明細書
Ybを含む混晶酸化物単結晶、 それを含む発光材料、 ァ線検出装置及びポジトロ
技術分野
本発明は、 固体レーザ一、 シンチレ一夕等に適した発光材料に関し、 より詳細 には、 シリケ一ト単結晶、 タン夕レート単結晶、 ニォペート単結晶、 ぺロブス力 ィト単結晶、 バナデート単結晶、 ァパタイト単結晶又はセスキォキサイド単結晶 を母結晶とし、 Ybを含む混晶酸化物単結晶に関する。 背
従来、 シンチレ一夕用発光材料として使用されているものは、 Ce : GSO、 Ce: LSO、 又は Ce: YAPに代表されるように、 主に Ceの 5d— 4f遷 移を用いたものである。
例えば、 Ce又は Ndによって賦活化される Y · A1ガーネット (特閧平 4— 289483号公報)、 Crによって賦活ィ匕される Gd · Gaガ一ネット、 Gd · S c · G aガ一ネヅ ト、 Gd ' Sc 'Alガーネヅ ト、 及び T b含有ガーネヅ ト (特開平 7— 149599号公報及び特開平 10— 1396号公報) が開示され ている。
上記の発光材料は、 下記のような問題点を有している。
Ce: 030及び06 : LSOでは、 発光元素である C eが多量に含まれる方 が発光量は多い。 しかし、 Ceの 5 d— 4 f遷移を用いたものは、 lat% (原 子量比) を超えるとコンセントレーションクェンチング (濃度消光) が顕著とな り、 シンチレ一夕効果を示さなくなる。
更に、 Ceは希土類イオンの中でも Laに次いで大きく、 母結晶における代表 的な希土類イオン (Y、 Gd、 Lu等) と比して大きすぎるため、 偏析係数が極 めて小さくなる。 その結果、 Ceの濃度が単結晶の作製方向に従って変動する。 このため、 物性値が変ィ匕し、 高精度化 PET (ポジトロン断層技術) 等に使用す る場合には、 大きな問題となっている。
また、 発光波長が 37 Onmであるため、 検出器として光電子增倍管を用いる 必要があり、 光電子増倍管より 30〜 40倍も分解能が高い半導体フォトダイォ —ド (=半導体光ダイオード) が使えないという技術的限界がある。 発明の要約
本発明は、 上記の問題点を解決するためになされたものである。従って、 本発 明の目的は、 発光効率が高く、 高精度で、 可視領域での発光が可能な発光材料を 提供することである。
本発明者らは、 Ybを混晶成分とする特定の混晶酸化物単結晶において、 優れ た発光特性を有することを見出し、 本発明を完成するに至った。 すなわち、 本発 明は、 酸素と電荷移動状態と呼ばれる光学的に活性な状態を形成する元素として Ybを含有するシリケート単結晶、 ニオベ一ト単結晶、 タン夕レート単結晶、 ベ ロプスカイト単結晶、 バナデート単結晶、 ァパタイト単結晶又はセスキォキサイ ド単結晶を提供する.。 これら結晶の具体例としては、
(YyYbx) 2S iOい (GdyYbx) 2S i05及び(LuyYbx) 2Si05、 (YyYbx) Nb04、 (GdyYbx) Nb04及び (LuyYbx) Nb04、 (YyYbx) Ta04、 (GdyYbx) T a 04及び (L uy Ybx) Ta04、 (YyYbx) A103、 (LayYbx) A103、 (GdyYbx) A103及び(L uyYbx) A103、
(YyYbx) V04、 (LayYbx) V〇4、 (GdyYbx) V〇4及び (LuyY
bx) V04、
Ca8 (YyYbx) 2 (P04) 6〇2、 Ca8 (LayYbx) 2 (P 04) 602、 C a8 (GdyYbx) 2 (P 04) 602、 Ca8 (LuyYbx) 2 (P 04) 602、 C a2 (YyYbx) 8 (S i04) e02、 Ca2 (LayYbx) 8 (S i04) 6〇2、 Ca2 (GdyYbx) 8 (S i 04) 602ヽ Ca2 (LuyYbx) 8 (S i04) 6 〇2、 Mg8 (YyYbx) 2 (P04) 602、 Mg8 (LayYbx) 2 (P04) 60 2、 Mg8 (GdyYbx) 2 (P 04) 602、 Mg8 (LuyYbx) 2 (P04) 60 2、 Mg2 (YyYbx) 8 (S i 04) 602、 Mg2 (LayYbx) 8 (S i04) 6 02、 Mg2 (GdyYbx) 8 (S i 04) 602ヽ Mg2 (LuyYbx) 8 (S i04) 602、 (YyYbx) 9.33 (S i 04) 602、 (LayYbx) 9.33 (S i04) 60 2、 (GdyYbx) 9.33 (S i 04) 602、 (LuyYbx) 9.33 (S i 04) 602ヽ
(YyYbx) 7.33 (P04) 602、 (LayYbx) 7.33 (P 04) 602ヽ (Gdy Ybx) 7.33 (P 04) 602及び (LuyYbx) 7.33 (P04) 602、
(YyYbx) 203、 (LayYbx) 203、 (GdyYbx) 203及び(LuyYbx) 203からなる群から選択される混晶酸化物単結晶である。
(式中、 0. 97≤x + y≤ l. 03、 0<x≤0. 5である)
上記単結晶は、
(1)酸化イツトリウム (Y203)、 酸化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテチ ゥム (Lu203) 又は酸化ランタン (La203) のいずれか 1つと、
(2) シリカ (S i02)、 酸化ニオブ(Nb205)、 酸化タンタル (Ta205)、 酸化アルミニウム (A 1203)、 酸化バナジウム (V205)又は酸ィ匕燐(P2〇5) のいずれか 1つと、
(3) 酸化イッテルビウム (Yb203) とを、
又は
(1,) 酸化イツトリウム (Y2〇3)、 酸化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテ
チウム (Lu203)又は酸化ランタン (La203)のいずれか 1つと、
(2')酸化燐 (P 205)、 シリカ (S i02)、 酸化ニオブ (Nb205)、 酸ィ匕夕 ン夕ル(Ta205)、酸化アルミニウム(ひ一 A 1203)又は酸化バナジウム(V 205)のいずれか 1つと、
(3,)酸化カルシウム (CaO)又は酸化マグネシウム (MgO)のいずれか 1 つと、
(45)酸ィ匕イッテルビウム (Yb2〇3) とを、
又は
(1")酸ィ匕ィヅトリウム (Y203)、 酸化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテ チウム (Lu203) 又は酸化ランタン (La203)のいずれか 1つと、
(2")酸ィ匕イッテルビウム (Yb203) とを、
目的組成となるように秤量し、 混合して融解した後、 結晶成長させることにより 製造することができる。 発明の開示
本発明の混晶酸化物単結晶は、 以下のように分類される。
(YyYbx) 2S i05、 (GdyYbx) 2S i05及び (LuyYbx) 2Si05 等のシリケ一ト単結晶。
(YyYbx) Nb04、 (GdyYbx) Nb04及び (LuyYbx) Nb〇4等の ニオベート単結晶。
(YyYbx) Ta04、 (GdyYbx) T a◦ 4及び ( L uy Ybx) Ta04等の タン夕レート単結晶。
(YyYbx) A103、 (LayYbx) A103、 (GdyYbx) A103及び(L uyYbx) A103等のぺロプスカイト単結晶。
(YyYbx) V04、 (LayYbx) V04、 (GdyYbx) V04及び(LuyY
bx) V04等のバナデート単結晶。
Ca8 (YyYbx) 2 (P 04) 602ヽ Ca8 (LayYbx) 2 (P04) 602、 C a8 (GdyYbx) 2 (P04) 602ヽ Ca8 (LuyYbx) 2 (P04) 602、 C a2 (YyYbx) 8 (Si 04) 602ヽ Ca2 (LayYbx) 8 (Si 04) 602、 Ca2 (GdyYbx) 8 (S i 04) 602、 Ca2 (LuyYbx) 8 (Si04) 6 02、 Mg8 (YyYbx) 2 (P04) 602ヽ Mg8 (LayYbx) 2 (P04) 60 2、 Mg8 (GdyYbx) 2 (P04) 602ヽ Mg8 (LuyYbx) 2 (P04) 60 2、 Mg2 (YyYbx) 8 (Si 04) 602ヽ Mg2 (LayYbx) 8 (Si04) 6 02ヽ Mg2 (GdyYbx) 8 (S i 04) 602、 Mg2 (LuyYbx) 8 (Si04) 602ヽ (YyYbx) 9.33 (Si 04) 602ヽ (LayYbx) 9.33 (S i04) 60 2、 (GdyYbx) 9.33 (S i 04) 602、 (LuyYbx) 9.33 (S i04) 6〇2、 (YyYbx) 7.33 (P04) 602、 (LayYbx) 7.33 (P04) 602, (Gdy
Ybx) 7.33 (P04) 602及び (LUyYbx) 7.33 (P04) 602等のァパ夕 ィト単結晶。
(YyYbx) 203、 (LayYbx) 203、 (GdyYbx) 203及び(LuyYbx) 203等のセスキオキサイド単結晶。
(式中、 0. 97≤x + y≤l. 03、 0<x≤0. 5である)
通常、 希土類のサイトには最大で 1ではなく、 1. 03程度まで入る。 好まし い Xの範囲は 0<x≤0. 3であり、 より好ましくは 0. 1〜0. 2である。 X がこの範囲の単結晶は発光効率が高い。
上記化合物は、 近接の陰イオン (酸素イオン) と電荷移動状態 (CTS) と呼 ばれる光学的に活性な状態を形成する元素として Y bを含有している。
本発明の Y b混晶酸化物単結晶においては、 Y bと酸素イオンとの間の C T S からの遷移により発光が生じる。 このため、 従来のシンチレ一夕用発光材料でみ られた濃度消光も 40 at %以下の Yb濃度では顕著に現れない。従って、 従来
に比べ高い輝度を得ることができる。 また、 本発明の Y b混晶酸化物単結晶の発 光波長は、 5 4 O nm付近である。 従って、 シンチレ一夕用発光材料として用い た場合、 発光波長が半導体フォトダイオードの感度範囲内であるという利点も有 している。
従って、 本発明は、 上記単結晶を含む発光材料及びそれからの発光を検出する 半導体フォトダイォード等の発光検出素子を有するァ線検出装置を提供する。 また、 本発明は、 前記ァ線検出装置を用いるポジトロン断層撮影装置を提供す る。 本発明のポジトロン断層撮影装置は、 前記ァ線検出装置に加えて、 ァ線検出 装置の信号を処理する電子回路、 及び画像再構成その他を行うコンピュータを含 んでもよい。 '
さらに、 上記単結晶の中でも (YyY bx) A l〇3や (L uyY bx) 2 03等は、 蛍光寿命が約 1 n s以下と極めて短く、 T O F (Time of Flight) 型 P E T (例 えば、 Bendriem, Soussalme, Campagnolo, Verrey, Wajnberg and Syrota ( 1986 ): A Technique for the Correction of Scattered Radiation in a PET System Using Time-of-Flight Information. New York: Journal of Computer Assisted Tomography, 10(2) :287-295、 Mai Ion, Grangeat and Thomas (1992) : Comparison Between Three - Dimensional Positron Emission Tomography With and Without Time-of-Flight Measurement. Orlando: IEEE, vol. 2:988-990、 山谷泰賀、 小尾 高史、 山口雅浩、大山永昭 : Time- of-f light情報を利用した PET画像再構成の 画質の向上 ; MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY, 16, [4], 383〜384( 1998)、 Moses WW, Derenzo SE, Prospects for time-of-f light PET using LSO scintillator, IEEE T NUCL SCI 46 ( 3) : 474-478 Part 2 JUN 1999、 Lewellen TK, Time-of-Flight PET, SEMIN NUCL MED 28 (3) : 268-275 JUL 1998、 EVALUATION OF FRACTIONAL ERRORS IN PIXELS AND REGIONS IN A TIME-OF-FLIGHT PET SCANNER, CINOTTI L, LAVENNE F, LEBARS D, LANDAISP, CAMPAGNOLO R, ROUSSET 0, MAUGUIERE F, PHYSICS IN MEDICINE
AND BIOLOGY 38 (8): 1113-1120 AUG 1993等を参照のこと。) に用いることがで きる。 この TOF型 PETは、 放出されたポジトロンが同一直線上に配置される 互いに向き合つた 2つの検出器に到達する時間のずれからポジト口ン放出源の位 置を特定するものであり、 ポジトロン放出源の位置を、 より高速に、 より高精度 に特定することができるという特徴を有している。
本発明の混晶酸化物単結晶は、 回転引き上げ法やプリッジマン法等の従来技術 におけるいずれの公知の方法を用いても作製することができる。 例えば、 下記の ようなマイクロ引き下げ法 (特開 2003-95783号公報) により作製する こともできる。
(シリケート単結晶の作製方法)
出発原料としては、 酸化イツトリウム (Y203)、 酸ィ匕ガドリニウム (Gd20 3)、 酸化イッテルビウム (Yb2〇3)、 酸化ルテチウム (Lu2〇3)、 シリカ (S i02) を用いる。 これらの出発原料を目的組成となるように秤量、 混合した後、 成型、 焼成してシリケ一ト単結晶を作製する。
単結晶成長は、 高周波誘導加熱によるモディファイドマイク口引き下げ装置を 用いて行う。 マイクロ引き下げ装置は、 坩堝と、 坩堝底部に設けた細孔から流出 する融液に接触させる種を保持する種保持具と、 種保持具を下方に移動させる移 '動機構と、 該移動機構の移動速度制御装置と、 坩堝を加熱する誘導加熱手段とを 具備した一方向凝固成長装置である。
該坩堝はィリジゥム金属又はィリジゥム合金坩堝であり、 坩堝底部外周にィリ ジゥム金属又はィリジゥム合金からなる発熱体であるアフターヒー夕一を配置す る。 坩堝及びアフターヒータ一は、 誘導加熱手段の出力調整により発熱量を調整 することによって、 坩堝底部に設けた細孔から引き出される融液の固液境界相の 加熱温度を制御することが可能である。
この装置において、 細孔を複数個設け、 該細孔の径を実効偏析係数 keffが約
1であり、 かつ、 融液が垂れ落ちない大きさ (酸化物共晶体の場合、 4 O Ojum ø以下、 好ましくは 20 O〃m0〜30 O /m0) とし、 流下した融液が種結晶 に接触する前に合流するように複数の細孔を配置する。
この装置を用いて、 上述の方法にて準備した成型、 焼成済みの原料を坩堝に入 れる。炉内の雰囲気制御のため、真空排気した後、高純度 A rガス( 99.99 %) を炉内に導入することにより、 炉内を不活性ガス雰囲気とし、 高周波誘導加熱コ ィルに高周波電力を徐々に印加することにより坩堝を加熱して、 坩堝内の原料を 完全に融解する。 融液の組成の均一性を図る為、 高周波出力を約 2時間保持する ことが望ましい。
種結晶を所定の速度で徐々に上昇させて、 その先端を坩堝下端の細孔 (流下し た融液が種結晶に接触する前に合流するように複数の細孔を配置されている) に 接触させて充分になじませる。 次いで、 融液温度を調整しながら引き下げ軸を下 降させることで結晶を成長させる。 準備した材料が全て結晶ィ匕し、 融液が無くな つた時点で結晶成長終了となる。 当該結晶はアフターヒーター内に保持されたま ま室温まで徐々に冷却される。
(ニオベ一ト単結晶又はタン夕レート単結晶の作製方法) '
出発原料として、 酸化イットリウム (Y203)、 酸化イッテルビウム (Yb20 3)、 酸化ルテチウム (Lu203)、 酸化ニオブ(Nb205)、 酸ィ匕タンタル(Ta 205) を用いる。 これらの出発原料を目的組成となるように秤量、 混合した後、 成型、 焼成して単結晶を作製する。
単結晶成長は、 上記と同様に高周波誘導加熱によるモディファイド引き下げ装 置を用いて行う。
(ぺロプスカイト単結晶)
出発原料として、 酸化イットリウム (Y203)、 酸化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテチウム (Lu203)、 酸化ランタン (La203)、 酸化アルミニウム (ひ
一 A 1203)、 酸化イッチルビゥム (Yb203) を用いる。 これらの出発原料を 目的組成となるように秤量、 混合した後、 成型、 焼成して単結晶を作製する。 単結晶成長は、 上記と同様に高周波誘導加熱によるモディファイド引き下げ装 置を用いて行う。
(バナデート単結晶)
出発原料として、 酸化ィヅトリウム (Y203)、 酸化ランタン (La203)、酸 化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテチウム (Lu203)、 酸化バナジウム (V 205)、 酸化イッテルビウム (Yb203) を用いる。 これらの出発原料を目的組 成となるように秤量、 混合した後、 成型、 焼成して単結晶を作製する。 ただし、 炉内の雰囲気制御のために用いる雰囲気ガスには、 高純度 Ar + 02ガス (99. 99%、 Ar:〇2=98 : 2) を用いる。
単結晶成長は、 上記と同様に高周波誘導加熱によるモディファイド引き下げ装 置を用いて行う。
(ァパタイト単結晶)
出発原料として、 酸化イットリウム (Y203)、 酸化ランタン (La203)、酸 化ガドリニウム (Gd203)、 酸化ルテチウム (Lu203)、酸化カルシウム (C a〇)、 酸化マグネシウム (Mg〇)ヽ シリカ (Si02)、 酸化燐 (P205)、 酸 化イッテルビウム (Yb 203)を用いる。 これらの出発原料を目的組成となるよ うに秤量、 混合した後、 成型、 焼成して単結晶を作製する。
単結晶成長は、 上記と同様に高周波誘導加熱によるモディファイド引き下げ装 置を用いて行う。
(セスキォキサイド単結晶)
出発原料として、 酸ィ匕イットリウム (Y203)、 酸化ランタン (La203)、 酸 化ガドリニウム,(Gd203)、 酸化ルテチウム (Lu203)、酸化ィヅテルビウム (Yb2〇3) を用いる。 これらの出発原料を目的組成となるように秤量、 混合し
た後、 成型、 焼成して単結晶を作製する。 ただし、 セスキォキサイド単結晶は融 点が極めて高いため、 坩堝には Re (レニウム) 又は Re合金を用いる。 また、 炉内の雰囲気制御のために用いる雰囲気ガスには、 高純度 Ar + H2ガス (99. 99%、 Ar : H2 = 98 : 2) を用いる。
単結晶成長は、 上記と同様に高周波誘導加熱によるモディファイド引き下げ装 置を用いて行う。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 3の (Lu0.85Yb0.15) 2S i〇5の単結晶の写真である。 図 2は、 実施例 1の (Y0.85Yb0.15) 2S i〇5の粉末 X線回折図である。 図 3は、 実施例 2の (Gd0.85Yb0.15) 2S i05の粉末 X線回折図である。 図 4は、 実施例 3の (Lu0.85Yb0.15) 2S i05の粉末 X線回折図である。 図 5は、 実施例 6の (Lu0.85Yb0.15) Nb04の単結晶の写真である。 図 6は、 実施例 4の (Y0.85Yb0.15) Nb〇4の粉末 X線回折図である。 図 7は、 実施例 5の (Gd0.85Yb0.15) Nb〇4の粉末 X線回折図である。 図 8は、 実施例 6の (Lu0.85Yb0.15) Nb04の粉末 X線回折図である。 図 9は、 実施例 9の (Lu0.85Yb0.15) T a 04の単結晶の写真である。 図 10は、 実施例 7の (Y0.85Yb0.15) Ta04の粉末 X線回折図である。 図 11は、 実施例 8の (Gd0.85Yb0.15) Ta04の粉末 X線回折図である。 図 12は、 実施例 9の (Lu0.85Yb0.15) Ta04の粉末 X線回折図である。 図 13は、 実施例 10の (Y0.85Yb0.15) A 103の単結晶の写真である。 図 14は、 実施例 10の (Y0.85Yb0. ιε) Α103の粉末 X線回折図である。 図 15は、 実施例 11の (La0.85Yb0.15) A 103の粉末 X線回折図であ る。
図 16は、 実施例 12の (Gd0.85Yb0.15) A103の粉末 X線回折図であ
る。
図 17は、 実施例 1'3の (Lu0.85Yb0.15) A103の粉末 X線回折図であ る。
図 18は、 実施例 14の (Y0.9Yb0.!) V04の単結晶の写真である。 図 19は、 実施例 14の (Y0.9Yb0.!) V04の粉末 X線回折図である。 図 20は、 実施例 15の (La0.9Yb0. V04の粉末 X線回折図である。 図 21は、 実施例 16の (Gd0. gYb0. J V〇4の粉末 X線回折図である。 図 22は、 実施例 17の (Lu0.9Yb0. V04の粉末 X線回折図である。 図 23は、 実施例 19の Ca8 (La0.85Yb0.15) 2 (P04) 602の単結晶 の写真である。
図 24は、 実施例 18の Ca8 (Υ0· 85Yb0.15) 2 (P04) 602の粉末 X線 回折図である。
図 25は、 実施例 19の Ca8 (La0.85Yb0.15) 2 (P04) 802の粉末 X 線回折図である。
図 26は、 実施例 20の Ca8 (Gd0.85Yb0.15) 2 (P 04) 602の粉末 X 線回折図である。 ..
図 27は、.実施例 21の Ca8 (Lu0.85Yb0.15) 2 (P 04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 28は、 実施例 22の Ca2 (Y0.85Yb0.15) 8 (S i04) 6〇2の粉末 X 線回折図である。
図 29は、 実施例 23の Ca2 (L a0.85 Yb0.15) 8 (Si 04) 602の粉末 X線回折図である。
図 30は、 実施例 24の Ca2 (Gd0.85Yb0.15) 8 (Si04) 6〇2の粉末 X線回折図である。
図 31は、 実施例 25の Ca2 (Lu0.85Yb0.15) 8 (S i04) 6〇2の粉末
X線回折図である。
図 32は、'実施例 26の Mg8 (Y0.85Yb0.15) 2 (P04) 602の粉末 X線 回折図である。
図 33は、 実施例 27の Mg8 (La0.85Yb0.15) 2 (P 04) 602の粉末 線回折図である。
図 34は、 実施例 28の Mg8 (Gd0.85Yb0.15) 2 (P 04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 35は、 実施例 29の Mg8 (Lu0.85Yb0.15) 2 (P04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 36は、 実施例 30の Mg2 (Y0.85Yb0.15) a (S i 04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 37は、 実施例 31の Mg2 (La0.85Yb0.15) 8 (Si 04) 602の粉末 X線回折図である。
図 38は、 実施例 32の Mg2 (Gd0.85Yb0.15) 8 (Si 04) 602の粉末 X線回折図である。
図 39は、 実施例 33の Mg2 (Lu0.85Yb0. ιέ) 8 (S i04) 6Ό2の粉末 X線回折図である。
図 40は、 実施例 34の (Y0.85Yb0.15) 9. 33 (S i 04) 602の粉末 線回折図である。
図 41は、 実施例 35の (La0.85Yb0.15) 9.33 (Si04) 6〇2の粉末 X線回折図である。
図 42は、 実施例 36の (Gd0.85Yb0.15) 9.33 (Si 04) 602の粉末 X線回折図である。
図 43は、 実施例 37の (Lu0.85Yb0.15) 9.33 (S i 04) 602の粉末 X線回折図である。
図 44は、 実施例 38の (Y0.85Yb0.15) 7.33 (P 04) 602の粉末 X線 回折図である。
図 45は、 実施例 39の (La0.85Yb0.15) 7.33 (P04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 46は、 実施例 40の (Gd0.85Yb0.15) 7.33 (P 04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 47は、 実施例 41の (Lu0.85Yb0.15) 7· 33 (P 04) 602の粉末 X 線回折図である。
図 48は、 実施例 45の (Lu0.85Yb0.15) 203の単結晶の写真である。 図 49は、 実施例 42の (Y0.85Yb 0.15) 203の粉末 X線回折図である。 . 図 50は、 実施例 43の (La0.85Yb0.15) 2〇 3の粉末 X線回折図である。 図 51は、 実施例 44の (Gd0.85Yb 0.15) 203の粉末 X線回折図である。 図 52は、 実施例 45の (Lu0.85Yb0.15) 2〇 3の粉末 X線回折図である。 図 53は、 実施例 3の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。
図 54は、 実施例 6の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。
図 55は、 実施例 9の単結晶の X線励起に対する発光スペクトルである。
図 56は、 実施例 10の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。 図 57は、 実施例 14の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。 図 58は、 実施例 19の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。 図 59は、 実施例 45の単結晶の X線励起に対する発光スぺクトルである。 図 60は、 実施例 3の (Lu0.85Yb0.15) 2S i05の単結晶の Yb分布を 示すグラフである。
図 61は、 実施例 6の (Lu0.85Yb0.15) Nb04の単結晶の Yb分布を示 すグラフである。
図 62は、 実施例 9の (Lu0.85Yb0.15) Ta04の単結晶の Yb分布を示
すグラフである。
図 63は、 実施例 10の (Y0.85Yb0.15) A103の単結晶の Yb分布を示 すグラフである。
図 64は、 実施例 14の (Y0.9Yb0. J V〇4の単結晶の Yb分布を示すグ ラフである。
図 65は、 実施例 19の Ca8 (La0.85Yb0.15) 2 (P 04) 602の単結晶 の Yb分布を示すグラフである。
図 66は、 実施例 45の (Lu0.85Yb 0.15) 203の単結晶の Yb分布を示 すグラフである。
図 67は、 比較例の単結晶の Ce分布を示すグラフである。
図 68は、 蛍光寿命の測定に用いた装置構成の概略である。
る。
図 69は、 実施例 10の (Y0.85Yb0.15) A 103の単結晶の蛍光寿命測定 結果である。 ·
図 70は、 実施例 45の (Lu0.85Yb0.1S) 203の単結晶の蛍光寿命測定 結果である。 発明を実施するための最良の形態
(実施例 1〜3)
各種シリケ一ト単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。 各種シリケ一ト 単結晶の作製条件を表 1に示す。
W 03
実施例 3で得られた (Lu
0.
85Yb
0.
15)
2 S i 0
5 (Yb=l 5a t ) の 単結晶の写真を図 1に示す。 また、 実施例 1〜 3で得られた単結晶 (Yb=15 at %) の粉末 X線回折図を図 2〜4に示す。
(実施例 4〜6)
各種ニオベ一ト単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。 各種二オペ一ト 単結晶の作製条件を表 2に示す。
表 2
実施例 6で得られた (Lu
0.
85Yb
0.
15) Nb〇
4 (Yb = 15 at %)の単 結晶の写真を図 5に示す。 また、 実施例 4〜 6で得られた単結晶 (Yb=15a t%)の粉末 X線回折図を図 6〜8に示す。
(実施例 7〜9)
各種タン夕レート単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。 各種タンタレ 一ト単結晶の作製条件を表 3に示す。
表 3
実施例 9で得られた (Lu
0.
85Yb
0.
15) Ta0
4 (Yb=l 5at )の単 結晶の写真を図 9に示す。 また、 実施例 7〜 9で得られた単結晶 (Yb=15a t %) の粉末 X線回折図を図 10〜: L 2に示す。
(実施例 10〜13)
各種べロプスカイト単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。 各種べロブ スカイト単結晶の作製条件を表 4に示す。
7
表 4
実施例 10で得られた (Y
0.
85Yb
0.
15) A10
3の単結晶の写真を図 13に 示す。 また、 実施例 10〜13で得られた単結晶 (Yb=l 5at%)の粉末 X 線回折図を図 14〜17に示す。
(実施例 14〜17)
各種バナデ一ト単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。 各種バナデート 単結晶の作製条件を表 5に示す。
表 5
実施例 14で得られた (Y
0.
9Yb
0. V0
4の単結晶の写真を図 18に示す
c また、 実施例 14〜: 17で得られた単結晶 (Yb=10at%)の粉末 X線回折 図を図 19 22に示す。
(実施例 18 41)
各種ァパタイト単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。各種ァパタイト 単結晶の作製条件を表 6に示す。
9
表 6
実施例 19で得られた Ca
8 (La
0.
85Yb
0.
15)
2 (P0
4)
60
2の単結晶の 写真を図 23に示す。 また、 実施例 18〜41で得られた単結晶 (Yb= 15 a t%)の粉末 X線回折図を図 24〜47に示す。
(実施例 42〜45)
各種セスキォキサイド単結晶をマイクロ引き下げ法により作製した。各種セス キォキサイド単結晶の作製条件を表 7に示す。
表 7
実施例 45で得られた (Lu
0.
85Yb
0.
15)
20
3の単結晶の写真を図 48に 示す。 また、 実施例 14〜17で得られた単結晶 (Yb=15at%)の粉末 X 線回折図を図 49〜 52に示す。
(比較例)
Ceを賦活材とする発光材料の代表例である Ce: Lu2Si05を下記の方 法により製造した。
出発原料は、 純度 4N (99. 99%)以上の酸ィ匕ガドリニウム (Lu203)、
シリカ (S i 02) を用いた。 これらの出発原料を目的組成となるように秤量、 混合した後、 成型、 焼成して発光材料の原料とした。 酸化セリウム (C e 02 ) は結晶成長のバヅチごとに坩堝中に添カ卩した。
単結晶成長は、 高周波誘導加熱による C z装置を用いて行った。 C z装置は、 坩堝及びァフ夕一ヒーターと、 坩堝中にある融液に接触させる種(L u 2 S i〇5 の単結晶) を保持する種保持具と、 種保持具を下方に移動させる移動機構と、 該 移動機構の移動速度制御装置と、 移動機構の回転機構と、 回転速度制御装置と、 坩堝を加熱する誘導加熱手段とを具備した一方向凝固成長装置である。 該坩堝は ィリジゥム金属又はィリジゥム合金坩堝であり、 坩堝底部外周にィリジゥム金属 またはィリジゥム合金からなる発熱体であるアフターヒーターを配置する。 坩堝 及びアフターヒー夕一は、 誘導加熱手段の出力調整により発熱量の調整が可能で あり、 これによつて加熱温度の制御を可能としている。
この装置を用いて、 上述の方法にて準備した成型、 焼成済みの発光材料の原料 を坩堝に入れた。 炉内の雰囲気を制御するために真空排気した。 その後、 高純度 八1^ガス (9 9 . 9 9 %) を炉内に導入して、 炉内を不活性ガス雰囲気とした。 高周波誘導加熱コィルに高周波電力を徐々に印加することにより坩堝を加熱して、 坩堝内の原料を完全に融解した。 融液の組成の均一性を図る為、 高周波出力を約 5時間保持した。
続いて、種結晶を所定の速度で回転させながら所定の速度で徐々に下降させた。 種結晶の先端を坩堝内の融液に接触させて充分になじませた後、 融液温度を調整 しながら引き上げ軸を上昇させることで結晶を成長させた。 準備した材料が 5割 程度結晶化し、 融液の組成が均質で無くなった時点で結晶成長を終えた。 当該結 晶をアフターヒーター内に保持したまま室温まで徐々に冷却した。
(発光スぺクトルの測定)
X線源として C uの封入管 (2 5 kV、 1 5 mA) を用い、 分光光度計 (S p
e c t r o f luo r ome t e r 199 S) により X線励起に対する発光ス ぺクトルを測定方法した。 結果を図 53〜59に示す。
図 53は実施例 3で得られた (LuyYbx) 2Si05 (χ = 0· 05、 0. 1 5及び 0. 30) の単結晶の発光スペクトルである。 長波長側の発光ピークが半 導体光ダイオードの最高感度波長 (53 Onm)付近に位置することがわかる。 また、 比較例の Ceを賦活剤とするものと強度比較を行うと、 本発明の結晶の発 光が充分に高いことがわかる。 .
図 54は実施例 6で得られた (LuyYbx) Nb04 (x= 0. 05、 0. 1 5及び 0. 30) の単結晶の発光スペクトルである。 比較例の Ceを賦活剤とす るものと強度比較を行うと、 本発明の結晶の発光が充分に高いことがわかる。 図 55は実施例 9で得られた (LuyYbx) Ta04 (x= 0. 05、 0. 1 5及び 0. 30) の単結晶の発光スペクトルである。 長波長側の発光ピークが半 導体光ダイオードの最高感度波長 (53 Onm)付近に位置することがわかる。 また、 比較例の Ceを賦活剤とするものと強度比較を行うと、 本発明の結晶の発 光が充分に高いことがわかる。
図 56は実施例 10で得られた (YyYbx) A103 (x=0. 15) の単結 晶の発光スぺクトルである。 長波長側の発光ピークが半導体光ダイオードの最高 感度波長 (53 Onm)付近に位置することがわかる。
図 57は実施例 14で得られた (YyYbx) V04 (x=0. 1)の単結晶の 発光スぺクトルである。 長波長側の発光ピークが半導体光ダイオードの最高感度 波長 (53 Onm)付近に位置することがわかる。
図 58は実施例 19で得られた Ca8 (LayYbx) 2 (P04) 602 (x= 0. 15)の単結晶の発光スぺクトルである。 長波長側の発光ピークが半導体光ダイ オードの最高感度波長 (53 Onm)付近に位置することがわかる。
図 59は実施例 45で得られた (LuyYbx) 203 (x = 0. 15)の単結晶
の発光スぺクトルである。 長波長側の発光ピークが半導体光ダイオードの最高感 度波長(530 nm)付近に位置することがわかる。
(偏祈の測定)
走査型電子顕微鏡 (JXA-8621MX) に付属している波長分散型 X線マ イク口アナライザ一(EPMA: JEOL JXA— 8621MX)を用いて、 結晶中の Yb分布の測定を行った。 その結果を図 60〜66に示す。 また比較例 の結晶中の Ce分布を図 67に示す。 いずれの実施例においても、 実効偏析係数
(C。/Cs)は 1であり、 Ybが結晶中に均質に分布することを示しているが、 比較例では、 実効偏析係数は 0. 002から 0. 008程度しか単結晶中に取り 込まれず、 かつ、 取り込まれる比率も 0. 002から0. 008と 4倍もの大き な分布を持つことがわかる。
(蛍光寿命の測定)
蛍光寿命の測定に用いた装置構成の概略を図 68に示す。 22Na (51 IKe Vのフオトン) をパルス励起光源とした。 本発明の単結晶からの発光をフォトマ ルチプライヤ (XP 2233:フォトン計測用) により検知し、 蛍光寿命スぺク トルはマルチチャネルアナライザ一 (multichannel analyzer 199 S) により 解析し、 寿命を決定した。 用いた結晶のサイズは 3mmx 8mmx lmmである c 解析の結果、 実施例 10の (Y0.85Yb0.15) A103の単結晶では、 蛍光寿命 は 539 psであった (図 69)。 また、 実施例 45の (Lu0.85 Yb0.15) 2 〇 3の単結晶では、 蛍光寿命は 627psであった (図 70)。 産業上の利用の可能性
本発明の Ybを含む混晶酸化物単結晶により、 発光効率が高く、 高精度で、 可 視領域での発光が可能な発光材料を提供することがでで、 高精度化 PET (ポジ トロン断層技術) で利用することができる。
また、 (YyYbx) A103や (LuyYbx) 203等の単結晶は、 蛍光寿命が 極めて短く、 さらに高精度な TO F型 PETで利用することができる。