JP2009007545A - シンチレータ用単結晶、シンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ用単結晶の製造方法 - Google Patents

シンチレータ用単結晶、シンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ用単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶インゴット内の元素間の偏析現象を低減することによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、医学診断用ポジトロンCT(PET)、宇宙線観察用、地下資源探索用などの放射線医学、物理学、生理学、化学、鉱物学、さらに石油探査などの分野で、ガンマ線などの放射線に対する単結晶シンチレーション検知器(シンチレータ)用単結晶、シンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ用単結晶の製造方法に関するものであり、さらに詳細には、セリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶、シンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法及びシンチレータ用単結晶の製造方法に関する。
セリウムで付活したオルト珪酸ガドリニウム化合物のシンチレータは、蛍光減衰時間が短く、放射線吸収係数も大きいことから、ポジトロンCTなどの放射線検出器として実用化されている。しかし、蛍光出力がBGOシンチレータよりは大きいものの、NaI(Tl)シンチレータの20%程度しかなく、その改善が望まれている。
近年、一般式Lu2(1−x)Ce2xSiOで表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムの単結晶を用いたシンチレータ(特許文献1、2参照)、一般式Gd2−(x+y)LnCeSiO(LnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表される化合物の単結晶を用いたシンチレータ(特許文献3、4参照)、及び一般式Ce2x(Lu1−y2(1−x)SiOで表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムイットリウムの単結晶を用いたシンチレータ(特許文献5、6参照)が知られている。これらのシンチレータでは、結晶の密度が向上しているだけでなく、セリウム付活オルト珪酸塩化合物を含む単結晶の蛍光出力が向上し、蛍光減衰時間も短くできることが知られている。
さらに特許文献7、8には、ルテチウム(Lu)とセリウム(Ce)とを含む珪酸塩結晶をベースとするシンチレーション材料であって、酸素空格子点αを含み、その化学組成が一般式: Lu1−yMe1−xCeSiO5−zα
xは、1×10‐4〜0.2
yは、1×10‐5〜0.05
[式中、Aは、LuとGd、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybからなるグループから選択された少なくとも1種の元素であり、Meは、H、Li、Be、B、C、N、Na、Mg、Al、P、S、Cl、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、U、Thからなるグループから選択された少なくとも1種の元素である。]で表されるものが記載されている。特許文献7、8において、Luに置換するMeとしてHからThまでの50以上の元素が記載されているが、これらはシンチレーション素子の切削及び製造中の結晶のクラッキングを防止する効果、並びに導波路素子内で導波路特性を作り出すために効果があると記載されている。
また、これらの中でも、酸化度+4、+5、+6(例えば、Zr、Sn、Hf、As、V、Nb、Sb、Ta、Mo、W、Th)を有するイオンが原試薬内に存在すると、あるいは、その必要な量をシンチレーション材料に追加すると、電荷補償作用によってCe4+の発生を抑制することで、結晶の蛍光特性を向上させるだけでなく、クラック発生の抑制及び酸素副格子内の空格子点の形成を妨げる旨も記載されている。その結果、酸化度+4、+5、+6(例えば、Zr、Sn、Hf、As、V、Nb、Sb、Ta、Mo、W、Th)を有するイオンが原試薬内に存在すると、あるいは、その必要な量をシンチレーション材料に追加すると、例えば上記の50以上の元素を不純物として含有する純度の低い廉価な原料を用いた場合でも、良好な蛍光特性が得られるという効果があることが記載されている。
一般式:Ce2xLn2yLu2(1−x−y)SiO(式中Lnは、Luを除くランタノイド系元素のうち少なくともいずれか1種の元素であり、2×10−4≦x≦3×10−2、1×10−4≦y≦1×10−3)で表されるセリウム活性化ランタノイド珪酸塩のシンチレータ単結晶として、CeとTm共付活珪酸ルテチウム単結晶が特許文献9に記載されており、Tmの共付活によって、蛍光出力、減衰時間及びエネルギー分解能のばらつきが改善されることが記載されている。
母材が希土類珪酸塩結晶であるシンチレータで、希土類元素は、Sc、Y、La、Gd、Luからなる群から選択され、発光中心元素としてTi及びCeを含み、好ましくはCeに対するTiのモル比が1/10000〜1/10である希土類珪酸塩のシンチレータ単結晶として、CeとTi共付活珪酸ガドリニウム単結晶が特許文献10に記載されており、Tiの共付活によって、蛍光出力が向上し、減衰時間が速くなる事が記載されている。
一般式:CeLnSiで(LnはY、Gd及びLuより選択される少なくとも2種の元素を示し、0.001≦x≦0.1、1.9≦y≦2.1、0.9≦z≦1.1、4.9≦u≦5.1)で表される化学組成を有するシンチレータ単結晶として、蛍光の強度スペクトルの最大ピーク波長が450nm以上600nm以下の範囲であるCe付活珪酸ガドリニウムルテチウム(Lu組成20%)単結晶が特許文献11に記載されている。
一般式:Ln2xGd2(1−x−y)Ce2ySiO(ただし、LnはSc、Y、Luのうち少なくとも1種以上の元素であり、0.1≦x≦0.5、0.01≦y≦0.1)で表される希土類珪酸塩蛍光体として、360nm〜400nmに間のいずれかの波長で励起した時の蛍光強度のピーク波長が450nmよりも長く、半値幅が112nmよりも大きいことを特徴とするCe付活珪酸ガドリニウムルテチウム(Lu組成20%)単結晶が特許文献12に記載されている。
特許第2852944号公報 米国特許第4958080号明細書 特公平7−78215号公報 米国特許第5264154号明細書 米国特許第6624420号明細書 米国特許第6921901号明細書 特許第3668755公報 米国特許第6278832号明細書 特開2006−199727号公報 特開2005−350608号公報 特開2007−2226号公報 特開2006−257199号公報 C.L.Melcherら、IEEE Transactions on Nuclear Science, Vol.47, No.3, June 2000, p965−968
これまで説明してきたように、単結晶は、原料となる元素として一見性質的に類似しているように見える元素を使用したものであっても、性質が大きく異なりえる。例えば、上記特許文献7及び8に記載される一般式:Lu1−yMe1−xCeSiO5−zαで表される希土類珪酸塩単結晶において、Aとして表される元素として、酸化度+4、+5、+6(例えば、Zr、Sn、Hf、As、V、Nb、Sb、Ta、Mo、W、Th)を選択して、これらを有するイオンを原試薬内に存在させるかシンチレーション材料に追加すると、結晶が着色し、蛍光出力が悪化する場合があることを見出した。
また、特許文献7、8において、シンチレーション素子の切削及び製造中の結晶のクラッキングを防止する効果、並びに導波路素子内で導波路特性を作り出すために効果があるものとして50以上の元素が記載されているが、中には蛍光出力を向上させたり、酸素欠損の影響を低減したりするという効果を有さない場合もあることを見出した。
例えば、発明者らの検討によると、特許文献7、8の化学式で示されたLuとCeを含む珪酸塩単結晶において、Luを含有するオルト珪酸塩化合物単結晶である場合に特に酸素欠損(酸素格子欠陥に相当)が発生しやすく、またさらにもう1種の希土類元素が、Tbよりもイオン半径の小さいDy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Scであるオルト珪酸塩化合物単結晶のほうが、結晶構造がC2/c構造になるため酸素欠損(酸素格子欠陥に相当)が発生しやすいことを見出した。さらに、特許文献7、8において、Ceの価数を4価にする有害な元素として記載されている周期表2族(IIa族)のほうが、むしろ酸素欠陥の抑制に有効であり、その中でもイオン半径の点でMgとCaが特に有効であることがわかった。加えて、これらの元素は、酸素を微量含有する雰囲気中においてもCeイオンの価数変化を抑制できるため、育成中あるいは育成後の熱処理の雰囲気の調整によって、さらに酸素欠損の発生を低減できることもわかっており、これらのことは特開2007−16197号公報に記載されている。以上のように、単結晶は、それを構成する元素の種類には限りがあるが、その目的や求める効果に応じて、基本となる組成や添加する材料を変化させていかなければならない。
ところで、一般式Lu2(1−x)Ce2xSiOで表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムの単結晶は、結晶育成時に酸素の少ない雰囲気にさらされることによる欠陥発生や原料中の不純物によって、結晶インゴット内及びインゴット間で蛍光特性がばらつきやすいという課題がある。
一方、一般式Lm2−(x+y)LuCeSiO(式中LmはLuを除くランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)で示されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物単結晶の場合には、Lu2(1−x)Ce2xSiOの構造を持つ単結晶がもつ課題が同様に存在するほか、チョクラルスキー(Czochralski)法等による融液からの引上げ法による結晶成長等において、結晶育成後半にボイド状の結晶欠陥が発生して結晶内部ににごりが見られたり、自動直径制御による結晶径にばらつきが見られることがある。場合によっては融液離れが発生して、結晶育成の継続が困難になることもある。結晶のにごりが発生した場合には、蛍光特性差の低下が顕著になったり、多数のクラックが発生する場合がある。また、見た目の透明度が低下するほどにごらなかったとしても、結晶インゴットの上下の位置によって蛍光特性差が比較的大きくなる(蛍光特性がばらつく)という課題があった。
一般式Lm2−(x+y)LuCeSiO(ここにLmはLuを除くランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)で示されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物単結晶において観察される上記課題は、この単結晶がLuSiOとLmSiOの混晶であるために生じていることがわかった。すなわち、LuとLmのイオン半径の違いによって、単結晶育成時に結晶インゴット内で結晶組成に違いがでる偏析現象が原因であることが判明した。
上記、結晶育成後半に生じる結晶のにごりは、偏析現象を伴ったセル成長によって、ボイド状の欠陥が発生することによるものと考えられる。結晶がにごって光透過率が低下すると、結晶の放熱性が悪くなるので、固液界面形状が変動して、結晶の自動直径制御が困難になったり、融液離れを引き起こしたりするものと考えられる。一般的にセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含む単結晶の育成では、単結晶の融点が高いため、Irるつぼを用いた高周波加熱によるチョクラルスキー法が行われているが、チョクラルスキー法のような種子結晶を用いた融液からの引き上げ法では、イオン半径の差に起因した偏析の影響による不具合が発生し易い。
また、一般式Lm2−(x+y)LuCeSiO(式中LmはLuを除くランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)で示されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物単結晶の場合、一般にLuの組成比が高いほど蛍光出力が高くなる。従ってインゴット上下でLuの濃度に差があると、インゴットから切り出した単結晶片も、インゴットから切り出された場所によって蛍光出力に違いが発生すると考えられる。また、結晶のにごりが認識できないレベルでも、インゴット下部で蛍光出力が低下したり、エネルギー分解能が低下する現象は、結晶内部の微小な欠陥発生によると考えられる。
Gd2(1−x)Ce2xSiO(セリウム付活オルト珪酸ガドリニウム:GSO)単結晶の場合には、3価となり得る希土類はGdと付活剤のCeだけであるが、GdとCeのイオン半径が比較的近いために、オルト珪酸ガドリニウム結晶中へCeの偏析係数は、0.7程度である。ここで偏析係数とは、Cs=KoCo(1−g)^(Ko−1)(ここで、Koが偏析係数、Csが結晶中の濃度、Coが融液中の濃度、gが固化率)として与えられる値である。結晶上部の蛍光出力が結晶下部に比べ若干高くなる傾向があるものの、結晶インゴット内のGdとCeの濃度変化は比較的小さいため特性差は大きな問題にはならない。しかし、蛍光減衰時間のCe濃度依存が比較的顕著であるために、結晶インゴット上部の蛍光減衰時間が、インゴット下部に比べて長くなる傾向がある。
一方、Lu2(1−x)Ce2xSiO(セリウム付活オルト珪酸ルテチウム:LSO)単結晶の場合には、3価となり得る希土類はLuと付活剤のCeだけであるが、Luのイオン半径に比べ、Ceのイオン半径が大きく、両者のイオン半径差が比較的大きい点がGSOと異なる。このために、オルト珪酸ルテチウム結晶中へCeの偏析係数は、0.2程度となり、結晶インゴット内のLuとCeの濃度変化は比較的大きくなる。しかしながら、Lu2(1−x)Ce2xSiO(セリウム付活オルト珪酸ルテチウム)単結晶の蛍光出力や蛍光減衰時間等の蛍光特性は、セリウム付活オルト珪酸ガドリニウム単結晶(GSO)の場合に比べてCe濃度依存性が小さいため、結晶インゴット内の蛍光特性差は問題になりにくい。一方で、酸素欠陥の発生あるいはその他不純物の混入に起因した結晶インゴット内の特性ばらつきは、セリウム付活オルト珪酸ガドリニウム単結晶(GSO)と比較すると発生し易く、結晶下部の蛍光出力が結晶上部に比べ顕著に低くなることもある。このような現象は、非特許文献1等に記載されており、一般式Ce2x(Lu1−y2(1−x)SiOで表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムイットリウムの単結晶でも同様の傾向が見られ、y=0.3以上の組成では、セリウム付活オルト珪酸ルテチウム)単結晶よりも改善されることが、特許文献5、6に記載されている。
上記の通り、一般式Lm2−(x+y)LuCeSiO(ここにLmはLuを除くランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)で示されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物単結晶における問題点としては、ボイド状の結晶欠陥発生による結晶のにごりが発生するという問題点、安定した結晶育成が難しいという問題点、及び結晶インゴット内の蛍光特性がばらつくという問題点等がある。
本発明は、従来のシンチレータ用単結晶の上記問題点を解決することを目的としている。具体的には、単結晶内の元素間の偏析現象を低減することによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を提供することを目的とする。本発明は、また、単結晶内の元素間の偏析現象を低減することによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ用単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はセリウム付活オルト珪酸塩化合物単結晶の上記課題は、LmとLuのイオン半径の違いが影響して、単結晶成長後半で偏析現象によるセル成長が発生することや単結晶(単結晶インゴット)内で結晶組成に違いが生じることが原因であり、LmとLuのイオン半径の違いが大きいほど、特にLmのイオン半径がLuよりも大きいほど顕著に発生することを見出した。また、上記の偏析現象は、チョクラルスキー法による単結晶育成時のるつぼ径を大きくして結晶径を大きくするほど、原料融液中の温度勾配を小さくするほど、結晶の引上げ速度を大きくするほど、引上げ時の結晶の回転速度を大きくするほど顕著になる傾向があることもわかった。
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、単結晶構造中にLmとLuの中間のイオン半径の差を有する元素を含ませることにより、上記偏析現象を低減できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶である。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
本発明のシンチレータ用単結晶によれば、Lmの偏析(LmとLuの組成比変化)を抑制すると共に、Ceの偏析を抑制する効果もあり、単結晶内の蛍光特性のばらつきを低減し、それによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を提供することができる。すなわち、結晶欠陥発生を抑制して安定した結晶育成を実現し、結晶のにごりやクラック及び異常成長(形状異常)を低減した単結晶を提供することができる。
本発明のシンチレータ用単結晶において、LmはGdであり、LnはSc、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Tb、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、Gdの偏析現象による欠陥発生や結晶育成後半での異常成長だけでなく、結晶インゴット上下での蛍光特性差を低減することができる。
上記シンチレータ用単結晶において、LnはYであることが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、Gdの偏析現象による欠陥発生や結晶育成後半での異常成長だけでなく、結晶インゴット上下での蛍光特性差をより低減することができ、単結晶の蛍光特性をより向上させることができる。
上記シンチレータ用単結晶において、xは0超0.2以下であり、かつ[2−(x+y+z)]よりも小さい値であり、yは1.6超2未満の値であり、zは0.001超0.02以下の値であることが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、Gdの偏析現象による欠陥発生や結晶育成後半での異常成長だけでなく、結晶インゴット上下での蛍光特性差をより低減することができ、単結晶の蛍光特性をより向上させることができる。
本発明のシンチレータ用単結晶において、Lnはイオン半径がLmのイオン半径よりも2pm以上小さく、Luのイオン半径よりも4pm以下大きいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、Lmの偏析をより抑制することができ、結晶インゴット内の蛍光特性のばらつきをより低減し、単結晶の蛍光特性をより向上させることができる。
本発明のシンチレータ用単結晶は、周期表2族(IIa族)に属する元素から選ばれる少なくとも1種の添加元素を単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%含有することが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、さらに酸素欠陥起因によると思われる蛍光特性の低下やばらつきを低減し、それによって単結晶の蛍光特性を向上させると共に、結晶欠陥起因の蛍光出力のバックグラウンド(残光、Afterglow)を低減することもできる。
本発明のシンチレータ用単結晶は、周期表13族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の添加元素を単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%含有することが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、単結晶の蛍光特性を向上させると共に、結晶欠陥起因の蛍光出力のバックグラウンド(残光、Afterglow)を低減する効果がより顕著であり、上記周期表2族に属する元素から選ばれる1種以上の添加元素と同時に存在することによって、より高い効果が得ることができる。
本発明のシンチレータ用単結晶は、周期表4、5、6、14、15及び16族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素を前記単結晶の全質量に対して0.002質量%以下含有することが好ましい。本シンチレータ用単結晶によれば、さらに蛍光特性の劣化を抑制することができる。
本発明のシンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法は、下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶の構成元素を含有する原料を用いて単結晶体を育成した後、前記単結晶体を酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理する、熱処理方法である。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)。
本熱処理方法によれば、元素間の偏析現象による単結晶(単結晶インゴット)内のばらつきを低減し、また、酸素欠陥起因と思われる残光特性や特性劣化を軽減し、それによって蛍光特性が向上した単結晶を提供することができる。
本発明のシンチレータ用単結晶の製造方法は、下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶の構成元素を含有する原料を準備し、チョクラルスキー法によって単結晶体を育成する工程と、
前記単結晶体を、酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理する工程と
を備える、シンチレータ用単結晶の製造方法である。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
本製造方法によれば、元素間の偏析現象による結晶育成時の不具合やクラックを低減し、蛍光特性を向上させるだけでなく、酸素欠陥起因と思われる残光特性や特性劣化を軽減し、高いシンチレータ特性(蛍光特性)を実現するシンチレータ用単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明のシンチレータ用単結晶によれば、Luより原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素であるLmをベース結晶として含有する場合に、LmがLuに対して偏析することによる結晶成長時の結晶欠陥発生、さらにセル成長及び欠陥発生による結晶の光透過率低下による結晶の異常成長などの不具合を改善し、それによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を提供することができる。
また、本発明のシンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法、又は本発明のシンチレータ用単結晶の製造方法によれば、上記特性を有するシンチレータ用単結晶、すなわち、Lmの偏析によって単結晶内の組成差起因の蛍光出力やエネルギー分解能のばらつきを改善し、それによって蛍光特性が向上したシンチレータ用単結晶を提供することができる。
[シンチレータ用単結晶]
本発明のシンチレータ用単結晶は、下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶である。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
イオン半径は、広島大学の地球資源論研究室(Earth Resources Research)のホームページ(http://ome.hiroshima−u.ac.jp/er/Min_G2.html)から引用したShannonとPrewitt(1969,70)による経験的半径(一部はShannon(1976)によるもので、Pauling(1960)又はAhrens(1952)による推定値をそのまま流用したものである)である。
ランタノイド系元素の原子番号及びイオン半径は、次の通りである:La(原子番号:57、イオン半径:116pm)、Ce(58、114pm)、Pr(59、113pm)、Nd(60、111pm)、Pm(61、109pm)、Sm(62、108pm)、Eu(63、107pm)、Gd(64、105pm)、Tb(65、104pm)、Dy(66、103pm)、Ho(67、102pm)、Er(68、100pm)、Tm(69、99pm)、Yb(70、99pm)、Lu(71、98pm)。Sc、Y、B、Al、Ga及びInの原子番号及びイオン半径は、Sc(21、87pm)、Y(39、102pm)、B(5、12pm)、Al(13、53pm)、Ga(31、62pm)、及びIn(49、80pm)である。なお、1pm=0.01Åである。
上記一般式(1)中、Lmとして、母体結晶として比較的単結晶体が得られ易い点から、La、Gd、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er及びYの中から選ばれる少なくとも1つの元素であることが好ましく、La、Gd及びYであることがより好ましく、Gdであることが特に好ましい。
Lnやその他の元素は、ベース結晶中の元素LuやLm等の希土類元素の格子位置又はSiの格子位置、或いは格子間位置に存在すると考えられる。イオン半径がベース結晶中の元素(Si:40pm、Lu:98pm)に近い元素のほうが、格子位置を置換しやすいので、単結晶の偏析特性及び着色や蛍光特性に与える影響が大きいと考えられる。
上記一般式(1)中、Lnとして、イオン半径がベース結晶中の元素Luに比較的近いもしくはLuよりも小さい点から、Sc、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Tbなどのランタノイド系元素から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、また、イオン半径がLuよりも小さく、かつ安定して3価の価数状態(Ln3+)を取り得るB、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種であることも好ましい。これらの元素は、ベース結晶中の元素Luに対して比較的偏析が起こりにくいため、ベース結晶中のLmの偏析を抑制する効果が得られる。結晶中に多く存在しても単結晶成長が比較的容易な点から、LnはSc、Y及びYbの少なくとも1種であることがより好ましく、シンチレータ特性を劣化させずに効果が得られる、あるいはシンチレータ特性を向上させることができる点から、Yが特に好ましい。
LmがGdであるとき、LnがSc、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Tb、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましく、特にSc、Y及びGaから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましく、Yであることが最も好ましい。
Lnはイオン半径がLmのイオン半径よりも2pm以上小さく、Luのイオン半径よりも4pm以下大きいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。例えば、LmがGdであるとき、LnはYであることが好ましい。
上記一般式(1)中、xは0超0.5以下の値を示し、0超0.2以下の値が好ましく、0超0.1以下の値が特に好ましい。yは1超2未満の値を示し、1.6超2未満の値が好ましく、1.8超2未満の値が特に好ましい。zは0超0.1以下の値を示し、0.001超0.02以下の値が好ましく、0.002超0.005以下の値が特に好ましい。[2−(x+y+z)]は0超1以下の値であり、0超0.4以下の値が好ましく、0超0.2以下の値が特に好ましい。
上記一般式(1)中、xは0超0.2以下であり、かつ[2−(x+y+z)]よりも小さい値であり、yは1.6超2未満の値であり、前記zは0.001超0.02以下の値である。ただし、Lmが、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、GdなどLuに比べてイオン半径が十分大きい元素の場合には、xは、0超0.2以下であり、かつ[2−(x+y+z)]と同じ、または大きいこともあり得る。
本発明の単結晶は、周期表2族(IIa族)に属する元素から選ばれる少なくとも1種の添加元素を含有してもよい。周期表2族(IIa族)に属する元素のイオン半径は小さい順に、Be(35pm)、Mg(72pm)、Ca(112pm)、Sr(125pm)、Ba(142pm)、Ra(148pm)であるが、イオン半径がLu(98pm)に比較的近いもしくはLuよりも小さい点から、Be、Mg、Ca、Srが好ましく、イオン半径がLuに最も近いMg、Caがより好ましく、Caが特に好ましい。これらの元素を含有することにより、酸素欠陥起因によると思われる蛍光特性の低下やばらつきを低減し、結晶欠陥起因の蛍光出力のバックグラウンド(残光、Afterglow)を低減することができる。
周期表2族(IIa族)に属する元素の合計含有量は、単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%であり、0.0001〜0.05質量%であることが好ましく、0.0005〜0.01質量%であることがより好ましい。この合計含有量が0.00005質量%未満では、周期表2族(IIa族)の添加元素を添加したことによる効果が得られ難くなる。この合計含有量が0.1質量%よりも大きいと、周期表2族(IIa族)の添加元素の添加によって格子欠陥や結晶の歪みが増大し、多結晶や割れが増加して結晶育成が困難になったり、格子欠陥に起因する非発光準位の形成により蛍光出力が低下したりする傾向にある。
本発明の単結晶は、周期表13族(IIIb族)に属する元素から選ばれる1種以上の添加元素を含有してもよい。周期表13族元素のイオン半径が小さい順に、B(12pm)、Al(53pm)、Ga(62pm)、In(80pm)、Tl(150pm)であるが、イオン半径がベース結晶中のCe、Lu等の希土類元素だけでなく、Si(40pm)に比較的近いもしくはSiよりも小さい点から、B、Al、Ga、Inが好ましく、Al、Gaがより好ましく、さらにイオン半径がSiに最も近いAlが特に好ましい。これらの元素が、上記周期表2族に属する元素から選ばれる1種以上の添加元素と同時に存在することによって、結晶欠陥起因の蛍光出力のバックグラウンド(残光、Afterglow)を低減する効果がさらに顕著となる。
周期表13族(IIIb族)に属する元素の合計含有量は、単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%であることが好ましく、0.0001〜0.05質量%であることがより好ましく、0.0005〜0.01質量%であることが特に好ましい。この合計含有量が0.00005質量%未満では、周期表13族元素を添加したことによる効果が得られ難くなる。また、この合計含有量が0.1質量%よりも大きいと、周期表13族元素の添加によって格子欠陥や結晶の歪みが増大し、多結晶や割れが増加して結晶育成が困難になったり、格子欠陥に起因する非発光準位の形成により蛍光出力が低下したりする傾向にある。
本発明の単結晶は、周期表4、5、6、14、15及び16族(IVa、Va、VIa、IVb、Vb及びVIb族)に属する元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有してもよい。周期表4、5、6、14、15及び16族に属する添加元素としては、4価のイオンになりやすい4族のTi(イオン半径:61pm)、Zr(72pm)、Hf(71pm)、及び14族のGe(54pm)、Sn(69pm)、Pb(78pm)、5価のイオンになりやすい5族のV(64pm)、Nb(64pm)、Ta(64pm)、及び15族のP(17pm)、As(34pm)、Sb(61pm)、6価のイオンになりやすい6族のCr(30pm)、Mo(60pm)、W(60pm)、及び16族のS(12pm)、Se(29pm)、Te(56pm)などが挙げられる。
周期表4、5、6、14、15及び16族に属する元素の合計含有量は、前記単結晶の全質量に対して0.002質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以下であることがより好ましく、0.0005質量%以下であることが特に好ましく、0.0002質量%以下であることが最も好ましい。価数がベース結晶中の元素に近い4価、5価、6価の順に、蛍光特性を悪化させる傾向があるため、この合計含有量が0.002質量%よりも大きいと、特にイオン半径が比較的大きい元素である周期表4族のZr、Hf等による蛍光特性の劣化を無視できなくなる。
さらに、本発明の単結晶は、周期表4、5、6、14、15及び16族に属する元素のうち、上記観点から、周期表4族のZr、Hfを含有しないほうが好ましく、さらに4、5、6族に属するZr、Hf、Ti、Ta、V、Nb、W、Mo、Crを含有しないほうがより好ましい。
[シンチレータ用単結晶の製造方法]
本発明のシンチレータ用単結晶の製造方法は、下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶の構成元素を含有する原料を準備し、チョクラルスキー法によって単結晶体を育成する工程と、
前記単結晶体を、酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理する工程と
を備える、シンチレータ用単結晶の製造方法である。
Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
(式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
単結晶体の育成は、通常のオルト珪酸塩化合物単結晶の育成方法、特に限定しないが、例えば、イリジウム(Ir)製るつぼを用いた高周波加熱によるチョクラルスキー法に準じてもよい。まず、一般式(1)の化合物の構成元素となる原料を量論比に従って秤量し混合し、るつぼに投入する。原料は、酸化物(単独酸化物若しくは複合酸化物)又は炭酸塩等の塩(単塩若しくは複塩)の状態で準備され、その形態は、例えば固体粉末状である。必要に応じて、周期表2族、13族、或いは4、5、6、14、15又は16族の他の元素を秤量し、添加してもよい。これらの元素は、原料秤量時に添加しても良く、あるいはるつぼに原料を充填する際に添加しても良く、結晶育成時に原料中に添加されていれば、いかなるタイミングでも良い。また、添加時の態様は特に限定されず、例えば酸化物や炭酸塩の状態で原料中に添加されてもよい。
次いで、例えば高周波誘導加熱炉で加熱することによりるつぼに投入された原料を溶融し、溶融液に種子結晶(シード結晶)を投入し、種子結晶を引きあげながら円柱状の単結晶体を育成する。このとき、単結晶体育成工程では、加熱炉の加熱出力を調節し、溶融液から引き上げられる単結晶体を、その断面が所定の直径となるまで育成する。その後、加熱炉の加熱出力を調節し、結晶育成工程後に得られる育成後の単結晶体を冷却し、単結晶体を形成する。
結晶育成後に、酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理(アニール処理)することによって、本発明のシンチレータ用単結晶を得る。このとき、酸素濃度は20体積%以上がより好ましく、50体積%以上が特に好ましい。また、上記酸素濃度で窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中での熱処理温度は、700℃〜1300℃が好ましく、1000℃〜1300℃がより好ましく、1100℃〜1300℃が特に好ましい。700℃以上であると、許容処理時間で熱処理の効果を充分得ることができ、1300℃以下であればCeの価数変化(Ce3+→Ce4+)による蛍光特性の劣化を抑制できる。ただし、本発明の単結晶が周期表2族(IIa族)の元素を含有する場合に限っては、Ceの価数変化(Ce3+→Ce4+)を抑制する効果が高まるために、1500℃までは熱処理によるシンチレータ特性の向上効果が得られる。また、本発明の単結晶が周期表2族(IIa族)の元素を含有しない場合には、上記のCe価数変化が発生しやすい傾向があるため、熱処理温度を700℃〜1150℃とすることが好ましく、900℃〜1150℃がより好ましく、1000℃〜1150℃がより好ましい。
熱処理時間としては、一般に5時間〜48時間で効果が得られる。5時間未満の処理時間では、充分な効果が得られない場合があり、48時間を越える処理時間では効果が飽和するので経済的でないが、加工後のサンプルサイズが大きい場合や熱処理温度が低温側である場合には、処理時間が長いほど効果が高くなることがある。
また、たとえば本発明者らによる特開2007−1850号公報に記載された熱処理方法も、本発明のシンチレータ用単結晶について有効である。熱処理方法を適用するタイミングとしては、シンチレータとして使用される最終形状に加工された後が好ましく、化学エッチングや機械研磨等による表面の鏡面化処理の前が好ましい。一般にサンプル形状が大きいほど、熱処理の充分な効果を得るために必要な時間が増加する傾向がある。また、鏡面化処理後に熱処理を実施すると、鏡面化処理した表面が曇り、光透過率が低下することがある。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
単結晶はチョクラルスキー法にしたがって育成した。まず、直径150mm、高さ150mm、厚み3mmのイリジウム製るつぼの中に、Gd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.02,y=1.86,z=0.003)の原料を投入した。出発原料は、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)747.13g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,038.28g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)79.56g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,127.43g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.19gでほぼ所定の量論比になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.821g(Ca成分として0.007質量%)を仕込み、高周波誘導加熱炉で融点約2100℃まで加熱して融液を得た。なお、融点は電子式光高温計(チノー製、パイロスタModel UR−U)により測定した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。
続いて、種子結晶(シード)を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れて種付けを行った。結晶引き上げ速度1.0mm/hの速度で、回転数3〜1min−1で肩部の引き上げを行い、直径φ85mmになった時点より、引き上げ速度1mm/hの速度及び回転数1min−1で平行部育成を開始した。重量による自動直径制御によって所定の平行部を育成した後、結晶を融液から切り離し、冷却をし、単結晶体を得た。単結晶体の育成及び冷却中は、育成炉内に流すガスを流量4〜3L/minのNガスに加えて、流量10〜15mL/minのOガスを流し続けた。この時、炉内の酸素濃度は、ガルバニ電池拡散式酸素濃度表示計(泰栄電器製、型式OM−25MS10)により測定し、0.2〜0.4体積%であることを確認した。
得られた単結晶体は結晶重量が約11,500g、肩部の長さが約75mm、平行部の長さが約235mmであった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部まで、ボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。
得られた単結晶体からインゴット直胴部の最上部(Top、シードからの重量で結晶化率:約8%部)と最下部(Bottom、シードからの重量で結晶化率:約70%部)から、4×6×25mmのサンプルを切り出した。得られた単結晶サンプルは、Pt板の上に乗せて電気炉に投入した。空気中(酸素濃度約21体積%)において約4時間で昇温して1200℃で24時間保持後、約10時間で冷却した。その後、サンプルは、300℃に加熱したリン酸を使用した化学エッチングにより、全面鏡面とし、実施例1のシンチレータ用単結晶を得た。
Top及びBottom位置から得られたサンプルの中から任意に各3つを抜き出し、4×6×25mmサンプルの4×6mm面片側1面を除く5面に反射材であるPTFEテープを巻きつけ、残った4×6mm面を光学グリースにより光電子増倍管面に固定し、662keVの137Csからのガンマ線に対するエネルギースペクトルを測定した。エネルギースペクトルは光電子増倍管に1.45kVの電圧を印加した状態でダイノードからの信号を前置増幅器(ORTEC社製、113)と波形整形増幅器(ORTEC社製、570)で増幅し、MCA(PGT社製、Quantum MCA4000)で測定した。各サンプルのエネルギースペクトルを測定し、各サンプルの蛍光出力、エネルギー分解能を評価した。また、アノードからの信号を高速デジタルオシロスコープ(Tektronix社製、TDS5052)で測定し、蛍光減衰時間とバックグラウンド(残光:Afterglow)を評価した。バックグラウンドは、サンプルを測定用の暗箱に入れた直後のオシロスコープの出力値(mV)を測定した。その結果として、各3サンプルの平均値を表1に示す。今回測定したサンプルの蛍光減衰時間は、40〜43nsであり、サンプル間で明確な違いは見られなかった。
[実施例2]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.99質量%)621.29g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,077.64g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)159.59g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,133.85g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.25gをGd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.04,y=1.86,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.830g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった(表1)。
[実施例3]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)867.26g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,001.15g、酸化ガリウム(Ga、純度99.99質量%)2.63g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,121.37g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.14gをGd2−(x+y)GaLuCeSiO(x=0.0008,y=1.86,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.813g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部10mm部分に、ボイド欠陥によると思われる結晶内部のにごりが見られ、その部分は結晶表面の透明度も低下していたが、蛍光出力やエネルギー分解能等の蛍光特性が高いレベルであった(表1)。
[実施例4]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)616.26g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,079.66g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)159.62g、酸化ガリウム(Ga、純度99.99質量%)2.65g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,134.18g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.25gをGd2−(x+y)x−0.0008Ga0.0008LuCeSiO(x=0.0408,y=1.86,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.830g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった(表1)。
[実施例5]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.99質量%)494.68g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,117.24g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)240.11g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,140.32g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.30gをGd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.06,y=1.86,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.838g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。
[比較例1]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)872.22g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)12,999.15g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,121.05g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.14gをGd2−(y+z)LuCeSiO(y=1.86,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.813g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部40mm部分に、ボイド欠陥によると思われる結晶内部のにごりが見られ、その部分は自動直径制御による結晶径の制御が悪化して、形状に乱れが発生していた。
[比較例2]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)1,257.15g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)12,609.24g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,126.01g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.18gをGd2−(y+z)LuCeSiO(y=1.80,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)2.819g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部20mm部分に、ボイド欠陥によると思われる結晶内部のにごりが見られ、その部分は結晶表面の透明度も低下していた。
[実施例6]
直径180mm、高さ180mm、厚み3mmのイリジウム製るつぼの中に、Gd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.06,y=1.86,z=0.003)の原料を投入した。出発原料は、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)881.15g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)23,365.08、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)427.70g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)3,812.44g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)32.60gでほぼ所定の量論比になるように混合し、混合物を合計で28,518.97gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)5.056g (Ca成分として0.007質量%)を仕込み、高周波誘導加熱炉で融点約2100度まで加熱して融液を得た。なお、融点は電子式光高温計(チノー製、パイロスタModel UR−U)により測定した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。
その後種付けを行い、結晶引き上げ速度1.0mm/hの速度で、回転数1min−1で肩部の引き上げを行い、直径φ105mmになった時点より、引き上げ速度0.8mm/hの速度、回転数1min−1で平行部育成を開始した。重量による自動直径制御によって所定の平行部を育成した後、結晶を融液から切り離し、冷却をし、単結晶体を得た。単結晶体の育成及び冷却中は、育成炉内に流すガスを流量4〜3L/minのNガスに加えて、流量10〜15mL/minのOガスを流し続けた。この時、炉内の酸素濃度は、ガルバニ電池拡散式酸素濃度表示計(泰栄電器製、型式OM−25MS10)により測定し、0.2〜0.4体積%であることを確認した。
得られた単結晶体は結晶重量が約20,500g、肩部の長さは約80mm、平行部の長さが約335mmであった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部まで、ボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。得られた単結晶体からインゴット直胴部の最上部(Top、シードからの重量で結晶化率:約8%部)と最下部(Bottom、シードからの重量で結晶化率:約70%部)から、4×6×25mmのサンプルを切り出した。得られた単結晶サンプルは、Pt板の上に乗せて電気炉に投入した。空気中(酸素濃度約21体積%)において約4時間で昇温して1200℃で24時間保持後、約10時間で冷却した。その後、サンプルは、300℃に加熱したリン酸を使用した化学エッチングにより、全面鏡面とし、実施例6のシンチレータ用単結晶を得た。
[実施例7]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)651.82g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)23,850.78g、酸化スカンジウム(Sc、純度99.99質量%)174.02g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)3,790.80g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)32.58gをGd2−(x+y)ScLuCeSiO(x=0.04,y=1.90,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で28,519gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)5.052g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例6と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。
[実施例8]
出発原料として、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)714.92g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)23,378.99g、酸化スカンジウム(Sc、純度99.99質量%)450.13g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)3,922.25、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)33.71gをY2−(x+y)ScLuCeSiO(x=0.10,y=1.80,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で28,520gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)5.227g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例6と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物としては、4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。
[比較例3]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)2,239.30g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)22,460.21g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)3,768.11g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)32.38gをGd2−yLuCeSiO(y=1.80,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で28,519gと炭酸カルシウム(CaCO、純度99.99質量%)5.022g(Ca成分として0.007質量%)を仕込んだ以外は、実施例6と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。しかし、単結晶体の平行部育成中に自動結晶径制御において、結晶重量の増加量及び加熱出力が大きく変動する現象が見られたため、結晶育成を停止し、冷却を行った。
得られた単結晶体は結晶重量が約16,500g、肩部の長さは約80mm、平行部の長さが約210mmであった。得られた単結晶体の外観は、平行部の真ん中付近からボイド欠陥による結晶内部のにごりが発生し、結晶下部付近では、結晶外径が約120mmに増加し、内部が空洞になる現象が見られた。
[実施例9]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.99質量%)235.09g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)13,600.94g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)39.579g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,116.81g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.10gをGd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.01,y=1.95,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011g仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部までボイド欠陥による結晶内部のにごりは見られず、表面の透明度も高い結晶であった。
[実施例10]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.99質量%)1,301.51g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)11,748.81g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)740.77g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,201.04g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.82gをGd2−(x+y)LuCeSiO(x=0.18,y=1.62,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011g仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。この時、それぞれの原料中に含まれる不純物である4、5、6価の元素は全て1ppm未満であった。得られた単結晶体の外観は、平行部の最下部40mm部分に、ボイド欠陥によると思われる結晶内部のにごりが見られ、その部分は結晶表面の透明度が少し低下していた。
[比較例4]
出発原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)2,422.81g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)11,428.50g、二酸化珪素(SiO、純度99.9999質量%)2,141.03g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)18.31gをGd2−(y+z)LuCeSiO(y=1.62,z=0.003)のほぼ量論組成になるように混合し、混合物を合計で16,011g仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてシンチレータ用単結晶を作製した。得られた単結晶体の外観は、平行部の中央部付近から徐々にボイド欠陥によると思われる結晶内部のにごりが見られ始め、平行部の最下部にかけてボイド欠陥による結晶内部のにごり及び結晶表面の透明度の低下も顕著になっていた。平行部下部では自動直径制御による結晶径の制御が悪化して、形状に乱れが発生していた。
実施例1〜5及び比較例1〜2の実験条件と育成結果及び蛍光特性の評価結果を表1に示した。実施例6〜8及び比較例3の実験条件と育成結果を表2に示した。実施例9及び10並びに比較例4の実験条件と育成結果を表3に示した。なお、本実施例は好適な一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。
Figure 2009007545

表1から、実施例1、2及び5では、一般式Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO(ここにLmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)において、LnとしてYを含有する組成であるので、Gdの偏析が抑制され、Yを含有しない比較例1に比べて、インゴット下部でのにごりが解消され、蛍光出力やエネルギー分解能等の蛍光特性が向上している。特にインゴットBottom位置の蛍光特性が向上し、インゴット上下位置による特性差が小さくなっている。実施例3では、Lnとして13族のGaを含有することによって、比較例1に比べ、実施例1と2ほど効果が顕著ではないが、同様の効果が得られている。また、Ga添加によって、実施例3及び実施例4では、蛍光のバックグラウンド(残光)を低減する効果も得られている。
実施例1、2,5及び比較例1、2において蛍光特性を評価したものと同じサンプルについて、インゴットTop及びBottomの組成分析を行った。分析は、酸あるいはアルカリ融解したサンプルを高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES法)でLu、Gd、Y、Ce成分を定量分析した。その結果、インゴットTopとBottomにおけるGd成分の差(Bottom−Top)が、比較例2>比較例1>実施例1>実施例2>実施例5の順になり、Gdの偏析が顕著に減少していることがわかった。
一方、比較例1〜3では、Gdの偏析によって、インゴット下部で結晶のにごりが発生し、比較的Gd組成の高い比較例2では、結晶育成でのにごりの発生する時期が早く、自動直径制御が悪化する異常成長の兆候が見られた。比較例3は、結晶組成は比較例2と同一であるが、るつぼ径及び結晶径を大きくした場合には、結晶内部のにごりが発生するタイミングが早くなる傾向があり、結晶の異常成長が起こり易いことがわかった。
本実施例1〜5及び比較例1〜2では、元素として2族元素のCaを含有し、単結晶サンプル加工後に空気中で熱処理を実施しているため、インゴット上部から下部方向へのLu元素の濃度変化による特性差はあるものの、Gd偏析による結晶のにごりのない部分では、比較的安定した良好な蛍光特性が得られているものである。
Figure 2009007545

表2から、実施例6〜8及び比較例3では、より結晶径が大きい単結晶体の例を示した。一般式Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO(ここにLmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)において、Lmの偏析を抑制するLnを含まない比較例3では、Gdの偏析による結晶成長での不具合が顕著になる。一方、LmとしてGd、LnとしてY或いはScを含有する組成である実施例6、7、及びLmとしてY、LnとしてScを含有する組成である実施例8では、Lmの偏析が抑制されインゴット下部でのにごりが解消されている。したがって、実施例6〜8の単結晶体を用いて作製したシンチレータ用単結晶は、高い蛍光特性を有すると予想される。
Figure 2009007545

表3から、実施例9では、LmとしてGdが比較的少なく、LnとしてYを含有する場合には、Gdの偏析による結晶成長の不具合は見られない。LmとしてGdが比較的多い組成の場合に、Gdの偏析を抑制するLnを含まない比較例4では、Gdの偏析による結晶成長での不具合が顕著になる。一方、LnとしてYを含有する実施例10では、Gdの偏析が抑制されインゴット下部での不具合が改善されている。したがって、実施例9及び10の単結晶体を用いて作製したシンチレータ用単結晶は、高い蛍光特性を有すると予想される。
実施例1、2、5及び比較例1、2において蛍光特性を評価したものと同じサンプルについて、インゴットTop及びBottomの組成分析を行った。分析は、酸あるいはアルカリ融解したサンプルを高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES法)でLu、Gd、Y、Ce成分を定量分析した。その結果を表4に示した。表4から、インゴットTopとBottomにおけるGd成分の差(Bottom−Top)が、比較例1>実施例1>実施例2の順になり、実施例1及び2ではGdの偏析が顕著に減少していることがわかった。
Figure 2009007545

本発明の一般式Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO(ここにLmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素及びSc、Yの中から選ばれる少なくとも1種の元素である。)において、適用可能なLmとLnの組合せについては、実施例1〜10以外にも、本発明の効果が顕著である代表的な組合せを表5に示した。
Figure 2009007545

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶。
    Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
    (式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
  2. 前記LmはGdであり、前記LnはSc、Y、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Tb、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項1記載のシンチレータ用単結晶。
  3. 前記LnはYである、請求項2記載のシンチレータ用単結晶。
  4. 前記xは0超0.2以下であり、かつ前記[2−(x+y+z)]よりも小さい値であり、前記yは1.6超2未満の値であり、前記zは0.001超0.02以下の値である、請求項3記載のシンチレータ用単結晶。
  5. 前記Lnはイオン半径がLmのイオン半径よりも2pm以上小さく、Luのイオン半径よりも4pm以下大きいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項1記載のシンチレータ用単結晶。
  6. 周期表2族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の添加元素を前記単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載のシンチレータ用単結晶。
  7. 周期表13族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の添加元素を前記単結晶の全質量に対して0.00005〜0.1質量%含有する、請求項1〜6のいずれか一項記載のシンチレータ用単結晶。
  8. 周期表4、5、6、14、15及び16族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素を前記単結晶の全質量に対して0.002質量%以下含有する、請求項1〜7のいずれか一項記載のシンチレータ用単結晶。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載のシンチレータ用単結晶を製造するための熱処理方法であって、
    下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶の構成元素を含有する原料を用いて単結晶体を育成した後、前記単結晶体を酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理する、熱処理方法。
    Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
    (式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
  10. 請求項1〜8のいずれか一項記載のシンチレータ用単結晶の製造方法であって、
    下記一般式(1)で表されるセリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ用単結晶の構成元素を含有する原料を準備し、チョクラルスキー法によって単結晶体を育成する工程と、
    前記単結晶体を、酸素濃度が10〜100体積%である窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気中で、700〜1300℃の温度で熱処理する工程と
    を備える、シンチレータ用単結晶の製造方法。
    Lm2−(x+y+z)LnLuCeSiO (1)
    (式中、LmはLuよりも原子番号が小さいランタノイド系元素、並びにSc及びYの中から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Lnはイオン半径がLmとLuとの間にあるランタノイド系元素並びにSc、Y、B、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0超0.5以下の値を示し、yは1超2未満の値を示し、zは0超0.1以下の値を示す。)
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