JP2008260663A - 酸化物単結晶の育成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶育成の成功率が80%以上に改善され、しかも、結晶中の転位列の発生が抑制された高品質酸化物単結晶を再現性良く、低コストで製造可能な酸化物単結晶の育成方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法を用いてニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等の酸化物単結晶を育成する方法において、育成される結晶の直胴部3の直径dと坩堝5の内径Dの比d/Dを0.8〜0.9として育成する。育成結晶と用いる坩堝5の直径比が大きいため、所望の直径dの単結晶を得るのに必要な坩堝5が小さくて済み、高価な貴金属類の使用量が減る。
【選択図】図1

Description

本発明は、SAWデバイス材料、光学デバイス材料となるニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の酸化物単結晶を引上げ法により製造する方法に係り、特に、結晶育成の成功率を改善でき、かつ、結晶中の転位列の発生が抑制された高品質酸化物単結晶を再現性良く低コストで製造できる酸化物単結晶の育成方法に関するものである。
ニオブ酸リチウム(以後、LNと略称する場合がある)、タンタル酸リチウム(以後、LTと略称する場合がある)等の酸化物単結晶は、一般的にチョクラルスキー法(以後、CZ法と記す)を用いて育成されている。CZ法は、坩堝内の融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながらゆっくりと上昇させることで種結晶と同一方位の単結晶を得る方法である。用いる坩堝の材質は、育成結晶の融点、育成炉内の雰囲気に応じて選定され、酸化物結晶の育成においては炉内が酸化雰囲気であることから酸化され難い材料とする必要があり、例えば、LN単結晶育成の場合には白金、LT単結晶育成の場合にはイリジウムと非常に高価な貴金属材料が用いられている。
ところで、従来のCZ法を用いたLN、LT単結晶育成においては、多結晶化、熱歪によるクラック発生、育成結晶形状のねじれ、転位列の発生による結晶性低下等の問題点があり、高収率で安定して高品質単結晶を製造するための種々の提案がなされている。
例えば、特開2003−165796号では、坩堝周りの耐火物構成および密度を規定する方法が提案され、また、特開平10−194893号では、育成された結晶が存在する坩堝上部の温度分布を改善する構成や育成結晶径と坩堝径の最適比率に関する提案がなされ、更に、特公平8−22799号では、良好な固液界面の形状を効果的に制御し得る手法として育成結晶径と坩堝径の最適比率を提案している。具体的には、育成結晶径と坩堝径の比率について、特開平10−194893号では0.5〜0.67、特公平8−22799号では0.65〜0.75が最適とされている。
しかし、これ等公報に記載された手法を実施しても、多結晶化、クラックの発生等により単結晶を育成できない場合があり、単結晶育成の成功率は高々80%程度で、しかも単結晶中の転位列の発生が抑制された高品質単結晶を育成することは困難であった。
特開2003−165796号公報 特開平10−194893号公報 特公平8−22799号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、結晶育成の成功率が改善され、しかも結晶中の転位列の発生が抑制された高品質酸化物単結晶を再現性良く低コストで製造可能な酸化物単結晶の育成方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意研究を行ったところ、従来、育成結晶の直胴部直径と坩堝内径の比を大きくすると、特許文献2に記載されているように結晶内の温度勾配が大きくなり、これに起因して結晶性が悪くなり、クラックが発生して単結晶育成の成功率が悪化するといった不具合を生ずると考えられていたが、むしろ育成結晶の直胴部直径と坩堝内径の比を大きくした方が結晶内の温度勾配が小さくなり、結晶性が向上することを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
チョクラルスキー法を用いて酸化物単結晶を育成する方法を前提とし、
育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を0.8〜0.9として育成することを特徴とし、
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る酸化物単結晶の育成方法を前提とし、
上記酸化物単結晶がニオブ酸リチウムであることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る酸化物単結晶の育成方法を前提とし、
上記酸化物単結晶がタンタル酸リチウムであることを特徴とするものである。
本発明に係る酸化物単結晶の育成方法によれば、
育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を0.8〜0.9として育成するため、従来問題となっていた単結晶育成の成功率が80%以上に改善され、しかも結晶中の転位列の発生が抑制された高品質酸化物単結晶を再現性良く低コストで製造することが可能となる。
更に、育成結晶と用いる坩堝の直径比が大きいために、所望の直径の単結晶を得るのに必要な坩堝が小さくて済み、高価な貴金属類の使用量が減ってコストの低減が図れる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、酸化物単結晶育成において一般的な高周波誘導加熱方式によるCZ法の育成炉の概略を図1(A)に示す。この育成炉において、ワークコイル7に高周波電流を流すことによりコイル7内部に磁場を発生させ、その磁場変動によって導電体である坩堝5に誘導電流を誘起させ、坩堝5材の電気抵抗によって熱を発生させる。尚、酸化物結晶の育成雰囲気には酸素が存在しているので、坩堝5の材質には酸化雰囲気に耐えかつ高融点の貴金属が用いられる。
そして、結晶育成を行う場合、結晶の成長速度を制御しかつ融液4が結晶化する際に発生する潜熱を効率的に逃がす必要があるため、炉内温度分布は、図1(B)に示すように融液4内は融液4表面が最も低く、融液4表面から上部は、結晶が成長している融液4表面に対して徐々に低下するように作り込む必要がある。
育成される結晶は、引上げに伴ってこの温度分布を通過して行く。加えて、融液4表面の温度を常に融点で一定とする必要があるため、結晶育成の進行に伴って育成炉に投入するパワーを低下させていく。それに伴い、炉内の温度分布は、勾配を維持したまま相対的に低温側へシフトして行く。
結晶育成は、坩堝5内に仕込んだ原料を加熱、融解した後に、種結晶1を融液4に浸して、回転させながらゆっくりと引き上げて行く。すると、種結晶1の下に、種結晶と同一方位の単結晶が育成される。結晶径を徐々に拡大させて肩部2を形成する。目標直径に到達したところで、結晶径を一定に制御して直胴部3を形成し、目標重量まで結晶育成を行い、融液4から育成結晶を切り離す。
LN、LT結晶は熱歪に弱く、非常に割れ易い結晶なので、坩堝5上部において育成結晶が冷却される空間の温度勾配を調整するため、アフターヒーター6を設置するのが一般的である。育成中は、常に種結晶1保持部の上部に連結された重量センサーにより育成結晶の重量をモニターし、コンピュータを用いて育成結晶の単位長さ当りの重量変化量から結晶直径を計算し、計算結果を投入パワーにフィードバックすることで結晶形状の制御を行っている。
そして、本発明においては、育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を0.8〜0.9として育成することを特徴としている。直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比を大きくすることで、種結晶の引上げ速度に対する結晶成長の進行に伴う融液表面の降下速度の比が大きくなり、種結晶の引上げ速度を従来法と比較して非常に遅くしても十分な実効成長速度(=引上げ速度+融液表面降下速度)を得ることができる。
例えば、ニオブ酸リチウム結晶の育成(結晶の密度4.64g/cm、融液の密度は、4.3g/cm)の場合は、実効成長速度を一般的に生産で用いられている4〜5mm/hr程度とするためには、d/Dが0.7のときは引上げ速度を2mm/hr程度とする必要があるのに対して、d/Dが0.8のときは1.3mm/hr程度と約2/3で十分となる。更に、d/Dが0.9のときは、0.6mm/hr程度とd/Dが0.7のときの約1/3以下で十分となる。
また、結晶と融液の密度比が大きいタンタル酸リチウム結晶の育成(結晶の密度7.43g/cm、融液の密度は、5.72g/cm)の場合は、実効成長速度を一般的に生産で用いられている4〜5mm/hr程度とするためには、d/Dが0.7のときは引上げ速度を1.5〜1.8mm/hrとする必要があるのに対して、d/Dが0.8のときは0.6〜0.8mm/hrと1/2.5程度となる。d/Dが0.9のときは、シード軸の引上げを行わなくても結晶と融液の密度差で十分な実効成長速度が得られる。
従って、育成される結晶が受ける熱履歴は、引上げ速度が遅いことと、引上げ距離が小さいことから、従来法よりも緩やかとなり、育成される結晶中の熱歪を抑えることができ、結晶性が向上し、割れ不良発生も抑制できる。尚、d/Dが0.9を上回る場合は、水平面内の温度分布において、結晶外周部は坩堝壁近傍の高温度勾配領域で育成されることになるため、結晶外周部と中心部の温度差が大きくなり転位列の発生やクラックの発生率が高くなる。
加えて、結晶育成の開始から終了までの結晶の引上げ距離を最小にすることができるため、育成結晶が冷却される空間の温度勾配を調整するアフターヒーター6の高さを従来の半分程度に低くすることができ、貴金属で構成されるアフターヒーター6の高さを低くできる分、貴金属コストの低減が図れる。
更に、育成結晶に対する坩堝径も従来法より小さくすることができるため、坩堝に要する貴金属コストも低く抑えることが可能となる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
内径160mm、内高160mm、肉厚3mmの白金製坩堝5(重量約6.5kg)と、内径150mm、高さ80mm、肉厚1mmの白金製アフターヒーター6を用いて、高周波誘導加熱方式による育成炉により、直胴部直径が135mmで育成方位ZのLN単結晶の育成を実施した。このとき、直胴部3直径と坩堝5の内径の比は、0.84である。
種結晶1の引上げ速度は育成開始から終了まで0.6mm/hrで一定とした。それに対して、結晶の回転速度は、育成開始時は20rpmとし、結晶径が135mmに到達したときに5rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が135mmとなった後も、結晶と原料融液4間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなった時点で、融液4から結晶を切り離し、結晶成長を終了させたが、このときの回転速度は4.5rpmであった。
育成された結晶は、冷却過程を経て、育成炉内が室温になった後に上記炉から取り出した。取り出した結晶は、残留歪除去のためのアニール工程、単一分極とするためのポーリング工程を経た後に、スライスし、単結晶基板とした。
得られた単結晶基板に対して、Lang法による透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が皆無な結晶性に優れた単結晶基板であることが確認された。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた(多結晶化、クラックの発生等により単結晶の育成は1回だけ不成功)。また、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本であり、非常に結晶性に優れた基板であった。
実施例1と同様にして、直胴部直径が128mmのLN単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.80である。
育成条件は、実効成長速度が実施例1と同等となるように引上げ速度を調整し、他の条件は結晶の回転速度を除き実施例1と同じとした。すなわち、育成開始時の回転速度は実施例1同様に20rpmとし、結晶径が128mmに到達したときに5.5rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が128mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は5rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が皆無な結晶性に優れた単結晶基板であった。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、10本の単結晶を得ることができた。また、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフで観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本と非常に結晶性に優れた基板であった。
実施例1と同様にして、直胴部直径が144mmのLN単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.90である。
育成条件は、実効成長速度が実施例1と同等となるように引上げ速度を調整し、他の条件は結晶の回転速度を除き実施例1と同じとした。すなわち、育成開始時の回転速度は実施例1同様に20rpmとし、結晶径が144mmに到達したときに4.5rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が144mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は4rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が皆無な結晶性に優れた単結晶基板であった。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。また、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフで観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本と非常に結晶性に優れた基板であった。
育成するLN単結晶の育成方位をZ軸ではなくX軸とした以外は実施例1と同様にして単結晶育成を実施した。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。また、得られた単結晶から切り出した基板を実施例1同様にX線トポグラフ法で観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本と非常に結晶性に優れた基板であった。
育成するLN単結晶の育成方位をZ軸ではなく、128°RY(Rotated Y axis)とした以外は実施例1と同様にして単結晶育成を実施した。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。また、得られた単結晶から切り出した基板を実施例1同様にX線トポグラフ法で観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本と非常に結晶性に優れた基板であった。
内径160mm、内高160mm、肉厚2.5mmのイリジウム製坩堝5(重量約5.7kg)と、内径150mm、高さ80mm、肉厚1mmのイリジウム製アフターヒーター6を用いて、高周波誘導加熱方式による育成炉により、直胴部直径が135mmで育成方位36°RYのLT単結晶の育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.84である。
種結晶1の引上げ速度は育成開始から終了まで0.5mm/hrで一定とした。それに対して、結晶の回転速度は、育成開始時は20rpmとし、結晶径が135mmに到達したときに5rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が135mmとなった後も、結晶と原料融液4間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が10kgとなった時点で、融液4から結晶を切り離し、結晶成長を終了させたが、このときの回転速度は4.5rpmであった。
育成された結晶は、冷却過程を経て、育成炉内が室温になった後に上記炉から取り出した。取り出した結晶は、残留歪除去のためのアニール工程、単一分極とするためのポーリング工程を経た後に、スライスし、単結晶基板とした。
得られた単結晶基板に対して、Lang法による透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が皆無な結晶性に優れた単結晶基板であった。
そして、同一条件でLT単結晶の育成を10回繰り返したところ、9本の単結晶を得ることができた。また、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、基板面内の転位列数は最大でも2本と非常に結晶性に優れた基板であった。
[比較例1]
実施例1と同様にして、直胴部直径が108mmで育成方位ZのLN単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.68である。
尚、比較例1では、その高さが実施例1とは異なる、内径150mm、高さ160mm、肉厚1mmの白金製アフターヒーターを用いた。比較例1では、実効成長速度を実施例1と同じにするため、種結晶の引上げ速度を1.8mm/hrとしたが、1.8mm/hrで種結晶を引上げた場合、高さが80mmのアフターヒーターでは、結晶が受ける熱履歴が急峻になってしまうからである。
育成開始時の回転速度は実施例1と同様に20rpmとし、結晶径が108mmに到達したときに8rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が108mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は7rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が10本以上存在する結晶性の悪い単結晶基板であった。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、8本の単結晶を得ることができたが、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、何れも基板面内の転位列数は10本以上と結晶性の悪い単結晶基板であった。
[比較例2]
実施例1と同様にして、直胴部直径が150mmで育成方位ZのLN単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.94である。
尚、比較例2では、実効成長速度を実施例1と同じにするために、種結晶の引上げ速度を0.5mm/hrとした。
育成開始時の回転速度は実施例1と同様に20rpmとし、結晶径が150mmに到達したときに4.5rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が150mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は4rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が3本存在し、基板内には気泡も認められた。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、3本の単結晶しか得ることができなかった。尚、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、何れも基板面内の転位列数は3〜5本以上であった。
[比較例3]
内径200mm、内高200mm、肉厚3.5mmの白金製坩堝5(重量約11.8kg)と、内径150mm、高さ160mm、肉厚1mmの白金製アフターヒーター6を用いて、実施例1と同様に、直胴部直径が135mmで育成方位ZのLN単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.68である。
尚、比較例3では、実効成長速度を実施例1と同じにするために、種結晶の引上げ速度を1.8mm/hrとした。
育成条件は、結晶の回転速度を除き、実施例1と同じとした。すなわち、育成開始時の回転速度は実施例1と同様に20rpmとし、結晶径が135mmに到達したときに8rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が135mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が7kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は7rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が10本以上存在する結晶性の悪い単結晶基板であった。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、7本の単結晶を得ることができたが、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、何れも基板面内の転位列数は10本以上と結晶性の悪い単結晶基板であった。
[比較例4]
内径200mm、内高200mm、肉厚3.5mmのイリジウム製坩堝5(重量約10.7kg)と、内径150mm、高さ160mm、肉厚1mmのイリジウム製アフターヒーター6を用いて、実施例6と同様に、直胴部直径が135mmで育成方位36°RYのLT単結晶育成を実施した。このとき、直胴部直径と坩堝の内径の比は、0.68である。
尚、比較例4では、実効成長速度を実施例6と同じにするために、種結晶の引上げ速度を1.8mm/hrとした。
育成条件は、結晶の回転速度を除き、実施例1と同じとした。すなわち、育成開始時の回転速度は実施例1と同様に20rpmとし、結晶径が135mmに到達したときに8rpmとなるように結晶径の増大に伴って徐々に降下させた。また、結晶径が135mmとなった後も、結晶と原料融液間の固液界面形状が一定となるように回転速度を降下させ、育成結晶の重量が10kgとなって融液から結晶を切り離したときの回転速度は7rpmであった。
その後、実施例1と同様に単結晶基板を得て透過X線トポグラフ法で結晶欠陥の観察を行ったところ、基板面内全体で転位列が10本以上存在する結晶性の悪い単結晶基板であった。
そして、同一条件でLN単結晶の育成を10回繰り返したところ、6本の単結晶を得ることができたが、得られた単結晶から切り出した基板をX線トポグラフ法で観察したところ、何れも基板面内の転位列数は10本以上と結晶性の悪い単結晶基板であった。
Figure 2008260663
本発明に係る酸化物単結晶の育成方法によれば、結晶育成の成功率が改善されしかも結晶中の転位列の発生が抑制されたLN、LT等の高品質酸化物単結晶を再現性良く低コストで製造できるため、SAWデバイス材料や光学デバイス材料の製造に利用される産業上の利用可能性を有している。
図1(A)はCZ法による結晶育成炉の概略構成図、図1(B)は上記育成炉の概略温度分布図。
符号の説明
1 種結晶
2 育成結晶肩部
3 育成結晶直胴部
4 原料融液
5 坩堝
6 アフターヒーター
7 ワークコイル
8 耐火物
d 育成結晶径
D 坩堝内径

Claims (3)

  1. チョクラルスキー法を用いて酸化物単結晶を育成する方法において、
    育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を0.8〜0.9として育成することを特徴とする酸化物単結晶の育成方法。
  2. 上記酸化物単結晶がニオブ酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶の育成方法。
  3. 上記酸化物単結晶がタンタル酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶の育成方法。
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