JP2008024549A - 単結晶製造方法および単結晶製造装置 - Google Patents

単結晶製造方法および単結晶製造装置 Download PDF

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彰 吉川
Hiroshi Ogino
拓 荻野
Tsuguo Fukuda
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Abstract

【課題】結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができる単結晶製造方法および単結晶製造装置を提供する。
【解決手段】るつぼ11が、内部に、引き上げ中の結晶1の底面形状に沿うよう、中心から周縁にかけて同心円状に浅くなるよう傾斜した傾斜面21を有している。原料供給手段13が、引き上げ作業の間、るつぼ11内に原料を融解して供給可能に設けられている。制御部14が、融液2の液面を所定の高さに維持するよう、原料供給手段13を制御可能に設けられている。融液2の液面を所定の高さに維持するよう原料を融解して供給しつつ、融液2の液面の位置でのるつぼ11の径に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げる。結晶1の肩1aまで引き上げた後、原料の供給量に応じて所定の割合で融液2の中にドーパントを添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、るつぼ内の原料の融液から種結晶を上方に引き上げて結晶を製造する単結晶製造方法および単結晶製造装置に関する。
一般的に、単結晶シンチレータや単結晶固体レーザーでは、母材となる結晶に対し少量のドーパントを加えることで目的の機能を発現させている。例えばNd:YAGレーザーでは、母材となるYAl12(YAG)結晶に少量のNdを加えている。
従来、これらの結晶を製造する方法として、いわゆる引き上げ法がある(例えば、特許文献1または2参照)。しかし、引き上げ法でこれらの結晶を製造する場合、母材とドーパントとのイオン半径の違いにより、融液中と結晶中とのイオン比に違いが生じ、結果として成長した単結晶の先端部・中央部・後端部などの位置によって、ドーパント濃度が大きく変化するという問題があった。また、母材が固溶体である場合にも、同様の問題が生じる。さらに、温度や育成雰囲気などの条件により、母材やドーパントの一部が成長中に揮発することも、ドーパント濃度が大きく変化する要因となるという問題もあった。
このような育成中の組成ずれを防ぐ方法として、化合物半導体の場合、いわゆるLEC法が用いられている(例えば、特許文献3参照)。
特開平5−194082号公報 特開平6−116082号公報 特開2001−80998号公報
しかしながら、LEC法は、封止材の選択、結晶への混入、結晶成長の不安定化などの問題があることから、GaAsのような蒸発が激しい系以外には適していない。また、ドーパントと母材のイオン半径の差に由来する偏析は防ぐことができない。このため、LEC法が適していない場合には、従来の引き上げ法を使用しなければならず、依然として単結晶の育成中にドーパント濃度が変化する組成ずれが生じるという課題があった。
例えば、(PrLu1−x)Al12(Pr:LuAG)結晶は、BiGe12(BGO)比3倍を超える発光強度と、室温で約20nsと従来材料に比べ早い蛍光寿命と、6.7g/cmとGSO並の密度とを併せ持っている。このシンチレーション特性は、これまで用いられてきたシンチレータ材料であるBGOやCe:GdSiO(Ce:GSO)などを大きく上回るものである。さらに、劈開性が弱く、育成の際に酸素が必要ないなど、結晶製造面でも利点を持っている。
しかし、Pr:LuAG結晶の製造に従来の引き上げ法を使用すると、母材中のLuとPrとのイオン半径の違いにより、Prの偏析が非常に大きくなり、結晶内部でのPrの分布が不均一になる。このため、結晶上部と下部の特性の差が大きいことや、ドーパントの析出による割れの問題などにより、歩留まりが大きく下がっている。
また、希土類フッ化物(REF;RE=La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y)は、広い波長域での透過性や、高い密度、活性元素の添加が容易であることなどから、固体レーザー、シンチレータ等の媒質として有望である。LaF、CeF、PrF、NdFはTysonite構造、また、TbF、DyF、HoFもβ−YF構造を有し、相転移がないため融液からの単結晶育成が可能である。その他の希土類フッ化物(SmF、EuF、GdF、ErF、TmF、YbF、LuF、YF)も、単体では融点以下に相転移点をもつが、複数の希土類フッ化物を組み合わせ、平均のイオン半径を相転移が無い希土類フッ化物、TbF、DyF、HoFのイオン半径に合わせることで単結晶育成が可能となる。
たとえば、(YGd1−x)Fは、0.2<x<0.6の領域の組成で単結晶育成が可能である。また、この結晶にCeなどの活性元素を添加することで、シンチレーション特性が発現する。特に、CeやSr、Caなどの元素を適量添加した場合、BGOやCe:GSOといった従来のシンチレータ材料を上回る高発光量・高速な蛍光寿命のシンチレータとなることが知られている。
しかし、これらの希土類フッ化物の結晶の製造に従来の引き上げ法を使用すると、結晶が固溶体であることや、育成中に融液から一部の成分が揮発することから、育成中に結晶の組成にずれが生じ、一個の結晶中であっても結晶前半部と後半部で組成が異なる。シンチレーション特性の発現のために添加するCeやSr、Caなどのアルカリ土類元素は、イオン半径や価数の違いから、特に大きな偏析を示す。このため、一個の結晶中での特性に場所による大きな違いが生じ、歩留まりが大きく下がっている。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができる単結晶製造方法および単結晶製造装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る単結晶製造方法は、るつぼ内の原料の融液から種結晶を上方に引き上げて結晶を製造する単結晶製造方法であって、前記融液の液面を所定の高さに維持するよう前記原料を融解して供給しつつ、前記融液の液面の位置での前記るつぼの径に対する前記結晶の肩より下の前記結晶の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げることを、特徴とする。
本発明に係る単結晶製造方法では、原料の融液の液面の位置での、るつぼの径に対する結晶の肩より下の結晶の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げることにより、従来の引き上げ法と比べて、融液の液面の面積を小さくすることができる。このため、蒸発面積も小さくなり、融液中の成分の揮発を防ぐことができる。また、引き上げ作業の間、融液の液面を所定の高さに維持するよう原料を融解して供給するため、融液量を定量かつ少ない量に保つことができる。このため、原料の揮発を大幅に抑えることができ、仕込み組成と融液組成との差を低く抑えることができる。これにより、融液中の組成の経時変化が低く抑えられ、結晶の位置による組成変化を低く抑えることができる。こうして、本発明に係る単結晶製造方法は、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができる。
なお、本発明に係る単結晶製造方法で、融液の液面の位置でのるつぼの径に対する結晶の肩より下の結晶の径の割合が、0.8乃至0.85になるよう引き上げることが好ましい。この場合、製造される結晶の特性を、特に均質にすることができる。原料としては、一般的な酸化物・フッ化物原料が使用可能であるが、シンチレータ材料用単結晶として使用する場合、99.99%以上(4N以上)の高純度原料を使用することが好ましい。これらの原料を使用する場合、融液にしたときに目的組成となるように秤量、混合したものを使用する。さらに、原料は、目的とする組成以外の不純物を、例えば1ppm以下にするなど、極力含まないものが好ましい。
本発明に係る単結晶製造方法は、前記結晶の肩まで引き上げた後、前記原料の供給量に応じて所定の割合で前記融液の中にドーパントを添加することが好ましい。この場合、偏析等によるドーパント濃度の変動を補償して、ドーパント濃度を一定に維持することができ、単結晶の品質を安定させることができる。また、これにより、結晶全体に渡って均質にBGO以上の性能を有し、更にはGSOと同等以上の物性を有する特性を持つ単結晶を製造することもできる。
本発明に係る単結晶製造装置は、るつぼ内の原料の融液から種結晶を上方に引き上げて結晶を製造するための単結晶製造装置であって、前記るつぼは内部に、引き上げ中の前記結晶の底面形状に沿うよう、中心から周縁にかけて同心円状に浅くなるよう傾斜した傾斜面を有していることを、特徴とする。
本発明に係る単結晶製造装置は、本発明に係る単結晶製造方法で好適に使用される。本発明に係る単結晶製造装置は、液面が傾斜面に位置するよう、原料の融液をるつぼの内部に入れて使用される。るつぼの傾斜面が中心から周縁にかけて同心円状に浅くなるよう傾斜しているため、製造される結晶の径は、融液の液面の位置でのるつぼの径と引き上げ速度とで決まる。このため、引き上げ速度を一定としたとき、融液の液面を所定の高さに維持することにより、結晶の径の大きさが変動しないよう安定させることができる。
また、引き上げ速度および融液の液面の高さを調整することにより、融液の液面の位置でのるつぼの径に対する結晶の肩より下の結晶の径の割合が一定になるよう、容易に引き上げることができる。このため、原料の融液の液面の位置での、るつぼの径に対する結晶の肩より下の結晶の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げることにより、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができる。
引き上げ速度および融液の液面の高さの調整により、結晶の径を安定させることができるため、ロードセルなどの高価な装置が不要であり、設備費を低減することができる。るつぼが内部に傾斜面を有しているため、結晶製造後のるつぼの内部の融液の残量を少なくすることができ、原料の利用率を向上して生産性を高めることができる。るつぼの傾斜面が引き上げ中の結晶の底面形状に沿うよう傾斜しているため、傾斜面と結晶の底面との間の融液の対流を安定させることができる。このため、融液の液面の位置でのるつぼの径に対する結晶の肩より下の結晶の径の割合が、従来の引き上げ法の場合と比べて大きくても、安定して結晶を成長させることができる。なお、るつぼは、カーボン、白金、イリジウム、ロジウム、またはこれらの合金から成っていることが好ましい。
本発明に係る単結晶製造装置は、引き上げ作業の間、前記るつぼ内に前記原料を融解して供給可能に設けられた原料供給手段を有することが好ましい。この場合、原料供給手段により、例えば融液の液面を所定の高さに維持するよう、原料を融解して供給することができる。
本発明に係る単結晶製造装置は、前記融液の液面を所定の高さに維持するよう前記原料供給手段を制御可能に設けられた制御部を有することが好ましい。この場合、制御部により、融液の液面を所定の高さに維持することができ、結晶の径を容易に安定させることができる。
本発明によれば、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができる単結晶製造方法および単結晶製造装置を提供することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図7は、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置を示している。
図1に示すように、単結晶製造装置10は、チャンバ(図示せず)とるつぼ11と加熱手段(図示せず)と引上手段12と原料供給手段13と制御部14とを有している。
チャンバは、ステンレス製で、窓材にはCaFを採用している。チャンバは、雰囲気制御を可能にするために、ロータリーポンプおよび油拡散ポンプを具備している。これにより、チャンバは、ガス置換前において、真空度を1×10−3Torr以下にすることが可能になっている。また、チャンバは、精密に調整された流量でAr、N、Hガス等を導入するためのガスフローメータを有している。
図1に示すように、るつぼ11は、チャンバの内部に設けられ、カーボン、白金、イリジウムおよびロジウム、またはこれらの合金から成り、すり鉢状に形成されている。るつぼ11は、内部に、中心から周縁にかけて同心円状に浅くなるよう傾斜した傾斜面21を有している。傾斜面21は、引き上げ中の結晶1の底面形状に沿う形状に形成されている。るつぼ11は、傾斜面21からその反対面22にかけて所定の厚さを有している。
加熱手段は、るつぼ11を加熱可能にチャンバの内部に設けられている。加熱手段は、例えば、結晶1の原料が低融点材料の場合にはヒータから成り、高融点材料の場合には高周波誘導加熱装置から成ってもよい。
図1に示すように、引上手段12は、チャンバの内部で、るつぼ11の上方に設けられている。引上手段12は、上下方向および水平方向に移動可能であり、るつぼ11内の原料の融液2から種結晶を上方に引上可能になっている。引上手段12は、引上速度を調節可能になっている。
図1に示すように、原料供給手段13は、チャンバの内部に設けられ、原料融解部23と連続チャージ装置24とを有している。原料融解部23は、るつぼ11の縁部に設けられ、結晶1の原料を融解し、融解した原料を傾斜面21に沿って流してるつぼ11内に供給可能になっている。連続チャージ装置24は、固体の原料を原料融解部23に連続して供給可能に、原料融解部23に接続されている。連続チャージ装置24は、原料融解部23への原料の供給量を調節可能になっている。
図1に示すように、制御部14は、チャンバの内部に設けられた液面検知部25と、チャンバの外部に設けられた制御装置26とを有している。液面検知部25は、るつぼ11内の融液2の液面の高さを検知可能に、るつぼ11の内部に取り付けられたセンサ27を有している。液面検知部25は、センサ27が検知した融液2の液面の高さに関するデータを出力可能になっている。制御装置26は、液面検知部25、連続チャージ装置24、加熱手段および引上手段12に接続されている。制御装置26は、液面検知部25から出力された融液2の液面の高さに関するデータを入力し、そのデータに基づいて、連続チャージ装置24の原料の供給量を制御可能になっている。また、制御装置26は、加熱手段の温度や、引上手段12の引上速度も制御可能になっている。このように、制御部14は、るつぼ11内の融液2の液面を所定の高さに維持するよう、原料供給手段13を制御可能になっている。
本発明の実施の形態の単結晶製造方法は、図1に示す単結晶製造装置10により実施することができる。
本発明の実施の形態の単結晶製造方法は、まず、結晶1の原料を所定量だけるつぼ11に入れ、チャンバ内をポンプで高真空排気して真空状態にする。その後、アルゴン(Ar)等の不活性ガスや不活性ガスとHガスの混合ガス等をチャンバ内に導入することにより、チャンバ内を不活性ガス雰囲気もしくは還元雰囲気とする。加熱手段により、るつぼ11内の原料の単結晶成長温度以上の温度までるつぼ11を加熱し、るつぼ11内の原料を完全に融解させて初期融液2とする。このとき、融液2の液面が、るつぼ11の内部の傾斜面21に位置するよう、あらかじめ原料の量を調整しておく。
原料を溶解した後、制御部14により加熱手段を調整して、融液2の液面付近を単結晶成長温度に保つ。引上手段12により吊り下げられた種結晶を融液2になじませた後、この種結晶を核として単結晶1を成長させる。結晶1の育成の初期段階で、結晶1の径を絞ることで結晶1を低転位化した後に結晶1の径を徐々に大口径化し、定径とする。
この結晶成長過程において、単結晶1の成長量(引き上げ量)に応じて、原料を一定の供給率にてるつぼ11内に連続的に投入する。このとき、制御部14により連続チャージ装置24の原料の供給量を制御し、その原料を原料融解部23で融解して、るつぼ11内に連続的に供給する。また、制御部14により加熱手段を制御してるつぼ11内の融液2の量を調整し、結晶1の径を徐々に増加させて所定の径とする。この際、揮発を避けるためにドーパントはまだ投入しない。
所定の径の単結晶1が得られたならば、引上手段12により引き上げつつ、原料を一定の供給率にてるつぼ11内に連続的に投入するとともに、必要に応じてドーパントを連続的または間欠的に投入する。このとき、融液2の液面を一定の高さに維持するよう、制御部14により原料供給手段13を制御して原料を融解して供給しつつ、融液2の液面の位置でのるつぼ11の径に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げる。また、原料の供給量に応じて、所定の割合で融液2の中にドーパントを添加する。なお、図1に示す一例では、融液2の液面の位置でのるつぼ11の径は600mm、結晶1の肩1aより下の結晶1の径は500mmであり、その割合は0.833になっている。
原料の融液2の液面の位置での、るつぼ11の径に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げることにより、従来の引き上げ法と比べて、融液2の液面の面積を小さくすることができる。このため、蒸発面積も小さくなり、融液2中の成分の揮発を防ぐことができる。また、引き上げ作業の間、制御部14により融液2の液面を所定の高さに維持するよう原料を融解して供給するため、融液2の量を定量かつ少ない量に保つことができる。このため、原料の揮発を大幅に抑えることができ、仕込み組成と融液2の組成との差を低く抑えることができる。これにより、融液2中の組成の経時変化が低く抑えられ、結晶1の位置による組成変化を低く抑えることができる。こうして、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶1を製造することができる。
また、るつぼ11が傾斜面21を有しているため、引き上げ速度を一定とし、融液2の液面を一定の高さに維持することにより、結晶1の径の大きさが変動しないよう安定させることができる。このように、引き上げ速度および融液2の液面の高さの調整により、結晶1の径を安定させることができるため、ロードセルなどの高価な装置が不要であり、設備費を低減することもできる。るつぼ11の傾斜面21が引き上げ中の結晶1の底面形状に沿うよう傾斜しているため、傾斜面21と結晶1の底面との間の融液2の対流を安定させることができる。このため、融液2の液面の位置でのるつぼ11の径に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径の割合が、従来の引き上げ法の場合と比べて大きくても、安定して結晶1を成長させることができる。
原料の供給量に応じて、所定の割合で融液2の中にドーパントを添加することにより、偏析等によるドーパント濃度の変動を補償して、ドーパント濃度を一定に維持することができ、単結晶1の品質を安定させることができる。
所定の長さの結晶1を育成したならば、制御部14により原料供給手段13からの原料の供給量を絞る。このとき、るつぼ11が内部に傾斜面21を有しているため、融液2の液面を小さくすることができ、結晶1の径を減少させることができる。また、結晶1の製造後の、るつぼ11の内部の融液2の残量を少なくすることができ、原料の利用率を向上して生産性を高めることができる。
[Pr2%:LuAGの製造例]
本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により、(Pr0.02Lu10.98)Al12〔Pr2%:LuAG〕で表される酸化物シンチレータ単結晶の製造を行った。引き上げ速度は1.5mm/h、切り離し後の冷却時間は48時間とした。引き上げ時の、融液2の液面の位置での、るつぼ11の径(D)に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径(d)の割合(d/D)を、0.8とした。なお、比較のため、従来の引き上げ法による単結晶の製造も行った。従来の引き上げ法(チョクラルスキー法;CZ法)でのd/Dの値は、0.5程度である。いずれも、仕込み組成は、(Pr0.02Lu10.98Al12である。
製造された結晶を、図2に示す。図2(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶は、結晶化率40%付近の位置からインクルージョンが入り、結晶後半部が不透明化している。これに対し、図2(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶は、全体に渡って透明であることが確認された。
プラズマ発光分析(ICP)法により、製造された結晶中の各元素を測定した結果を、図3に示す。図3(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶は、Prの低い偏析係数のため、結晶前半部ではPr濃度が0.1%程度に留まる一方、結晶後半部でPrの濃度が急激に上昇していることが確認された。これに対し、図3(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶は、終端部を除き、結晶全体にわたってほぼ組成が均一になっていることが確認された。このため、結晶の大部分が利用可能であり、従来の方法に比べて生産性が高い。
製造された単結晶の結晶化率20%及び50%の位置から切り出した試料のγ線励起発光量を測定した結果を、図4に示す。図4(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶では、二つの試料に、組成の違いや結晶性に由来した大きな発光量の違いがあり、特に結晶化率50%の位置から切り出した試料の発光量が著しく劣ることが確認された。これに対し、図4(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶では、二つの試料がほぼ同程度の発光特性を示すことが確認された。これにより、従来の方法によるものと比べて、結晶全体に渡って均質な特性を有することが確認された。
[Ce3%Sr0.5%:GLFの製造例]
本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により、(Sr0.005Ce0.03Lu0.265Gd0.7)F〔Ce3%Sr0.5%:GLF〕で表される酸化物シンチレータ単結晶の製造を行った。引き上げ速度は2.5mm/h、切り離し後の冷却時間は120時間とした。引き上げ時の、融液2の液面の位置での、るつぼ11の径(D)に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径(d)の割合(d/D)を、0.8とした。なお、比較のため、従来の引き上げ法による単結晶の製造も行った。従来の引き上げ法(チョクラルスキー法;CZ法)でのd/Dの値は、0.5程度である。いずれも、仕込み組成は、(Sr0.005Ce0.03Lu0.265Gd0.7)Fである。
製造された結晶を、図5に示す。図5(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶は、結晶化率30%付近の位置からクラックが入り、結晶後半部が白濁化している。これに対し、図5(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶は、やや不透明であるが、全体に渡って均質であることが確認された。
電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)法により、製造された結晶中の各元素を測定した結果を、図6に示す。図6(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶は、Ce・Srの低い偏析係数のため、結晶後半部でCe・Srの濃度が急激に上昇していることが確認された。これに対し、図6(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶は、終端部を除き、結晶全体にわたってほぼ組成が均一になっていることが確認された。このため、結晶の大部分が利用可能であり、従来の方法に比べて生産性が高い。
製造された単結晶の結晶化率20%及び50%の位置におけるPhotoluminescence測定の結果を、図7に示す。図7(b)に示すように、従来の引き上げ法により製造された結晶では、結晶の位置によって、組成の違いに由来する大きな発光特性の違いがあることが確認された。これに対し、図7(a)に示すように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10により製造された結晶では、結晶の位置によらず、ほぼ均質な発光特性を示していることが確認された。これにより、従来の方法によるものと比べて、結晶全体に渡って均質な特性を有することが確認された。
次に、引き上げ時の、融液2の液面の位置での、るつぼ11の径(D)に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径(d)の割合(d/D)を0.95とし、他の条件を同じにして単結晶の製造を行った。製造された結晶を、図8に示す。図8に示すように、d/D=0.95として製造された結晶は、d/D=0.8としたときの図5(a)の結晶と比べて、結晶の割れや白濁が明確に認められる。これにより、d/Dの値が高すぎると、結晶の成長が著しく不安定になり、結晶の割れや白濁等が容易に発生することが確認された。
引き上げ時の、融液2の液面の位置での、るつぼ11の径(D)に対する結晶1の肩1aより下の結晶1の径(d)の割合(d/D)を0.6とし、他の条件を同じにして単結晶の製造を行った。製造された単結晶の結晶化率20%及び50%の位置におけるPhotoluminescence測定の結果を、図9に示す。図9に示すように、d/D=0.6として製造された結晶は、d/D=0.8としたときの図7(a)の結晶と比べて、結晶の位置によって、組成の違いに由来する大きな発光特性の違いがあることが確認された。これにより、d/Dの値が低すぎると、結晶の特性の均質化効果が十分に得られないことが確認された。
図5乃至図9から、d/D=0.7〜0.9になるよう引き上げることにより、結晶全体に渡って均質な特性を有する結晶を製造することができることが確認された。特に、d/D=0.8〜0.85になるよう引き上げることにより、製造される結晶の特性を、より均質にすることができる。
このように、本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置10によれば、Pr:LuAG単結晶およびフッ化物固溶体単結晶の双方で、結晶全体に渡って組成を均質化することができ、結晶のクラックやインクルージョンを低減させることできる。特に、Pr・Ceといった活性元素の分布を均一にすることにより、結晶全体に渡って発光特性をも均質化することができる。
本発明の実施の形態の単結晶製造装置を示す側面図である。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたPr2%:LuAG単結晶(d/D=0.8)を示す側面図、(b)従来の引き上げ法により製造されたPr2%:LuAG単結晶を示す側面図である。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたPr2%:LuAG単結晶(d/D=0.8)のICP法による組成分析結果を示すグラフ、(b)従来の引き上げ法により製造されたPr2%:LuAG単結晶のICP法による組成分析結果を示すグラフである。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたPr2%:LuAG単結晶(d/D=0.8)のγ線励起発行量測定(Cs137励起、室温)の結果を示すグラフ、(b)従来の引き上げ法により製造されたPr2%:LuAG単結晶のγ線励起発行量測定(Cs137励起、室温)の結果を示すグラフである。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶(d/D=0.8)を示す側面図、(b)従来の引き上げ法により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶を示す側面図である。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶(d/D=0.8)のEPMA法による組成分析結果を示すグラフ、(b)従来の引き上げ法により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶のEPMA法による組成分析結果を示すグラフである。 (a)本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶(d/D=0.8)のPhotoluminescence測定(λexc.=280nm、室温)の結果を示すグラフ、(b)従来の引き上げ法により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶のPhotoluminescence測定(λexc.=280nm、室温)の結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶(d/D=0.95)を示す側面図である。 本発明の実施の形態の単結晶製造方法および単結晶製造装置により製造されたCe3%Sr0.5%:GLF単結晶(d/D=0.6)のPhotoluminescence測定(λexc.=280nm、室温)の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 結晶
10 単結晶製造装置
11 るつぼ
12 引上手段
13 原料供給手段
14 制御部
21 傾斜面
23 原料融解部
24 連続チャージ装置
25 液面検知部
26 制御装置
27 センサ

Claims (5)

  1. るつぼ内の原料の融液から種結晶を上方に引き上げて結晶を製造する単結晶製造方法であって、
    前記融液の液面を所定の高さに維持するよう前記原料を融解して供給しつつ、前記融液の液面の位置での前記るつぼの径に対する前記結晶の肩より下の前記結晶の径の割合が、0.7乃至0.9になるよう引き上げることを、
    特徴とする単結晶製造方法。
  2. 前記結晶の肩まで引き上げた後、前記原料の供給量に応じて所定の割合で前記融液の中にドーパントを添加することを、特徴とする請求項1記載の単結晶製造方法。
  3. るつぼ内の原料の融液から種結晶を上方に引き上げて結晶を製造するための単結晶製造装置であって、
    前記るつぼは内部に、引き上げ中の前記結晶の底面形状に沿うよう、中心から周縁にかけて同心円状に浅くなるよう傾斜した傾斜面を有していることを、
    特徴とする単結晶製造装置。
  4. 引き上げ作業の間、前記るつぼ内に前記原料を融解して供給可能に設けられた原料供給手段を有することを、特徴とする請求項3記載の単結晶製造装置。
  5. 前記融液の液面を所定の高さに維持するよう前記原料供給手段を制御可能に設けられた制御部を有することを、特徴とする請求項4記載の単結晶製造装置。
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