸24bが前進時の回転方向とは逆の後進時の回転方向で回転している場合はその回転が静油圧式無段変速装置45の入力軸45aに伝達されない。このように、無段変速装置24の出力軸24bの前進駆動力を静油圧式無段変速装置45の入力軸45aに伝達する状態と、無段変速装置24の出力軸24bの後進駆動力を静油圧式無段変速装置45の入力軸45aに伝達しない状態との何れかにクラッチ84の状態が切り替わることで、動力調節機構の機能が実現される。
(発明の実施の第1別形態)
作業装置として、機体11の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての苗を圃場面に供給する苗植付装置5が備えられている例を説明したが、作業装置として、別の装置が備えられていてもよい。
例えば、作業装置として、機体11の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての種子を圃場面に点播する播種装置が備えられていてもよい。
(発明の実施の第2別形態)
ミッションケース20において、ミッションケース20の右の横側部に、無段変速装置24を設け、ミッションケース20の左の横側部に、静油圧式無段変速装置45を設けてもよい。
(発明の実施の第3別形態)
無段変速装置24に代えて、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置(図示せず)を設けてもよい。静油圧式無段変速装置45に代えて、ベルト無段型式の無段変速装置45を設けてもよい。
(発明の実施の第4別形態)
ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29,47,48,49等を、左右方向ではなく前後方向に配置するように構成してもよい。
エンジン23に代えて、電動モータ(図示せず)を原動部として使用してもよい。
(発明の実施の第5別形態)
上記実施形態では、動力調節機構が、油圧ポンプ80が有するポンプ斜板81の傾斜角度を調節するアクチュエータ67を用いて実現される例を説明したが、動力調節機構の機能を他の装置により実現することもできる。
例えば、動力調節機構は、静油圧式無段変速装置45の油圧ポンプが有するポンプ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータ及び油圧モータが有するモータ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータの少なくとも何れか一方を備えていればよい。
つまり、モータ斜板83の傾斜角度を調節するアクチュエータを設け、そのアクチュエータにより動力調節機構が実現されてもよい。或いは、静油圧式無段変速装置45のポンプ斜板81の傾斜角度を調節するアクチュエータ67に加えて、モータ斜板83の傾斜角度を調節するアクチュエータを設け、それら両方のアクチュエータにより動力調節機構が実現されてもよい。
(発明の実施の第6別形態)
上記実施形態では、クラッチ84がワンウェイクラッチである場合を例示したが、クラッチ84は、動力を伝達する状態及び伝達しない状態を切り替えることができる他の構成のクラッチでも構わない。例えば、摩擦クラッチやツメクラッチなどをクラッチ84として採用してもよい。この場合、変速レバー30により前進指令(変速指令)が行われると、制御装置63がその前進指令に応じて、無段変速装置24の出力軸24bの前進駆動力を静油圧式無段変速装置45に伝達するようにクラッチ84を伝動状態に動作させ、変速レバー30により後進指令(変速指令)が行われると、制御装置63がその後進指令に応じて、無段変速装置24の出力軸24bの後進駆動力を静油圧式無段変速装置45に伝達しないようにクラッチ84を遮断状態に動作させればよい。
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等のように、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場面に供給する水田作業機に適用できる。
1 :前輪(車輪)
2 :後輪(車輪)
5 :苗植付装置(作業装置)
11 :機体
23 :エンジン(原動部)
24 :第一静油圧式無段変速装置(変速装置)
24b :出力軸
28 :伝動軸(出力軸 24b)
45 :第二静油圧式無段変速装置(無段変速装置)
45a :入力軸
67 :アクチュエータ(動力調節機構)
80 :油圧ポンプ
81 :ポンプ斜板
82 :油圧モータ
83 :モータ斜板
84 :クラッチ(動力調節機構)
D :分岐部

Claims (8)

  1. 原動部の動力が伝達される第一静油圧式無段変速装置と、
    前記第一静油圧式無段変速装置からの出力が入力される変速機構が内装されたミッションケースと、
    機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、が備えられ、
    前記ミッションケース内に、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を、走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐させる分岐部が設けられ、
    前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を変速可能な第二静油圧式無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
    前記分岐部よりも前記作業伝動系側で前記作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構が設けられ、
    前記第二静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧モータを備える静油圧式無段変速装置であり、
    前記動力調節機構は、前記油圧モータが有するモータ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータを備え、
    前記動力調節機構の動作により、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を前進駆動させる前進動力である場合には当該前進動力を前記作業装置に伝達し、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を後進駆動させる後進動力である場合には当該後進動力を前記作業装置に伝達しない水田作業機。
  2. 原動部の動力が伝達される第一静油圧式無段変速装置と、
    前記第一静油圧式無段変速装置からの出力が入力される変速機構が内装されたミッションケースと、
    機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、が備えられ、
    前記ミッションケース内に、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を、走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐させる分岐部が設けられ、
    前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が、前記第一静油圧式無段変速装置から出力された動力を変速可能な第二静油圧式無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
    前記分岐部よりも前記作業伝動系側で前記作業伝動系に伝達される動力を調節できる動力調節機構が設けられ、
    前記第二静油圧式無段変速装置が、可変容量型の油圧ポンプ及び可変容量型の油圧モータを備える静油圧式無段変速装置であり、
    前記動力調節機構は、前記油圧ポンプが有するポンプ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータ及び前記油圧モータが有するモータ斜板の傾斜角度を調節するアクチュエータの少なくとも何れか一方を備え、
    前記動力調節機構の動作により、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を前進駆動させる前進動力である場合には当該前進動力を前記作業装置に伝達し、前記第一静油圧式無段変速装置から出力される動力が前記走行用の車輪を後進駆動させる後進動力である場合には当該後進動力を前記作業装置に伝達しない水田作業機。
  3. 前記動力調節機構は、前記分岐部よりも下流且つ前記第二静油圧式無段変速装置よりも上流に設けられ、前記走行用の車輪を前進回転させる場合における前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の前進駆動力を前記第二静油圧式無段変速装置に伝達し、前記走行用の車輪を後進回転させる場合における前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の後進駆動力を前記第二静油圧式無段変速装置に伝達しないように構成されるクラッチを備える請求項1又は2に記載の水田作業機。
  4. 前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸と前記第二静油圧式無段変速装置の入力軸とが同軸上に配置されている請求項1~3の何れか一項に記載の水田作業機。
  5. 前記第一静油圧式無段変速装置の出力軸の途中に前記分岐部が設けられる請求項1~4の何れか一項に記載の水田作業機。
  6. 前記作業装置が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材を圃場面に間欠的に供給する請求項1~5のいずれか1項に記載の水田作業機。
  7. 前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての種子を圃場面に点播する播種装置が備えられている請求項6に記載の水田作業機。
  8. 前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての苗を圃場面に供給する苗植付装置が備えられている請求項6に記載の水田作業機。
JP2017247838A 2017-12-21 2017-12-25 水田作業機 Active JP7027158B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017247838A JP7027158B2 (ja) 2017-12-25 2017-12-25 水田作業機
KR1020207013196A KR20200097686A (ko) 2017-12-21 2018-06-27 수전 작업기
CN201880079524.0A CN111465314A (zh) 2017-12-21 2018-06-27 水田作业机
PCT/JP2018/024389 WO2019123696A1 (ja) 2017-12-21 2018-06-27 水田作業機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017247838A JP7027158B2 (ja) 2017-12-25 2017-12-25 水田作業機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019110841A JP2019110841A (ja) 2019-07-11
JP7027158B2 true JP7027158B2 (ja) 2022-03-01

Family

ID=67220949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017247838A Active JP7027158B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-25 水田作業機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7027158B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005160445A (ja) 2003-12-05 2005-06-23 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd 農作業機
JP2009022285A (ja) 2008-08-04 2009-02-05 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd コンバイン
JP2012139113A (ja) 2010-12-28 2012-07-26 Iseki & Co Ltd 苗植付装置
JP2013053605A (ja) 2011-09-06 2013-03-21 Kubota Corp 作業車のエンジン停止操作構造
JP2015086995A (ja) 2013-11-01 2015-05-07 株式会社 神崎高級工機製作所 作業車両の作業部駆動制御機構
JP2015149942A (ja) 2014-02-14 2015-08-24 井関農機株式会社 苗移植機

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100928018B1 (ko) * 2007-09-21 2009-11-24 국제종합기계 주식회사 변속 페달 어셈블리를 갖춘 이앙기

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005160445A (ja) 2003-12-05 2005-06-23 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd 農作業機
JP2009022285A (ja) 2008-08-04 2009-02-05 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd コンバイン
JP2012139113A (ja) 2010-12-28 2012-07-26 Iseki & Co Ltd 苗植付装置
JP2013053605A (ja) 2011-09-06 2013-03-21 Kubota Corp 作業車のエンジン停止操作構造
JP2015086995A (ja) 2013-11-01 2015-05-07 株式会社 神崎高級工機製作所 作業車両の作業部駆動制御機構
JP2015149942A (ja) 2014-02-14 2015-08-24 井関農機株式会社 苗移植機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019110841A (ja) 2019-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100642692B1 (ko) 승용형 수전작업기
JP7027158B2 (ja) 水田作業機
JP7033911B2 (ja) 水田作業機
WO2019123696A1 (ja) 水田作業機
CN109923982B (zh) 水田作业机械
WO2019123695A1 (ja) 水田作業機
JP6951231B2 (ja) 水田作業機
JP7192064B2 (ja) 水田作業機
JP7181362B2 (ja) 水田作業機
JP7068887B2 (ja) 水田作業機
JP7029004B2 (ja) 作業機
JP7477583B2 (ja) 作業機
JP2023016975A5 (ja)
JP6829184B2 (ja) 作業機
JP7246535B2 (ja) 作業機
JP2008263879A (ja) 移植機
JP7109182B2 (ja) 水田作業機
JP2001278102A (ja) 乗用型水田作業機
JP2010057458A (ja) 移植機
JP2024002178A (ja) 水田作業機
JP5808903B2 (ja) 田植機
JP2001278094A (ja) 乗用型水田作業機
JP2003102215A (ja) 乗用型水田作業機
JP2019103435A (ja) 不等速変速装置又は乗用型田植機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7027158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150