JPH07149599A - Tb含有Al酸化物単結晶 - Google Patents

Tb含有Al酸化物単結晶

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JPH07149599A
JPH07149599A JP29932493A JP29932493A JPH07149599A JP H07149599 A JPH07149599 A JP H07149599A JP 29932493 A JP29932493 A JP 29932493A JP 29932493 A JP29932493 A JP 29932493A JP H07149599 A JPH07149599 A JP H07149599A
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oxide single
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JP29932493A
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Yasuto Miyazawa
靖人 宮沢
Masami Sekida
正實 関田
Shoji Morita
章二 森田
Toshiya Watanabe
俊哉 渡辺
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体レーザ、シンチレータなどに適したTb
含有Al酸化物単結晶、その製法及び発光材料を提供し
ようとするものである。 【構成】 Tbの格子点の一部をGdで置換した一般式
Tbx Gd1-x AlO3好ましくは0.01≦x≦0.50の範
囲のTb含有Al酸化物単結晶、及び該単結晶を還元性
雰囲気の下、溶融固化法で製造する方法及び該単結晶か
らなる発光材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体レーザ、シンチレ
ータなどに適したTb含有Al酸化物単結晶及びその製
造方法、並びに、Tb含有Al酸化物単結晶からなる発
光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸化物からなる発光材料は、主と
して、光学的に不活性な母結晶に光学活性元素を微量添
加したものが用いられてきた。固体レーザとして最初に
開発されたルビーレーザは、母結晶であるアルミナ単結
晶に数%のCrを添加したものである。また、現在最も
代表的な固体レーザ材料であるイットリウムアルミニウ
ムガーネット(YAG)は、母結晶であるY3 Al5
12のY格子点の1%程度をNdで置換したものである。
これらの酸化物単結晶は、ほとんどの場合、回転引き上
げ法やベルヌイ法などの溶融固化法で製造されている。
【0003】一方、光学活性元素を結晶の主要構成元素
とする発光材料としては、1970年代に発明されたNdP
5 14などのペンタフォスフェイトが知られている。こ
の材料は、燐酸の重合によって製造される。また、Pb
2 を主成分とするフラックスを用いるフラックス法で
Tb3 Al5 12及びTbAl3 4 12などのTbを
主構成元素とする化合物単結晶の製造が報告されてい
る。しかし、これらの結晶は、いずれも黒色あるいは褐
色に着色されており、可視波長域で強い吸収を持つた
め、室温での発光は報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の酸化物からなる
発光材料は、発光強度を高める目的で添加する光学活性
元素の濃度を増加してゆくと、ある濃度以上では、発光
強度が光学活性元素の濃度に比例しなくなり、かつ、蛍
光寿命が極端に短くなり、ついには発光が全く認められ
なくなる。これは、光学活性元素間あるいは配位する酸
素イオンを介しての相互作用によるもので、濃度消光現
象と呼ばれている。
【0005】図5は、Gd3 Ga5 12におけるNdの
蛍光寿命のNd濃度依存性を示したグラフである。Nd
の濃度が1〜2%を越えると、蛍光寿命が極端に低下す
ることが分かる。Ndを添加したYAGにおいても、上
記と全く同様の理由から、Ndの添加量は通常高々1%
程度であり、それ以上添加すると発光材料としての特性
が低下するという重大な欠点があった。
【0006】また、光学活性元素であるNdを主要構成
元素とするNdP5 14などのペンタフォスフェイトの
場合、前記のように燐酸の重合によって製造されるた
め、合成炉の損傷が激しく、大型かつ良質の単結晶を得
ることが著しく困難であり、実用化には至らなかった。
【0007】一方、Tbを主要構成元素とする酸化物と
して報告されているTb3 Al5 12やTbAl3 4
12は、いずれも黒色や褐色を呈し、可視波長域に強い
吸収を持つため、その発光も液体窒素温度(絶対77
K)で完全に消滅してしまうという重大な欠点があっ
た。この欠点はこれらの結晶がいずれもフラックス法で
育成されるため、Tbの価数制御が不十分なことに起因
する。即ち、Tb酸化物の出発原料は工業的には通常T
4 7 という形で供給されるため、原料中に3価と4
価のTbが混在する。このうち光学活性を示すのはTb
3+のみであり、Tb 4+の混入は光学特性の低下を招く。
即ち、フラックス法で単結晶を育成する場合はTbの価
数制御が困難であるため、育成結晶中に多量のTb4+
存在し、結晶の着色や歪みの原因になっている。
【0008】そこで、本発明では、上記の欠点を解消
し、Tbの価数制御を可能にしたTb含有酸化物Al単
結晶及びその製造方法、並びに、その単結晶からなる発
光材料を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Tb格子
点の一部をGdで置換した一般式Tbx Gd1-x AlO
3 で表されるTb含有Al酸化物単結晶が、優れた発光
特性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、一般式Tbx Gd1-x AlO3
表されるTb含有Al酸化物単結晶であり、特に、x値
が0.01≦x≦0.50の範囲にあるものが、可視波長域にお
いて、3価のTbの 76 多重項から 54 多重項以外
の吸収、特に4価のTbの吸収を実質的に持たないの
で、発光材料として適している。
【0010】本発明のTb含有Al酸化物単結晶の製造
方法は、還元性雰囲気の下で原料を溶融し、固化する溶
融固化法で単結晶を育成するか、還元性能を有するるつ
ぼに原料を収容し、不活性ガス雰囲気下で原料を溶融
し、固化する溶融固化法で単結晶を育成することがで
き、特に、結晶の品質や大口径化の点では、回転引き上
げ法が適しているが、浮遊帯域法(フローティングゾー
ン法)や、レーザペデスタル法でも製造することができ
る。前記の結晶育成において、還元性雰囲気を選択する
ことにより、Tbの価数制御が可能となる。
【0011】上記の還元性雰囲気を形成するための好ま
しい水素濃度は、厳密には融液中のTb濃度に依存する
と考えられるが、基本的には、窒素又はアルゴンなどの
不活性ガスに水素を1〜20体積%程度混入することに
より、雰囲気の酸素分圧を10-2〜10-7気圧、好まし
くは10-3〜10-4気圧に保つ必要がある。結晶原料と
してはTb4 7 、Gd2 3 、Al2 3 等の酸化物
粉末を使用できるが、上記金属の硝酸塩、塩化物、アル
コキシド等の化合物や金属粉末も使用することができ
る。また、還元性能を有するるつぼとしては、グラファ
イトるつぼを使用することができる。
【0012】
【作用】本発明者らは、これまでの研究から、TbAl
3 単結晶が発光材料として優れた特性を示すことを見
いだしていた。このTbAlO3 単結晶は水銀ランプか
らの励起によって室温で黄緑色の発光が肉眼で確認され
ていたが、その蛍光寿命は約0.125 mSと短かった。そ
の後の研究でTb格子点の一部をGdで置換することに
より、蛍光寿命を長くすることができ、発光材料として
の特性を向上させることに成功した。
【0013】Gd濃度は、一般式Tbx Gd1-x AlO
3 で表示するときに、0.01≦x≦0.50の範囲が望まし
い。xが0.01未満であると蛍光寿命は長くなるが、光学
活性元素であるTbの濃度が低いため、発光強度が低下
する。また、xが0.50を越えると、蛍光寿命が0.5 mS
以下となり、発光材料、とりわけ固体レーザ材料として
の特性が低下する。固体レーザとして使用するときの特
に好ましい範囲は0.01≦x≦0.30、さらに好ましい範囲
は0.03≦x≦0.20である。
【0014】シンチレータ材料として使用するときの特
に好ましい範囲は0.01≦x≦0.10である。xが0.01未満
であると蛍光強度が小さくなり、xが0.10を越えると、
相互作用に伴う濃度消光の制約を受けるので好ましくな
い。上記のシンチレータ材料は、400nmよりも短波
長側に多数の吸収ピークを有し、紫外線照射に伴う着色
が少なく、融液成長法でも育成できるため、大口径の結
晶を容易に製造することができるなどの利点がある。
【0015】Tbx Gd1-x AlO3 は、TbAlO3
とGdAlO3 の擬二元系とみなすことができる。Tb
AlO3 とGdAlO3 はいずれも斜方晶であり、格子
定数も近いところから、全率固溶体を形成する。したが
って、(Tb+Gd):Al=1:1の条件を満たして
いれば、上記のいかなるx値に対しても斜方晶以外の異
相の析出や極端な格子歪みの発生はない。しかも、Gd
AlO3 は可視波長域において光学的に不活性であり、
Tbx Gd1-x AlO3 なる固溶体を形成しても3価の
Tbの 76 多重項から 54 多重項への吸収、特に4
価のTbの吸収及びその他の多重項間の可視波長域での
発光を全く阻害しない。このように、本発明のTb含有
Al酸化物単結晶は、従来法では得られなかった、無色
透明で優れた発光特性を示すものである。
【0016】本発明の製造方法は、溶融固化法におい
て、育成雰囲気の酸素分圧を制御することにより、Tb
の価数を制御することに初めて成功した。即ち、Tb4
7 をTb原料として使用するときに還元性の育成雰囲
気を用いることにより、育成時に4価のTb4+を還元
し、結晶内に取り込まれるTb4+量を極めて少なくする
ことができる。本発明に係る溶融固化法としては、回転
引き上げ法、浮遊帯域法、垂直ブリッジマン法等を採用
することができるが、結晶品質、大口径化などの観点か
ら、回転引き上げ法が有利である。
【0017】ところで、3価のテルビウムTb3+のエネ
ルギー準位は、図6に示すとおりであり、基底状態から
励起された電子は、よりエネルギーの低い準位に遷移す
る際に、そのエネルギー差を光として放出する。したが
って、発光スペクトルのピークは、このエネルギー準位
図で特徴付けられ、発光スペクトルの4つの大きなピー
クは、短波長側から順に 54 から 76 75 7
4 及び 73 への遷移に対応する。そして、Tb
3+は、Nd3+に類似しており、しかも発光波長は可視域
( 530〜550 nm)にあるため、可視四準位固体レーザ
を形成することが可能である。それ故、使用目的に応じ
てTbx Gd1-x AlO3 のx値を変化させることによ
り、蛍光寿命を制御し、レーザ特性あるいは発光特性を
制御することが可能である。また、TbはNdに比べて
400nm以下の波長域に多くの吸収ピークを有するた
め、キセノンランプなどの励起エネルギーを効率良く吸
収できる特徴を持っている。さらに、基底状態からの吸
収は、 488nmのアルゴンレーザの発振線と一致するた
め、連続発振にも有利な特性を備えている。
【0018】
【実施例】
(実施例1)回転引き上げ法でTb0.20Gd0.80AlO
3 単結晶を育成した。出発原料としては、純度99.999%
のTb4 7 、純度99.99 %のGd2 3 及び純度99.9
99%のAl2 3 を用いた。予め灼熱減量を測定した粉
末をTb0.20Gd0.80AlO 3 の組成となるように秤量
し、エタノールを加えて48時間ボールミルで混合した。
その後、エタノールを分離し、乾燥した粉末を乳鉢で粉
砕し、4000kg/cm 2 の圧力で冷間静水圧プレスで成
型した。そして成型物を大気中で1500℃で20時間焼成し
て育成原料とした。
【0019】回転引き上げ装置は、直径50mm、高さ50
mm、厚さ1.5 mmのイリジウムるつぼを用い、その周
囲に酸化ジルコニウム製耐火物を配置し、高周波誘導加
熱ヒータで加熱して断熱保温を可能とした。るつぼの上
方には、イリジウム製のアフターヒータを配置して、融
液の温度勾配の制御及び育成結晶の保温と熱歪みの低減
を図った。そして、ホットゾーンをステンレス製のチャ
ンバーで包囲し、室内を真空ポンプで真空排気を可能と
した。
【0020】上記るつぼに出発原料を約 420g充填し、
チャンバー内を1×10-3Torrまで真空排気した後、
チャンバー上部の雰囲気ガス導入口から窒素ガスを導入
して大気圧に戻した後、育成雰囲気ガスとして3vol
%の水素を混合した窒素ガスを毎分2リットルの流速で
チャンバー内に導入した。次いで、ワークコイルには周
波数約20kHzの高周波電力を徐々に印加してるつぼを
加熱し、24時間かけて高周波電力を約6kwまで上昇さ
せてるつぼ内の原料を完全に溶融させた。この時、るつ
ぼ底部の中央に接触させたIr−Ir/Rh熱電対で測
定した温度は約2030℃であった。融液表面には、融液対
流に起因すると考えられる比較的コントラストの強いス
ポークパターンが明瞭に観察された。なお、チャンバー
の出口側の雰囲気ガスの酸素分圧を測定したところ、8
×10-2Torrであった。融液組成の均一化を図るた
め、原料溶融後約5時間そのまま保持した。
【0021】そして、予めc軸に平行に切り出したTb
AlO3 種結晶をシードホルダーを介して引き上げ軸に
固定し、引き上げ軸を毎分10回転の速度で回転させなが
ら種結晶をゆっくり降下させた。種結晶への熱衝撃を緩
和するため、種結晶の先端を融液表面から約5mmの位
置で30分間保持した後、種結晶の先端を融液に浸した。
この状態で約20分間そのまま保持し、融液と種結晶を
充分になじませながら融液温度を調整した後、引き上げ
速度毎時1.0 mmの速さで結晶成長を開始した。成長開
始直後は、高周波電力をわずかに上昇させ、いわゆるネ
ッキング操作を行い、結晶径を約3mmまで細くした。
続いて高周波電力を少しずつ低下させて肩部を形成し
た。肩部の開き角は約600 とした。肩部に続いて直胴部
を形成した。直胴部の直径はロードセルを用いた重量法
により、直径20mmの目標に自動制御した。るつぼに充
填した原料の約30%を育成した後、引上速度を毎時10m
mに上昇させるとともに、融液温度を高め、結晶径を徐
々に細くして結晶を融液から切り離した。育成した結晶
はアフターヒータ内に保持して24時間かけて室温まで冷
却した。
【0022】得られた単結晶は、直径20mm、直胴部の
長さ約60mmで無色透明なものであり、クラックや気泡
などの巨視的な欠陥は全く認められなかった。また、得
られた単結晶の構造は斜方晶で、格子定数はa:5.2
47A,b:5.303A,c:7.440A、融点は
1920℃(結晶育成時のるつぼ底温度)で、蛍光寿命
は2.2m秒、誘電率は18であった。
【0023】また、比較のために、雰囲気として窒素の
みを用いた以外は、上記と同様にして結晶を育成した。
得られた結晶は透明であったが、茶褐色を呈しいた。ま
た、この結晶を室温で数時間保持したときに割れを生じ
た。
【0024】上記の2種類の結晶を育成方向に対し垂直
に切りだし、厚さ2mmのウエハを得た。そのウエハの
両面を鏡面研磨仕上げを施して吸収スペクトルを測定し
た。図1はその測定結果である。還元性雰囲気(N2
3%H2 )で育成した結晶は、可視波長域にほとんど吸
収がなく透明であるのに対し、窒素雰囲気で育成した結
晶は、およそ 430nmを中心とするブロードで強い吸収
が存在していた。この吸収は酸素イオン拡散の実験結果
から、4価のテルビウムTb4+によることが確認され
た。なお、両方の結晶に存在する 400nm以下の線状吸
収ピークは、3価のテルビウムTb3+に起因するもので
ある。
【0025】また、吸収スペクトルを測定したウエハに
水銀ランプからの波長 365nmの光を照射して発光状況
を観察した。還元性雰囲気(N2 +3%H2 )で育成し
た結晶は、黄緑色の発光が肉眼ではっきりと確認でき
た。図2はその発光スペクトルを示したものである。一
方、窒素雰囲気で育成した結晶は、発光を確認すること
ができず、実用に供することができなかった。これは可
視波長域に存在するブロードで強い吸収帯によって3価
のテルビウムTb3+の発光が吸収されるためである。な
お、図1の吸収スペクトル及び図2の発光スペクトルは
図6のTb3+のエネルギー準位図で特徴付けられるもの
である。
【0026】(実施例2)回転引き上げ法でTbx Gd
1-x AlO3 のx値を変化させて単結晶を育成し、蛍光
寿命を比較した。x値としては、x=0.01,0.02,0.0
5,0.10,0.30,0.50,1.00の7種類の組成の結晶を育
成した。x=1.00の結晶は比較のために育成したTbA
lO3 である。育成の要領及び育成条件は実施例1と同
じである。x値の増加とともに、るつぼ底の温度が原料
融液の際に低下する傾向が認められた。いずれのx値の
結晶も、無色透明でクラックや気泡などの巨視的欠陥は
認められなかった。各々の結晶の上部及び下部を切りだ
して粉砕し、X線回折を行って結晶相を同定するととも
に格子定数を算出した。その結果、いずれの結晶も斜方
晶一相であり、異相の析出は認められなかった。また、
格子定数は測定精度の範囲内で一致しており、極端な組
成の変動がないことが明らかとなった。図3は格子定数
(斜方晶のc軸)のx値依存性を示したグラフである。
このグラフから明らかなように、格子定数とx値とは、
線形の関係を示している。以上の結果から、Tbx Gd
1-x AlO3 が全率固溶体を形成することが明らかであ
る。
【0027】図4は、蛍光寿命のx値依存性を示したグ
ラフである。x=1.0 即ちTbAlO3 の蛍光寿命は0.
125 mSであったが、x値が減少し、Tb格子点を置換
するGdの量が増加するにつれて、蛍光寿命が増加して
いることが分かる。そして、x=0.1 以下では、蛍光寿
命は約2.40mSで一定である。図4の結果から、Tb x
Gd1-x AlO3 単結晶はx値によって蛍光寿命を制御
できることが分かる。したがって、用途に応じた材料設
計が可能である。レーザ材料としての応用を考えると、
x=0.01以下では発光強度が充分でなく、x=0.50以上
では蛍光寿命の短縮により、レーザ発振のための光エネ
ルギーの蓄積が不十分となるので、x値の範囲は0.01≦
x≦0.50が適当である。
【0028】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、発光材料として良好な特性を示すTb含有Al酸
化物単結晶及びその製造方法を提供することができ、特
に、光学活性を低下させるTb4+の混入を抑制すること
ができ、可視波長域において、Tb3+ 76 多重項か
54 多重項の範囲以外の吸収を持たないTbを主要
構成元素とする無色透明な酸化物単結晶を提供すること
が可能になった。また、Tbx Gd1-x AlO3 のx値
を変化させることにより、結晶の光特性を損なうことな
く蛍光寿命を制御した単結晶の提供が可能となり、これ
まで報告例のない可視域四準位固体レーザの提供が可能
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で還元性雰囲気及び窒素雰囲気で育成
したTb0.20Gd0.80AlO3単結晶の吸収スペクトル
を示したグラフである。
【図2】実施例1で還元性雰囲気及び窒素雰囲気で育成
したTb0.20Gd0.80AlO3単結晶の発光スペクトル
を示したグラフである。
【図3】実施例2で育成したTbx Gd1-x AlO3
結晶の格子定数のx値依存性を示したグラフである。
【図4】実施例2で育成したTbx Gd1-x AlO3
結晶の蛍光寿命のx値依存性を示したグラフである。
【図5】従来のGd3 Ga5 12単結晶の蛍光寿命のN
d濃度依存性を示したグラフである。
【図6】Tb3+のエネルギー準位を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01S 3/16 (72)発明者 森田 章二 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 渡辺 俊哉 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TbAlO3 単結晶のTb格子点の一部
    をGdで置換したことを特徴とするTb含有Al酸化物
    単結晶。
  2. 【請求項2】 一般式Tbx Gd1-x AlO3 (但し、
    0.01≦x≦0.50)で表されるTb含有Al酸化物単結
    晶。
  3. 【請求項3】 可視波長域において、3価のTbの 7
    6 多重項から 54多重項以外の吸収を実質的に持たな
    いことを特徴とする請求項2記載のTb含有Al酸化物
    単結晶。
  4. 【請求項4】 還元性雰囲気の下で原料を溶融し、固化
    する溶融固化法で単結晶を育成することを特徴とする請
    求項1又は2記載のTb含有Al酸化物単結晶の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 還元性能を有するるつぼに原料を収容
    し、不活性ガス雰囲気下で原料を溶融し、固化する溶融
    固化法で単結晶を育成することを特徴とする請求項1又
    は2記載のTb含有Al酸化物単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のTb含有Al酸化物単結
    晶からなる発光材料。
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