JP2001278094A - 乗用型水田作業機 - Google Patents

乗用型水田作業機

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JP2001278094A JP2000091469A JP2000091469A JP2001278094A JP 2001278094 A JP2001278094 A JP 2001278094A JP 2000091469 A JP2000091469 A JP 2000091469A JP 2000091469 A JP2000091469 A JP 2000091469A JP 2001278094 A JP2001278094 A JP 2001278094A
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祥之 児島
Makoto Kubotsu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機体の方向転換を円滑容易に行うことができ
るとともに、機体停止をも確実かつ容易に行える乗用型
水田作業機を提供する。 【解決手段】 変速した動力を操向可能な左右の前輪1
と操向不能な後輪2に伝達するよう構成した乗用型水田
作業機において、左右の後輪2に対してそれぞれ摩擦式
のサイドクラッチ96を装備し、前輪1が設定角度以上
に操向されることに連動して、旋回内側のサイドクラッ
チ96のみを切り操作するサイドクラッチ自動操作機構
106を備えるとともに、前輪1および後輪2に制動作
用を与えるブレーキ30を単一のペダル25で操作可能
に構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用型田植機や乗
用型直播機などの乗用型水田作業機に係り、特には、走
行用動力を、操向可能な左右の前輪と操向不能な左右の
後輪に伝達するよう構成するとともに、左右の後輪にそ
れぞれサイドクラッチを装備し、前輪が設定角度以上に
操向されると、旋回内側となる後輪に対応するサイドク
ラッチが切り操作されるよう構成した乗用型水田作業機
に関する。
【0002】
【従来の技術】上記乗用型水田作業機としては、例え
ば、特開平9−220946号公報に開示されているよ
うに、左右の後輪にそれぞれサイドクラッチとサイドブ
レーキを装備し、前輪が設定角度以上に操向されると、
旋回内側となる後輪のサイドクラッチのみを切り操作し
たり、サイドクラッチを切った後にサイドブレーキを作
動させたりする操向用の自動操作手段を備えた乗用型田
植機が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によると、畦
際などでの機体旋回操作をハンドル操作だけで軽快に行
うことができるものであるが、機体制動については未だ
十分な研究がなされておらず、改良の余地があった。つ
まり、上記提案構造においては、左右の後輪のそれぞれ
に作用するサイドブレーキを備え、左右のサイドブレー
キペダルによって独立に操作するよう旧来から多用され
ている構造が採用されていたために、走行中に機体を停
止するには、左右のサイドブレーキペダルを同時に操作
する必要があり、誤って片ブレーキをかけてしまわない
ためには、両サイドブレーキペダルを慎重に同時に踏み
込み操作するか、あるいは、両サイドブレーキペダルを
連結金具で連結しておく必要があり、いずれにせよ煩わ
しいものとなっていた。
【0004】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであって、機体の方向転換を円滑容易に行うこと
ができるとともに、機体停止をも確実かつ容易に行える
ようにすることを主たる目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の
構成、作用および効果〕
【0006】(構成) 請求項1に係る発明の乗用型水
田作業機は、変速した動力を操向可能な左右の前輪と操
向不能な後輪に伝達するよう構成した乗用型水田作業機
であって、左右の後輪に対してそれぞれ摩擦式のサイド
クラッチを装備し、前輪が設定角度以上に操向されるこ
とに連動して、旋回内側のサイドクラッチのみを切り操
作するサイドクラッチ自動操作機構を備えるとともに、
前輪および後輪に制動作用を与えるブレーキを単一のペ
ダルで操作可能に構成してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 上記構成によると、圃場内での
作業走行において、畦際で機体を大きく方向転換する場
合、前輪を大きく操向するだけで、旋回内側となる後輪
のサイドクラッチのみが自動的に切られ、旋回内側とな
る後輪の引きずり回転を許容する状態で機体は左右前輪
と旋回外側の後輪とによる3輪駆動で大きく旋回する。
【0008】また、圃場内での作業走行中あるいは路上
走行中にかかわらず、単一のペダルを踏み込み操作する
だけで前輪および後輪に制動をかけて、機体を停止する
ことができる。
【0009】(効果) 従って、請求項1に係る発明に
よると、サイドクラッチ自動操作機構を利用して軽快か
つ容易に機体の小回り旋回を行うことができるととも
に、煩わしいペダル操作やペダル連結操作をまったく必
要とすることなく、確実容易に機体を停止操作すること
ができ、取り扱い操作性を大きく向上することができ
た。
【0010】〔請求項2に係る発明の構成、作用および
効果〕
【0011】(構成) 請求項2に係る発明の乗用型水
田作業機は、請求項1の発明の構成において、単一の前
記ブレーキで前輪および後輪を制動するよう構成すると
ともに、このブレーキを、前輪および後輪に動力を伝達
する機体前部のミッションケースに装備してある。
【0012】(作用) ミッションケース内の伝動部に
は高速低トルクで回転する部位が多く存在しており、こ
れらの部位の適当な箇所に制動をかけるようにすれば、
容量の比較的小さい単一のブレーキでも十分な制動をか
けることができる。また、運転部の足元に配置するペダ
ルとミッションケースに装備したブレーキは共に機体の
前部において比較的近くに位置することになり、両者の
連係距離は短いものとなる。
【0013】(効果) 従って、請求項2に係る発明に
よると、請求項1の発明の上記効果をもたらすととも
に、ブレーキ自体の小型化や、ペダルとブレーキとの連
係構造の小型軽量化を図ることができる。
【0014】〔請求項3に係る発明の構成、作用および
効果〕
【0015】(構成) 請求項3に係る発明の乗用型水
田作業機は、請求項1または2の発明の構成において、
前輪操向用のステアリングリンク機構における縦軸心周
りに回動する部材と、前記サイドクラッチの操作アーム
とを機体前後方向に作動する連係部材で連動連結して前
記サイドクラッチ自動操作機構を構成してある。
【0016】(作用) 上記構成によると、ステアリン
グリンク機構において縦軸心周りに回動する部材を横方
向に延出することで、その部材の延出端側の回動を前後
方向への変位に変換でき、この前後方向変位を機体後部
のサイドクラッチにロッドヤワイヤなどの伝動部材を介
して機械的に伝達することで、前輪の操向に連動して後
輪のサイドクラッチを自動的に切り操作するサイドクラ
ッチ自動操作機構を構成できる。
【0017】(効果) 従って、請求項3に係る発明に
よると、請求項1の発明の上記効果をもたらすととも
に、サイドクラッチ自動操作機構を構造簡単なものに構
成でき、実用上有功となる。
【0018】〔請求項4に係る発明の構成、作用および
効果〕
【0019】(構成) 請求項4に係る発明の乗用型水
田作業機は、請求項3の発明の構成において、前記サイ
ドクラッチの操作アームを縦軸心周りに回動可能に構成
してある。
【0020】(作用) 上記構成によると、機体前部の
ステアリングリンク機構において回動する部材と、機体
後部に位置するサイドクラッチの操作アームが共に縦軸
心周りに回動するので、両者の連動系で変位伝達方向を
転換することなく、ステアリングリンク機構の回動部材
からサイドクラッチの操作アームに操作力を無理なく確
実に伝達することができる。また、連動部材は平面的に
変位するだけで上下にはほとんど変位しないので、上下
方向でのスペースを大きく必要としない。
【0021】(効果) 従って、請求項4に係る発明に
よると、前輪の操向に連動して後輪のサイドクラッチを
円滑かつ適確に切り操作することのできるサイドクラッ
チ自動操作機構を上下コンパクトなものに構成でき、機
体の下腹部にでも容易に配備することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1、図2に、水田作業機の一例
として5条植え仕様の乗用型田植機が示されている。こ
の乗用型田植機は、操向自在な左右一対の前輪1と操向
不能な左右一対の後輪2とを備えた乗用型の自走機体3
の後部に、5条植え仕様の苗植付装置4が昇降シリンダ
6によって駆動される四連リンク機構5を介して昇降自
在に連結されるとともに、機体後部に5条仕様の施肥装
置7が装備された構造となっている。
【0023】前記自走機体3の機体フレーム8の前部に
は、前輪1を軸支する前車軸ケース9aが備えられたミ
ッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレ
ーム8の後部には、後輪2を軸支する後部伝動ケース1
0がローリング自在に支持されている。また、ミッショ
ンケース9の前方近傍位置に、横向きの出力軸11aを
備えたエンジン11が防振ゴム12を介して搭載される
とともに、エンジン11の後方に位置する状態で搭乗運
転部13が配備されている。前記搭乗運転部13には、
前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル1
4、運転座席15、運転ステップ24などが備えられて
いる。
【0024】前記苗植付装置4は、5条分の苗を載置し
て左右方向に設定ストロークで往復移動される苗のせ台
16、苗のせ台16の下端から1株分づつ苗を切り出し
て圃場に植付けてゆく5組の回転式の植付機構17、植
付け箇所を整地する3個の整地フロート18、等を備え
て構成されており、苗のせ台16に補給するための予備
苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台49が、機体前
部の左右に配備されている。
【0025】前記施肥装置7は、運転座席15と苗植付
装置4との間において自走機体3上に搭載されており、
粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー19、この肥料ホ
ッパー19内の肥料を設定量づつ繰り出す繰出し機構2
0、繰り出された肥料を供給ホース22を介して苗植付
装置4の整地フロート18に備えた作溝器21に空気搬
送する電動ファン23、などを備えている。
【0026】図3、図4に示すように、前記ミッション
ケース9の左側面には、前記エンジン11の出力軸11
aにベルト伝動装置40を介して連動された横向きの入
力軸41aを備えた静油圧式無段変速装置(HST)か
らなる主変速装置41が、その出力をミッションケース
9内に横向き軸で伝達する状態に、かつ、その入力軸4
1aと出力軸41bとを前後に配設した状態に連結され
ている。
【0027】前記ベルト伝動装置40は、エンジン11
の出力軸11aに装着した出力プーリ40aと主変速装
置41の入力軸41aに装着した入力プーリ40bとに
わたって伝動ベルト40cを巻回し、この伝動ベルト4
0bにテンションを付与するテンションプーリ40dを
設けて構成されている。
【0028】前記主変速装置41の入力軸41aは、ミ
ッションケース9の前部を通して右側に延出されてい
る。この主変速装置41を操作するための主変速レバー
46は、前記ステアリングハンドル14の左横脇に配置
されており、この主変速レバー46の中立から前方への
揺動操作によって前進速度の変更が、また、中立から後
方への揺動操作によって後進速度の変更が可能となって
いる。
【0029】また、前記ミッションケース9の右側面に
は、図4に示すように、前記主変速装置41の入力軸4
1aの延出端部で駆動される油圧ポンプ42が連結され
るとともに、ミッションケース9の上面には、図3、図
4に示すように、前記ステアリングハンドル14のハン
ドル軸14aに連動する油圧式のパワーステアリング装
置を構成するトルクジェネレータ43と、前記昇降シリ
ンダ6を制御する作業装置昇降操作用の制御バルブ44
とが取り付けられている。
【0030】なお、前記ミッションケース9は作動油タ
ンクに兼用されるものであって、ミッションケース9の
右側面に取り付けたオイルフィルター45を通してミッ
ションケース9内の潤滑油を作動油として取り出して主
変速装置41及び油圧ポンプ42に供給し、油圧ポンプ
42からの圧油は、トルクジェネレータ43に供給さ
れ、その後、制御バルブ44を通して昇降シリンダ6に
供給されるようになっている。そして、主変速装置41
のドレン油は、ミッションケース9に連通する前車軸ケ
ース9aに戻され、制御バルブ44からのドレン油は直
接にミッションケース9に戻されるようになっている。
【0031】図5、図6に示すように、前記ミッション
ケース9内には、前記主変速装置41からの出力の伝達
を断続する主クラッチ50と、この主クラッチ50から
の出力を高低二段に変速する副変速装置51と、この副
変速装置51からの出力を左右の前輪1に伝達するデフ
機構52とが設置されているとともに、走行伝動系から
分岐させた動力の正転動力のみを苗植付装置4へ伝達す
る一方向クラッチ53と、これからの動力を変速する株
間変更用の植付変速機構54と、苗植付装置4への動力
伝達を断続する植付クラッチ55、等が装備されてい
る。
【0032】前記主クラッチ50は多板式のものが採用
されており、前記主変速装置41の出力軸41bにカッ
プリング56を介して連結した入力軸57に、駆動側ボ
ス部材58が一体回転可能に連結されるとともに、この
駆動側ボス部材58に被さる従動側ドラム60が、前記
入力軸57にシフト可能に遊嵌装着されたクラッチ出力
軸59に一体回転可能に連結支持され、クラッチ出力軸
59および従動側ドラム60を駆動側ボス部材58に対
してシフトさせて、駆動側ボス部材58と従動側ドラム
60との間に介在した摩擦板61同志を押圧あるいは押
圧解除することで、駆動側ボス部材58から従動側ドラ
ム60への動力の摩擦伝達を断続するよう構成されてお
り、かつ、クラッチ出力軸59および従動側ドラム60
は常に摩擦板押圧方向(クラッチ入り方向)にスプリン
グ62によって付勢されている。
【0033】この主クラッチ50はペダル操作によって
のみ入り切り可能に構成されている。つまり、前記搭乗
運転部13におけるステップ24の右側足元箇所に設け
た機体停止用のペダル25と、ミッションケース9の上
面に入力軸57に対して直交する縦軸芯P周りで回動可
能に貫通装着したクラッチ操作軸63とが連動連結され
るとともに、前記ペダル25と一体回動するペダル軸2
6に回動アーム27が取り付けられ、この回動アーム2
7と前記クラッチ操作軸63のケース外突出部に設けた
受動アーム63aとがロッド28によって連動連結され
た構造となっており、ペダル25の踏み込み操作および
踏み込み解除操作に伴ってクラッチ操作軸63が正逆に
回動されるようになっている。
【0034】前記クラッチ操作軸63におけるケース内
先端部には、その周面の一部を切除してなる断面半円形
の偏心カム63bが形成されており、この偏心カム63
bが前記クラッチ出力軸59の端面に対向されている。
そして、ペダル25を踏み込まない通常の状態では、図
5に示すように、偏心カム63bはクラッチ出力軸59
に対する押圧を解除した姿勢にあり、これによって主ク
ラッチ50の「入り」状態がもたらされる。また、ペダ
ル25を踏み込み操作すると、偏心カム63bのエッジ
部が変位してクラッチ出力軸59の端面に押圧され、ス
プリング62による付勢に抗してクラッチ出力軸59が
移動され、従動側ドラム60が図中右方向に変位される
ことで主クラッチ50が「切り」状態に切り換えられ
る。なお、このクラッチ切り状態では、偏心カム63b
のエッジ部とクラッチ出力軸59の端面との摩擦によ
り、クラッチ出力軸59の回転に抵抗が与えられ、クラ
ッチ出力軸59が入力軸57とともに連れ回る現象が防
止されるようになっている。
【0035】前記副変速装置51はギヤシフト式のもの
であって、変速入力軸64には、高速用の大径変速ギヤ
65と低速用の小径変速ギヤ66とが共に一体回転する
状態でかつ軸芯方向位置決め状態に装着され、変速出力
軸67には、大径変速ギヤ65に小径ギヤ部68を噛み
合い連動させる高速位置と、小径変速ギヤ66に大径ギ
ヤ部69を噛み合い連動させる低速位置と、噛み合い連
動させない中立位置とにシフト自在なシフトギヤ70が
一体回転する状態に装着されている。そして、前記クラ
ッチ出力軸59に、大径変速ギヤ65に噛み合い連動し
て動力を減速伝達する小径出力ギヤ71が一体回転する
状態に装着され、クラッチ出力軸59に変速入力軸64
が減速連動されている。この副変速装置51を操作する
ための副変速レバー47は運転座席15の左横脇に配置
されている。
【0036】前記デフ機構52はデフロック可能に構成
されている。つまり、左右に延出された差動軸72の一
方に、この差動軸72と一体回転可能かつシフト可能に
シフト部材74が装着されており、図5中に示すように
シフト部材74がデフケース73から離反している状態
が通常のデフロック解除状態となり、シフト部材74が
図中右方にシフトされてデフケース73の端面に噛み合
わされることでデフロック状態がもたらされるようにな
っている。このデフ機構52をデフロック状態とデフロ
ック解除状態とに切り換え操作するデフロック操作手段
は、前記シフト部材74がデフロック解除位置に図示し
ないバネによって付勢されるとともに、搭乗運転部13
における足元の左寄り後方箇所に設けたデフロックペダ
ル48と前記シフト部材74とが連動連結されており、
通常の走行時にはデフロックペダル48から足を離して
おくことでデフロック解除状態が維持され、圃場への機
体の出し入れや運搬車両の荷台への機体の積み降ろし、
等の場合にデフロックペダル48を左足の踵で踏み込み
操作することでデフロック状態をもたらして、左右の前
輪1を等速で駆動することができる。
【0037】また、前記デフ機構52のデフケース73
には、前記変速出力軸67にスプライン連結した変速出
力ギヤ75に噛み合う入力ギヤ76と、前記後輪2への
伝動用の主伝動軸77に一体形成したギヤ78に出力ギ
ヤ79が装着されている。
【0038】前記一方向クラッチ53は、前記変速入力
軸64を走行伝動系から植付伝動系への分岐点として、
変速入力軸64の回転のうち前進回転のみを植付伝動系
に伝達するように設けられている。
【0039】前記植付変速機構54は、前記変速出力軸
67に相対回転のみ自在に装着されるとともに前記一方
向クラッチ53の出力ギヤ80にギヤ81を介して連動
する筒軸82に、互いに径が異なる複数の駆動ギヤ83
が一体回転する状態に装着され、植付クラッチ55にベ
ベルギヤ84,85を介して連動する植付変速出力軸8
6に、前記駆動ギヤ83のそれぞれに常時噛み合い連動
する従動ギヤ87群が相対回転自在に装着され、各従動
ギヤ87の中心孔に形成した係合凹部88に係入するこ
とにより従動ギヤ87を植付変速出力軸86に連動連結
させる伝動ボール89が植付変速出力軸86に一体回転
する状態に装備され、伝動ボール89を択一的に係合凹
部88に係入させる操作軸90が設けられた構造となっ
ている。つまり、従動ギヤ87を択一的に植付変速出力
軸86に連動連結させることにより、伝動に使用する従
動ギヤ87を変更して、複数段(例では6段)の変速を
行うように構成されている。
【0040】後輪駆動用の後部伝動ケース10は、図7
〜図9に示すように、機体フレーム8に前後軸芯X周り
に一定範囲内でローリング自在に支持された横向き伝動
ケース部10Aと、その左右両端それぞれに連結された
減速ケース部10Bとから構成されている。横向き伝動
ケース部10A内には、ミッションケース8から後ろ向
きに延出された前記主伝動軸77からの動力を左右に振
り分ける横向き伝動軸93が内装され、この横向き伝動
軸93と主伝動軸77とはベベルギヤ91,92を介し
て連動連結されている。また、各減速ケース部10Bに
は後輪2を軸支する車軸2Aと、前記横向き伝動軸93
と車軸2Aとを減速連動する減速ギヤ機構94が装備さ
れている。
【0041】前記後輪2への伝動系、具体的には、横向
き伝動軸93の両端と各減速ギヤ機構94との間それぞ
れには、後輪2それぞれへの伝動を各別に入り切りする
摩擦式のサイドクラッチ96が介装されている。これら
サイドクラッチ96は、横向き伝動軸93にスプライン
嵌合されて一体回転するとともに軸芯方向に移動自在な
ボス部材96Aと、減速ギヤ機構94に連動する従動側
ドラム96Bとを備え、ボス部材96Aの機体横外方へ
の移動により互いに圧接されて摩擦連動(クラッチ入
り)するとともに、ボス部材96Aの機体横内方への移
動により摩擦連動を解除(クラッチ切り)する複数の摩
擦板96Cがボス部材96Aと従動側ドラム96Bとに
振り分け装着され、ボス部材96Aをクラッチ入り側に
移動付勢するクラッチバネ96Dが横向き伝動軸93に
外嵌装着されて構成されている。
【0042】前記減速ギヤ機構94は、サイドクラッチ
96の従動側ドラム96Bの横外側に配備されて該従動
側ドラム96Bと一体回転する小径の第1ギヤG1 と、
これに咬合する大径の第2ギヤG2 と、第2ギヤG2 と
同軸でこれと一体回転する小径幅広の第3ギヤG3 と、
車軸2Aに連結された大径幅広の第4ギヤG4 とで2段
の減速を行うよう構成したものであり、第3ギヤG3 と
第4ギヤG4 とのギヤ対を機体内側に配備してサイドク
ラッチ96の下側にもぐり込ませることで、減速ケース
95が横外方に幅広くなることが抑制されている。
【0043】また、図9に示すように、右側の減速ケー
ス部10Bとボス部材96Aとの間には、機体停止用の
ブレーキ30が設けられている。このブレーキ30は、
前記ボス部材96Aの外周にスプライン外嵌装着された
摩擦板31と減速ケース部10Bの内周に係合して回り
止めした摩擦板32とを圧接することで、ボス部材96
Aとこれと一体回転する横向き伝動軸93を制動するよ
う構成されたものであり、ボス部材96Aに遊嵌したカ
ップ状の操作部材33が機体横外方(図9では右方向)
へ移動されることで摩擦板31,32同士が圧接される
ようになっている。
【0044】機体停止用の前記ブレーキ30は、減速ケ
ース10Bの上面に縦軸心P1周りに回転自在に貫通装
着したブレーキ操作軸34によって操作されるようにな
っている。つまり、ブレーキ操作軸34のケース内突入
部分にはシフトフォーク35が装着されるとともに、こ
のシフトフォーク35が前記操作部材33の端面に対向
配備されており、ブレーキ操作軸34を回動することで
シフトフォーク35を介して操作部材33をシフトさせ
て、ボス部材96Aを制動することができるようになっ
ている。
【0045】そして、図7に示すように、前記ブレーキ
操作軸34のケース外突出部に備えた操作アーム34a
が機体停止用の前記ペダル25に連係ロッド36を介し
て連動連結されており、ペダル25の踏み込み操作に伴
って連係ロッド36が前方に引張り変位されて主ブレー
キ30が制動操作され、ペダル25の踏み込みを解除し
て元の姿勢まで復帰させると、主ブレーキ30の制動が
解除されるようになっている。ここで、この主ブレーキ
30は、先に説明したように、主クラッチ50にも連係
されているので、ペダル25は主クラッチ・ブレーキペ
ダルとして機能するものである。また、前記ペダル25
の近傍には、制動作動位置にまで踏み込まれたペダル2
5をその位置に係止ロックするロック金具130が揺動
可能、かつ、係止解除方向に揺動付勢されて配備されて
おり、このロック金具130を用いたペダルロックによ
って、主ブレーキ30を駐車ブレーキとして利用するよ
うになっている。
【0046】なお、前記連係ロッド36にはターンバッ
クル36aが備えられており、このターンバックル36
aに伸縮調節することで、主クラッチ50に対するブレ
ーキ30の操作タイミングを調節することが可能となっ
ている。
【0047】前記サイドクラッチ96の操作構造は以下
のように構成されている。つまり、横向き伝動軸93に
前記ボス部材96Aの端面にスラストカラー103を介
して突き合わせ配置されたクラッチ操作スリーブ102
がスライド可能に遊嵌されるとともに、減速ケース部1
0Aの上面に縦軸芯P2周りに回動自在にクラッチ操作
軸104が貫通装着され、このクラッチ操作軸104の
ケース内突入端部に偏心形成したカム体105が前記ク
ラッチ操作スリーブ102の端面に対向配置され、クラ
ッチ操作軸104の回動操作によってサイドクラッチ9
6が入り切り操作されるようになっている。
【0048】そして、左右の前記サイドクラッチ96
は、機体操向作動に基づいて旋回内側のものだけが自動
的に切り操作されて、機体操向機能がもたらされるよう
になっており、このサイドクラッチ自動操作機構106
が以下のように構成されている。つまり、図7,8に示
すように、前記パワーステアリング装置を構成するトル
クジェネレータ43で縦軸心Z周りに揺動駆動されるピ
ットマンアーム111と、前輪1それぞれのナックルア
ーム118とがタイロッド119を介して連動連結され
てステアリングリンク機構110が構成されるととも
に、このピットマンアーム111に連設した操作金具1
11aと機体の前後中間付近の下部に縦軸芯Y周りに揺
動可能に配備した中継アーム113とが押し引きロッド
112で連動連結され、中継アーム113の支点軸11
4の上端の連結した天秤アーム115の左右両端と左右
の前記クラッチ操作軸104のケース外突出部に連設し
た操作アーム104aとがそれぞれロッド116を介し
て連動連結されている。
【0049】また、前記ピットマンアーム111に連設
した操作金具111aに形成した押し引きロッド112
との連係孔117は操作金具111aの揺動方向に沿っ
た長孔に構成されており、ピットマンアーム111が直
進姿勢から所定の設定角度(例えば30°)以上に揺動
したときのみにピットマンアーム111の揺動を押し引
きロッド112に伝達するが設定角度未満の揺動は伝達
しないように連係孔117の長さが設定されている。
【0050】従って、機体を大きく旋回させるために左
右の前輪1を設定角度以上に大きく操向すると、ピット
マンアーム111の揺動が中継アーム113を介して天
秤アーム115に伝達され、前方に引き操作されるロッ
ド116に連係された一方のサイドクラッチ96のみが
切り操作される。つまり、旋回内側のサイドクラッチ9
6のみが切られて、左右の前輪と旋回外側の後輪2との
3輪駆動によって機体が旋回し、遊転状態にある旋回内
側の後輪2は機体の旋回移動に伴って接地追従して回転
し、旋回内側の後輪2で不当に圃場を荒らすことなく機
体旋回が行われる。
【0051】また、主変速レバー46が前進高速域に操
作されている状態で前記ペダル25を踏み込み操作する
と、主変速レバー46が強制的に減速操作されるように
なっており、その詳細な構造が図11に示されている。
すなわち、主変速レバー46は、横向き支点a周りに回
動可能に支持されたデテント板121に前後向き支点b
周りに横揺動可能に取り付けられており、横向き支点a
周りの前後揺動によって、中立Nをはさんで前進域Fか
ら後進域Rまで操作可能に支持されている。そして、デ
テント板121から下方に延出した操作ロッド122の
下端が、支点c周りに回動可能なリンク123、およ
び、押し引きロッド124を介して、前記主変速装置4
1の変速操作軸125に連動連結されることで、主変速
レバー46によって主変速装置41を無段に変速操作す
るよう構成されている。なお、デテント板121の外周
波形部にデテントロラーラ126を弾性係入させること
で、小さいピッチで変速位置を保持することができるよ
うになっている。
【0052】また、上記主変速装置操作部の後方には、
支点d周りに前後揺動可能、かつ、時計方向に揺動付勢
された牽制リンク127が配備されており、この牽制リ
ンク127の一部が前記リンク123に備えた接当ピン
128に対向されている。さらに、牽制リンク127の
下端部には、接当ボルト129が後ろ向きに装備される
とともに、前記主クラッチ50の操作アーム63aに連
動連結されたロッド28の前端部28aが前記接当ボル
ト129に後方から対向配備されており、前記ペダル2
5を踏み込み操作して主クラッチ50を切り操作する
と、ロッド28が前方に移動する。この時、主変速レバ
ー46が前進高速位置に操作されていると、ロッド28
が接当ボルト129を前方に押圧することで牽制リンク
127が図11中で時計方向に回動され、接当ピン12
8を介してリンク123が反時計方向に回動され、操作
ロッド122が引き降ろされることで、主変速レバー4
6が後方、つまり、低速側に強制操作されるのである。
この場合、ペダル25を最大に踏み込み操作した時、強
制減速操作された主変速レバー46は、中立Nに近い前
進低速位置に戻されるように設定されてている。
【0053】〔別実施形態〕 図12に示すように、前記副変速機構より伝動下手
側の走行系に作用する単一のブレーキ30をミッション
ケース9の伝動部にに装備して、前記ペダル25によっ
て操作可能に構成することもでき、これによると、高速
低トルクの伝動部位に制動をかけることになるので、ブ
レーキ30を小型化できるとともに、ペダル25との連
係距離が短くなるので、連係構造の小型軽量化にも有効
となる。 上記した両実施形態では、単一のブレーキ30によ
って前輪1および後輪2に制動をかけるよう構成してい
るが、サイドクラッチ96より伝動下手に作用するブレ
ーキ30を左右後輪2のそれぞれに装備し、左右のブレ
ーキ30を単一のペダル25によって同時に制動操作す
るように構成することもできる。この構成によると、一
方のサイドクラッチ96を切っての機体旋回中でも、単
一のペダル25の踏み込みで主クラッチ50を切るとと
もに4輪に制動をかけることができ、制動性能が高いも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】田植機の全体平面図
【図3】機体前部の側面図
【図4】機体前部の平面図
【図5】ミッションケース内伝動機構の一部を示す断面
【図6】ミッションケース内伝動機構の一部を示す断面
【図7】機体操向構造を示す平面図
【図8】サイドクラッチ自動操作機構を示す側面図
【図9】後部伝動ケースの右側部分を示す縦断背面図
【図10】後部伝動ケースの左側部分を示す縦断背面図
【図11】主変速レバー周りの側面図
【図12】別の実施形態における走行系の伝動構造を示
す概略図
【符号の説明】
1 前輪 2 後輪 9 ミッションケース 25 ペダル 30 ブレーキ 96 サイドクラッチ 106 サイドクラッチ自動操作機構 110 ステアリング機構 111 回動部材(ピットマンアームーム)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60K 17/04 B60K 17/04 C 3J070 B62D 5/07 B62D 5/07 A G05G 1/14 G05G 1/14 E 9/00 9/00 Z Fターム(参考) 2B043 AA04 AB08 BA02 BB06 DA04 DB05 DB06 DC03 EA04 ED04 ED15 2B062 AA02 AA09 AB01 BA11 BA22 BA41 CA12 3D033 EA01 3D039 AA02 AC03 AD01 3D052 AA05 AA17 BB08 BB12 DD03 EE03 FF01 FF02 GG03 HH01 JJ01 JJ02 JJ14 3J070 AA32 BA71 CB00 CC02 DA24 EA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速した動力を操向可能な左右の前輪と
    操向不能な後輪に伝達するよう構成した乗用型水田作業
    機であって、 左右の後輪に対してそれぞれ摩擦式のサイドクラッチを
    装備し、前輪が設定角度以上に操向されることに連動し
    て、旋回内側のサイドクラッチのみを切り操作するサイ
    ドクラッチ自動操作機構を備えるとともに、前輪および
    後輪に制動作用を与えるブレーキを単一のペダルで操作
    可能に構成してあることを特徴とする乗用型水田作業
    機。
  2. 【請求項2】 単一の前記ブレーキで前輪および後輪を
    制動するよう構成するとともに、このブレーキを、前輪
    および後輪に動力を伝達する機体前部のミッションケー
    スに装備してある請求項1記載の乗用型水田作業機。
  3. 【請求項3】 前輪操向用のステアリングリンク機構に
    おける縦軸心周りに回動する部材と、前記サイドクラッ
    チの操作アームとを機体前後方向に作動する連係部材で
    連動連結して前記サイドクラッチ自動操作機構を構成し
    てある請求項1または2記載の乗用型水田作業機。
  4. 【請求項4】 前記サイドクラッチの操作アームを縦軸
    心周りに回動可能に構成してあるこ請求項3記載の乗用
    型水田作業機。
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