JP4434463B2 - 乗用型水田作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機などの乗用型水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用型田植機においては、左右の後輪に対してそれぞれサイドクラッチ・ブレーキを装備したものが多く、各サイドクラッチ・ブレーキを操作する左右のブレーキペダルを足元の右側に配備するとともに、足元の左側に主クラッチペダルを配備している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成によると、主クラッチペダルと左右のブレーキペダルを同時に踏み込み操作することで機体を停止し、また、片方のブレーキペダルを踏み込み操作するとともに前輪を大きく操向することで、畦際などで機体を小回り旋回することができるのであるが、足元の左右に配備された3個のペダルを踏み分け操作しなければならず、ペダル操作が煩わしいものであった。特に、圃場内では左右のブレーキペダルを連結しないので、作業中に機体を停止する時には左右のブレーキペダルを片足で時間差なく同時に踏み込み操作しなければならず、操作が一層煩わしくなるとともに、2つのブレーキペダルを踏み込む操作荷重が大きく、老人や婦人にとっては操作しづらいものになっていた。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、ペダル操作を簡単容易に行える乗用型水田作業機を提供することを主たる目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】
(構成) 請求項1に係る発明の乗用型水田作業機は、次のように構成してあることを特徴とする。
エンジンの動力をクラッチを介することなく油圧式無段変速装置からなる主変速装置に伝達して、前記主変速装置で変速した動力を、中立に切換え保持可能な副変速装置に主クラッチを介することなく伝達し、この副変速装置からの変速動力を左右の前輪と後輪に伝達するよう構成し、
前記右の後輪のみを制動するブレーキを備えず、前記左の後輪のみを制動するブレーキを備えずに、前記左右の後輪に対してそれぞれ摩擦式のサイドクラッチを備えて、
左右の前記前輪が設定角度以上に操向操作されることのみによって旋回内側の前記サイドクラッチが切り操作されるようにするサイドクラッチ自動操作機構を備え、
前記前輪および後輪に制動作用を与えるブレーキを単一のブレーキペダルで操作可能に構成し、
前記ブレーキペダルの踏み込み操作で前記主変速装置を中立にまで強制復帰させる連係手段を備えて、前記主変速装置が前進高速域に操作された状態で前記ブレーキペダルが踏み込み操作されると、前記連係手段により前記主変速装置が前記ブレーキペダルの踏み操作に連動して強制的に減速操作されるように構成し、
前記主変速装置が前進高速域に操作された状態で前記ブレーキペダルが踏み込み操作された場合において、前記ブレーキペダルが最大に踏み込み操作された時に、強制的に減速操作された前記主変速装置が中立まで戻されるように構成してある。
【0007】
(作用) 上記構成によると、単一のブレーキペダルを踏み込み操作するだけで左右の前輪および後輪を制動して機体を停止することができる。この時、主変速装置あるいは副変速装置を中立にすることで、エンジンをかけたままで機体を停止させておくことができる。
【0008】
上記構成によると、機体を停止するためにブレーキペダルを踏み込み操作すると、主変速装置が中立に戻されるために、ブレーキペダルの踏み込み操作を解除しても機体は停止したままとなる。
【0009】
(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、単一のブレーキペダルを踏み込み操作するだけで機体停止を行えるので、左右のブレーキペダルを同時操作する従来構造に比較して機体停止操作が簡単となる。また、ブレーキペダルの操作荷重は比較的小さく、老人や婦人でも軽快に運転することができる。また、主クラッチを廃止したことで伝動系が簡素化され、コスト低減にも有効となる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0015】
(構成) 請求項2に係る発明の乗用型水田作業機は、請求項1に係る発明の構成において、前記副変速装置をシンクロメッシュ型のギヤ変速機構で構成してある。
【0016】
(作用・効果) 上記構成によると、主変速装置を中立にしなくても副変速装置を切換え操作することができ、走行しながらの副変速操作が可能となり、請求項1に係る発明の上記効果をもたらすとともに、副変速操作が簡単に行えるようになった。
【0017】
〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0018】
(構成) 請求項3に係る発明の乗用型水田作業機は、請求項1又は2に係る発明の構成において、前記後輪への伝動系に単一の前記ブレーキを備えてある。
【0019】
(作用) 上記構成によると、左右のサイドクラッチが入れられた状態では、、伝動系を介して連動連結されている左右の前輪および後輪の4輪が制動され、一方のサイドクラッチが切られる旋回時には、左右の前輪とサイドクラッチが切られていない旋回外側の後輪との3輪が制動されることになる。
【0020】
(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、単一のブレーキのみを導入するので、ブレーキ自体およびその操作構造の簡素化が可能となり、コストの低減を図ることができるとともに、ブレーキペダルの操作荷重を軽減することができ、しかも、4輪制動あるいは3輪制動による確実な制動機能を発揮させることができ、実用上の効果が大きい。
【0021】
〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0022】
(構成) 請求項4に係る発明の乗用型水田作業機は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の構成において、前記ブレーキの操作系にレバー比を切換え変更する手段を備えてある。
【0023】
(作用) 上記構成によると、同じブレーキおよび同じ操作系を利用しながら、その操作系のレバー比を切換えることで、機体重量の大きい機種と小さい機種に対応させて過不足のない制動力を発揮させることができる。
【0024】
(効果) 従って、請求項4に係る発明によると、機種ごとに性能の異なったブレーキを用意する必要がなく、ブレーキの兼用化によってコスト低減を図ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1、図2に、水田作業機の一例として5条植え仕様の乗用型田植機が示されている。この乗用型田植機は、操向自在な左右一対の前輪1と操向不能な左右一対の後輪2とを備えた乗用型の自走機体3の後部に、5条植え仕様の苗植付装置4が昇降シリンダ6によって駆動される四連リンク機構5を介して昇降自在に連結されるとともに、機体後部に5条仕様の施肥装置7が装備された構造となっている。
【0026】
前記自走機体3の機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支する前車軸ケース9aが備えられたミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支する後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9の前方近傍位置に、横向きの出力軸11aを備えたエンジン11が防振ゴム12を介して搭載されるとともに、エンジン11の後方に位置する状態で搭乗運転部13が配備されている。前記搭乗運転部13には、前輪1を操向操作するための操縦ハンドル14、運転座席15、運転ステップ24などが備えられている。
【0027】
前記苗植付装置4は、5条分の苗を載置して左右方向に設定ストロークで往復移動される苗のせ台16、苗のせ台16の下端から1株分づつ苗を切り出して圃場に植付けてゆく5組の回転式の植付機構17、植付け箇所を整地する3個の整地フロート18、等を備えて構成されており、苗のせ台16に補給するための予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台49が、機体前部の左右に配備されている。
【0028】
前記施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において自走機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー19、この肥料ホッパー19内の肥料を設定量づつ繰り出す繰出し機構20、繰り出された肥料を供給ホース22を介して苗植付装置4の整地フロート18に備えた作溝器21に空気搬送する電動ファン23、などを備えている。
【0029】
図3、図4に示すように、前記ミッションケース9の左側面には、前記エンジン11の出力軸11aにベルト伝動装置40を介して連動された横向きの入力軸41aを備えた静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が、その出力をミッションケース9内に横向き軸で伝達する状態に、かつ、その入力軸41aと出力軸41bとを前後に配設した状態に連結されている。
【0030】
前記ベルト伝動装置40は、エンジン11の出力軸11aに装着した出力プーリ40aと主変速装置41の入力軸41aに装着した入力プーリ40bとにわたって伝動ベルト40cを巻回し、この伝動ベルト40bにテンションを付与するテンションプーリ40dを設けて構成されている。
【0031】
前記主変速装置41の入力軸41aは、ミッションケース9の前部を通して右側に延出されている。この主変速装置41を操作するための主変速レバー46は、前記操縦ハンドル14の左横脇に配置されており、この主変速レバー46の中立から前方への揺動操作によって前進速度の変更が、また、中立から後方への揺動操作によって後進速度の変更が可能となっている。
【0032】
また、前記ミッションケース9の右側面には、図4に示すように、前記主変速装置41の入力軸41aの延出端部で駆動される油圧ポンプ42が連結されるとともに、ミッションケース9の上面には、図3、図4に示すように、前記操縦ハンドル14のハンドル軸14aに連動する油圧式のパワーステアリング装置PSを構成するトルクジェネレータ43と、前記昇降シリンダ6を制御する作業装置昇降操作用の制御バルブ44とが取り付けられている。
【0033】
なお、前記ミッションケース9は作動油タンクに兼用されるものであって、ミッションケース9の右側面に取り付けたオイルフィルター45を通してミッションケース9内の潤滑油を作動油として取り出して主変速装置41及び油圧ポンプ42に供給し、油圧ポンプ42からの圧油は、トルクジェネレータ43に供給され、その後、制御バルブ44を通して昇降シリンダ6に供給されるようになっている。そして、主変速装置41のドレン油は、ミッションケース9に連通する前車軸ケース9aに戻され、制御バルブ44からのドレン油は直接にミッションケース9に戻されるようになっている。
【0034】
図5、図6に示すように、前記ミッションケース9には、前記主変速装置41の出力軸41bにカップリング56を介して連結された入力軸57と、この入力軸57にスプライン連結したギヤ59から取出した動力を高低二段に変速する副変速装置51と、この副変速装置51からの出力を左右の前輪1に伝達するデフ機構52とが設置されているとともに、走行伝動系から分岐させた動力の正転動力のみを苗植付装置4へ伝達する一方向クラッチ53と、これからの動力を変速する株間変更用の植付変速機構54と、苗植付装置4への動力伝達を断続する植付クラッチ55、等が装備されている。
【0035】
前記副変速装置51はフルシンクロメッシュ式のギヤ変速機構で構成されており、その変速入力軸64には、前記入力軸57のギヤ59に咬合された大径変速ギヤ65と小径変速ギヤ66とがスプライン装着され、他方、変速出力軸67には、前記大径変速ギヤ65に常時咬合する小径ギヤ68と、前記小径変速ギヤ66に常時咬合する大径ギヤ69とがそれぞれ遊転自在に装着されるとともに、これら小径ギヤ68と大径ギヤ69の間に、シンクロメッシュ部60が介在されている。シンクロメッシュ部60にはシフトスリーブ61が備えられており、このシフトスリーブ61を図中左側にシフトすることで、大径ギヤ69を、小径変速ギヤ66を介して変速出力軸67に連動連結して低速伝動を行い、また、シフトスリーブ61を図中右側にシフトすることで、小径ギヤ68を、大径変速ギヤ65を介して変速出力軸67に連動連結して高速伝動を行うようになっている。なお、前記副変速装置51のシフトスリーブ61を操作するための副変速レバー47は運転座席15の左横脇に前後揺動可能に配置されており、副変速レバー47を、操作域に中間に設定された中立位置に図示しないデテント手段で位置保持しておくことで、副変速装置51を中立に維持しておくことが可能となっている。
【0036】
前記デフ機構52はデフロック可能に構成されている。つまり、左右に延出された差動軸72の一方に、この差動軸72と一体回転可能かつシフト可能にシフト部材74が装着されており、図5中に示すようにシフト部材74がデフケース73から離反している状態が通常のデフロック解除状態となり、シフト部材74が図中右方にシフトされてデフケース73の端面に噛み合わされることでデフロック状態がもたらされるようになっている。このデフ機構52をデフロック状態とデフロック解除状態とに切り換え操作するデフロック操作手段は、前記シフト部材74がデフロック解除位置に図示しないバネによって付勢されるとともに、搭乗運転部13における足元の左寄り後方箇所に設けたデフロックペダル48と前記シフト部材74とが連動連結されており、通常の走行時にはデフロックペダル48から足を離しておくことでデフロック解除状態が維持され、圃場への機体の出し入れや運搬車両の荷台への機体の積み降ろし、等の場合にデフロックペダル48を左足の踵で踏み込み操作することでデフロック状態をもたらして、左右の前輪1を等速で駆動することができる。
【0037】
また、前記デフ機構52のデフケース73には、前記変速出力軸67にスプライン連結した変速出力ギヤ75に噛み合う入力ギヤ76と、前記後輪2への伝動用の主伝動軸77に一体形成したギヤ78に咬合する出力ギヤ79が装着されている。
【0038】
前記一方向クラッチ53は、前記変速入力軸64を走行伝動系から植付伝動系への分岐点として、変速入力軸64の回転のうち前進回転のみを植付伝動系に伝達するように設けられている。
【0039】
前記植付変速機構54は、前記変速出力軸67に相対回転のみ自在に装着されるとともに前記一方向クラッチ53の出力ギヤ80にギヤ81を介して連動する筒軸82に、互いに径が異なる複数の駆動ギヤ83が一体回転する状態に装着され、植付クラッチ55にベベルギヤ84,85を介して連動する植付変速出力軸86に、前記駆動ギヤ83のそれぞれに常時噛み合い連動する従動ギヤ87群が相対回転自在に装着され、各従動ギヤ87の中心孔に形成した係合凹部88に係入することにより従動ギヤ87を植付変速出力軸86に連動連結させる伝動ボール89が植付変速出力軸86に一体回転する状態に装備され、伝動ボール89を択一的に係合凹部88に係入させる操作軸90が設けられた構造となっている。つまり、従動ギヤ87を択一的に植付変速出力軸86に連動連結させることにより、伝動に使用する従動ギヤ87を変更して、複数段(例では6段)の変速を行うように構成されている。
【0040】
後輪駆動用の後部伝動ケース10は、図7〜図9に示すように、機体フレーム8に前後軸芯X周りに一定範囲内でローリング自在に支持された横向き伝動ケース部10Aと、その左右両端それぞれに連結された減速ケース部10Bとから構成されている。横向き伝動ケース部10A内には、ミッションケース9から後ろ向きに延出された前記主伝動軸77からの動力を左右に振り分ける横向き伝動軸93が内装され、この横向き伝動軸93と主伝動軸77とはベベルギヤ91,92を介して連動連結されている。また、各減速ケース部10Bには後輪2を軸支する車軸2Aと、前記横向き伝動軸93と車軸2Aとを減速連動する減速ギヤ機構94が装備されている。
【0041】
前記後輪2への伝動系、具体的には、横向き伝動軸93の両端と各減速ギヤ機構94との間のそれぞれには、後輪2それぞれへの伝動を各別に入り切りする摩擦式のサイドクラッチ96が介装されている。これらサイドクラッチ96は、横向き伝動軸93にスプライン嵌合されて一体回転するとともに軸芯方向に移動自在なボス部材96Aと、減速ギヤ機構94に連動する従動側ドラム96Bとを備え、ボス部材96Aの機体横外方への移動により互いに圧接されて摩擦連動(クラッチ入り)するとともに、ボス部材96Aの機体横内方への移動により摩擦連動を解除(クラッチ切り)する複数の摩擦板96Cがボス部材96Aと従動側ドラム96Bとに振り分け装着され、ボス部材96Aをクラッチ入り側に移動付勢するクラッチバネ96Dが横向き伝動軸93に外嵌装着されて構成されている。
【0042】
前記減速ギヤ機構94は、サイドクラッチ96の従動側ドラム96Bの横外側に配備されて該従動側ドラム96Bと一体回転する小径の第1ギヤG1と、これに咬合する大径の第2ギヤG2と、第2ギヤG2と同軸でこれと一体回転する小径幅広の第3ギヤG3と、車軸2Aに連結された大径幅広の第4ギヤG4とで2段の減速を行うよう構成したものであり、第3ギヤG3と第4ギヤG4とのギヤ対を機体内側に配備してサイドクラッチ96の下側にもぐり込ませることで、減速ケース95が横外方に幅広くなることが抑制されている。
【0043】
また、図9に示すように、右側の減速ケース部10Bとボス部材96Aとの間には、機体停止用のブレーキ30が設けられている。このブレーキ30は、前記ボス部材96Aの外周にスプライン外嵌装着された摩擦板31と減速ケース部10Bの内周に係合して回り止めした摩擦板32とを圧接することで、ボス部材96Aとこれと一体回転する横向き伝動軸93を制動するよう構成されたものであり、ボス部材96Aに遊嵌したカップ状の操作部材33が機体横外方(図9では右方向)へ移動されることで摩擦板31,32同士が圧接されるようになっている。
【0044】
機体停止用の前記ブレーキ30は、減速ケース10Bの上面に縦軸心P1周りに回転自在に貫通装着したブレーキ操作軸34によって操作されるようになっている。つまり、ブレーキ操作軸34のケース内突入部分にはシフトフォーク35が装着されるとともに、このシフトフォーク35が前記操作部材33の端面に対向配備されており、ブレーキ操作軸34を回動することでシフトフォーク35を介して操作部材33をシフトさせて、ボス部材96Aを制動することができるようになっている。
【0045】
そして、図7に示すように、前記ブレーキ操作軸34のケース外突出部に備えた操作アーム34aが機体停止用の前記ブレーキペダル25に連係ロッド36を介して連動連結されており、ブレーキペダル25の踏み込み操作に伴って連係ロッド36が前方に引張り変位されてブレーキ30が制動操作され、ブレーキペダル25の踏み込みを解除して元の姿勢まで復帰させると、ブレーキ30の制動が解除されるようになっている。また、ブレーキペダル25の近傍には、制動作動位置にまで踏み込まれたブレーキペダル25をその位置に係止ロックするロック金具130が揺動可能、かつ、係止解除方向に揺動付勢されて配備されており、このロック金具130を用いたペダルロックによって、ブレーキ30を駐車ブレーキとして利用するようになっている。
【0046】
なお、前記連係ロッド36にはターンバックル36aが備えられており、このターンバックル36aに伸縮調節することで、ブレーキ30の操作タイミングを調節することが可能となっている。また、ブレーキ操作軸34の操作アーム34aには、連係ロッド36との連係孔34bがアーム半径を異ならせて複数個設けられており、機種によって連係ロッド36との連結に使用する連係孔34bを選択できるようになっている。例えば、条数が多くて機体重量が大きい機種では、機体を停止させるために大きい制動力が必要であり、この場合には、アーム半径の大きい連係孔34bが選択される。また、条数が少なくて機体重量が小さい機種では、制動が余り強く利き過ぎると、機体が前後にバウンドしやすくなるので、この場合には、アーム半径の小さい連係孔34bが選択される。
【0047】
前記サイドクラッチ96の操作構造は以下のように構成されている。つまり、横向き伝動軸93に前記ボス部材96Aの端面にスラストカラー103を介して突き合わせ配置されたクラッチ操作スリーブ102がスライド可能に遊嵌されるとともに、減速ケース部10Bの上面に縦軸芯P2周りに回動自在にクラッチ操作軸104が貫通装着され、このクラッチ操作軸104のケース内突入端部に偏心形成したカム体105が前記クラッチ操作スリーブ102の端面に対向配置され、クラッチ操作軸104の回動操作によってサイドクラッチ96が入り切り操作されるようになっている。
【0048】
そして、左右の前記サイドクラッチ96は、機体操向作動に基づいて旋回内側のものだけが自動的に切り操作されて、機体操向機能がもたらされるようになっており、このサイドクラッチ自動操作機構106が以下のように構成されている。つまり、図7,8に示すように、前記パワーステアリング装置PSを構成するトルクジェネレータ43で縦軸心Z周りに揺動駆動されるピットマンアーム111と、前輪1それぞれのナックルアーム118とがタイロッド119を介して連動連結されてステアリングリンク機構110が構成されるとともに、このピットマンアーム111に連設した操作金具111aと機体の前後中間付近の下部に縦軸芯Y周りに揺動可能に配備した中継アーム113とが押し引きロッド112で連動連結され、中継アーム113の支点軸114の上端の連結した天秤アーム115の左右両端と左右の前記クラッチ操作軸104のケース外突出部に連設した操作アーム104aとがそれぞれロッド116を介して連動連結されている。
【0049】
また、前記ピットマンアーム111に連設した操作金具111aに形成した押し引きロッド112との連係孔117は操作金具111aの揺動方向に沿った長孔に構成されており、ピットマンアーム111が直進姿勢から所定の設定角度(例えば30°)以上に揺動したときのみにピットマンアーム111の揺動を押し引きロッド112に伝達するが設定角度未満の揺動は伝達しないように連係孔117の長さが設定されている。
【0050】
従って、機体を大きく旋回させるために左右の前輪1を設定角度以上に大きく操向すると、ピットマンアーム111の揺動が中継アーム113を介して天秤アーム115に伝達され、前方に引き操作されるロッド116に連係された一方のサイドクラッチ96のみが切り操作される。つまり、旋回内側のサイドクラッチ96のみが切られて、左右の前輪1と旋回外側の後輪2との3輪駆動によって機体が旋回し、遊転状態にある旋回内側の後輪2は機体の旋回移動に伴って接地追従して回転し、旋回内側の後輪2で不当に圃場を荒らすことなく機体旋回が行われる。
【0051】
また、主変速レバー46が前進高速域に操作されている状態で前記ブレーキペダル25を踏み込み操作すると、主変速レバー46が強制的に減速操作されるようになっており、その詳細な構造が図11に示されている。すなわち、主変速レバー46は、横向き支点a周りに回動可能に支持されたデテント板121に前後向き支点b周りに横揺動可能に取り付けられており、横向き支点a周りの前後揺動によって、中立Nをはさんで前進域Fから後進域Rまで操作可能に支持されている。そして、デテント板121から下方に延出した操作ロッド122の下端が、支点c周りに回動可能なリンク123、および、押し引きロッド124を介して、前記主変速装置41の変速操作軸125に連動連結されることで、主変速レバー46によって主変速装置41を無段に変速操作するよう構成されている。なお、デテント板121の外周波形部にデテントローラ126を弾性係入させることで、小さいピッチで変速位置を保持することができるようになっている。
【0052】
また、上記主変速装置操作部の後方には、支点d周りに前後揺動可能、かつ、時計方向に揺動付勢された牽制リンク127が配備されており、この牽制リンク127の一部が前記リンク123に備えた接当ピン128に対向されている。さらに、牽制リンク127の下端部には、接当ボルト129が後ろ向きに装備されるとともに、ブレーキ操作軸26の左方延出端部に設けられた牽制アーム27から前方に牽制ロッド28が延出され、この牽制ロッド28の前端部が前記接当ボルト129に後方から対向配備されており、前記ブレーキペダル25を踏み込み操作すると、牽制ロッド28が前方に移動する。この時、主変速レバー46が前進高速位置に操作されていると、牽制ロッド28が接当ボルト129を前方に押圧することで牽制リンク127が図11中で時計方向に回動され、接当ピン128を介してリンク123が反時計方向に回動され、操作ロッド122が引き降ろされることで、主変速レバー46が後方、つまり、低速側に強制操作されるのである。この場合、ブレーキペダル25を最大に踏み込み操作した時、強制減速操作された主変速レバー46は、中立Nまで戻されるように設定されている。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)前記副変速装置51より伝動下手側の走行系に作用する単一のブレーキ30をミッションケース9の伝動部に装備して、前記ブレーキペダル25によって操作可能に構成することもでき、これによると、高速低トルクの回転伝動部位に制動をかけることになるので、ブレーキ30を小型化できるとともに、ブレーキペダル25との連係距離が短くなるので、連係構造の小型軽量化にも有効となる。
(2)上記した実施形態では、単一のブレーキ30によって前輪1および後輪2に制動をかけるよう構成しているが、サイドクラッチ96より伝動下手に作用するブレーキ30を左右の後輪2のそれぞれに装備し、左右のブレーキ30を単一のブレーキペダル25によって同時に制動操作するように構成することもできる。この構成によると、一方のサイドクラッチ96を切っての機体旋回中でも、単一のペダル25の踏み込みで4輪に制動をかけることができ、制動性能が高いものとなる。
(3)ブレーキ30の操作系のレバー比を切換え変更する手段は、ブレーキペダル25側に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用型田植機の全体側面図
【図2】 乗用型田植機の全体平面図
【図3】 機体前部の側面図
【図4】 機体前部の平面図
【図5】 ミッションケース内伝動機構の一部を示す断面図
【図6】 ミッションケース内伝動機構の一部を示す断面図
【図7】 機体操向構造を示す平面図
【図8】 サイドクラッチ自動操作機構を示す側面図
【図9】 後部伝動ケースの右側部分を示す縦断背面図
【図10】 後部伝動ケースの左側部分を示す縦断背面図
【図11】 主変速レバー周りの側面図
【符号の説明】
1 前輪
2 後輪
9 ミッションケース
11 エンジン
25 ブレーキペダル
30 ブレーキ
41 主変速装置
51 副変速装置
96 サイドクラッチ
106 サイドクラッチ自動操作機構
N 中立
Claims (4)
- エンジンの動力をクラッチを介することなく油圧式無段変速装置からなる主変速装置に伝達して、前記主変速装置で変速した動力を、中立に切換え保持可能な副変速装置に主クラッチを介することなく伝達し、この副変速装置からの変速動力を左右の前輪と後輪に伝達するよう構成し、
前記右の後輪のみを制動するブレーキを備えず、前記左の後輪のみを制動するブレーキを備えずに、前記左右の後輪に対してそれぞれ摩擦式のサイドクラッチを備えて、
左右の前記前輪が設定角度以上に操向操作されることのみによって旋回内側の前記サイドクラッチが切り操作されるようにするサイドクラッチ自動操作機構を備え、
前記前輪および後輪に制動作用を与えるブレーキを単一のブレーキペダルで操作可能に構成し、
前記ブレーキペダルの踏み込み操作で前記主変速装置を中立にまで強制復帰させる連係手段を備えて、前記主変速装置が前進高速域に操作された状態で前記ブレーキペダルが踏み込み操作されると、前記連係手段により前記主変速装置が前記ブレーキペダルの踏み操作に連動して強制的に減速操作されるように構成し、
前記主変速装置が前進高速域に操作された状態で前記ブレーキペダルが踏み込み操作された場合において、前記ブレーキペダルが最大に踏み込み操作された時に、強制的に減速操作された前記主変速装置が中立まで戻されるように構成してある乗用型水田作業機。 - 前記副変速装置をシンクロメッシュ型のギヤ変速機構で構成してある請求項1記載の乗用型水田作業機。
- 前記後輪への伝動系に単一の前記ブレーキを備えてある請求項1または2記載の乗用型水田作業機。
- 前記ブレーキの操作系にレバー比を切換え変更する手段を備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗用型水田作業機。
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