JP7023458B2 - 単結晶育成方法 - Google Patents

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Description

本開示は、垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgman method、以下VB法と略記する)や垂直温度勾配凝固法(Vertical Gradient Freeze method、以下VGF法と略記する)に代表される融液を坩堝中で固化させる一方向凝固結晶成長法による単結晶育成方法に関する。
タンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと略称する)単結晶およびニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)は強誘電体単結晶として知られ、携帯電話の表面弾性波(Surface Acoustic Wave、以下SAWと略記する)デバイス用の圧電基板や、焦電センサー、圧電センサー、振動アクチュエーター等に幅広く使用されている。中でも、SAWデバイス用の圧電基板は、近年、携帯電話の高機能化や、周波数バンド数の増加等により、益々、需要が増加している。
SAWデバイスの温度特性は圧電基板の結晶方位に依存するため、LTでは、温度依存性の小さいX軸を中心にY軸からZ軸方向に36~52°回転した36~52°回転Y(以下、36~52°RYと略記する)、LNでは、X軸を中心にY軸からZ軸方向に124~132°回転した124~132°回転Y(以下、124~132°RYと略記する)カット基板が多く使用されている。
LT、LN単結晶は、一般的にチョクラルスキー法(以後、CZ法と略称する場合がある)を用いて育成されている。CZ法は、坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながらゆっくりと上昇させることで種結晶と同一方位の単結晶を育成する方法である。
SAWデバイス用の圧電基板は、育成した単結晶インゴットをスライスすることにより作製させる。そのため、使用する結晶方位に近い結晶方位で育成すればするほど、基板としての収率が高くなる。したがって、LTでは36°~52°RY方位、LNでは124~132°RY方位で育成することが望まれる。
ところで、CZ法を用いた従来のLT、LN単結晶の育成方法は、多結晶化、熱歪によるクラック発生、転位列の発生による結晶性低下等の問題があるため、高収率で安定して高品質単結晶を育成するための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を0.8~0.9として育成する方法が提案されている。しかし、この方法による単結晶育成の成功率は90%程度であり、90%を越える高収率で安定して高品質のLT単結晶を育成することは困難であった。
CZ法による単結晶の育成方法では、単結晶の形状制御を制御するために育成炉内の温度勾配を高く保つ必要があることから、温度差による熱歪が発生するためクラック発生や結晶性低下の要因になっている。
一方、VB法やVGF法などの坩堝内で融液を固化させる単結晶の育成方法である一方向凝固結晶成長法では、単結晶形状は坩堝形状に依存するため、CZ法に比べて育成炉内の融液の温度勾配を低くすることが可能である。このため、多結晶化、熱歪によるクラック発生、転位列の発生による結晶性低下等が起こり難いとされる。特許文献2では、白金製坩堝を用いてVB法によりニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)単結晶を育成する方法が提案されている。この方法では、白金製坩堝内の下部にLN種結晶を充填し、このLN種結晶上にLN結晶原料を充填して結晶原料を融解させることでLN種結晶上にLN単結晶を育成することが可能となる。
特開2008-260663号公報 特開2011-126719号公報
そこで、LN単結晶の育成方法に係る特許文献2を応用してLT単結晶を育成する方法が考えられる。すなわち、LT結晶原料を適用し、かつ、白金製坩堝内の下部にLT種結晶を充填し、このLT種結晶上にLT結晶原料を充填してLT単結晶を育成する方法が考えられる。
しかしながら、VB法やVGF法でLTを36~52°RY方位、LNを124~132°RY方位で育成すると、単結晶インゴットの曲りもしくはクラックが発生してしまうという課題がある。
これは、LT、LN融液の固化直後は真っ直ぐな結晶であっても、冷却過程において結晶が収縮するため、結晶方位の線膨張係数差に起因して結晶の変形が起こるためである。結晶の変形に坩堝の変形が追従出来る場合はインゴットの曲りが発生し、追従できない場合はクラックが発生する。
LTの線膨張係数は、X軸およびY軸が16ppm/℃程度であるのに対し、Z軸は4ppm/℃程度であり、Z軸が極端に小さい。LNの線膨張係数も、X軸およびY軸が15ppm/℃程度であるのに対し、Z軸は7ppm/℃程度であり、LT同様にZ軸が極端に小さい。
本開示は、一方向凝固結晶成長法において育成後の単結晶の曲り発生及びクラック発生を抑制できる単結晶育成方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の一観点に係る単結晶育成方法は、単結晶育成用の坩堝の内部の下部に単結晶の種結晶を配置する種結晶配置ステップと、前記坩堝の内部に配置された前記種結晶の上に単結晶原料を配置する原料配置ステップと、前記坩堝の内部に配置された前記単結晶原料を融解した後に冷却して前記種結晶の上方に向け前記単結晶を育成する育成ステップと、を含み、前記坩堝は中心軸が所定方向に傾斜して形成され、前記種結晶配置ステップにおいて、前記種結晶は、鉛直方向から視たときに前記種結晶のZ軸が前記坩堝の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、前記坩堝内に配置され、前記坩堝の傾斜角度は、鉛直方向から1~6°の範囲であり、前記坩堝の材料は、育成する結晶と化学的反応性が低く、かつ冷却中の結晶の収縮による変形に前記坩堝の変形が追従可能な、柔軟性のある材質で形成され、前記坩堝の肉厚が、0.05~0.15mmの範囲であり、前記育成ステップにおいて育成される前記単結晶は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム単結晶である
本開示によれば、一方向凝固結晶成長法において育成後の単結晶の曲り発生及びクラック発生を抑制できる単結晶育成方法を提供することができる。

実施形態に係る単結晶育成用坩堝の概略構成の一例を示す斜視図である。 図1に示す単結晶育成用坩堝の断面図である。 実施形態の単結晶育成方法に利用される育成炉の一例を示す断面図である 実施形態に係る単結晶育成方法のフローチャートである。 実施形態に係る単結晶育成方法におけるLT単結晶を育成する場合の坩堝とLT種結晶との位置関係を模式的に示す図である。 実施形態に係る単結晶育成方法におけるLN単結晶を育成する場合の坩堝とLN種結晶との位置関係を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
(1)単結晶育成用坩堝
まず図1及び図2を参照して、本実施形態に係る単結晶育成用坩堝(以下では単に「坩堝1」とも表記する)の構成について説明する。なお、本実施形態では、育成する単結晶の一例としてLT単結晶を挙げて説明する。図1は、実施形態に係る単結晶育成用坩堝1の概略構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す単結晶育成用坩堝1の断面図である。図2(a)は図1中のA-A断面図であり、図2(b)は図1中のB-B断面図である。なお、図1に示すようにA-A断面とB-B断面の断面線は直交する。
図1及び図2に示すように、坩堝1は、使用時に周壁2の一方の端部3(以下では「上側端部3」という)が上方に配置され、他方の端部4(以下では「下側端部4」という)が下方に配置されるように支持台の上に設置されるものであり、これらの上側端部3と下側端部4とが貫通した筒型形状である。坩堝1は、中心軸Cに対して垂直な全ての周壁2の断面が円形である。
坩堝1の上側端部3には、育成された単結晶の取り出し用の開口部5が設けられている。また、坩堝1の底部(下側端部4)には、育成された単結晶の押し出し用の開口部6(孔部)が設けられている。本実施形態では、坩堝1は円筒形状であるので、取り出し用開口部5及び押し出し用開口部6は、共に周壁2の内径と同一の円形状である。なお、取り出し用開口部5または押し出し用開口部6は、周壁2の内径以上の径で形成されてもよい。
坩堝1の中心軸Cは一方向に傾斜している。坩堝1は、この中心軸Cの傾斜によって周壁2及び内周面7も中心軸Cと同じ傾斜角度θで傾斜している。図2(a)は、中心軸Cの傾斜方向に沿った坩堝1の断面形状を示している。また、図2(b)は、図2(a)の中心軸Cの傾斜方向と直交する方向に沿った坩堝1の断面形状を示している。
中心軸Cの傾斜角度θは、1度以上、6度以下であることが好ましい。傾斜角度θが1度よりも小さくても、6度より大きくても、冷却中の結晶の収縮による変形により、冷却後の結晶に曲がりが発生してしまう。
坩堝1の材料は、育成する結晶と化学的反応性が低く、かつ冷却中の結晶の収縮による変形に坩堝の変形が追従可能な、柔軟性のある材質で形成される。これにより、坩堝1の内部にて育成した結晶が冷却により収縮の際の結晶への応力発生が小さくなりクラック発生がない状態で育成した結晶を取り出すことを可能である。具体的には、Pt(白金)、または、Pt合金(白金合金)が好ましい。Pt合金は、Pt-Rh合金(白金ロジウム)を含む。Ptの融点(約1768℃)は、育成するLT単結晶の融点(約1650℃)よりも高く、また、Pt合金の融点はPtよりさらに高いので、高温耐久性を有している。さらに、Pt及びPt合金は柔軟性にも優れている。
坩堝1の周壁2の肉厚は、0.05~0.15mmであることが好ましい。肉厚が0.05mmより小さいと坩堝1への加工が困難となり加工コスト著しく増加する。肉厚が0.15mmより大きいと柔軟性が低下するため、冷却中の結晶の収縮による変形に坩堝1の変形が追従できずにクラックが発生する可能性が高くなる。
坩堝1の周壁2の内周面7には、底部の押し出し用開口部6から上部の取り出し用開口部に向けて拡張する向きでテーパ角が付けられているのが好ましい。これにより、育成した単結晶を坩堝1の底部から押し出して取り出すことが容易にできる。坩堝1の中心軸Cの軸線方向(または高さ方向)の少なくとも一部に亘り、軸線方向に対して垂直な任意の断面において、より下側端部4に近い断面の形状が、より上側端部3に近い断面の形状に常に内包されるように形成されればよい。例えば、軸線方向の任意の位置のテーパ角が、下側端部4から軸線方向に沿って上側端部3側に進むにつれて小さくなる形状や、下側端部4から軸線方向の中間位置あたりまでテーパがとられ、それより上の部分ではテーパ角が0となる形状、などが挙げられる。
また、坩堝1は筒形形状以外でもよい。例えば、下側端部4に底壁を設けてもよいし、底壁の一部に内部と連通する孔部を設けて押し出し用開口部6として用いてもよい。
また坩堝1の中心軸Cの軸線方向に対して垂直な断面の形状は、本実施形態の円形状以外の形状でもよい。
(2)育成炉
本実施形態の単結晶育成方法では、VB法やVGF法に代表される融液を坩堝中で固化させる「一方向凝固結晶成長法」によりLT単結晶を育成する。図3は、本実施形態の単結晶育成方法に利用される育成炉10の一例を示す断面図である。
育成炉10は、基本的には、実施形態に係る単結晶育成用坩堝1を用いることを除いて、従来のVB法やVGF法用の育成炉と同様の構成である。
図3に示すように育成炉10では、断熱材11の内側に二珪化モリブデン製の抵抗加熱ヒータ12が配置され、LT単結晶の育成時に抵抗加熱ヒータ12によりホットゾーンが形成される。抵抗加熱ヒータ12は、上段ヒータ12a、中段ヒータ12bおよび下段ヒータ12cとで構成され、これらのヒータ12a~12cへの投入電力を調整することにより、ホットゾーン内の温度勾配を制御することが可能となっている。
抵抗加熱ヒータ12の内側には坩堝1が配置され、上下方向に移動可能な可動用ロッド13が設けられた坩堝受け14(支持台)に載置されている。坩堝1内の下部にLT種結晶16が充填され、このLT種結晶16の上にLT結晶原料17が充填される。
上方側が開放された坩堝1にはゴミ落下防止用蓋材(図示せず)を被せてもよい。坩堝1は、上述したように育成炉10内で可動用ロッド13が設けられた坩堝受け14上に載置され、ロッド13を上下させることにより坩堝1を育成炉内で上下させることができる。また、坩堝1には熱電対15が取り付けられている。
(3)LT単結晶の育成方法
次に図4及び図5を参照して、本実施形態に係る単結晶育成用坩堝1を用いる単結晶育成方法を説明する。図4は、本実施形態に係る単結晶育成方法のフローチャートである。図5は、本実施形態に係る単結晶育成方法におけるLT単結晶を育成する場合の坩堝1とLT種結晶16との位置関係を模式的に示す図である。
本実施形態に係る単結晶育成方法は、基本的には、本実施形態に係る単結晶育成用坩堝1を用いること、坩堝1に対する種結晶16の配置が規定されること、を除いて、従来の一方向凝固法による単結晶の製造方法と同様である。
図4に示すように、本実施形態に係る単結晶育成方法では、まず、取り出し用開口部5から坩堝1内の下部に種結晶(LT種結晶)16を配置する(ステップS1:種結晶配置ステップ)。このとき、図5に示すように、種結晶16のZ軸が坩堝1の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、坩堝1内に種結晶16が配置される。また、Y軸の正方向が上方を向くように配置される。
種結晶16の上には、同じく取り出し用開口部5から顆粒状もしくは単結晶を粉砕した単結晶原料(LT結晶原料)17を必要量配置する(ステップS2:原料配置ステップ)。
次に、下側端部4及び押し出し用開口部6が下向きで坩堝受け14と接触するように、坩堝1を坩堝受け14の上に設置する(ステップS3:設置ステップ)。坩堝受け14は水平であるので、坩堝1は筒形状の中心軸線Cが鉛直方向から所定の傾斜角度θで傾斜して設置される。
次に、坩堝1の周りのヒータ12を作動して、坩堝1の内部で単結晶(LT単結晶)を育成する(ステップS4:育成ステップ)。具体的には、ヒータ12を用いて、種結晶16及び単結晶原料17が収納された坩堝1を高さ方向の上方が高く、下方が低い温度分布となるように加熱する。この状態で炉内の温度を種結晶16が高さ方向の上半分位まで融解するまで昇温し、シーディングを行う。その後、そのままの炉内温度勾配を維持しながらヒータ12の出力を徐々に低下させ、すべての融液を固化させた後、所定速度で冷却を行う。
次に、炉内温度が室温程度になったことを確認した後、育成された単結晶が入った坩堝1を坩堝受け14から取り外し、単結晶に対して坩堝1の下側端部4の押し出し用開口部6から力を加える。これにより、坩堝1の上側端部3の取り出し用開口部5から育成された単結晶を取り出す(ステップS5:取り出しステップ)。
本実施形態の単結晶育成方法の効果を説明する。本実施形態では、一方向凝固結晶成長法によりLT単結晶が36°~52°RY方位で育成される。LTの線膨張係数は、X軸およびY軸が16ppm/℃程度であるのに対し、Z軸は4ppm/℃程度であり、Z軸が極端に小さい。したがって、LT種結晶16及びLT結晶原料17は、Z軸方向の熱膨張係数がY軸方向よりも小さく、育成ステップS4にて冷却されると、Z軸方向よりもY軸方向により大きく縮むという特性がある。このため、中心軸が鉛直方向を向く形状の従来の坩堝を用いて単結晶育成を行うと、冷却過程においてLN単結晶がY軸方向両側から収縮して、Y-Z平面でみると中心軸に対して軸対称とはならないように歪む虞がある。
これに対して本実施形態では、坩堝1は中心軸Cが所定方向に傾斜して形成される。さらに、種結晶配置ステップS1において、図5に示すように、LT種結晶16は、鉛直方向から視たときにLT種結晶16のZ軸が坩堝1の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、坩堝1内に配置される。つまり、坩堝1の傾斜方向は、鉛直方向からみたときに、種結晶16のY軸と同方向になる。
このような坩堝形状で単結晶育成を行うことにより、坩堝1の中心軸C及びY-Z平面に沿った断面で考えると、育成されるLT単結晶は、冷却前に上側では予めY軸方向に突出し、下側では予めZ軸方向に突出する略平行四辺形の形状となる。育成ステップS4では、冷却に伴ってY軸に沿ってLT単結晶が収縮する。すなわち、図5に矢印で示すように、平行四辺形の鋭角の方の対角にあたる一対の角部が内側に収縮するように収縮力Fが働く。この収縮力Fによって、LT単結晶及び坩堝1の形状は中心軸Cの傾斜が緩和されて、中心軸Cが鉛直方向に延びる円柱状に近づく。つまり、育成ステップS4の冷却過程においてLT単結晶が歪むのを見越して予め冷却による歪みを相殺する形状でLT単結晶が育成されるように、坩堝1の内部空間が形成されている。
これにより、本実施形態の単結晶育成方法では、VB法やVGF法に代表される融液を坩堝中で固化させる一方向凝固結晶成長法において、育成後のLT単結晶の曲り発生及びクラック発生を抑制できる。
また、本実施形態の単結晶育成方法では、坩堝1の傾斜角度θは、鉛直方向から1~6°の範囲であるので、育成ステップS4の冷却後のLT単結晶をより円柱状に変形させることが可能となり、育成後のLT単結晶の曲り発生及びクラック発生をより一層抑制できる。
また、本実施形態の単結晶育成方法では、坩堝1の材料は白金または白金合金であるので、坩堝1と育成するLT単結晶との化学的反応性を低くでき、かつ冷却中のLT単結晶の収縮による変形に対して坩堝1の変形を追従できる柔軟性の高い坩堝1を形成できる。これにより、育成ステップS4の冷却過程におけるLT単結晶の変形を坩堝1が妨げにくくできるので、LT単結晶をより円柱状に変形させることができる。
LT単結晶の育成方法で用いられる単結晶原料17、すなわちLT結晶原料17は、炭酸リチウム(LiCO)粉末と酸化タンタル(Ta)粉末を混合し、仮焼して調製される。このときの温度は800~1650℃であることが好ましい。800℃以上とすることで炭酸リチウムの炭酸を分解することが可能となり、1650℃以下とすることで混合粉の融解を防止することができる。
また、LT結晶原料17には、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Y、Tiから選ばれる少なくとも一種以上の添加元素の濃度が30~1000ppmとなるように、酸化鉄、酸化銅、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種以上の酸化物を混合してもよい。Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Y、Tiから選ばれる少なくとも一種以上の添加元素を30ppm以上含むことで、育成後における単結晶切断時の切断境界に生ずるチッピングの発生を抑制する効果が得られる。他方、添加元素の濃度が1000ppm越えた場合、結晶中の添加元素の偏析や結晶欠陥の増加に繋がることがある。
なお、LT単結晶の育成開始前における白金製坩堝1内の昇温速度は100℃/hr以下であることが好ましい。昇温速度を100℃/hr以下にすることにより、LT種結晶16の熱歪みによるクラック発生を抑制することが可能となる。
LT単結晶を育成するためのシーディングは、LT種結晶16の上部とLT結晶原料17とを融解させて安定した固液界面を形成させることにより行われるが、上記固液界面の温度およびその温度での保持時間がシーディングにおいて重要な要素となる。これは、LT種結晶16の表面近傍に、種結晶16の加工時に形成された破砕層を有しており、この破砕層を融解させておく必要があるためである。また、LT種結晶16が全て融解してしまう前に、固液界面を形成させておく必要があるためでもある。
上記要件を満足させるため、LT種結晶16とLT結晶原料17との境界面の温度が、LT単結晶の融点プラス20℃以下になるような位置に白金製坩堝1をセットする。境界面の温度は、LT単結晶の融点プラス10℃以下であることが更に好ましい。上記温度で所定時間(1時間以上、好ましくは4時間~6時間)保持し、LT種結晶16の上部とLT結晶原料17とを融解させてシーディングを行う。LT種結晶16は、結晶育成の核となるものであり、LT種結晶16は、LT結晶原料17と一体化させるために一部を融解させるが、LT種結晶16の全部を融解させないようにしなければならない。
シーディングが終了した後、坩堝1を徐々に降下させてホットゾーン内の温度勾配を通過させる。このようにして、LT種結晶16の結晶方位に従い、LT結晶原料17を冷却固化させることでLT単結晶が育成される。なお、結晶育成後は、急激な降温を行わない方が好ましい。急激な降温を行うと、単結晶にストレスが生じるため、クラックを生ずる場合がある。
本実施形態に係る単結晶育成方法は、上述したようにLT単結晶の融点に対して、LT種結晶16とLT結晶原料17との界面温度を上記融点プラス20℃以下にして溶融を行っているため、LT種結晶16の上部数ミリ程の部分とLT結晶原料17とが融解し、LT種結晶16とLT結晶原料17とを一体にすることができる。尚、LT種結晶16とLT結晶原料17との界面温度が上記融点プラス20℃を超えると、LT種結晶16の底面部まで融解してしまう場合がある。
また、LT種結晶16の上部とLT結晶原料17を融解させる保持時間は上述したように1時間以上とすることが好ましい。この時間保持することにより、LT種結晶16とLT結晶原料17との固液界面を安定化させることができるため、品質の高い単結晶を育成することができる。また、4~6時間保持することは更に好ましい。すなわち、4時間以上保持すれば、概ねシーディングに関する反応は進行しており、6時間以下で概ね反応は終了している。従って、4~6時間保持することにより生産性を低下させずにシーディングを安定して行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、種結晶16、単結晶原料17、及び育成された単結晶としてタンタル酸リチウム(LT)を適用する構成を例示したが、ニオブ酸リチウム(LN)を適用してもよい。以下では、種結晶16をLN種結晶16、単結晶原料17をLN結晶原料17、育成された単結晶をLN単結晶とも表記する場合がある。
図6は、実施形態に係る単結晶育成方法におけるLN単結晶を育成する場合の坩堝1とLN種結晶16との位置関係を模式的に示す図である。本実施形態では、LN単結晶を育成する場合、一方向凝固結晶成長法によりLN単結晶が124°~132°RY方位で育成される。このため、図4のフローチャートのステップS1では、図6に示すように、LN種結晶16のZ軸が坩堝1の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、坩堝1内に種結晶16が配置される。また、Y軸の正方向が下方を向くように配置される。このようにLN種結晶16を坩堝1内に配置することにより、上述したLT単結晶と同様に育成が進めることができ、育成後のLN単結晶の曲り発生及びクラック発生を抑制できる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
まず、化学量論比でLiとTa比率が48.4:51.6(コングルエント組成)になるように炭酸リチウム(LiCO)粉末と酸化タンタル(Ta)粉末を秤量し、これ等粉末を混合機によって十分に混合した後、この混合粉末を800~1650℃で10時間仮焼してLT結晶原料17を得た。
そして、図2に示す中心軸Cの傾斜角度θが2°、厚さ0.15mm、内径52mm、高さ300mmの白金製の坩堝1内の下部に予め調製しておいたLT種結晶16を充填し、かつ、当該LT種結晶16上に上記LT結晶原料17を充填した。このとき、LT種結晶16には、主面方位が36°RY方位である結晶を使用した。
次に、LT種結晶16とLT結晶原料17が充填された坩堝1を、図3に示すように、多孔質アルミナ製の坩堝受け14上に載置し、熱電対15の先端部を坩堝1の側面に接触させた。尚、上記熱電対15の接触点はLT種結晶16の底面から15mmの高さ位置になるよう設定した。
次に、上記坩堝構造体を育成炉10内の最下部にセットした。また、二珪化モリブデン製の抵抗加熱ヒータからなる上段ヒータ12a、中段ヒータ12bおよび下段ヒータ12cについては独立に制御可能で、かつ、各ヒータ12a~cの長さは200mmであった。
そして、上段ヒータ12aの温度を1750℃、中段ヒータ12bの温度を1750℃、下段ヒータ12cの温度を1650℃の温度幅で設定し、昇温を行った。昇温が終了して育成炉10内の温度が安定した後、坩堝1を緩やかな速度で上昇させた。育成炉10内には上部の温度が高く、下部の温度が低い温度勾配がつくられているので、育成炉10の上部に移動するに従って坩堝1内の温度が上昇し、LT結晶原料17が融解してその融液が形成された。
上記融液が形成された坩堝1の位置付近で、上記熱電対15の接触点位置の温度をモニターしながら、坩堝1の位置を数mm上昇させて温度を安定させた。この工程を繰り返して、熱電対15の温度が安定した状態で1635~1665℃の範囲になるよう坩堝1を上昇させた。数時間の保持を行った後、2mm/hで坩堝1を降下させ、LT単結晶の育成を開始した。白金製坩堝1の降下距離は220mmであり、約5日間で育成が終了した。
上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶の曲がりが1°以内の曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例2]
LT種結晶16に、主面方位が42°RY方位である結晶を使用したこと以外は、実施例1と同様に結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例3]
LT種結晶16に、主面方位が48°RY方位である結晶を使用したこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例4]
LT種結晶16に、主面方位が50°RY方位である結晶を使用したこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例5]
坩堝1の傾斜角度θを4°としたこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例6]
坩堝1の傾斜角度θを4°としたこと以外は、実施例2と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例7]
坩堝1の傾斜角度θを4°としたこと以外は、実施例3と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例8]
坩堝1の傾斜角度θを4°としたこと以外は、実施例4と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例9]
坩堝1の傾斜角度θを6°としたこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例10]
坩堝1の傾斜角度θを6°としたこと以外は、実施例2と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例11]
坩堝1の傾斜角度θを6°としたこと以外は、実施例3と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例12]
坩堝1の傾斜角度θを6°としたこと以外は、実施例4と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
そして、取り出したLT単結晶を、大気雰囲気下、1400℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[実施例13]
LT種結晶16に、主面方位が52°RY方位である結晶を使用したこと以外は、実施例1と同様に結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶曲りのほとんどない、長さ200mmのLT単結晶が得られた。
[実施例14]
化学量論比でLiとNb比率が48.5:51.5(コングルエント組成)になるように炭酸リチウム(LiCO)粉末と酸化ニオブ(Nb)粉末を秤量し、これ等粉末を混合機によって十分に混合した後、この混合粉末を800~1250℃で10時間仮焼してLN結晶原料17を得た。
そして、図2に示すテーパ―角度θが1°、厚さ0.15mm、内径52mm、高さ300mmの白金製の坩堝1内の下部に予め調製しておいたLN種結晶16を充填し、かつ、当該LN種結晶16上に上記LN結晶原料17を充填した。このとき、LN種結晶16には、主面方位が128°RY方位である結晶を使用した。
次に、LN種結晶16とLN結晶原料17が充填された坩堝1を、図3に示すように、多孔質アルミナ製の坩堝受け14上に載置し、熱電対15の先端部を坩堝1の側面に接触させた。尚、上記熱電対15の接触点はLN種結晶16の底面から15mmの高さ位置になるよう設定した。
次に、上記坩堝構造体を育成炉10内の最下部にセットした。また、二珪化モリブデン製の抵抗加熱ヒータからなる上段ヒータ12a、中段ヒータ12bおよび下段ヒータ12cについては独立に制御可能で、かつ、各ヒータ12a~cの長さは200mmであった。
そして、上段ヒータ12aの温度を1350℃、中段ヒータ12bの温度を1350℃、下段ヒータ12cの温度を1250℃の温度幅で設定し、昇温を行った。昇温が終了して育成炉10内の温度が安定した後、坩堝1を緩やかな速度で上昇させた。育成炉10内には上部の温度が高く、下部の温度が低い温度勾配がつくられているので、育成炉1-の上部に移動するに従って坩堝1内の温度が上昇し、LN結晶原料17が融解してその融液が形成された。
上記融液が形成された坩堝1の位置付近で、上記熱電対15の接触点位置の温度をモニターしながら、坩堝1の位置を数mm上昇させて温度を安定させた。この工程を繰り返して、熱電対15の温度が安定した状態で1235~1265℃の範囲になるよう坩堝1を上昇させた。数時間の保持を行った後、2mm/hで坩堝1を降下させ、LN単結晶の育成を開始した。白金製坩堝1の降下距離は220mmであり、約5日間で育成が終了した。
上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLN単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶の曲がりが1°以内の曲りのほとんどない、長さ200mmのLN単結晶が得られた。
そして、取り出したLN単結晶を、大気雰囲気下、1200℃で10時間のアニール処理を行ったが、アニール処理後もクラック等を発生することなく、良質な単結晶が得られた。
[比較例1]
坩堝1の傾斜角度θを0°としたこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例2]
坩堝1の傾斜角度θを0°としたこと以外は、実施例2と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例3]
坩堝1の傾斜角度θを0°としたこと以外は、実施例3と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例4]
坩堝1の傾斜角度θを0°としたこと以外は、実施例4と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例5]
坩堝1の傾斜角度θを8°としたこと以外は、実施例1と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例6]
坩堝1の傾斜角度θを8°としたこと以外は、実施例2と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例7]
坩堝1の傾斜角度θを8°としたこと以外は、実施例3と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例8]
坩堝1の傾斜角度θを8°としたこと以外は、実施例4と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶に曲りが見られた。
[比較例9]
坩堝1の厚みを0.20mmとしたこと以外は、実施例2と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶にクラック発生が見られた。
[比較例10]
坩堝1の厚みを0.20mmとしたこと以外は、実施例5と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶にクラック発生が見られた。
[比較例11]
坩堝1の厚みを0.20mmとしたこと以外は、実施例8と同様に、結晶育成を行った。上記単結晶の育成終了後、坩堝1からLT単結晶のインゴットを取り出したところ、結晶にクラック発生が見られた。
表1に実施例及び比較例の確認試験の結果を示す。
Figure 0007023458000001
実施例及び比較例に示す結果より、本実施形態による、種結晶16のZ軸が坩堝1の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、種結晶16を坩堝1内に配置し、さらに、坩堝1の傾斜角度θを1~6°の範囲とすることは、一方向凝固結晶成長法において、育成後の単結晶の曲り発生及びクラック発生を抑制できる点で極めて有効であることが示された。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
1 単結晶育成用坩堝
16 種結晶
17 単結晶原料

Claims (6)

  1. 単結晶育成方法であって、
    単結晶育成用の坩堝の内部の下部に単結晶の種結晶を配置する種結晶配置ステップと、
    前記坩堝の内部に配置された前記種結晶の上に単結晶原料を配置する原料配置ステップと、
    前記坩堝の内部に配置された前記単結晶原料を融解した後に冷却して前記種結晶の上方に向け前記単結晶を育成する育成ステップと、
    を含み、
    前記坩堝は中心軸が所定方向に傾斜して形成され、
    前記種結晶配置ステップにおいて、前記種結晶は、鉛直方向から視たときに前記種結晶のZ軸が前記坩堝の傾斜方向と反対側、かつ、X軸が水平となるように、前記坩堝内に配置され
    前記坩堝の傾斜角度は、鉛直方向から1~6°の範囲であり、
    前記坩堝の材料は、育成する結晶と化学的反応性が低く、かつ冷却中の結晶の収縮による変形に前記坩堝の変形が追従可能な、柔軟性のある材質で形成され、
    前記坩堝の肉厚が、0.05~0.15mmの範囲であり、
    前記育成ステップにおいて育成される前記単結晶は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム単結晶である、
    単結晶育成方法。
  2. 前記坩堝は、前記中心軸の軸線方向の少なくとも一部に亘り、前記軸線方向に対して直交する任意の断面において、より下側端部に近い断面の形状が、より上側端部に近い断面の形状に常に内包されるよう形成される、
    請求項1に記載の単結晶育成方法。
  3. 前記育成ステップにて育成された前記単結晶に対して前記坩堝の下側端部の孔部から力を加えて、前記坩堝の上側端部の開口部から前記単結晶を取り出す取り出しステップを含む、請求項1または2に記載の単結晶育成方法。
  4. 前記孔部は、前記下側端部における前記坩堝の周壁の内径以上に形成され、
    前記坩堝は、前記上側端部と前記下側端部とが貫通した筒型形状である、
    請求項3に記載の単結晶育成方法。
  5. 前記坩堝は、前記中心軸の軸線方向に対して垂直な全ての断面が円形状である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の単結晶育成方法。
  6. 坩堝材料が白金または白金合金である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の単結晶育成方法。
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